労働者年金保険法施行令
法令番号: 勅令第千二百五十號
公布年月日: 昭和16年12月29日
法令の形式: 勅令
朕勞働者年金保險法施行令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年十二月二十七日
內閣總理大臣 東條英機
厚生大臣 小泉親彥
大藏大臣 賀屋興宣
勅令第千二百五十號
勞働者年金保險法施行令
第一章 總則
第一條 勞働者年金保險法第三條第一項ノ賃金又ハ給料ニ準ズベキモノノ範圍ハ常時又ハ定期ニ受クル給與其ノ他ノ利益トス但シ左ニ揭グルモノヲ除ク
一 三月ヲ超ユル期間每ニ支給スル賞與又ハ手當
二 通勤手當
三 住居ニ關スル利益又ハ住宅料ニシテ賃金又ハ給料ノ額ノ決定ニ影響ナキモノ
四 其ノ他厚生大臣ノ指定スルモノ
第二條 賃金又ハ給料ニ準ズベキモノノ全部又ハ一部ガ金錢以外ノ給與其ノ他ノ利益ナル場合ニ於テハ其ノ價額ハ健康保險法施行令第二條ノ規定ニ依リ地方長官(東京府ニ在リテハ警視總監以下同ジ)ノ定ムル標準價格ニ依リ之ヲ算定ス但シ健康保險ノ被保險者タル被保險者ニ關シテハ同令同條ノ規定ニ依リ算定セラレタル價額ニ依ル
第三條 勞働者年金保險法第四條第一項ノ標準報酬ハ被保險者ノ報酬月額ニ基キ左ノ區別ニ依リ之ヲ定ム
【表】
第四條 標準報酬ハ被保險者ノ資格ヲ取得シタル日ノ現在ニ依リ之ヲ定ム
被保險者ノ報酬ガ其ノ增減アリタルニ因リ從前ノ報酬月額ニ基キ定メラレタル標準報酬ニ該當セザルニ至リタル場合ニ於テハ其ノ報酬ニ增減アリタル月ノ翌月(報酬ニ增減アリタル日ガ月ノ初日ナルトキハ其ノ月)ヨリ其ノ標準報酬ヲ變更ス
勞働者年金保險法第二十二條ノ規定ニ依ル被保險者(以下任意繼續被保險者ト稱ス)ノ標準報酬ニ付テハ引續キ從前ノモノニ依ル但シ其ノ者ノ申請ニ依リ標準報酬ヲ減額スルコトヲ得
第二項ノ規定ハ前項但書ノ規定ニ依リ標準報酬ヲ減額スル場合ニ之ヲ準用ス
第五條 第三條ニ規定スル被保險者ノ報酬月額ハ左ノ各號ノ規定ニ依リ之ヲ算定ス
一 年ニ依リ報酬ヲ定ムル場合ニ於テハ被保險者ノ資格ヲ取得シタル日又ハ報酬ニ增減アリタル日ノ現在ニ於ケル年額ノ十二分ノ一
二 月ニ依リ報酬ヲ定ムル場合ニ於テハ被保險者ノ資格ヲ取得シタル日又ハ報酬ニ增減アリタル日ノ現在ニ於ケル月額
三 日、時間、稼高又ハ請負ニ依リ報酬ヲ定ムル場合ニ於テハ被保險者ノ資格ヲ取得シタル日又ハ報酬ニ增減アリタル日前一月間ニ現ニ使用セラルル事業ニ於テ同樣ノ作業ニ從事シ同樣ノ報酬ヲ受クル者ガ受ケタル報酬ノ額
四 前三號ノ規定ニ依リ算定シ難キモノニ付テハ被保險者ノ資格ヲ取得シタル日又ハ報酬ニ增減アリタル日前一月間ニ其ノ地方ニ於テ同樣ノ作業ニ從事シ同樣ノ報酬ヲ受クル者ガ受ケタル報酬ノ額
五 前各號ノ二以上ニ該當スル報酬ヲ受クル場合ニ於テハ其ノ各ニ付前各號ノ規定ニ依リ算定シタル額ノ合算額
六 同時ニ二以上ノ業務ニ於テ報酬ヲ受クル場合ニ於テハ各業務ニ付前各號ノ規定ニ依リ算定シタル額ノ合算額
被保險者ノ報酬月額ガ前項ノ規定ニ依リ算定シ難キトキ又ハ前項ノ規定ニ依リテ算定シタル額ガ著シク不當ナルトキハ前項ノ規定ニ拘ラズ地方長官ニ於テ適當ノ方法ニ依リ之ヲ算定ス
第六條 前三條ノ規定ニ拘ラズ健康保險ノ被保險者タル被保險者ノ標準報酬ハ健康保險法ニ基キ其ノ者ニ付定メタル標準報酬ノ等級ニ相當スル第三條ニ揭グル標準報酬ノ等級ニ該當スル標準報酬ヲ以テ其ノ標準報酬トス
第七條 勞働者年金保險法第十一條第一項ノ規定ニ依リ保險料納付ノ督促ヲ爲サントスルトキハ地方長官ハ納付義務者ニ對シ督促狀ヲ發スベシ
督促狀ヲ發シタルトキハ督促手數料トシテ二十錢ヲ徵收ス
第八條 前條ノ規定ニ依リ督促ヲ爲シタル場合ニ於テハ徵收金額百圓ニ付一日三錢ノ割合ヲ以テ納期限ノ翌日ヨリ徵收金完納又ハ財產差押ノ日ノ前日迄ノ日數ニ依リ計算シタル延滯金ヲ徵收ス但シ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合又ハ滯納ニ付酌量スベキ情狀アリト認ムル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
一 納入ノ吿知書一通ノ徵收金額五圓未滿ナルトキ
二 納期ヲ繰上ゲ徵收ヲ爲ストキ
三 納付義務者ノ住所及居所ガ帝國內ニ在ラザル爲又ハ其ノ住所及居所共ニ不明ナル爲公示送達ノ方法ニ依リ納入ノ吿知又ハ督促ヲ爲シタルトキ
督促狀ニ指定シタル期限迄ニ徵收金及督促手數料ヲ完納シタルトキハ延滯金ヲ徵收セズ
第九條 政府ノ事業ニ使用セラルル者ガ勅令ニ依リ組織セラレタル共濟組合ノ組合員ナル場合ニ於テハ其ノ者ハ勞働者年金保險ノ被保險者タラザルモノトス
第二章 被保險者
第十條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ勞働者年金保險法第十六條第六號又ハ第十七條第二項ノ規定ニ依リ被保險者タラザルモノトス但シ第一號(イ)ニ該當スル者所定ノ期間ヲ超エテ引續キ使用セラルルニ至リタルトキ又ハ同號(ロ)若ハ(ハ)ニ該當スル者六月ヲ超エテ引續キ使用セラルルニ至リタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 臨時ニ使用セラルル者ニシテ左ニ揭グルモノ
(イ) 六月以內ノ期間ヲ定メテ使用セラルル者
(ロ) 使用期間ノ定ナク勞務供給契約ニ基キ又ハ試ニ使用セラルル者
(ハ) 日々雇入レラルル者
二 勞働者年金保險法第十六條ノ規定ニ依ル被保險者(以下强制被保險者ト稱ス)又ハ第十七條ノ規定ニ依ル被保險者(以下任意被保險者ト稱ス)ノ資格ヲ取得シタルコトナクシテ五十歲ヲ超エ同法第十六條ノ工場、事業場又ハ事業ニ使用セラルル者ニシテ命令ノ定ムル所ニ依リ被保險者タラザラントスル申請ヲ爲スモノ
三 前二號ニ揭グルモノヲ除クノ外厚生大臣ノ定ムル者
第十一條 勞働者年金保險法第十七條第三號ノ規定ニ依ル事業ハ健康保險法第十四條第一項第四號ノ規定ニ依リ指定スル事業トス
第十二條 被保險者タリシ期間十四年以上二十年未滿ナル者ハ被保險者タラザルニ至リタル場合ニ於テ其ノ資格ヲ喪失シタル日ヨリ三月以內ニ任意繼續被保險者タラントスル申請ヲ爲ストキハ繼續シテ被保險者ト爲ルコトヲ得
前項ニ規定スル期限ヲ經過シタル申請ト雖モ地方長官ニ於テ正當ノ事由アリト認ムルトキハ之ヲ受理スルコトヲ得
