朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ靑年學校令改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年四月二十四日
內閣總理大臣 男爵 平沼騏一郞
文部大臣 男爵 荒木貞夫
勅令第二百五十四號
靑年學校令
第一章 目的
第一條 靑年學校ハ男女靑年ニ對シ其ノ心身ヲ鍛鍊シ德性ヲ涵養スルト共ニ職業及實際生活ニ須要ナル知識技能ヲ授ケ以テ國民タルノ資質ヲ向上セシムルヲ目的トス
第二章 課程
第二條 靑年學校ニ普通科及本科ヲ置ク但シ土地ノ情況ニ依リ普通科又ハ本科ノミヲ置クコトヲ得
靑年學校ニハ硏究科ヲ置クコトヲ得
第三條 普通科ノ敎授及訓練期間ハ二年トス
本科ノ敎授及訓練期間ハ男子ニ在リテハ五年、女子ニ在リテハ三年トス但シ土地ノ情況ニ依リ男子ニ在リテハ四年、女子ニ在リテハ二年ト爲スコトヲ得
硏究科ノ敎授及訓練期間ハ一年以上トス
第四條 普通科ノ敎授及訓練時數ハ各學年二百十時以上トス
本科ノ敎授及訓練時數ハ男子ニ在リテハ第一學年及第二學年ニ於テ各二百十時以上、第三學年以上ニ於テ各百八十時以上トシ女子ニ在リテハ各學年二百十時以上トス
硏究科ノ敎授及訓練時數ハ土地ノ情況ニ依リ適宜之ヲ定ムベシ
第五條 普通科ノ敎授及訓練科目ハ男子ニ在リテハ修身及公民科、普通學科、職業科竝ニ體操科トシ女子ニ在リテハ修身及公民科、普通學科、職業科、家庭科竝ニ體操科トス
本科ノ敎授及訓練科目ハ男子ニ在リテハ修身及公民科、普通學科、職業科竝ニ敎練科トシ女子ニ在リテハ修身及公民科、普通學科、職業科、家庭科竝ニ體操科トス
硏究科ノ敎授及訓練科目ハ本科ノ敎授及訓練科目ニ就キ適宜之ヲ定ムベシ但シ修身及公民科ハ之ヲ缺クコトヲ得ズ
敎授及訓練科目ノ程度ハ文部大臣之ヲ定ム
第六條 靑年學校ニハ特別ノ事項ヲ修得セシムル爲專修科ヲ置クコトヲ得
專修科ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第七條 特別ノ學歷若ハ素養ヲ有スル生徒又ハ現ニ靑年學校以外ノ施設ニ於テ敎育ヲ受クル生徒ニ對シテハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ敎授及訓練科目中其ノ一部ヲ課セザルコトヲ得
第八條 敎授及訓練科目中生徒其ノ身體ノ情況ニ依リ學習スルコト能ハザル科目ハ之ヲ其ノ生徒ニ課セザルコトヲ得
第九條 靑年學校長ハ傳染病ニ罹リ若ハ其ノ虞アル生徒又ハ性行不良ニシテ他ノ生徒ノ敎育ニ妨アリト認ムル生徒ノ靑年學校ニ出席スルヲ停止スルコトヲ得
第十條 靑年學校ノ敎科用圖書ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第三章 就學
第十一條 普通科ニ入學スルコトヲ得ル者ハ尋常小學校卒業者トシ本科ニ入學スルコトヲ得ル者ハ普通科修了者又ハ高等小學校卒業者トス
硏究科ニ入學スルコトヲ得ル者ハ本科卒業者トス
前二項ノ規定ニ依リ入學シ得ル者ノ外特ニ靑年學校ニ入學スルコトヲ得ル者ニ關シテハ文部大臣ノ定ムル所ニ依ル
