揮発油及アルコール混用法
法令番号: 法律第三十九號
公布年月日: 昭和12年4月1日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル揮發油及アルコール混用法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年三月三十一日
內閣總理大臣 林銑十郞
商工大臣 伍堂卓雄
法律第三十九號
揮發油及アルコール混用法
第一條 揮發油ノ製造、輸入又ハ移入ヲ業トスル者其ノ工場若ハ貯油所ヨリ揮發油ヲ搬出セントスルトキ又ハ其ノ工場若ハ貯油所ニ於テ揮發油ヲ使用シ若ハ之ヲ他ノ者ニ引渡サントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ揮發油ニアルコールヲ混入スベシ但シ勅令ニ別段ノ規定アルトキハ此ノ限ニ在ラズ
政府ハ前項ノ規定ニ依リ揮發油ニアルコールヲ混入スベキ割合ヲ定メ之ヲ吿示ス
第二條 揮發油ノ製造、輸入又ハ移入ヲ業トスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リアルコール混入計畫ヲ定メ政府ノ認可ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
政府必要アリト認ムルトキハアルコール混入計畫ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第三條 政府ハ揮發油ノ製造、輸入又ハ移入ヲ業トスル者ニ對シアルコール混入計畫ノ實施ノ狀況ニ關シ報吿ヲ爲サシメ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第四條 本法ニ依リアルコールヲ混入シタル揮發油ヨリアルコールヲ分離スルコトヲ得ズ
第五條 揮發油ノ製造、輸入又ハ移入ヲ業トスル者第一條第一項但書ノ規定ニ依リアルコールヲ混入セズシテ揮發油ヲ搬出シ又ハ引渡サントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ揮發油ニ付アルコールヲ混入セザル揮發油ナルコトヲ識別シ得ベキ標章ヲ附スベシ
前項ノ規定ニ依リ附シタル標章ハ正當ノ理由ナクシテ之ヲ抹消シ、除却シ又ハ隱蔽スルコトヲ得ズ
第一項ノ規定ニ依リ標章ヲ附シタル揮發油ハ之ヲ命令ヲ以テ定ムル用途以外ノ用ニ供シ又ハ供スル目的ヲ以テ讓受ケ若ハ供スルモノナルコトヲ知リテ讓渡スコトヲ得ズ
第六條 政府ハ揮發油ノ製造、輸入若ハ移入ヲ業トスル者又ハ業務上揮發油ノ使用、販賣其ノ他ノ取扱ヲ爲ス者ニ對シ第一條第一項但書ノ規定ニ依リアルコールヲ混入セザル揮發油ノ搬出、引渡、使用、販賣其ノ他ノ取扱ニ關シ取締上必要ナル命令ヲ發スルコトヲ得
第七條 行政官廳取締上必要アリト認ムルトキハ當該官吏ヲシテ揮發油ノ製造、輸入若ハ移入ヲ業トスル者又ハ業務上揮發油ノ使用、販賣其ノ他ノ取扱ヲ爲ス者ノ事務所、營業所、工場、貯油所其ノ他ノ場所ニ臨檢シ業務ノ狀況又ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第八條 揮發油ノ製造、輸入又ハ移入ヲ業トスル者第一條ノ規定ニ違反シアルコールヲ混入セズシテ揮發油ヲ搬出シ、使用シ又ハ引渡シタルトキハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス
第九條 揮發油ノ製造、輸入又ハ移入ヲ業トスル者左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第二條第一項ノ規定ニ違反シ認可ヲ受ケザルアルコール混入計畫ヲ實施シタルトキ
二 第二條第二項ノ規定ニ依ル命令ニ違反シアルコール混入計畫ヲ變更セズシテ之ヲ實施シタルトキ
三 第五條第一項ノ規定ニ違反シ標章ヲ附セズシテアルコールヲ混入セザル揮發油ヲ搬出シ又ハ引渡シタルトキ
第十條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第四條ノ規定ニ違反シタル者
二 第五條第二項又ハ第三項ノ規定ニ違反シタル者
第十一條 揮發油ノ製造、輸入若ハ移入ヲ業トスル者又ハ業務上揮發油ノ使用、販賣其ノ他ノ取扱ヲ爲ス者第六條ノ命令ニ違反シタルトキハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第十二條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第三條ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シ又ハ監督上必要ナル命令若ハ處分ニ違反シタル者
二 第七條ノ規定ニ依ル當該官吏ノ臨檢檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ其ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シタル者
第十三條 揮發油ノ製造、輸入若ハ移入ヲ業トスル者又ハ業務上揮發油ノ使用、販賣其ノ他ノ取扱ヲ爲ス者ハ其ノ代理人、戶主、家族、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第十四條 本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依リ適用スベキ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
