朕熊谷陸軍飛行學校令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十年七月二十九日
內閣總理大臣 岡田啓介
陸軍大臣 林銑十郞
勅令第二百二十四號
熊谷陸軍飛行學校令
第一條 熊谷陸軍飛行學校ハ飛行機操縱ニ從事スル航空兵科現役下士官ト爲スベキ生徒ヲ敎育スル所トス
熊谷陸軍飛行學校ニ於テハ前項ノ外飛行機操縱ニ從事スベキ航空兵科幹部候補生又ハ下士官候補者タル生徒ニ必要ナル敎育ヲ行フ
第二條 生徒ヲ分チテ左ノ二種トシ通常每年一囘入校セシム
操縱生徒 航空兵科現役下士官タルコトヲ志願シ召募試驗ニ合格シタル者ヲ以テ之ニ充テ飛行機操縱ニ必要ナル學術ヲ修習セシム其ノ修學期間ハ槪ネ二年トス
特種生徒 飛行機操縱ニ從事スベキ航空兵科幹部候補生及陸軍補充令第八十三條第一項ノ下士官候補者ヲ以テ之ニ充ツ其ノ修學ニ關シテハ陸軍大臣之ヲ定ム
第三條 陸軍大臣ハ臨時ニ各兵科(憲兵科ヲ除ク)下士官以下ヲ召集シ飛行機操縱ニ關スル修學ヲ爲サシムルコトヲ得
第四條 操縱生徒ノ召募試驗其ノ他採用ニ關スル事項及入校期日ニ付テハ陸軍大臣之ヲ定ム
第五條 操縱生徒ノ敎育ヲ分チテ學術敎育及訓育トシ其ノ敎育綱領ハ陸軍大臣ノ認可ヲ受ケ陸軍航空本部長之ヲ定ム
第六條 操縱生徒ノ敎育ノ實施ハ敎則ニ依ル其ノ敎則ハ前條ノ敎育綱領ニ基キ陸軍航空本部長ノ認可ヲ受ケ校長之ヲ定ム
第七條 生徒ノ敎育ニ任ゼシムル爲熊谷陸軍飛行學校ニ敎育部ヲ置ク
第八條 生徒ノ訓育ヲ行フ爲熊谷陸軍飛行學校ニ生徒隊ヲ置ク
第九條 器材ノ修理及生徒ノ實習ニ供スル爲熊谷陸軍飛行學校ニ材料廠ヲ置ク
第十條 熊谷陸軍飛行學校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
幹事
副官
學校附
敎官
生徒隊長
生徒隊副官
生徒隊中隊長
生徒隊附
材料廠長
材料廠附
准士官、下士官及判任文官
第十一條 校長ハ陸軍航空本部長ニ隸シ校務ヲ總理ス
第十二條 幹事ハ校長ヲ輔佐シ校務ヲ整理シ敎育ノ統一ヲ圖ル
第十三條 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌ル
第十四條 學校附ハ校長ノ命ヲ承ケ各其ノ擔任ノ業務ヲ掌ル
第十五條 敎官ハ校長ノ命ヲ承ケ學術ノ授業ヲ分擔ス
第十六條 生徒隊長ハ生徒隊ヲ統ベ校長ノ命ヲ承ケ訓育ヲ掌理ス
第十七條 生徒隊副官ハ生徒隊長ノ命ヲ承ケ生徒隊ノ庶務ヲ掌ル
第十八條 生徒隊中隊長ハ生徒隊長ノ命ヲ承ケ訓育ヲ擔任ス
第十九條 生徒隊附ハ上官ノ命ヲ承ケ各擔任ノ業務ヲ掌ル
第二十條 材料廠長ハ校長ノ命ヲ承ケ廠務ヲ掌ル
第二十一條 材料廠附ハ材料廠長ノ命ヲ承ケ廠務ヲ分擔ス
第二十二條 准士官、下士官及判任文官ハ上官ノ命ヲ承ケ技術又ハ事務ニ從事ス
第二十三條 操縱生徒ハ校內ニ居住セシメ其ノ修學ニ要スル兵器、被服、圖書、器具、消耗品等ハ之ヲ貸付シ又ハ支給スルコトヲ得
第二十四條 操縱生徒ハ總テ校長ノ管理ニ屬ス
第二十五條 操縱生徒ハ情願ヲ以テ退校スルコトヲ得ズ
第二十六條 操縱生徒左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ之ヲ退校セシム
一 軍紀ヲ紊リ又ハ屢法則ヲ犯ス者
二 品行不正ニシテ改悛ノ目途ナキ者
三 學術ノ成績不良ニシテ卒業ノ目途ナキ者
四 傷痍疾病ニ因リ修學ニ堪ヘザル者
五 前各號ノ外下士官タルニ適セズト認ムル者
第二十七條 操縱生徒ニシテ操縱術成業ノ目途ナキモ戰技又ハ技術ニ適スト認ムルモノハ本人ノ願ニ依リ之ヲ飛行部隊ニ派遣シ戰技ニ必要ナル修學ヲ爲サシメ又ハ之ヲ陸軍航空技術學校ニ轉校セシメ相當年ノ技術生徒ニ編入スルコトヲ得
