朕重要產業團體令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年八月二十九日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
遞信大臣兼鐵道大臣 村田省藏
拓務大臣 豊田貞次郞
農林大臣 井野碩哉
商工大臣 左近司政三
厚生大臣 小泉親彥
勅令第八百三十一號
重要產業團體令
第一章 總則
第一條 國家總動員法(昭和十三年勅令第三百十七號ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第十八條ノ規定ニ基ク重要產業ニ於ケル事業ノ統制ヲ目的トスル團體ニ付テハ別ニ定ムルモノヲ除クノ外本令ノ定ムル所ニ依ル
第二條 本令ヲ適用スベキ重要產業ハ閣令ヲ以テ之ヲ定ム
第三條 本令ニ依ル團體ハ統制會及統制組合トス
統制會又ハ統制組合ハ其ノ名稱中ニ統制會又ハ統制組合ナル文字ヲ用フベシ但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二章 統制會
第四條 統制會ハ國民經濟ノ總力ヲ最モ有效ニ發揮セシムル爲當該產業ノ綜合的統制運營ヲ圖リ且當該產業ニ關スル國策ノ立案及遂行ニ協力スルコトヲ目的トス
第五條 統制會ハ產業ノ種類別ニ之ヲ設立ス
第六條 統制會ハ其ノ目的ヲ達スル爲左ニ揭グル事業ヲ行フ
一 當該產業ニ於ケル生產及配給竝ニ當該產業ニ要スル資材、資金、勞務等ノ需給ニ關スル政府ノ計畫其ノ他當該產業ニ關スル政府ノ計畫ニ對スル參畫
二 當該產業ニ於ケル生產及配給ニ關スル統制指導其ノ他會員及會員タル團體ヲ組織スル者ノ當該產業ニ屬スル事業ニ關スル統制指導
三 當該產業ノ整備確立
四 技術ノ向上、能率ノ增進、規格ノ統一、經理ノ改善其ノ他會員及會員タル團體ヲ組織スル者ノ當該產業ニ屬スル事業ノ發達ニ關スル施設
五 當該產業ニ關スル調査及硏究
六 會員及會員タル團體ヲ組織スル者ノ當該產業ニ屬スル事業ニ關スル檢査
七 前各號ニ揭グルモノノ外統制會ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業
第七條 統制會ノ會員タル資格ヲ有スル者ハ左ニ揭グル者ニシテ主務大臣ノ指定スルモノトス
一 當該產業ヲ營ム者
二 當該產業ヲ營ム者ヲ以テ組織スル團體
三 第一號ニ揭グル者及前號ニ揭グル團體ヲ以テ組織スル團體又ハ前號ニ揭グル團體ヲ以テ組織スル團體
第八條 主務大臣統制會ヲ設立セシメントスルトキハ閣令ノ定ムル所ニ依リ前條ノ規定ニ依リ會員タル資格ヲ有スル者ニ對シ統制會ノ設立ヲ命ズベシ
前項ノ規定ニ依ル統制會ノ設立ノ命令アリタルトキハ閣令ノ定ムル所ニ依リ創立總會ヲ開キ之ニ諮リテ定款其ノ他統制會ノ設立ニ必要ナル事項ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第九條 統制會ノ定款ニハ左ニ揭グル事項ヲ記載スベシ
一 目的
二 名稱
三 事務所ノ所在地
四 會員ニ關スル規定
五 事業及其ノ執行ニ關スル規定
六 役員ニ關スル規定
七 會議ニ關スル規定
八 會計ニ關スル規定
第十條 統制會ハ第八條第二項ノ認可アリタル時又ハ國家總動員法第十八條第三項ノ規定ニ依リ定款ノ作成アリタル時成立ス
前項ノ場合ニ於テハ主務大臣ハ統制會成立ノ旨及定款ヲ吿示スベシ
第十一條 統制會成立シタルトキハ其ノ會員タル資格ヲ有スル者ハ總テ其ノ統制會ノ會員トス
第十二條 統制會ニハ左ノ役員ヲ置クベシ
會長 一人
理事 若干人
監事 若干人
評議員 若干人
統制會ニハ前項ノ役員ノ外定款ノ定ムル所ニ依リ副會長二人以內又ハ理事長一人ヲ置クコトヲ得
第十三條 會長ハ統制會ヲ代表シ當該產業ノ統制指導其ノ他ノ會務ヲ總理ス
副會長ハ會長ヲ輔佐シ豫メ會長ノ定ムル順位ニ依リ會長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ會長缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事長ハ會長及副會長ヲ輔佐シ會務ヲ掌理シ會長及副會長共ニ事故アルトキハ會長ノ職務ヲ代理シ會長及副會長共ニ缺員ノトキハ會長ノ職務ヲ行フ
理事ハ會長、副會長及理事長ヲ輔佐シ會務ヲ分掌シ豫メ會長ノ定ムル順位ニ依リ會長、副會長及理事長共ニ事故アルトキハ會長ノ職務ヲ代理シ會長、副會長及理事長共ニ缺員ノトキハ會長ノ職務ヲ行フ
監事ハ統制會ノ財產ノ狀況ヲ監査ス
評議員ハ會長ノ諮問ニ對シ答申シ又ハ會長ニ對シ意見ヲ具申ス
第十四條 會長ハ銓衡委員ノ推薦シタル者ノ中ヨリ主務大臣之ヲ命ズ
前項ノ銓衡委員ハ當該產業ニ關シ經驗アル者及學識アル者ノ中ヨリ主務大臣之ヲ命ズ
副會長、理事長、理事及評議員ハ當該產業ニ關シ經驗アル者及學識アル者ノ中ヨリ會長之ヲ命ズ
監事ハ閣令ノ定ムル所ニ依リ評議員之ヲ選任ス
第三項ノ規定ニ依ル副會長、理事長及理事ノ任命ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