第十二條 年齡滿十二歲ヲ超エ滿十九歲(滿十九歲ニ達シタル日ニ於テ仍靑年學校本科ノ學年ノ中途ニ在ル者ニ付テハ其ノ學年ノ終)ニ至ル迄ノ男子ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ヲ除クノ外其ノ保護者ニ於テ之ヲ靑年學校ニ就學セシメ義務課程ヲ履修セシムルコトヲ要ス
一 小學校ニ就學セシムベキ者又ハ現ニ小學校ニ在學スル者
二 現ニ高等學校尋常科ニ在學スル者又ハ之ヲ修了シタル者
三 現ニ師範學校本科第一部ニ在學スル者又ハ同第二學年ヲ修了シタル者
四 現ニ中學校ニ在學スル者又ハ同第四學年ヲ修了シタル者
五 現ニ實業學校ニ在學スル者、尋常小學校卒業程度ヲ以テ入學資格トスル修業年限四年以上ノ實業學校ヲ卒業シ若ハ同第四學年ヲ修了シタル者又ハ高等小學校卒業程度ヲ以テ入學資格トスル修業年限二年以上ノ實業學校ヲ卒業シ若ハ同第二學年ヲ修了シタル者
六 靑年學校本科ノ課程ヲ修了シタル者
七 特ニ文部大臣ノ指定スル者
第十三條 前條ノ保護者トハ就學セシメラルベキ者(義務就學者ト稱ス以下同ジ)ニ對シ親權ヲ行フ者ヲ謂フ親權ヲ行フ者ナキトキハ後見人ヲ謂フ
前條ノ義務課程トハ普通科及本科ノ各學年ニ於テ義務就學者ガ第四條ニ規定スル各最低時數ヲ以テ履修スベキ課程ヲ謂フ
第十四條 義務就學者ノ瘋癲白痴又ハ不具癈疾其ノ他已ムヲ得ザル事由ニ因リ之ヲ就學セシムルコト能ハズト認ムルトキハ市町村長ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ第十二條ニ規定スル保護者ノ義務ヲ免除スルコトヲ得
義務就學者ノ病弱其ノ他已ムヲ得ザル事由ニ因リ就學時期ニ於テ之ヲ就學セシムルコト能ハズト認ムルトキハ市町村長ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ其ノ就學ヲ猶豫スルコトヲ得
第十五條 義務就學者靑年學校以外ノ施設ニ於テ靑年學校ノ課程ト同等以上ト認ムル課程ヲ修ムルトキハ第十二條ニ規定スル保護者ノ義務ノ履行ニ關シテハ其ノ期間靑年學校ニ就學スルモノト看做ス
前項ノ課程ノ認定ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第十六條 第七條及第八條ノ場合ニ於テハ第十二條ニ規定スル保護者ノ義務課程ヲ履修セシムベキ義務ハ各其ノ限度ニ於テ免除セラレタルモノトス
第十七條 義務就學者ヲ使用スル者ハ其ノ使用ニ依リテ義務就學者ノ義務課程ノ履修ヲ妨グルコトヲ得ズ
第四章 敎員
第十八條 靑年學校ノ敎員ノ資格ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第十九條 靑年學校ニハ相當員數ノ專任敎員ヲ置クベシ
第五章 設置
第二十條 北海道府縣、市町村、市町村學校組合及町村學校組合ハ靑年學校ヲ設置スルコトヲ得
市町村、市町村學校組合及町村學校組合ハ靑年學校ヲ設置スル場合ニ於テ費用ノ負擔ノ爲學區ヲ設クルコトヲ得
北海道府縣ノ設置スル靑年學校ハ之ヲ道府縣立靑年學校トシ市町村、市町村學校組合又ハ町村學校組合ノ設置スル靑年學校ハ之ヲ市町村立靑年學校トス