第二十八條 操縱生徒中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ修學期間內ニ所定ノ學術ヲ修メ得ザル者ニシテ尙望アリト認ムルモノハ之ヲ所要ノ期間滯學セシメ又ハ次期ノ生徒ト爲スコトヲ得
第二十九條 前三條ノ規定ニ該當スル者アルトキハ校長其ノ事由ヲ具シ陸軍航空本部長ヲ經テ陸軍大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ處理ス
第三十條 操縱生徒卒業ノ期ニ至リタルトキハ校長ハ考科列序ヲ定メ陸軍航空本部長ノ認可ヲ受ケ卒業者ニ卒業證書ヲ付與シ入校又ハ著隊ノ時日ヲ指定シ之ヲ他ノ陸軍飛行學校ニ入校セシメ又ハ所屬隊ニ入隊セシム
飛行部隊ニ派遣セラレタル生徒又ハ滯學セシメラレタル生徒修學ヲ終リタルトキハ前項ノ規定ニ準ジ之ヲ取扱フモノトス
第三十一條 校長ハ操縱生徒ニ每年三週間以內ノ休暇ヲ與フルコトヲ得
第三十二條 第三條ノ規定ニ依リ召集スル者ノ人員、召集期日及召集期間ハ陸軍大臣之ヲ吿達ス
第三十三條 前條ノ吿達アリタルトキハ所管長官(陸軍航空本部竝ニ陸軍航空本部長所轄ノ官衙及學校ニ在リテハ陸軍航空本部長)ハ修學ニ適當ナル者ヲ選定シ召集期日前ニ其ノ所屬部隊、等級及氏名ヲ陸軍大臣ニ報吿シ且陸軍航空本部長ニ通報スベシ
第三十四條 職員ニハ校務上便宜ノ時期ニ於テ隊附勤務ヲ爲サシムルコトヲ得
第三十五條 敎育上必要アルトキハ校長ハ敎育總監又ハ師團長ニ禀議シ其ノ學校又ハ軍隊ヲ使用スルコトヲ得
附 則
本令ハ昭和十年十二月一日ヨリ之ヲ施行ス
昭和八年勅令第六十八號ハ之ヲ廢止ス
本令施行ノ際現ニ昭和八年勅令第六十八號ニ依ル操縱生徒タル者ハ本令ニ依ル相當年ノ操縱生徒ト爲リタルモノトス
朕熊谷陸軍飛行学校令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十年七月二十九日
内閣総理大臣 岡田啓介
陸軍大臣 林銑十郎
勅令第二百二十四号
熊谷陸軍飛行学校令
第一条 熊谷陸軍飛行学校ハ飛行機操縦ニ従事スル航空兵科現役下士官ト為スベキ生徒ヲ教育スル所トス
熊谷陸軍飛行学校ニ於テハ前項ノ外飛行機操縦ニ従事スベキ航空兵科幹部候補生又ハ下士官候補者タル生徒ニ必要ナル教育ヲ行フ
第二条 生徒ヲ分チテ左ノ二種トシ通常毎年一回入校セシム
操縦生徒 航空兵科現役下士官タルコトヲ志願シ召募試験ニ合格シタル者ヲ以テ之ニ充テ飛行機操縦ニ必要ナル学術ヲ修習セシム其ノ修学期間ハ概ネ二年トス
特種生徒 飛行機操縦ニ従事スベキ航空兵科幹部候補生及陸軍補充令第八十三条第一項ノ下士官候補者ヲ以テ之ニ充ツ其ノ修学ニ関シテハ陸軍大臣之ヲ定ム
第三条 陸軍大臣ハ臨時ニ各兵科(憲兵科ヲ除ク)下士官以下ヲ召集シ飛行機操縦ニ関スル修学ヲ為サシムルコトヲ得
第四条 操縦生徒ノ召募試験其ノ他採用ニ関スル事項及入校期日ニ付テハ陸軍大臣之ヲ定ム
第五条 操縦生徒ノ教育ヲ分チテ学術教育及訓育トシ其ノ教育綱領ハ陸軍大臣ノ認可ヲ受ケ陸軍航空本部長之ヲ定ム
第六条 操縦生徒ノ教育ノ実施ハ教則ニ依ル其ノ教則ハ前条ノ教育綱領ニ基キ陸軍航空本部長ノ認可ヲ受ケ校長之ヲ定ム
第七条 生徒ノ教育ニ任ゼシムル為熊谷陸軍飛行学校ニ教育部ヲ置ク
第八条 生徒ノ訓育ヲ行フ為熊谷陸軍飛行学校ニ生徒隊ヲ置ク
第九条 器材ノ修理及生徒ノ実習ニ供スル為熊谷陸軍飛行学校ニ材料廠ヲ置ク
第十条 熊谷陸軍飛行学校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
幹事
副官
学校附
教官
