海運組合法
法令番号: 法律第六十九號
公布年月日: 昭和14年4月5日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル海運組合法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年四月四日
內閣總理大臣 男爵 平沼騏一郞
遞信大臣 鹽野季彥
大藏大臣 石渡莊太郞
法律第六十九號
海運組合法
第一條 本法ニ於テ海運業トハ左ニ揭グル事業ヲ謂フ
一 船舶ニ依リ人又ハ物ヲ運送スル事業
二 船舶ノ貸渡(期間傭船ヲ含ム)ヲ爲ス事業
三 船舶ニ依ル人若ハ物ノ運送ニ關スル仲立業又ハ船舶ノ貸渡(期間傭船ヲ含ム)若ハ賣買ニ關スル仲立業
前項ノ船舶ニハ官廳又ハ公署ノ所有ニ屬スル船舶、漁船其ノ他勅令ヲ以テ定ムル船舶ヲ包含セズ
第二條 海運業者ハ其ノ事業ノ健全ナル發達ヲ圖ル爲海運組合ヲ設立スルコトヲ得
海運組合ハ法人トス
第三條 海運組合ノ組合員タルコトヲ得ル海運業者ハ內地ニ住所又ハ本店若ハ主タル事務所ヲ有スル者トス
海運組合ハ前項ノ規定ニ拘ラズ政府ノ認可ヲ受ケ外地ニ住所又ハ本店若ハ主タル事務所ヲ有スル海運業者ヲ組合員ト爲スコトヲ得
第四條 海運組合ハ左ノ事業ヲ行フコトヲ得
一 組合員ノ事業ノ爲ニスル共同施設
二 組合員間ニ於ケル事業ノ統制
三 組合員間ニ於ケル事業ニ關スル紛爭ノ解決ノ斡旋
四 組合員ノ事業ニ關スル證明及鑑定
五 組合員ノ事業ニ關スル指導、硏究及調査
六 前各號ニ揭グルモノノ外組合ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業
海運組合ハ營利ヲ目的トシテ其ノ事業ヲ行フコトヲ得ズ
第五條 海運組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ組合員ニ對シ經費ヲ分賦シ過怠金ヲ課スルコトヲ得
第六條 海運組合ヲ設立セントスルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ組合ノ組合員タルベキ資格ヲ有スル者ノ三分ノ二以上ヲ以テ創立總會ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ政府ノ認可ヲ受クベシ
組合ノ設立ニ付組合員タルベキ資格ヲ有スル者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得ルコト能ハザル場合ト雖モ特別ノ事由アルトキハ政府ノ認可ヲ受ケ創立總會ヲ開クコトヲ得
第七條 創立總會ニ於ケル議決及役員ノ選任ハ設立同意者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ之ヲ爲ス
第八條 設立同意者ハ創立總會ニ於テ代理人ヲ以テ其ノ議決權ヲ行フコトヲ得
前項ノ代理人ハ設立同意者タルコトヲ要ス但シ法人タル設立同意者ハ其ノ業務ヲ執行スル役員又ハ支配人ヲ代理人ト爲スコトヲ得
第九條 海運業ノ統制ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ハ豫メ組合員タルベキ資格ヲ定メ其ノ資格ヲ有スル者ニ對シ海運組合ノ設立ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ海運組合ノ設立ヲ命ゼラレタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ創立總會ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ政府ノ指定スル期限迄ニ設立ノ認可ヲ申請スベシ
前項ノ創立總會ニ於ケル議決及役員ノ選任ハ出席者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ之ヲ爲ス