揮發油ノ製造、輸入又ハ移入ヲ業トスル者ハ本法施行ノ日ヨリ命令ヲ以テ定ムル期間ヲ限リ第一條ノ規定ニ拘ラズ揮發油ニアルコールヲ混入セザルコトヲ得
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル揮発油及アルコール混用法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年三月三十一日
内閣総理大臣 林銑十郎
商工大臣 伍堂卓雄
法律第三十九号
揮発油及アルコール混用法
第一条 揮発油ノ製造、輸入又ハ移入ヲ業トスル者其ノ工場若ハ貯油所ヨリ揮発油ヲ搬出セントスルトキ又ハ其ノ工場若ハ貯油所ニ於テ揮発油ヲ使用シ若ハ之ヲ他ノ者ニ引渡サントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ揮発油ニアルコールヲ混入スベシ但シ勅令ニ別段ノ規定アルトキハ此ノ限ニ在ラズ
政府ハ前項ノ規定ニ依リ揮発油ニアルコールヲ混入スベキ割合ヲ定メ之ヲ告示ス
第二条 揮発油ノ製造、輸入又ハ移入ヲ業トスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リアルコール混入計画ヲ定メ政府ノ認可ヲ受クベシ之ヲ変更セントスルトキ亦同ジ
政府必要アリト認ムルトキハアルコール混入計画ノ変更ヲ命ズルコトヲ得
第三条 政府ハ揮発油ノ製造、輸入又ハ移入ヲ業トスル者ニ対シアルコール混入計画ノ実施ノ状況ニ関シ報告ヲ為サシメ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得
第四条 本法ニ依リアルコールヲ混入シタル揮発油ヨリアルコールヲ分離スルコトヲ得ズ
第五条 揮発油ノ製造、輸入又ハ移入ヲ業トスル者第一条第一項但書ノ規定ニ依リアルコールヲ混入セズシテ揮発油ヲ搬出シ又ハ引渡サントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ揮発油ニ付アルコールヲ混入セザル揮発油ナルコトヲ識別シ得ベキ標章ヲ附スベシ
前項ノ規定ニ依リ附シタル標章ハ正当ノ理由ナクシテ之ヲ抹消シ、除却シ又ハ隠蔽スルコトヲ得ズ
第一項ノ規定ニ依リ標章ヲ附シタル揮発油ハ之ヲ命令ヲ以テ定ムル用途以外ノ用ニ供シ又ハ供スル目的ヲ以テ譲受ケ若ハ供スルモノナルコトヲ知リテ譲渡スコトヲ得ズ
第六条 政府ハ揮発油ノ製造、輸入若ハ移入ヲ業トスル者又ハ業務上揮発油ノ使用、販売其ノ他ノ取扱ヲ為ス者ニ対シ第一条第一項但書ノ規定ニ依リアルコールヲ混入セザル揮発油ノ搬出、引渡、使用、販売其ノ他ノ取扱ニ関シ取締上必要ナル命令ヲ発スルコトヲ得
第七条 行政官庁取締上必要アリト認ムルトキハ当該官吏ヲシテ揮発油ノ製造、輸入若ハ移入ヲ業トスル者又ハ業務上揮発油ノ使用、販売其ノ他ノ取扱ヲ為ス者ノ事務所、営業所、工場、貯油所其ノ他ノ場所ニ臨検シ業務ノ状況又ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ
第八条 揮発油ノ製造、輸入又ハ移入ヲ業トスル者第一条ノ規定ニ違反シアルコールヲ混入セズシテ揮発油ヲ搬出シ、使用シ又ハ引渡シタルトキハ三千円以下ノ罰金ニ処ス
第九条 揮発油ノ製造、輸入又ハ移入ヲ業トスル者左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ千円以下ノ罰金ニ処ス
一 第二条第一項ノ規定ニ違反シ認可ヲ受ケザルアルコール混入計画ヲ実施シタルトキ
二 第二条第二項ノ規定ニ依ル命令ニ違反シアルコール混入計画ヲ変更セズシテ之ヲ実施シタルトキ
三 第五条第一項ノ規定ニ違反シ標章ヲ附セズシテアルコールヲ混入セザル揮発油ヲ搬出シ又ハ引渡シタルトキ
第十条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
一 第四条ノ規定ニ違反シタル者
二 第五条第二項又ハ第三項ノ規定ニ違反シタル者
第十一条 揮発油ノ製造、輸入若ハ移入ヲ業トスル者又ハ業務上揮発油ノ使用、販売其ノ他ノ取扱ヲ為ス者第六条ノ命令ニ違反シタルトキハ千円以下ノ罰金ニ処ス
第十二条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
一 第三条ノ規定ニ依ル報告ヲ為サズ若ハ虚偽ノ報告ヲ為シ又ハ監督上必要ナル命令若ハ処分ニ違反シタル者
二 第七条ノ規定ニ依ル当該官吏ノ臨検検査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ其ノ質問ニ対シ答弁ヲ為サズ若ハ虚偽ノ陳述ヲ為シタル者
第十三条 揮発油ノ製造、輸入若ハ移入ヲ業トスル者又ハ業務上揮発油ノ使用、販売其ノ他ノ取扱ヲ為ス者ハ其ノ代理人、戸主、家族、雇人其ノ他ノ従業者ガ其ノ業務ニ関シ本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第十四条 本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ依リ適用スベキ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
揮発油ノ製造、輸入又ハ移入ヲ業トスル者ハ本法施行ノ日ヨリ命令ヲ以テ定ムル期間ヲ限リ第一条ノ規定ニ拘ラズ揮発油ニアルコールヲ混入セザルコトヲ得