第一項ノ申請ヲ爲シタル者ガ初テ納付スベキ保險料ニ付第十三條第一號ニ揭グル事實アリタルトキハ繼續シテ其ノ被保險者ト爲ラザリシモノト看做ス
第十三條 勞働者年金保險法第二十三條第一項ニ規定スル事由ハ左ノ如シ
一 保險料ヲ滯納シ勞働者年金保險法第十一條第一項ノ規定ニ依ル指定ノ期限迄ニ其ノ保險料ヲ納付セザルトキ
二 强制被保險者又ハ任意被保險者ト爲リタルトキ
三 任意繼續被保險者ノ資格ヲ喪失セントスル申請ヲ爲シタルトキ
第三章 保險給付
第十四條 遺族年金ヲ受クベキ者ノ範圍ハ被保險者又ハ被保險者タリシ者ノ配偶者(屆出ヲ爲サザルモ事實上婚姻關係ト同樣ノ事情ニ在ル者ヲ含ム以下同ジ)竝ニ子、父、母、孫、祖父及祖母ニシテ被保險者又ハ被保險者タリシ者ノ死亡當時ヨリ引續キ之ト同一戶籍內ニ在リ且被保險者又ハ被保險者タリシ者ノ死亡當時之ニ依リ生計ヲ維持シタルモノトス
被保險者又ハ被保險者タリシ者ノ死亡當時胎兒タル子出生シタルトキハ前項ノ規定ノ適用ニ付テハ被保險者又ハ被保險者タリシ者ノ死亡當時ヨリ出生ノ時迄引續キ之ト同一戶籍內ニ在リ且被保險者又ハ被保險者タリシ者ノ死亡當時之ニ依リ生計ヲ維持シタル者ト看做ス
第十五條 遺族年金ヲ受クベキ者ノ順位ハ前條第一項ニ揭グル順位ニ依ル
前項ノ規定ニ依ル同順位ノ子ノ間ニ在リテハ其ノ順位ハ左ノ各號ノ規定ニ依ル
一 被保險者又ハ被保險者タリシ者ノ家督相續人(之ニ準ズベキ者ヲ含ム以下同ジ)又ハ戶主ハ之ヲ他ノ者ヨリ先ニス
二 男ハ之ヲ女ヨリ先ニス
三 男又ハ女ノ間ニ在リテハ嫡出子ヲ先ニス
四 嫡出子、庶子及私生子ノ間ニ在リテハ嫡出子及庶子ハ女ト雖モ之ヲ私生子ヨリ先ニス
五 前三號ニ揭グル事項ニ付相同ジキ者ノ間ニ在リテハ年長者ヲ先ニス
第一項ノ規定ニ依ル同順位ノ孫ノ間ニ在リテハ其ノ順位ハ左ノ各號ノ規定ニ依ル
一 前項ノ規定ニ依リ先順位者タル者ノ子ハ之ヲ後順位者タル者ノ子ヨリ先ニス
二 前號ノ規定ニ依ル同順位者ノ間ニ於テハ前項ノ規定ヲ準用ス
第一項ノ規定ニ拘ラズ父母ニ付テハ養父母ヲ先ニシ實父母ヲ後ニシ祖父母ニ付テハ養父母ノ父母ヲ先ニシ實父母ノ父母ヲ後ニシ父母ノ養父母ヲ先ニシ實父母ヲ後ニス
先順位者タルベキ者後順位者タル者ヨリ後ニ生ズルニ至リタルトキハ前四項ノ規定ハ當該後順位者失權シタル後ニ限リ之ヲ適用ス
第十六條 男子タル配偶者ハ被保險者若ハ被保險者タリシ者ノ死亡當時六十歲以上ナルトキ又ハ被保險者若ハ被保險者タリシ者ノ死亡當時ヨリ引續キ不具癈疾ニシテ生活資料ヲ得ルノ途ナキトキニ限リ之ニ遺族年金ヲ支給ス
被保險者若ハ被保險者タリシ者ノ死亡當時十五歲以上ノ子若ハ孫又ハ被保險者若ハ被保險者タリシ者ノ死亡當時六十歲未滿ノ父、母、祖父若ハ祖母ハ被保險者又ハ被保險者タリシ者ノ死亡當時ヨリ引續キ不具癈疾ニシテ生活資料ヲ得ルノ途ナキトキニ限リ之ニ遺族年金ヲ支給ス
第十七條 遺族年金ヲ受クル權利ヲ有スル者引續キ一年以上所在不明ナルトキハ後順位者ノ申請ニ依リ第十五條ノ規定ニ拘ラズ當該所在不明ナル者ノ順位ヲ繰下グルコトヲ得
第十八條 勞働者年金保險法第三十三條、第三十四條、第三十八條、第三十九條又ハ第四十七條ノ規定ニ依ル一時金ヲ受クベキ者ノ範圍ハ被保險者又ハ被保險者タリシ者ノ配偶者竝ニ子、父、母、孫、祖父及祖母ニシテ被保險者又ハ被保險者タリシ者ノ死亡當時之ト同一戶籍內ニ在リタル者トス
勞働者年金保險法第三十三條、第三十四條、第三十八條、第三十九條又ハ第四十七條ノ規定ニ依ル一時金ヲ受クベキ者ノ順位ハ前項ニ揭グル順位ニ依ル
第十五條第二項乃至第四項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十九條 前條第一項ノ規定ニ該當スル者ナキ場合ニ於テハ左ニ揭グル順位ニ依リ勞働者年金保險法第三十三條、第三十四條、第三十八條、第三十九條又ハ第四十七條ノ規定ニ依ル一時金ヲ支給ス但シ被保險者又ハ被保險者タリシ者ノ遺言又ハ保險院長官ニ對シテ爲シタル豫吿ニ依リ左ニ揭グル者ノ中一人ヲ特ニ指定シタルトキハ之ニ從フ
一 被保險者又ハ被保險者タリシ者ノ家督相續人又ハ戶主
二 被保險者又ハ被保險者タリシ者ノ兄弟姉妹ニシテ被保險者又ハ被保險者タリシ者ノ死亡當時之ト同一戶籍內ニ在リタルモノ
三 被保險者又ハ被保險者タリシ者ノ死亡當時其ノ者ニ依リ生計ヲ維持シタル者
第二十條 勞働者年金保險法第三十六條ノ規定ニ依ル期間ハ癈疾ノ原因ト爲リタル疾病又ハ負傷及之ニ因リ發シタル疾病ニ付醫師又ハ齒科醫師ノ診療ヲ受ケタル日(健康保險ノ被保險者タル被保險者ニ在リテハ健康保險法ニ依ル療養ノ給付ヲ受ケタル日)ヨリ起算シ一年トス
第二十一條 勞働者年金保險法第三十六條ノ規定ニ依リ癈疾年金ヲ支給スベキ程度ノ癈疾ノ狀態ハ別表第一ニ該當スルコトヲ要シ癈疾手當金ヲ支給スベキ程度ノ癈疾ノ狀態ハ別表第二ニ該當スルコトヲ要ス
第二十二條 勞働者年金保險法第四十六條ニ規定スル事由ハ左ノ如シ
一 女子タル配偶者ガ婚姻シタルトキ
二 遺族ガ被保險者又ハ被保險者タリシ者ノ戶籍ヲ去リタルトキ
三 子又ハ孫(被保險者又ハ被保險者タリシ者ノ死亡當時ヨリ引續キ不具癈疾ニシテ生活資料ヲ得ルノ途ナキ者ヲ除ク)ガ十五歲ニ達シタルトキ
四 不具癈疾ニシテ生活資料ヲ得ルノ途ナキニ因リ遺族年金ノ支給ヲ受クル男子タル配偶者、子、父、母、孫、祖父又ハ祖母ニ付其ノ事情止ミタルトキ
第四章 費用ノ負擔
第二十三條 國庫ハ保險給付ノ計算ノ基礎ト爲リタル被保險者タリシ期間ノ全部ガ鑛業法ノ適用ヲ受クル事業ノ事業場ニ於テ常時坑內作業ニ從事スル被保險者トシテ使用セラレタル期間(以下坑內夫タル被保險者タリシ期間ト稱ス)ナルトキハ其ノ給付ニ要スル費用ノ十分ノ二ヲ、其ノ期間ノ全部ガ其ノ他ノ被保險者タリシ期間ナルトキハ其ノ給付ニ要スル費用ノ十分ノ一ヲ、其ノ期間ノ一部ガ坑內夫タル被保險者タリシ期間ナルトキハ其ノ給付ニ要スル費用ノ十分ノ一ノ外坑內夫タル被保險者タリシ期間ノ平均標準報酬年額ニ其ノ期間ニ付勞働者年金保險法第二十五條ノ規定ニ依リ計算シタル期間ノ月數ヲ乘ジタル額ノ其ノ額ト其ノ他ノ被保險者タリシ期間ノ平均標準報酬年額ニ其ノ期間ノ月數ヲ乘ジタル額トノ合算額ニ對スル割合ヲ其ノ給付ニ要スル費用ニ乘ジテ得タル額ノ十分ノ一ヲ負擔ス
第二十四條 保險料額ハ各月ニ付勞働者年金保險法第二十四條第一項又ハ第二項ノ規定ニ依リ計算シタル被保險者タリシ期間ガ一月ナルトキハ被保險者ノ標準報酬月額ニ保險料率ヲ乘ジテ得タル額トシ半月ナルトキハ被保險者ノ標準報酬月額ニ保險料率ヲ乘ジテ得タル額ノ半額トス
