朕北海道二級町村制改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二年八月二十六日
內閣總理大臣 男爵 田中義一
內務大臣 鈴木喜三郞
勅令第二百七十號
北海道二級町村制
第一章
總則
第一款
町村及其ノ區域
第二款
町村住民及其ノ權利義務
第三款
町村條例及町村規則
第二章
町村會
第一款
組織及選擧
第二款
職務權限
第三章
町村吏員
第一款
組織及選任
第二款
職務權限
第四章
給料及給與
第五章
町村ノ財務
第一款
財產營造物及町村稅
第二款
歲入出豫算及決算
第六章
町村ノ一部ノ事務
第七章
町村組合
第八章
町村ノ監督
第九章
雜則
附 則
北海道二級町村制
第一章 總則
第一款 町村及其ノ區域
第一條 町村ハ從來ノ區域ニ依ル
第二條 町村ハ法人トス官ノ監督ヲ承ケ法令ノ範圍內ニ於テ其ノ公共事務竝ニ從來法令又ハ慣例ニ依リ及將來法律勅令ニ依リ町村ニ屬スル事務ヲ處理ス
第三條 町村ノ廢置分合又ハ境界變更ヲ爲サントスルトキハ北海道廳長官ハ關係アル市町村會ノ意見ヲ徵シ北海道參事會ノ議決ヲ經內務大臣ノ許可ヲ得テ之ヲ定ム所屬未定地ヲ町村ノ區域ニ編入セントスルトキ亦同ジ
前項ノ場合ニ於テ財產アルトキハ其ノ處分ハ關係アル市町村會ノ意見ヲ徵シ北海道參事會ノ議決ヲ經テ北海道廳長官之ヲ定ム
第一項ノ場合ニ於テ市ノ廢置分合ヲ伴フトキハ市制第三條ノ規定ニ依ル
第四條 町村ノ境界ニ關スル爭論ハ北海道參事會之ヲ裁定ス其ノ裁定ニ不服アル町村ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
町村ノ境界判明ナラザル場合ニ於テ前項ノ爭論ナキトキハ北海道廳長官ハ北海道參事會ノ決定ニ付スベシ其ノ決定ニ不服アル町村ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項ノ裁定及前項ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ關係町村ニ交付スベシ
第一項ノ裁定及第二項ノ決定ニ付テハ北海道廳長官ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第五條 町村ノ名稱ヲ變更セントスルトキ、村ヲ町ト爲シ若ハ町ヲ村ト爲サントスルトキ又ハ町村役場ノ位置ヲ定メ若ハ之ヲ變更セントスルトキハ町村ハ町村會ノ議決ヲ經北海道廳長官ノ許可ヲ受クベシ
第二款 町村住民及其ノ權利義務
第六條 町村內ニ住所ヲ有スル者ハ其ノ町村住民トス
町村住民ハ本令ニ從ヒ町村ノ財產及營造物ヲ共用スル權利ヲ有シ町村ノ負擔ヲ分任スル義務ヲ負フ
第七條 帝國臣民タル年齡二十五年以上ノ男子ニシテ一年以來町村住民タル者ハ其ノ町村公民トス但シ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
一 禁治產者及準禁治產者
二 破產者ニシテ復權ヲ得ザル者
三 貧困ニ因リ生活ノ爲公私ノ救助ヲ受ケ又ハ扶助ヲ受クル者
四 一定ノ住居ヲ有セザル者
五 六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者
六 刑法第二編第一章、第三章、第九章、第十六章乃至第二十一章、第二十五章又ハ第三十六章乃至第三十九章ニ揭グル罪ヲ犯シ六年未滿ノ懲役ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル後其ノ刑期ノ二倍ニ相當スル期間ヲ經過スルニ至ル迄ノ者但シ其ノ期間五年ヨリ短キトキハ五年トス
七 六年未滿ノ禁錮ノ刑ニ處セラレ又ハ前號ニ揭グル罪以外ノ罪ヲ犯シ六年未滿ノ懲役ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者
町村ハ町村會ノ議決ヲ經テ前項一年ノ制限ヲ特免スルコトヲ得
第一項一年ノ期間ハ市町村ノ廢置分合又ハ境界變更ノ爲中斷セラルルコトナシ
第八條 町村公民ハ町村ノ選擧ニ參與シ町村ノ名譽職ニ選擧セラルル權利ヲ有シ町村ノ名譽職ヲ擔任スル義務ヲ負フ
左ノ各號ノ一ニ該當セザル者ニシテ名譽職ノ當選ヲ辭シ又ハ其ノ職ヲ辭シ若ハ其ノ職務ヲ實際ニ執行セザルトキハ町村ハ町村會ノ議決ヲ經テ一年以上四年以下其ノ町村公民權ヲ停止スルコトヲ得
一 疾病ニ罹リ公務ニ堪ヘザル者
二 業務ノ爲常ニ町村內ニ居ルコトヲ得ザル者
三 年齡六十年以上ノ者
四 官公職ノ爲町村ノ公務ヲ執ルコトヲ得ザル者
五 四年以上名譽職町村吏員、町村會議員又ハ區會議員ノ職ニ任ジ爾後同一ノ期間ヲ經過セザル者
六 其ノ他町村會ノ議決ニ依リ正當ノ理由アリト認ムル者
前項ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ北海道參事會ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第二項ノ處分ハ其ノ確定ニ至ル迄執行ヲ停止ス
第三項ノ裁決ニ付テハ北海道廳長官又ハ町村長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第九條 陸海軍軍人ニシテ現役中ノ者(未ダ入營セザル者及歸休下士官兵ヲ除ク)及戰時若ハ事變ニ際シ召集中ノ者ハ町村ノ公務ニ參與スルコトヲ得ズ兵籍ニ編入セラレタル學生生徒(陸軍各部委託學生生徒、海軍軍醫學生藥劑學生主計學生造船學生造機學生造兵學生竝ニ海軍豫備生徒及海軍豫備練習生ヲ除ク)及志願ニ依リ國民軍ニ編入セラレタル者亦同ジ
第三款 町村條例及町村規則
第十條 町村ハ町村住民ノ權利義務又ハ町村ノ事務ニ關シ町村條例ヲ設クルコトヲ得
町村ハ町村ノ營造物ニ關シ町村條例ヲ以テ規定スルモノノ外町村規則ヲ設クルコトヲ得
町村條例及町村規則ハ一定ノ公告式ニ依リ之ヲ告示スベシ
第二章 町村會
第一款 組織及選擧
第十一條 町村會議員ハ其ノ被選擧權アル者ニ就キ選擧人之ヲ選擧ス
議員ノ定數左ノ如シ
一 人口二千未滿ノ町村 八人
二 人口二千以上五千未滿ノ町村 十二人
三 人口五千以上一萬未滿ノ町村 十八人
四 人口一萬以上ノ町村 二十四人
議員ノ定數ハ町村條例ヲ以テ特ニ之ヲ增減スルコトヲ得
謙員ノ定數ハ總選擧ヲ行フ場合ニ非ザレバ之ヲ增減セズ但シ著シク人口ノ增減アリタル場合ニ於テ北海道廳長官ノ許可ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十二條 町村公民ハ總テ選擧權ヲ有ス但シ公民權停止中ノ者又ハ第九條ノ規定ニ該當スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
第十三條 特別ノ事情アルトキハ町村ハ町村會ノ議決ヲ經區劃ヲ定メテ投票分會ヲ設クルコトヲ得
第十四條 選擧權ヲ有スル町村公民ハ被選擧權ヲ有ス
在職ノ檢事、警察官吏及收稅官吏ハ被選擧權ヲ有セズ
選擧事務ニ關係アル官吏及町村ノ有給吏員ハ其ノ關係區域內ニ於テ被選擧權ヲ有セズ
町村ノ有給ノ吏員敎員其ノ他ノ職員ニシテ在職中ノ者ハ其ノ町村ノ町村會議員ト相兼ヌルコトヲ得ズ
第十五條 町村會議員ハ名譽職トス
議員ノ任期ハ四年トシ總選擧ノ日ヨリ之ヲ起算ス
議員ノ定數ニ異動ヲ生ジタル爲解任ヲ要スル者アルトキハ町村長抽籤シテ之ヲ定ム但シ闕員アルトキハ其ノ闕員ヲ以テ之ニ充ツベシ
前項但書ノ場合ニ於テ闕員ノ數解任ヲ要スル者ノ數ニ滿チザルトキハ其ノ不足ノ員數ニ付町村長抽籤シテ解任スベキ者ヲ定メ闕員ノ數解任ヲ要スル者ノ數ヲ超ユルトキハ解任ヲ要スル者ニ充ツベキ闕員ハ最モ先ニ闕員ト爲リタル者ヨリ順次之ニ充テ闕員ト爲リタル時同ジキトキハ町村長抽籤シテ之ヲ定ム
議員ノ定數ニ異動ヲ生ジタル爲新ニ選擧セラレタル議員ハ總選擧ニ依リ選擧セラレタル議員ノ任期滿了ノ日迄在任ス
第十六條 町村會議員中闕員ヲ生ジタルトキハ三月以內ニ補闕選擧ヲ行フベシ但シ第三十六條第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケタル得票者ニシテ當選者ト爲ラザリシ者アルトキハ直ニ選擧會ヲ開キ其ノ者ノ中ニ就キ當選者ヲ定ムベシ此ノ場合ニ於テハ第四十條第三項及第四項ノ規定ヲ準用ス
第四十條第五項及第六項ノ規定ハ補闕選擧ニ之ヲ準用ス
補闕議員ハ其ノ前任者ノ殘任期間在任ス
第十七條 町村長ハ選擧期日前六十日目ノ現在ニ依リ選擧人名簿ヲ調製スベシ
選擧人名簿ニハ選擧人ノ氏名、住所及生年月日等ヲ記載スベシ
第十八條 町村長ハ選擧期日前四十日目ヨリ十五日間町村役場又ハ其ノ指定シタル場所ニ於テ選擧人名簿ヲ關係者ノ縱覽ニ供スベシ
町村長ハ縱覽開始ノ日前三日目迄ニ縱覽ノ場所ヲ告示スベシ
第十九條 選擧人名簿ニ關シ關係者ニ於テ異議アルトキハ縱覽期間內ニ之ヲ町村長ニ申立ツルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ町村長ハ縱覽期間滿了後十日以內ニ之ヲ決定シ其ノ修正ヲ要スルトキハ直ニ之ヲ修正シ且其ノ要領ヲ告示スベシ
前項ノ決定ニ不服アル者ハ北海道參事會ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ裁決ニ付テハ北海道廳長官又ハ町村長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第二十條 選擧人名簿ハ選擧期日前三日目ヲ以テ確定ス
選擧人名簿ハ其ノ確定シタル日ヨリ一年以內ニ於テ行フ選擧ニ之ヲ用フ但シ第三條ノ處分アリタル場合ニ於テ北海道廳長官ノ指定スルモノハ此ノ限ニ在ラズ
前條第二項又ハ第三項ノ裁決確定シ又ハ判決アリタルニ依リ名簿ノ修正ヲ要スル場合ニ於テハ其ノ名簿確定前ナルトキハ直ニ之ヲ修正シ其ノ名簿確定後ナルトキハ選擧ヲ終リタル後次ノ選擧期日前四日目迄ニ之ヲ修正シ且其ノ要領ヲ告示スベシ
投票分會ヲ設クルトキハ町村長ハ確定名簿ニ依リ分會ノ區劃每ニ名簿ノ抄本ヲ調製スベシ
第二十一條 第十九條ノ場合ニ於テ決定若ハ裁決確定シ又ハ判決アリタルニ依リ選擧人名簿無效ト爲リタルトキハ更ニ名簿ヲ調製スベシ
天災事變等ノ爲必要アルトキハ更ニ名簿ヲ調製スベシ
前二項ノ規定ニ依ル名簿ノ調製、縱覽、確定及異議申立ニ對スル決定ニ關スル期日及期間ハ北海道廳支廳長ノ定ムル所ニ依ル
選擧人名簿調製後ニ於テ選擧期日ヲ變更スルコトアルモ其ノ名簿ヲ用ヒ縱覽、修正、確定及異議ノ決定ニ關スル期日及期間ハ前選擧期日ニ依リ之ヲ算定ス
第二十二條 町村長ハ選擧ノ期日前七日目迄ニ選擧會場(投票分會場ヲ含ム以下之ニ同ジ)、投票ノ日時及選擧スベキ議員數ヲ告示スベシ投票分會ヲ設クル場合ニ於テハ併セテ其ノ區劃ヲ告示スベシ
投票分會ノ投票ハ選擧會ト同日時ニ之ヲ行フ