第二十一條 商工會議所、農會其ノ他之ニ準ズベキ公共團體、法人ニ非ザル社團ニシテ代表者ノ定アルモノ及私人ハ靑年學校ヲ設置スルコトヲ得
前項ニ規定スル者ノ設置スル靑年學校ハ之ヲ私立靑年學校トス
第二十二條 靑年學校ノ設置廢止ハ道府縣立ノ學校ニ在リテハ文部大臣、其ノ他ノ學校ニ在リテハ地方長官ノ認可ヲ受クベシ
靑年學校ノ設置廢止ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第二十三條 靑年學校ノ設備ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第二十四條 市町村ハ其ノ區域內ノ義務就學者ヲ就學セシムルニ必要ナル靑年學校ヲ設置スベシ但シ市町村學校組合又ハ町村學校組合ニ依リ設置スルヲ妨ゲズ
第二十五條 前條ノ規定ニ依リ設置スル靑年學校ノ市町村內ニ於ケル校數及位置ハ地方長官ニ於テ市町村、市町村學校組合又ハ町村學校組合ノ意見ヲ聞キ之ヲ定ムベシ
第二十六條 地方長官ハ一町村ニ於テ就學セシムベキ者ノ數一靑年學校ヲ構成スルニ足ラズ又ハ適度ノ通學路程內ニ於テ一靑年學校ヲ構成スルニ足ルベキ數ヲ得ルコト能ハズト認ムルトキハ靑年學校ノ設置ニ代ヘ其ノ町村ヲシテ義務就學者ノ全部又ハ一部ノ敎育事務ヲ他ノ市町村、市町村學校組合、町村學校組合又ハ其ノ學區ニ委託セシムルコトヲ得
地方長官ハ市町村、市町村學校組合又ハ町村學校組合ノ一部ニシテ前項ノ事情アルモノガ其ノ市町村、市町村學校組合又ハ町村學校組合ノ靑年學校ニ對シ適度ノ通學路程內ニ在ラズト認ムルトキ亦前項ノ例ニ依ルコトヲ得
前二項ノ規定ニ依リ地方長官ニ於テ義務就學者ノ敎育事務ヲ委託セシメ又ハ其ノ委託ヲ止メシメントスルトキハ關係市町村、市町村學校組合、町村學校組合及學區ノ意見ヲ聞クベシ
第二十七條 地方長官ハ町村ガ其ノ資力靑年學校設置ニ關スル費用ノ負擔ニ堪ヘズ且靑年學校設置ノ爲他ノ市町村ト學校組合ヲ設クルコト能ハズト認ムルトキハ其ノ町村ヲシテ靑年學校設置ノ義務ヲ免レシムルコトヲ得
地方長官ハ前條第一項ノ事由アルモ町村ヲシテ同項ノ規定ニ依ラシムルコト能ハズト認ムルトキハ其ノ町村ノ區域ノ全部又ハ一部ニ關シ靑年學校設置ノ義務ヲ免レシムルコトヲ得前條第二項ノ事由アルモ市町村、市町村學校組合又ハ町村學校組合ヲシテ同項ノ規定ニ依ラシムルコト能ハズト認ムルトキ其ノ市町村、市町村學校組合又ハ町村學校組合ノ區域ノ一部ニ關シ亦同ジ
前二項ノ規定ニ依リ靑年學校設置ノ義務ヲ免ゼラレタル區域內ノ義務就學者ノ保護者ハ第十二條ニ規定スル義務ヲ免除セラレタルモノトス
第六章 費用負擔及授業料
第二十八條 靑年學校設置ニ關スル費用ハ特別ノ規定アル場合ヲ除クノ外道府縣立靑年學校ニ在リテハ北海道地方費又ハ府縣ノ負擔トシ市町村立靑年學校ニ在リテハ市町村、市町村學校組合、町村學校組合又ハ其ノ學區ノ負擔トス其ノ費用ノ槪目左ノ如シ
一 設備及其ノ維持ノ費用
二 職員ノ俸給、旅費其ノ他ノ諸給與
三 校費
第二十六條ノ規定ニ依ル敎育事務ノ委託ニ關スル費用ハ之ヲ委託シタル市町村、市町村學校組合若ハ町村學校組合又ハ其ノ學區ノ負擔トス