主務大臣第一項ノ規定ニ依ル任命又ハ前項ノ認可ヲ爲シタルトキハ其ノ旨ヲ吿示スベシ
第十五條 統制會ノ役員ノ任期ハ左ノ通トス
會長 三年
副會長 三年
理事長 三年
理事 三年
監事 二年
評議員 二年
會長必要アリト認ムルトキハ任期中ト雖モ副會長、理事長又ハ理事ヲ解任スルコトヲ得
前項ノ解任ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
主務大臣前項ノ認可ヲ爲シタルトキハ其ノ旨ヲ吿示スベシ
第十六條 會長、副會長、理事長及理事ハ他ノ職務又ハ商業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十七條 統制會ハ當該產業ニ關スル事項ニ付關係各大臣ニ建議スルコトヲ得
統制會ハ關係各大臣ノ諮問ニ對シ答申スベシ
第十八條 統制會ハ其ノ會員及會員タル團體ヲ組織スル者ニ對シ當該產業ニ關スル事項ノ調査ヲ爲ス爲必要ナル資料ノ提出ヲ求ムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ資料ノ提出ヲ求メラレタル者ハ遲滯ナク之ヲ提出スベシ
第十九條 統制會ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ會員ニ對シ經費ヲ賦課スルコトヲ得
第二十條 統制會ハ其ノ事業ヲ行フ爲特ニ必要アルトキハ閣令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ會員ノ全部又ハ一部ニ對シ前條ノ規定ニ依ル賦課金ノ外特別ノ賦課金ヲ課スルコトヲ得
第二十一條 統制會ハ定款ノ定ムル所ニ依リ定款又ハ統制規程ニ違反シタル會員ニ對シ過怠金ヲ課スルコトヲ得
第二十二條 第十九條若ハ第二十條ノ規定ニ依ル賦課金又ハ過怠金ヲ滯納スル者アル場合ニ於テ統制會ノ請求アルトキハ市町村ハ市町村稅ノ例ニ依リ之ヲ處分ス此ノ場合ニ於テ統制會ハ其ノ徵收金額ノ百分ノ四ヲ市町村ニ交付スベシ
前項中町村トアルハ町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ之ニ準ズベキモノトス
第一項ノ規定ニ依ル徵收金ノ先取特權ノ順位ハ市町村其ノ他之ニ準ズベキモノノ徵收金ニ次ギ其ノ時效ニ付テハ市町村稅ノ例ニ依ル
第二十三條 統制會ハ其ノ會員又ハ會員タル團體ヲ組織スル者ノ當該產業ニ屬スル事業ニ關スル統制規程ヲ設定スベシ
第二十四條 定款ノ變更竝ニ統制規程ノ設定及變更ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
主務大臣前項ノ認可ヲ爲シタルトキハ其ノ旨ヲ吿示スベシ
第二十五條 統制會ノ會員及會員タル團體ヲ組織スル者ハ當該統制會ノ統制規程ニ依ルベシ
第二十六條 統制會必要アリト認ムルトキハ統制會ノ役員又ハ使用人ヲシテ會員及會員タル團體ヲ組織スル者ノ業務若ハ財產ノ狀況又ハ帳簿書類、設備其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
統制會ノ會員及會員タル團體ヲ組織スル者ハ前項ノ規定ニ依ル檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避スルコトヲ得ズ
統制會第一項ノ規定ニ依リ役員又ハ使用人ヲシテ檢査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第二十七條 會長當該統制會ノ會員タル法人又ハ會員タル團體ヲ組織スル法人ノ理事、取締役其ノ他法人ノ業務ヲ執行スル役員ノ行爲ガ左ノ各號ノ一ニ該當シ當該產業ノ統制運營上特ニ支障アリト認ムルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ當該法人ニ對シ其ノ役員ノ解任ヲ命ズルコトヲ得但シ當該統制會ノ會員タル統制組合ノ理事長ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
一 法令又ハ法令ニ基キテ爲ス行政官廳ノ處分ニ違反シタルトキ
二 公益ヲ害シタルトキ
三 統制規程ニ違反シタルトキ
第二十八條 通常總會ハ每年一囘會長之ヲ招集ス
會長必要アリト認ムルトキハ何時ニテモ臨時總會ヲ招集スルコトヲ得
第二十九條 左ニ揭グル事項ハ總會ニ諮リ會長之ヲ決ス
一 定款ノ變更
二 收支豫算
三 第十九條又ハ第二十條ノ規定ニ依ル賦課金ノ賦課徵收方法
第三十條 會長ハ每年總會ニ統制會ノ事業ノ狀況ヲ報吿シ監事ヲシテ財產ノ狀況ヲ報吿セシムベシ
第三十一條 行政官廳必要アリト認ムルトキハ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ依リ統制會又ハ其ノ會員若ハ會員タル團體ヲ組織スル者ヨリ其ノ事業ニ關シ報吿ヲ徵シ又ハ當該官吏ヲシテ其ノ事務所、營業所、工場、事業場其ノ他ノ場所ニ臨檢シ業務ノ狀況若ハ帳簿書類、設備其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ當該官吏ヲシテ臨檢檢査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第三十二條 關係各大臣ハ統制會ニ對シ當該產業ニ關スル事項ノ調査ヲ命ズルコトヲ得
