朕內國旅費規則改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年八月二十七日
內閣總理大臣 東條英機
厚生大臣 小泉親彥
大藏大臣 賀屋興宣
鐵道大臣 八田嘉明
內務大臣 安藤紀三郞
文部大臣 子爵 岡部長景
勅令第六百八十四號
內國旅費規則
第一章 總則
第一條 官吏其ノ他本令ニ定ムル者公務ニ依リ本邦內ヲ旅行スルトキハ本令ニ依リ旅費ヲ支給ス
第二條 旅費ハ鐵道賃、船賃、航空賃、車馬賃、日當、宿泊料、食卓料、移轉料、着後手當及家族移轉料ノ十種トス
第三條 旅費ハ順路ニ依リ之ヲ計算ス但シ公務ノ都合又ハ天災其ノ他已ムヲ得ザル事由ニ因リ順路ニ依リテ旅行シ難キ場合ニ於テハ其ノ現ニ經過シタル通路ニ依ル
第四條 旅行日數ハ公務ノ爲要シタル日數ニ依ル但シ公務ノ爲出張地ニ滯在シタル日數及途中天災其ノ他已ムヲ得ザル事由ニ因リ要シタル日數ヲ除クノ外鐵道旅行ニ在リテハ四百粁、水路旅行ニ在リテハ二百粁、陸路旅行ニ在リテハ五十粁ニ付一日ノ割合ヲ以テ通算シタル日數ヲ超過スルコトヲ得ズ
前項但書ノ場合ニ於テ一日未滿ノ端數ヲ生ジタルトキハ之ヲ一日トス
第五條 鐵道旅行、水路旅行、航空旅行又ハ陸路旅行中ニ於ケル年度ノ經過、官階ノ變更等ニ因リ旅費ヲ區分シテ計算スルノ必要アル場合ニ於テハ最初ノ目的地ニ到着シタル日ヲ以テ其ノ路程ヲ區分シ計算ス
第六條 一日中旅費ノ定額ヲ異ニスル場合ニ於テハ多キニ從ヒ之ヲ支給ス
第七條 新ニ任用スル爲召致セラレタル者ニハ官吏赴任ノ例ニ準ジ新官相當ノ旅費ヲ支給スルコトヲ得
第八條 私事ノ爲在勤地又ハ出張地以外ノ地ニ居住又ハ滯在スル者其ノ居住地又ハ滯在地ヨリ直ニ旅行スル場合ニ於テ居住地又ハ滯在地ヨリ目的地ニ至ル旅費額ガ在勤地又ハ出張地ヨリ目的地ニ至ル旅費額ヨリ多キトキハ在勤地又ハ出張地ヨリ目的地ニ至ル旅費ヲ支給ス
第九條 所管大臣ハ旅費ノ定額ヲ減ジ又ハ旅費ノ全部若ハ一部ヲ支給セザルコトヲ得
第十條 所管大臣ハ測量、土木工事等ノ爲現場ヲ巡廻スル官吏又ハ常時出張スルヲ要スル官吏ニ關シ特ニ其ノ旅費額ヲ定メ月額又ハ日額ヲ以テ之ヲ支給スルコトヲ得
第十一條 左ニ揭グル者ノ旅費ニ關シテハ所管大臣大藏大臣ト協議シテ別ニ之ヲ定ム
一 武官、陸海軍文官、鐵道事務ニ從事スル官吏及警察官
二 官吏ノ待遇ヲ受クル者
三 囑託員、雇員、傭人及職工
四 諸調査會(調査會、委員會、審議會其ノ他此等ニ準ズルモノヲ謂フ)ノ職員
五 前各號ニ揭グル者ヲ除クノ外國庫ニ於テ旅費ヲ支辨セントスル者
第十二條 特別ノ事情ニ因リ本令ニ依リ難キ場合ニ於ケル旅費ニ關シテハ所管大臣大藏大臣ト協議シテ別ニ之ヲ定ムルコトヲ得
第十三條 本令中所管大臣ノ職務ハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮總督、臺灣ニ在リテハ臺灣總督、樺太ニ在リテハ樺太廳長官、關東州ニ在リテハ滿洲國駐箚特命全權大使、南洋群島ニ在リテハ南洋廳長官之ヲ行フ但シ大藏大臣ト協議ヲ要スル事項ニ關シテハ所管大臣ヲ經由スベシ