天災事變等ノ爲投票ヲ行フコト能ハザルトキ又ハ更ニ投票ヲ行フノ必要アルトキハ町村長ハ其ノ投票ヲ行フベキ選擧會又ハ投票分會ノミニ付更ニ期日ヲ定メ投票ヲ行ハシムベシ此ノ場合ニ於テ選擧會場及投票ノ日時ハ選擧ノ期日前五日目迄ニ之ヲ告示スベシ
第二十三條 町村長ハ選擧長ト爲リ選擧會ヲ開閉シ其ノ取締ニ任ズ
町村長ハ選擧人名簿ニ登錄セラレタル者ノ中ヨリ二人乃至四人ノ選擧立會人ヲ選任スベシ
投票分會ハ町村長ノ指名シタル吏員投票分會長ト爲リ之ヲ開閉シ其ノ取締ニ任ズ
町村長ハ分會ノ區劃內ニ於ケル選擧人名簿ニ登錄セラレタル者ノ中ヨリ二人乃至四人ノ投票立會人ヲ選任スベシ
選擧立會人及投票立會人ハ名譽職トス
第二十四條 選擧人ニ非ザル者ハ選擧會場ニ入ルコトヲ得ズ但シ選擧會場ノ事務ニ從事スル者、選擧會場ヲ監視スル職權ヲ有スル者又ハ警察官吏ハ此ノ限ニ在ラズ
選擧會場ニ於テ演說討論ヲ爲シ若ハ喧擾ニ涉リ又ハ投票ニ關シ協議若ハ勸誘ヲ爲シ其ノ他選擧會場ノ秩序ヲ紊ル者アルトキハ選擧長又ハ投票分會長ハ之ヲ制止シ命ニ從ハザルトキハ之ヲ選擧會場外ニ退出セシムベシ
前項ノ規定ニ依リ退出セシメラレタル者ハ最後ニ至リ投票ヲ爲スコトヲ得但シ選擧長又ハ投票分會長會場ノ秩序ヲ紊ルノ虞ナシト認ムル場合ニ於テ投票ヲ爲サシムルヲ妨ゲズ
第二十五條 選擧ハ無記名投票ヲ以テ之ヲ行フ
投票ハ一人一票ニ限ル
第二十六條 確定名簿ニ登錄セラレザル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ズ但シ選擧人名簿ニ登錄セラルベキ確定裁決書又ハ判決書ヲ所持シ選擧ノ當日選擧會場ニ到ル者ハ此ノ限ニ在ラズ
確定名簿ニ登錄セラレタル者選擧人名簿ニ登錄セラルルコトヲ得ザル者ナルトキハ投票ヲ爲スコトヲ得ズ選擧ノ當日選擧權ヲ有セザル者ナルトキ亦同ジ
第二十七條 選擧人ハ選擧ノ當日投票時間內ニ自ラ選擧會場ニ到リ選擧人名簿又ハ其ノ抄本ノ對照ヲ經テ投票ヲ爲スベシ
投票時間內ニ選擧會場ニ入リタル選擧人ハ其ノ時間ヲ過グルモ投票ヲ爲スコトヲ得
選擧人ハ選擧會場ニ於テ投票用紙ニ自ラ被選擧人一人ノ氏名ヲ記載シテ投函スベシ
投票ニ關スル記載ニ付テハ點字ハ之ヲ文字ト看做ス市制町村制施行令第十一條ノ規定及別表ハ此ノ場合ニ之ヲ準用ス
自ラ被選擧人ノ氏名ヲ書スルコト能ハザル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ズ
投票用紙ハ町村長ノ定ムル所ニ依リ一定ノ式ヲ用フベシ
投票分會ニ於テ爲シタル投票ハ投票分會長少クトモ一人ノ投票立會人ト共ニ投票函ノ儘之ヲ選擧長ニ送致スベシ
第二十八條 投票ノ拒否ハ選擧立會人又ハ投票立會人之ヲ決定ス可否同數ナルトキハ選擧長又ハ投票分會長之ヲ決スベシ
投票分會ニ於テ投票拒否ノ決定ヲ受ケタル選擧人不服アルトキハ投票分會長ハ假ニ投票ヲ爲サシムベシ
前項ノ投票ハ選擧人ヲシテ之ヲ封筒ニ入レ封緘シ表面ニ自ラ其ノ氏名ヲ記載シ投函セシムベシ
投票分會長又ハ投票立會人ニ於テ異議アル選擧人ニ對シテモ亦前二項ニ同ジ
第二十九條 第四十條若ハ第四十四條ノ選擧、增員選擧又ハ補闕選擧ヲ同時ニ行フ場合ニ於テハ一ノ選擧ヲ以テ合併シテ之ヲ行フ
第三十條 町村長ハ豫メ開票ノ日時ヲ告示スベシ
第三十一條 選擧長ハ投票ノ日又ハ其ノ翌日(投票分會ヲ設ケタルトキハ總テノ投票函ノ送致ヲ受ケタル日又ハ其ノ翌日)選擧立會人立會ノ上投票函ヲ開キ投票ノ總數ト投票人ノ總數トヲ計算スベシ
前項ノ計算終リタルトキハ選擧長ハ先ヅ第二十八條第二項及第四項ノ投票ヲ調査スベシ其ノ投票ノ受理如何ハ選擧立會人之ヲ決定ス可否同數ナルトキハ選擧長之ヲ決スベシ
選擧長ハ選擧立會人ト共ニ投票ヲ點檢スベシ
天災事變等ノ爲開票ヲ行フコト能ハザルトキハ町村長ハ更ニ開票ノ期日ヲ定ムベシ此ノ場合ニ於テ選擧會場ノ變更ヲ要スルトキハ豫メ更ニ其ノ場所ヲ告示スベシ
第三十二條 選擧人ハ其ノ選擧會ノ參觀ヲ求ムルコトヲ得但シ開票開始前ハ此ノ限ニ在ラズ
第三十三條 特別ノ事情アルトキハ町村ハ北海道廳支廳長ノ許可ヲ得區劃ヲ定メテ開票分會ヲ設クルコトヲ得
市制町村制施行令第十二條乃至第二十條ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ開票分會ヲ設クル場合ニ之ヲ準用ス
第三十四條 左ノ投票ハ之ヲ無效トス
一 成規ノ用紙ヲ用ヒザルモノ
二 現ニ町村會議員ノ職ニ在ル者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
三 一投票中二人以上ノ被選擧人ノ氏名ヲ記載シタルモノ
四 被選擧人ノ何人タルカヲ確認シ難キモノ
五 被選擧權ナキ者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
六 被選擧人ノ氏名ノ外他事ヲ記入シタルモノ但シ爵位、職業、身分、住所又ハ敬稱ノ類ヲ記入シタルモノハ此ノ限ニ在ラズ
七 被選擧人ノ氏名ヲ自書セザルモノ
第三十五條 投票ノ效力ハ選擧立會人之ヲ決定ス可否同數ナルトキハ選擧長之ヲ決スベシ
第三十六條 町村會議員ノ選擧ハ有效投票ノ最多數ヲ得タル者ヲ以テ當選者トス但シ議員ノ定數ヲ以テ有效投票ノ總數ヲ除シテ得タル數ノ六分ノ一以上ノ得票アルコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ當選者ヲ定ムルニ當リ得票ノ數同ジキトキハ年長者ヲ取リ年齡モ亦同ジキトキハ選擧長抽籤シテ之ヲ定ムベシ
第三十七條 當選者選擧ノ期日後ニ於テ被選擧權ヲ有セザルニ至リタルトキハ當選ヲ失フ
第三十八條 選擧長ハ選擧錄ヲ作リ選擧會ニ關スル顚末ヲ記載シ之ヲ朗讀シ二人以上ノ選擧立會人ト共ニ之ニ署名スベシ
投票分會長ハ投票錄ヲ作リ投票ニ關スル顚末ヲ記載シ之ヲ朗讀シ二人以上ノ投票立會人ト共ニ之ニ署名スベシ
投票分會長ハ投票函ト同時ニ投票錄ヲ選擧長ニ送致スベシ
選擧錄及投票錄ハ投票、選擧人名簿其ノ他ノ關係書類ト共ニ議員ノ任期間町村長ニ於テ之ヲ保存スベシ
第三十九條 當選者定リタルトキハ町村長ハ直ニ當選者ニ當選ノ旨ヲ告知シ同時ニ當選者ノ住所氏名ヲ告示シ且選擧錄ノ寫(投票錄アルトキハ併セテ投票錄ノ寫)ヲ添ヘ之ヲ北海道廳支廳長ニ報告スベシ當選者ナキトキハ直ニ其ノ旨ヲ告示シ且選擧錄ノ寫(投票錄アルトキハ併セテ投票錄ノ寫)ヲ添ヘ之ヲ北海道廳支廳長ニ報告スベシ
當選者當選ヲ辭セントスルトキハ當選ノ告知ヲ受ケタル日ヨリ五日以內ニ之ヲ町村長ニ申立ツベシ
官吏ニシテ當選シタル者ハ所屬長官ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ之ニ應ズルコトヲ得ズ
前項ノ官吏ハ當選ノ告知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ之ニ應ズベキ旨ヲ町村長ニ申立テザルトキハ其ノ當選ヲ辭シタルモノト看做ス
町村ニ對シ請負ヲ爲シ又ハ町村ニ於テ費用ヲ負擔スル事業ニ付町村長若ハ其ノ委任ヲ受ケタル者ニ對シ請負ヲ爲ス者若ハ其ノ支配人又ハ主トシテ同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、役員若ハ支配人ニシテ當選シタル者ハ其ノ請負ヲ罷メ又ハ請負ヲ爲ス者ノ支配人若ハ主トシテ同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、役員若ハ支配人タルコトナキニ至ルニ非ザレバ當選ニ應ズルコトヲ得ズ第二項ノ期限前ニ其ノ旨ヲ町村長ニ申立テザルトキハ其ノ當選ヲ辭シタルモノト看做ス
前項ノ役員トハ取締役、監査役及之ニ準ズベキ者竝ニ淸算人ヲ謂フ
第四十條 當選者左ニ揭グル事由ノ一ニ該當スルトキハ三月以內ニ更ニ選擧ヲ行フベシ但シ第二項ノ規定ニ依リ更ニ選擧ヲ行フコトナクシテ當選者ヲ定メ得ル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
一 當選ヲ辭シタルトキ
二 第三十七條ノ規定ニ依リ當選ヲ失ヒタルトキ
三 死亡者ナルトキ
四 選擧ニ關スル犯罪ニ依リ刑ニ處セラレ其ノ當選無效ト爲リタルトキ但シ同一人ニ關シ前各號ノ事由ニ依ル選擧又ハ補闕選擧ノ告示ヲ爲シタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ事由前條第二項若ハ第四項ノ規定ニ依ル期限前ニ生ジタル場合ニ於テ第三十六條第一項但書ノ得票者ニシテ當選者ト爲ラザリシ者アルトキ又ハ其ノ期限經過後ニ生ジタル場合ニ於テ第三十六條第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケタル得票者ニシテ當選者ト爲ラザリシ者アルトキハ直ニ選擧會ヲ開キ其ノ者ノ中ニ就キ當選者ヲ定ムベシ
前項ノ場合ニ於テ第三十六條第一項但書ノ得票者ニシテ當選者ト爲ラザリシ者選擧ノ期日後ニ於テ被選擧權ヲ有セザルニ至リタルトキハ之ヲ當選者ト定ムルコトヲ得ズ
第二項ノ場合ニ於テハ町村長ハ豫メ選擧會ノ場所及日時ヲ告示スベシ
第一項ノ期間ハ第四十三條第八項ノ規定ノ適用アル場合ニ於テハ選擧ヲ行フコトヲ得ザル事由已ミタル日ノ翌日ヨリ之ヲ起算ス
第一項ノ事由議員ノ任期滿了前六月以內ニ生ジタルトキハ第一項ノ選擧ハ之ヲ行ハズ但シ議員ノ數其ノ定數ノ三分ノ二ニ滿チザルニ至リタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第四十一條 第三十九條第二項ノ期間ヲ經過シタルトキ又ハ同條第四項ノ申立アリタルトキハ町村長ハ直ニ當選者ノ住所氏名ヲ告示シ併セテ之ヲ北海道廳支廳長ニ報告スベシ
當選者ナキニ至リタルトキ又ハ當選者其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數ニ達セザルニ至リタルトキハ町村長ハ直ニ其ノ旨ヲ告示シ併セテ之ヲ北海道廳支廳長ニ報告スベシ
第四十二條 選擧ノ規定ニ違反スルコトアルトキハ選擧ノ結果ニ異動ヲ生ズルノ虞アル場合ニ限リ其ノ選擧ノ全部又ハ一部ヲ無效トス但シ當選ニ異動ヲ生ズルノ虞ナキ者ヲ區分シ得ルトキハ其ノ者ニ限リ當選ヲ失フコトナシ
第四十三條 選擧人選擧又ハ當選ノ效力ニ關シ異議アルトキハ選擧ニ關シテハ選擧ノ日ヨリ、當選ニ關シテハ第三十九條第一項又ハ第四十一條第二項ノ告示ノ日ヨリ七日以內ニ之ヲ町村長ニ申立ツルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ町村長ハ申立ヲ受ケタル日ヨリ十四日以內ニ之ヲ決定スベシ
前項ノ決定ニ不服アル者ハ北海道參事會ニ訴願スルコトヲ得