第三十三條 主務大臣當該產業ノ統制運營上必要アリト認ムルトキハ統制會ニ對シ必要ナル事業ノ施行ヲ命ジ又ハ定款ノ變更其ノ他必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第三十四條 主務大臣ハ統制會ニ對シ業務及會計ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
主務大臣必要アリト認ムルトキハ監事ヲシテ監査ノ結果ヲ報吿セシムルコトヲ得
第三十五條 主務大臣ハ會長ノ行爲ガ法令又ハ法令ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキ、公益ヲ害シタルトキ其ノ他當該產業ノ統制運營上會長ヲ不適當ナリト認ムルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
主務大臣ハ副會長、理事長、理事、監事又ハ評議員ノ行爲ガ法令若ハ法令ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタルトキ又ハ公益ヲ害シタルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
主務大臣前二項ノ規定ニ依リ會長、副會長、理事長又ハ理事ヲ解任シタルトキハ其ノ旨ヲ吿示スベシ
第三十六條 統制會ハ主務大臣ノ命令ニ因リテ解散ス
主務大臣前項ノ命令ヲ爲シタルトキハ其ノ旨ヲ吿示スベシ
第三章 統制組合
第三十七條 統制組合ハ國民經濟ノ總力ヲ最モ有效ニ發揮セシムル爲當該產業ノ統制運營ヲ圖リ且當該產業ニ關スル國策ノ遂行ニ協力スルコトヲ目的トス
第三十八條 統制組合ハ一定地區ニ於テ產業ノ種類別ニ之ヲ設立ス
前項ノ地區ハ特別ノ場合ヲ除クノ外道府縣又ハ二以上ノ道府縣ノ區域ニ依ル
第三十九條 統制組合ハ其ノ目的ヲ達スル爲左ニ揭グル事業ヲ行フ
一 當該地區內ノ當該產業ニ於ケル生產及配給ニ關スル統制指導其ノ他組合員ノ當該產業ニ屬スル事業ニ關スル統制指導
二 當該地區內ニ於ケル當該產業ノ整備確立
三 技術ノ向上、能率ノ增進、經理ノ改善其ノ他組合員ノ當該產業ニ屬スル事業ノ發達ニ關スル施設
四 當該地區內ニ於ケル當該產業ニ關スル調査及硏究
五 組合員ノ當該產業ニ屬スル事業ニ關スル檢査
六 前各號ニ揭グルモノノ外統制組合ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業
第四十條 統制組合ノ組合員タル資格ヲ有スル者ハ左ニ揭グル者ニシテ主務大臣ノ指定スルモノトス
一 當該地區內ニ於テ當該產業ヲ營ム者
二 當該地區內ニ於テ當該產業ヲ營ム者ヲ以テ組織スル團體
三 第一號ニ揭グル者及前號ニ揭グル團體ヲ以テ組織スル團體又ハ前號ニ揭グル團體ヲ以テ組織スル團體
第四十一條 主務大臣統制組合ヲ設立セシメントスルトキハ閣令ノ定ムル所ニ依リ地區ヲ定メ前條ノ規定ニ依リ組合員タル資格ヲ有スル者ニ對シ統制組合ノ設立ヲ命ズベシ
第四十二條 統制組合ノ定款ニハ左ニ揭グル事項ヲ記載スベシ
一 目的
二 名稱
三 地區
四 事務所ノ所在地
五 組合員ニ關スル規定
六 事業及其ノ執行ニ關スル規定
七 役員ニ關スル規定
八 會議ニ關スル規定
九 會計ニ關スル規定
第四十三條 統制組合ニハ左ノ役員ヲ置クベシ
理事長 一人
理事 若干人
監事 若干人
評議員 若干人
統制組合ニハ前項ノ役員ノ外定款ノ定ムル所ニ依リ副理事長二人以內ヲ置クコトヲ得
第四十四條 理事長ハ統制組合ヲ代表シ當該產業ノ統制指導其ノ他ノ組合事務ヲ總理ス
理事長ハ當該產業ニ關シ經驗アル者及學識アル者ノ中ヨリ當該統制組合ノ所屬スル統制會ノ會長之ヲ命ズ當該統制組合ノ所屬スル統制會ナキトキハ當該產業ニ關シ經驗アル者及學識アル者ノ中ヨリ主務大臣之ヲ命ズ
前項前段ノ規定ニ依ル理事長ノ任命ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第四十五條 第十三條第二項第四項乃至第六項及第十四條第三項乃至第五項ノ規定ハ統制組合ノ副理事長、理事、監事及評議員ニ之ヲ準用ス
第四十六條 統制組合ノ役員ノ任期ハ左ノ通トス
理事長 三年
副理事長 三年
理事 三年
監事 二年
評議員 二年
理事長必要アリト認ムルトキハ任期中ト雖モ副理事長又ハ理事ヲ解任スルコトヲ得
前項ノ解任ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第四十七條 統制會ノ會長ハ當該統制會ノ會員タル統制組合ノ理事長ノ行爲ガ法令又ハ法令ニ基キテ爲ス行政官廳ノ處分ニ違反シタルトキ、公益ヲ害シタルトキ其ノ他當該產業ノ統制運營上理事長ヲ不適當ナリト認ムルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
