石油専売法
法令番号: 法律第五十號
公布年月日: 昭和18年3月12日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル石油專賣法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年三月十一日
內閣總理大臣 東條英機
大藏大臣 賀屋興宣
商工大臣 岸信介
內務大臣 湯澤三千男
法律第五十號
石油專賣法
第一條 政府ハ石油ノ專賣權ヲ有ス
第二條 本法ニ於テ石油トハ揮發油、燈油、輕油、機械油、重油、石油副製品及此等ノ類似品ニシテ勅令ヲ以テ定ムルモノヲ謂フ
第三條 石油ハ政府又ハ政府ノ命ヲ受ケタル者ニ在ザレバ之ヲ輸入シ若ハ移入シ又ハ輸出シ若ハ移出スルコトヲ得ズ
第四條 石油ノ製造ヲ爲サントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ニ屆出ヅベシ其ノ製造ヲ廢止セントスルトキ亦同ジ
第五條 前條ノ規定ニ依リ石油ノ製造ヲ爲ス旨ノ屆出ヲ爲シタル者(以下石油製造者ト稱ス)ノ製造シタル石油ハ政府之ヲ收納ス
第六條 政府ハ收納スル石油ノ規格ヲ定ムルコトヲ得
前項ノ規格ニ適合セザル石油ニ付テハ政府ハ適當ナル處理ヲ爲スベキ旨ヲ命ズルコトヲ得
第七條 政府ハ收納シタル石油ニ對シ賠償金ヲ交付ス
賠償價格ハ政府之ヲ定メ豫メ公示ス
第八條 石油製造者ハ其ノ製造シタル石油ヲ總テ政府ニ納付スベシ但シ命令ヲ以テ定ムル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
政府ハ納付ノ期日及場所ヲ定ムルコトヲ得
第九條 政府ハ其ノ賣渡ス石油ノ價格ヲ定メ之ヲ公示スベシ
第十條 輸出、移出其ノ他命令ヲ以テ定ムル用途ニ供スル場合ニ於テハ政府ハ前條ノ價格ニ拘ラズ特ニ定メタル價格ヲ以テ石油ノ賣渡ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ前條ノ價格ヨリ低キ價格ヲ以テ賣渡ス石油ニ付テハ政府ハ買受人ヲシテ其ノ買受價額ト同條ノ規定ニ依リ算出シタル金額トノ差額ノ全部又ハ一部ニ相當スル擔保ヲ提供セシムルコトヲ得
前項ノ擔保ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十一條 前條第一項ノ規定ニ依リ買受ケタル石油ハ之ヲ讓渡シ、質入シ又ハ其ノ用途ヲ變更スルコトヲ得ズ但シ政府ノ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第十二條 第十條第一項ノ規定ニ依リ第九條ノ價格ヨリ低キ價格ヲ以テ石油ヲ買受ケタル者之ヲ讓渡シ、質入シ又ハ其ノ用途ヲ變更シ若ハ正當ノ事由ナクシテ目的ノ用途ニ使用セザルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ハ買受人ヲシテ其ノ買受價額ト第九條ノ價格ニ依リ算出シタル金額トノ差額ニ相當スル金額ヲ納付セシム
買受人前項ノ金額ヲ納付セザル場合ニ於テ第十條第二項ノ規定ニ依リ提供シタル擔保アルトキハ之ヲ以テ納付セシムベキ金額ニ充ツ但シ金錢以外ノ擔保ハ之ヲ公賣ニ付シ公賣ノ費用及ヒ前項ノ金額ニ充テ不足アルトキハ之ヲ徵收シ殘金アルトキハ之ヲ還付ス
第十三條 石油ハ政府又ハ政府ノ指定シタル賣捌人(以下石油賣捌人ト稱ス)ニ非ザレバ之ヲ業トシテ賣渡スコトヲ得ズ
石油賣捌人及石油ノ賣渡ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十四條 石油賣捌人ハ政府ノ定ムル價格ヲ超エテ石油ヲ賣渡スコトヲ得ズ