北海道廳支廳長ハ選擧又ハ當選ノ效力ニ關シ異議アルトキハ選擧ニ關シテハ第三十九條第一項ノ報告ヲ受ケタル日ヨリ、當選ニ關シテハ第三十九條第一項又ハ第四十一條第二項ノ報告ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ之ヲ處分スルコトヲ得
前項ノ處分アリタルトキハ同一事件ニ付爲シタル異議ノ申立及町村長ノ決定ハ無效トス
第三項ノ處分ニ不服アル者ハ北海道參事會ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第二項若ハ第六項ノ裁決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第三項ノ處分ニ付テハ町村長ヨリモ訴願ヲ提起スルコトヲ得
第二項、第五項又ハ前項ノ裁決ニ付テハ北海道廳長官又ハ町村長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第十六條、第四十條、第四十四條第一項若ハ第三項ノ選擧ハ之ニ關係アル選擧又ハ當選ニ關スル異議申立期間、異議ノ決定若ハ訴願ノ裁決確定セザル間又ハ訴訟ノ繫屬スル間之ヲ行フコトヲ得ズ
町村會議員ハ選擧又ハ當選ニ關スル處分、決定若ハ裁決確定シ又ハ判決アル迄ハ會議ニ列席シ議事ニ參與スルノ權ヲ失ハズ
第四十四條 選擧無效ト確定シタルトキハ三月以內ニ更ニ選擧ヲ行フベシ
當選無效ト確定シタルトキハ直ニ選擧會ヲ開キ更ニ當選者ヲ定ムベシ此ノ場合ニ於テハ第四十條第三項及第四項ノ規定ヲ準用ス
當選者ナキトキ、當選者ナキニ至リタルトキ又ハ當選者其ノ選擧ニ於ケル議員ノ定數ニ達セザルトキ若ハ定數ニ達セザルニ至リタルトキハ三月以內ニ更ニ選擧ヲ行フベシ
第四十條第五項及第六項ノ規定ハ第一項及前項ノ選擧ニ之ヲ準用ス
第四十五條 町村會議員被選擧權ヲ有セザル者ナルトキ又ハ第三十九條第五項ニ揭グル者ナルトキハ其ノ職ヲ失フ其ノ被選擧權ノ有無又ハ第三十九條第五項ニ揭グル者ニ該當スルヤ否ハ町村會議員ガ左ノ各號ノ一ニ該當スルニ因リ被選擧權ヲ有セザル場合ヲ除クノ外町村會之ヲ決定ス
一 禁治產者又ハ準禁治產者ト爲リタルトキ
二 破產者ト爲リタルトキ
三 禁錮以上ノ刑ニ處セラレタルトキ
四 選擧ニ關スル犯罪ニ依リ罰金ノ刑ニ處セラレタルトキ
町村長ハ町村會議員中被選擧權ヲ有セザル者又ハ第三十九條第五項ニ揭グル者アリト認ムルトキハ之ヲ町村會ノ決定ニ付スベシ町村會ハ其ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ十四日以內ニ之ヲ決定スベシ
第一項ノ決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ北海道參事會ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第四項ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項ノ決定ニ付テハ町村長ヨリモ訴願ヲ提起スルコトヲ得
前二項ノ裁決ニ付テハ北海道廳長官又ハ町村長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第四十三條第九項ノ規定ハ第一項及前三項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第一項ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ本人ニ交付スベシ
第四十六條 第十九條、第二十條及第四十三條ノ場合ニ於テ北海道廳長官ノ指定又ハ北海道參事會ノ裁決ハ北海道廳長官、北海道廳支廳長ノ處分ハ北海道廳支廳長、町村長ノ決定ハ町村長直ニ之ヲ告示スベシ
第四十七條 町村會議員ノ選擧ニ付テハ衆議院議員選擧法第九十一條、第九十二條、第九十八條、第九十九條第二項、第百條及第百四十二條ノ規定ヲ準用ス
第二款 職務權限
第四十八條 町村會ノ議決スベキ事件左ノ如シ
一 町村條例及町村規則ヲ設ケ又ハ改廢スルコト
二 町村費ヲ以テ支辨スベキ事業ニ關スルコト但シ第八十一條ノ事務及法律勅令ニ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
三 歲入出豫算ヲ定ムルコト
四 決算報告ヲ認定スルコト
五 法令ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料、手數料、町村稅又ハ夫役現品ノ賦課徵收ニ關スルコト
六 不動產ノ管理、處分及取得ニ關スルコト
七 基本財產及積立金穀等ノ設置、管理及處分ニ關スルコト
八 歲入出豫算ヲ以テ定ムルモノヲ除クノ外新ニ義務ノ負擔ヲ爲シ及權利ノ抛棄ヲ爲スコト
九 財產及營造物ノ管理方法ヲ定ムルコト但シ法律勅令ニ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
十 町村吏員ノ身元保證ニ關スルコト
十一 町村ニ係ル訴願、訴訟及和解ニ關スルコト
十二 其ノ他法令ニ依リ町村會ノ權限ニ屬スル事件
第四十九條 町村會ハ法律勅令ニ依リ其ノ權限ニ屬スル選擧ヲ行フベシ
第五十條 町村會ハ町村ノ事務ニ關スル書類及計算書ヲ檢閱シ町村長ノ報告ヲ請求シテ事務ノ管理、議決ノ執行及出納ヲ檢査スルコトヲ得
町村會ハ議員中ヨリ委員ヲ選擧シ町村長又ハ其ノ指名シタル吏員立會ノ上實地ニ就キ前項町村會ノ權限ニ屬スル事件ヲ行ハシムルコトヲ得
第五十一條 町村會ハ町村ノ公益ニ關スル事件ニ付意見書ヲ町村長又ハ監督官廳ニ提出スルコトヲ得
第五十二條 町村會ハ行政廳ノ諮問アルトキハ意見ヲ答申スベシ
町村會ノ意見ヲ徵シテ處分ヲ爲スベキ場合ニ於テ町村會成立セズ、招集ニ應ゼズ若ハ意見ヲ提出セズ又ハ町村會ヲ招集スルコト能ハザルトキハ當該行政廳ハ其ノ意見ヲ俟タズシテ直ニ處分ヲ爲スコトヲ得
第五十三條 町村會ハ町村長ヲ以テ議長トス町村長故障アルトキハ其ノ代理者議長ノ職務ヲ代理ス町村長及其ノ代理者共ニ故障アルトキハ臨時ニ議員中ヨリ假議長ヲ選擧スベシ
前項假議長ノ選擧ニ付テハ年長ノ議員議長ノ職務ヲ代理ス年齡同ジキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
第五十四條 町村長及其ノ委任又ハ囑託ヲ受ケタル者ハ會議ニ列席シ議事ニ參與スルコトヲ得但シ議決ニ加ハルコトヲ得ズ
前項ノ列席者發言ヲ求ムルトキハ議長ハ直ニ之ヲ許スベシ但シ之ガ爲議員ノ演說ヲ中止セシムルコトヲ得ズ
第五十五條 町村會ハ町村長之ヲ招集ス議員定數三分ノ一以上ノ請求アルトキハ町村長ハ之ヲ招集スベシ
町村長ハ必要アル場合ニ於テハ會期ヲ定メテ町村會ヲ招集スルコトヲ得
招集及會議ノ事件ハ開會ノ日前三日目迄ニ之ヲ告知スベシ但シ急施ヲ要スル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
町村會開會中急施ヲ要スル事件アルトキハ町村長ハ直ニ之ヲ其ノ會議ニ付スルコトヲ得會議ニ付スル日前三日目迄ニ告知ヲ爲シタル事件ニ付亦同ジ
町村會ハ町村長之ヲ開閉ス
第五十六條 町村會ハ議員定數ノ半數以上出席スルニ非ザレバ會議ヲ開クコトヲ得ズ但シ第五十九條ノ除斥ノ爲半數ニ滿チザルトキ、同一ノ事件ニ付招集再囘ニ至ルモ仍半數ニ滿チザルトキ又ハ招集ニ應ズルモ出席議員定數ヲ闕キ議長ニ於テ出席ヲ催告シ仍半數ニ滿チザルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第五十七條 町村會ノ議事ハ過半數ヲ以テ決ス可否同數ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
議長ハ其ノ職務ヲ行フ場合ニ於テモ之ガ爲議員トシテ議決ニ加ハルノ權ヲ失ハズ
第五十八條 町村長ハ町村會ノ權限ニ屬スル事件ニシテ其ノ輕易ナルモノニ付テハ町村會ヲ招集セズ期限ヲ指定シ書面決議ノ方法ニ依ルコトヲ得但シ現任議員ノ數議員定數ノ半數以上アル場合ニ非ザレバ此ノ方法ニ依ルコトヲ得ズ
前項ノ場合ニ於テハ前條第一項ノ規定ニ拘ラズ議員三分ノ二以上ノ同意ヲ得ルニ非ザレバ否決セラレタルモノト看做ス
第五十九條 議長及議員ハ自己又ハ父母、祖父母、妻、子孫、兄弟姉妹ノ一身上ニ關スル事件ニ付テハ其ノ議事ニ參與スルコトヲ得ズ但シ町村會ノ同意ヲ得タルトキハ會議ニ出席シ發言スルコトヲ得
第六十條 法律勅令ニ依リ町村會ニ於テ選擧ヲ行フトキハ一人每ニ無記名投票ヲ爲シ有效投票ノ過半數ヲ得タル者ヲ以テ當選者トス過半數ヲ得タル者ナキトキハ最多數ヲ得タル者二人ヲ取リ之ニ就キ決選投票ヲ爲サシム其ノ二人ヲ取ルニ當リ同數者アルトキハ年長者ヲ取リ年齡モ亦同ジキトキハ議長抽籤シテ之ヲ定ム此ノ決選投票ニ於テハ多數ヲ得タル者ヲ以テ當選者トス同數ナルトキハ年長者ヲ取リ年齡モ亦同ジキトキハ議長抽籤シテ之ヲ定ム
前項ノ場合ニ於テハ第二十五條、第二十七條及第三十四條ノ規定ヲ準用シ投票ノ效力ニ關シ異議アルトキハ町村會之ヲ決定ス
第一項ノ選擧ニ付テハ町村會ハ其ノ議決ヲ以テ指名推選又ハ連名投票ノ法ヲ用フルコトヲ得其ノ連名投票ノ法ヲ用フル場合ニ於テハ前二項ノ例ニ依ル
連名投票ノ法ヲ用フル場合ニ於テ其ノ投票ニシテ第三十四條第一號、第六號及第七號ニ該當スルモノ竝ニ其ノ記載ノ人員選擧スベキ定數ヲ超ユルモノハ之ヲ無效トシ同條第二號、第四號及第五號ニ該當スルモノハ其ノ部分ノミヲ無效トス
連名投票ノ法ヲ用フル場合ニ於テ過半數ノ投票ヲ得タル者選擧スベキ定數ヲ超ユルトキハ最多數ヲ得タル者ヨリ順次選擧スベキ定數ニ至ル迄ノ者ヲ以テ當選者トシ同數者アルトキハ年長者ヲ取リ年齡モ亦同ジキトキハ議長抽籤シテ之ヲ定ム
第六十一條 町村會ノ會議ハ公開ス但シ左ノ場合ハ此ノ限ニ在ラズ
一 議長ノ意見ヲ以テ傍聽ヲ禁止シタルトキ
二 議員二人以上ノ發議ニ依リ傍聽禁止ヲ可決シタルトキ
前項議員ノ發議ハ討論ヲ用ヒズ其ノ可否ヲ決スベシ
第六十二條 議長ハ會議ヲ總理シ會議ノ順序ヲ定メ其ノ日ノ會議ヲ開閉シ議場ノ秩序ヲ保持ス
議員定數ノ半數以上ヨリ請求アルトキハ議長ハ其ノ日ノ會議ヲ開クコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ議長仍會議ヲ開カザルトキハ第五十三條ノ例ニ依ル
前項議員ノ請求ニ依リ會議ヲ開キタルトキ又ハ議員中異議アルトキハ議長ハ會議ノ議決ニ依ルニ非ザレバ其ノ日ノ會議ヲ閉ヂ又ハ中止スルコトヲ得ズ
第六十三條 議員ハ選擧人ノ指示又ハ委囑ヲ受クベカラズ
議員ハ會議中無禮ノ語ヲ用ヒ又ハ他人ノ身上ニ涉リ言論スルコトヲ得ズ
第六十四條 會議中本令又ハ會議規則ニ違ヒ其ノ他議場ノ秩序ヲ紊ル議員アルトキハ議長ハ之ヲ制止シ又ハ發言ヲ取消サシメ命ニ從ハザルトキハ當日ノ會議ヲ終ル迄發言ヲ禁止シ又ハ議場外ニ退去セシメ必要アル場合ニ於テハ警察官吏ノ處分ヲ求ムルコトヲ得