前項ノ解任ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第四十八條 統制組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ總會ニ代ルベキ總代會ヲ設クルコトヲ得
第二十八條乃至第三十條ノ規定ハ前項ノ總代會ニ之ヲ準用ス
第四十九條 統制組合ハ閣令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第五十條 第八條第二項、第十條、第十一條、第十七條乃至第二十六條、第二十八條乃至第三十四條、第三十五條第一項第二項及第三十六條第一項ノ規定ハ統制組合ニ之ヲ準用ス但シ主務大臣又ハ關係各大臣トアルハ第八條第二項、第十條第二項及第三十六條第一項ニ規定スル場合ヲ除クノ外行政官廳トス
第四章 雜則
第五十一條 第十七條第二項、第三十一條第一項及第三十二條(各前條ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)竝ニ第三十三條(前條ニ於テ準用スル場合ヲ含ム以下本條及第五十二條ニ於テ同ジ)中關係各大臣、行政官廳又ハ主務大臣トアルハ當該諮問、報吿、臨檢檢査又ハ命令ガ軍事上ノ必要ニ基ク場合ニ於テハ陸軍大臣又ハ海軍大臣トス
陸軍大臣又ハ海軍大臣第三十三條ノ規定ニ依リ命令ヲ爲サントスルトキハ當該統制會又ハ當該統制組合ノ所管大臣ニ協議スベシ
第五十二條 當該統制會又ハ當該統制組合ノ所管大臣第三十三條ノ規定ニ依リ命令ヲ爲サントスル場合ニ於テ當該命令ガ軍事上ニ影響ヲ及ボスベキモノナルトキハ陸軍大臣又ハ海軍大臣ニ協議スベシ
第五十三條 第五十一條第一項ノ場合ヲ除クノ外本令中主務大臣、關係各大臣又ハ當該統制會又ハ當該統制組合ノ所管大臣トアルハ朝鮮、臺灣、樺太又ハ南洋群島(以下外地ト稱ス)ニ在リテハ各朝鮮總督、臺灣總督、樺太廳長官又ハ南洋廳長官トス
第七條各號ノ一ニ該當スル者ニシテ內地ニ在ルモノト同條各號ノ一ニ該當スル者ニシテ外地ニ在ルモノトヲ以テ組織スル統制會ニ關スル場合ニ在リテハ本令中主務大臣、關係各大臣又ハ當該統制會又ハ當該統制組合ノ所管大臣トアルハ外地ノミニ關スル事項ニ關スル場合ニ限リ前項ノ規定ニ拘ラズ各朝鮮總督、臺灣總督、樺太廳長官又ハ南洋廳長官トス
第二十二條中市町村トアルハ朝鮮ニ在リテハ府邑面、臺灣ニ在リテハ市街庄、南洋群島ニ在リテハ南洋群島地方費トシ市町村稅トアルハ朝鮮ニ在リテハ國稅、臺灣ニ在リテハ市街庄稅、南洋群島ニ在リテハ地方費稅トシ百分ノ四トアルハ朝鮮ニ在リテハ百分ノ五トス
第三十八條中道府縣トアルハ朝鮮ニ在リテハ道、臺灣ニ在リテハ州又ハ廳、樺太及南洋群島ニ在リテハ支廳管轄區域トス
第二項ノ統制會ニ關スル場合ヲ除クノ外本令中閣令トアルハ朝鮮又ハ臺灣ニ在リテハ總督府令、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ廳令トス
第五十四條 主務大臣前條第二項ノ統制會ニ關シ左ニ揭グル處分ヲ爲サントスルトキハ朝鮮總督、臺灣總督、樺太廳長官又ハ南洋廳長官ニ協議スベシ
一 第七條ノ規定ニ依ル指定又ハ第十四條第一項若ハ第二項ノ規定ニ依ル任命但シ第七條ノ規定ニ依ル指定ハ同條各號ノ一ニ該當スル者ニシテ外地ニ在ルモノヲ指定スル場合ニ限ル
二 第八條第一項、第三十三條又ハ第三十六條第一項ノ規定ニ依ル命令但シ第三十三條ノ規定ニ依ル命令ハ會員又ハ會員タル團體ヲ組織スル者ガ外地ニ於テ行フ事業ニ關スルモノナル場合ニ限ル
三 第八條第二項、第十四條第五項、第十五條第三項、第十六條、第二十條、第二十四條第一項又ハ第二十七條ノ規定ニ依ル認可但シ第二十條ノ規定ニ依ル認可ハ當該統制會ノ會員ニシテ外地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スルモノニ對シ賦課金ヲ課スル場合、第二十七條ノ規定ニ依ル認可ハ當該統制會ノ會員タル法人又ハ會員タル團體ヲ組織スル法人ニシテ外地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スルモノノ役員ノ解任ヲ命ズル場合ニ限ル
四 第三十五條第一項又ハ第二項ノ規定ニ依ル解任
第五十五條 朝鮮總督、臺灣總督、樺太廳長官又ハ南洋廳長官左ニ揭グル處分ヲ爲サントスルトキハ主務大臣ニ協議スベシ
一 第五十三條第二項ノ統制會ニ對スル第三十三條ノ規定ニ依ル命令
二 第五十三條第二項ノ統制會アル場合ニ於テ第四十一條ノ規定ニ依リテ爲ス當該產業ニ關スル統制組合ノ設立ノ命令
三 第五十三條第二項ノ統制會ノ會員タル統制組合ニ對スル第五十條ニ於テ準用スル第三十六條第一項ノ規定ニ依ル命令
第五十六條 本令ニ規定スルモノヲ除クノ外統制會及統制組合ニ關シ必要ナル事項ハ閣令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
本令ハ昭和十六年九月一日ヨリ之ヲ施行ス