第十五條 石油ハ政府ノ賣渡シタルモノニ非ザレバ之ヲ所有シ、所持シ、讓渡シ、質入シ又ハ消費スルコトヲ得ズ但シ石油製造者納付期日前若ハ正當ノ事由ニ因リ納付ノ遲延シタル場合ニ於テ所有若ハ所持シ又ハ第八條第一項但書ノ場合ニ於テ所有シ、所持シ若ハ消費スルハ此ノ限ニ在ラズ
第十六條 石油製造者、石油賣捌人及第十條第一項ノ規定ニ依リ石油ヲ買受ケタル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ石油ノ製造、納付、賣渡又ハ使用ニ關スル事實ヲ帳簿ニ記載スベシ
第十七條 當該官吏ハ石油製造者、石油賣捌人又ハ第十條第一項ノ規定ニ依リ石油ヲ買受ケタル者ニ對シテ質問ヲ爲シ又ハ左ニ揭グル物件ニ付檢査ヲ爲シ若ハ監督上必要ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一 石油製造者、石油賣捌人又ハ第十條第一項ノ規定ニ依リ石油ヲ買受ケタル者ノ所持スル石油
二 石油ノ製造、納付、賣渡又ハ使用ニ關スル一切ノ帳簿書類
三 石油ノ製造、賣渡又ハ使用上必要ナル建築物、機械、器具、容器、材料其ノ他ノ物件
第十八條 本法ニ依リ納付セシムベキ金額ノ徵收ニ關シテハ國稅徵收法ヲ準用ス
第十九條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ三年以下ノ懲役又ハ一萬圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第三條ノ規定ニ違反シ石油ノ輸入若ハ移入又ハ輸出若ハ移出ヲ爲シタル者
二 第八條又ハ第三十二條ノ規定ニ違反シ政府ニ納付スベキ石油ヲ讓渡シ、消費シ又ハ隱匿シタル者
三 第十一條ノ規定ニ違反シ石油ヲ讓渡シ、質入シ又ハ其ノ用途ヲ變更シタル者
第二十條 第十四條ノ規定ニ違反シ政府ノ定ムル價格ヲ超エテ石油ヲ賣渡シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十一條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ一年以下ノ懲役又ハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第十三條第一項ノ規定ニ違反シ石油ヲ賣渡シタル者
二 第十五條ノ規定ニ違反シ政府ノ賣渡サザル石油ヲ所有シ、所持シ、讓渡シ、質入シ又ハ消費シタル者
第二十二條 前三條ノ罪ヲ犯シタル者ニハ情狀ニ因リ懲役及罰金ヲ併科スルコトヲ得
第二十三條 第四條ノ規定ニ違反シ屆出ヲ爲サズシテ石油ノ製造ヲ爲シタル者ハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十四條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 正當ノ事由ナクシテ第六條第二項ノ規定ニ依リ政府ノ命令シタル處理ヲ爲サザル者
二 正當ノ事由ナクシテ政府ノ指定シタル納付期日ニ石油ヲ納付セザル者
三 第十六條ノ規定ニ依ル帳簿ノ記載ヲ爲サズ又ハ之ニ不正ノ記載ヲ爲シタル者
四 第十七條ノ規定ニ依ル當該官吏ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ、虛僞ノ陳述ヲ爲シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者
第二十五條 第十九條乃至第二十一條又ハ第二十三條ノ罪ヲ犯シタル者アルトキハ其ノ犯罪ニ係ル石油及其ノ容器ハ之ヲ沒收ス其ノ石油又ハ容器ヲ沒收スルコト能ハザルトキハ其ノ價額ヲ追徵ス