議場騷擾ニシテ整理シ難キトキハ議長ハ當日ノ會議ヲ中止シ又ハ之ヲ閉ヅルコトヲ得
第六十五條 傍聽人公然可否ヲ表シ又ハ喧騷ニ涉リ其ノ他會議ノ妨害ヲ爲ストキハ議長ハ之ヲ制止シ命ニ從ハザルトキハ之ヲ退場セシメ必要アル場合ニ於テハ警察官吏ノ處分ヲ求ムルコトヲ得
傍聽席騷擾ナルトキハ議長ハ總テノ傍聽人ヲ退場セシメ必要アル場合ニ於テハ警察官吏ノ處分ヲ求ムルコトヲ得
第六十六條 町村會ニ書記ヲ置キ議長ニ隸屬シテ庶務ヲ處理セシム
書記ハ議長之ヲ任免ス
第六十七條 議長ハ書記ヲシテ會議錄ヲ調製シ會議ノ顚末及出席議員ノ氏名ヲ記載セシムベシ
會議錄ハ議長及議員二人以上之ニ署名スルコトヲ要ス其ノ議員ハ町村會ニ於テ之ヲ定ムベシ
第六十八條 町村會ハ會議規則及傍聽人取締規則ヲ設クベシ
會議規則ニハ本令又ハ會議規則ニ違反シタル議員ニ對シ町村會ノ議決ニ依リ五日以內出席ヲ停止スル規定ヲ設クルコトヲ得
第三章 町村吏員
第一款 組織及選任
第六十九條 町村ニ町村長ヲ置ク
町村長ハ有給吏員トス
町村長ハ北海道廳長官之ヲ任免ス
町村長ハ第七條第一項ノ規定ニ拘ラズ在職ノ間其ノ町村ノ公民トス
第七十條 町村ニ收入役一人ヲ置ク
收入役ハ有給吏員トシ其ノ任期ハ四年トス
收入役ハ町村會ノ推薦ニ依リ北海道廳支廳長之ヲ任命ス
前條第四項ノ規定ハ收入役ニ之ヲ準用ス
特別ノ事情アル町村ニ於テハ北海道廳支廳長ハ町村長又ハ書記ヲシテ收入役ノ事務ヲ兼掌セシムルコトヲ得
前項ノ場合ヲ除クノ外町村長及書記ハ收入役ト相兼ヌルコトヲ得ズ
第七十一條 町村ハ町村會ノ議決ヲ經テ處務便宜ノ爲區ヲ劃シ區長及其ノ代理者一人ヲ置クコトヲ得
區長及其ノ代理者ハ名譽職トス町村公民中選擧權ヲ有スル者ヨリ町村長ノ推薦ニ依リ町村會之ヲ定ム
第七十二條 町村ハ町村會ノ議決ヲ經テ臨時又ハ常設ノ委員ヲ置クコトヲ得
委員ハ名譽職トス町村會議員又ハ町村公民中選擧權ヲ有スル者ヨリ町村長ノ推薦ニ依リ町村會之ヲ定ム但シ委員長ハ町村長又ハ其ノ委任ヲ受ケタル書記ヲ以テ之ニ充ツ
委員ノ組織ニ關シテハ町村條例ヲ以テ別段ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第七十三條 町村公民ニ限リテ擔任スベキ職務ニ在ル吏員又ハ職ニ就キタルガ爲町村公民タル者選擧權ヲ有セザルニ至リタルトキハ其ノ職ヲ失フ
前項ノ職務ニ在ル者ニシテ禁錮以上ノ刑ニ當ルベキ罪ノ爲豫審又ハ公判ニ付セラレタルトキハ監督官廳ハ其ノ職務ノ執行ヲ停止スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ停止期間給料又ハ報酬ヲ支給スルコトヲ得ズ
第七十四條 町村ニ書記ヲ置キ北海道廳支廳長之ヲ任免ス
書記ハ有給吏員トシ其ノ定數ハ北海道廳長官之ヲ定ム
第七十五條 前數條ニ定ムル者ノ外町村ニ必要ノ有給吏員ヲ置キ町村長之ヲ任免ス
前項吏員ノ定數ハ町村會ノ議決ヲ經テ之ヲ定ム
第二款 職務權限
第七十六條 町村長ハ町村ヲ統轄シ町村ヲ代表ス
町村長ノ擔任スル事務ノ槪目左ノ如シ
一 町村會ノ議決ヲ經ベキ事件ニ付其ノ議案ヲ發シ及其ノ議決ヲ執行スルコト
二 財產及營造物ヲ管理スルコト但シ特ニ之ガ管理者ヲ置キタルトキハ其ノ事務ヲ監督スルコト
三 收入支出ヲ命令シ及會計ヲ監督スルコト
四 證書及公文書類ヲ保管スルコト
五 法令又ハ町村會ノ議決ニ依リ使用料、手數料、町村稅又ハ夫役現品ヲ賦課徵收スルコト
六 其ノ他法令ニ依リ町村長ノ職權ニ屬スル事項
第七十七條 町村長ハ町村吏員ヲ指揮監督シ之ニ對シ懲戒ヲ行フコトヲ得其ノ懲戒處分ハ譴責及五圓以下ノ過怠金トス
第七十八條 町村會ノ議決又ハ選擧其ノ權限ヲ超エ又ハ法令若ハ會議規則ニ背クト認ムルトキハ町村長ハ其ノ意見ニ依リ又ハ監督官廳ノ指揮ニ依リ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付シ又ハ再選擧ヲ行ハシムベシ其ノ執行ヲ要スルモノニ在リテハ之ヲ停止スベシ
前項ノ場合ニ於テ町村會其ノ議決ヲ改メザルトキハ町村長ハ北海道參事會ノ裁決ヲ請フベシ但シ特別ノ事由アルトキハ再議ニ付セズシテ直ニ裁決ヲ請フコトヲ得
監督官廳ハ第一項ノ議決又ハ選擧ヲ取消スコトヲ得但シ裁決ノ申請アリタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依ル北海道廳支廳長ノ處分ニ不服アル町村長又ハ町村會ハ北海道參事會ニ訴願スルコトヲ得其ノ裁決若ハ第二項ノ裁決又ハ前項ノ規定ニ依ル北海道廳長官ノ處分ニ不服アル町村長又ハ町村會ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第二項又ハ前項ノ裁決ニ付テハ北海道廳長官ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
町村會ノ議決公益ヲ害シ又ハ町村ノ收支ニ關シ不適當ナリト認ムルトキハ町村長ハ其ノ意見ニ依リ又ハ監督官廳ノ指揮ニ依リ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付スベシ其ノ執行ヲ要スルモノニ在リテハ之ヲ停止スベシ
前項ノ場合ニ於テ町村會其ノ議決ヲ改メザルトキハ町村長ハ北海道廳支廳長ノ處分ヲ請フベシ
前項ノ處分ニ不服アル町村長又ハ町村會ハ北海道參事會ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
前項北海道參事會ノ裁決ニ付テハ北海道廳長官ヨリモ訴願ヲ提起スルコトヲ得
第七十九條 町村會成立セザルトキ又ハ第五十六條但書ノ場合ニ於テ仍會議ヲ開クコト能ハザルトキハ町村長ハ北海道廳支廳長ニ具狀シテ指揮ヲ請ヒ町村會ノ議決スベキ事件ヲ處置スルコトヲ得
町村會ニ於テ其ノ議決スベキ事件ヲ議決セザルトキハ前項ノ例ニ依ル
町村會ノ決定スベキ事件ニ關シテハ前二項ノ例ニ依ル此ノ場合ニ於ケル町村長ノ處置ニ關シテハ各本條ノ規定ニ準ジ訴願又ハ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
前三項ノ規定ニ依ル處置ニ付テハ次囘ノ會議ニ於テ之ヲ町村會ニ報告スベシ
第八十條 町村會ニ於テ議決又ハ決定スベキ事件ニ關シ臨時急施ヲ要スル場合ニ於テ町村會成立セザルトキ又ハ町村長ニ於テ之ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキハ町村長ハ之ヲ專決シ次囘ノ會議ニ於テ之ヲ町村會ニ報告スベシ
前項ノ規定ニ依リ町村長ノ爲シタル處分ニ關シテハ各本條ノ規定ニ準ジ訴願又ハ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第八十一條 町村長其ノ他町村吏員ハ法令ノ定ムル所ニ依リ國北海道地方費其ノ他公共團體ノ事務ヲ掌ル
前項ノ事務ヲ執行スル爲要スル費用ハ町村ノ負擔トス但シ法令中別段ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
第八十二條 町村長ハ其ノ事務ノ一部ヲ區長ニ分掌セシムルコトヲ得但シ町村ノ事務ニ付テハ豫メ町村會ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
町村長ハ町村吏員ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
町村長故障アルトキハ上席ノ書記之ヲ代理ス
第八十三條 收入役ハ町村ノ出納其ノ他ノ會計事務及第八十一條ノ事務ニ關スル國北海道地方費其ノ他公共團體ノ出納其ノ他ノ會計事務ヲ掌ル但シ法令中別段ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
北海道廳支廳長ハ收入役故障アルトキ之ヲ代理スベキ吏員ヲ定ムベシ
第八十四條 區長ハ町村長ノ命ヲ承ケ町村長ノ事務ニシテ區內ニ關スルモノヲ補助ス
區長代理者ハ區長ノ事務ヲ補助シ區長故障アルトキハ之ヲ代理ス
第八十五條 委員ハ町村長ノ指揮監督ヲ承ケ財產又ハ營造物ヲ管理シ其ノ他委託ヲ受ケタル町村ノ事務ヲ調査シ又ハ之ヲ處辨ス
第八十六條 書記及第七十五條ノ吏員ハ町村長ノ命ヲ承ケ事務ニ從事ス
第四章 給料及給與
第八十七條 町村會議員其ノ他ノ名譽職員ハ職務ノ爲要スル費用ノ辨償ヲ受クルコトヲ得
區長、區長代理者及委員ニハ費用辨償ノ外勤務ニ相當スル報酬ヲ給スルコトヲ得
費用辨償額、報酬額及其ノ支給方法ハ町村會ノ議決ヲ經テ之ヲ定ム
第八十八條 町村長及書記ノ給料額、旅費額及其ノ支給方法ハ北海道廳長官之ヲ定メ其ノ他ノ有給吏員ノ給料額、旅費額及其ノ支給方法ハ町村會ノ議決ヲ經テ之ヲ定ム
第八十九條 有給吏員ニハ町村條例ノ定ムル所ニ依リ退隱料、退職給與金、死亡給與金又ハ遺族扶助料ヲ給スルコトヲ得
第九十條 費用辨償、報酬、給料、旅費、退隱料、退職給與金、死亡給與金又ハ遺族扶助料ノ給與ニ付關係者ニ於テ異議アルトキハ北海道地方費支辨ノ給料又ハ旅費ニ在リテハ北海道廳長官ニ、其ノ他ノ給與ニ在リテハ町村長ニ之ヲ申立ツルコトヲ得
前項ノ異議ノ申立アリタルトキハ北海道廳長官又ハ町村長ハ三月以內ニ之ヲ決定スベシ
關係者前項町村長ノ決定ニ不服アルトキハ北海道參事會ニ訴願シ其ノ裁決又ハ前項北海道廳長官ノ決定ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ裁決ニ付テハ町村長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第九十一條 費用辨償、報酬、給料、旅費、退隱料、退職給與金、死亡給與金、遺族扶助料其ノ他ノ給與ハ町村ノ負擔トス但シ町村長及書記ノ給料及旅費ハ北海道地方費ヨリ之ヲ支給ス
第五章 町村ノ財務
第一款 財產營造物及町村稅
第九十二條 收益ノ爲ニスル町村ノ財產ハ基本財產トシ之ヲ維持スベシ
町村ハ特定ノ目的ノ爲特別ノ基本財產ヲ設ケ又ハ金穀等ヲ積立ツルコトヲ得
第九十三條 町村ハ營造物ノ使用ニ付使用料ヲ徵收スルコトヲ得
町村ハ特ニ一個人ノ爲ニスル事務ニ付手數料ヲ徵收スルコトヲ得
第九十四條 財產ノ賣却貸與、工事ノ請負及物件勞力其ノ他ノ供給ハ競爭入札ニ付スベシ但シ臨時急施ヲ要スルトキ、入札ノ價額其ノ費用ニ比シテ得失相償ハザルトキ又ハ町村會ノ同意ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第九十五條 町村ハ其ノ公益上必要アル場合ニ於テハ町村會ノ議決ヲ經テ寄附又ハ補助ヲ爲スコトヲ得
第九十六條 町村ハ其ノ必要ナル費用及從來法令ニ依リ又ハ將來法律勅令ニ依リ町村ノ負擔ニ屬スル費用ヲ支辨スル義務ヲ負フ