保險料率ハ鑛業法ノ適用ヲ受クル事業ノ事業場ニ使用セラルル被保險者ニシテ常時坑內作業ニ從事スルモノ(以下坑內夫タル被保險者ト稱ス)ニ關スルモノト其ノ他ノ被保險者ニ關スルモノト各別ニ厚生大臣之ヲ定ム
第二十五條 任意繼續被保險者ト爲リタル者ニ關スル其ノ月ノ保險料額ハ其ノ被保險者ト爲リタル日前ノ保險料額ト其ノ被保險者ト爲リタル日以後ノ保險料額トニ付各別ニ前條第一項ノ例ニ依リ之ヲ算定ス
前項ノ規定ハ坑內夫タル被保險者ニシテ其ノ他ノ被保險者ト爲リタルモノ又ハ其ノ他ノ被保險者ニシテ坑內夫タル被保險者ト爲リタルモノニ關スル其ノ月ノ保險料額ノ算定ニ之ヲ準用ス
第二十六條 事業主ハ被保險者ニ對シ金錢ヲ以テ報酬ヲ支拂フ場合ニ於テハ被保險者ノ負擔スベキ前月分ノ保險料ヲ報酬ヨリ控除スルコトヲ得
事業主ハ被保險者ガ其ノ事業ニ使用セラレザルニ至リタルトキニ限リ前項ノ規定ニ拘ラズ報酬支拂ノ際ニ於テ被保險者ノ負擔スベキ前月分及其ノ月分ノ保險料ヲ控除スルコトヲ得
第二十七條 事業主ハ保險料ノ控除ニ關スル計算書ヲ作製シ被保險者ノ請求ニ應ジテ閱覽セシムベシ
第二十八條 每月ノ保險料ハ翌月末日迄ニ之ヲ納付スベシ但シ任意繼續被保險者ノ納付スベキ保險料ニ付テハ厚生大臣ニ於テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
地方長官ハ保險料納入ノ吿知ヲ爲シタル後ニ於テ吿知シタル保險料額ガ當該納付義務者ノ納付スベキ保險料額ヲ超過スルコトヲ知リタルトキハ其ノ超過部分ニ對スル納入ノ吿知ハ其ノ吿知ヲ爲シタル後六月以內ノ期日ニ於テ納付セラルベキ保險料ニ對シ納期ヲ繰上ゲ之ヲ爲シタルモノト看做スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ納期ヲ繰上ゲ納入ノ吿知ヲ爲シタルモノト看做シタルトキハ地方長官ハ其ノ旨ヲ當該納付義務者ニ通知スベシ
第二十九條 保險料納付義務者ガ左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ納期前ト雖モ保險料ハ總テ之ヲ徵收スルコトヲ得
一 國稅、府縣稅其ノ他ノ公課ノ滯納ニ因リ滯納處分ヲ受クルトキ
二 被保險者ノ使用セラルル工場、事業場又ハ事業ヲ廢止シタルトキ
三 强制執行ヲ受クルトキ
四 破產ノ宣吿ヲ受ケタルトキ
五 競賣ノ開始アリタルトキ
六 法人ガ解散ヲ爲シタルトキ
附 則
第三十條 本令ハ昭和十七年一月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ保險給付及費用ノ負擔ニ關スル規定ハ勞働者年金保險法中保險給付及費用ノ負擔ニ關スル規定施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第三十一條 勞働者年金保險法第七十二條第一項ノ規定ニ該當スル者ガ同法同條同項ノ規定ニ該當スル場合ニ於テ被保險者タリシ期間一年以上ナリシトキハ被保險者ノ資格ヲ喪失シタル後更ニ被保險者ト爲ルコトナクシテ一年ヲ經過シタル場合ニ非ザルトキト雖モ脫退手當金ヲ支給ス此ノ場合ニ於テ脫退手當金ノ額ハ被保險者タリシ全期間ノ平均標準報酬月額ノ三十分ノ一ノ額ニ別表第三ニ定ムル日數ヲ乘ジテ得タル金額トス但シ癈疾手當金ノ支給ヲ受クル者ニ支給スル額ハ癈疾手當金ノ額ト合算シテ被保險者タリシ全期間ノ平均標準報酬月額ノ十五月分ニ相當スル金額ヲ超ユルコトヲ得ズ
勞働者年金保險法第七十二條第二項ノ規定ニ該當スル者ガ同法同條同項ノ規定ニ該當スル場合ニ於テハ被保險者タリシ全期間ノ平均標準報酬月額ノ三十分ノ一ノ額ニ別表第四ニ定ムル日數ヲ乘ジテ得タル額ノ脫退手當金ヲ支給ス
第三十二條 勞働者年金保險法中保險給付及費用ノ負擔ニ關スル規定施行ノ日ニ於テ事業主及勞働者ノ出捐スル共濟組合ニシテ厚生大臣ノ指定シタルモノノ組合員タル被保險者ガ事業主ノ同意ヲ得テ同日ヨリ一月以內ニ被保險者タラザラントスル申請ヲ爲ストキハ被保險者ノ資格ヲ取得シタル日ニ遡リテ被保險者タラザルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ厚生大臣ノ指定スル共濟組合ハ左ノ要件ヲ具フルモノニ限ル
一 被保險者タル組合員ニ對スル其ノ組合ノ納付ノ種類及程度ガ保險給付ノ種類及程度ニ略同ジナルコト
二 被保險者タル組合員ニ對スル其ノ組合ノ給付ノ中保險給付ニ相當スル給付ニ要スル費用ニ關スル出捐年額ガ其ノ者ヲ被保險者トシタル場合ニ於ケル其ノ者ニ關スル勞働者年金保險ノ保險料年額ニ相當スル金額以上ニシテ事業主ガ其ノ出捐年額ノ二分ノ一以上ヲ負擔スルモノナルコト
第三十三條 强制被保險者ト爲ルベキ資格ヲ有スル者ニシテ前條第一項ノ規定ニ依リ被保險者タラザルモノガ同條同項ニ規定スル共濟組合ノ組合員タラザルニ至リタルトキハ爾後被保險者トス
第三十四條 勞働者年金保險法中保險給付及費用ノ負擔ニ關スル規定施行ノ日ニ於テ郵便年金令第十四條ノ規定ノ適用ヲ受クル年金契約ノ年金受取人タル强制被保險者ガ年金契約者ノ同意ヲ得テ同日ヨリ三月以內ニ申請ヲ爲ストキハ同日ヨリ起算シ三年ヲ經過シタル日ニ於テ其ノ間ニ於ケル平均標準報酬年額ヲ改定ス但シ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
一 當該年金契約ノ年金受取人ガ同日ヨリ三年以內ニ被保險者ノ資格ヲ喪失シタルトキ
二 當該年金契約ガ效力ヲ失フニ至リタルトキ
三 第一號ノ期間內ニ當該年金契約ガ年金支拂開始期ニ達シタルトキ
第三十五條 前條ノ規定ニ依リ平均標準報酬年額ヲ改定スル場合ニ於テハ同條ニ規定スル年金契約ニ關シ勞働者年金保險法中保險給付及費用ノ負擔ニ關スル規定施行ノ日前ニ拂込マレタル掛金ニ命令ヲ以テ定ムル計算ニ依ル年三分三毛六糸ノ利子ヲ附シタル金額ト同日以後ニ拂込マレタル掛金トノ合計額(年金契約ニ基キテ爲シタル貸付ニ付政府ガ辨濟ヲ受クベキ金額アルトキハ其ノ金額ヲ控除シタル殘額以下同ジ)ヲ同條ニ規定スル三年ニ對スル勞働者年金保險ノ積立金率ヲ以テ除シテ得タル額ト同期間ニ於ケル平均標準報酬年額トヲ合算シテ計算ス但シ其ノ額ガ千八百圓ヲ超ユルトキハ之ヲ千八百圓トス