朕重要産業団体令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年八月二十九日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
逓信大臣兼鉄道大臣 村田省蔵
拓務大臣 豊田貞次郎
農林大臣 井野碩哉
商工大臣 左近司政三
厚生大臣 小泉親彦
勅令第八百三十一号
重要産業団体令
第一章 総則
第一条 国家総動員法(昭和十三年勅令第三百十七号ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第十八条ノ規定ニ基ク重要産業ニ於ケル事業ノ統制ヲ目的トスル団体ニ付テハ別ニ定ムルモノヲ除クノ外本令ノ定ムル所ニ依ル
第二条 本令ヲ適用スベキ重要産業ハ閣令ヲ以テ之ヲ定ム
第三条 本令ニ依ル団体ハ統制会及統制組合トス
統制会又ハ統制組合ハ其ノ名称中ニ統制会又ハ統制組合ナル文字ヲ用フベシ但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二章 統制会
第四条 統制会ハ国民経済ノ総力ヲ最モ有効ニ発揮セシムル為当該産業ノ綜合的統制運営ヲ図リ且当該産業ニ関スル国策ノ立案及遂行ニ協力スルコトヲ目的トス
第五条 統制会ハ産業ノ種類別ニ之ヲ設立ス
第六条 統制会ハ其ノ目的ヲ達スル為左ニ掲グル事業ヲ行フ
一 当該産業ニ於ケル生産及配給並ニ当該産業ニ要スル資材、資金、労務等ノ需給ニ関スル政府ノ計画其ノ他当該産業ニ関スル政府ノ計画ニ対スル参画
二 当該産業ニ於ケル生産及配給ニ関スル統制指導其ノ他会員及会員タル団体ヲ組織スル者ノ当該産業ニ属スル事業ニ関スル統制指導
三 当該産業ノ整備確立
四 技術ノ向上、能率ノ増進、規格ノ統一、経理ノ改善其ノ他会員及会員タル団体ヲ組織スル者ノ当該産業ニ属スル事業ノ発達ニ関スル施設
五 当該産業ニ関スル調査及研究
六 会員及会員タル団体ヲ組織スル者ノ当該産業ニ属スル事業ニ関スル検査
七 前各号ニ掲グルモノノ外統制会ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業
第七条 統制会ノ会員タル資格ヲ有スル者ハ左ニ掲グル者ニシテ主務大臣ノ指定スルモノトス
一 当該産業ヲ営ム者
二 当該産業ヲ営ム者ヲ以テ組織スル団体
三 第一号ニ掲グル者及前号ニ掲グル団体ヲ以テ組織スル団体又ハ前号ニ掲グル団体ヲ以テ組織スル団体
第八条 主務大臣統制会ヲ設立セシメントスルトキハ閣令ノ定ムル所ニ依リ前条ノ規定ニ依リ会員タル資格ヲ有スル者ニ対シ統制会ノ設立ヲ命ズベシ
前項ノ規定ニ依ル統制会ノ設立ノ命令アリタルトキハ閣令ノ定ムル所ニ依リ創立総会ヲ開キ之ニ諮リテ定款其ノ他統制会ノ設立ニ必要ナル事項ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第九条 統制会ノ定款ニハ左ニ掲グル事項ヲ記載スベシ
一 目的
二 名称
三 事務所ノ所在地
四 会員ニ関スル規定
五 事業及其ノ執行ニ関スル規定
六 役員ニ関スル規定
七 会議ニ関スル規定
八 会計ニ関スル規定
第十条 統制会ハ第八条第二項ノ認可アリタル時又ハ国家総動員法第十八条第三項ノ規定ニ依リ定款ノ作成アリタル時成立ス
前項ノ場合ニ於テハ主務大臣ハ統制会成立ノ旨及定款ヲ告示スベシ
第十一条 統制会成立シタルトキハ其ノ会員タル資格ヲ有スル者ハ総テ其ノ統制会ノ会員トス
第十二条 統制会ニハ左ノ役員ヲ置クベシ
会長 一人
理事 若干人
監事 若干人
評議員 若干人
統制会ニハ前項ノ役員ノ外定款ノ定ムル所ニ依リ副会長二人以内又ハ理事長一人ヲ置クコトヲ得
第十三条 会長ハ統制会ヲ代表シ当該産業ノ統制指導其ノ他ノ会務ヲ総理ス
副会長ハ会長ヲ輔佐シ予メ会長ノ定ムル順位ニ依リ会長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ会長欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事長ハ会長及副会長ヲ輔佐シ会務ヲ掌理シ会長及副会長共ニ事故アルトキハ会長ノ職務ヲ代理シ会長及副会長共ニ欠員ノトキハ会長ノ職務ヲ行フ
理事ハ会長、副会長及理事長ヲ輔佐シ会務ヲ分掌シ予メ会長ノ定ムル順位ニ依リ会長、副会長及理事長共ニ事故アルトキハ会長ノ職務ヲ代理シ会長、副会長及理事長共ニ欠員ノトキハ会長ノ職務ヲ行フ
監事ハ統制会ノ財産ノ状況ヲ監査ス
評議員ハ会長ノ諮問ニ対シ答申シ又ハ会長ニ対シ意見ヲ具申ス
第十四条 会長ハ銓衡委員ノ推薦シタル者ノ中ヨリ主務大臣之ヲ命ズ
前項ノ銓衡委員ハ当該産業ニ関シ経験アル者及学識アル者ノ中ヨリ主務大臣之ヲ命ズ
副会長、理事長、理事及評議員ハ当該産業ニ関シ経験アル者及学識アル者ノ中ヨリ会長之ヲ命ズ
監事ハ閣令ノ定ムル所ニ依リ評議員之ヲ選任ス
第三項ノ規定ニ依ル副会長、理事長及理事ノ任命ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