町村ハ其ノ財產ヨリ生ズル收入、使用料、手數料、過料、過怠金其ノ他法令ニ依リ町村ニ屬スル收入ヲ以テ前項ノ支出ニ充テ仍不足アルトキハ町村稅及夫役現品ヲ賦課徵收スルコトヲ得
第九十七條 町村稅トシテ賦課スルコトヲ得ベキモノ左ノ如シ
一 國稅北海道地方稅ノ附加稅
二 特別稅
直接國稅又ハ直接北海道地方稅ノ附加稅ハ均一ノ稅率ヲ以テ之ヲ徵收スベシ但シ第百五十條ノ規定ニ依リ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
國稅ノ附加稅タル北海道地方稅ニ對シテハ附加稅ヲ賦課スルコトヲ得ズ
特別稅ハ別ニ稅目ヲ起シテ課稅スルノ必要アルトキ賦課徵收スルモノトス
第九十八條 三月以上町村內ニ滯在スル者ハ其ノ滯在ノ初ニ遡リ町村稅ヲ納ムル義務ヲ負フ
第九十九條 町村內ニ住所ヲ有セズ又ハ三月以上滯在スルコトナシト雖モ町村內ニ於テ土地家屋物件ヲ所有シ使用シ若ハ占有シ、町村內ニ營業所ヲ設ケテ營業ヲ爲シ又ハ町村內ニ於テ特定ノ行爲ヲ爲ス者ハ其ノ土地家屋物件營業若ハ其ノ收入ニ對シ又ハ其ノ行爲ニ對シテ賦課スル町村稅ヲ納ムル義務ヲ負フ
第百條 納稅者ノ町村外ニ於テ所有シ使用シ占有スル土地家屋物件若ハ其ノ收入又ハ町村外ニ於テ營業所ヲ設ケタル營業若ハ其ノ收入ニ對シテハ町村稅ヲ賦課スルコトヲ得ズ
町村ノ內外ニ於テ營業所ヲ設ケ營業ヲ爲ス者ニシテ其ノ營業又ハ收入ニ對スル本稅ヲ分別シテ納メザルモノニ對シ附加稅ヲ賦課スル場合、住所滯在ガ町村ノ內外ニ涉ル者ノ收入ニシテ土地家屋物件又ハ營業所ヲ設ケタル營業ヨリ生ズル收入ニ非ザルモノニ對シ町村稅ヲ賦課スル場合、鑛區又ハ砂鑛區ガ町村ノ內外ニ涉ルトキ鑛區稅又ハ砂鑛區稅ノ附加稅ヲ賦課セントスル場合及鑛區又ハ砂鑛區ガ營業所所在ノ町村ノ內外ニ涉ルトキ鑛產稅ノ附加稅ヲ賦課セントスル場合ニ付テハ市制町村制施行令第四十條乃至第四十二條及北海道一級町村制第十三條ノ規定ヲ準用ス
第百一條 所得稅法第十八條ニ揭グル所得ニ對シテハ町村稅ヲ賦課スルコトヲ得ズ
神社寺院祠宇佛堂ノ用ニ供スル建物及其ノ境內地竝ニ敎會所說敎所ノ用ニ供スル建物及其ノ構內地ニ對シテハ町村稅ヲ賦課スルコトヲ得ズ但シ有料ニテ之ヲ使用セシムル者及住宅ヲ以テ敎會所說敎所ノ用ニ充ツル者ニ對シテハ此ノ限ニ在ラズ
國北海道地方費市町村其ノ他公共團體ニ於テ公用ニ供スル家屋物件及營造物ニ對シテハ町村稅ヲ賦課スルコトヲ得ズ但シ有料ニテ之ヲ使用セシムル者及使用收益者ニ對シテハ此ノ限ニ在ラズ
國ノ事業又ハ行爲及國有ノ土地家屋物件ニ對シテハ國ニ町村稅ヲ賦課スルコトヲ得ズ
前四項ノ外町村稅ヲ賦課スルコトヲ得ザルモノハ別ニ法律勅令ノ定ムル所ニ依ル
第百二條 町村ハ公益上其ノ他ノ事由ニ因リ課稅ヲ不適當トスル場合ニ於テハ內務大臣及大藏大臣ノ定ムル所ニ依リ町村稅ヲ課セザルコトヲ得
第百三條 數人ヲ利スル營造物ノ設置維持其ノ他ノ必要ナル費用ハ其ノ關係者ニ負擔セシムルコトヲ得
町村ノ一部ヲ利スル營造物ノ設置維持其ノ他ノ必要ナル費用ハ其ノ部內ニ於テ町村稅ヲ納ムル義務アル者ニ負擔セシムルコトヲ得
前二項ノ場合ニ於テ營造物ヨリ生ズル收入アルトキハ先ヅ其ノ收入ヲ以テ其ノ費用ニ充ツベシ前項ノ場合ニ於テ其ノ一部ノ收入アルトキ亦同ジ
數人又ハ町村ノ一部ヲ利スル財產ニ付テハ前三項ノ例ニ依ル
第百四條 市制町村制施行令第四十三條乃至第五十八條ノ規定ハ町村稅ノ賦課徵收ニ之ヲ準用ス
第百五條 數人又ハ町村ノ一部ニ對シ特ニ利益アル事件ニ關シテハ町村ハ不均一ノ賦課ヲ爲シ又ハ數人若ハ町村ノ一部ニ對シ賦課ヲ爲スコトヲ得
第百六條 夫役又ハ現品ハ直接町村稅ヲ準率ト爲シ直接町村稅ヲ賦課セザル町村ニ於テハ直接國稅ヲ準率ト爲シ且之ヲ金額ニ算出シテ賦課スベシ但シ第百五十條ノ規定ニ依リ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
學藝美術及手工ニ關スル勞務ニ付テハ夫役ヲ賦課スルコトヲ得ズ
夫役ヲ賦課セラレタル者ハ本人自ラ之ニ當リ又ハ適當ノ代人ヲ出スコトヲ得
夫役又ハ現品ハ金錢ヲ以テ之ニ代フルコトヲ得
第一項及前項ノ規定ハ急迫ノ場合ニ賦課スル夫役ニ付テハ之ヲ適用セズ
第百七條 非常災害ノ爲必要アルトキハ町村ハ他人ノ土地ヲ一時使用シ又ハ其ノ土石竹木其ノ他ノ物品ヲ使用シ若ハ收用スルコトヲ得但シ其ノ損失ヲ補償スベシ
前項ノ場合ニ於テ危險防止ノ爲必要アルトキハ町村長、警察官吏又ハ監督官廳ハ町村內ノ居住者ヲシテ防禦ニ從事セシムルコトヲ得
第一項但書ノ規定ニ依リ補償スベキ金額ハ協議ニ依リ之ヲ定ム協議調ハザルトキハ鑑定人ノ意見ヲ徵シ北海道廳長官之ヲ決定ス決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
前項ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ本人ニ交付スベシ
第一項ノ規定ニ依リ土地ノ一時使用ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ北海道廳支廳長ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ北海道廳長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第百八條 町村稅ノ賦課ニ關シ必要アル場合ニ於テハ當該吏員ハ日出ヨリ日沒迄ノ間營業者ニ關シテハ仍其ノ營業時間內家宅若ハ營業所ニ臨檢シ又ハ帳簿物件ノ檢査ヲ爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ當該吏員ハ其ノ身分ヲ證明スベキ證票ヲ携帶スベシ
第百九條 町村長ハ納稅者中特別ノ事情アル者ニ對シ納稅延期ヲ許スコトヲ得其ノ年度ヲ超ユル場合ハ町村會ノ議決ヲ經ベシ
町村ハ特別ノ事情アル者ニ限リ町村會ノ議決ヲ經テ町村稅ヲ減免スルコトヲ得
第百十條 使用料、手數料及特別稅ニ關スル事項ニ付テハ町村條例ヲ以テ之ヲ規定スベシ
詐僞其ノ他ノ不正ノ行爲ニ依リ使用料ノ徵收ヲ免レ又ハ町村稅ヲ逋脫シタル者ニ付テハ町村條例ヲ以テ其ノ徵收ヲ免レ又ハ逋脫シタル金額ノ三倍ニ相當スル金額(其ノ金額五圓未滿ナルトキハ五圓)以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコトヲ得
前項ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料、手數料及町村稅ノ賦課徵收ニ關シテハ町村條例ヲ以テ五圓以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコトヲ得財產又ハ營造物ノ使用ニ關シ亦同ジ
過料ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ北海道參事會ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ裁決ニ付テハ北海道廳長官又ハ町村長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第百十一條 町村稅ノ賦課ヲ受ケタル者其ノ賦課ニ付違法又ハ錯誤アリト認ムルトキハ徵稅令書ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ三月以內ニ町村長ニ異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
財產又ハ營造物ヲ使用スル權利ニ關シ異議アル者ハ之ヲ町村長ニ申立ツルコトヲ得
前二項ノ異議ノ申立アリタルトキハ町村長ハ三月以內ニ之ヲ決定スベシ決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ北海道參事會ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項及前項ノ規定ハ使用料及手數料ノ徵收竝ニ夫役現品ノ賦課ニ之ヲ準用ス
前二項ノ規定ニ依ル裁決ニ付テハ北海道廳長官又ハ町村長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第百十二條 町村稅、使用料、手數料、過料、過怠金其ノ他ノ町村ノ收入ヲ定期內ニ納メザル者アルトキハ町村長ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スベシ
夫役現品ノ賦課ヲ受ケタル者定期內ニ其ノ履行ヲ爲サズ又ハ夫役現品ニ代フル金錢ヲ納メザルトキハ町村長ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スベシ急迫ノ場合ニ賦課シタル夫役ニ付テハ更ニ之ヲ金額ニ算出シ期限ヲ指定シテ其ノ納付ヲ命ズベシ
前二項ノ場合ニ於テハ町村條例ノ定ムル所ニ依リ手數料ヲ徵收スルコトヲ得
滯納者第一項又ハ第二項ノ督促又ハ命令ヲ受ケ其ノ指定ノ期限內ニ之ヲ完納セザルトキハ國稅滯納處分ノ例ニ依リ之ヲ處分スベシ
第一項乃至第三項ノ徵收金ハ北海道地方費ノ徵收金ニ次デ先取特權ヲ有シ其ノ追徵還付及時效ニ付テハ國稅ノ例ニ依ル
前三項ノ處分ニ不服アル者ハ北海道參事會ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ裁決ニ付テハ北海道廳長官又ハ町村長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第四項ノ處分中差押物件ノ公賣ハ處分ノ確定ニ至ル迄執行ヲ停止ス
第百十三條 町村ハ其ノ負債ヲ償還スル爲、町村ノ永久ノ利益ト爲ルベキ支出ヲ爲ス爲又ハ天災事變等ノ爲必要アル場合ニ限リ町村會ノ議決ヲ經テ町村債ヲ起スコトヲ得
町村債ヲ起スニ付町村會ノ議決ヲ經ルトキハ併セテ起債ノ方法、利息ノ定率及償還ノ方法ニ付議決ヲ經ベシ
町村ハ豫算內ノ支出ヲ爲ス爲町村會ノ議決ヲ經テ一時ノ借入金ヲ爲スコトヲ得
前項ノ借入金ハ其ノ會計年度內ノ收入ヲ以テ償還スベシ
第二款 歲入出豫算及決算
第百十四條 町村長ハ每會計年度歲入出豫算ヲ調製シ遲クトモ年度開始ノ一月前ニ町村會ノ議決ヲ經ベシ
町村ノ會計年度ハ政府ノ會計年度ニ依ル
豫算ヲ町村會ニ提出スルトキハ町村長ハ併セテ事務報告書及財產表ヲ提出スベシ
第百十五條 町村長ハ町村會ノ議決ヲ經テ旣定豫算ノ追加又ハ更正ヲ爲スコトヲ得
第百十六條 町村費ヲ以テ支辨スル事件ニシテ數年ヲ期シテ其ノ費用ヲ支出スベキモノハ町村會ノ議決ヲ經テ其ノ年期間各年度ノ支出額ヲ定メ繼續費ト爲スコトヲ得
第百十七條 町村ハ豫算外ノ支出又ハ豫算超過ノ支出ニ充ツル爲豫備費ヲ設クベシ
特別會計ニハ豫備費ヲ設ケザルコトヲ得
豫備費ハ町村會ノ否決シタル費途ニ充ツルコトヲ得ズ
第百十八條 豫算ハ議決ヲ經タル後直ニ之ヲ北海道廳支廳長ニ報告シ且其ノ要領ヲ告示スベシ