第二章 鐵道賃、船賃、航空賃及車馬賃
第十四條 鐵道旅行ニハ鐵道賃、水路旅行ニハ船賃、航空旅行ニハ航空賃、陸路旅行ニハ車馬賃ヲ支給ス
陸路旅行トハ陸上ノ旅行ニシテ鐵道ニ依ラザルモノヲ謂フ
第十五條 鐵道賃、船賃及航空賃ハ大藏大臣ノ定ムル所ニ依リ、車馬賃ハ別表ニ揭グル所ニ從ヒ定額ニ依リ之ヲ支給ス
第十六條 特別ノ事情ニ因リ定額ノ車馬賃ヲ以テ其ノ實費ヲ支辨シ難キ場合ニ於テハ實費額ヲ支給スルコトヲ得
第十七條 車馬賃ハ定額ノ異ル每ニ路程ヲ通計シテ之ヲ算出ス但シ路程ノ通計上一粁未滿ノ端數ヲ生ジタルトキハ之ヲ切捨ツ
第十八條 官用ノ船、車、航空機等ニ依リテ旅行スル場合ニ於テハ鐵道賃、船賃、航空賃又ハ車馬賃ハ之ヲ支給セズ
第三章 日當、宿泊料及食卓料
第十九條 日當、宿泊料及食卓料ハ別表ニ揭グル所ニ從ヒ定額ニ依リ之ヲ支給ス
第二十條 日當ハ日數ニ應ジ、宿泊料ハ夜數ニ應ジ之ヲ支給ス
水路旅行ニハ宿泊料ヲ支給セズ但シ天災其ノ他已ムヲ得ザル事由ニ因リ上陸宿泊ヲ要シタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
食卓料ハ水路旅行ニ於テ船賃ノ外別ニ食料ヲ要スル場合又ハ船賃ヲ要セザルモ食料ヲ要スル場合ニ於テ夜數ニ應ジ之ヲ支給ス
第二十一條 鐵道百粁未滿、水路五十粁未滿又ハ陸路二十五粁未滿ノ旅行ニ在リテハ公務ノ都合ニ依リ宿泊シタル場合ヲ除クノ外其ノ日當ハ定額ノ二分ノ一ニ相當スル額トス
鐵道、水路又ハ陸路ニ亙ル旅行ニ在リテハ鐵道ハ四粁、水路ハ二粁ヲ以テ陸路一粁ト看做シ前項ノ規定ヲ適用ス
第二十二條 在勤地內ノ出張ニシテ遠距離ニ涉リ又ハ長時間ニ及ブモノニ在リテハ定額ノ二分ノ一ニ相當スル額以內ノ日當ヲ支給スルコトヲ得
第二十三條 同一地ニ滯在スル場合ニ於ケル日當及宿泊料ハ其ノ地ニ到着シタル日ノ翌日ヨリ起算シ滯在日數十五日ヲ超ユル場合ニ於テハ其ノ超過日數ニ付定額ノ一割、三十日ヲ超ユル場合ニ於テハ其ノ超過日數ニ付定額ノ二割、六十日ヲ超ユル場合ニ於テハ其ノ超過日數ニ付定額ノ三割、百日ヲ超ユル場合ニ於テハ其ノ超過日數ニ付定額ノ四割ニ相當スル額ヲ減ズ
同一地ニ滯在中一時他ノ地ニ出張シタル場合ニ於ケル前項ノ期間ハ前後ノ日數ヲ通算シタルモノニ依ル
第四章 移轉料、着後手當及家族移轉料
第二十四條 移轉料及着後手當ハ赴任ヲ命ゼラレタル者ニ之ヲ支給ス
第二十五條 移轉料ノ額ハ左ノ各號ニ定ムル額ニ依ル
一 赴任ノ際家族(屆出ヲ爲サザルモ本人トノ間ニ事實上婚姻關係ト同樣ノ事情ニ在ル者ヲ含ム以下同ジ)ヲ隨伴スル者ニ在リテハ別表ニ揭グル額
二 赴任ノ際家族ヲ隨伴セザル者ニ在リテハ別表ニ揭グル額ノ二分ノ一ニ相當スル額
三 赴任ノ際家族ヲ隨伴セザル者ニシテ赴任ノ後家族ヲ呼寄スルモノニ在リテハ前號ノ規定ニ依リ受ケタル額ニ相當スル額
第二十八條ノ規定ニ依リ家族ヲ移轉スル者ノ移轉料ノ額ニ付テハ赴任ノ際家族ヲ隨伴シ又ハ赴任ノ後家族ヲ呼寄スルモノト看做シ前項ノ規定ヲ適用ス
第二十六條 着後手當ノ額ハ新任地ニ於ケル旅行ニ付定メラレタル日當ノ五日分及宿泊料ノ五夜分ニ相當スル額ニ依ル