前項但書ノ場合ニ於テ前條ニ規定スル三年間ニ於ケル從前ノ平均標準報酬年額ト千八百圓トノ差額ニ其ノ三年ニ對スル勞働者年金保險ノ積立金率ヲ乘ジテ得タル金額ト前項ニ規定スル勞働者年金保險法中保險給付及費用ノ負擔ニ關スル規定施行ノ日前ニ拂込マレタル掛金ニ命令ヲ以テ定ムル計算ニ依ル年三分三毛六糸ノ利子ヲ附シタル金額ト同日以後ニ拂込マレタル掛金トノ合計額トノ差額ハ之ヲ返還金受取人ニ支拂フ
第三十六條 第三十四條ノ申請ヲ爲シタル者ニ關スル年金契約ハ平均標準報酬年額ノ改定ヲ爲シタル日ヨリ將來ニ向テノミ其ノ效力ヲ失フ
第三十七條 勞働者年金保險法中保險給付及費用ノ負擔ニ關スル規定施行ノ日ニ於テ郵便年金令第十四條ノ規定ノ適用ヲ受クル年金契約ノ年金受取人タル被保險者ハ事業主ノ同意ヲ得テ同日ヨリ一月以內ニ被保險者タラザラントスル申請ヲ爲ストキハ被保險者ノ資格ヲ取得シタル日ニ遡リテ被保險者タラザルコトヲ得
第三十八條 前條ノ申請ヲ爲スニハ同條ニ規定スル年金受取人ニ關スル年金契約ガ左ノ要件ヲ具フルモノナルコトヲ要ス
一 當該年金受取人ヲ被保險者トシタル場合ニ於ケル其ノ者ニ關スル勞働者年金保險ノ保險料年額ノ半額ニ相當スル金額以上ノ掛金ヲ每半年ニ拂込ムモノナルコト
二 當該年金受取人ヲ使用スル事業主ガ前號ニ規定スル每半年ノ掛金ニ付當該年金受取人ヲ被保險者トシタル場合ニ於ケル其ノ者ニ關スル勞働者年金保險ノ保險料年額ノ半額ノ二分ノ一以上ニ相當スル金額ヲ負擔スルモノナルコト
三 當該年金受取人ヲ以テ返還金受取人ト爲スモノナルコト
第三十九條 第三十七條ノ規定ニ依リ被保險者タラザル者ガ現ニ使用セラルル工場、事業場又ハ事業ニ使用セラレザルニ至リタル後更ニ勞働者年金保險法第十六條ノ工場、事業場又ハ事業ニ强制保險被者ト爲ルベキ資格ヲ有スル者トシテ使用セラルルニ至リタルトキハ爾後被保險者トス但シ事業主ノ同意ヲ得テ其ノ使用セラルルニ至リタル日ヨリ十五日以內ニ被保險者タラザラントスル申請ヲ爲シタル場合ニ於テハ繼續シテ被保險者タラザルコトヲ得
第三十八條ノ規定ハ前項但書ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四十條 强制被保險者ト爲ルベキ資格ヲ有スル者ニシテ第三十七條又ハ前條第一項但書ノ規定ニ依リ被保險者タラザルモノニ關スル年金契約ガ左ノ各號ノ一ニ該當スルニ至リタル場合ニ於テハ其ノ者ハ爾後被保險者トス
一 當該年金契約ニ付年金契約者ガ第三十八條ニ規定スル掛金ヲ拂込マズシテ命令ノ定ムル期間ヲ經過シタルトキ
二 當該年金契約ガ解除セラレタルトキ
三 當該年金契約ガ年金支拂開始期ニ達シタルトキ
前項第三號ノ規定ニ依リ被保險者ト爲リタル者ニシテ五十歲未滿ノモノハ第十條第二號ノ規定ノ適用ニ付テハ之ヲ五十歲ヲ超エタル者ト看做ス
第四十一條 第三十九條第一項又ハ前條第一項第一號ノ規定ニ依リ被保險者ト爲リタル者ガ年金契約者ノ同意ヲ得テ被保險者ト爲リタル日ヨリ三月以內ニ申請ヲ爲ストキハ第三十七條ノ規定ニ依リ被保險者タラザルニ至リタル日ヨリ第三十九條第一項又ハ前條第一項第一號ノ規定ニ依リ被保險者ト爲リタル日ノ前日迄ニ於テ强制被保險者ト爲ルベキ資格ヲ有スル者トシテ勞働者年金保險法第十六條ノ工場、事業場又ハ事業ニ使用セラレタル期間ハ其ノ期間ニ付同法第二十四條ノ規定ニ依ル計算ヲ爲シタル上之ヲ同法同條ノ規定ニ依ル被保險者タリシ期間ト看做ス
前項ノ規定ニ拘ラズ第四十二條第一項但書前段ノ場合ニ於テハ第三十九條第一項又ハ前條第一項第一號ノ規定ニ依リ被保險者ト爲リタル日ニ於テ年金受取人ノ爲ニ積立テタル金額(年金契約ニ基キテ爲シタル貸付ニ付政府ガ辨濟ヲ受クベキ金額アルトキハ其ノ金額ヲ控除シタル殘額以下同ジ)ヲ百二十圓ヲ以テ除シテ得タル數ヲ保險給付ニ要スル費用總額ニ對スル積立金率(以下積立金率ト稱ス)ト看做シ其ノ積立金率ニ對スル期間ヲ以テ勞働者年金保險法第二十四條ノ規定ニ依ル被保險者タリシ期間ト看做ス
第四十二條 前條第一項ノ規定ニ依リ被保險者タリシ期間ト看做シタル期間ニ於ケル平均標準報酬年額ハ第三十九條第一項又ハ第四十條第一項第一號ノ規定ニ依リ被保險者ト爲リタル日ニ於テ年金受取人ノ爲ニ積立テタル金額ヲ前條第一項ノ規定ニ依リ被保險者タリシ期間ト看做シタル期間ニ對スル積立金率ヲ以テ除シテ得タル額トス但シ此ノ場合ニ於テ其ノ平均標準報酬年額ガ百二十圓ニ滿タザルトキハ之ヲ百二十圓トシ其ノ平均標準報酬年額ガ千八百圓ヲ超ユルトキハ之ヲ千八百圓トス
前項但書後段ノ場合ニ於テハ千八百圓ニ前條第一項ノ規定ニ依リ被保險者タリシ期間ト看做シタル期間ニ對スル積立金率ヲ乘ジテ得タル金額ト當該年金契約ノ年金受取人ノ爲ニ積立テタル金額トノ差額ハ之ヲ返還金受取人ニ支拂フ
第四十三條 第四十一條第一項ノ申請ヲ爲シタル者ニ關スル年金契約ハ其ノ者ガ第三十九條第一項又ハ第四十條第一項第一號ノ規定ニ依リ被保險者ト爲リタル日ヨリ將來ニ向テノミ其ノ效力ヲ失フ
第四十四條 第三十四條乃至前條ノ規定ハ勞働者年金保險法中保險給付及費用ノ負擔ニ關スル規定施行ノ日ニ於テ郵便年金令第十四條ノ規定ノ適用ヲ受クル年金契約ノ年金受取人タル者ニシテ同日ニ於テ同法第十六條但書ノ規定ニ該當スルニ因リ强制被保險者ト爲ラザルモノガ同日後ニ於テ强制被保險者ト爲ルベキ資格ヲ有スルニ至リタル場合ニ之ヲ準用ス
第四十五條 郵便年金令第十四條ノ規定ニ依ル掛金ノ割引ハ左ノ各號ノ場合ニ於テ同令同條ノ規定ノ適用ヲ受クル年金契約ノ年金受取人ノ數ガ同令同條第一項ニ規定スル割合又ハ人數ヲ下リタル場合ト雖モ之ヲ爲スコトヲ得
一 郵便年金令第十四條ノ規定ノ適用ヲ受クル年金契約ノ年金受取人ガ被保險者ト爲リタル場合ニ於テ當該年金契約ガ同令同條ノ規定ノ適用ヲ受ケザルニ至リタルトキ
二 郵便年金令第十四條ノ規定ノ適用ヲ受クル年金契約ノ年金受取人ニシテ被保險者タルモノ又ハ第三十七條若ハ第三十九條第一項但書ノ規定ニ依リ被保險者タラザルモノガ郵便年金令第十四條ノ規定ノ適用ヲ受クル年金契約ノ年金受取人タラザルニ至リタルトキ
別表第一
【表】
備考
一 視力ノ測定ハ萬國式視力表ニ依ル屈折異常アルモノニ付テハ矯正視力ニ付測定ス
二 指ヲ失ヒタルモノトハ拇指ハ指關節、其ノ他ノ指ハ第一指關節以上ヲ失ヒタルモノヲ謂フ
三 指ノ用ヲ廢シタルモノトハ指ノ末節ノ半以上ヲ失ヒ又ハ掌指關節若ハ第一指關節(拇指ニ在リテハ指關節)ニ著シキ運動障害ヲ殘スモノヲ謂フ
四 趾ヲ失ヒタルモノトハ其ノ全部ヲ失ヒタルモノヲ謂フ
五 趾ノ用ヲ癈シタルモノトハ第一趾ハ末節ノ半以上、其ノ他ノ趾ハ末關節以上ヲ失ヒタルモノ又ハ蹠趾關節若ハ第一趾關節(第一趾ニ在リテハ趾關節)ニ著シキ運動障害ヲ殘スモノヲ謂フ