第十條 前條第二項ノ規定ニ依ル認可申請アリタル場合ニ於テ定款其ノ他必要ナル事項ニシテ著シク不相當ト認ムルモノアルトキハ政府ハ之ニ變更ヲ加ヘテ認可ヲ爲スコトヲ得
前條第二項ノ規定ニ依ル認可申請ナキトキハ政府ハ定款ノ作成其ノ他設立ニ關シ必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
第十一條 海運組合ハ設立ノ認可アリタル時又ハ前條第二項ノ規定ニ依リ定款ノ作成アリタル時成立ス
第十二條 第九條第一項又ハ第十條第二項ノ規定ニ依ル海運組合成立シタルトキハ組合員タルベキ資格ヲ有スル者ハ其ノ組合ノ組合員トス
第十三條 政府第十條第二項ノ規定ニ依リ定款ヲ作成シタルトキハ海運組合ノ理事及監事ヲ命ズ
前項ノ理事ハ遲滯ナク組合員總會ヲ招集スベシ
前項ノ總會ニ於テハ組合設立當時ノ收支豫算及經費ノ分賦收入方法ヲ議決スベシ
第十四條 政府ハ海運業ノ統制ヲ圖ル爲必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ組合員ニ非ズシテ組合員タル資格ヲ有スル者ヲシテ海運組合ノ組合員タラシムルコトヲ得
第十五條 海運組合ノ定款ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 目的
二 名稱
三 事務所ノ所在地
四 組合員タル資格ニ關スル規定
五 組合員ノ加入及脫退ニ關スル規定
六 役員ニ關スル規定
七 事業ノ執行ニ關スル規定
八 會議ニ關スル規定
九 組合員ノ權利義務及經費ノ分擔ニ關スル規定
十 會計及財產ニ關スル規定
十一 存立ノ期間又ハ解散ノ事由ヲ定メタルトキハ其ノ期間又ハ事由
第十六條 海運組合ニハ理事及監事ヲ置クベシ
理事及監事ノ選任及解任ハ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
理事ハ組合ノ業務ニ付組合ヲ代表ス
監事ハ組合ノ業務ヲ監査ス
理事ト監事トハ相兼ヌルコトヲ得ズ
組合ト理事ト利益相反スル事項ニ付テハ監事組合ヲ代表ス
理事缺ケタルトキハ監事其ノ職務ヲ行フ但シ其ノ期間ハ三月ヲ超ユルコトヲ得ズ
理事ノ職務ヲ行フ者ナキトキハ政府ハ假理事ヲ選任シ理事ノ職務ヲ行ハシムルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル役員ノ外定款ノ定ムル所ニ依リ他ノ役員ヲ置クコトヲ得
第十七條 左ニ揭グル事項ハ總會ノ議決ヲ經ベシ
一 定款ノ變更
二 收支豫算及經費ノ分賦收入方法
三 業務報吿及收支決算ノ承認
四 第二十條第一項ノ規程ノ制定及變更
五 海運組合聯合會ノ設立、加入及脫退
六 解散
前項第一號、第四號及第六號ニ揭グル事項ノ決議ハ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十八條 組合員ハ總會ニ於テ各一個ノ議決權ヲ有ス但シ定款ノ定ムル所ニ依リ一人ニ付二個以上ノ議決權ヲ有セシムルコトヲ得
第十九條 總會ノ議決ハ定款ノ定ムル所ニ依リ出席シタル組合員ノ議決權ノ過半數ヲ以テ之ヲ爲ス但シ第十七條第一項第一號、第二號及第四號乃至第六號ニ揭グル事項ノ議決ハ總組合員ノ半數以上ニシテ議決權總數ノ半數以上ニ當ル組合員出席シ其ノ議決權ノ三分ノ二以上ノ多數ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第二十條 海運組合ハ組合員間ニ於ケル事業ノ統制ヲ行フ場合ニ於テハ之ニ關スル規程ヲ定ムベシ
政府ハ必要アリト認ムルトキハ海運組合ニ對シ前項ノ規程ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第二十一條 海運業ノ經營ニ關スル弊害ヲ豫防シ若ハ矯正スル爲又ハ其ノ健全ナル發達ヲ圖ル爲必要アリト認ムルトキハ政府ハ海運組合ニ對シ必要ナル事業ヲ行フベキコトヲ命ズルコトヲ得
