朕關東州支那事變特別稅令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年三月三十一日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
勅令第二百十三號
關東州支那事變特別稅令
第一條 當分ノ內本令ニ依リ所得稅ヲ增徵シ利益配當稅、公債及社債利子稅、通行稅、入場稅、特別入場稅及物品稅ヲ課ス
第二條 所得稅中法人ノ普通所得ニ對スル所得稅ニ付テハ關東州所得稅令第二十五條ニ規定スル稅率百分ノ六ヲ百分ノ七・三五、百分ノ九ヲ百分ノ十一トシタル場合ノ差增額ニ相當スル稅額ヲ增徵ス
所得稅中法人ノ超過所得ニ對スル所得稅ニ付テハ關東州所得稅令第二十五條ニ規定スル稅率ヲ以テ算出シタル稅額ノ百分ノ十ニ相當スル稅額ヲ增徵ス
所得稅中法人ノ淸算所得ニ對スル所得稅ニ付テハ關東州所得稅令第二十五條ニ規定スル稅率百分ノ三ヲ百分ノ三・七、百分ノ九ヲ百分ノ十一トシタル場合ノ差增額ニ相當スル稅額ヲ增徵ス
第一項及第二項ノ規定ニ依ル普通所得及超過所得ニ對スル所得稅ノ增徵稅額ハ普通所得ノ百分ノ四十ニ相當スル金額ヨリ普通所得及超過所得ニ對スル所得稅額(關東州所得稅令第二十六條ノ規定ニ依リ普通所得ニ對スル所得稅ニ加算スル稅額ヲ含マズ)ト臨時利得稅額トノ合計金額ヲ控除シタル殘額ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三條 所得稅中同族會社ノ普通所得ニ對スル所得稅ニ加算スル稅額ニ付テハ關東州所得稅令第二十六條ノ規定ニ依リ算出シタル稅額ノ百分ノ十三・五ニ相當スル稅額ヲ增徵ス
同族會社ノ普通所得ニ對スル所得稅ニ加算スル稅額ハ普通所得ノ百分ノ五十ニ相當スル金額ヨリ普通所得及超過所得ニ對スル所得稅額(關東州所得稅令第二十六條ノ規定ニ依リ普通所得ニ對スル所得稅ニ加算スル稅額ヲ含マズ)、臨時利得稅額及前條ノ規定ニ依ル增徵稅額ノ合計金額ヲ控除シタル殘額ヲ超ユルコトヲ得ズ殘額ヲ超エザル場合ニ於テ前項ノ規定ニ依ル增徵ニ因リ之ヲ超ユルニ至ルトキハ其ノ增徵稅額ニ付亦同ジ
第四條 所得稅中第二種甲及乙ノ所得ニ對スル所得稅ニ付テハ關東州所得稅令第二十七條ノ規定ニ拘ラズ左ノ稅率ニ依リ之ヲ賦課ス
國債ノ利子
利率年四分以下ノモノ 百分ノ一・五
利率年四分ヲ超ユルモノ 百分ノ一・八七
國債以外ノ公債及社債ノ利子
利率年四分五厘以下ノモノ 百分ノ三・二
利率年四分五厘ヲ超ユルモノ 百分ノ三・七五
其ノ他 百分ノ三・二
乙 百分ノ六・二五
第五條 所得稅中第三種ノ所得ニ對スル所得稅ニ付テハ所得稅額百分ノ十三・五ニ相當スル稅額ヲ增徵ス
第六條 關東州所得稅令第二十四條ノ規定ニ拘ラズ第三種ノ所得千二百圓以上ナルトキハ所得稅ヲ課ス
前項ノ所得ハ關東州所得稅令第十四條、第十五條及第十六條ノ規定ニ依ル控除ヲ爲シタル殘額ニ依リ、戶主及其ノ同居家族ノ所得又ハ戶主ト別居スル二人以上ノ同居家族ノ所得ハ其ノ合算總額ニ依ル
前條ノ規定ハ第一項ノ規定ニ依リ課セラルル所得稅ニ付テハ之ヲ適用セズ
第七條 第三種ノ所得ニ付所得金額決定後翌年所得金額決定前ニ於テ營業ヲ法人ニ繼續セシメタル者ノ當該營業ノ實際所得額ガ決定所得額ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ之ヲ所得金額ノ決定ニ付脫漏アリタルモノト看做シ翌年ニ於ケル所得調査委員會ニ諮問シ政府ニ於テ其ノ所得金額ヲ決定スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ當該營業ノ實際所得額ハ其ノ年ニ於ケル收入金額ヨリ必要ノ經費ヲ控除シタル金額ニ依ル
第八條 利益配當稅ハ關東州ニ本店ヲ有スル法人ヨリ利益ノ配當ヲ受クル者ニ之ヲ課ス
關東州所得稅令其ノ他ノ法令ニ依リ第二種所得稅ヲ課セラレザル者ニハ利益配當稅ヲ課セズ
第九條 利益配當稅ハ前條ノ法人ヨリ支拂ヲ受クル利益ノ配當ニ付之ヲ賦課シ配當金中配當率年七分ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ超ユル金額ノ百分ノ十ニ相當スル金額ヲ以テ其ノ稅額トス
第十條 利益配當稅ハ配當金支拂ノ際支拂者ニ於テ徵收シ翌月十日迄ニ之ヲ政府ニ納ムベシ
第十一條 關東州所得稅令第五十八條ノ規定ハ利益配當稅ニ付之ヲ準用ス
第十二條 公債及社債利子稅ハ關東州ニ於テ公債又ハ社債ノ利子ノ支拂ヲ受クル者ニ之ヲ課ス
關東州所得稅令其ノ他ノ法令ニ依リ第二種所得稅ヲ課セラレザル者ニハ公債及社債利子稅ヲ課セズ
第十三條 公債及社債利子稅ハ關東州ニ於テ支拂ヲ受クル公債又ハ社債(關東州外貨債特別稅令第一條第二項ニ規定スル外貨債ヲ除ク)ノ利子ニ付之ヲ賦課シ利子金額中國債ニ在リテハ利率年四分、國債以外ノ公債及社債ニ在リテハ利率年四分五厘ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ超ユル金額ノ百分ノ十ニ相當スル金額ヲ以テ其ノ稅額トス
第十四條 公債及社債利子稅ハ利子金額支拂ノ際支拂者ニ於テ徵收シ翌月十日迄ニ之ヲ政府ニ納ムベシ
第十五條 利益配當稅ヲ課セラルル利益ノ配當又ハ公債及社債利子稅ヲ課セラルル公債若ハ社債ノ利子ニ付所得稅(第一種所得稅ヲ除ク)ヲ課スル場合ニ於テハ其ノ利益配當金額又ハ利子金額ヨリ利益配當稅又ハ公債及社債利子稅相當額ヲ控除シタル殘額ヲ以テ其ノ配當金額又ハ利子金額ト看做ス
第十六條 通行稅ハ汽車、電車、乘合自動車及汽船ノ乘客ニ左ノ區別ニ依リ之ヲ課ス
五十粁未滿
一等 六錢
二等 三錢
五十粁以上
一等 十錢
二等 五錢
三等 二錢
百粁以上
一等 三十錢
二等 十五錢
三等 五錢
百五十粁以上
一等 六十錢
二等 三十錢
三等 十錢
三百粁以上
一等 一圓二十錢
二等 六十錢
三等 二十錢
五百粁以上
一等 一圓八十錢
二等 九十錢
三等 三十錢
八百粁以上
一等 二圓四十錢
二等 一圓二十錢
三等 四十錢
囘數乘車船ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於テハ通行稅ハ左ノ區別ニ依リ之ヲ課ス
囘數二十囘以下ナルトキ 前項稅額ノ五倍
囘數五十囘以下ナルトキ 前項稅額ノ十倍
囘數五十囘ヲ超ユルトキ 前項稅額ノ二十倍
定期乘車船ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於テハ通行稅ハ左ノ區別ニ依リ之ヲ課ス
契約期間一月內ナルトキ 第一項稅額ノ五倍
契約期間三月內ナルトキ 第一項稅額ノ十倍
契約期間六月內ナルトキ 第一項稅額ノ二十倍