別表第二
【表】
備考 別表第一ノ備考ト同ジ
別表第三
【表】
別表第四
【表】
朕労働者年金保険法施行令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年十二月二十七日
内閣総理大臣 東条英機
厚生大臣 小泉親彦
大蔵大臣 賀屋興宣
勅令第千二百五十号
労働者年金保険法施行令
第一章 総則
第一条 労働者年金保険法第三条第一項ノ賃金又ハ給料ニ準ズベキモノノ範囲ハ常時又ハ定期ニ受クル給与其ノ他ノ利益トス但シ左ニ掲グルモノヲ除ク
一 三月ヲ超ユル期間毎ニ支給スル賞与又ハ手当
二 通勤手当
三 住居ニ関スル利益又ハ住宅料ニシテ賃金又ハ給料ノ額ノ決定ニ影響ナキモノ
四 其ノ他厚生大臣ノ指定スルモノ
第二条 賃金又ハ給料ニ準ズベキモノノ全部又ハ一部ガ金銭以外ノ給与其ノ他ノ利益ナル場合ニ於テハ其ノ価額ハ健康保険法施行令第二条ノ規定ニ依リ地方長官(東京府ニ在リテハ警視総監以下同ジ)ノ定ムル標準価格ニ依リ之ヲ算定ス但シ健康保険ノ被保険者タル被保険者ニ関シテハ同令同条ノ規定ニ依リ算定セラレタル価額ニ依ル
第三条 労働者年金保険法第四条第一項ノ標準報酬ハ被保険者ノ報酬月額ニ基キ左ノ区別ニ依リ之ヲ定ム
【表】
第四条 標準報酬ハ被保険者ノ資格ヲ取得シタル日ノ現在ニ依リ之ヲ定ム
被保険者ノ報酬ガ其ノ増減アリタルニ因リ従前ノ報酬月額ニ基キ定メラレタル標準報酬ニ該当セザルニ至リタル場合ニ於テハ其ノ報酬ニ増減アリタル月ノ翌月(報酬ニ増減アリタル日ガ月ノ初日ナルトキハ其ノ月)ヨリ其ノ標準報酬ヲ変更ス
労働者年金保険法第二十二条ノ規定ニ依ル被保険者(以下任意継続被保険者ト称ス)ノ標準報酬ニ付テハ引続キ従前ノモノニ依ル但シ其ノ者ノ申請ニ依リ標準報酬ヲ減額スルコトヲ得
第二項ノ規定ハ前項但書ノ規定ニ依リ標準報酬ヲ減額スル場合ニ之ヲ準用ス
第五条 第三条ニ規定スル被保険者ノ報酬月額ハ左ノ各号ノ規定ニ依リ之ヲ算定ス
一 年ニ依リ報酬ヲ定ムル場合ニ於テハ被保険者ノ資格ヲ取得シタル日又ハ報酬ニ増減アリタル日ノ現在ニ於ケル年額ノ十二分ノ一
二 月ニ依リ報酬ヲ定ムル場合ニ於テハ被保険者ノ資格ヲ取得シタル日又ハ報酬ニ増減アリタル日ノ現在ニ於ケル月額
三 日、時間、稼高又ハ請負ニ依リ報酬ヲ定ムル場合ニ於テハ被保険者ノ資格ヲ取得シタル日又ハ報酬ニ増減アリタル日前一月間ニ現ニ使用セラルル事業ニ於テ同様ノ作業ニ従事シ同様ノ報酬ヲ受クル者ガ受ケタル報酬ノ額
四 前三号ノ規定ニ依リ算定シ難キモノニ付テハ被保険者ノ資格ヲ取得シタル日又ハ報酬ニ増減アリタル日前一月間ニ其ノ地方ニ於テ同様ノ作業ニ従事シ同様ノ報酬ヲ受クル者ガ受ケタル報酬ノ額
五 前各号ノ二以上ニ該当スル報酬ヲ受クル場合ニ於テハ其ノ各ニ付前各号ノ規定ニ依リ算定シタル額ノ合算額
六 同時ニ二以上ノ業務ニ於テ報酬ヲ受クル場合ニ於テハ各業務ニ付前各号ノ規定ニ依リ算定シタル額ノ合算額
被保険者ノ報酬月額ガ前項ノ規定ニ依リ算定シ難キトキ又ハ前項ノ規定ニ依リテ算定シタル額ガ著シク不当ナルトキハ前項ノ規定ニ拘ラズ地方長官ニ於テ適当ノ方法ニ依リ之ヲ算定ス
第六条 前三条ノ規定ニ拘ラズ健康保険ノ被保険者タル被保険者ノ標準報酬ハ健康保険法ニ基キ其ノ者ニ付定メタル標準報酬ノ等級ニ相当スル第三条ニ掲グル標準報酬ノ等級ニ該当スル標準報酬ヲ以テ其ノ標準報酬トス
第七条 労働者年金保険法第十一条第一項ノ規定ニ依リ保険料納付ノ督促ヲ為サントスルトキハ地方長官ハ納付義務者ニ対シ督促状ヲ発スベシ
督促状ヲ発シタルトキハ督促手数料トシテ二十銭ヲ徴収ス
第八条 前条ノ規定ニ依リ督促ヲ為シタル場合ニ於テハ徴収金額百円ニ付一日三銭ノ割合ヲ以テ納期限ノ翌日ヨリ徴収金完納又ハ財産差押ノ日ノ前日迄ノ日数ニ依リ計算シタル延滞金ヲ徴収ス但シ左ノ各号ノ一ニ該当スル場合又ハ滞納ニ付酌量スベキ情状アリト認ムル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
一 納入ノ告知書一通ノ徴収金額五円未満ナルトキ
二 納期ヲ繰上ゲ徴収ヲ為ストキ
三 納付義務者ノ住所及居所ガ帝国内ニ在ラザル為又ハ其ノ住所及居所共ニ不明ナル為公示送達ノ方法ニ依リ納入ノ告知又ハ督促ヲ為シタルトキ
督促状ニ指定シタル期限迄ニ徴収金及督促手数料ヲ完納シタルトキハ延滞金ヲ徴収セズ
第九条 政府ノ事業ニ使用セラルル者ガ勅令ニ依リ組織セラレタル共済組合ノ組合員ナル場合ニ於テハ其ノ者ハ労働者年金保険ノ被保険者タラザルモノトス
第二章 被保険者
第十条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ労働者年金保険法第十六条第六号又ハ第十七条第二項ノ規定ニ依リ被保険者タラザルモノトス但シ第一号(イ)ニ該当スル者所定ノ期間ヲ超エテ引続キ使用セラルルニ至リタルトキ又ハ同号(ロ)若ハ(ハ)ニ該当スル者六月ヲ超エテ引続キ使用セラルルニ至リタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 臨時ニ使用セラルル者ニシテ左ニ掲グルモノ
(イ) 六月以内ノ期間ヲ定メテ使用セラルル者
(ロ) 使用期間ノ定ナク労務供給契約ニ基キ又ハ試ニ使用セラルル者
(ハ) 日々雇入レラルル者
二 労働者年金保険法第十六条ノ規定ニ依ル被保険者(以下強制被保険者ト称ス)又ハ第十七条ノ規定ニ依ル被保険者(以下任意被保険者ト称ス)ノ資格ヲ取得シタルコトナクシテ五十歳ヲ超エ同法第十六条ノ工場、事業場又ハ事業ニ使用セラルル者ニシテ命令ノ定ムル所ニ依リ被保険者タラザラントスル申請ヲ為スモノ
三 前二号ニ掲グルモノヲ除クノ外厚生大臣ノ定ムル者
第十一条 労働者年金保険法第十七条第三号ノ規定ニ依ル事業ハ健康保険法第十四条第一項第四号ノ規定ニ依リ指定スル事業トス
第十二条 被保険者タリシ期間十四年以上二十年未満ナル者ハ被保険者タラザルニ至リタル場合ニ於テ其ノ資格ヲ喪失シタル日ヨリ三月以内ニ任意継続被保険者タラントスル申請ヲ為ストキハ継続シテ被保険者ト為ルコトヲ得
前項ニ規定スル期限ヲ経過シタル申請ト雖モ地方長官ニ於テ正当ノ事由アリト認ムルトキハ之ヲ受理スルコトヲ得
第一項ノ申請ヲ為シタル者ガ初テ納付スベキ保険料ニ付第十三条第一号ニ掲グル事実アリタルトキハ継続シテ其ノ被保険者ト為ラザリシモノト看做ス
