青年学校令
法令番号: 勅令第四十一號
公布年月日: 昭和10年4月1日
法令の形式: 勅令
朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ靑年學校令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十年三月三十日
內閣總理大臣 岡田啓介
文部大臣 松田源治
勅令第四十一號
靑年學校令
第一條 靑年學校ハ男女靑年ニ對シ其ノ心身ヲ鍛鍊シ德性ヲ涵養スルト共ニ職業及實際生活ニ須要ナル知識技能ヲ授ケ以テ國民タルノ資質ヲ向上セシムルヲ目的トス
第二條 北海道府縣、市町村、市町村學校組合、町村學校組合及町村制ヲ施行セザル地域ニ於ケル町村又ハ町村學校組合ニ準ズベキ公共團體ハ靑年學校ヲ設置スルコトヲ得
市町村、市町村學校組合及町村學校組合ハ前項ノ規定ニ依リ靑年學校ヲ設置スル場合ニ於テ費用ノ負擔ノ爲學區ヲ設クルコトヲ得
第三條 商工會議所、農會其ノ他之ニ準ズベキ公共團體ハ靑年學校ヲ設置スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ設置シタル靑年學校ハ私立トス
第四條 私人ハ靑年學校ヲ設置スルコトヲ得
第五條 靑年學校ノ設置廢止ハ道府縣立ノ學校ニ在リテハ文部大臣、其ノ他ノ學校ニ在リテハ地方長官ノ認可ヲ受クベシ
靑年學校ノ設置廢止ニ關スル規則ハ文部大臣之ヲ定ム
第六條 靑年學校ニ普通科及本科ヲ置ク但シ土地ノ情況ニ依リ普通科又ハ本科ノミヲ置クコトヲ得
靑年學校ニハ硏究科ヲ置クコトヲ得
第七條 普通科ノ敎授及訓練期間ハ二年トス
本科ノ敎授及訓練期間ハ男子ニ在リテハ五年、女子ニ在リテハ三年トス但シ土地ノ情況ニ依リ男子ニ在リテハ四年、女子ニ在リテハ二年ト爲スコトヲ得
硏究科ノ敎授及訓練期間ハ一年以上トス
第八條 普通科ニ入學スルコトヲ得ル者ハ尋常小學校卒業者又ハ之ニ相當スル素養アル者トス
本科ニ入學スルコトヲ得ル者ハ普通科修了者、高等小學校卒業者又ハ之ニ相當スル素養アル者トス
硏究科ニ入學スルコトヲ得ル者ハ本科卒業者又ハ之ニ相當スル素養アル者トス
第九條 普通科ノ敎授及訓練科目ハ男子ニ在リテハ修身及公民科、普通學科、職業科竝ニ體操科トシ女子ニ在リテハ修身及公民科、普通學科、職業科、家事及裁縫科竝ニ體操科トス
本科ノ敎授及訓練科目ハ男子ニ在リテハ修身及公民科、普通學科、職業科竝ニ敎練科トシ女子ニ在リテハ修身及公民科、普通學科、職業科、家事及裁縫科竝ニ體操科トス
硏究科ノ敎授及訓練科目ハ本科ノ敎授及訓練科目ニ就キ適宜之ヲ定ムベシ但シ修身及公民科ハ之ヲ缺クコトヲ得ズ
敎授及訓練科目ノ程度ハ文部大臣之ヲ定ム
第十條 靑年學校ニハ特別ノ事項ヲ修得セシムル爲專修科ヲ置クコトヲ得
專修科ニ關スル規則ハ文部大臣之ヲ定ム
第十一條 靑年學校ニハ相當員數フ專任敎員ヲ置クベシ
第十二條 靑年學校ノ敎員ノ資格ニ關スル規則ハ文部大臣之ヲ定ム
第十三條 靑年學校ノ設備ニ關スル規則ハ文部大臣之ヲ定ム
第十四條 靑年學校ニ於テハ授業料ヲ徵收スルコトヲ得ズ但シ道府縣立ノ學校ニ在リテ文部大臣、其ノ他ノ學校ニ在リテ地方長官ノ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第十五條 本令ニ依ラザル學校ハ靑年學校ト稱スルコトヲ得ズ
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
靑年學校ノ本科ノ敎授及訓練期間ハ土地ノ情況ニ依リ道府縣立ノ學校ニ在リテハ文部大臣、其ノ他ノ學校ニ在リテハ地方長官ノ認可ヲ受ケ當分ノ內之ヲ男子ニ在リテハ二年又ハ三年ト爲スコトヲ得
靑年學校ノ專任敎員ハ道府縣立ノ學校ニ在リテハ文部大臣、其ノ他ノ學校ニ在リテハ地方長官ノ認可ヲ受ケ當分ノ內之ヲ置カザルコトヲ得
本令施行ノ際現ニ存スル公立ノ實業補習學校及靑年訓練所ハ之ヲ本令ニ依リ設置シタル靑年學校ト看做ス
前項ノ靑年學校ニシテ本令ニ依リ難キモノハ本令施行後六月ヲ限リ仍從前ノ實業補習學校及靑年訓練所ノ例ニ依リ敎育ヲ爲スコトヲ得