契約期間六月ヲ超ユルトキ 第一項稅額ノ三十倍
團體乘車船ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於テハ通行稅ハ左ノ區別ニ依リ之ヲ課ス
人員百人以下ナルトキ 第一項稅額ノ五倍
人員二百人以下ナルトキ 第一項稅額ノ十倍
人員二百人ヲ超ユルトキ 第一項稅額ノ二十倍
貸切乘車船ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於テハ通行稅ハ左ノ區別ニ依リ之ヲ課ス
一等及二等 貸切運賃ノ百分ノ十
三等 貸切運賃ノ百分ノ五
前項ノ規定ニ依ル稅額ハ第一項稅額ニ乘客定員數ヲ乘ジタル金額ヲ超ユルコトヲ得ズ
第一項乃至第三項ニ規定スル通行稅ハ十二歲未滿ノ乘客ニ付テハ其ノ半額トス
第十七條 左ノ場合ニ於テハ通行稅ヲ課セズ
一 三等乘客ニシテ其ノ乘車船區間五十粁未滿ナルトキ
二 陸海軍ノ團體トシテノ乘車船ニシテ滿洲國駐箚特命全權大使ノ定ムルモノナルトキ
三 大使ノ指定スル外國航路ニ就航スル汽船ノ三等乘客ナルトキ
第十八條 左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ第十六條第一項及前條第一號ノ乘車船區間ノ粁程ノ計算ハ大使之ヲ定ム
一 關東州外ニ亘ル乘車ノ契約ヲ爲シタルトキ
二 往復乘車船又ハ廻遊乘車船ノ契約ヲ爲シタルトキ
三 運賃ガ均一制又ハ區間制ニ依リ定メラレタルトキ
第十九條 汽車、電車、乘合自動車又ハ汽船ニシテ其ノ等級ヲ一等、二等及三等ニ分タザルモノニ付テハ第十六條第一項、第五項及第十七條第一號、第三號ノ等級ハ大使之ヲ定ム乘客定員數ノ定メナキ車船ニ付貸切乘車船ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於ケル第十六條第六項ノ乘客定員數ニ付亦同ジ
第二十條 通行稅ハ汽車、電車、乘合自動車又ハ汽船ニ依ル運輸業ヲ營ム者(以下運輸業者ト稱ス)運賃領收ノ際之ヲ徵收シ翌月十日迄ニ政府ニ納ムベシ
第二十一條 汽車、電車、乘合自動車又ハ汽船ニ依ル運輸業ヲ營マントスル者及運輸業者ニ代リテ乘車船券ヲ販賣セントスル者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨ヲ豫メ政府ニ申吿スベシ之ヲ廢止セントスルトキ亦同ジ
第二十二條 運輸業者又ハ運輸業者ニ代リテ乘車船券ヲ販賣スル者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ關スル事項ヲ帳簿ニ記載スベシ
運輸業者又ハ運輸業者ニ代リテ乘車船券ヲ販賣スル者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ關シ必要ナル事項ヲ政府ニ申吿スベシ
第二十三條 入場稅ハ左ニ揭グル第一種ノ場所ニ入場スル者又ハ第二種ノ場所ノ設備ヲ利用スル者ニ之ヲ課ス
第一種
一 演劇、活動寫眞、演藝又ハ觀物(相撲、野球、拳鬪其ノ他ノ競技ニシテ公衆ノ觀覽ニ供スルコトヲ目的トスルモノヲ含ム)ヲ催ス場所
二 競馬場
三 前二號ニ揭グルモノヲ除クノ外一定ノ催物又ハ設備ヲ爲シ公衆ノ觀覽又ハ遊戲ニ供スル場所ニシテ大使ノ定ムルモノ
第二種
一 舞踏場、麻雀場、撞球場
二 ゴルフ場
第二十四條 入場稅ハ入場料ノ百分ノ五トス
本令ニ於テ入場料トハ名義ノ何タルヲ問ハズ第一種ノ場所ニ入場シ又ハ第二種ノ場所ノ設備ヲ利用スル爲ニ支拂フベキ金額ヲ謂フ
前項ノ入場料ノ算定ニ關シテハ大使之ヲ定ム
第二十五條 第一種ノ場所ノ入場料ガ一人一囘三十九錢ニ滿タザル場合ニハ入場稅ヲ課セズ
前項ノ規定ハ囘數、定期又ハ貸切ニテ入場ノ契約ヲ爲シタル場合ニハ之ヲ適用セズ
第二十六條 第一種ノ催物(第一種ノ場所ニ於ケル演劇、活動寫眞、演藝、觀物、競馬其ノ他ノ催物ヲ謂フ以下同ジ)若ハ設備ノ主催者若ハ經營者又ハ第二種ノ場所ノ經營者ガ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ入場料又ハ收益ノ總額ヲ慈善事業其ノ他大使ノ定ムル目的ニ充ツル場合ニ於テハ入場稅ヲ免除ス
第二十七條 入場稅ハ第一種ノ催物若ハ設備ノ主催者若ハ經營者又ハ第二種ノ場所ノ經營者入場料領收ノ際之ヲ徵收シ翌月十日迄ニ政府ニ納ムベシ但シ常時開設ニ非ザルモノニ付テハ大使ノ定ムル場合ヲ除クノ外終了後直ニ政府ニ納ムベシ
第二十八條 第一種ノ催物若ハ設備ヲ開催若ハ經營シ又ハ第二種ノ場所ヲ經營セントスル者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨ヲ豫メ政府ニ申吿スベシ之ヲ廢止セントスルトキ亦同ジ
第二十九條 第一種ノ催物若ハ設備ノ主催者若ハ經營者又ハ第二種ノ場所ノ經營者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ關スル事項ヲ帳簿ニ記載スベシ
第一種ノ催物若ハ設備ノ主催者若ハ經營者又ハ第二種ノ場所ノ經營者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ關シ必要ナル事項ヲ政府ニ申吿スベシ
第三十條 特別入場稅ハ運動競技ニシテ學生生徒又ハ該競技ヲ爲スコトヲ業トセザル者ノ行フモノニ付觀覽ノ爲競技場ニ入場スル者ヨリ料金ヲ徵スル場合ニ於テ其ノ入場者ニ之ヲ課ス
第三十一條 特別入場稅ハ特別入場料ノ百分ノ五トス
本令ニ於テ特別入場料トハ名義ノ何タルヲ問ハズ前條ノ競技場ニ入場スル爲ニ支拂フベキ金額ヲ謂フ
第二十四條第三項ノ規定ハ特別入場稅ニ付之ヲ準用ス
第三十二條 特別入場稅ガ一人一囘三十九錢ニ滿タザル場合ニハ特別入場稅ヲ課セズ
第二十五條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第三十三條 特別入場稅ハ運動競技ノ主催者特別入場料領收ノ際之ヲ徵收シ競技終了後直ニ政府ニ納ムベシ但シ大使ノ定ムル場合ニ於テハ翌月十日迄ニ之ヲ政府ニ納ムベシ
第三十四條 第二十六條、第二十八條及第二十九條ノ規定ハ特別入場稅ニ付之ヲ準用ス
第三十五條 物品稅ハ左ニ揭グル物品ニシテ大使ノ定ムルモノニ之ヲ課ス
第一種
甲類
一 貴石若ハ半貴石又ハ之ヲ用ヒタル製品
二 眞珠又ハ眞珠ヲ用ヒタル製品
三 貴金屬製品又ハ金若ハ白金ヲ用ヒタル製品
四 鼈甲製品
五 珊瑚製品
乙類
六 時計
七 萬年筆、金ペン及シャープペンシル
八 身邊用細貨類
九 化粧用具
十 喫煙用具
十一 帽子、杖、鞭及傘
十二 皮革製又ハ金屬製ノ鞄及トランク
十三 靴及履物
十四 書畵及骨董