第二十九條 區長及其ノ代理者竝ニ學區ノ學務委員ガ靑年學校ニ關スル國ノ敎育事務ヲ執行スル爲ニ要スル費用ハ市町村會、市町村學校組合會又ハ町村學校組合會ノ議決ヲ以テ之ヲ學區ノ負擔ト爲スコトヲ得
第三十條 靑年學校ニ於テハ授業料ヲ徵收スルコトヲ得ズ但シ特別ノ事情アルトキハ道府縣立ノ學校ニ在リテハ文部大臣、其ノ他ノ學校ニ在リテハ地方長官ノ認可ヲ受ケ之ヲ徵收スルコトヲ得
第三十一條 道府縣立靑年學校ノ授業料ハ北海道地方費又ハ府縣ノ收入トシ市町村立靑年學校ノ授業料ハ市町村、市町村學校組合、町村學校組合又ハ其ノ學區ノ收入トス
第三十二條 授業料ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第七章 管理及監督
第三十三條 市町村長、市町村學校組合管理者又ハ町村學校組合管理者ハ市町村、市町村學校組合又ハ町村學校組合ニ屬スル國ノ靑年學校ニ關スル敎育事務ヲ管掌シ市町村立靑年學校ヲ管理ス
第三十四條 市町村、市町村學校組合及町村學校組合ハ靑年學校ニ關スル敎育事務ノ爲市制第八十三條若ハ町村制第六十九條ノ規定又ハ其ノ準用規定ニ依リ學務委員ヲ置クベシ此ノ場合ニ於テハ市町村會、市町村學校組合會又ハ町村學校組合會ノ議決ニ依ルコトヲ要セズ
市町村、市町村學校組合又ハ町村學校組合ハ靑年學校ニ關スル敎育事務ノ爲條例ニ依リ其ノ學區ニ學務委員ヲ置クコトヲ得
學務委員ニハ市町村立靑年學校ノ學校長又ハ敎員ヲ加フベシ
委員中學校長又ハ敎員ヨリ出ヅル者ハ市町村長、市町村學校組合管理者又ハ町村學校組合管理者之ヲ任免ス
第三十五條 學務委員ノ職務其ノ他ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第三十六條 市町村立靑年學校ノ學校長及敎員ハ其ノ執行スル靑年學校ニ關スル國ノ敎育事務ニ付地方長官之ヲ監督ス
第三十七條 私立靑年學校ハ地方長官之ヲ監督ス
第八章 補則
第三十八條 町村組合ニシテ其ノ町村ノ事務ノ全部又ハ役場事務ヲ共同處理スルモノハ之ヲ一町村、其ノ組合吏員ハ之ヲ町村吏員、其ノ組合會ハ之ヲ町村會ト看做ス
第三十九條 町村制ヲ施行セザル地域ニ於テハ本令中町村、町村組合、町村吏員、町村組合吏員、町村會及町村組合會ニ關スル規定ハ其ノ地域ニ於ケル此等ニ準ズベキモノニ之ヲ適用ス
第三十四條第一項中町村制第六十九條トアルハ前項ノ地域ニ於テハ北海道一級町村制第一條、北海道二級町村制第七十二條又ハ島嶼町村制第九條第二項及第三項トス
第一項ノ地域ニ於テ本令ニ依リ難キ事項ニ關シテハ文部大臣ノ定ムル所ニ依ル
第四十條 本令ニ依ラザル學校ハ靑年學校ト稱スルコトヲ得ズ
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ存スル靑年學校ニシテ本科ノ男子ノ敎授及訓練期間ヲ二年又ハ三年ト爲スモノニ付テハ第三條第二項ノ規定ニ拘ラズ昭和十六年三月三十一日迄ハ仍從前ノ例ニ依ルコトヲ得
第十二條ノ規定ハ大正十五年四月一日以前ニ出生シタル者ニ關シテハ之ヲ適用セズ
特別ノ事情アル場合ニ限リ靑年學校ニハ地方長官ノ認可ヲ受ケ當分ノ內專任敎員ヲ置カザルコトヲ得