第二十七條 家族移轉料ハ赴任ヲ命ゼラレタル者ニシテ赴任ノ際家族ヲ隨伴シ又ハ赴任ノ後家族ヲ呼寄スルモノニ之ヲ支給ス
第二十八條 赴任ヲ命ゼラレタル者特別ノ事情ニ因リ許可ヲ受ケ赴任ヲ命ゼラレタル日ノ翌日ヨリ起算シ六月以內ニ舊任地(新ニ任用セラレタル者ニ付テハ任用セラレタル當時ニ於ケル其ノ者ノ居住地トス以下第三十條及第三十一條ニ於テ同ジ)又ハ舊任地以外ノ嘗テ在勤シタル地ヨリ新任地以外ノ地ニ家族ヲ移轉スル場合ニ於テハ家族移轉料ヲ支給スルコトヲ得
第二十九條 家族移轉料ノ額ハ赴任ヲ命ゼラレタル當時ニ於ケル家族一人每ニ其ノ移轉ノ際ニ於ケル年齡ニ從ヒ左ノ各號ニ定ムル額ノ合計額ニ依ル
一 十二歲以上ノ者ニ在リテハ其ノ移轉ノ際ニ於ケル本人相當ノ鐵道賃、船賃、航空賃及車馬賃ノ全額竝ニ日當、宿泊料、食卓料及着後手當ノ三分ノ二ニ相當スル額
二 十二歲未滿六歲以上ノ者ニ在リテハ前號ノ額ノ二分ノ一ニ相當スル額
三 六歲未滿ノ者ニ在リテハ其ノ移轉ノ際ニ於ケル本人相當ノ日當、宿泊料、食卓料及着後手當ノ三分ノ一ニ相當スル額
赴任ヲ命ゼラレタル當時胎兒タリシ子出生シ赴任ノ後之ヲ呼寄セ又ハ前條ノ規定ニ依リ移轉スル場合ニ於ケル家族移轉料ノ額ニ付テハ其ノ子ヲ赴任ヲ命ゼラレタル當時ニ於ケル家族ト看做シ前項ノ規定ヲ適用ス
第三十條 赴任ノ後舊任地以外ノ地ヨリ家族ヲ呼寄スル場合又ハ第二十八條ノ規定ニ依リ家族ヲ移轉スル場合ニ於ケル家族移轉料ノ額ハ舊任地ヨリ新任地ニ家族ヲ呼寄スル場合ニ於テ支給スルコトヲ得ベキ額(二囘以上赴任アリタルトキハ各赴任ニ付家族ヲ隨伴スル場合ニ於テ支給スルコトヲ得ベキ額ノ合計額)ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三十一條 第二十八條ノ規定ニ依リ旣ニ家族移轉料ノ支給ヲ受ケタル者赴任ノ後新任地ニ家族ヲ呼寄スル場合ニ於ケル家族移轉料ノ額ハ旣給額ト合シ舊任地ヨリ新任地ニ家族ヲ呼寄スル場合ニ於テ支給スルコトヲ得ベキ額(二囘以上赴任アリタルトキハ各赴任ニ付家族ヲ隨伴スル場合ニ於テ支給スルコトヲ得ベキ額ノ合計額)ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三十二條 赴任ヲ命ゼラレタル者赴任ヲ命ゼラレタル日ノ翌日ヨリ起算シ一年以內ニ故ナクシテ其ノ家族ヲ新任地ニ呼寄セザル場合ニ於テハ第二十五條第一項第三號ノ規定ニ依ル移轉料及家族移轉料ハ之ヲ支給セズ
第五章 退官、退職者等旅費
第三十三條 旅行中退官、退職又ハ休職ト爲リタル者ニハ赴任ノ場合ニ在リテハ其ノ地ヨリ新任地ニ至ル前官又ハ本官相當ノ旅費(家族ヲ隨伴セザルトキハ第二十五條第一項第三號ノ規定ニ依ル移轉料及家族移轉料ヲ除ク)ヲ、出張ノ場合ニ在リテハ其ノ地ヨリ舊任地ニ至ル前官又ハ本官相當ノ旅費ヲ支給スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於ケル旅行日數ハ第四條ニ定ムル路程ノ割合ヲ以テ計算シタル日數ニ依ル