第百十九條 町村ハ特別會計ヲ設クルコトヲ得
第百二十條 町村會ニ於テ豫算ヲ議決シタルトキハ町村長ヨリ其ノ謄本ヲ收入役ニ交付スベシ
收入役ハ町村長又ハ監督官廳ノ命令アルニ非ザレバ支拂ヲ爲スコトヲ得ズ命令ヲ受クルモ支出ノ豫算ナク且豫備費支出、費目流用其ノ他財務ニ關スル規定ニ依リ支出ヲ爲スコトヲ得ザルトキ亦同ジ
前二項ノ規定ハ收入役ノ事務ヲ兼掌シタル町村長又ハ書記ニ之ヲ準用ス
第百二十一條 町村ノ支拂金ニ關スル時效ニ付テハ政府ノ支拂金ノ例ニ依ル
第百二十二條 町村ノ出納ハ每月例日ヲ定メテ之ヲ檢査シ且每會計年度少クトモ二囘臨時檢査ヲ爲スベシ
檢査ハ町村長之ヲ爲シ臨時檢査ニハ町村會ニ於テ選擧シタル議員二人以上ノ立會ヲ要ス
第百二十三條 町村ノ出納ハ翌年度五月三十一日ヲ以テ閉鎖ス
決算ハ出納閉鎖後一月以內ニ證書類ヲ併セテ收入役ヨリ之ヲ町村長ニ提出スベシ町村長ハ之ヲ審査シ意見ヲ付シテ次ノ通常豫算ヲ議スル會議迄ニ之ヲ町村會ノ認定ニ付スベシ
第七十條第五項ノ場合ニ於テハ前項ノ例ニ依ル但シ町村長ニ於テ兼掌シタルトキハ直ニ町村會ノ認定ニ付スベシ
決算ハ認定ヲ經タル後直ニ其ノ認定ニ關スル町村會ノ議決ト共ニ之ヲ北海道廳支廳長ニ報告シ且其ノ要領ヲ告示スベシ
決算ノ認定ニ關スル會議ニ於テハ町村長及書記共ニ議長ノ職務ヲ行フコトヲ得ズ
第百二十四條 豫算調製ノ式、費目流用其ノ他財務ニ關シ必要ナル規定ハ內務大臣之ヲ定ム
第六章 町村ノ一部ノ事務
第百二十五條 町村ノ一部ニシテ財產ヲ有シ又ハ營造物ヲ設ケタルモノアルトキハ其ノ財產又ハ營造物ノ管理及處分ニ付テハ本令中町村ノ財產又ハ營造物ニ關スル規定ニ依ル但シ法律勅令中別段ノ規定アル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ財產又ハ營造物ニ關シ特ニ要スル費用ハ其ノ財產又ハ營造物ノ屬スル町村ノ一部ノ負擔トス
前二項ノ場合ニ於テハ町村ノ一部ハ其ノ會計ヲ分別スベシ
第百二十六條 前條ノ財產又ハ營造物ニ關シ必要アリト認ムルトキハ北海道廳支廳長ハ町村會ノ意見ヲ徵シテ町村條例ヲ設定シ區會又ハ區總會ヲ設ケテ町村會ノ議決スベキ事項ヲ議決セシムルコトヲ得
第百二十七條 區會議員ハ町村ノ名譽職トス其ノ定數、任期、選擧權及被選擧權ニ關スル事項ハ前條ノ町村條例中ニ之ヲ規定スベシ區總會ノ組織ニ關スル事項ニ付亦同ジ
區會議員ノ選擧ニ付テハ町村會議員ニ關スル規定ヲ準用ス但シ被選擧權ノ有無ノ決定ハ町村會ニ於テ之ヲ爲スベシ
區會又ハ區總會ニ關シテハ町村會ニ關スル規定ヲ準用ス
第百二十八條 第百二十五條ノ場合ニ於テ町村ノ一部北海道廳支廳長ノ處分ニ不服アルトキハ北海道廳長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第百二十九條 第百二十五條ノ町村ノ一部ノ事務ニ關シテハ本令ニ規定スルモノノ外北海道廳長官之ヲ定ム
第七章 町村組合
第百三十條 町村ハ其ノ事務ノ一部ヲ共同處理スル爲其ノ協議ニ依リ北海道廳長官ノ許可ヲ得テ町村組合ヲ設クルコトヲ得此ノ場合ニ於テ組合內各町村ノ町村會又ハ町村吏員ノ職務ニ屬スル事項ナキニ至リタルトキハ其ノ町村會又ハ町村吏員ハ組合成立ト同時ニ消滅ス
町村ハ特別ノ必要アル場合ニ於テハ其ノ協議ニ依リ北海道廳長官ノ許可ヲ得テ其ノ事務ノ全部ヲ共同處理スル爲町村組合ヲ設クルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ組合內各町村ノ町村會及町村吏員ハ組合成立ト同時ニ消滅ス
公益上必要アル場合ニ於テハ北海道廳長官ハ關係アル町村會ノ意見ヲ徵シ北海道參事會ノ議決ヲ經テ前二項ノ町村組合ヲ設クルコトヲ得
町村組合ハ法人トス
第百三十一條 前條第一項ノ町村組合ニシテ其ノ組合町村ノ數ヲ增減シ又ハ共同事務ノ變更ヲ爲サントスルトキハ關係町村ノ協議ニ依リ北海道廳長官ノ許可ヲ受クベシ
前條第二項ノ町村組合ニシテ其ノ組合町村ノ數ヲ減少セントスルトキハ組合會ノ議決ニ依リ、其ノ組合町村ノ數ヲ增加セントスルトキハ其ノ町村組合ト新ニ加ハラントスル町村トノ協議ニ依リ北海道廳長官ノ許可ヲ受クベシ
公益上必要アル場合ニ於テハ北海道廳長官ハ關係アル町村會又ハ組合會ノ意見ヲ徵シ北海道參事會ノ議決ヲ經テ組合町村ノ數ヲ增減シ又ハ一部事務ノ爲設クル組合ノ共同事務ノ變更ヲ爲スコトヲ得
第百三十二條 町村組合ヲ設クルトキハ關係町村ノ協議ニ依リ組合規約ヲ定メ北海道廳長官ノ許可ヲ受クベシ
組合規約ヲ變更セントスルトキハ一部事務ノ爲ニ設クル組合ニ在リテハ關係町村ノ協議ニ依リ、全部事務ノ爲ニ設クル組合ニ在リテハ組合會ノ議決ヲ經テ北海道廳長官ノ許可ヲ受クベシ
公益上必要アル場合ニ於テハ北海道廳長官ハ關係アル町村會又ハ組合會ノ意見ヲ徵シ北海道參事會ノ議決ヲ經テ組合規約ヲ定メ又ハ變更スルコトヲ得
第百三十三條 組合規約ニハ組合ノ名稱、組合ヲ組織スル町村、組合ノ共同事務及組合役場ノ位置ヲ定ムベシ
一部事務ノ爲ニ設クル組合ノ組合規約ニハ前項ノ外組合會ノ組織及組合會議員ノ選擧、組合吏員ノ組織及選任竝ニ組合費用ノ支辨方法ニ付規定ヲ設クベシ
第百三十四條 町村組合ヲ解カントスルトキハ一部事務ノ爲ニ設クル組合ニ於テハ關係町村ノ協議ニ依リ、全部事務ノ爲ニ設クル組合ニ於テハ組合會ノ議決ニ依リ北海道廳長官ノ許可ヲ受クベシ
公益上必要アル場合ニ於テハ北海道廳長官ハ關係アル町村會又ハ組合會ノ意見ヲ徵シ北海道參事會ノ議決ヲ經テ町村組合ヲ解クコトヲ得
第百三十五條 第百三十一條第一項第二項及前條第一項ノ場合ニ於テ財產ノ處分ニ關スル事項ハ關係町村ノ協議、關係町村ト組合トノ協議又ハ組合會ノ議決ニ依リ之ヲ定ム
第百三十一條第三項及前條第二項ノ場合ニ於テ財產ノ處分ニ關スル事項ハ關係アル町村會又ハ組合會ノ意見ヲ徵シ北海道參事會ノ議決ヲ經テ北海道廳長官之ヲ定ム
第百三十六條 第百三十條第一項第二項、第百三十一條第一項第二項、第百三十二條第一項第二項、第百三十四條第一項及前條第二項ノ規定ニ依ル北海道廳長官ノ處分ニ不服アル町村又ハ町村組合ハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
組合費ノ分賦ニ關シ違法又ハ錯誤アリト認ムル町村ハ其ノ告知アリタル日ヨリ三月以內ニ組合ノ管理者ニ異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
前項ノ異議ノ申立アリタルトキハ組合ノ管理者ハ三月以內ニ之ヲ決定スベシ其ノ決定ニ不服アル町村ハ北海道參事會ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ裁決ニ付テハ北海道廳長官又ハ組合ノ管理者ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第百三十七條 第百三十條第一項第二項、第百三十一條第一項第二項、第百三十二條第一項第二項、第百三十四條第一項、第百三十五條第一項及前條第二項ノ場合ニ於テハ町村會ノ議決ヲ經ルコトヲ要ス
第百三十八條 町村組合ニ關シテハ法律勅令中別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外町村ニ關スル規定ヲ準用ス
第八章 町村ノ監督
第百三十九條 町村ハ第一次ニ於テ北海道廳支廳長、第二次ニ於テ北海道廳長官、第三次ニ於テ內務大臣之ヲ監督ス
第百四十條 本令中別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外町村ノ監督ニ關スル北海道廳支廳長ノ處分ニ不服アル町村ハ北海道廳長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ北海道廳長官ノ處分ニ不服アル町村ハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第百四十一條 本令中行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得ベキ場合ニ於テハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得ズ
第百四十二條 異議ノ申立又ハ訴願ノ提起ハ處分、決定又ハ裁決アリタル日ヨリ二十一日以內ニ之ヲ爲スベシ但シ本令中別ニ期間ヲ定メタルモノハ此ノ限ニ在ラズ
行政訴訟ノ提起ハ處分、決定、裁定又ハ裁決アリタル日ヨリ三十日以內ニ之ヲ爲スベシ
決定書又ハ裁決書ノ交付ヲ受ケザル者ニ關シテハ前二項ノ期間ハ告示ノ日ヨリ之ヲ起算ス
異議ノ申立ニ關スル期間ノ計算ニ付テハ訴願法ノ規定ニ依ル
異議ノ申立ハ期限經過後ニ於テモ宥恕スベキ事由アリト認ムルトキハ仍之ヲ受理スルコトヲ得
異議ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ申立人ニ交付スベシ
異議ノ申立アルモ處分ノ執行ハ之ヲ停止セズ但シ行政廳ハ其ノ職權ニ依リ又ハ關係者ノ請求ニ依リ必要ト認ムルトキハ之ヲ停止スルコトヲ得
第百四十三條 北海道參事會訴願ヲ受理シタルトキハ其ノ日ヨリ三月以內ニ之ヲ裁決スベシ
第百四十四條 監督官廳ハ町村ノ監督上必要アル場合ニ於テハ事務ノ報告ヲ爲サシメ、書類帳簿ヲ徵シ及實地ニ就キ事務ヲ視察シ又ハ出納ヲ檢閱スルコトヲ得
監督官廳ハ町村ノ監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
上級監督官廳ハ下級監督官廳ノ町村ノ監督ニ關シテ爲シタル命令又ハ處分ヲ停止シ又ハ取消スコトヲ得
第百四十五條 內務大臣ハ町村會ノ解散ヲ命ズルコトヲ得
町村會解散ノ場合ニ於テハ三月以內ニ議員ヲ選擧スベシ
第百四十六條 町村ニ於テ法令ニ依リ負擔シ又ハ當該官廳ノ職權ニ依リ命ズル費用ヲ豫算ニ載セザルトキハ北海道廳支廳長ハ理由ヲ示シテ其ノ費用ヲ豫算ニ加フルコトヲ得
町村長其ノ他ノ吏員其ノ執行スベキ事件ヲ執行セザルトキハ北海道廳支廳長又ハ其ノ委任ヲ受ケタル官吏吏員之ヲ執行スルコトヲ得但シ其ノ費用ハ町村ノ負擔トス
前二項ノ處分ニ不服アル町村又ハ町村長其ノ他ノ吏員ハ北海道廳長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百四十七條 町村長又ハ收入役ニ故障アルトキハ監督官廳ハ臨時代理者ヲ選任シ又ハ官吏ヲ派遣シ其ノ職務ヲ管掌セシムルコトヲ得但シ官吏ヲ派遣シタル場合ニ於テハ其ノ旅費ハ町村費ヲ以テ辨償セシムベシ
臨時代理者ハ有給ノ町村吏員トシ其ノ給料額旅費額等ハ監督官廳之ヲ定ム