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ青年学校令改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年四月二十四日
内閣総理大臣 男爵 平沼騏一郎
文部大臣 男爵 荒木貞夫
勅令第二百五十四号
青年学校令
第一章 目的
第一条 青年学校ハ男女青年ニ対シ其ノ心身ヲ鍛錬シ徳性ヲ涵養スルト共ニ職業及実際生活ニ須要ナル知識技能ヲ授ケ以テ国民タルノ資質ヲ向上セシムルヲ目的トス
第二章 課程
第二条 青年学校ニ普通科及本科ヲ置ク但シ土地ノ情況ニ依リ普通科又ハ本科ノミヲ置クコトヲ得
青年学校ニハ研究科ヲ置クコトヲ得
第三条 普通科ノ教授及訓練期間ハ二年トス
本科ノ教授及訓練期間ハ男子ニ在リテハ五年、女子ニ在リテハ三年トス但シ土地ノ情況ニ依リ男子ニ在リテハ四年、女子ニ在リテハ二年ト為スコトヲ得
研究科ノ教授及訓練期間ハ一年以上トス
第四条 普通科ノ教授及訓練時数ハ各学年二百十時以上トス
本科ノ教授及訓練時数ハ男子ニ在リテハ第一学年及第二学年ニ於テ各二百十時以上、第三学年以上ニ於テ各百八十時以上トシ女子ニ在リテハ各学年二百十時以上トス
研究科ノ教授及訓練時数ハ土地ノ情況ニ依リ適宜之ヲ定ムベシ
第五条 普通科ノ教授及訓練科目ハ男子ニ在リテハ修身及公民科、普通学科、職業科並ニ体操科トシ女子ニ在リテハ修身及公民科、普通学科、職業科、家庭科並ニ体操科トス
本科ノ教授及訓練科目ハ男子ニ在リテハ修身及公民科、普通学科、職業科並ニ教練科トシ女子ニ在リテハ修身及公民科、普通学科、職業科、家庭科並ニ体操科トス
研究科ノ教授及訓練科目ハ本科ノ教授及訓練科目ニ就キ適宜之ヲ定ムベシ但シ修身及公民科ハ之ヲ欠クコトヲ得ズ
教授及訓練科目ノ程度ハ文部大臣之ヲ定ム
第六条 青年学校ニハ特別ノ事項ヲ修得セシムル為専修科ヲ置クコトヲ得
専修科ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第七条 特別ノ学歴若ハ素養ヲ有スル生徒又ハ現ニ青年学校以外ノ施設ニ於テ教育ヲ受クル生徒ニ対シテハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ教授及訓練科目中其ノ一部ヲ課セザルコトヲ得
第八条 教授及訓練科目中生徒其ノ身体ノ情況ニ依リ学習スルコト能ハザル科目ハ之ヲ其ノ生徒ニ課セザルコトヲ得
第九条 青年学校長ハ伝染病ニ罹リ若ハ其ノ虞アル生徒又ハ性行不良ニシテ他ノ生徒ノ教育ニ妨アリト認ムル生徒ノ青年学校ニ出席スルヲ停止スルコトヲ得
第十条 青年学校ノ教科用図書ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第三章 就学
第十一条 普通科ニ入学スルコトヲ得ル者ハ尋常小学校卒業者トシ本科ニ入学スルコトヲ得ル者ハ普通科修了者又ハ高等小学校卒業者トス
研究科ニ入学スルコトヲ得ル者ハ本科卒業者トス
前二項ノ規定ニ依リ入学シ得ル者ノ外特ニ青年学校ニ入学スルコトヲ得ル者ニ関シテハ文部大臣ノ定ムル所ニ依ル