生徒隊長
生徒隊副官
生徒隊中隊長
生徒隊附
材料廠長
材料廠附
准士官、下士官及判任文官
第十一条 校長ハ陸軍航空本部長ニ隷シ校務ヲ総理ス
第十二条 幹事ハ校長ヲ輔佐シ校務ヲ整理シ教育ノ統一ヲ図ル
第十三条 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌ル
第十四条 学校附ハ校長ノ命ヲ承ケ各其ノ担任ノ業務ヲ掌ル
第十五条 教官ハ校長ノ命ヲ承ケ学術ノ授業ヲ分担ス
第十六条 生徒隊長ハ生徒隊ヲ統ベ校長ノ命ヲ承ケ訓育ヲ掌理ス
第十七条 生徒隊副官ハ生徒隊長ノ命ヲ承ケ生徒隊ノ庶務ヲ掌ル
第十八条 生徒隊中隊長ハ生徒隊長ノ命ヲ承ケ訓育ヲ担任ス
第十九条 生徒隊附ハ上官ノ命ヲ承ケ各担任ノ業務ヲ掌ル
第二十条 材料廠長ハ校長ノ命ヲ承ケ廠務ヲ掌ル
第二十一条 材料廠附ハ材料廠長ノ命ヲ承ケ廠務ヲ分担ス
第二十二条 准士官、下士官及判任文官ハ上官ノ命ヲ承ケ技術又ハ事務ニ従事ス
第二十三条 操縦生徒ハ校内ニ居住セシメ其ノ修学ニ要スル兵器、被服、図書、器具、消耗品等ハ之ヲ貸付シ又ハ支給スルコトヲ得
第二十四条 操縦生徒ハ総テ校長ノ管理ニ属ス
第二十五条 操縦生徒ハ情願ヲ以テ退校スルコトヲ得ズ
第二十六条 操縦生徒左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ之ヲ退校セシム
一 軍紀ヲ紊リ又ハ屡法則ヲ犯ス者
二 品行不正ニシテ改悛ノ目途ナキ者
三 学術ノ成績不良ニシテ卒業ノ目途ナキ者
四 傷痍疾病ニ因リ修学ニ堪ヘザル者
五 前各号ノ外下士官タルニ適セズト認ムル者
第二十七条 操縦生徒ニシテ操縦術成業ノ目途ナキモ戦技又ハ技術ニ適スト認ムルモノハ本人ノ願ニ依リ之ヲ飛行部隊ニ派遣シ戦技ニ必要ナル修学ヲ為サシメ又ハ之ヲ陸軍航空技術学校ニ転校セシメ相当年ノ技術生徒ニ編入スルコトヲ得
第二十八条 操縦生徒中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ修学期間内ニ所定ノ学術ヲ修メ得ザル者ニシテ尚望アリト認ムルモノハ之ヲ所要ノ期間滞学セシメ又ハ次期ノ生徒ト為スコトヲ得
第二十九条 前三条ノ規定ニ該当スル者アルトキハ校長其ノ事由ヲ具シ陸軍航空本部長ヲ経テ陸軍大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ処理ス
第三十条 操縦生徒卒業ノ期ニ至リタルトキハ校長ハ考科列序ヲ定メ陸軍航空本部長ノ認可ヲ受ケ卒業者ニ卒業証書ヲ付与シ入校又ハ著隊ノ時日ヲ指定シ之ヲ他ノ陸軍飛行学校ニ入校セシメ又ハ所属隊ニ入隊セシム
飛行部隊ニ派遣セラレタル生徒又ハ滞学セシメラレタル生徒修学ヲ終リタルトキハ前項ノ規定ニ準ジ之ヲ取扱フモノトス
第三十一条 校長ハ操縦生徒ニ毎年三週間以内ノ休暇ヲ与フルコトヲ得
第三十二条 第三条ノ規定ニ依リ召集スル者ノ人員、召集期日及召集期間ハ陸軍大臣之ヲ告達ス
第三十三条 前条ノ告達アリタルトキハ所管長官(陸軍航空本部並ニ陸軍航空本部長所轄ノ官衙及学校ニ在リテハ陸軍航空本部長)ハ修学ニ適当ナル者ヲ選定シ召集期日前ニ其ノ所属部隊、等級及氏名ヲ陸軍大臣ニ報告シ且陸軍航空本部長ニ通報スベシ
第三十四条 職員ニハ校務上便宜ノ時期ニ於テ隊附勤務ヲ為サシムルコトヲ得
第三十五条 教育上必要アルトキハ校長ハ教育総監又ハ師団長ニ禀議シ其ノ学校又ハ軍隊ヲ使用スルコトヲ得
附 則
本令ハ昭和十年十二月一日ヨリ之ヲ施行ス
昭和八年勅令第六十八号ハ之ヲ廃止ス
本令施行ノ際現ニ昭和八年勅令第六十八号ニ依ル操縦生徒タル者ハ本令ニ依ル相当年ノ操縦生徒ト為リタルモノトス