第二十二條 海運業ノ經營ニ關スル弊害ヲ豫防シ若ハ矯正スル爲又ハ其ノ健全ナル發達ヲ圖ル爲必要アリト認ムルトキハ政府ハ海運組合ノ組合員ニ對シ又ハ組合員及組合員ニ非ザルモ組合員タル資格ヲ有スル者ニ對シ其ノ組合ノ統制ニ從フベキコトヲ命ズルコトヲ得
第二十三條 政府ハ必要アリト認ムルトキハ海運組合ニ對シ業務ニ關スル報吿ヲ爲サシメ、業務執行又ハ財產ノ狀況ヲ檢査シ、定款、收支豫算又ハ經費ノ分賦收入方法ノ變更ヲ命ジ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第二十四條 海運組合ノ事業ノ繼續ヲ困難ナリト認ムルトキ又ハ組合ノ行爲ガ法令、定款若ハ政府ノ命令ニ違反シタルトキ若ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキハ政府ハ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一 總會ノ決議ノ取消
二 役員ノ解任
三 事業ノ停止
四 解散
第二十五條 海運組合ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス
一 存立ノ期間ノ滿了其ノ他定款ニ定メタル事由ノ發生
二 總會ノ決議
三 破產
四 政府ノ解散命令
第二十六條 海運組合ハ其ノ共同ノ目的ヲ達スル爲海運組合聯合會ヲ設立スルコトヲ得
海運組合聯合會ハ他ノ海運組合聯合會又ハ海運組合ト其ノ共同ノ目的ヲ達スル爲更ニ海運組合聯合會ヲ設立スルコトヲ得
海運組合聯合會ハ法人トス
第二十七條 海運組合聯合會ヲ設立セントスルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ會員タルベキ資格ヲ有スル組合又ハ聯合會ノ中會員タラントスル者ニ於テ選任シタル創立委員ヲ以テ、第二十九條ニ於テ準用スル第九條第一項ノ規定ニ依リ海運組合聯合會ノ設立ヲ命ゼラレタルトキハ其ノ組合及聯合會ニ於テ選任シタル創立委員ヲ以テ命令ノ定ムル所ニ依リ創立委員會ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ政府ノ認可ヲ受クベシ
第二十八條 創立委員會ニ於ケル議決及役員ノ選任ハ創立委員總數ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ之ヲ爲ス
第八條ノ規定ハ創立委員ニ付之ヲ準用ス
第二十九條ニ於テ準用スル第九條第一項ノ規定ニ依ル海運組合聯合會ニ付テハ前二項ノ規定ニ拘ラズ創立委員會ニ於ケル議決及役員ノ選任ハ出席シタル創立委員ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ之ヲ爲ス
第二十九條 第四條、第五條、第九條第一項及第十條乃至第二十五條ノ規定ハ海運組合聯合會ニ付之ヲ準用ス
第三十條 海運組合及海運組合聯合會ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第三十一條 海運組合及海運組合聯合會ノ淸算ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十二條 海運組合及海運組合聯合會ニハ所得稅及營業收益稅ヲ課セズ
第三十三條 民法第五十一條第二項、第五十二條第二項、第五十四條、第五十五條、第五十九條第三號第四號、第六十條乃至第六十四條及第六十六條ノ規定ハ海運組合及海運組合聯合會ニ付之ヲ準用ス但シ民法第六十二條中五日トアルハ之ヲ十日トス
第三十四條 第二十二條ノ規定ニ依ル政府ノ命令ニ違反シタル者ハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス
海運業者ハ其ノ代理人、戶主、家族、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ前項ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第三十五條 前條ノ罰則ハ海運業者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第三十六條 海運組合又ハ海運組合聯合會ノ理事、監事又ハ淸算人其ノ職務ニ關シ賄賂ヲ收受シ要求シ又ハ約束シタルトキハ二年以下ノ懲役ニ處ス因テ不正ノ行爲ヲ爲シ又ハ相當ノ行爲ヲ爲サザルトキハ五年以下ノ懲役ニ處ス
前項ノ場合ニ於テ收受シタル賄賂ハ之ヲ沒收ス若シ其ノ全部又ハ一部ヲ沒收スルコト能ハザルトキハ其ノ價額ヲ追徵ス
本條ノ罪ハ刑法第四條ノ例ニ從フ
第三十七條 前條第一項ニ揭グル者ニ賄賂ヲ交付シ、提供シ又ハ約束シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキハ其ノ刑ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ得
第三十八條 左ノ場合ニ於テハ海運組合又ハ海運組合聯合會ノ理事又ハ監事ヲ五百圓以下ノ過料ニ處ス
一 官廳又ハ總會ニ對シ不實ノ申述ヲ爲シ又ハ事實ヲ隱蔽シタルトキ
二 本法ニ依リ政府ノ徵スル報吿ヲ爲サズ又ハ檢査ヲ拒ミ其ノ他政府ノ命令又ハ處分ニ從ハザルトキ
三 本法ニ依ル總會ノ招集ヲ怠リタルトキ
四 本法ニ依リ備置クベキ書類ヲ備置カザルトキ又ハ其ノ書類ニ記載スベキ事項ヲ記載セザルトキ
第三十九條 第三十條及第三十一條ノ規定ニ基キテ發スル勅令ニ於テハ之ニ違反シタル者ヲ五百圓以下ノ過料ニ處スル規定ヲ設クルコトヲ得
第四十條 非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前二條ノ過料ニ付之ヲ準用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
登錄稅法第十九條第七號中「又ハ肥料製造業組合」ノ上ニ「、海運組合、海運組合聯合會」ヲ、「又ハ重要肥料業統制法」ノ上ニ「、海運組合法」ヲ加フ
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル海運組合法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年四月四日
内閣総理大臣 男爵 平沼騏一郎
逓信大臣 塩野季彦
大蔵大臣 石渡荘太郎
法律第六十九号
海運組合法
第一条 本法ニ於テ海運業トハ左ニ掲グル事業ヲ謂フ
一 船舶ニ依リ人又ハ物ヲ運送スル事業
二 船舶ノ貸渡(期間傭船ヲ含ム)ヲ為ス事業
三 船舶ニ依ル人若ハ物ノ運送ニ関スル仲立業又ハ船舶ノ貸渡(期間傭船ヲ含ム)若ハ売買ニ関スル仲立業
前項ノ船舶ニハ官庁又ハ公署ノ所有ニ属スル船舶、漁船其ノ他勅令ヲ以テ定ムル船舶ヲ包含セズ
第二条 海運業者ハ其ノ事業ノ健全ナル発達ヲ図ル為海運組合ヲ設立スルコトヲ得
海運組合ハ法人トス
第三条 海運組合ノ組合員タルコトヲ得ル海運業者ハ内地ニ住所又ハ本店若ハ主タル事務所ヲ有スル者トス
海運組合ハ前項ノ規定ニ拘ラズ政府ノ認可ヲ受ケ外地ニ住所又ハ本店若ハ主タル事務所ヲ有スル海運業者ヲ組合員ト為スコトヲ得
第四条 海運組合ハ左ノ事業ヲ行フコトヲ得
一 組合員ノ事業ノ為ニスル共同施設
二 組合員間ニ於ケル事業ノ統制
三 組合員間ニ於ケル事業ニ関スル紛争ノ解決ノ斡旋
四 組合員ノ事業ニ関スル証明及鑑定
五 組合員ノ事業ニ関スル指導、研究及調査