第百四十八條 町村條例ヲ設ケ又ハ改正セントスルトキハ內務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第百四十九條 左ニ揭グル事件ハ內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受クベシ
一 町村債ヲ起シ竝ニ起債ノ方法、利息ノ定率及償還ノ方法ヲ定メ又ハ之ヲ變更スルコト但シ第百十三條第三項ノ借入金ハ此ノ限ニ在ラズ
二 特別稅ヲ新設シ增額シ又ハ變更スルコト
三 間接國稅ノ附加稅ヲ賦課スルコト
四 使用料ヲ新設シ增額シ又ハ變更スルコト
第百五十條 左ニ揭グル事件ハ北海道廳支廳長ノ許可ヲ受クベシ
一 町村條例ヲ廢止スルコト
二 基本財產及特別基本財產竝ニ林野ノ處分ニ關スルコト
三 寄附又ハ補助ヲ爲スコト
四 手數料ヲ新設シ增額シ又ハ變更スルコト
五 均一ノ稅率ニ依ラズシテ國稅又ハ北海道地方稅ノ附加稅ヲ賦課スルコト
六 第百三條第一項第二項及第四項ノ規定ニ依リ數人又ハ町村ノ一部ニ費用ヲ負擔セシムルコト
七 第百五條ノ規定ニ依リ不均一ノ賦課ヲ爲シ又ハ數人若ハ町村ノ一部ニ對シ賦課ヲ爲スコト
八 第百六條ノ準率ニ依ラズシテ夫役現品ヲ賦課スルコト但シ急迫ノ場合ニ賦課スル夫役ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
九 繼續費ヲ定メ又ハ變更スルコト
第百五十一條 監督官廳ノ許可ヲ要スル事件ニ付テハ監督官廳ハ許可申請ノ趣旨ニ反セズト認ムル範圍內ニ於テ更正シテ許可ヲ與フルコトヲ得
第百五十二條 監督官廳ノ許可ヲ要スル事件ニ付テハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ其ノ許可ノ職權ヲ下級監督官廳ニ委任シ又ハ輕易ナル事件ニ限リ許可ヲ受ケシメザルコトヲ得
第百五十三條 北海道廳長官又ハ北海道廳支廳長ハ町村長、收入役、區長、區長代理者、委員其ノ他ノ町村吏員ニ對シ懲戒ヲ行フコトヲ得其ノ懲戒處分ハ譴責、二十五圓以下ノ過怠金及解職トス但シ町村長及收入役ニ對スル解職ハ懲戒審査會ノ議決ヲ經テ北海道廳長官之ヲ行フ
懲戒審査會ハ內務大臣ノ命ジタル北海道廳高等官三人及北海道名譽職參事會員ニ於テ互選シタル者三人ヲ以テ其ノ會員トシ北海道廳長官ヲ以テ會長トス北海道廳長官故障アルトキハ其ノ代理者會長ノ職務ヲ行フ
北海道名譽職參事會員ノ互選スベキ會員ノ選擧、補闕及任期竝ニ懲戒審査會ノ招集及會議ニ付テハ北海道會法中名譽職參事會員及北海道參事會ニ關スル規定ヲ準用ス但シ補充員ハ之ヲ設クルノ限ニ在ラズ
解職ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ北海道廳支廳長ノ處分ニ付テハ北海道廳長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキ又ハ北海道廳長官ノ處分ニ付テハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
北海道廳長官ハ町村長及收入役ノ解職ヲ行ハントスル前其ノ停職ヲ命ズルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ停職期間給料ヲ支給スルコトヲ得ズ
懲戒ニ依リ解職セラレタル者ハ二年間市町村ノ公職ニ就クコトヲ得ズ
第百五十四條 町村吏員ノ賠償責任及身元保證ニ關シテハ市制町村制施行令第三十三條乃至第三十八條ノ規定ヲ準用ス但シ第三十三條乃至第三十五條及第三十八條ノ場合ニ於テハ町村會ノ議決ヲ經ルコトヲ要ス
町村吏員ノ服務紀律及事務引繼ニ關スル規定ハ內務大臣之ヲ定ム
第九章 雜則
第百五十五條 北海道廳支廳長ノ職權ニ屬スル事件ニシテ數支廳ニ涉ルモノアルトキハ北海道廳長官ハ關係北海道廳支廳長ノ具狀ニ依リ其ノ事件ヲ管理スベキ北海道廳支廳長ヲ指定スベシ
第百五十六條 初メテ二級町村ト爲ス地ハ內務大臣之ヲ指定ス
第百五十七條 第十一條ノ人口ハ內務大臣ノ定ムル所ニ依ル
第百五十八條 本令ニ於ケル直接稅及間接稅ノ種類ハ內務大臣及大藏大臣之ヲ定ム
第百五十九條 町村又ハ町村組合ノ廢置分合又ハ境界變更アリタル場合ニ於ケル町村ノ事務ニ付テハ本令ニ規定スルモノノ外市制町村制施行令第一條乃至第四條及第七十三條ノ規定ヲ準用ス
第百六十條 本令中官吏ニ關スル規定ハ待遇官吏ニモ之ヲ適用ス
附 則
本令中公民權及議員選擧ニ關スル規定ハ次ノ總選擧ヨリ之ヲ施行シ其ノ他ノ規定ハ昭和二年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令ノ適用ニ付テハ明治十三年第三十六號布告刑法ノ重罪ノ刑ニ處セラレタル者ハ之ヲ六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者、同法ノ禁錮ノ刑ニ處セラレタル者ハ之ヲ六年未滿ノ懲役又ハ禁錮ノ刑ニ處セラレタルモノト看做ス
本令施行ノ際必要ナル規定ハ內務大臣之ヲ定ム
朕北海道二級町村制改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二年八月二十六日
内閣総理大臣 男爵 田中義一
内務大臣 鈴木喜三郎
勅令第二百七十号
北海道二級町村制
第一章
総則
第一款
町村及其ノ区域
第二款
町村住民及其ノ権利義務
第三款
町村条例及町村規則
第二章
町村会
第一款
組織及選挙
第二款
職務権限
第三章
町村吏員
第一款
組織及選任
第二款
職務権限
第四章
給料及給与
第五章
町村ノ財務
第一款
財産営造物及町村税
第二款
歳入出予算及決算
第六章
町村ノ一部ノ事務
第七章
町村組合
第八章
町村ノ監督
第九章
雑則
附 則
北海道二級町村制
第一章 総則
第一款 町村及其ノ区域
第一条 町村ハ従来ノ区域ニ依ル
第二条 町村ハ法人トス官ノ監督ヲ承ケ法令ノ範囲内ニ於テ其ノ公共事務並ニ従来法令又ハ慣例ニ依リ及将来法律勅令ニ依リ町村ニ属スル事務ヲ処理ス
第三条 町村ノ廃置分合又ハ境界変更ヲ為サントスルトキハ北海道庁長官ハ関係アル市町村会ノ意見ヲ徴シ北海道参事会ノ議決ヲ経内務大臣ノ許可ヲ得テ之ヲ定ム所属未定地ヲ町村ノ区域ニ編入セントスルトキ亦同ジ
前項ノ場合ニ於テ財産アルトキハ其ノ処分ハ関係アル市町村会ノ意見ヲ徴シ北海道参事会ノ議決ヲ経テ北海道庁長官之ヲ定ム
第一項ノ場合ニ於テ市ノ廃置分合ヲ伴フトキハ市制第三条ノ規定ニ依ル
第四条 町村ノ境界ニ関スル争論ハ北海道参事会之ヲ裁定ス其ノ裁定ニ不服アル町村ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
町村ノ境界判明ナラザル場合ニ於テ前項ノ争論ナキトキハ北海道庁長官ハ北海道参事会ノ決定ニ付スベシ其ノ決定ニ不服アル町村ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項ノ裁定及前項ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ為シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ関係町村ニ交付スベシ
第一項ノ裁定及第二項ノ決定ニ付テハ北海道庁長官ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第五条 町村ノ名称ヲ変更セントスルトキ、村ヲ町ト為シ若ハ町ヲ村ト為サントスルトキ又ハ町村役場ノ位置ヲ定メ若ハ之ヲ変更セントスルトキハ町村ハ町村会ノ議決ヲ経北海道庁長官ノ許可ヲ受クベシ
第二款 町村住民及其ノ権利義務
第六条 町村内ニ住所ヲ有スル者ハ其ノ町村住民トス
町村住民ハ本令ニ従ヒ町村ノ財産及営造物ヲ共用スル権利ヲ有シ町村ノ負担ヲ分任スル義務ヲ負フ
第七条 帝国臣民タル年齢二十五年以上ノ男子ニシテ一年以来町村住民タル者ハ其ノ町村公民トス但シ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
一 禁治産者及準禁治産者
二 破産者ニシテ復権ヲ得ザル者
三 貧困ニ因リ生活ノ為公私ノ救助ヲ受ケ又ハ扶助ヲ受クル者
四 一定ノ住居ヲ有セザル者
五 六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者
六 刑法第二編第一章、第三章、第九章、第十六章乃至第二十一章、第二十五章又ハ第三十六章乃至第三十九章ニ掲グル罪ヲ犯シ六年未満ノ懲役ノ刑ニ処セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル後其ノ刑期ノ二倍ニ相当スル期間ヲ経過スルニ至ル迄ノ者但シ其ノ期間五年ヨリ短キトキハ五年トス
七 六年未満ノ禁錮ノ刑ニ処セラレ又ハ前号ニ掲グル罪以外ノ罪ヲ犯シ六年未満ノ懲役ノ刑ニ処セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者
町村ハ町村会ノ議決ヲ経テ前項一年ノ制限ヲ特免スルコトヲ得
第一項一年ノ期間ハ市町村ノ廃置分合又ハ境界変更ノ為中断セラルルコトナシ
第八条 町村公民ハ町村ノ選挙ニ参与シ町村ノ名誉職ニ選挙セラルル権利ヲ有シ町村ノ名誉職ヲ担任スル義務ヲ負フ
左ノ各号ノ一ニ該当セザル者ニシテ名誉職ノ当選ヲ辞シ又ハ其ノ職ヲ辞シ若ハ其ノ職務ヲ実際ニ執行セザルトキハ町村ハ町村会ノ議決ヲ経テ一年以上四年以下其ノ町村公民権ヲ停止スルコトヲ得
一 疾病ニ罹リ公務ニ堪ヘザル者
二 業務ノ為常ニ町村内ニ居ルコトヲ得ザル者
三 年齢六十年以上ノ者
四 官公職ノ為町村ノ公務ヲ執ルコトヲ得ザル者
五 四年以上名誉職町村吏員、町村会議員又ハ区会議員ノ職ニ任ジ爾後同一ノ期間ヲ経過セザル者
六 其ノ他町村会ノ議決ニ依リ正当ノ理由アリト認ムル者
前項ノ処分ヲ受ケタル者其ノ処分ニ不服アルトキハ北海道参事会ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第二項ノ処分ハ其ノ確定ニ至ル迄執行ヲ停止ス
第三項ノ裁決ニ付テハ北海道庁長官又ハ町村長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第九条 陸海軍軍人ニシテ現役中ノ者(未ダ入営セザル者及帰休下士官兵ヲ除ク)及戦時若ハ事変ニ際シ召集中ノ者ハ町村ノ公務ニ参与スルコトヲ得ズ兵籍ニ編入セラレタル学生生徒(陸軍各部委託学生生徒、海軍軍医学生薬剤学生主計学生造船学生造機学生造兵学生並ニ海軍予備生徒及海軍予備練習生ヲ除ク)及志願ニ依リ国民軍ニ編入セラレタル者亦同ジ
第三款 町村条例及町村規則
第十条 町村ハ町村住民ノ権利義務又ハ町村ノ事務ニ関シ町村条例ヲ設クルコトヲ得
町村ハ町村ノ営造物ニ関シ町村条例ヲ以テ規定スルモノノ外町村規則ヲ設クルコトヲ得