第三十四條 朝鮮、臺灣、樺太又ハ千島ニ在勤二年以上ニシテ退官、退職又ハ休職ト爲リタル者退官、退職又ハ休職ト爲リタル日ノ翌日ヨリ起算シ一月以內ニ舊任地ヲ出發シ歸鄕スル場合ニ於テハ歸鄕地ニ至ル前官又ハ本官相當ノ鐵道賃、船賃、車馬賃及食卓料ヲ支給スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ家族ヲ隨伴スルトキ又ハ家族ヲ歸鄕地ニ呼寄スル爲退官、退職若ハ休職ト爲リタル日ノ翌日ヨリ起算シ三月以內ニ舊任地若ハ居住地(朝鮮、臺灣、樺太又ハ千島ニ於ケル居住地ニ限ル)ヲ出發セシムルトキハ第二十九條ノ例ニ準ジ歸鄕地ニ至ル鐵道賃、船賃、車馬賃及食卓料ヲ支給スルコトヲ得
第三十五條 前二條ノ規定ハ刑事裁判又ハ懲戒處分ニ依リ失官シ又ハ免官セラレタル者ニハ之ヲ適用セズ
第三十六條 事務引繼、殘務整理等ノ爲退官、退職又ハ休職ト爲リタル者ニ出張ヲ命ジタル場合ニ於テハ前官又ハ本官相當ノ旅費ヲ支給ス
第三十七條 旅行中死亡シタルトキハ赴任ノ場合ニ在リテハ其ノ地ヨリ新任地ニ至ル前官相當ノ旅費ヲ、出張ノ場合ニ在リテハ其ノ地ヨリ舊任地ニ至ル前官相當ノ旅費ノ二倍ニ相當スル額ヲ其ノ遺族(屆出ヲ爲サザルモ本人トノ間ニ事實上婚姻關係ト同樣ノ事情ニ在リタル者ヲ含ム以下同ジ)ニ支給スルコトヲ得
第三十三條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三十八條 在職二年以上ノ者死亡シタル場合ニ於テ死亡ノ日ノ翌日ヨリ起算シ三月以內ニ其ノ遺族舊任地又ハ居住地ヲ出發シ歸鄕スルトキハ第二十九條ノ例ニ準ジ歸鄕地ニ至ル鐵道賃、船賃、車馬賃及食卓料ヲ支給スルコトヲ得
第六章 雜則
第三十九條 當分ノ內左ニ揭グル者ニハ支度料ヲ支給スルコトヲ得
一 得撫島以北ノ千島ニ旅行ヲ命ゼラレタル者
二 樺太ニ赴任ヲ命ゼラレタル者及十一月ヨリ翌年二月ニ至ル期間內ニ樺太ニ出張スル者
三 平安北道、咸鏡南道又ハ咸鏡北道ニ赴任ヲ命ゼラレタル者
前項ノ規定ニ依ル支度料ノ額ハ所管大臣大藏大臣ト協議シテ之ヲ定ム
第四十條 本令ニ規定スルモノヲ除クノ外旅費ノ支給ニ關シ必要ナル事項ハ大藏大臣之ヲ定ム
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
左ニ揭グル勅令ハ之ヲ廢止ス
諸調査會等ノ職員旅費支給規則
鐵道會議議長議員及臨時議員旅費規則
社會保險審査會職員旅費手當支給規則
本令施行前江原道又ハ平安南道ニ赴任ヲ命ゼラレタル者ニハ仍從前ノ例ニ依リ支度料ヲ支給スルコトヲ得
本令施行前赴任ヲ命ゼラレ舊任地(新ニ任用セラレタル者ニ付テハ任用セラレタル當時ニ於ケル其ノ者ノ居住地)ヲ出發シタル者本令施行後新任地ニ到着シタル場合ニ於ケル移轉料及着後手當ハ本令ニ依リ之ヲ支給ス本令施行前家族ガ其ノ居住地ヲ出發シ本令施行後本人ノ新任地ニ到着シタル場合ニ於ケル家族移轉料ニ付亦同ジ
(別表)
【表】
備考
一 甲地方トハ大藏大臣ノ定ムル地域、乙地方トハ其ノ他ノ地域ヲ謂フ
二 鐵道旅行中宿泊スル場合ニ於ケル宿泊料ハ乙地方ノ定額ニ依ル
