第一條 揮發油ニハ本法ニ依リ揮發油稅ヲ課ス但シ石炭、亞炭、油母頁岩又ハ天然瓦斯ヲ原料トシテ製造シタル揮發油ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第二條 本法ニ於テ揮發油トハ攝氏十五度ニ於ケル比重〇・八〇一七ヲ超エザル礦油ヲ謂フ
第三條 揮發油稅ノ稅率ハ一キロリットルニ付十三圓二十錢トス
第四條 揮發油ヲ製造セントスル者ハ製造場一個所每ニ政府ニ申告スベシ其ノ製造ヲ廢止セントスルトキ亦同ジ
第五條 揮發油ノ販賣業ヲ營マントスル者ハ販賣場一個所每ニ政府ニ申告スベシ其ノ販賣業ヲ廢止セントスルトキ亦同ジ
第六條 揮發油稅ハ製造場又ハ保稅地域ヨリ揮發油ヲ引取ルトキ引取人ヨリ之ヲ徵收ス但シ命令ノ定ムル所ニ依リ揮發油稅額ニ相當スル擔保ヲ提供シタルトキハ二月內其ノ徵收ヲ猶豫スルコトヲ得
前項但書ノ規定ニ依リ擔保ヲ提供シタル者期限內ニ稅金ヲ納付セザルトキハ擔保ヲ以テ之ニ充ツ但シ金錢以外ノ擔保ハ之ヲ公賣ニ付シ稅金及公賣ノ費用ニ充テ不足金アルトキハ之ヲ追徵シ殘金アルトキハ之ヲ還付ス
第七條 政府ノ承認ヲ受ケ他ノ製造場又ハ藏置場ニ移入スル目的ヲ以テ製造場又ハ保稅地域ヨリ引取ル揮發油ニ付テハ前條ノ規定ヲ適用セズ
前項ノ場合ニ於テハ引取先ヲ以テ製造場ト看做シ引取人ヲ以テ製造者ト看做ス
第一項ノ揮發油ニシテ政府ノ指定シタル期間內ニ引取先ニ移入セラレザルモノニ付テハ引取人ヨリ直ニ其ノ揮發油稅ヲ徵收ス但シ災害其ノ他已ムコトヲ得ザル事由ニ因リ亡失シタルモノニ付政府ノ承認ヲ受ケタルトキハ揮發油稅ヲ免除ス
第八條 政府ノ承認ヲ受ケ輸出ノ目的ヲ以テ製造場ヨリ引取ル揮發油ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ揮發油稅ヲ免除ス
前項ノ揮發油ニシテ引取後六月內ニ輸出セラレタルコトノ證明ナキモノニ付テハ引取人ヨリ直ニ其ノ揮發油稅ヲ徵收ス但シ災害其ノ他已ムコトヲ得ザル事由ニ因リ亡失シタルモノニ付政府ノ承認ヲ受ケタルトキハ揮發油稅ヲ免除ス
第九條 前條第一項ノ揮發油ハ之ヲ本法施行地ニ於テ消費シ又ハ本法施行地ニ於テ消費スル目的ヲ以テ讓渡スコトヲ得ズ但シ政府ノ承認ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ承認ヲ受ケタル揮發油ニ付テハ直ニ其ノ揮發油稅ヲ徵收ス
第十條 政府ハ第七條第一項又ハ第八條第一項ノ揮發油ニ付必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ引取人ヲシテ其ノ揮發油稅額ニ相當スル擔保ヲ提供セシムルコトヲ得
第十一條 揮發油稅ヲ納付シ又ハ其ノ徵收ノ猶豫ヲ受ケ製造場ヨリ引取リタル揮發油ヲ同一製造場ニ戾入シタル場合ニ於テ豫メ政府ノ承認ヲ受ケタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ揮發油ヲ製造場ヨリ引取ルモ更ニ揮發油稅ノ徵收ヲ爲サズ