十五 室內裝飾用品
十六 照明器具
十七 圍碁及將棋用具
十八 家具
十九 漆器、陶磁器及硝子製器具ニシテ別號ニ揭ゲザルモノ
二十 貴金屬ヲ鍍シ又ハ張リタル製品ニシテ別號ニ揭ゲザルモノ
二十一 毛皮又ハ毛皮製品
二十二 羽毛製品又ハ羽毛ヲ用ヒタル製品
二十三 皮革製品ニシテ別號ニ揭ゲザルモノ
二十四 メリヤス、レース、フェルト及同製品
第二種
甲類
一 寫眞機、寫眞引伸機、映寫機、同部分品及附屬品
二 寫眞用ノ乾板、フィルム及感光紙
三 蓄音器及同部分品
四 蓄音器用レコード
五 樂器、同部分品及附屬品
六 雙眼鏡及隻眼鏡
七 銃及同部分品
八 藥莢及彈丸
九 ゴルフ用具、同部分品及附屬品
十 娛樂用モーターボート、スカール及ヨット
十一 撞球用具
十二 ネオン管及同變壓器
十三 喫煙用ライター
乙類
十四 ラヂオ聽取機及同部分品
十五 受信用眞空管及擴聲器
十六 扇風機及同部分品
十七 煖房用ノ電氣、瓦斯又ハ礦油ストーブ
十八 冷藏器及同部分品
十九 金庫及鋼鐵製家具
二十 乘用自動車
二十一 化粧品
第三種
一 燐寸
二 酒類但シ關東州酒稅令第二十七條ノ規定ニ依リ自家用酒類トシテ課稅セラルルモノヲ除ク
同一物品ニシテ第一種及第二種ニ該當スルモノハ之ヲ第二種トシ甲類及乙類ニ該當スルモノハ之ヲ甲類トス
第三十六條 物品稅ノ稅率ハ左ノ如シ
第一種
甲類 物品ノ價格百分ノ十五
乙類 物品ノ價格百分ノ十
第二種
甲類 物品ノ價格百分ノ十五
乙類 物品ノ價格百分ノ十
第三種
一 燐寸 千本ニ付 四錢
二 酒類
イ 釀造酒
支那酒タル淸酒、黃酒、濁酒 一石ニ付 一圓
麥酒 一石ニ付 二圓
葡萄酒、シャンパン其ノ他ノ果實酒 一石ニ付 三圓五十錢
前記以外ノ釀造酒 一石ニ付 二圓五十錢
ロ 蒸餾酒
酒精 一石ニ付 五圓
酒精以外ノ蒸餾酒 一石ニ付 二圓五十錢
ハ 再製酒
酒精分二十度以下ノ白酒、味淋 一石ニ付 二圓五十錢
前記以外ノ再製酒 一石ニ付 三圓五十錢
第三十七條 前條ノ價格ハ第一種ノ物品ニ付テハ小賣業者ノ販賣價格、第二種ノ物品ニ付テハ製造場ヨリ移出スルトキノ價格トス但シ保稅地域ヨリ引取ラルル第一種又ハ第二種ノ物品ニシテ引取人ヨリ稅金ヲ徵スルモノニ付テハ引取ノ際ニ於ケル價格トス
前項ノ價格及燐寸ノ本數ノ計算ニ關シ必要ナル事項ハ大使之ヲ定ム
保稅地域トハ政府ニ於テ課稅物件ヲ藏置シ得ベキ場所トシテ指定シ又ハ特許シタル場所ヲ謂フ
第三十八條 物品稅ハ第一種ノ物品ニ付テハ販賣セラレタル物品ノ價格ニ應ジ小賣業者ヨリ、第二種又ハ第三種ノ物品ニ付テハ製造場ヨリ移出セラレタル物品ノ價格又ハ數量ニ應ジ製造者ヨリ之ヲ徵收ス但シ保稅地域ヨリ引取ラルル物品ニ付テハ大使ノ定ムル場合ヲ除クノ外引取ラレタル物品ノ價格又ハ數量ニ應ジ引取人ヨリ之ヲ徵收ス
第三十九條 物品稅ハ第一種第十四號ニ揭グル物品ニ付テハ其ノ物品ガ入札其ノ他競爭ノ方法ニ依リ賣買セラルル場合ニシテ大使ノ定ムル場合ニ限リ之ヲ課ス
前項ノ場合ニ於テハ札元又ハ之ニ準ズベキ者ガ小賣業者トシテ當該物品ヲ販賣スルモノト看做ス
第四十條 製造場以外ノ場所ニ於テ販賣ノ爲化粧品ヲ容器ニ充塡シ又ハ改裝スルトキハ之ヲ化粧品ノ製造ト看做ス
第四十一條 酒類ヲ製造場內又ハ保稅地域內ニ於テ飮用シタルトキハ之ヲ製造場ヨリ移出シ又ハ保稅地域ヨリ引取リタルモノト看做ス
第四十二條 第一種ノ物品ノ小賣業者ハ每月其ノ販賣シタル物品ニ付其ノ品名每ニ數量及價格ヲ記載シタル申吿書ヲ、第二種ノ物品ノ製造者ハ每月其ノ製造場ヨリ移出シタル物品ニ付其ノ品名每ニ數量及價格ヲ記載シタル申吿書ヲ、第三種ノ物品ノ製造者ハ每月其ノ製造場ヨリ移出シタル物品ニ付其ノ品名每ニ數量ヲ記載シタル申吿書ヲ翌月十日迄ニ政府ニ提出スベシ
第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ヲ保稅地域ヨリ引取ル者ハ大使ノ定ムル場合ヲ除クノ外引取ノ際其ノ物品ニ付前項ニ準ズル申吿書ヲ政府ニ提出スベシ
申吿書ノ提出ナキトキ又ハ政府ニ於テ申吿ヲ不相當ト認メタルトキハ政府ハ其ノ課稅標準額ヲ決定ス
第四十三條 小賣業者ガ其ノ販賣シタル第一種ノ物品ノ返還ヲ受ケタル場合ニ於テハ大使ノ定ムル所ニ依リ返還ヲ受ケタル月分以降ノ課稅標準額ヨリ其ノ物品ノ價格ヲ控除ス製造場ヨリ移出シタル第二種ノ物品ヲ同一製造場內ニ戾入シタル場合亦同ジ
製造場ヨリ移出シタル第三種ノ物品ヲ同一製造場內ニ戾入シ又ハ酒類ヲ製造場外ヨリ移入シタル場合ニ於テハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ物品ヲ製造場ヨリ移出スルモ更ニ物品稅ノ徵收ヲ爲サズ
第四十四條 物品稅ハ每月分ヲ翌月末日迄ニ納付スベシ但シ第三十八條但書ノ場合ニ於テハ引取ノ際之ヲ納付スベシ
大使ノ定ムル所ニ依リ第二種又ハ第三種ノ物品ニ付物品稅額ニ相當スル擔保ヲ提供シタルトキハ一月內物品稅ノ徵收ヲ猶豫スルコトヲ得
第四十五條 大使ノ定ムル所ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケ他ノ製造場又ハ藏置場ニ移入スル目的ヲ以テ製造場ヨリ移出シ又ハ保稅地域ヨリ引取ル第二種ノ物品又ハ燐寸ニ付テハ第三十八條ノ規定ヲ適用セズ
前項ノ場合ニ於テハ移出先又ハ引取先ヲ以テ製造場ト看做シ移出先又ハ引取先ノ營業者ヲ以テ製造者ト看做ス
第一項ノ物品ニシテ政府ノ指定シタル期間內ニ移出先又ハ引取先ニ移入セラレタルコトノ證明ナキモノニ付テハ製造者又ハ引取人ヨリ直ニ其ノ物品稅ヲ徵收ス但シ災害其ノ他已ムコトヲ得ザル事由ニ因リ滅失シタルモノニ付政府ノ承認ヲ受ケタルトキハ物品稅ヲ免除ス
第四十六條 大使ノ定ムル所ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケ製造場ヨリ移出シ又ハ保稅地域ヨリ引取ル物品ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スルモノニ付テハ物品稅ヲ免除ス
一 第二種ノ物品ノ製造ノ用ニ供スル第二種ノ物品
二 酒類製造用又ハ工業用ニ供スル酒類
前條第三項ノ規定ハ前項ノ物品ニシテ政府ノ指定シタル期間內ニ移出先若ハ引取先ニ移入セラレタルコトノ證明ナキモノ又ハ其ノ用途ヲ變更セラレタルモノニ付之ヲ準用ス
第四十七條 左ニ揭グル物品ニ付テハ大使ノ定ムル所ニ依リ物品稅ヲ免除ス
一 輸出スルモノ
二 其ノ他大使ノ定ムル用途ニ供スルモノ
第四十五條第三項ノ規定ハ前項ノ物品ニシテ政府ノ指定シタル期間內ニ輸出シ又ハ其ノ用途ニ供セラレタルコトノ證明ナキモノニ付之ヲ準用ス