朕内国旅費規則改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年八月二十七日
内閣総理大臣 東条英機
厚生大臣 小泉親彦
大蔵大臣 賀屋興宣
鉄道大臣 八田嘉明
内務大臣 安藤紀三郎
文部大臣 子爵 岡部長景
勅令第六百八十四号
内国旅費規則
第一章 総則
第一条 官吏其ノ他本令ニ定ムル者公務ニ依リ本邦内ヲ旅行スルトキハ本令ニ依リ旅費ヲ支給ス
第二条 旅費ハ鉄道賃、船賃、航空賃、車馬賃、日当、宿泊料、食卓料、移転料、着後手当及家族移転料ノ十種トス
第三条 旅費ハ順路ニ依リ之ヲ計算ス但シ公務ノ都合又ハ天災其ノ他已ムヲ得ザル事由ニ因リ順路ニ依リテ旅行シ難キ場合ニ於テハ其ノ現ニ経過シタル通路ニ依ル
第四条 旅行日数ハ公務ノ為要シタル日数ニ依ル但シ公務ノ為出張地ニ滞在シタル日数及途中天災其ノ他已ムヲ得ザル事由ニ因リ要シタル日数ヲ除クノ外鉄道旅行ニ在リテハ四百粁、水路旅行ニ在リテハ二百粁、陸路旅行ニ在リテハ五十粁ニ付一日ノ割合ヲ以テ通算シタル日数ヲ超過スルコトヲ得ズ
前項但書ノ場合ニ於テ一日未満ノ端数ヲ生ジタルトキハ之ヲ一日トス
第五条 鉄道旅行、水路旅行、航空旅行又ハ陸路旅行中ニ於ケル年度ノ経過、官階ノ変更等ニ因リ旅費ヲ区分シテ計算スルノ必要アル場合ニ於テハ最初ノ目的地ニ到着シタル日ヲ以テ其ノ路程ヲ区分シ計算ス
第六条 一日中旅費ノ定額ヲ異ニスル場合ニ於テハ多キニ従ヒ之ヲ支給ス
第七条 新ニ任用スル為召致セラレタル者ニハ官吏赴任ノ例ニ準ジ新官相当ノ旅費ヲ支給スルコトヲ得
第八条 私事ノ為在勤地又ハ出張地以外ノ地ニ居住又ハ滞在スル者其ノ居住地又ハ滞在地ヨリ直ニ旅行スル場合ニ於テ居住地又ハ滞在地ヨリ目的地ニ至ル旅費額ガ在勤地又ハ出張地ヨリ目的地ニ至ル旅費額ヨリ多キトキハ在勤地又ハ出張地ヨリ目的地ニ至ル旅費ヲ支給ス
第九条 所管大臣ハ旅費ノ定額ヲ減ジ又ハ旅費ノ全部若ハ一部ヲ支給セザルコトヲ得
第十条 所管大臣ハ測量、土木工事等ノ為現場ヲ巡廻スル官吏又ハ常時出張スルヲ要スル官吏ニ関シ特ニ其ノ旅費額ヲ定メ月額又ハ日額ヲ以テ之ヲ支給スルコトヲ得
第十一条 左ニ掲グル者ノ旅費ニ関シテハ所管大臣大蔵大臣ト協議シテ別ニ之ヲ定ム
一 武官、陸海軍文官、鉄道事務ニ従事スル官吏及警察官
二 官吏ノ待遇ヲ受クル者
三 嘱託員、雇員、傭人及職工
四 諸調査会(調査会、委員会、審議会其ノ他此等ニ準ズルモノヲ謂フ)ノ職員
五 前各号ニ掲グル者ヲ除クノ外国庫ニ於テ旅費ヲ支弁セントスル者
第十二条 特別ノ事情ニ因リ本令ニ依リ難キ場合ニ於ケル旅費ニ関シテハ所管大臣大蔵大臣ト協議シテ別ニ之ヲ定ムルコトヲ得
第十三条 本令中所管大臣ノ職務ハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮総督、台湾ニ在リテハ台湾総督、樺太ニ在リテハ樺太庁長官、関東州ニ在リテハ満洲国駐箚特命全権大使、南洋群島ニ在リテハ南洋庁長官之ヲ行フ但シ大蔵大臣ト協議ヲ要スル事項ニ関シテハ所管大臣ヲ経由スベシ