主務大臣第一項ノ規定ニ依ル任命又ハ前項ノ認可ヲ為シタルトキハ其ノ旨ヲ告示スベシ
第十五条 統制会ノ役員ノ任期ハ左ノ通トス
会長 三年
副会長 三年
理事長 三年
理事 三年
監事 二年
評議員 二年
会長必要アリト認ムルトキハ任期中ト雖モ副会長、理事長又ハ理事ヲ解任スルコトヲ得
前項ノ解任ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
主務大臣前項ノ認可ヲ為シタルトキハ其ノ旨ヲ告示スベシ
第十六条 会長、副会長、理事長及理事ハ他ノ職務又ハ商業ニ従事スルコトヲ得ズ但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十七条 統制会ハ当該産業ニ関スル事項ニ付関係各大臣ニ建議スルコトヲ得
統制会ハ関係各大臣ノ諮問ニ対シ答申スベシ
第十八条 統制会ハ其ノ会員及会員タル団体ヲ組織スル者ニ対シ当該産業ニ関スル事項ノ調査ヲ為ス為必要ナル資料ノ提出ヲ求ムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ資料ノ提出ヲ求メラレタル者ハ遅滞ナク之ヲ提出スベシ
第十九条 統制会ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ会員ニ対シ経費ヲ賦課スルコトヲ得
第二十条 統制会ハ其ノ事業ヲ行フ為特ニ必要アルトキハ閣令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ会員ノ全部又ハ一部ニ対シ前条ノ規定ニ依ル賦課金ノ外特別ノ賦課金ヲ課スルコトヲ得
第二十一条 統制会ハ定款ノ定ムル所ニ依リ定款又ハ統制規程ニ違反シタル会員ニ対シ過怠金ヲ課スルコトヲ得
第二十二条 第十九条若ハ第二十条ノ規定ニ依ル賦課金又ハ過怠金ヲ滞納スル者アル場合ニ於テ統制会ノ請求アルトキハ市町村ハ市町村税ノ例ニ依リ之ヲ処分ス此ノ場合ニ於テ統制会ハ其ノ徴収金額ノ百分ノ四ヲ市町村ニ交付スベシ
前項中町村トアルハ町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ之ニ準ズベキモノトス
第一項ノ規定ニ依ル徴収金ノ先取特権ノ順位ハ市町村其ノ他之ニ準ズベキモノノ徴収金ニ次ギ其ノ時効ニ付テハ市町村税ノ例ニ依ル
第二十三条 統制会ハ其ノ会員又ハ会員タル団体ヲ組織スル者ノ当該産業ニ属スル事業ニ関スル統制規程ヲ設定スベシ
第二十四条 定款ノ変更並ニ統制規程ノ設定及変更ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
主務大臣前項ノ認可ヲ為シタルトキハ其ノ旨ヲ告示スベシ
第二十五条 統制会ノ会員及会員タル団体ヲ組織スル者ハ当該統制会ノ統制規程ニ依ルベシ
第二十六条 統制会必要アリト認ムルトキハ統制会ノ役員又ハ使用人ヲシテ会員及会員タル団体ヲ組織スル者ノ業務若ハ財産ノ状況又ハ帳簿書類、設備其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得
統制会ノ会員及会員タル団体ヲ組織スル者ハ前項ノ規定ニ依ル検査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避スルコトヲ得ズ
統制会第一項ノ規定ニ依リ役員又ハ使用人ヲシテ検査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ
第二十七条 会長当該統制会ノ会員タル法人又ハ会員タル団体ヲ組織スル法人ノ理事、取締役其ノ他法人ノ業務ヲ執行スル役員ノ行為ガ左ノ各号ノ一ニ該当シ当該産業ノ統制運営上特ニ支障アリト認ムルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ当該法人ニ対シ其ノ役員ノ解任ヲ命ズルコトヲ得但シ当該統制会ノ会員タル統制組合ノ理事長ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
一 法令又ハ法令ニ基キテ為ス行政官庁ノ処分ニ違反シタルトキ
二 公益ヲ害シタルトキ
三 統制規程ニ違反シタルトキ
第二十八条 通常総会ハ毎年一回会長之ヲ招集ス
会長必要アリト認ムルトキハ何時ニテモ臨時総会ヲ招集スルコトヲ得
第二十九条 左ニ掲グル事項ハ総会ニ諮リ会長之ヲ決ス
一 定款ノ変更
二 収支予算
三 第十九条又ハ第二十条ノ規定ニ依ル賦課金ノ賦課徴収方法
第三十条 会長ハ毎年総会ニ統制会ノ事業ノ状況ヲ報告シ監事ヲシテ財産ノ状況ヲ報告セシムベシ
第三十一条 行政官庁必要アリト認ムルトキハ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ依リ統制会又ハ其ノ会員若ハ会員タル団体ヲ組織スル者ヨリ其ノ事業ニ関シ報告ヲ徴シ又ハ当該官吏ヲシテ其ノ事務所、営業所、工場、事業場其ノ他ノ場所ニ臨検シ業務ノ状況若ハ帳簿書類、設備其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ当該官吏ヲシテ臨検検査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ
