海務院官制
法令番号: 勅令第千百四十四號
公布年月日: 昭和16年12月19日
法令の形式: 勅令
朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ海務院官制ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年十二月十八日
內閣總理大臣 東條英機
海軍大臣 嶋田繁太郞
遞信大臣 寺島健
勅令第千百四十四號
海務院官制
第一條 海務院ハ遞信大臣ノ管理ニ屬シ水運、船舶、造船、船員其ノ他海事ニ關スル事務ヲ掌ル
第二條 海務院ニ長官官房及左ノ五部ヲ置ク
總務部
運航部
船舶部
船員部
航路部
長官官房ニ於テハ人事、文書及會計ニ關スル事務竝ニ他ノ主管ニ屬セザル事務ヲ掌ル
總務部ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
一 海事ニ關スル綜合計畫ノ設定其ノ他重要海事政策ノ綜合調整ニ關スル事項
二 外地海事行政トノ連絡ニ關スル事項
三 水運事業ノ監督及助成ニ關スル事項
四 船舶ノ保護ニ關スル事項
五 海事情報、海事調査及海事思想普及ニ關スル事項
運航部ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
一 船舶ノ管理ニ關スル事項
二 水上運輸ニ關スル事項
三 港灣運送業ノ監督及助成ニ關スル事項
四 運航用資材ニ關スル事項
船舶部ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
一 造船ニ關スル事業ノ監督及助成ニ關スル事項
二 造船及船舶修繕ニ關スル事項
三 船舶ノ積量測度、檢査及登錄ニ關スル事項
四 船舶用資材、艤裝品其ノ他船舶用品ニ關スル事項
船員部ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
一 船員ノ使用ニ關スル事項
二 船員ノ監督及保護ニ關スル事項
三 船員ノ敎育及養成ニ關スル事項
四 船員ノ指導及訓練ニ關スル事項
航路部ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
一 港務、水路、水先、航法及海難ニ關スル事項
二 燈臺其ノ他ノ航路標識ニ關スル事項
三 航路標識附屬ノ設備ニ依ル氣象觀測ニ關スル事項
航路部ニ橫濱出張所ヲ置キ航路標識用品ノ試驗、製造、修繕、調達及配給ニ關スル事項ヲ掌ラシム
橫濱出張所長ハ事務官又ハ技師ヲ以テ之ニ充ツ
第三條 海務院ニ左ノ職員ヲ置ク
長官 勅任
次長 一人 勅任
部長 五人 勅任
書記官 專任九人 奏任
事務官 專任二十三人 奏任
海務官 專任四人 奏任
技師 專任二十二人 奏任內二人ヲ勅任ト爲スコトヲ得
標識技師 專任三人 奏任
屬 專任九十九人 判任
技手 專任四十人 判任
標識技手 專任六百十二人 判任
前項ニ規定スルモノノ外遞信大臣必要ト認ムルトキハ標識技手俸給豫算定額內ニ於テ豫備員トシテ標識技手二十人以內ヲ置クコトヲ得
第四條 前條ノ職員ノ外遞信大臣ノ奏請ニ依リ關係各廳高等官ノ中ヨリ內閣ニ於テ事務官ヲ命ズルコトヲ得
第五條 海務院ニ參與十五人以內ヲ置キ院務ニ參與セシム
參與ハ遞信大臣ノ奏請ニ依リ關係各廳勅任官及學識經驗アル者ノ中ヨリ內閣ニ於テ之ヲ命ズ
學識經驗アル者ノ中ヨリ命ゼラレタル參與ノ任期ハ二年トス但シ特別ノ事由アル場合ニ於テハ任期中之ヲ解任スルコトヲ妨ゲズ
參與ハ勅任官ノ待遇トス但シ本官ヲ有スル者ニ付テハ本官ノ受クル待遇ニ依ル
第六條 長官ハ遞信大臣ノ指揮監督ヲ承ケ院務ヲ統理シ所屬職員ヲ指揮監督シ判任官以下ノ進退ヲ專行ス但シ船員ノ敎育及養成ニシテ海軍豫備員候補者トシテ必要ナル事項ニ關シテハ海軍大臣ノ指揮監督ヲ承ク
第七條 次長ハ長官ヲ佐ケ院務ヲ掌理ス
第八條 部長ハ上官ノ命ヲ承ケ部務ヲ掌理ス
第九條 書記官及事務官ハ上官ノ命ヲ承ケ事務ヲ掌ル
第十條 海務官ハ上官ノ命ヲ承ケ海運、造船又ハ船員ノ敎育、養成若ハ勞務管理ニ關スル事務ヲ掌ル
第十一條 技師ハ上官ノ命ヲ承ケ技術ヲ掌ル
第十二條 標識技師ハ上官ノ命ヲ承ケ航路標識ノ保守及運用竝ニ氣象觀測ヲ掌ル
第十三條 屬ハ上官ノ指揮ヲ承ケ事務ニ從事ス
第十四條 技手ハ上官ノ指揮ヲ承ケ技術ニ從事ス
第十五條 標識技手ハ上官ノ指揮ヲ承ケ航路標識ノ保守及運用竝ニ氣象觀測ニ從事ス
第十六條 航路標識ノ種別、名稱及位置ハ遞信大臣之ヲ定ム
第十七條 第三條第二項ノ標識技手ハ海務院ノ事務ニ臨時從事セシムルコトヲ得
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