第二十六條 法人ノ代表者又ハ法人若ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ從業者其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ第十九條乃至第二十一條、第二十三條又ハ第二十四條第一號乃至第三號ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ行爲者ヲ罰スルノ外其ノ法人又ハ人ニ對シ各本條ノ罰金刑ヲ科ス
第二十七條 間接國稅犯則者處分法ハ第二十三條、第二十四條又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依ル犯罪ニ之ヲ準用ス
間接國稅犯則者處分法中收稅官吏及稅務署長ニ屬スル職務ヲ行フベキ官吏ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十八條 石油製造者石油ノ製造ヲ廢止スルモ製造場又ハ藏置場ニ石油ノ現存スル間ハ仍本法ヲ適用ス
附 則
第二十九條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十條 本法施行ノ際現ニ石油ノ製造ヲ爲ス者ハ本法施行後一月以內ニ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ニ屆出ヅベシ
前項ノ規定ニ依ル屆出ヲ爲シタル者ハ之ヲ石油製造者ト看做ス同項ニ揭グル者同項ノ規定ニ依ル屆出ヲ爲サザル場合ト雖モ同項ノ期間內ニ於テハ亦同ジ
第二十三條ノ規定ハ第一項ノ期間內同項ニ揭グル者ニ之ヲ適用セズ
第三十一條 本法施行ノ際現ニ業トシテ石油ノ賣渡ヲ爲ス者ニシテ本法施行後其ノ賣渡ヲ繼續セントスルモノハ本法施行ノ日ヨリ二月以內ニ石油賣捌人ノ指定ヲ受クベシ
前項ノ規定ニ依リ指定ヲ受ケタル者ハ之ヲ石油賣捌人ト看做ス同項ニ揭グル者同項ノ規定ニ依ル指定ヲ受ケザル場合ト雖モ同項ノ期間內ニ於テハ亦同ジ
第三十二條 石油製造者ガ本法施行ノ際現ニ所有スル石油ハ之ヲ政府ニ納付スベシ但シ命令ヲ以テ定ムル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第七條ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ政府ニ納付スル石油ニ之ヲ準用ス
第三十三條 石油製造者以外ノ者ガ本法施行ノ際現ニ所有スル石油ニ付テハ第十五條ノ規定ヲ適用セズ
前條第一項但書ノ場合ニ於テ所有シ、所持シ又ハ消費スル石油ニ付亦同ジ
第三十四條 揮發油及アルコール混用法ハ之ヲ廢止ス但シ本法施行前ニ爲シタル行爲ニ關スル罰則ノ適用ニ付テハ本法施行後ト雖モ仍其ノ效力ヲ有ス
第三十五條 揮發油稅法ハ之ヲ廢止ス但シ左ニ揭グル揮發油ニ付テハ仍同法ニ依ル
一 本法施行前ニ揮發油稅ヲ課シ又ハ課スベカリシモノ
二 揮發油稅法第七條ノ規定ニ依リ本法施行前ニ製造場又ハ保稅地域ヨリ引取リタルモノ
三 本法施行前ニ外國輸出又ハ朝鮮移出ノ目的ヲ以テ製造場又ハ保稅地域ヨリ引取リタルモノ
第三十六條 石油業法中左ノ通改正ス但シ本法施行前ニ爲シタル行爲ニ關スル罰則ノ適用ニ付テハ仍從前ノ規定ニ依ル
「石油輸入業」ヲ「原油輸入業」ニ、「石油輸入業者」ヲ「原油輸入業者」ニ改ム
第四條第一項中「石油ノ輸入」ヲ「原油ノ輸入」ニ、「精製ニ必要ナル石油」ヲ「精製ニ必要ナル原油」ニ改メ同條第二項ヲ削ル
第五條中「石油ヲ」ヲ「原油ヲ」ニ改ム
第六條中「所有スル石油」ヲ「所有スル原油」ニ改ム
第七條第一項中「石油ノ販賣價格」ヲ「原油ノ販賣價格」ニ改ム
第三十七條 人造石油製造事業法中左ノ通改正ス但シ本法施行前ニ爲シタル行爲ニ關スル罰則ノ適用ニ付テハ仍從前ノ規定ニ依ル