第三十二条 関係各大臣ハ統制会ニ対シ当該産業ニ関スル事項ノ調査ヲ命ズルコトヲ得
第三十三条 主務大臣当該産業ノ統制運営上必要アリト認ムルトキハ統制会ニ対シ必要ナル事業ノ施行ヲ命ジ又ハ定款ノ変更其ノ他必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第三十四条 主務大臣ハ統制会ニ対シ業務及会計ニ関シ監督上必要ナル命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得
主務大臣必要アリト認ムルトキハ監事ヲシテ監査ノ結果ヲ報告セシムルコトヲ得
第三十五条 主務大臣ハ会長ノ行為ガ法令又ハ法令ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキ、公益ヲ害シタルトキ其ノ他当該産業ノ統制運営上会長ヲ不適当ナリト認ムルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
主務大臣ハ副会長、理事長、理事、監事又ハ評議員ノ行為ガ法令若ハ法令ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキ又ハ公益ヲ害シタルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
主務大臣前二項ノ規定ニ依リ会長、副会長、理事長又ハ理事ヲ解任シタルトキハ其ノ旨ヲ告示スベシ
第三十六条 統制会ハ主務大臣ノ命令ニ因リテ解散ス
主務大臣前項ノ命令ヲ為シタルトキハ其ノ旨ヲ告示スベシ
第三章 統制組合
第三十七条 統制組合ハ国民経済ノ総力ヲ最モ有効ニ発揮セシムル為当該産業ノ統制運営ヲ図リ且当該産業ニ関スル国策ノ遂行ニ協力スルコトヲ目的トス
第三十八条 統制組合ハ一定地区ニ於テ産業ノ種類別ニ之ヲ設立ス
前項ノ地区ハ特別ノ場合ヲ除クノ外道府県又ハ二以上ノ道府県ノ区域ニ依ル
第三十九条 統制組合ハ其ノ目的ヲ達スル為左ニ掲グル事業ヲ行フ
一 当該地区内ノ当該産業ニ於ケル生産及配給ニ関スル統制指導其ノ他組合員ノ当該産業ニ属スル事業ニ関スル統制指導
二 当該地区内ニ於ケル当該産業ノ整備確立
三 技術ノ向上、能率ノ増進、経理ノ改善其ノ他組合員ノ当該産業ニ属スル事業ノ発達ニ関スル施設
四 当該地区内ニ於ケル当該産業ニ関スル調査及研究
五 組合員ノ当該産業ニ属スル事業ニ関スル検査
六 前各号ニ掲グルモノノ外統制組合ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業
第四十条 統制組合ノ組合員タル資格ヲ有スル者ハ左ニ掲グル者ニシテ主務大臣ノ指定スルモノトス
一 当該地区内ニ於テ当該産業ヲ営ム者
二 当該地区内ニ於テ当該産業ヲ営ム者ヲ以テ組織スル団体
三 第一号ニ掲グル者及前号ニ掲グル団体ヲ以テ組織スル団体又ハ前号ニ掲グル団体ヲ以テ組織スル団体
第四十一条 主務大臣統制組合ヲ設立セシメントスルトキハ閣令ノ定ムル所ニ依リ地区ヲ定メ前条ノ規定ニ依リ組合員タル資格ヲ有スル者ニ対シ統制組合ノ設立ヲ命ズベシ
第四十二条 統制組合ノ定款ニハ左ニ掲グル事項ヲ記載スベシ
一 目的
二 名称
三 地区
四 事務所ノ所在地
五 組合員ニ関スル規定
六 事業及其ノ執行ニ関スル規定
七 役員ニ関スル規定
八 会議ニ関スル規定
九 会計ニ関スル規定
第四十三条 統制組合ニハ左ノ役員ヲ置クベシ
理事長 一人
理事 若干人
監事 若干人
評議員 若干人
統制組合ニハ前項ノ役員ノ外定款ノ定ムル所ニ依リ副理事長二人以内ヲ置クコトヲ得
第四十四条 理事長ハ統制組合ヲ代表シ当該産業ノ統制指導其ノ他ノ組合事務ヲ総理ス
理事長ハ当該産業ニ関シ経験アル者及学識アル者ノ中ヨリ当該統制組合ノ所属スル統制会ノ会長之ヲ命ズ当該統制組合ノ所属スル統制会ナキトキハ当該産業ニ関シ経験アル者及学識アル者ノ中ヨリ主務大臣之ヲ命ズ
前項前段ノ規定ニ依ル理事長ノ任命ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第四十五条 第十三条第二項第四項乃至第六項及第十四条第三項乃至第五項ノ規定ハ統制組合ノ副理事長、理事、監事及評議員ニ之ヲ準用ス
第四十六条 統制組合ノ役員ノ任期ハ左ノ通トス
理事長 三年
副理事長 三年
理事 三年
監事 二年
評議員 二年
理事長必要アリト認ムルトキハ任期中ト雖モ副理事長又ハ理事ヲ解任スルコトヲ得
前項ノ解任ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第四十七条 統制会ノ会長ハ当該統制会ノ会員タル統制組合ノ理事長ノ行為ガ法令又ハ法令ニ基キテ為ス行政官庁ノ処分ニ違反シタルトキ、公益ヲ害シタルトキ其ノ他当該産業ノ統制運営上理事長ヲ不適当ナリト認ムルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