燈臺局官制ハ之ヲ廢止ス
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ海務院官制ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年十二月十八日
内閣総理大臣 東条英機
海軍大臣 嶋田繁太郎
逓信大臣 寺島健
勅令第千百四十四号
海務院官制
第一条 海務院ハ逓信大臣ノ管理ニ属シ水運、船舶、造船、船員其ノ他海事ニ関スル事務ヲ掌ル
第二条 海務院ニ長官官房及左ノ五部ヲ置ク
総務部
運航部
船舶部
船員部
航路部
長官官房ニ於テハ人事、文書及会計ニ関スル事務並ニ他ノ主管ニ属セザル事務ヲ掌ル
総務部ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
一 海事ニ関スル綜合計画ノ設定其ノ他重要海事政策ノ綜合調整ニ関スル事項
二 外地海事行政トノ連絡ニ関スル事項
三 水運事業ノ監督及助成ニ関スル事項
四 船舶ノ保護ニ関スル事項
五 海事情報、海事調査及海事思想普及ニ関スル事項
運航部ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
一 船舶ノ管理ニ関スル事項
二 水上運輸ニ関スル事項
三 港湾運送業ノ監督及助成ニ関スル事項
四 運航用資材ニ関スル事項
船舶部ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
一 造船ニ関スル事業ノ監督及助成ニ関スル事項
二 造船及船舶修繕ニ関スル事項
三 船舶ノ積量測度、検査及登録ニ関スル事項
四 船舶用資材、艤装品其ノ他船舶用品ニ関スル事項
船員部ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
一 船員ノ使用ニ関スル事項
二 船員ノ監督及保護ニ関スル事項
三 船員ノ教育及養成ニ関スル事項
四 船員ノ指導及訓練ニ関スル事項
航路部ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
一 港務、水路、水先、航法及海難ニ関スル事項
二 灯台其ノ他ノ航路標識ニ関スル事項
三 航路標識附属ノ設備ニ依ル気象観測ニ関スル事項
航路部ニ横浜出張所ヲ置キ航路標識用品ノ試験、製造、修繕、調達及配給ニ関スル事項ヲ掌ラシム
横浜出張所長ハ事務官又ハ技師ヲ以テ之ニ充ツ
第三条 海務院ニ左ノ職員ヲ置ク
長官 勅任
次長 一人 勅任
部長 五人 勅任
書記官 専任九人 奏任
事務官 専任二十三人 奏任
海務官 専任四人 奏任
技師 専任二十二人 奏任内二人ヲ勅任ト為スコトヲ得
標識技師 専任三人 奏任
属 専任九十九人 判任
技手 専任四十人 判任
標識技手 専任六百十二人 判任
前項ニ規定スルモノノ外逓信大臣必要ト認ムルトキハ標識技手俸給予算定額内ニ於テ予備員トシテ標識技手二十人以内ヲ置クコトヲ得
第四条 前条ノ職員ノ外逓信大臣ノ奏請ニ依リ関係各庁高等官ノ中ヨリ内閣ニ於テ事務官ヲ命ズルコトヲ得
第五条 海務院ニ参与十五人以内ヲ置キ院務ニ参与セシム
参与ハ逓信大臣ノ奏請ニ依リ関係各庁勅任官及学識経験アル者ノ中ヨリ内閣ニ於テ之ヲ命ズ
学識経験アル者ノ中ヨリ命ゼラレタル参与ノ任期ハ二年トス但シ特別ノ事由アル場合ニ於テハ任期中之ヲ解任スルコトヲ妨ゲズ
参与ハ勅任官ノ待遇トス但シ本官ヲ有スル者ニ付テハ本官ノ受クル待遇ニ依ル
第六条 長官ハ逓信大臣ノ指揮監督ヲ承ケ院務ヲ統理シ所属職員ヲ指揮監督シ判任官以下ノ進退ヲ専行ス但シ船員ノ教育及養成ニシテ海軍予備員候補者トシテ必要ナル事項ニ関シテハ海軍大臣ノ指揮監督ヲ承ク
第七条 次長ハ長官ヲ佐ケ院務ヲ掌理ス
第八条 部長ハ上官ノ命ヲ承ケ部務ヲ掌理ス
第九条 書記官及事務官ハ上官ノ命ヲ承ケ事務ヲ掌ル
第十条 海務官ハ上官ノ命ヲ承ケ海運、造船又ハ船員ノ教育、養成若ハ労務管理ニ関スル事務ヲ掌ル
第十一条 技師ハ上官ノ命ヲ承ケ技術ヲ掌ル
第十二条 標識技師ハ上官ノ命ヲ承ケ航路標識ノ保守及運用並ニ気象観測ヲ掌ル
第十三条 属ハ上官ノ指揮ヲ承ケ事務ニ従事ス
第十四条 技手ハ上官ノ指揮ヲ承ケ技術ニ従事ス
第十五条 標識技手ハ上官ノ指揮ヲ承ケ航路標識ノ保守及運用並ニ気象観測ニ従事ス
第十六条 航路標識ノ種別、名称及位置ハ逓信大臣之ヲ定ム
第十七条 第三条第二項ノ標識技手ハ海務院ノ事務ニ臨時従事セシムルコトヲ得
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
灯台局官制ハ之ヲ廃止ス