第四十八條 第一種ノ物品ノ小賣業ヲ營マントスル者又ハ第二種ノ物品若ハ燐寸ヲ製造セントスル者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ政府ニ申吿スベシ其ノ小賣業又ハ製造ヲ廢止セントスルトキ亦同ジ
第四十九條 第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造者又ハ販賣者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ製造、貯藏又ハ販賣ニ關スル事實ヲ帳簿ニ記載スベシ
第一種ノ物品ノ小賣業者又ハ第二種若ハ第三種ノ物品ノ製造者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ製造又ハ販賣ニ關シ必要ナル事項ヲ政府ニ申吿スベシ
第五十條 第十條、第十四條、第二十條、第二十七條又ハ第三十三條ノ規定ニ依リ徵收スベキ稅金ヲ徵收セザルトキ又ハ其ノ徵收シタル稅金ヲ納付セザルトキハ國稅徵收ノ例ニ依リ之ヲ各其ノ徵收義務者ヨリ徵收ス
第五十一條 稅務官吏ハ通行稅ニ付運輸業者又ハ運輸業者ニ代リテ乘車船券ヲ販賣スル者ニ對シ質問ヲ爲シ又ハ其ノ業務ニ關スル帳簿書類ヲ檢査スルコトヲ得
稅務官吏ハ入場稅ニ付第一種ノ催物若ハ設備ノ主催者若ハ經營者又ハ第二種ノ場所ノ經營者ニ對シ質問ヲ爲シ又ハ其ノ業務ニ關スル帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査スルコトヲ得
前項ノ規定ハ特別入場稅ニ付之ヲ準用ス
稅務官吏ハ物品稅ニ付第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造者又ハ販賣者ニ對シ質問ヲ爲シ又ハ左ニ揭グル物件ニ付檢査ヲ爲シ若ハ監督上必要ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一 第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ニシテ製造者又ハ販賣者ノ所持スルモノ
二 第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造、貯藏又ハ販賣ニ關スル一切ノ帳簿書類
三 第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造、貯藏又ハ販賣上必要ナル建築物、機械、器具、材料其ノ他ノ物件
第五十二條 市、會其ノ他ノ公共團體ハ本令ニ依リ增徵スル稅額又ハ本令ニ依リ課スル利益配當稅、公債及社債利子稅、通行稅、入場稅、特別入場稅及物品稅ニ付附加稅ヲ課スルコトヲ得ズ
市、會其ノ他ノ公共團體ハ第一種ノ場所ノ入場者又ハ第二種ノ場所ノ設備利用者ニ對シ入場稅ノ課稅標準タル入場料ヲ標準トシテ地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ
前項ノ規定ハ特別入場稅ニ付之ヲ準用ス
第五十三條 大使ハ本令ニ定ムルモノヲ除クノ外支那事變特別稅ニ關シ必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得
附 則
第五十四條 本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第五十五條 所得稅中第一種ノ所得稅ニ付テハ普通所得及超過所得ニ對スル所得稅ハ昭和十三年四月一日以後ニ終了スル事業年度分、淸算所得ニ對スル所得稅ハ昭和十三年四月一日以後ニ於ケル解散又ハ合併ニ因ル分ヨリ、第三種ノ所得稅ニ付テハ昭和十三年分ヨリ本令ヲ適用ス但シ第七條ノ規定ハ昭和十二年分所得稅ヨリ之ヲ適用ス
第六條ノ規定ニ依リ第三種ノ所得ニ付新ニ納稅義務ヲ有スルニ至リタル者ハ昭和十三年四月三十日迄ニ其ノ所得金額ヲ申吿スベシ
前項ノ場合ニ於テハ所得金額ノ申吿ト同時ニ關東州所得稅令第十五條又ハ第十六條ノ規定ニ依ル控除ヲ申請スルコトヲ得
法人ノ昭和十三年四月一日以後ニ終了スル各事業年度分ノ所得ニ對スル所得稅及昭和十三年四月一日以後ニ於ケル解散又ハ合併ニ因ル淸算所得ニ對スル所得稅ニ付テハ北支事件特別稅中ノ第二種所得稅ヲ納ムル者ノ所得特別稅ハ之ヲ第二種ノ所得ニ對スル所得稅ト看做シ關東州所得稅令第二十五條第二項乃至第四項ノ規定ヲ適用ス
第五十六條 法人ノ昭和十三年八月二十六日以前ニ終了スル各事業年度分ノ普通所得及超過所得ニ對スル所得特別稅額ハ當該所得ニ付第二條及第三條ノ規定ニ依リ算出シタル增徵稅額ヨリ之ヲ控除ス
支拂期ノ昭和十三年八月二十六日以前ニ在ル第二種甲及乙ノ所得ニ對スル所得特別稅額ハ當該所得ニ付第四條ノ規定ニ依リ算出シタル稅額ヨリ之ヲ控除ス
第五十七條 昭和十三年八月二十六日以前ニ受クル利益ノ配當及支拂期ノ昭和十三年八月二十六日以前ニ在ル公債又ハ社債ノ利子ニ對シテハ利益配當稅又ハ公債及社債利子稅ニ關スル規定ヲ適用セズ
第五十八條 本令施行前ヨリ引續キ汽車、電車、乘合自動車又ハ汽船ニ依ル運輸業ヲ營ム者又ハ運輸業者ニ代リテ乘車船券ヲ販賣スル者本令施行後一月內ニ其ノ旨ヲ政府ニ申吿スルトキハ本令施行ノ日ニ於テ本令ニ依リ申吿シタルモノト看做ス
本令施行前ヨリ引續キ第二十三條ニ規定スル第一種ノ催物若ハ設備ヲ開催若ハ經營スル者、同第二種ノ場所ヲ經營スル者又ハ運動競技ヲ開催スル者本令施行後一月內ニ其ノ旨ヲ政府ニ申吿スルトキハ本令施行ノ日ニ於テ本令ニ依リ申吿シタルモノト看做ス
第五十九條 本令施行前ヨリ引續キ第三十五條ニ揭グル第一種ノ物品ノ小賣業ヲ營ム者又ハ同第二種ノ物品若ハ燐寸ノ製造ヲ爲ス者本令施行後一月內ニ其ノ旨ヲ政府ニ申吿スルトキハ本令施行ノ日ニ於テ本令ニ依リ申吿シタルモノト看做ス
北支事件特別稅令第二十條ニ揭グル第一種ノ物品ノ小賣業ヲ營ム者又ハ同第二種ノ物品ノ製造ヲ爲ス者ニシテ同法ニ依リ其ノ旨ヲ申吿シタルモノハ第四十八條前段ノ申吿ヲ要セズ
第六十條 第三十五條ニ揭グル第二種ノ物品ノ製造者又ハ販賣者ガ本令施行ノ際製造場又ハ保稅地域以外ノ場所ニ於テ同條各號ニ揭グル品名每ニ價格三千圓ヲ超ユル第二種ノ物品(第一號乃至第五號ニ揭グル物品ヲ除ク)ヲ所持スル場合ニ於テハ其ノ場所ヲ以テ製造場、其ノ所持者ヲ以テ製造者ト看做シ之ニ物品稅ヲ課ス此ノ場合ニ於テハ本令施行ノ日ニ於テ其ノ物品ヲ製造場ヨリ移出シタルモノト看做シ其ノ價格三千圓ヲ超ユル部分ニ付大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ物品稅ヲ徵收ス