第十二条 年齢満十二歳ヲ超エ満十九歳(満十九歳ニ達シタル日ニ於テ仍青年学校本科ノ学年ノ中途ニ在ル者ニ付テハ其ノ学年ノ終)ニ至ル迄ノ男子ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ヲ除クノ外其ノ保護者ニ於テ之ヲ青年学校ニ就学セシメ義務課程ヲ履修セシムルコトヲ要ス
一 小学校ニ就学セシムベキ者又ハ現ニ小学校ニ在学スル者
二 現ニ高等学校尋常科ニ在学スル者又ハ之ヲ修了シタル者
三 現ニ師範学校本科第一部ニ在学スル者又ハ同第二学年ヲ修了シタル者
四 現ニ中学校ニ在学スル者又ハ同第四学年ヲ修了シタル者
五 現ニ実業学校ニ在学スル者、尋常小学校卒業程度ヲ以テ入学資格トスル修業年限四年以上ノ実業学校ヲ卒業シ若ハ同第四学年ヲ修了シタル者又ハ高等小学校卒業程度ヲ以テ入学資格トスル修業年限二年以上ノ実業学校ヲ卒業シ若ハ同第二学年ヲ修了シタル者
六 青年学校本科ノ課程ヲ修了シタル者
七 特ニ文部大臣ノ指定スル者
第十三条 前条ノ保護者トハ就学セシメラルベキ者(義務就学者ト称ス以下同ジ)ニ対シ親権ヲ行フ者ヲ謂フ親権ヲ行フ者ナキトキハ後見人ヲ謂フ
前条ノ義務課程トハ普通科及本科ノ各学年ニ於テ義務就学者ガ第四条ニ規定スル各最低時数ヲ以テ履修スベキ課程ヲ謂フ
第十四条 義務就学者ノ瘋癲白痴又ハ不具廃疾其ノ他已ムヲ得ザル事由ニ因リ之ヲ就学セシムルコト能ハズト認ムルトキハ市町村長ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ第十二条ニ規定スル保護者ノ義務ヲ免除スルコトヲ得
義務就学者ノ病弱其ノ他已ムヲ得ザル事由ニ因リ就学時期ニ於テ之ヲ就学セシムルコト能ハズト認ムルトキハ市町村長ハ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ其ノ就学ヲ猶予スルコトヲ得
第十五条 義務就学者青年学校以外ノ施設ニ於テ青年学校ノ課程ト同等以上ト認ムル課程ヲ修ムルトキハ第十二条ニ規定スル保護者ノ義務ノ履行ニ関シテハ其ノ期間青年学校ニ就学スルモノト看做ス
前項ノ課程ノ認定ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第十六条 第七条及第八条ノ場合ニ於テハ第十二条ニ規定スル保護者ノ義務課程ヲ履修セシムベキ義務ハ各其ノ限度ニ於テ免除セラレタルモノトス
第十七条 義務就学者ヲ使用スル者ハ其ノ使用ニ依リテ義務就学者ノ義務課程ノ履修ヲ妨グルコトヲ得ズ
第四章 教員
第十八条 青年学校ノ教員ノ資格ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第十九条 青年学校ニハ相当員数ノ専任教員ヲ置クベシ
第五章 設置
第二十条 北海道府県、市町村、市町村学校組合及町村学校組合ハ青年学校ヲ設置スルコトヲ得
市町村、市町村学校組合及町村学校組合ハ青年学校ヲ設置スル場合ニ於テ費用ノ負担ノ為学区ヲ設クルコトヲ得
北海道府県ノ設置スル青年学校ハ之ヲ道府県立青年学校トシ市町村、市町村学校組合又ハ町村学校組合ノ設置スル青年学校ハ之ヲ市町村立青年学校トス