第二章 鉄道賃、船賃、航空賃及車馬賃
第十四条 鉄道旅行ニハ鉄道賃、水路旅行ニハ船賃、航空旅行ニハ航空賃、陸路旅行ニハ車馬賃ヲ支給ス
陸路旅行トハ陸上ノ旅行ニシテ鉄道ニ依ラザルモノヲ謂フ
第十五条 鉄道賃、船賃及航空賃ハ大蔵大臣ノ定ムル所ニ依リ、車馬賃ハ別表ニ掲グル所ニ従ヒ定額ニ依リ之ヲ支給ス
第十六条 特別ノ事情ニ因リ定額ノ車馬賃ヲ以テ其ノ実費ヲ支弁シ難キ場合ニ於テハ実費額ヲ支給スルコトヲ得
第十七条 車馬賃ハ定額ノ異ル毎ニ路程ヲ通計シテ之ヲ算出ス但シ路程ノ通計上一粁未満ノ端数ヲ生ジタルトキハ之ヲ切捨ツ
第十八条 官用ノ船、車、航空機等ニ依リテ旅行スル場合ニ於テハ鉄道賃、船賃、航空賃又ハ車馬賃ハ之ヲ支給セズ
第三章 日当、宿泊料及食卓料
第十九条 日当、宿泊料及食卓料ハ別表ニ掲グル所ニ従ヒ定額ニ依リ之ヲ支給ス
第二十条 日当ハ日数ニ応ジ、宿泊料ハ夜数ニ応ジ之ヲ支給ス
水路旅行ニハ宿泊料ヲ支給セズ但シ天災其ノ他已ムヲ得ザル事由ニ因リ上陸宿泊ヲ要シタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
食卓料ハ水路旅行ニ於テ船賃ノ外別ニ食料ヲ要スル場合又ハ船賃ヲ要セザルモ食料ヲ要スル場合ニ於テ夜数ニ応ジ之ヲ支給ス
第二十一条 鉄道百粁未満、水路五十粁未満又ハ陸路二十五粁未満ノ旅行ニ在リテハ公務ノ都合ニ依リ宿泊シタル場合ヲ除クノ外其ノ日当ハ定額ノ二分ノ一ニ相当スル額トス
鉄道、水路又ハ陸路ニ亘ル旅行ニ在リテハ鉄道ハ四粁、水路ハ二粁ヲ以テ陸路一粁ト看做シ前項ノ規定ヲ適用ス
第二十二条 在勤地内ノ出張ニシテ遠距離ニ渉リ又ハ長時間ニ及ブモノニ在リテハ定額ノ二分ノ一ニ相当スル額以内ノ日当ヲ支給スルコトヲ得
第二十三条 同一地ニ滞在スル場合ニ於ケル日当及宿泊料ハ其ノ地ニ到着シタル日ノ翌日ヨリ起算シ滞在日数十五日ヲ超ユル場合ニ於テハ其ノ超過日数ニ付定額ノ一割、三十日ヲ超ユル場合ニ於テハ其ノ超過日数ニ付定額ノ二割、六十日ヲ超ユル場合ニ於テハ其ノ超過日数ニ付定額ノ三割、百日ヲ超ユル場合ニ於テハ其ノ超過日数ニ付定額ノ四割ニ相当スル額ヲ減ズ
同一地ニ滞在中一時他ノ地ニ出張シタル場合ニ於ケル前項ノ期間ハ前後ノ日数ヲ通算シタルモノニ依ル
第四章 移転料、着後手当及家族移転料
第二十四条 移転料及着後手当ハ赴任ヲ命ゼラレタル者ニ之ヲ支給ス
第二十五条 移転料ノ額ハ左ノ各号ニ定ムル額ニ依ル
一 赴任ノ際家族(届出ヲ為サザルモ本人トノ間ニ事実上婚姻関係ト同様ノ事情ニ在ル者ヲ含ム以下同ジ)ヲ随伴スル者ニ在リテハ別表ニ掲グル額
二 赴任ノ際家族ヲ随伴セザル者ニ在リテハ別表ニ掲グル額ノ二分ノ一ニ相当スル額
三 赴任ノ際家族ヲ随伴セザル者ニシテ赴任ノ後家族ヲ呼寄スルモノニ在リテハ前号ノ規定ニ依リ受ケタル額ニ相当スル額
第二十八条ノ規定ニ依リ家族ヲ移転スル者ノ移転料ノ額ニ付テハ赴任ノ際家族ヲ随伴シ又ハ赴任ノ後家族ヲ呼寄スルモノト看做シ前項ノ規定ヲ適用ス
第二十六条 着後手当ノ額ハ新任地ニ於ケル旅行ニ付定メラレタル日当ノ五日分及宿泊料ノ五夜分ニ相当スル額ニ依ル