第十三条 労働者年金保険法第二十三条第一項ニ規定スル事由ハ左ノ如シ
一 保険料ヲ滞納シ労働者年金保険法第十一条第一項ノ規定ニ依ル指定ノ期限迄ニ其ノ保険料ヲ納付セザルトキ
二 強制被保険者又ハ任意被保険者ト為リタルトキ
三 任意継続被保険者ノ資格ヲ喪失セントスル申請ヲ為シタルトキ
第三章 保険給付
第十四条 遺族年金ヲ受クベキ者ノ範囲ハ被保険者又ハ被保険者タリシ者ノ配偶者(届出ヲ為サザルモ事実上婚姻関係ト同様ノ事情ニ在ル者ヲ含ム以下同ジ)並ニ子、父、母、孫、祖父及祖母ニシテ被保険者又ハ被保険者タリシ者ノ死亡当時ヨリ引続キ之ト同一戸籍内ニ在リ且被保険者又ハ被保険者タリシ者ノ死亡当時之ニ依リ生計ヲ維持シタルモノトス
被保険者又ハ被保険者タリシ者ノ死亡当時胎児タル子出生シタルトキハ前項ノ規定ノ適用ニ付テハ被保険者又ハ被保険者タリシ者ノ死亡当時ヨリ出生ノ時迄引続キ之ト同一戸籍内ニ在リ且被保険者又ハ被保険者タリシ者ノ死亡当時之ニ依リ生計ヲ維持シタル者ト看做ス
第十五条 遺族年金ヲ受クベキ者ノ順位ハ前条第一項ニ掲グル順位ニ依ル
前項ノ規定ニ依ル同順位ノ子ノ間ニ在リテハ其ノ順位ハ左ノ各号ノ規定ニ依ル
一 被保険者又ハ被保険者タリシ者ノ家督相続人(之ニ準ズベキ者ヲ含ム以下同ジ)又ハ戸主ハ之ヲ他ノ者ヨリ先ニス
二 男ハ之ヲ女ヨリ先ニス
三 男又ハ女ノ間ニ在リテハ嫡出子ヲ先ニス
四 嫡出子、庶子及私生子ノ間ニ在リテハ嫡出子及庶子ハ女ト雖モ之ヲ私生子ヨリ先ニス
五 前三号ニ掲グル事項ニ付相同ジキ者ノ間ニ在リテハ年長者ヲ先ニス
第一項ノ規定ニ依ル同順位ノ孫ノ間ニ在リテハ其ノ順位ハ左ノ各号ノ規定ニ依ル
一 前項ノ規定ニ依リ先順位者タル者ノ子ハ之ヲ後順位者タル者ノ子ヨリ先ニス
二 前号ノ規定ニ依ル同順位者ノ間ニ於テハ前項ノ規定ヲ準用ス
第一項ノ規定ニ拘ラズ父母ニ付テハ養父母ヲ先ニシ実父母ヲ後ニシ祖父母ニ付テハ養父母ノ父母ヲ先ニシ実父母ノ父母ヲ後ニシ父母ノ養父母ヲ先ニシ実父母ヲ後ニス
先順位者タルベキ者後順位者タル者ヨリ後ニ生ズルニ至リタルトキハ前四項ノ規定ハ当該後順位者失権シタル後ニ限リ之ヲ適用ス
第十六条 男子タル配偶者ハ被保険者若ハ被保険者タリシ者ノ死亡当時六十歳以上ナルトキ又ハ被保険者若ハ被保険者タリシ者ノ死亡当時ヨリ引続キ不具廃疾ニシテ生活資料ヲ得ルノ途ナキトキニ限リ之ニ遺族年金ヲ支給ス
被保険者若ハ被保険者タリシ者ノ死亡当時十五歳以上ノ子若ハ孫又ハ被保険者若ハ被保険者タリシ者ノ死亡当時六十歳未満ノ父、母、祖父若ハ祖母ハ被保険者又ハ被保険者タリシ者ノ死亡当時ヨリ引続キ不具廃疾ニシテ生活資料ヲ得ルノ途ナキトキニ限リ之ニ遺族年金ヲ支給ス
第十七条 遺族年金ヲ受クル権利ヲ有スル者引続キ一年以上所在不明ナルトキハ後順位者ノ申請ニ依リ第十五条ノ規定ニ拘ラズ当該所在不明ナル者ノ順位ヲ繰下グルコトヲ得
第十八条 労働者年金保険法第三十三条、第三十四条、第三十八条、第三十九条又ハ第四十七条ノ規定ニ依ル一時金ヲ受クベキ者ノ範囲ハ被保険者又ハ被保険者タリシ者ノ配偶者並ニ子、父、母、孫、祖父及祖母ニシテ被保険者又ハ被保険者タリシ者ノ死亡当時之ト同一戸籍内ニ在リタル者トス
労働者年金保険法第三十三条、第三十四条、第三十八条、第三十九条又ハ第四十七条ノ規定ニ依ル一時金ヲ受クベキ者ノ順位ハ前項ニ掲グル順位ニ依ル
第十五条第二項乃至第四項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十九条 前条第一項ノ規定ニ該当スル者ナキ場合ニ於テハ左ニ掲グル順位ニ依リ労働者年金保険法第三十三条、第三十四条、第三十八条、第三十九条又ハ第四十七条ノ規定ニ依ル一時金ヲ支給ス但シ被保険者又ハ被保険者タリシ者ノ遺言又ハ保険院長官ニ対シテ為シタル予告ニ依リ左ニ掲グル者ノ中一人ヲ特ニ指定シタルトキハ之ニ従フ
一 被保険者又ハ被保険者タリシ者ノ家督相続人又ハ戸主
二 被保険者又ハ被保険者タリシ者ノ兄弟姉妹ニシテ被保険者又ハ被保険者タリシ者ノ死亡当時之ト同一戸籍内ニ在リタルモノ
三 被保険者又ハ被保険者タリシ者ノ死亡当時其ノ者ニ依リ生計ヲ維持シタル者
第二十条 労働者年金保険法第三十六条ノ規定ニ依ル期間ハ廃疾ノ原因ト為リタル疾病又ハ負傷及之ニ因リ発シタル疾病ニ付医師又ハ歯科医師ノ診療ヲ受ケタル日(健康保険ノ被保険者タル被保険者ニ在リテハ健康保険法ニ依ル療養ノ給付ヲ受ケタル日)ヨリ起算シ一年トス
第二十一条 労働者年金保険法第三十六条ノ規定ニ依リ廃疾年金ヲ支給スベキ程度ノ廃疾ノ状態ハ別表第一ニ該当スルコトヲ要シ廃疾手当金ヲ支給スベキ程度ノ廃疾ノ状態ハ別表第二ニ該当スルコトヲ要ス
第二十二条 労働者年金保険法第四十六条ニ規定スル事由ハ左ノ如シ
一 女子タル配偶者ガ婚姻シタルトキ
二 遺族ガ被保険者又ハ被保険者タリシ者ノ戸籍ヲ去リタルトキ
三 子又ハ孫(被保険者又ハ被保険者タリシ者ノ死亡当時ヨリ引続キ不具廃疾ニシテ生活資料ヲ得ルノ途ナキ者ヲ除ク)ガ十五歳ニ達シタルトキ
四 不具廃疾ニシテ生活資料ヲ得ルノ途ナキニ因リ遺族年金ノ支給ヲ受クル男子タル配偶者、子、父、母、孫、祖父又ハ祖母ニ付其ノ事情止ミタルトキ
第四章 費用ノ負担
第二十三条 国庫ハ保険給付ノ計算ノ基礎ト為リタル被保険者タリシ期間ノ全部ガ鉱業法ノ適用ヲ受クル事業ノ事業場ニ於テ常時坑内作業ニ従事スル被保険者トシテ使用セラレタル期間(以下坑内夫タル被保険者タリシ期間ト称ス)ナルトキハ其ノ給付ニ要スル費用ノ十分ノ二ヲ、其ノ期間ノ全部ガ其ノ他ノ被保険者タリシ期間ナルトキハ其ノ給付ニ要スル費用ノ十分ノ一ヲ、其ノ期間ノ一部ガ坑内夫タル被保険者タリシ期間ナルトキハ其ノ給付ニ要スル費用ノ十分ノ一ノ外坑内夫タル被保険者タリシ期間ノ平均標準報酬年額ニ其ノ期間ニ付労働者年金保険法第二十五条ノ規定ニ依リ計算シタル期間ノ月数ヲ乗ジタル額ノ其ノ額ト其ノ他ノ被保険者タリシ期間ノ平均標準報酬年額ニ其ノ期間ノ月数ヲ乗ジタル額トノ合算額ニ対スル割合ヲ其ノ給付ニ要スル費用ニ乗ジテ得タル額ノ十分ノ一ヲ負担ス
第二十四条 保険料額ハ各月ニ付労働者年金保険法第二十四条第一項又ハ第二項ノ規定ニ依リ計算シタル被保険者タリシ期間ガ一月ナルトキハ被保険者ノ標準報酬月額ニ保険料率ヲ乗ジテ得タル額トシ半月ナルトキハ被保険者ノ標準報酬月額ニ保険料率ヲ乗ジテ得タル額ノ半額トス