第九條 削除
第十六條第一項ヲ削ル
第十八條 削除
第二十二條 人造石油製造會社第十六條又ハ第十七條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタルトキハ其ノ取締役又ハ其ノ職務ヲ行フ監査役ヲ三千圓以下ノ罰金ニ處ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル石油専売法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年三月十一日
内閣総理大臣 東条英機
大蔵大臣 賀屋興宣
商工大臣 岸信介
内務大臣 湯沢三千男
法律第五十号
石油専売法
第一条 政府ハ石油ノ専売権ヲ有ス
第二条 本法ニ於テ石油トハ揮発油、灯油、軽油、機械油、重油、石油副製品及此等ノ類似品ニシテ勅令ヲ以テ定ムルモノヲ謂フ
第三条 石油ハ政府又ハ政府ノ命ヲ受ケタル者ニ在ザレバ之ヲ輸入シ若ハ移入シ又ハ輸出シ若ハ移出スルコトヲ得ズ
第四条 石油ノ製造ヲ為サントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ニ届出ヅベシ其ノ製造ヲ廃止セントスルトキ亦同ジ
第五条 前条ノ規定ニ依リ石油ノ製造ヲ為ス旨ノ届出ヲ為シタル者(以下石油製造者ト称ス)ノ製造シタル石油ハ政府之ヲ収納ス
第六条 政府ハ収納スル石油ノ規格ヲ定ムルコトヲ得
前項ノ規格ニ適合セザル石油ニ付テハ政府ハ適当ナル処理ヲ為スベキ旨ヲ命ズルコトヲ得
第七条 政府ハ収納シタル石油ニ対シ賠償金ヲ交付ス
賠償価格ハ政府之ヲ定メ予メ公示ス
第八条 石油製造者ハ其ノ製造シタル石油ヲ総テ政府ニ納付スベシ但シ命令ヲ以テ定ムル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
政府ハ納付ノ期日及場所ヲ定ムルコトヲ得
第九条 政府ハ其ノ売渡ス石油ノ価格ヲ定メ之ヲ公示スベシ
第十条 輸出、移出其ノ他命令ヲ以テ定ムル用途ニ供スル場合ニ於テハ政府ハ前条ノ価格ニ拘ラズ特ニ定メタル価格ヲ以テ石油ノ売渡ヲ為スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ前条ノ価格ヨリ低キ価格ヲ以テ売渡ス石油ニ付テハ政府ハ買受人ヲシテ其ノ買受価額ト同条ノ規定ニ依リ算出シタル金額トノ差額ノ全部又ハ一部ニ相当スル担保ヲ提供セシムルコトヲ得
前項ノ担保ニ関スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十一条 前条第一項ノ規定ニ依リ買受ケタル石油ハ之ヲ譲渡シ、質入シ又ハ其ノ用途ヲ変更スルコトヲ得ズ但シ政府ノ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第十二条 第十条第一項ノ規定ニ依リ第九条ノ価格ヨリ低キ価格ヲ以テ石油ヲ買受ケタル者之ヲ譲渡シ、質入シ又ハ其ノ用途ヲ変更シ若ハ正当ノ事由ナクシテ目的ノ用途ニ使用セザルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ハ買受人ヲシテ其ノ買受価額ト第九条ノ価格ニ依リ算出シタル金額トノ差額ニ相当スル金額ヲ納付セシム
買受人前項ノ金額ヲ納付セザル場合ニ於テ第十条第二項ノ規定ニ依リ提供シタル担保アルトキハ之ヲ以テ納付セシムベキ金額ニ充ツ但シ金銭以外ノ担保ハ之ヲ公売ニ付シ公売ノ費用及ヒ前項ノ金額ニ充テ不足アルトキハ之ヲ徴収シ残金アルトキハ之ヲ還付ス
第十三条 石油ハ政府又ハ政府ノ指定シタル売捌人(以下石油売捌人ト称ス)ニ非ザレバ之ヲ業トシテ売渡スコトヲ得ズ