前項ノ規定ハ同第三種ノ物品ノ製造者又ハ販賣者ガ本令施行ノ際製造場又ハ保稅地域以外ノ場所ニ於テ千萬本ヲ超ユル數量ノ燐寸又ハ三十石ヲ超ユル數量ノ酒類ヲ所持スル場合ニ付之ヲ準用ス
前二項ノ製造者又ハ販賣者ハ第二種ノ物品ニ付テハ其ノ品名每ニ數量價格及貯藏ノ場所、第三種ノ物品ニ付テハ其ノ品名每ニ數量及貯藏ノ場所ヲ本令施行後一月內ニ政府ニ申吿スベシ
第六十一條 本令ハ支那事變終了後其ノ翌年十二月三十一日迄ニ之ヲ廢止スルモノトス
朕関東州支那事変特別税令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年三月三十一日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
勅令第二百十三号
関東州支那事変特別税令
第一条 当分ノ内本令ニ依リ所得税ヲ増徴シ利益配当税、公債及社債利子税、通行税、入場税、特別入場税及物品税ヲ課ス
第二条 所得税中法人ノ普通所得ニ対スル所得税ニ付テハ関東州所得税令第二十五条ニ規定スル税率百分ノ六ヲ百分ノ七・三五、百分ノ九ヲ百分ノ十一トシタル場合ノ差増額ニ相当スル税額ヲ増徴ス
所得税中法人ノ超過所得ニ対スル所得税ニ付テハ関東州所得税令第二十五条ニ規定スル税率ヲ以テ算出シタル税額ノ百分ノ十ニ相当スル税額ヲ増徴ス
所得税中法人ノ清算所得ニ対スル所得税ニ付テハ関東州所得税令第二十五条ニ規定スル税率百分ノ三ヲ百分ノ三・七、百分ノ九ヲ百分ノ十一トシタル場合ノ差増額ニ相当スル税額ヲ増徴ス
第一項及第二項ノ規定ニ依ル普通所得及超過所得ニ対スル所得税ノ増徴税額ハ普通所得ノ百分ノ四十ニ相当スル金額ヨリ普通所得及超過所得ニ対スル所得税額(関東州所得税令第二十六条ノ規定ニ依リ普通所得ニ対スル所得税ニ加算スル税額ヲ含マズ)ト臨時利得税額トノ合計金額ヲ控除シタル残額ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三条 所得税中同族会社ノ普通所得ニ対スル所得税ニ加算スル税額ニ付テハ関東州所得税令第二十六条ノ規定ニ依リ算出シタル税額ノ百分ノ十三・五ニ相当スル税額ヲ増徴ス
同族会社ノ普通所得ニ対スル所得税ニ加算スル税額ハ普通所得ノ百分ノ五十ニ相当スル金額ヨリ普通所得及超過所得ニ対スル所得税額(関東州所得税令第二十六条ノ規定ニ依リ普通所得ニ対スル所得税ニ加算スル税額ヲ含マズ)、臨時利得税額及前条ノ規定ニ依ル増徴税額ノ合計金額ヲ控除シタル残額ヲ超ユルコトヲ得ズ残額ヲ超エザル場合ニ於テ前項ノ規定ニ依ル増徴ニ因リ之ヲ超ユルニ至ルトキハ其ノ増徴税額ニ付亦同ジ
第四条 所得税中第二種甲及乙ノ所得ニ対スル所得税ニ付テハ関東州所得税令第二十七条ノ規定ニ拘ラズ左ノ税率ニ依リ之ヲ賦課ス
国債ノ利子
利率年四分以下ノモノ 百分ノ一・五
利率年四分ヲ超ユルモノ 百分ノ一・八七
国債以外ノ公債及社債ノ利子
利率年四分五厘以下ノモノ 百分ノ三・二
利率年四分五厘ヲ超ユルモノ 百分ノ三・七五
其ノ他 百分ノ三・二
乙 百分ノ六・二五
第五条 所得税中第三種ノ所得ニ対スル所得税ニ付テハ所得税額百分ノ十三・五ニ相当スル税額ヲ増徴ス
第六条 関東州所得税令第二十四条ノ規定ニ拘ラズ第三種ノ所得千二百円以上ナルトキハ所得税ヲ課ス
前項ノ所得ハ関東州所得税令第十四条、第十五条及第十六条ノ規定ニ依ル控除ヲ為シタル残額ニ依リ、戸主及其ノ同居家族ノ所得又ハ戸主ト別居スル二人以上ノ同居家族ノ所得ハ其ノ合算総額ニ依ル
前条ノ規定ハ第一項ノ規定ニ依リ課セラルル所得税ニ付テハ之ヲ適用セズ
第七条 第三種ノ所得ニ付所得金額決定後翌年所得金額決定前ニ於テ営業ヲ法人ニ継続セシメタル者ノ当該営業ノ実際所得額ガ決定所得額ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ之ヲ所得金額ノ決定ニ付脱漏アリタルモノト看做シ翌年ニ於ケル所得調査委員会ニ諮問シ政府ニ於テ其ノ所得金額ヲ決定スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ当該営業ノ実際所得額ハ其ノ年ニ於ケル収入金額ヨリ必要ノ経費ヲ控除シタル金額ニ依ル
第八条 利益配当税ハ関東州ニ本店ヲ有スル法人ヨリ利益ノ配当ヲ受クル者ニ之ヲ課ス
関東州所得税令其ノ他ノ法令ニ依リ第二種所得税ヲ課セラレザル者ニハ利益配当税ヲ課セズ
第九条 利益配当税ハ前条ノ法人ヨリ支払ヲ受クル利益ノ配当ニ付之ヲ賦課シ配当金中配当率年七分ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ超ユル金額ノ百分ノ十ニ相当スル金額ヲ以テ其ノ税額トス
第十条 利益配当税ハ配当金支払ノ際支払者ニ於テ徴収シ翌月十日迄ニ之ヲ政府ニ納ムベシ
第十一条 関東州所得税令第五十八条ノ規定ハ利益配当税ニ付之ヲ準用ス
第十二条 公債及社債利子税ハ関東州ニ於テ公債又ハ社債ノ利子ノ支払ヲ受クル者ニ之ヲ課ス
関東州所得税令其ノ他ノ法令ニ依リ第二種所得税ヲ課セラレザル者ニハ公債及社債利子税ヲ課セズ
第十三条 公債及社債利子税ハ関東州ニ於テ支払ヲ受クル公債又ハ社債(関東州外貨債特別税令第一条第二項ニ規定スル外貨債ヲ除ク)ノ利子ニ付之ヲ賦課シ利子金額中国債ニ在リテハ利率年四分、国債以外ノ公債及社債ニ在リテハ利率年四分五厘ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ超ユル金額ノ百分ノ十ニ相当スル金額ヲ以テ其ノ税額トス
第十四条 公債及社債利子税ハ利子金額支払ノ際支払者ニ於テ徴収シ翌月十日迄ニ之ヲ政府ニ納ムベシ
第十五条 利益配当税ヲ課セラルル利益ノ配当又ハ公債及社債利子税ヲ課セラルル公債若ハ社債ノ利子ニ付所得税(第一種所得税ヲ除ク)ヲ課スル場合ニ於テハ其ノ利益配当金額又ハ利子金額ヨリ利益配当税又ハ公債及社債利子税相当額ヲ控除シタル残額ヲ以テ其ノ配当金額又ハ利子金額ト看做ス
第十六条 通行税ハ汽車、電車、乗合自動車及汽船ノ乗客ニ左ノ区別ニ依リ之ヲ課ス
五十粁未満
一等 六銭
二等 三銭
五十粁以上
一等 十銭
二等 五銭
三等 二銭
百粁以上
一等 三十銭
二等 十五銭
三等 五銭
百五十粁以上
一等 六十銭
二等 三十銭
三等 十銭
三百粁以上
一等 一円二十銭
二等 六十銭
三等 二十銭
五百粁以上
一等 一円八十銭
二等 九十銭
三等 三十銭
八百粁以上
一等 二円四十銭
二等 一円二十銭
三等 四十銭
回数乗車船ノ契約ヲ為シタル場合ニ於テハ通行税ハ左ノ区別ニ依リ之ヲ課ス
回数二十回以下ナルトキ 前項税額ノ五倍
回数五十回以下ナルトキ 前項税額ノ十倍