保険料率ハ鉱業法ノ適用ヲ受クル事業ノ事業場ニ使用セラルル被保険者ニシテ常時坑内作業ニ従事スルモノ(以下坑内夫タル被保険者ト称ス)ニ関スルモノト其ノ他ノ被保険者ニ関スルモノト各別ニ厚生大臣之ヲ定ム
第二十五条 任意継続被保険者ト為リタル者ニ関スル其ノ月ノ保険料額ハ其ノ被保険者ト為リタル日前ノ保険料額ト其ノ被保険者ト為リタル日以後ノ保険料額トニ付各別ニ前条第一項ノ例ニ依リ之ヲ算定ス
前項ノ規定ハ坑内夫タル被保険者ニシテ其ノ他ノ被保険者ト為リタルモノ又ハ其ノ他ノ被保険者ニシテ坑内夫タル被保険者ト為リタルモノニ関スル其ノ月ノ保険料額ノ算定ニ之ヲ準用ス
第二十六条 事業主ハ被保険者ニ対シ金銭ヲ以テ報酬ヲ支払フ場合ニ於テハ被保険者ノ負担スベキ前月分ノ保険料ヲ報酬ヨリ控除スルコトヲ得
事業主ハ被保険者ガ其ノ事業ニ使用セラレザルニ至リタルトキニ限リ前項ノ規定ニ拘ラズ報酬支払ノ際ニ於テ被保険者ノ負担スベキ前月分及其ノ月分ノ保険料ヲ控除スルコトヲ得
第二十七条 事業主ハ保険料ノ控除ニ関スル計算書ヲ作製シ被保険者ノ請求ニ応ジテ閲覧セシムベシ
第二十八条 毎月ノ保険料ハ翌月末日迄ニ之ヲ納付スベシ但シ任意継続被保険者ノ納付スベキ保険料ニ付テハ厚生大臣ニ於テ別段ノ定ヲ為スコトヲ得
地方長官ハ保険料納入ノ告知ヲ為シタル後ニ於テ告知シタル保険料額ガ当該納付義務者ノ納付スベキ保険料額ヲ超過スルコトヲ知リタルトキハ其ノ超過部分ニ対スル納入ノ告知ハ其ノ告知ヲ為シタル後六月以内ノ期日ニ於テ納付セラルベキ保険料ニ対シ納期ヲ繰上ゲ之ヲ為シタルモノト看做スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ納期ヲ繰上ゲ納入ノ告知ヲ為シタルモノト看做シタルトキハ地方長官ハ其ノ旨ヲ当該納付義務者ニ通知スベシ
第二十九条 保険料納付義務者ガ左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ納期前ト雖モ保険料ハ総テ之ヲ徴収スルコトヲ得
一 国税、府県税其ノ他ノ公課ノ滞納ニ因リ滞納処分ヲ受クルトキ
二 被保険者ノ使用セラルル工場、事業場又ハ事業ヲ廃止シタルトキ
三 強制執行ヲ受クルトキ
四 破産ノ宣告ヲ受ケタルトキ
五 競売ノ開始アリタルトキ
六 法人ガ解散ヲ為シタルトキ
附 則
第三十条 本令ハ昭和十七年一月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ保険給付及費用ノ負担ニ関スル規定ハ労働者年金保険法中保険給付及費用ノ負担ニ関スル規定施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第三十一条 労働者年金保険法第七十二条第一項ノ規定ニ該当スル者ガ同法同条同項ノ規定ニ該当スル場合ニ於テ被保険者タリシ期間一年以上ナリシトキハ被保険者ノ資格ヲ喪失シタル後更ニ被保険者ト為ルコトナクシテ一年ヲ経過シタル場合ニ非ザルトキト雖モ脱退手当金ヲ支給ス此ノ場合ニ於テ脱退手当金ノ額ハ被保険者タリシ全期間ノ平均標準報酬月額ノ三十分ノ一ノ額ニ別表第三ニ定ムル日数ヲ乗ジテ得タル金額トス但シ廃疾手当金ノ支給ヲ受クル者ニ支給スル額ハ廃疾手当金ノ額ト合算シテ被保険者タリシ全期間ノ平均標準報酬月額ノ十五月分ニ相当スル金額ヲ超ユルコトヲ得ズ
労働者年金保険法第七十二条第二項ノ規定ニ該当スル者ガ同法同条同項ノ規定ニ該当スル場合ニ於テハ被保険者タリシ全期間ノ平均標準報酬月額ノ三十分ノ一ノ額ニ別表第四ニ定ムル日数ヲ乗ジテ得タル額ノ脱退手当金ヲ支給ス
第三十二条 労働者年金保険法中保険給付及費用ノ負担ニ関スル規定施行ノ日ニ於テ事業主及労働者ノ出捐スル共済組合ニシテ厚生大臣ノ指定シタルモノノ組合員タル被保険者ガ事業主ノ同意ヲ得テ同日ヨリ一月以内ニ被保険者タラザラントスル申請ヲ為ストキハ被保険者ノ資格ヲ取得シタル日ニ遡リテ被保険者タラザルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ厚生大臣ノ指定スル共済組合ハ左ノ要件ヲ具フルモノニ限ル
一 被保険者タル組合員ニ対スル其ノ組合ノ納付ノ種類及程度ガ保険給付ノ種類及程度ニ略同ジナルコト
二 被保険者タル組合員ニ対スル其ノ組合ノ給付ノ中保険給付ニ相当スル給付ニ要スル費用ニ関スル出捐年額ガ其ノ者ヲ被保険者トシタル場合ニ於ケル其ノ者ニ関スル労働者年金保険ノ保険料年額ニ相当スル金額以上ニシテ事業主ガ其ノ出捐年額ノ二分ノ一以上ヲ負担スルモノナルコト
第三十三条 強制被保険者ト為ルベキ資格ヲ有スル者ニシテ前条第一項ノ規定ニ依リ被保険者タラザルモノガ同条同項ニ規定スル共済組合ノ組合員タラザルニ至リタルトキハ爾後被保険者トス
第三十四条 労働者年金保険法中保険給付及費用ノ負担ニ関スル規定施行ノ日ニ於テ郵便年金令第十四条ノ規定ノ適用ヲ受クル年金契約ノ年金受取人タル強制被保険者ガ年金契約者ノ同意ヲ得テ同日ヨリ三月以内ニ申請ヲ為ストキハ同日ヨリ起算シ三年ヲ経過シタル日ニ於テ其ノ間ニ於ケル平均標準報酬年額ヲ改定ス但シ左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
一 当該年金契約ノ年金受取人ガ同日ヨリ三年以内ニ被保険者ノ資格ヲ喪失シタルトキ
二 当該年金契約ガ効力ヲ失フニ至リタルトキ
三 第一号ノ期間内ニ当該年金契約ガ年金支払開始期ニ達シタルトキ
第三十五条 前条ノ規定ニ依リ平均標準報酬年額ヲ改定スル場合ニ於テハ同条ニ規定スル年金契約ニ関シ労働者年金保険法中保険給付及費用ノ負担ニ関スル規定施行ノ日前ニ払込マレタル掛金ニ命令ヲ以テ定ムル計算ニ依ル年三分三毛六糸ノ利子ヲ附シタル金額ト同日以後ニ払込マレタル掛金トノ合計額(年金契約ニ基キテ為シタル貸付ニ付政府ガ弁済ヲ受クベキ金額アルトキハ其ノ金額ヲ控除シタル残額以下同ジ)ヲ同条ニ規定スル三年ニ対スル労働者年金保険ノ積立金率ヲ以テ除シテ得タル額ト同期間ニ於ケル平均標準報酬年額トヲ合算シテ計算ス但シ其ノ額ガ千八百円ヲ超ユルトキハ之ヲ千八百円トス
前項但書ノ場合ニ於テ前条ニ規定スル三年間ニ於ケル従前ノ平均標準報酬年額ト千八百円トノ差額ニ其ノ三年ニ対スル労働者年金保険ノ積立金率ヲ乗ジテ得タル金額ト前項ニ規定スル労働者年金保険法中保険給付及費用ノ負担ニ関スル規定施行ノ日前ニ払込マレタル掛金ニ命令ヲ以テ定ムル計算ニ依ル年三分三毛六糸ノ利子ヲ附シタル金額ト同日以後ニ払込マレタル掛金トノ合計額トノ差額ハ之ヲ返還金受取人ニ支払フ