石油売捌人及石油ノ売渡ニ関スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十四条 石油売捌人ハ政府ノ定ムル価格ヲ超エテ石油ヲ売渡スコトヲ得ズ
第十五条 石油ハ政府ノ売渡シタルモノニ非ザレバ之ヲ所有シ、所持シ、譲渡シ、質入シ又ハ消費スルコトヲ得ズ但シ石油製造者納付期日前若ハ正当ノ事由ニ因リ納付ノ遅延シタル場合ニ於テ所有若ハ所持シ又ハ第八条第一項但書ノ場合ニ於テ所有シ、所持シ若ハ消費スルハ此ノ限ニ在ラズ
第十六条 石油製造者、石油売捌人及第十条第一項ノ規定ニ依リ石油ヲ買受ケタル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ石油ノ製造、納付、売渡又ハ使用ニ関スル事実ヲ帳簿ニ記載スベシ
第十七条 当該官吏ハ石油製造者、石油売捌人又ハ第十条第一項ノ規定ニ依リ石油ヲ買受ケタル者ニ対シテ質問ヲ為シ又ハ左ニ掲グル物件ニ付検査ヲ為シ若ハ監督上必要ノ処分ヲ為スコトヲ得
一 石油製造者、石油売捌人又ハ第十条第一項ノ規定ニ依リ石油ヲ買受ケタル者ノ所持スル石油
二 石油ノ製造、納付、売渡又ハ使用ニ関スル一切ノ帳簿書類
三 石油ノ製造、売渡又ハ使用上必要ナル建築物、機械、器具、容器、材料其ノ他ノ物件
第十八条 本法ニ依リ納付セシムベキ金額ノ徴収ニ関シテハ国税徴収法ヲ準用ス
第十九条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ三年以下ノ懲役又ハ一万円以下ノ罰金ニ処ス
一 第三条ノ規定ニ違反シ石油ノ輸入若ハ移入又ハ輸出若ハ移出ヲ為シタル者
二 第八条又ハ第三十二条ノ規定ニ違反シ政府ニ納付スベキ石油ヲ譲渡シ、消費シ又ハ隠匿シタル者
三 第十一条ノ規定ニ違反シ石油ヲ譲渡シ、質入シ又ハ其ノ用途ヲ変更シタル者
第二十条 第十四条ノ規定ニ違反シ政府ノ定ムル価格ヲ超エテ石油ヲ売渡シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ五千円以下ノ罰金ニ処ス
第二十一条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ一年以下ノ懲役又ハ二千円以下ノ罰金ニ処ス
一 第十三条第一項ノ規定ニ違反シ石油ヲ売渡シタル者
二 第十五条ノ規定ニ違反シ政府ノ売渡サザル石油ヲ所有シ、所持シ、譲渡シ、質入シ又ハ消費シタル者
第二十二条 前三条ノ罪ヲ犯シタル者ニハ情状ニ因リ懲役及罰金ヲ併科スルコトヲ得
第二十三条 第四条ノ規定ニ違反シ届出ヲ為サズシテ石油ノ製造ヲ為シタル者ハ二千円以下ノ罰金ニ処ス
第二十四条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
一 正当ノ事由ナクシテ第六条第二項ノ規定ニ依リ政府ノ命令シタル処理ヲ為サザル者
二 正当ノ事由ナクシテ政府ノ指定シタル納付期日ニ石油ヲ納付セザル者
三 第十六条ノ規定ニ依ル帳簿ノ記載ヲ為サズ又ハ之ニ不正ノ記載ヲ為シタル者
四 第十七条ノ規定ニ依ル当該官吏ノ質問ニ対シ答弁ヲ為サズ、虚偽ノ陳述ヲ為シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者
第二十五条 第十九条乃至第二十一条又ハ第二十三条ノ罪ヲ犯シタル者アルトキハ其ノ犯罪ニ係ル石油及其ノ容器ハ之ヲ没収ス其ノ石油又ハ容器ヲ没収スルコト能ハザルトキハ其ノ価額ヲ追徴ス
第二十六条 法人ノ代表者又ハ法人若ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ従業者其ノ法人又ハ人ノ業務ニ関シ第十九条乃至第二十一条、第二十三条又ハ第二十四条第一号乃至第三号ノ違反行為ヲ為シタルトキハ行為者ヲ罰スルノ外其ノ法人又ハ人ニ対シ各本条ノ罰金刑ヲ科ス