回数五十回ヲ超ユルトキ 前項税額ノ二十倍
定期乗車船ノ契約ヲ為シタル場合ニ於テハ通行税ハ左ノ区別ニ依リ之ヲ課ス
契約期間一月内ナルトキ 第一項税額ノ五倍
契約期間三月内ナルトキ 第一項税額ノ十倍
契約期間六月内ナルトキ 第一項税額ノ二十倍
契約期間六月ヲ超ユルトキ 第一項税額ノ三十倍
団体乗車船ノ契約ヲ為シタル場合ニ於テハ通行税ハ左ノ区別ニ依リ之ヲ課ス
人員百人以下ナルトキ 第一項税額ノ五倍
人員二百人以下ナルトキ 第一項税額ノ十倍
人員二百人ヲ超ユルトキ 第一項税額ノ二十倍
貸切乗車船ノ契約ヲ為シタル場合ニ於テハ通行税ハ左ノ区別ニ依リ之ヲ課ス
一等及二等 貸切運賃ノ百分ノ十
三等 貸切運賃ノ百分ノ五
前項ノ規定ニ依ル税額ハ第一項税額ニ乗客定員数ヲ乗ジタル金額ヲ超ユルコトヲ得ズ
第一項乃至第三項ニ規定スル通行税ハ十二歳未満ノ乗客ニ付テハ其ノ半額トス
第十七条 左ノ場合ニ於テハ通行税ヲ課セズ
一 三等乗客ニシテ其ノ乗車船区間五十粁未満ナルトキ
二 陸海軍ノ団体トシテノ乗車船ニシテ満洲国駐箚特命全権大使ノ定ムルモノナルトキ
三 大使ノ指定スル外国航路ニ就航スル汽船ノ三等乗客ナルトキ
第十八条 左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ第十六条第一項及前条第一号ノ乗車船区間ノ粁程ノ計算ハ大使之ヲ定ム
一 関東州外ニ亘ル乗車ノ契約ヲ為シタルトキ
二 往復乗車船又ハ廻遊乗車船ノ契約ヲ為シタルトキ
三 運賃ガ均一制又ハ区間制ニ依リ定メラレタルトキ
第十九条 汽車、電車、乗合自動車又ハ汽船ニシテ其ノ等級ヲ一等、二等及三等ニ分タザルモノニ付テハ第十六条第一項、第五項及第十七条第一号、第三号ノ等級ハ大使之ヲ定ム乗客定員数ノ定メナキ車船ニ付貸切乗車船ノ契約ヲ為シタル場合ニ於ケル第十六条第六項ノ乗客定員数ニ付亦同ジ
第二十条 通行税ハ汽車、電車、乗合自動車又ハ汽船ニ依ル運輸業ヲ営ム者(以下運輸業者ト称ス)運賃領収ノ際之ヲ徴収シ翌月十日迄ニ政府ニ納ムベシ
第二十一条 汽車、電車、乗合自動車又ハ汽船ニ依ル運輸業ヲ営マントスル者及運輸業者ニ代リテ乗車船券ヲ販売セントスル者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨ヲ予メ政府ニ申告スベシ之ヲ廃止セントスルトキ亦同ジ
第二十二条 運輸業者又ハ運輸業者ニ代リテ乗車船券ヲ販売スル者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ関スル事項ヲ帳簿ニ記載スベシ
運輸業者又ハ運輸業者ニ代リテ乗車船券ヲ販売スル者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ関シ必要ナル事項ヲ政府ニ申告スベシ
第二十三条 入場税ハ左ニ掲グル第一種ノ場所ニ入場スル者又ハ第二種ノ場所ノ設備ヲ利用スル者ニ之ヲ課ス
第一種
一 演劇、活動写真、演芸又ハ観物(相撲、野球、拳闘其ノ他ノ競技ニシテ公衆ノ観覧ニ供スルコトヲ目的トスルモノヲ含ム)ヲ催ス場所
二 競馬場
三 前二号ニ掲グルモノヲ除クノ外一定ノ催物又ハ設備ヲ為シ公衆ノ観覧又ハ遊戯ニ供スル場所ニシテ大使ノ定ムルモノ
第二種
一 舞踏場、麻雀場、撞球場
二 ゴルフ場
第二十四条 入場税ハ入場料ノ百分ノ五トス
本令ニ於テ入場料トハ名義ノ何タルヲ問ハズ第一種ノ場所ニ入場シ又ハ第二種ノ場所ノ設備ヲ利用スル為ニ支払フベキ金額ヲ謂フ
前項ノ入場料ノ算定ニ関シテハ大使之ヲ定ム
第二十五条 第一種ノ場所ノ入場料ガ一人一回三十九銭ニ満タザル場合ニハ入場税ヲ課セズ
前項ノ規定ハ回数、定期又ハ貸切ニテ入場ノ契約ヲ為シタル場合ニハ之ヲ適用セズ
第二十六条 第一種ノ催物(第一種ノ場所ニ於ケル演劇、活動写真、演芸、観物、競馬其ノ他ノ催物ヲ謂フ以下同ジ)若ハ設備ノ主催者若ハ経営者又ハ第二種ノ場所ノ経営者ガ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ入場料又ハ収益ノ総額ヲ慈善事業其ノ他大使ノ定ムル目的ニ充ツル場合ニ於テハ入場税ヲ免除ス
第二十七条 入場税ハ第一種ノ催物若ハ設備ノ主催者若ハ経営者又ハ第二種ノ場所ノ経営者入場料領収ノ際之ヲ徴収シ翌月十日迄ニ政府ニ納ムベシ但シ常時開設ニ非ザルモノニ付テハ大使ノ定ムル場合ヲ除クノ外終了後直ニ政府ニ納ムベシ
第二十八条 第一種ノ催物若ハ設備ヲ開催若ハ経営シ又ハ第二種ノ場所ヲ経営セントスル者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨ヲ予メ政府ニ申告スベシ之ヲ廃止セントスルトキ亦同ジ
第二十九条 第一種ノ催物若ハ設備ノ主催者若ハ経営者又ハ第二種ノ場所ノ経営者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ関スル事項ヲ帳簿ニ記載スベシ
第一種ノ催物若ハ設備ノ主催者若ハ経営者又ハ第二種ノ場所ノ経営者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ関シ必要ナル事項ヲ政府ニ申告スベシ
第三十条 特別入場税ハ運動競技ニシテ学生生徒又ハ該競技ヲ為スコトヲ業トセザル者ノ行フモノニ付観覧ノ為競技場ニ入場スル者ヨリ料金ヲ徴スル場合ニ於テ其ノ入場者ニ之ヲ課ス
第三十一条 特別入場税ハ特別入場料ノ百分ノ五トス
本令ニ於テ特別入場料トハ名義ノ何タルヲ問ハズ前条ノ競技場ニ入場スル為ニ支払フベキ金額ヲ謂フ
第二十四条第三項ノ規定ハ特別入場税ニ付之ヲ準用ス
第三十二条 特別入場税ガ一人一回三十九銭ニ満タザル場合ニハ特別入場税ヲ課セズ
第二十五条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第三十三条 特別入場税ハ運動競技ノ主催者特別入場料領収ノ際之ヲ徴収シ競技終了後直ニ政府ニ納ムベシ但シ大使ノ定ムル場合ニ於テハ翌月十日迄ニ之ヲ政府ニ納ムベシ
第三十四条 第二十六条、第二十八条及第二十九条ノ規定ハ特別入場税ニ付之ヲ準用ス
第三十五条 物品税ハ左ニ掲グル物品ニシテ大使ノ定ムルモノニ之ヲ課ス
第一種
甲類
一 貴石若ハ半貴石又ハ之ヲ用ヒタル製品
二 真珠又ハ真珠ヲ用ヒタル製品
三 貴金属製品又ハ金若ハ白金ヲ用ヒタル製品
四 鼈甲製品
五 珊瑚製品
乙類
六 時計
七 万年筆、金ペン及シャープペンシル
八 身辺用細貨類
九 化粧用具
十 喫煙用具
十一 帽子、杖、鞭及傘
十二 皮革製又ハ金属製ノ鞄及トランク
十三 靴及履物
十四 書画及骨董
十五 室内装飾用品
十六 照明器具