第三十六条 第三十四条ノ申請ヲ為シタル者ニ関スル年金契約ハ平均標準報酬年額ノ改定ヲ為シタル日ヨリ将来ニ向テノミ其ノ効力ヲ失フ
第三十七条 労働者年金保険法中保険給付及費用ノ負担ニ関スル規定施行ノ日ニ於テ郵便年金令第十四条ノ規定ノ適用ヲ受クル年金契約ノ年金受取人タル被保険者ハ事業主ノ同意ヲ得テ同日ヨリ一月以内ニ被保険者タラザラントスル申請ヲ為ストキハ被保険者ノ資格ヲ取得シタル日ニ遡リテ被保険者タラザルコトヲ得
第三十八条 前条ノ申請ヲ為スニハ同条ニ規定スル年金受取人ニ関スル年金契約ガ左ノ要件ヲ具フルモノナルコトヲ要ス
一 当該年金受取人ヲ被保険者トシタル場合ニ於ケル其ノ者ニ関スル労働者年金保険ノ保険料年額ノ半額ニ相当スル金額以上ノ掛金ヲ毎半年ニ払込ムモノナルコト
二 当該年金受取人ヲ使用スル事業主ガ前号ニ規定スル毎半年ノ掛金ニ付当該年金受取人ヲ被保険者トシタル場合ニ於ケル其ノ者ニ関スル労働者年金保険ノ保険料年額ノ半額ノ二分ノ一以上ニ相当スル金額ヲ負担スルモノナルコト
三 当該年金受取人ヲ以テ返還金受取人ト為スモノナルコト
第三十九条 第三十七条ノ規定ニ依リ被保険者タラザル者ガ現ニ使用セラルル工場、事業場又ハ事業ニ使用セラレザルニ至リタル後更ニ労働者年金保険法第十六条ノ工場、事業場又ハ事業ニ強制保険被者ト為ルベキ資格ヲ有スル者トシテ使用セラルルニ至リタルトキハ爾後被保険者トス但シ事業主ノ同意ヲ得テ其ノ使用セラルルニ至リタル日ヨリ十五日以内ニ被保険者タラザラントスル申請ヲ為シタル場合ニ於テハ継続シテ被保険者タラザルコトヲ得
第三十八条ノ規定ハ前項但書ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四十条 強制被保険者ト為ルベキ資格ヲ有スル者ニシテ第三十七条又ハ前条第一項但書ノ規定ニ依リ被保険者タラザルモノニ関スル年金契約ガ左ノ各号ノ一ニ該当スルニ至リタル場合ニ於テハ其ノ者ハ爾後被保険者トス
一 当該年金契約ニ付年金契約者ガ第三十八条ニ規定スル掛金ヲ払込マズシテ命令ノ定ムル期間ヲ経過シタルトキ
二 当該年金契約ガ解除セラレタルトキ
三 当該年金契約ガ年金支払開始期ニ達シタルトキ
前項第三号ノ規定ニ依リ被保険者ト為リタル者ニシテ五十歳未満ノモノハ第十条第二号ノ規定ノ適用ニ付テハ之ヲ五十歳ヲ超エタル者ト看做ス
第四十一条 第三十九条第一項又ハ前条第一項第一号ノ規定ニ依リ被保険者ト為リタル者ガ年金契約者ノ同意ヲ得テ被保険者ト為リタル日ヨリ三月以内ニ申請ヲ為ストキハ第三十七条ノ規定ニ依リ被保険者タラザルニ至リタル日ヨリ第三十九条第一項又ハ前条第一項第一号ノ規定ニ依リ被保険者ト為リタル日ノ前日迄ニ於テ強制被保険者ト為ルベキ資格ヲ有スル者トシテ労働者年金保険法第十六条ノ工場、事業場又ハ事業ニ使用セラレタル期間ハ其ノ期間ニ付同法第二十四条ノ規定ニ依ル計算ヲ為シタル上之ヲ同法同条ノ規定ニ依ル被保険者タリシ期間ト看做ス
前項ノ規定ニ拘ラズ第四十二条第一項但書前段ノ場合ニ於テハ第三十九条第一項又ハ前条第一項第一号ノ規定ニ依リ被保険者ト為リタル日ニ於テ年金受取人ノ為ニ積立テタル金額(年金契約ニ基キテ為シタル貸付ニ付政府ガ弁済ヲ受クベキ金額アルトキハ其ノ金額ヲ控除シタル残額以下同ジ)ヲ百二十円ヲ以テ除シテ得タル数ヲ保険給付ニ要スル費用総額ニ対スル積立金率(以下積立金率ト称ス)ト看做シ其ノ積立金率ニ対スル期間ヲ以テ労働者年金保険法第二十四条ノ規定ニ依ル被保険者タリシ期間ト看做ス
第四十二条 前条第一項ノ規定ニ依リ被保険者タリシ期間ト看做シタル期間ニ於ケル平均標準報酬年額ハ第三十九条第一項又ハ第四十条第一項第一号ノ規定ニ依リ被保険者ト為リタル日ニ於テ年金受取人ノ為ニ積立テタル金額ヲ前条第一項ノ規定ニ依リ被保険者タリシ期間ト看做シタル期間ニ対スル積立金率ヲ以テ除シテ得タル額トス但シ此ノ場合ニ於テ其ノ平均標準報酬年額ガ百二十円ニ満タザルトキハ之ヲ百二十円トシ其ノ平均標準報酬年額ガ千八百円ヲ超ユルトキハ之ヲ千八百円トス
前項但書後段ノ場合ニ於テハ千八百円ニ前条第一項ノ規定ニ依リ被保険者タリシ期間ト看做シタル期間ニ対スル積立金率ヲ乗ジテ得タル金額ト当該年金契約ノ年金受取人ノ為ニ積立テタル金額トノ差額ハ之ヲ返還金受取人ニ支払フ
第四十三条 第四十一条第一項ノ申請ヲ為シタル者ニ関スル年金契約ハ其ノ者ガ第三十九条第一項又ハ第四十条第一項第一号ノ規定ニ依リ被保険者ト為リタル日ヨリ将来ニ向テノミ其ノ効力ヲ失フ
第四十四条 第三十四条乃至前条ノ規定ハ労働者年金保険法中保険給付及費用ノ負担ニ関スル規定施行ノ日ニ於テ郵便年金令第十四条ノ規定ノ適用ヲ受クル年金契約ノ年金受取人タル者ニシテ同日ニ於テ同法第十六条但書ノ規定ニ該当スルニ因リ強制被保険者ト為ラザルモノガ同日後ニ於テ強制被保険者ト為ルベキ資格ヲ有スルニ至リタル場合ニ之ヲ準用ス
第四十五条 郵便年金令第十四条ノ規定ニ依ル掛金ノ割引ハ左ノ各号ノ場合ニ於テ同令同条ノ規定ノ適用ヲ受クル年金契約ノ年金受取人ノ数ガ同令同条第一項ニ規定スル割合又ハ人数ヲ下リタル場合ト雖モ之ヲ為スコトヲ得
一 郵便年金令第十四条ノ規定ノ適用ヲ受クル年金契約ノ年金受取人ガ被保険者ト為リタル場合ニ於テ当該年金契約ガ同令同条ノ規定ノ適用ヲ受ケザルニ至リタルトキ
二 郵便年金令第十四条ノ規定ノ適用ヲ受クル年金契約ノ年金受取人ニシテ被保険者タルモノ又ハ第三十七条若ハ第三十九条第一項但書ノ規定ニ依リ被保険者タラザルモノガ郵便年金令第十四条ノ規定ノ適用ヲ受クル年金契約ノ年金受取人タラザルニ至リタルトキ
別表第一
【表】
備考
一 視力ノ測定ハ万国式視力表ニ依ル屈折異常アルモノニ付テハ矯正視力ニ付測定ス
二 指ヲ失ヒタルモノトハ拇指ハ指関節、其ノ他ノ指ハ第一指関節以上ヲ失ヒタルモノヲ謂フ
三 指ノ用ヲ廃シタルモノトハ指ノ末節ノ半以上ヲ失ヒ又ハ掌指関節若ハ第一指関節(拇指ニ在リテハ指関節)ニ著シキ運動障害ヲ残スモノヲ謂フ
四 趾ヲ失ヒタルモノトハ其ノ全部ヲ失ヒタルモノヲ謂フ
五 趾ノ用ヲ廃シタルモノトハ第一趾ハ末節ノ半以上、其ノ他ノ趾ハ末関節以上ヲ失ヒタルモノ又ハ蹠趾関節若ハ第一趾関節(第一趾ニ在リテハ趾関節)ニ著シキ運動障害ヲ残スモノヲ謂フ
別表第二
【表】
備考 別表第一ノ備考ト同ジ
別表第三
【表】
別表第四
【表】