六 前各号ニ掲グルモノノ外組合ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業
海運組合ハ営利ヲ目的トシテ其ノ事業ヲ行フコトヲ得ズ
第五条 海運組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ組合員ニ対シ経費ヲ分賦シ過怠金ヲ課スルコトヲ得
第六条 海運組合ヲ設立セントスルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ組合ノ組合員タルベキ資格ヲ有スル者ノ三分ノ二以上ヲ以テ創立総会ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ政府ノ認可ヲ受クベシ
組合ノ設立ニ付組合員タルベキ資格ヲ有スル者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ得ルコト能ハザル場合ト雖モ特別ノ事由アルトキハ政府ノ認可ヲ受ケ創立総会ヲ開クコトヲ得
第七条 創立総会ニ於ケル議決及役員ノ選任ハ設立同意者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ之ヲ為ス
第八条 設立同意者ハ創立総会ニ於テ代理人ヲ以テ其ノ議決権ヲ行フコトヲ得
前項ノ代理人ハ設立同意者タルコトヲ要ス但シ法人タル設立同意者ハ其ノ業務ヲ執行スル役員又ハ支配人ヲ代理人ト為スコトヲ得
第九条 海運業ノ統制ヲ図ル為特ニ必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ハ予メ組合員タルベキ資格ヲ定メ其ノ資格ヲ有スル者ニ対シ海運組合ノ設立ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ海運組合ノ設立ヲ命ゼラレタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ創立総会ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ政府ノ指定スル期限迄ニ設立ノ認可ヲ申請スベシ
前項ノ創立総会ニ於ケル議決及役員ノ選任ハ出席者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ之ヲ為ス
第十条 前条第二項ノ規定ニ依ル認可申請アリタル場合ニ於テ定款其ノ他必要ナル事項ニシテ著シク不相当ト認ムルモノアルトキハ政府ハ之ニ変更ヲ加ヘテ認可ヲ為スコトヲ得
前条第二項ノ規定ニ依ル認可申請ナキトキハ政府ハ定款ノ作成其ノ他設立ニ関シ必要ナル処分ヲ為スコトヲ得
第十一条 海運組合ハ設立ノ認可アリタル時又ハ前条第二項ノ規定ニ依リ定款ノ作成アリタル時成立ス
第十二条 第九条第一項又ハ第十条第二項ノ規定ニ依ル海運組合成立シタルトキハ組合員タルベキ資格ヲ有スル者ハ其ノ組合ノ組合員トス
第十三条 政府第十条第二項ノ規定ニ依リ定款ヲ作成シタルトキハ海運組合ノ理事及監事ヲ命ズ
前項ノ理事ハ遅滞ナク組合員総会ヲ招集スベシ
前項ノ総会ニ於テハ組合設立当時ノ収支予算及経費ノ分賦収入方法ヲ議決スベシ
第十四条 政府ハ海運業ノ統制ヲ図ル為必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ組合員ニ非ズシテ組合員タル資格ヲ有スル者ヲシテ海運組合ノ組合員タラシムルコトヲ得
第十五条 海運組合ノ定款ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 目的
二 名称
三 事務所ノ所在地
四 組合員タル資格ニ関スル規定
五 組合員ノ加入及脱退ニ関スル規定
六 役員ニ関スル規定
七 事業ノ執行ニ関スル規定
八 会議ニ関スル規定
九 組合員ノ権利義務及経費ノ分担ニ関スル規定