十七 囲碁及将棋用具
十八 家具
十九 漆器、陶磁器及硝子製器具ニシテ別号ニ掲ゲザルモノ
二十 貴金属ヲ鍍シ又ハ張リタル製品ニシテ別号ニ掲ゲザルモノ
二十一 毛皮又ハ毛皮製品
二十二 羽毛製品又ハ羽毛ヲ用ヒタル製品
二十三 皮革製品ニシテ別号ニ掲ゲザルモノ
二十四 メリヤス、レース、フェルト及同製品
第二種
甲類
一 写真機、写真引伸機、映写機、同部分品及附属品
二 写真用ノ乾板、フィルム及感光紙
三 蓄音器及同部分品
四 蓄音器用レコード
五 楽器、同部分品及附属品
六 双眼鏡及隻眼鏡
七 銃及同部分品
八 薬莢及弾丸
九 ゴルフ用具、同部分品及附属品
十 娯楽用モーターボート、スカール及ヨット
十一 撞球用具
十二 ネオン管及同変圧器
十三 喫煙用ライター
乙類
十四 ラヂオ聴取機及同部分品
十五 受信用真空管及拡声器
十六 扇風機及同部分品
十七 煖房用ノ電気、瓦斯又ハ礦油ストーブ
十八 冷蔵器及同部分品
十九 金庫及鋼鉄製家具
二十 乗用自動車
二十一 化粧品
第三種
一 燐寸
二 酒類但シ関東州酒税令第二十七条ノ規定ニ依リ自家用酒類トシテ課税セラルルモノヲ除ク
同一物品ニシテ第一種及第二種ニ該当スルモノハ之ヲ第二種トシ甲類及乙類ニ該当スルモノハ之ヲ甲類トス
第三十六条 物品税ノ税率ハ左ノ如シ
第一種
甲類 物品ノ価格百分ノ十五
乙類 物品ノ価格百分ノ十
第二種
甲類 物品ノ価格百分ノ十五
乙類 物品ノ価格百分ノ十
第三種
一 燐寸 千本ニ付 四銭
二 酒類
イ 醸造酒
支那酒タル清酒、黄酒、濁酒 一石ニ付 一円
麦酒 一石ニ付 二円
葡萄酒、シャンパン其ノ他ノ果実酒 一石ニ付 三円五十銭
前記以外ノ醸造酒 一石ニ付 二円五十銭
ロ 蒸餾酒
酒精 一石ニ付 五円
酒精以外ノ蒸餾酒 一石ニ付 二円五十銭
ハ 再製酒
酒精分二十度以下ノ白酒、味淋 一石ニ付 二円五十銭
前記以外ノ再製酒 一石ニ付 三円五十銭
第三十七条 前条ノ価格ハ第一種ノ物品ニ付テハ小売業者ノ販売価格、第二種ノ物品ニ付テハ製造場ヨリ移出スルトキノ価格トス但シ保税地域ヨリ引取ラルル第一種又ハ第二種ノ物品ニシテ引取人ヨリ税金ヲ徴スルモノニ付テハ引取ノ際ニ於ケル価格トス
前項ノ価格及燐寸ノ本数ノ計算ニ関シ必要ナル事項ハ大使之ヲ定ム
保税地域トハ政府ニ於テ課税物件ヲ蔵置シ得ベキ場所トシテ指定シ又ハ特許シタル場所ヲ謂フ
第三十八条 物品税ハ第一種ノ物品ニ付テハ販売セラレタル物品ノ価格ニ応ジ小売業者ヨリ、第二種又ハ第三種ノ物品ニ付テハ製造場ヨリ移出セラレタル物品ノ価格又ハ数量ニ応ジ製造者ヨリ之ヲ徴収ス但シ保税地域ヨリ引取ラルル物品ニ付テハ大使ノ定ムル場合ヲ除クノ外引取ラレタル物品ノ価格又ハ数量ニ応ジ引取人ヨリ之ヲ徴収ス
第三十九条 物品税ハ第一種第十四号ニ掲グル物品ニ付テハ其ノ物品ガ入札其ノ他競争ノ方法ニ依リ売買セラルル場合ニシテ大使ノ定ムル場合ニ限リ之ヲ課ス
前項ノ場合ニ於テハ札元又ハ之ニ準ズベキ者ガ小売業者トシテ当該物品ヲ販売スルモノト看做ス
第四十条 製造場以外ノ場所ニ於テ販売ノ為化粧品ヲ容器ニ充填シ又ハ改装スルトキハ之ヲ化粧品ノ製造ト看做ス
第四十一条 酒類ヲ製造場内又ハ保税地域内ニ於テ飲用シタルトキハ之ヲ製造場ヨリ移出シ又ハ保税地域ヨリ引取リタルモノト看做ス
第四十二条 第一種ノ物品ノ小売業者ハ毎月其ノ販売シタル物品ニ付其ノ品名毎ニ数量及価格ヲ記載シタル申告書ヲ、第二種ノ物品ノ製造者ハ毎月其ノ製造場ヨリ移出シタル物品ニ付其ノ品名毎ニ数量及価格ヲ記載シタル申告書ヲ、第三種ノ物品ノ製造者ハ毎月其ノ製造場ヨリ移出シタル物品ニ付其ノ品名毎ニ数量ヲ記載シタル申告書ヲ翌月十日迄ニ政府ニ提出スベシ
第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ヲ保税地域ヨリ引取ル者ハ大使ノ定ムル場合ヲ除クノ外引取ノ際其ノ物品ニ付前項ニ準ズル申告書ヲ政府ニ提出スベシ
申告書ノ提出ナキトキ又ハ政府ニ於テ申告ヲ不相当ト認メタルトキハ政府ハ其ノ課税標準額ヲ決定ス
第四十三条 小売業者ガ其ノ販売シタル第一種ノ物品ノ返還ヲ受ケタル場合ニ於テハ大使ノ定ムル所ニ依リ返還ヲ受ケタル月分以降ノ課税標準額ヨリ其ノ物品ノ価格ヲ控除ス製造場ヨリ移出シタル第二種ノ物品ヲ同一製造場内ニ戻入シタル場合亦同ジ
製造場ヨリ移出シタル第三種ノ物品ヲ同一製造場内ニ戻入シ又ハ酒類ヲ製造場外ヨリ移入シタル場合ニ於テハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ物品ヲ製造場ヨリ移出スルモ更ニ物品税ノ徴収ヲ為サズ
第四十四条 物品税ハ毎月分ヲ翌月末日迄ニ納付スベシ但シ第三十八条但書ノ場合ニ於テハ引取ノ際之ヲ納付スベシ
大使ノ定ムル所ニ依リ第二種又ハ第三種ノ物品ニ付物品税額ニ相当スル担保ヲ提供シタルトキハ一月内物品税ノ徴収ヲ猶予スルコトヲ得
第四十五条 大使ノ定ムル所ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケ他ノ製造場又ハ蔵置場ニ移入スル目的ヲ以テ製造場ヨリ移出シ又ハ保税地域ヨリ引取ル第二種ノ物品又ハ燐寸ニ付テハ第三十八条ノ規定ヲ適用セズ
前項ノ場合ニ於テハ移出先又ハ引取先ヲ以テ製造場ト看做シ移出先又ハ引取先ノ営業者ヲ以テ製造者ト看做ス
第一項ノ物品ニシテ政府ノ指定シタル期間内ニ移出先又ハ引取先ニ移入セラレタルコトノ証明ナキモノニ付テハ製造者又ハ引取人ヨリ直ニ其ノ物品税ヲ徴収ス但シ災害其ノ他已ムコトヲ得ザル事由ニ因リ滅失シタルモノニ付政府ノ承認ヲ受ケタルトキハ物品税ヲ免除ス
第四十六条 大使ノ定ムル所ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケ製造場ヨリ移出シ又ハ保税地域ヨリ引取ル物品ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スルモノニ付テハ物品税ヲ免除ス
一 第二種ノ物品ノ製造ノ用ニ供スル第二種ノ物品
二 酒類製造用又ハ工業用ニ供スル酒類
前条第三項ノ規定ハ前項ノ物品ニシテ政府ノ指定シタル期間内ニ移出先若ハ引取先ニ移入セラレタルコトノ証明ナキモノ又ハ其ノ用途ヲ変更セラレタルモノニ付之ヲ準用ス
第四十七条 左ニ掲グル物品ニ付テハ大使ノ定ムル所ニ依リ物品税ヲ免除ス
一 輸出スルモノ
二 其ノ他大使ノ定ムル用途ニ供スルモノ
第四十五条第三項ノ規定ハ前項ノ物品ニシテ政府ノ指定シタル期間内ニ輸出シ又ハ其ノ用途ニ供セラレタルコトノ証明ナキモノニ付之ヲ準用ス