第二十七条 家族移転料ハ赴任ヲ命ゼラレタル者ニシテ赴任ノ際家族ヲ随伴シ又ハ赴任ノ後家族ヲ呼寄スルモノニ之ヲ支給ス
第二十八条 赴任ヲ命ゼラレタル者特別ノ事情ニ因リ許可ヲ受ケ赴任ヲ命ゼラレタル日ノ翌日ヨリ起算シ六月以内ニ旧任地(新ニ任用セラレタル者ニ付テハ任用セラレタル当時ニ於ケル其ノ者ノ居住地トス以下第三十条及第三十一条ニ於テ同ジ)又ハ旧任地以外ノ嘗テ在勤シタル地ヨリ新任地以外ノ地ニ家族ヲ移転スル場合ニ於テハ家族移転料ヲ支給スルコトヲ得
第二十九条 家族移転料ノ額ハ赴任ヲ命ゼラレタル当時ニ於ケル家族一人毎ニ其ノ移転ノ際ニ於ケル年齢ニ従ヒ左ノ各号ニ定ムル額ノ合計額ニ依ル
一 十二歳以上ノ者ニ在リテハ其ノ移転ノ際ニ於ケル本人相当ノ鉄道賃、船賃、航空賃及車馬賃ノ全額並ニ日当、宿泊料、食卓料及着後手当ノ三分ノ二ニ相当スル額
二 十二歳未満六歳以上ノ者ニ在リテハ前号ノ額ノ二分ノ一ニ相当スル額
三 六歳未満ノ者ニ在リテハ其ノ移転ノ際ニ於ケル本人相当ノ日当、宿泊料、食卓料及着後手当ノ三分ノ一ニ相当スル額
赴任ヲ命ゼラレタル当時胎児タリシ子出生シ赴任ノ後之ヲ呼寄セ又ハ前条ノ規定ニ依リ移転スル場合ニ於ケル家族移転料ノ額ニ付テハ其ノ子ヲ赴任ヲ命ゼラレタル当時ニ於ケル家族ト看做シ前項ノ規定ヲ適用ス
第三十条 赴任ノ後旧任地以外ノ地ヨリ家族ヲ呼寄スル場合又ハ第二十八条ノ規定ニ依リ家族ヲ移転スル場合ニ於ケル家族移転料ノ額ハ旧任地ヨリ新任地ニ家族ヲ呼寄スル場合ニ於テ支給スルコトヲ得ベキ額(二回以上赴任アリタルトキハ各赴任ニ付家族ヲ随伴スル場合ニ於テ支給スルコトヲ得ベキ額ノ合計額)ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三十一条 第二十八条ノ規定ニ依リ既ニ家族移転料ノ支給ヲ受ケタル者赴任ノ後新任地ニ家族ヲ呼寄スル場合ニ於ケル家族移転料ノ額ハ既給額ト合シ旧任地ヨリ新任地ニ家族ヲ呼寄スル場合ニ於テ支給スルコトヲ得ベキ額(二回以上赴任アリタルトキハ各赴任ニ付家族ヲ随伴スル場合ニ於テ支給スルコトヲ得ベキ額ノ合計額)ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三十二条 赴任ヲ命ゼラレタル者赴任ヲ命ゼラレタル日ノ翌日ヨリ起算シ一年以内ニ故ナクシテ其ノ家族ヲ新任地ニ呼寄セザル場合ニ於テハ第二十五条第一項第三号ノ規定ニ依ル移転料及家族移転料ハ之ヲ支給セズ
第五章 退官、退職者等旅費
第三十三条 旅行中退官、退職又ハ休職ト為リタル者ニハ赴任ノ場合ニ在リテハ其ノ地ヨリ新任地ニ至ル前官又ハ本官相当ノ旅費(家族ヲ随伴セザルトキハ第二十五条第一項第三号ノ規定ニ依ル移転料及家族移転料ヲ除ク)ヲ、出張ノ場合ニ在リテハ其ノ地ヨリ旧任地ニ至ル前官又ハ本官相当ノ旅費ヲ支給スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於ケル旅行日数ハ第四条ニ定ムル路程ノ割合ヲ以テ計算シタル日数ニ依ル