第二十七条 間接国税犯則者処分法ハ第二十三条、第二十四条又ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ依ル犯罪ニ之ヲ準用ス
間接国税犯則者処分法中収税官吏及税務署長ニ属スル職務ヲ行フベキ官吏ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十八条 石油製造者石油ノ製造ヲ廃止スルモ製造場又ハ蔵置場ニ石油ノ現存スル間ハ仍本法ヲ適用ス
附 則
第二十九条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十条 本法施行ノ際現ニ石油ノ製造ヲ為ス者ハ本法施行後一月以内ニ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ニ届出ヅベシ
前項ノ規定ニ依ル届出ヲ為シタル者ハ之ヲ石油製造者ト看做ス同項ニ掲グル者同項ノ規定ニ依ル届出ヲ為サザル場合ト雖モ同項ノ期間内ニ於テハ亦同ジ
第二十三条ノ規定ハ第一項ノ期間内同項ニ掲グル者ニ之ヲ適用セズ
第三十一条 本法施行ノ際現ニ業トシテ石油ノ売渡ヲ為ス者ニシテ本法施行後其ノ売渡ヲ継続セントスルモノハ本法施行ノ日ヨリ二月以内ニ石油売捌人ノ指定ヲ受クベシ
前項ノ規定ニ依リ指定ヲ受ケタル者ハ之ヲ石油売捌人ト看做ス同項ニ掲グル者同項ノ規定ニ依ル指定ヲ受ケザル場合ト雖モ同項ノ期間内ニ於テハ亦同ジ
第三十二条 石油製造者ガ本法施行ノ際現ニ所有スル石油ハ之ヲ政府ニ納付スベシ但シ命令ヲ以テ定ムル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第七条ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ政府ニ納付スル石油ニ之ヲ準用ス
第三十三条 石油製造者以外ノ者ガ本法施行ノ際現ニ所有スル石油ニ付テハ第十五条ノ規定ヲ適用セズ
前条第一項但書ノ場合ニ於テ所有シ、所持シ又ハ消費スル石油ニ付亦同ジ
第三十四条 揮発油及アルコール混用法ハ之ヲ廃止ス但シ本法施行前ニ為シタル行為ニ関スル罰則ノ適用ニ付テハ本法施行後ト雖モ仍其ノ効力ヲ有ス
第三十五条 揮発油税法ハ之ヲ廃止ス但シ左ニ掲グル揮発油ニ付テハ仍同法ニ依ル
一 本法施行前ニ揮発油税ヲ課シ又ハ課スベカリシモノ
二 揮発油税法第七条ノ規定ニ依リ本法施行前ニ製造場又ハ保税地域ヨリ引取リタルモノ
三 本法施行前ニ外国輸出又ハ朝鮮移出ノ目的ヲ以テ製造場又ハ保税地域ヨリ引取リタルモノ
第三十六条 石油業法中左ノ通改正ス但シ本法施行前ニ為シタル行為ニ関スル罰則ノ適用ニ付テハ仍従前ノ規定ニ依ル
「石油輸入業」ヲ「原油輸入業」ニ、「石油輸入業者」ヲ「原油輸入業者」ニ改ム
第四条第一項中「石油ノ輸入」ヲ「原油ノ輸入」ニ、「精製ニ必要ナル石油」ヲ「精製ニ必要ナル原油」ニ改メ同条第二項ヲ削ル
第五条中「石油ヲ」ヲ「原油ヲ」ニ改ム
第六条中「所有スル石油」ヲ「所有スル原油」ニ改ム
第七条第一項中「石油ノ販売価格」ヲ「原油ノ販売価格」ニ改ム
第三十七条 人造石油製造事業法中左ノ通改正ス但シ本法施行前ニ為シタル行為ニ関スル罰則ノ適用ニ付テハ仍従前ノ規定ニ依ル
第九条 削除
第十六条第一項ヲ削ル
第十八条 削除
第二十二条 人造石油製造会社第十六条又ハ第十七条ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタルトキハ其ノ取締役又ハ其ノ職務ヲ行フ監査役ヲ三千円以下ノ罰金ニ処ス