第四十八条 第一種ノ物品ノ小売業ヲ営マントスル者又ハ第二種ノ物品若ハ燐寸ヲ製造セントスル者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ政府ニ申告スベシ其ノ小売業又ハ製造ヲ廃止セントスルトキ亦同ジ
第四十九条 第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造者又ハ販売者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ製造、貯蔵又ハ販売ニ関スル事実ヲ帳簿ニ記載スベシ
第一種ノ物品ノ小売業者又ハ第二種若ハ第三種ノ物品ノ製造者ハ大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ製造又ハ販売ニ関シ必要ナル事項ヲ政府ニ申告スベシ
第五十条 第十条、第十四条、第二十条、第二十七条又ハ第三十三条ノ規定ニ依リ徴収スベキ税金ヲ徴収セザルトキ又ハ其ノ徴収シタル税金ヲ納付セザルトキハ国税徴収ノ例ニ依リ之ヲ各其ノ徴収義務者ヨリ徴収ス
第五十一条 税務官吏ハ通行税ニ付運輸業者又ハ運輸業者ニ代リテ乗車船券ヲ販売スル者ニ対シ質問ヲ為シ又ハ其ノ業務ニ関スル帳簿書類ヲ検査スルコトヲ得
税務官吏ハ入場税ニ付第一種ノ催物若ハ設備ノ主催者若ハ経営者又ハ第二種ノ場所ノ経営者ニ対シ質問ヲ為シ又ハ其ノ業務ニ関スル帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ検査スルコトヲ得
前項ノ規定ハ特別入場税ニ付之ヲ準用ス
税務官吏ハ物品税ニ付第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造者又ハ販売者ニ対シ質問ヲ為シ又ハ左ニ掲グル物件ニ付検査ヲ為シ若ハ監督上必要ノ処分ヲ為スコトヲ得
一 第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ニシテ製造者又ハ販売者ノ所持スルモノ
二 第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造、貯蔵又ハ販売ニ関スル一切ノ帳簿書類
三 第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造、貯蔵又ハ販売上必要ナル建築物、機械、器具、材料其ノ他ノ物件
第五十二条 市、会其ノ他ノ公共団体ハ本令ニ依リ増徴スル税額又ハ本令ニ依リ課スル利益配当税、公債及社債利子税、通行税、入場税、特別入場税及物品税ニ付附加税ヲ課スルコトヲ得ズ
市、会其ノ他ノ公共団体ハ第一種ノ場所ノ入場者又ハ第二種ノ場所ノ設備利用者ニ対シ入場税ノ課税標準タル入場料ヲ標準トシテ地方税ヲ課スルコトヲ得ズ
前項ノ規定ハ特別入場税ニ付之ヲ準用ス
第五十三条 大使ハ本令ニ定ムルモノヲ除クノ外支那事変特別税ニ関シ必要ナル規定ヲ設クルコトヲ得
附 則
第五十四条 本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第五十五条 所得税中第一種ノ所得税ニ付テハ普通所得及超過所得ニ対スル所得税ハ昭和十三年四月一日以後ニ終了スル事業年度分、清算所得ニ対スル所得税ハ昭和十三年四月一日以後ニ於ケル解散又ハ合併ニ因ル分ヨリ、第三種ノ所得税ニ付テハ昭和十三年分ヨリ本令ヲ適用ス但シ第七条ノ規定ハ昭和十二年分所得税ヨリ之ヲ適用ス
第六条ノ規定ニ依リ第三種ノ所得ニ付新ニ納税義務ヲ有スルニ至リタル者ハ昭和十三年四月三十日迄ニ其ノ所得金額ヲ申告スベシ
前項ノ場合ニ於テハ所得金額ノ申告ト同時ニ関東州所得税令第十五条又ハ第十六条ノ規定ニ依ル控除ヲ申請スルコトヲ得
法人ノ昭和十三年四月一日以後ニ終了スル各事業年度分ノ所得ニ対スル所得税及昭和十三年四月一日以後ニ於ケル解散又ハ合併ニ因ル清算所得ニ対スル所得税ニ付テハ北支事件特別税中ノ第二種所得税ヲ納ムル者ノ所得特別税ハ之ヲ第二種ノ所得ニ対スル所得税ト看做シ関東州所得税令第二十五条第二項乃至第四項ノ規定ヲ適用ス
第五十六条 法人ノ昭和十三年八月二十六日以前ニ終了スル各事業年度分ノ普通所得及超過所得ニ対スル所得特別税額ハ当該所得ニ付第二条及第三条ノ規定ニ依リ算出シタル増徴税額ヨリ之ヲ控除ス
支払期ノ昭和十三年八月二十六日以前ニ在ル第二種甲及乙ノ所得ニ対スル所得特別税額ハ当該所得ニ付第四条ノ規定ニ依リ算出シタル税額ヨリ之ヲ控除ス
第五十七条 昭和十三年八月二十六日以前ニ受クル利益ノ配当及支払期ノ昭和十三年八月二十六日以前ニ在ル公債又ハ社債ノ利子ニ対シテハ利益配当税又ハ公債及社債利子税ニ関スル規定ヲ適用セズ
第五十八条 本令施行前ヨリ引続キ汽車、電車、乗合自動車又ハ汽船ニ依ル運輸業ヲ営ム者又ハ運輸業者ニ代リテ乗車船券ヲ販売スル者本令施行後一月内ニ其ノ旨ヲ政府ニ申告スルトキハ本令施行ノ日ニ於テ本令ニ依リ申告シタルモノト看做ス
本令施行前ヨリ引続キ第二十三条ニ規定スル第一種ノ催物若ハ設備ヲ開催若ハ経営スル者、同第二種ノ場所ヲ経営スル者又ハ運動競技ヲ開催スル者本令施行後一月内ニ其ノ旨ヲ政府ニ申告スルトキハ本令施行ノ日ニ於テ本令ニ依リ申告シタルモノト看做ス
第五十九条 本令施行前ヨリ引続キ第三十五条ニ掲グル第一種ノ物品ノ小売業ヲ営ム者又ハ同第二種ノ物品若ハ燐寸ノ製造ヲ為ス者本令施行後一月内ニ其ノ旨ヲ政府ニ申告スルトキハ本令施行ノ日ニ於テ本令ニ依リ申告シタルモノト看做ス
北支事件特別税令第二十条ニ掲グル第一種ノ物品ノ小売業ヲ営ム者又ハ同第二種ノ物品ノ製造ヲ為ス者ニシテ同法ニ依リ其ノ旨ヲ申告シタルモノハ第四十八条前段ノ申告ヲ要セズ
第六十条 第三十五条ニ掲グル第二種ノ物品ノ製造者又ハ販売者ガ本令施行ノ際製造場又ハ保税地域以外ノ場所ニ於テ同条各号ニ掲グル品名毎ニ価格三千円ヲ超ユル第二種ノ物品(第一号乃至第五号ニ掲グル物品ヲ除ク)ヲ所持スル場合ニ於テハ其ノ場所ヲ以テ製造場、其ノ所持者ヲ以テ製造者ト看做シ之ニ物品税ヲ課ス此ノ場合ニ於テハ本令施行ノ日ニ於テ其ノ物品ヲ製造場ヨリ移出シタルモノト看做シ其ノ価格三千円ヲ超ユル部分ニ付大使ノ定ムル所ニ依リ其ノ物品税ヲ徴収ス
前項ノ規定ハ同第三種ノ物品ノ製造者又ハ販売者ガ本令施行ノ際製造場又ハ保税地域以外ノ場所ニ於テ千万本ヲ超ユル数量ノ燐寸又ハ三十石ヲ超ユル数量ノ酒類ヲ所持スル場合ニ付之ヲ準用ス
前二項ノ製造者又ハ販売者ハ第二種ノ物品ニ付テハ其ノ品名毎ニ数量価格及貯蔵ノ場所、第三種ノ物品ニ付テハ其ノ品名毎ニ数量及貯蔵ノ場所ヲ本令施行後一月内ニ政府ニ申告スベシ
第六十一条 本令ハ支那事変終了後其ノ翌年十二月三十一日迄ニ之ヲ廃止スルモノトス