第二十一条 商工会議所、農会其ノ他之ニ準ズベキ公共団体、法人ニ非ザル社団ニシテ代表者ノ定アルモノ及私人ハ青年学校ヲ設置スルコトヲ得
前項ニ規定スル者ノ設置スル青年学校ハ之ヲ私立青年学校トス
第二十二条 青年学校ノ設置廃止ハ道府県立ノ学校ニ在リテハ文部大臣、其ノ他ノ学校ニ在リテハ地方長官ノ認可ヲ受クベシ
青年学校ノ設置廃止ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第二十三条 青年学校ノ設備ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第二十四条 市町村ハ其ノ区域内ノ義務就学者ヲ就学セシムルニ必要ナル青年学校ヲ設置スベシ但シ市町村学校組合又ハ町村学校組合ニ依リ設置スルヲ妨ゲズ
第二十五条 前条ノ規定ニ依リ設置スル青年学校ノ市町村内ニ於ケル校数及位置ハ地方長官ニ於テ市町村、市町村学校組合又ハ町村学校組合ノ意見ヲ聞キ之ヲ定ムベシ
第二十六条 地方長官ハ一町村ニ於テ就学セシムベキ者ノ数一青年学校ヲ構成スルニ足ラズ又ハ適度ノ通学路程内ニ於テ一青年学校ヲ構成スルニ足ルベキ数ヲ得ルコト能ハズト認ムルトキハ青年学校ノ設置ニ代ヘ其ノ町村ヲシテ義務就学者ノ全部又ハ一部ノ教育事務ヲ他ノ市町村、市町村学校組合、町村学校組合又ハ其ノ学区ニ委託セシムルコトヲ得
地方長官ハ市町村、市町村学校組合又ハ町村学校組合ノ一部ニシテ前項ノ事情アルモノガ其ノ市町村、市町村学校組合又ハ町村学校組合ノ青年学校ニ対シ適度ノ通学路程内ニ在ラズト認ムルトキ亦前項ノ例ニ依ルコトヲ得
前二項ノ規定ニ依リ地方長官ニ於テ義務就学者ノ教育事務ヲ委託セシメ又ハ其ノ委託ヲ止メシメントスルトキハ関係市町村、市町村学校組合、町村学校組合及学区ノ意見ヲ聞クベシ
第二十七条 地方長官ハ町村ガ其ノ資力青年学校設置ニ関スル費用ノ負担ニ堪ヘズ且青年学校設置ノ為他ノ市町村ト学校組合ヲ設クルコト能ハズト認ムルトキハ其ノ町村ヲシテ青年学校設置ノ義務ヲ免レシムルコトヲ得
地方長官ハ前条第一項ノ事由アルモ町村ヲシテ同項ノ規定ニ依ラシムルコト能ハズト認ムルトキハ其ノ町村ノ区域ノ全部又ハ一部ニ関シ青年学校設置ノ義務ヲ免レシムルコトヲ得前条第二項ノ事由アルモ市町村、市町村学校組合又ハ町村学校組合ヲシテ同項ノ規定ニ依ラシムルコト能ハズト認ムルトキ其ノ市町村、市町村学校組合又ハ町村学校組合ノ区域ノ一部ニ関シ亦同ジ
前二項ノ規定ニ依リ青年学校設置ノ義務ヲ免ゼラレタル区域内ノ義務就学者ノ保護者ハ第十二条ニ規定スル義務ヲ免除セラレタルモノトス
第六章 費用負担及授業料
第二十八条 青年学校設置ニ関スル費用ハ特別ノ規定アル場合ヲ除クノ外道府県立青年学校ニ在リテハ北海道地方費又ハ府県ノ負担トシ市町村立青年学校ニ在リテハ市町村、市町村学校組合、町村学校組合又ハ其ノ学区ノ負担トス其ノ費用ノ概目左ノ如シ
一 設備及其ノ維持ノ費用
二 職員ノ俸給、旅費其ノ他ノ諸給与
三 校費
第二十六条ノ規定ニ依ル教育事務ノ委託ニ関スル費用ハ之ヲ委託シタル市町村、市町村学校組合若ハ町村学校組合又ハ其ノ学区ノ負担トス