十 会計及財産ニ関スル規定
十一 存立ノ期間又ハ解散ノ事由ヲ定メタルトキハ其ノ期間又ハ事由
第十六条 海運組合ニハ理事及監事ヲ置クベシ
理事及監事ノ選任及解任ハ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
理事ハ組合ノ業務ニ付組合ヲ代表ス
監事ハ組合ノ業務ヲ監査ス
理事ト監事トハ相兼ヌルコトヲ得ズ
組合ト理事ト利益相反スル事項ニ付テハ監事組合ヲ代表ス
理事欠ケタルトキハ監事其ノ職務ヲ行フ但シ其ノ期間ハ三月ヲ超ユルコトヲ得ズ
理事ノ職務ヲ行フ者ナキトキハ政府ハ仮理事ヲ選任シ理事ノ職務ヲ行ハシムルコトヲ得
第一項ノ規定ニ依ル役員ノ外定款ノ定ムル所ニ依リ他ノ役員ヲ置クコトヲ得
第十七条 左ニ掲グル事項ハ総会ノ議決ヲ経ベシ
一 定款ノ変更
二 収支予算及経費ノ分賦収入方法
三 業務報告及収支決算ノ承認
四 第二十条第一項ノ規程ノ制定及変更
五 海運組合連合会ノ設立、加入及脱退
六 解散
前項第一号、第四号及第六号ニ掲グル事項ノ決議ハ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第十八条 組合員ハ総会ニ於テ各一個ノ議決権ヲ有ス但シ定款ノ定ムル所ニ依リ一人ニ付二個以上ノ議決権ヲ有セシムルコトヲ得
第十九条 総会ノ議決ハ定款ノ定ムル所ニ依リ出席シタル組合員ノ議決権ノ過半数ヲ以テ之ヲ為ス但シ第十七条第一項第一号、第二号及第四号乃至第六号ニ掲グル事項ノ議決ハ総組合員ノ半数以上ニシテ議決権総数ノ半数以上ニ当ル組合員出席シ其ノ議決権ノ三分ノ二以上ノ多数ヲ以テ之ヲ為スコトヲ要ス
第二十条 海運組合ハ組合員間ニ於ケル事業ノ統制ヲ行フ場合ニ於テハ之ニ関スル規程ヲ定ムベシ
政府ハ必要アリト認ムルトキハ海運組合ニ対シ前項ノ規程ノ変更ヲ命ズルコトヲ得
第二十一条 海運業ノ経営ニ関スル弊害ヲ予防シ若ハ矯正スル為又ハ其ノ健全ナル発達ヲ図ル為必要アリト認ムルトキハ政府ハ海運組合ニ対シ必要ナル事業ヲ行フベキコトヲ命ズルコトヲ得
第二十二条 海運業ノ経営ニ関スル弊害ヲ予防シ若ハ矯正スル為又ハ其ノ健全ナル発達ヲ図ル為必要アリト認ムルトキハ政府ハ海運組合ノ組合員ニ対シ又ハ組合員及組合員ニ非ザルモ組合員タル資格ヲ有スル者ニ対シ其ノ組合ノ統制ニ従フベキコトヲ命ズルコトヲ得
第二十三条 政府ハ必要アリト認ムルトキハ海運組合ニ対シ業務ニ関スル報告ヲ為サシメ、業務執行又ハ財産ノ状況ヲ検査シ、定款、収支予算又ハ経費ノ分賦収入方法ノ変更ヲ命ジ其ノ他監督上必要ナル命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得
第二十四条 海運組合ノ事業ノ継続ヲ困難ナリト認ムルトキ又ハ組合ノ行為ガ法令、定款若ハ政府ノ命令ニ違反シタルトキ若ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキハ政府ハ左ノ処分ヲ為スコトヲ得
一 総会ノ決議ノ取消
二 役員ノ解任
三 事業ノ停止
四 解散
第二十五条 海運組合ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス
一 存立ノ期間ノ満了其ノ他定款ニ定メタル事由ノ発生
二 総会ノ決議
三 破産
四 政府ノ解散命令
第二十六条 海運組合ハ其ノ共同ノ目的ヲ達スル為海運組合連合会ヲ設立スルコトヲ得
海運組合連合会ハ他ノ海運組合連合会又ハ海運組合ト其ノ共同ノ目的ヲ達スル為更ニ海運組合連合会ヲ設立スルコトヲ得
海運組合連合会ハ法人トス
第二十七条 海運組合連合会ヲ設立セントスルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ会員タルベキ資格ヲ有スル組合又ハ連合会ノ中会員タラントスル者ニ於テ選任シタル創立委員ヲ以テ、第二十九条ニ於テ準用スル第九条第一項ノ規定ニ依リ海運組合連合会ノ設立ヲ命ゼラレタルトキハ其ノ組合及連合会ニ於テ選任シタル創立委員ヲ以テ命令ノ定ムル所ニ依リ創立委員会ヲ開キ定款其ノ他必要ナル事項ヲ定メ役員ヲ選任シ政府ノ認可ヲ受クベシ