第十二條 揮發油ハ第六條第一項但書、第七條第一項、第八條第一項又ハ前條ノ場合ヲ除クノ外揮發油稅納付前之ヲ製造場又ハ保稅地域ヨリ引取ルコトヲ得ズ
第十三條 揮發油ハ第六條第一項但書ノ場合ヲ除クノ外揮發油稅納付前之ヲ消費スルコトヲ得ズ
第十四條 第六條第一項但書ノ場合ヲ除クノ外揮發油稅納付前ニ於テ揮發油ニ礦油以外ノ物ヲ混和シタルトキハ第二條ノ規定ニ拘ラズ其ノ混和ニ因リ製成シタル物ヲ以テ揮發油ト看做ス
前項ノ場合ニ於テ政府ノ指定スル物ヲ混和シタルトキハ其ノ混和ニ因リ增量シタル分ニ對スル揮發油稅ヲ免除ス
第十五條 揮發油稅ヲ納付シ又ハ其ノ徵收ノ猶豫ヲ受ケタル揮發油ニハ揮發油以外ノ礦油ヲ混和スルコトヲ得ズ但シ混和ニ依リ攝氏十五度ニ於ケル比重〇・八〇一七ヲ超ユル礦油ヲ製成スルハ此ノ限ニ在ラズ
第十六條 揮發油ノ製造者又ハ販賣業者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ揮發油ノ製造、貯藏又ハ販賣ニ關スル事實ヲ帳簿ニ記載スベシ
第十七條 收稅官吏ハ揮發油ノ製造者若ハ販賣業者ニ對シテ質問ヲ爲シ又ハ左ニ揭グル物件ニ付檢査ヲ爲シ若ハ監督上必要ノ處分ヲ爲スコトヲ得
二 揮發油ノ製造、貯藏又ハ販賣ニ關スル一切ノ帳簿書類
三 揮發油ノ製造、貯藏又ハ販賣上必要ナル建設物、機械、器具、容器、原料其ノ他ノ物件
第十八條 前二條ノ規定ハ揮發油以外ノ礦油ノ製造者又ハ販賣業者ニ付之ヲ準用ス
第十九條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ揮發油稅五倍ニ相當スル罰金ニ處シ直ニ其ノ揮發油稅ヲ徵收ス但シ罰金額ガ二十圓ニ滿タザルトキハ之ヲ二十圓トス
一 政府ニ申吿セズシテ第一條但書以外ノ揮發油ヲ製造シタル者
二 第九條第一項ノ規定ニ違反シ揮發油ヲ消費シ又ハ消費ノ目的ヲ以テ讓渡シタル者
五 第十五條ノ規定ニ違反シ揮發油ニ揮發油以外ノ礦油ヲ混和シタル者
六 前各號ノ外詐僞其ノ他不正ノ行爲ヲ以テ揮發油稅ヲ逋脫シ又ハ逋脫セントシタル者
前項第五號ニ該當スル者ニ付テハ其ノ揮發油稅額ハ混和ニ因リ製成セラレタル物ノ數量ニ依リ之ヲ計算ス
第二十條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一 第十六條ノ規定ニ依ル帳簿ノ記載ヲ怠リ若ハ詐リ又ハ帳簿ヲ隱匿シタル者
二 政府ニ申吿セズシテ第一條但書ノ揮發油ヲ製造シタル者
三 第十七條ノ規定ニ依ル收稅官吏ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者
第二十一條 第十九條ノ罪ヲ犯シタル者ニハ刑法第三十八條第三項但書、第三十九條第二項、第四十條、第四十一條、第四十八條第二項、第六十三條及第六十六條ノ規定ヲ適用セズ
第二十二條 揮發油ノ製造者又ハ販賣業者ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ本法ヲ犯シタルトキハ其ノ製造者又ハ販賣業者ヲ處罰ス
第二十三條 本法ニ於テ保稅地域ト稱スルハ關稅法ノ定ムル所ニ依ル