第三十四条 朝鮮、台湾、樺太又ハ千島ニ在勤二年以上ニシテ退官、退職又ハ休職ト為リタル者退官、退職又ハ休職ト為リタル日ノ翌日ヨリ起算シ一月以内ニ旧任地ヲ出発シ帰郷スル場合ニ於テハ帰郷地ニ至ル前官又ハ本官相当ノ鉄道賃、船賃、車馬賃及食卓料ヲ支給スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ家族ヲ随伴スルトキ又ハ家族ヲ帰郷地ニ呼寄スル為退官、退職若ハ休職ト為リタル日ノ翌日ヨリ起算シ三月以内ニ旧任地若ハ居住地(朝鮮、台湾、樺太又ハ千島ニ於ケル居住地ニ限ル)ヲ出発セシムルトキハ第二十九条ノ例ニ準ジ帰郷地ニ至ル鉄道賃、船賃、車馬賃及食卓料ヲ支給スルコトヲ得
第三十五条 前二条ノ規定ハ刑事裁判又ハ懲戒処分ニ依リ失官シ又ハ免官セラレタル者ニハ之ヲ適用セズ
第三十六条 事務引継、残務整理等ノ為退官、退職又ハ休職ト為リタル者ニ出張ヲ命ジタル場合ニ於テハ前官又ハ本官相当ノ旅費ヲ支給ス
第三十七条 旅行中死亡シタルトキハ赴任ノ場合ニ在リテハ其ノ地ヨリ新任地ニ至ル前官相当ノ旅費ヲ、出張ノ場合ニ在リテハ其ノ地ヨリ旧任地ニ至ル前官相当ノ旅費ノ二倍ニ相当スル額ヲ其ノ遺族(届出ヲ為サザルモ本人トノ間ニ事実上婚姻関係ト同様ノ事情ニ在リタル者ヲ含ム以下同ジ)ニ支給スルコトヲ得
第三十三条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三十八条 在職二年以上ノ者死亡シタル場合ニ於テ死亡ノ日ノ翌日ヨリ起算シ三月以内ニ其ノ遺族旧任地又ハ居住地ヲ出発シ帰郷スルトキハ第二十九条ノ例ニ準ジ帰郷地ニ至ル鉄道賃、船賃、車馬賃及食卓料ヲ支給スルコトヲ得
第六章 雑則
第三十九条 当分ノ内左ニ掲グル者ニハ支度料ヲ支給スルコトヲ得
一 得撫島以北ノ千島ニ旅行ヲ命ゼラレタル者
二 樺太ニ赴任ヲ命ゼラレタル者及十一月ヨリ翌年二月ニ至ル期間内ニ樺太ニ出張スル者
三 平安北道、咸鏡南道又ハ咸鏡北道ニ赴任ヲ命ゼラレタル者
前項ノ規定ニ依ル支度料ノ額ハ所管大臣大蔵大臣ト協議シテ之ヲ定ム
第四十条 本令ニ規定スルモノヲ除クノ外旅費ノ支給ニ関シ必要ナル事項ハ大蔵大臣之ヲ定ム
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
左ニ掲グル勅令ハ之ヲ廃止ス
諸調査会等ノ職員旅費支給規則
鉄道会議議長議員及臨時議員旅費規則
社会保険審査会職員旅費手当支給規則
本令施行前江原道又ハ平安南道ニ赴任ヲ命ゼラレタル者ニハ仍従前ノ例ニ依リ支度料ヲ支給スルコトヲ得
本令施行前赴任ヲ命ゼラレ旧任地(新ニ任用セラレタル者ニ付テハ任用セラレタル当時ニ於ケル其ノ者ノ居住地)ヲ出発シタル者本令施行後新任地ニ到着シタル場合ニ於ケル移転料及着後手当ハ本令ニ依リ之ヲ支給ス本令施行前家族ガ其ノ居住地ヲ出発シ本令施行後本人ノ新任地ニ到着シタル場合ニ於ケル家族移転料ニ付亦同ジ
(別表)
【表】
備考
一 甲地方トハ大蔵大臣ノ定ムル地域、乙地方トハ其ノ他ノ地域ヲ謂フ
二 鉄道旅行中宿泊スル場合ニ於ケル宿泊料ハ乙地方ノ定額ニ依ル