前項ノ解任ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第四十八条 統制組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ総会ニ代ルベキ総代会ヲ設クルコトヲ得
第二十八条乃至第三十条ノ規定ハ前項ノ総代会ニ之ヲ準用ス
第四十九条 統制組合ハ閣令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
第五十条 第八条第二項、第十条、第十一条、第十七条乃至第二十六条、第二十八条乃至第三十四条、第三十五条第一項第二項及第三十六条第一項ノ規定ハ統制組合ニ之ヲ準用ス但シ主務大臣又ハ関係各大臣トアルハ第八条第二項、第十条第二項及第三十六条第一項ニ規定スル場合ヲ除クノ外行政官庁トス
第四章 雑則
第五十一条 第十七条第二項、第三十一条第一項及第三十二条(各前条ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)並ニ第三十三条(前条ニ於テ準用スル場合ヲ含ム以下本条及第五十二条ニ於テ同ジ)中関係各大臣、行政官庁又ハ主務大臣トアルハ当該諮問、報告、臨検検査又ハ命令ガ軍事上ノ必要ニ基ク場合ニ於テハ陸軍大臣又ハ海軍大臣トス
陸軍大臣又ハ海軍大臣第三十三条ノ規定ニ依リ命令ヲ為サントスルトキハ当該統制会又ハ当該統制組合ノ所管大臣ニ協議スベシ
第五十二条 当該統制会又ハ当該統制組合ノ所管大臣第三十三条ノ規定ニ依リ命令ヲ為サントスル場合ニ於テ当該命令ガ軍事上ニ影響ヲ及ボスベキモノナルトキハ陸軍大臣又ハ海軍大臣ニ協議スベシ
第五十三条 第五十一条第一項ノ場合ヲ除クノ外本令中主務大臣、関係各大臣又ハ当該統制会又ハ当該統制組合ノ所管大臣トアルハ朝鮮、台湾、樺太又ハ南洋群島(以下外地ト称ス)ニ在リテハ各朝鮮総督、台湾総督、樺太庁長官又ハ南洋庁長官トス
第七条各号ノ一ニ該当スル者ニシテ内地ニ在ルモノト同条各号ノ一ニ該当スル者ニシテ外地ニ在ルモノトヲ以テ組織スル統制会ニ関スル場合ニ在リテハ本令中主務大臣、関係各大臣又ハ当該統制会又ハ当該統制組合ノ所管大臣トアルハ外地ノミニ関スル事項ニ関スル場合ニ限リ前項ノ規定ニ拘ラズ各朝鮮総督、台湾総督、樺太庁長官又ハ南洋庁長官トス
第二十二条中市町村トアルハ朝鮮ニ在リテハ府邑面、台湾ニ在リテハ市街庄、南洋群島ニ在リテハ南洋群島地方費トシ市町村税トアルハ朝鮮ニ在リテハ国税、台湾ニ在リテハ市街庄税、南洋群島ニ在リテハ地方費税トシ百分ノ四トアルハ朝鮮ニ在リテハ百分ノ五トス
第三十八条中道府県トアルハ朝鮮ニ在リテハ道、台湾ニ在リテハ州又ハ庁、樺太及南洋群島ニ在リテハ支庁管轄区域トス
第二項ノ統制会ニ関スル場合ヲ除クノ外本令中閣令トアルハ朝鮮又ハ台湾ニ在リテハ総督府令、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ庁令トス
第五十四条 主務大臣前条第二項ノ統制会ニ関シ左ニ掲グル処分ヲ為サントスルトキハ朝鮮総督、台湾総督、樺太庁長官又ハ南洋庁長官ニ協議スベシ
一 第七条ノ規定ニ依ル指定又ハ第十四条第一項若ハ第二項ノ規定ニ依ル任命但シ第七条ノ規定ニ依ル指定ハ同条各号ノ一ニ該当スル者ニシテ外地ニ在ルモノヲ指定スル場合ニ限ル
二 第八条第一項、第三十三条又ハ第三十六条第一項ノ規定ニ依ル命令但シ第三十三条ノ規定ニ依ル命令ハ会員又ハ会員タル団体ヲ組織スル者ガ外地ニ於テ行フ事業ニ関スルモノナル場合ニ限ル
三 第八条第二項、第十四条第五項、第十五条第三項、第十六条、第二十条、第二十四条第一項又ハ第二十七条ノ規定ニ依ル認可但シ第二十条ノ規定ニ依ル認可ハ当該統制会ノ会員ニシテ外地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スルモノニ対シ賦課金ヲ課スル場合、第二十七条ノ規定ニ依ル認可ハ当該統制会ノ会員タル法人又ハ会員タル団体ヲ組織スル法人ニシテ外地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スルモノノ役員ノ解任ヲ命ズル場合ニ限ル
四 第三十五条第一項又ハ第二項ノ規定ニ依ル解任
第五十五条 朝鮮総督、台湾総督、樺太庁長官又ハ南洋庁長官左ニ掲グル処分ヲ為サントスルトキハ主務大臣ニ協議スベシ
一 第五十三条第二項ノ統制会ニ対スル第三十三条ノ規定ニ依ル命令
二 第五十三条第二項ノ統制会アル場合ニ於テ第四十一条ノ規定ニ依リテ為ス当該産業ニ関スル統制組合ノ設立ノ命令
三 第五十三条第二項ノ統制会ノ会員タル統制組合ニ対スル第五十条ニ於テ準用スル第三十六条第一項ノ規定ニ依ル命令
第五十六条 本令ニ規定スルモノヲ除クノ外統制会及統制組合ニ関シ必要ナル事項ハ閣令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
本令ハ昭和十六年九月一日ヨリ之ヲ施行ス