第二十八条 創立委員会ニ於ケル議決及役員ノ選任ハ創立委員総数ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ之ヲ為ス
第八条ノ規定ハ創立委員ニ付之ヲ準用ス
第二十九条ニ於テ準用スル第九条第一項ノ規定ニ依ル海運組合連合会ニ付テハ前二項ノ規定ニ拘ラズ創立委員会ニ於ケル議決及役員ノ選任ハ出席シタル創立委員ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ之ヲ為ス
第二十九条 第四条、第五条、第九条第一項及第十条乃至第二十五条ノ規定ハ海運組合連合会ニ付之ヲ準用ス
第三十条 海運組合及海運組合連合会ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
第三十一条 海運組合及海運組合連合会ノ清算ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十二条 海運組合及海運組合連合会ニハ所得税及営業収益税ヲ課セズ
第三十三条 民法第五十一条第二項、第五十二条第二項、第五十四条、第五十五条、第五十九条第三号第四号、第六十条乃至第六十四条及第六十六条ノ規定ハ海運組合及海運組合連合会ニ付之ヲ準用ス但シ民法第六十二条中五日トアルハ之ヲ十日トス
第三十四条 第二十二条ノ規定ニ依ル政府ノ命令ニ違反シタル者ハ二千円以下ノ罰金ニ処ス
海運業者ハ其ノ代理人、戸主、家族、雇人其ノ他ノ従業者ガ其ノ業務ニ関シ前項ノ違反行為ヲ為シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第三十五条 前条ノ罰則ハ海運業者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第三十六条 海運組合又ハ海運組合連合会ノ理事、監事又ハ清算人其ノ職務ニ関シ賄賂ヲ収受シ要求シ又ハ約束シタルトキハ二年以下ノ懲役ニ処ス因テ不正ノ行為ヲ為シ又ハ相当ノ行為ヲ為サザルトキハ五年以下ノ懲役ニ処ス
前項ノ場合ニ於テ収受シタル賄賂ハ之ヲ没収ス若シ其ノ全部又ハ一部ヲ没収スルコト能ハザルトキハ其ノ価額ヲ追徴ス
本条ノ罪ハ刑法第四条ノ例ニ従フ
第三十七条 前条第一項ニ掲グル者ニ賄賂ヲ交付シ、提供シ又ハ約束シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキハ其ノ刑ヲ減軽又ハ免除スルコトヲ得
第三十八条 左ノ場合ニ於テハ海運組合又ハ海運組合連合会ノ理事又ハ監事ヲ五百円以下ノ過料ニ処ス
一 官庁又ハ総会ニ対シ不実ノ申述ヲ為シ又ハ事実ヲ隠蔽シタルトキ
二 本法ニ依リ政府ノ徴スル報告ヲ為サズ又ハ検査ヲ拒ミ其ノ他政府ノ命令又ハ処分ニ従ハザルトキ
三 本法ニ依ル総会ノ招集ヲ怠リタルトキ
四 本法ニ依リ備置クベキ書類ヲ備置カザルトキ又ハ其ノ書類ニ記載スベキ事項ヲ記載セザルトキ
第三十九条 第三十条及第三十一条ノ規定ニ基キテ発スル勅令ニ於テハ之ニ違反シタル者ヲ五百円以下ノ過料ニ処スル規定ヲ設クルコトヲ得
第四十条 非訟事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ハ前二条ノ過料ニ付之ヲ準用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
登録税法第十九条第七号中「又ハ肥料製造業組合」ノ上ニ「、海運組合、海運組合連合会」ヲ、「又ハ重要肥料業統制法」ノ上ニ「、海運組合法」ヲ加フ