第一條 國家總動員法(昭和十三年勅令第三百十七號ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第十一條ノ規定ニ依ル銀行、信託會社、保險會社、產業組合中央金庫、商工組合中央金庫、北海道府縣又ハ樺太ヲ區域トスル信用組合聯合會、朝鮮金融組合聯合會、東洋拓殖株式會社、臺灣拓殖株式會社、南洋拓殖株式會社(以下金融機關ト總稱ス)及有價證券引受業法ノ證券引受會社(以下證券引受會社ト稱ス)竝ニ金融機關又ハ證券引受會社ニ非ズシテコール資金ノ貸借若ハ其ノ媒介又ハ手形ノ賣買若ハ其ノ媒介ヲ爲スヲ業トスル者ニシテ主務大臣ノ指定スルモノ(以下ビルブローカート稱ス)ニ對スル資金ノ運用ニ關スル命令ニ付テハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二條 主務大臣資金ノ適用ヲ適正ナラシムル爲必要アリト認ムルトキハ金融機關ニ對シ資金ノ適用ニ關スル計畫ノ變更ヲ命ジ又ハ命令ノ定ムル所ニ依リ資金ノ運用方法ヲ指定スルコトヲ得
第三條 金融機關事業ニ屬スル設備ノ新設、擴張又ハ改良ニ關スル資金以外ノ資金ニシテ命令ノ定ムルモノノ貸付ヲ爲サントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ此等ノ資金ニ付手形ノ割引ヲ爲シ又ハ當座貸越ノ契約ヲ爲サントスルトキ亦同ジ
第四條 證券引受會社又ハビルブローカー命令ノ定ムル資金ノ貸付ヲ爲サントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ此等ノ資金ニ付手形ノ割引ヲ爲サントスルトキ亦同ジ
第五條 第三條及前條ノ規定ニ依ル許可ニ關スル處分ニシテ事案ノ重要ナルモノニ付テハ臨時資金調整法第十二條ノ臨時資金審査委員會ノ議ヲ經ベシ
第六條 主務大臣第三條及第四條ノ規定ニ依ル許可ヲ爲スニ付必要アリト認ムルトキハ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ依リ資金ノ貸付若ハ手形ノ割引ヲ受ケ又ハ當座貸越ノ契約ヲ爲サントスル者ヨリ必要ナル事項ニ關スル報吿ヲ徵スルコトヲ得
第七條 大藏大臣生產力擴充資金其ノ他時局ニ緊要ナル資金ノ供給ヲ圓滑ナラシムル爲必要アリト認ムルトキハ銀行ニ對シ資金ノ融通又ハ有價證券ノ應募、引受若ハ買入ヲ命ズルコトヲ得
大藏大臣前項ノ規定ニ依ル命令ヲ爲サントスルトキハ資金融通審査委員會ノ議ヲ經ベシ
第八條 政府ハ前條第一項ノ規定ニ依ル命令ニ因リ銀行ガ損失ヲ受ケタルトキハ銀行ニ對シ通常生ズベキ損失ヲ補償ス
前項ノ損失ヲ決定スル基準其ノ他損失補償ニ關シ必要ナル事項ハ大藏大臣之ヲ定ム
第九條 前條第一項ノ規定ニ依リ政府ガ銀行ニ對シテ支拂フベキ損失補償金ハ國債證券ヲ以テ之ヲ交付スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ交付スル國債證券ノ交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大臣之ヲ定ム
第十條 大藏大臣ハ銀行ガ第七條第一項ノ規定ニ依ル命令ニ依リ資金ノ融通ヲ爲シタル場合ニ於テ其ノ融通ニ關シ必要アリト認ムルトキハ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ依リ資金ノ融通ヲ受ケタル者ヨリ其ノ業務ニ關スル報吿ヲ徵シ又ハ當該官吏ヲシテ其ノ業務ノ狀況若ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ當該官吏ヲシテ檢査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第十一條 本令ニ於テ主務大臣トアルハ銀行、信託會社、證券引受會社及ビルブローカーニ付テハ大藏大臣、保險會社ニ付テハ商工大臣、商工組合中央金庫ニ付テハ大藏大臣及商工大臣、產業組合中央金庫及北海道府縣ヲ區域トスル信用組合聯合會ニ付テハ大藏大臣及農林大臣、東洋拓殖株式會社、臺灣拓殖株式會社及南洋拓殖株式會社ニ付テハ拓務大臣トス
商工大臣保險會社ニ對シ又ハ拓務大臣東洋拓殖株式會社、臺灣拓殖株式會社若ハ南洋拓殖株式會社ニ對シ第二條ノ命令若ハ指定又ハ第三條ノ許可ヲ爲サントスルトキハ大藏大臣ニ協議スベシ
第十二條 第一條、第三條、第四條及第六條中主務大臣トアルハ朝鮮、臺灣又ハ樺太ニ在リテハ各朝鮮總督、臺灣總督又ハ樺太廳長官トス
第二條中主務大臣トアルハ朝鮮、臺灣又ハ樺太ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル金融機關ニ付テハ各朝鮮總督、臺灣總督又ハ樺太廳長官トス但シ朝鮮銀行、臺灣銀行及臺灣又ハ樺太ニ營業所ヲ有シ銀行法又ハ貯蓄銀行法ノ適用ヲ受クル銀行ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第七條、第八條及第十條中大藏大臣トアルハ朝鮮ニ本店ヲ有スル銀行ニ付テハ朝鮮總督トス但シ朝鮮銀行ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第五條ノ規定ハ朝鮮、臺灣及樺太ニ在リテハ之ヲ適用セズ
朝鮮總督第七條第一項ノ命令ヲ爲サントスルトキハ大藏大臣ニ協議スベシ
大藏大臣前項ノ協議ヲ受ケタルトキハ其ノ協議ヲ受ケタル事項ニ付資金融通審査委員會ノ議ヲ經ベシ
朝鮮總督第八條第二項ノ規定ニ依リ損失ヲ決定スル基準其ノ他損失補償ニ關シ必要ナル事項ヲ定メントスルトキハ大藏大臣ニ協議スベシ