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ青年学校令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十年三月三十日
内閣総理大臣 岡田啓介
文部大臣 松田源治
勅令第四十一号
青年学校令
第一条 青年学校ハ男女青年ニ対シ其ノ心身ヲ鍛錬シ徳性ヲ涵養スルト共ニ職業及実際生活ニ須要ナル知識技能ヲ授ケ以テ国民タルノ資質ヲ向上セシムルヲ目的トス
第二条 北海道府県、市町村、市町村学校組合、町村学校組合及町村制ヲ施行セザル地域ニ於ケル町村又ハ町村学校組合ニ準ズベキ公共団体ハ青年学校ヲ設置スルコトヲ得
市町村、市町村学校組合及町村学校組合ハ前項ノ規定ニ依リ青年学校ヲ設置スル場合ニ於テ費用ノ負担ノ為学区ヲ設クルコトヲ得
第三条 商工会議所、農会其ノ他之ニ準ズベキ公共団体ハ青年学校ヲ設置スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ設置シタル青年学校ハ私立トス
第四条 私人ハ青年学校ヲ設置スルコトヲ得
第五条 青年学校ノ設置廃止ハ道府県立ノ学校ニ在リテハ文部大臣、其ノ他ノ学校ニ在リテハ地方長官ノ認可ヲ受クベシ
青年学校ノ設置廃止ニ関スル規則ハ文部大臣之ヲ定ム
第六条 青年学校ニ普通科及本科ヲ置ク但シ土地ノ情況ニ依リ普通科又ハ本科ノミヲ置クコトヲ得
青年学校ニハ研究科ヲ置クコトヲ得
第七条 普通科ノ教授及訓練期間ハ二年トス
本科ノ教授及訓練期間ハ男子ニ在リテハ五年、女子ニ在リテハ三年トス但シ土地ノ情況ニ依リ男子ニ在リテハ四年、女子ニ在リテハ二年ト為スコトヲ得
研究科ノ教授及訓練期間ハ一年以上トス
第八条 普通科ニ入学スルコトヲ得ル者ハ尋常小学校卒業者又ハ之ニ相当スル素養アル者トス
本科ニ入学スルコトヲ得ル者ハ普通科修了者、高等小学校卒業者又ハ之ニ相当スル素養アル者トス
研究科ニ入学スルコトヲ得ル者ハ本科卒業者又ハ之ニ相当スル素養アル者トス
第九条 普通科ノ教授及訓練科目ハ男子ニ在リテハ修身及公民科、普通学科、職業科並ニ体操科トシ女子ニ在リテハ修身及公民科、普通学科、職業科、家事及裁縫科並ニ体操科トス
本科ノ教授及訓練科目ハ男子ニ在リテハ修身及公民科、普通学科、職業科並ニ教練科トシ女子ニ在リテハ修身及公民科、普通学科、職業科、家事及裁縫科並ニ体操科トス
研究科ノ教授及訓練科目ハ本科ノ教授及訓練科目ニ就キ適宜之ヲ定ムベシ但シ修身及公民科ハ之ヲ欠クコトヲ得ズ
教授及訓練科目ノ程度ハ文部大臣之ヲ定ム
第十条 青年学校ニハ特別ノ事項ヲ修得セシムル為専修科ヲ置クコトヲ得
専修科ニ関スル規則ハ文部大臣之ヲ定ム
第十一条 青年学校ニハ相当員数フ専任教員ヲ置クベシ
第十二条 青年学校ノ教員ノ資格ニ関スル規則ハ文部大臣之ヲ定ム
第十三条 青年学校ノ設備ニ関スル規則ハ文部大臣之ヲ定ム
第十四条 青年学校ニ於テハ授業料ヲ徴収スルコトヲ得ズ但シ道府県立ノ学校ニ在リテ文部大臣、其ノ他ノ学校ニ在リテ地方長官ノ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第十五条 本令ニ依ラザル学校ハ青年学校ト称スルコトヲ得ズ
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
青年学校ノ本科ノ教授及訓練期間ハ土地ノ情況ニ依リ道府県立ノ学校ニ在リテハ文部大臣、其ノ他ノ学校ニ在リテハ地方長官ノ認可ヲ受ケ当分ノ内之ヲ男子ニ在リテハ二年又ハ三年ト為スコトヲ得
青年学校ノ専任教員ハ道府県立ノ学校ニ在リテハ文部大臣、其ノ他ノ学校ニ在リテハ地方長官ノ認可ヲ受ケ当分ノ内之ヲ置カザルコトヲ得
本令施行ノ際現ニ存スル公立ノ実業補習学校及青年訓練所ハ之ヲ本令ニ依リ設置シタル青年学校ト看做ス
前項ノ青年学校ニシテ本令ニ依リ難キモノハ本令施行後六月ヲ限リ仍従前ノ実業補習学校及青年訓練所ノ例ニ依リ教育ヲ為スコトヲ得