第二十九条 区長及其ノ代理者並ニ学区ノ学務委員ガ青年学校ニ関スル国ノ教育事務ヲ執行スル為ニ要スル費用ハ市町村会、市町村学校組合会又ハ町村学校組合会ノ議決ヲ以テ之ヲ学区ノ負担ト為スコトヲ得
第三十条 青年学校ニ於テハ授業料ヲ徴収スルコトヲ得ズ但シ特別ノ事情アルトキハ道府県立ノ学校ニ在リテハ文部大臣、其ノ他ノ学校ニ在リテハ地方長官ノ認可ヲ受ケ之ヲ徴収スルコトヲ得
第三十一条 道府県立青年学校ノ授業料ハ北海道地方費又ハ府県ノ収入トシ市町村立青年学校ノ授業料ハ市町村、市町村学校組合、町村学校組合又ハ其ノ学区ノ収入トス
第三十二条 授業料ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第七章 管理及監督
第三十三条 市町村長、市町村学校組合管理者又ハ町村学校組合管理者ハ市町村、市町村学校組合又ハ町村学校組合ニ属スル国ノ青年学校ニ関スル教育事務ヲ管掌シ市町村立青年学校ヲ管理ス
第三十四条 市町村、市町村学校組合及町村学校組合ハ青年学校ニ関スル教育事務ノ為市制第八十三条若ハ町村制第六十九条ノ規定又ハ其ノ準用規定ニ依リ学務委員ヲ置クベシ此ノ場合ニ於テハ市町村会、市町村学校組合会又ハ町村学校組合会ノ議決ニ依ルコトヲ要セズ
市町村、市町村学校組合又ハ町村学校組合ハ青年学校ニ関スル教育事務ノ為条例ニ依リ其ノ学区ニ学務委員ヲ置クコトヲ得
学務委員ニハ市町村立青年学校ノ学校長又ハ教員ヲ加フベシ
委員中学校長又ハ教員ヨリ出ヅル者ハ市町村長、市町村学校組合管理者又ハ町村学校組合管理者之ヲ任免ス
第三十五条 学務委員ノ職務其ノ他ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第三十六条 市町村立青年学校ノ学校長及教員ハ其ノ執行スル青年学校ニ関スル国ノ教育事務ニ付地方長官之ヲ監督ス
第三十七条 私立青年学校ハ地方長官之ヲ監督ス
第八章 補則
第三十八条 町村組合ニシテ其ノ町村ノ事務ノ全部又ハ役場事務ヲ共同処理スルモノハ之ヲ一町村、其ノ組合吏員ハ之ヲ町村吏員、其ノ組合会ハ之ヲ町村会ト看做ス
第三十九条 町村制ヲ施行セザル地域ニ於テハ本令中町村、町村組合、町村吏員、町村組合吏員、町村会及町村組合会ニ関スル規定ハ其ノ地域ニ於ケル此等ニ準ズベキモノニ之ヲ適用ス
第三十四条第一項中町村制第六十九条トアルハ前項ノ地域ニ於テハ北海道一級町村制第一条、北海道二級町村制第七十二条又ハ島嶼町村制第九条第二項及第三項トス
第一項ノ地域ニ於テ本令ニ依リ難キ事項ニ関シテハ文部大臣ノ定ムル所ニ依ル
第四十条 本令ニ依ラザル学校ハ青年学校ト称スルコトヲ得ズ
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行ノ際現ニ存スル青年学校ニシテ本科ノ男子ノ教授及訓練期間ヲ二年又ハ三年ト為スモノニ付テハ第三条第二項ノ規定ニ拘ラズ昭和十六年三月三十一日迄ハ仍従前ノ例ニ依ルコトヲ得
第十二条ノ規定ハ大正十五年四月一日以前ニ出生シタル者ニ関シテハ之ヲ適用セズ
特別ノ事情アル場合ニ限リ青年学校ニハ地方長官ノ認可ヲ受ケ当分ノ内専任教員ヲ置カザルコトヲ得