町村条例及町村規則ハ一定ノ公告式ニ依リ之ヲ告示スベシ
第二章 町村会
第一款 組織及選挙
第十一条 町村会議員ハ其ノ被選挙権アル者ニ就キ選挙人之ヲ選挙ス
議員ノ定数左ノ如シ
一 人口二千未満ノ町村 八人
二 人口二千以上五千未満ノ町村 十二人
三 人口五千以上一万未満ノ町村 十八人
四 人口一万以上ノ町村 二十四人
議員ノ定数ハ町村条例ヲ以テ特ニ之ヲ増減スルコトヲ得
謙員ノ定数ハ総選挙ヲ行フ場合ニ非ザレバ之ヲ増減セズ但シ著シク人口ノ増減アリタル場合ニ於テ北海道庁長官ノ許可ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十二条 町村公民ハ総テ選挙権ヲ有ス但シ公民権停止中ノ者又ハ第九条ノ規定ニ該当スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
第十三条 特別ノ事情アルトキハ町村ハ町村会ノ議決ヲ経区画ヲ定メテ投票分会ヲ設クルコトヲ得
第十四条 選挙権ヲ有スル町村公民ハ被選挙権ヲ有ス
在職ノ検事、警察官吏及収税官吏ハ被選挙権ヲ有セズ
選挙事務ニ関係アル官吏及町村ノ有給吏員ハ其ノ関係区域内ニ於テ被選挙権ヲ有セズ
町村ノ有給ノ吏員教員其ノ他ノ職員ニシテ在職中ノ者ハ其ノ町村ノ町村会議員ト相兼ヌルコトヲ得ズ
第十五条 町村会議員ハ名誉職トス
議員ノ任期ハ四年トシ総選挙ノ日ヨリ之ヲ起算ス
議員ノ定数ニ異動ヲ生ジタル為解任ヲ要スル者アルトキハ町村長抽籤シテ之ヲ定ム但シ闕員アルトキハ其ノ闕員ヲ以テ之ニ充ツベシ
前項但書ノ場合ニ於テ闕員ノ数解任ヲ要スル者ノ数ニ満チザルトキハ其ノ不足ノ員数ニ付町村長抽籤シテ解任スベキ者ヲ定メ闕員ノ数解任ヲ要スル者ノ数ヲ超ユルトキハ解任ヲ要スル者ニ充ツベキ闕員ハ最モ先ニ闕員ト為リタル者ヨリ順次之ニ充テ闕員ト為リタル時同ジキトキハ町村長抽籤シテ之ヲ定ム
議員ノ定数ニ異動ヲ生ジタル為新ニ選挙セラレタル議員ハ総選挙ニ依リ選挙セラレタル議員ノ任期満了ノ日迄在任ス
第十六条 町村会議員中闕員ヲ生ジタルトキハ三月以内ニ補闕選挙ヲ行フベシ但シ第三十六条第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケタル得票者ニシテ当選者ト為ラザリシ者アルトキハ直ニ選挙会ヲ開キ其ノ者ノ中ニ就キ当選者ヲ定ムベシ此ノ場合ニ於テハ第四十条第三項及第四項ノ規定ヲ準用ス
第四十条第五項及第六項ノ規定ハ補闕選挙ニ之ヲ準用ス
補闕議員ハ其ノ前任者ノ残任期間在任ス
第十七条 町村長ハ選挙期日前六十日目ノ現在ニ依リ選挙人名簿ヲ調製スベシ
選挙人名簿ニハ選挙人ノ氏名、住所及生年月日等ヲ記載スベシ
第十八条 町村長ハ選挙期日前四十日目ヨリ十五日間町村役場又ハ其ノ指定シタル場所ニ於テ選挙人名簿ヲ関係者ノ縦覧ニ供スベシ
町村長ハ縦覧開始ノ日前三日目迄ニ縦覧ノ場所ヲ告示スベシ
第十九条 選挙人名簿ニ関シ関係者ニ於テ異議アルトキハ縦覧期間内ニ之ヲ町村長ニ申立ツルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ町村長ハ縦覧期間満了後十日以内ニ之ヲ決定シ其ノ修正ヲ要スルトキハ直ニ之ヲ修正シ且其ノ要領ヲ告示スベシ
前項ノ決定ニ不服アル者ハ北海道参事会ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ裁決ニ付テハ北海道庁長官又ハ町村長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第二十条 選挙人名簿ハ選挙期日前三日目ヲ以テ確定ス
選挙人名簿ハ其ノ確定シタル日ヨリ一年以内ニ於テ行フ選挙ニ之ヲ用フ但シ第三条ノ処分アリタル場合ニ於テ北海道庁長官ノ指定スルモノハ此ノ限ニ在ラズ
前条第二項又ハ第三項ノ裁決確定シ又ハ判決アリタルニ依リ名簿ノ修正ヲ要スル場合ニ於テハ其ノ名簿確定前ナルトキハ直ニ之ヲ修正シ其ノ名簿確定後ナルトキハ選挙ヲ終リタル後次ノ選挙期日前四日目迄ニ之ヲ修正シ且其ノ要領ヲ告示スベシ
投票分会ヲ設クルトキハ町村長ハ確定名簿ニ依リ分会ノ区画毎ニ名簿ノ抄本ヲ調製スベシ
第二十一条 第十九条ノ場合ニ於テ決定若ハ裁決確定シ又ハ判決アリタルニ依リ選挙人名簿無効ト為リタルトキハ更ニ名簿ヲ調製スベシ
天災事変等ノ為必要アルトキハ更ニ名簿ヲ調製スベシ
前二項ノ規定ニ依ル名簿ノ調製、縦覧、確定及異議申立ニ対スル決定ニ関スル期日及期間ハ北海道庁支庁長ノ定ムル所ニ依ル
選挙人名簿調製後ニ於テ選挙期日ヲ変更スルコトアルモ其ノ名簿ヲ用ヒ縦覧、修正、確定及異議ノ決定ニ関スル期日及期間ハ前選挙期日ニ依リ之ヲ算定ス
第二十二条 町村長ハ選挙ノ期日前七日目迄ニ選挙会場(投票分会場ヲ含ム以下之ニ同ジ)、投票ノ日時及選挙スベキ議員数ヲ告示スベシ投票分会ヲ設クル場合ニ於テハ併セテ其ノ区画ヲ告示スベシ
投票分会ノ投票ハ選挙会ト同日時ニ之ヲ行フ
天災事変等ノ為投票ヲ行フコト能ハザルトキ又ハ更ニ投票ヲ行フノ必要アルトキハ町村長ハ其ノ投票ヲ行フベキ選挙会又ハ投票分会ノミニ付更ニ期日ヲ定メ投票ヲ行ハシムベシ此ノ場合ニ於テ選挙会場及投票ノ日時ハ選挙ノ期日前五日目迄ニ之ヲ告示スベシ
第二十三条 町村長ハ選挙長ト為リ選挙会ヲ開閉シ其ノ取締ニ任ズ
町村長ハ選挙人名簿ニ登録セラレタル者ノ中ヨリ二人乃至四人ノ選挙立会人ヲ選任スベシ
投票分会ハ町村長ノ指名シタル吏員投票分会長ト為リ之ヲ開閉シ其ノ取締ニ任ズ
町村長ハ分会ノ区画内ニ於ケル選挙人名簿ニ登録セラレタル者ノ中ヨリ二人乃至四人ノ投票立会人ヲ選任スベシ
選挙立会人及投票立会人ハ名誉職トス
第二十四条 選挙人ニ非ザル者ハ選挙会場ニ入ルコトヲ得ズ但シ選挙会場ノ事務ニ従事スル者、選挙会場ヲ監視スル職権ヲ有スル者又ハ警察官吏ハ此ノ限ニ在ラズ
選挙会場ニ於テ演説討論ヲ為シ若ハ喧擾ニ渉リ又ハ投票ニ関シ協議若ハ勧誘ヲ為シ其ノ他選挙会場ノ秩序ヲ紊ル者アルトキハ選挙長又ハ投票分会長ハ之ヲ制止シ命ニ従ハザルトキハ之ヲ選挙会場外ニ退出セシムベシ
前項ノ規定ニ依リ退出セシメラレタル者ハ最後ニ至リ投票ヲ為スコトヲ得但シ選挙長又ハ投票分会長会場ノ秩序ヲ紊ルノ虞ナシト認ムル場合ニ於テ投票ヲ為サシムルヲ妨ゲズ
第二十五条 選挙ハ無記名投票ヲ以テ之ヲ行フ
投票ハ一人一票ニ限ル
第二十六条 確定名簿ニ登録セラレザル者ハ投票ヲ為スコトヲ得ズ但シ選挙人名簿ニ登録セラルベキ確定裁決書又ハ判決書ヲ所持シ選挙ノ当日選挙会場ニ到ル者ハ此ノ限ニ在ラズ
確定名簿ニ登録セラレタル者選挙人名簿ニ登録セラルルコトヲ得ザル者ナルトキハ投票ヲ為スコトヲ得ズ選挙ノ当日選挙権ヲ有セザル者ナルトキ亦同ジ
第二十七条 選挙人ハ選挙ノ当日投票時間内ニ自ラ選挙会場ニ到リ選挙人名簿又ハ其ノ抄本ノ対照ヲ経テ投票ヲ為スベシ
投票時間内ニ選挙会場ニ入リタル選挙人ハ其ノ時間ヲ過グルモ投票ヲ為スコトヲ得
選挙人ハ選挙会場ニ於テ投票用紙ニ自ラ被選挙人一人ノ氏名ヲ記載シテ投函スベシ
投票ニ関スル記載ニ付テハ点字ハ之ヲ文字ト看做ス市制町村制施行令第十一条ノ規定及別表ハ此ノ場合ニ之ヲ準用ス
自ラ被選挙人ノ氏名ヲ書スルコト能ハザル者ハ投票ヲ為スコトヲ得ズ
投票用紙ハ町村長ノ定ムル所ニ依リ一定ノ式ヲ用フベシ
投票分会ニ於テ為シタル投票ハ投票分会長少クトモ一人ノ投票立会人ト共ニ投票函ノ儘之ヲ選挙長ニ送致スベシ
第二十八条 投票ノ拒否ハ選挙立会人又ハ投票立会人之ヲ決定ス可否同数ナルトキハ選挙長又ハ投票分会長之ヲ決スベシ
投票分会ニ於テ投票拒否ノ決定ヲ受ケタル選挙人不服アルトキハ投票分会長ハ仮ニ投票ヲ為サシムベシ
前項ノ投票ハ選挙人ヲシテ之ヲ封筒ニ入レ封緘シ表面ニ自ラ其ノ氏名ヲ記載シ投函セシムベシ
投票分会長又ハ投票立会人ニ於テ異議アル選挙人ニ対シテモ亦前二項ニ同ジ
第二十九条 第四十条若ハ第四十四条ノ選挙、増員選挙又ハ補闕選挙ヲ同時ニ行フ場合ニ於テハ一ノ選挙ヲ以テ合併シテ之ヲ行フ
第三十条 町村長ハ予メ開票ノ日時ヲ告示スベシ
第三十一条 選挙長ハ投票ノ日又ハ其ノ翌日(投票分会ヲ設ケタルトキハ総テノ投票函ノ送致ヲ受ケタル日又ハ其ノ翌日)選挙立会人立会ノ上投票函ヲ開キ投票ノ総数ト投票人ノ総数トヲ計算スベシ
前項ノ計算終リタルトキハ選挙長ハ先ヅ第二十八条第二項及第四項ノ投票ヲ調査スベシ其ノ投票ノ受理如何ハ選挙立会人之ヲ決定ス可否同数ナルトキハ選挙長之ヲ決スベシ
選挙長ハ選挙立会人ト共ニ投票ヲ点検スベシ
天災事変等ノ為開票ヲ行フコト能ハザルトキハ町村長ハ更ニ開票ノ期日ヲ定ムベシ此ノ場合ニ於テ選挙会場ノ変更ヲ要スルトキハ予メ更ニ其ノ場所ヲ告示スベシ
第三十二条 選挙人ハ其ノ選挙会ノ参観ヲ求ムルコトヲ得但シ開票開始前ハ此ノ限ニ在ラズ
第三十三条 特別ノ事情アルトキハ町村ハ北海道庁支庁長ノ許可ヲ得区画ヲ定メテ開票分会ヲ設クルコトヲ得
市制町村制施行令第十二条乃至第二十条ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ開票分会ヲ設クル場合ニ之ヲ準用ス
第三十四条 左ノ投票ハ之ヲ無効トス
一 成規ノ用紙ヲ用ヒザルモノ
二 現ニ町村会議員ノ職ニ在ル者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
三 一投票中二人以上ノ被選挙人ノ氏名ヲ記載シタルモノ
四 被選挙人ノ何人タルカヲ確認シ難キモノ
五 被選挙権ナキ者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
六 被選挙人ノ氏名ノ外他事ヲ記入シタルモノ但シ爵位、職業、身分、住所又ハ敬称ノ類ヲ記入シタルモノハ此ノ限ニ在ラズ
七 被選挙人ノ氏名ヲ自書セザルモノ
第三十五条 投票ノ効力ハ選挙立会人之ヲ決定ス可否同数ナルトキハ選挙長之ヲ決スベシ
第三十六条 町村会議員ノ選挙ハ有効投票ノ最多数ヲ得タル者ヲ以テ当選者トス但シ議員ノ定数ヲ以テ有効投票ノ総数ヲ除シテ得タル数ノ六分ノ一以上ノ得票アルコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ当選者ヲ定ムルニ当リ得票ノ数同ジキトキハ年長者ヲ取リ年齢モ亦同ジキトキハ選挙長抽籤シテ之ヲ定ムベシ
第三十七条 当選者選挙ノ期日後ニ於テ被選挙権ヲ有セザルニ至リタルトキハ当選ヲ失フ
第三十八条 選挙長ハ選挙録ヲ作リ選挙会ニ関スル顛末ヲ記載シ之ヲ朗読シ二人以上ノ選挙立会人ト共ニ之ニ署名スベシ
投票分会長ハ投票録ヲ作リ投票ニ関スル顛末ヲ記載シ之ヲ朗読シ二人以上ノ投票立会人ト共ニ之ニ署名スベシ
投票分会長ハ投票函ト同時ニ投票録ヲ選挙長ニ送致スベシ
選挙録及投票録ハ投票、選挙人名簿其ノ他ノ関係書類ト共ニ議員ノ任期間町村長ニ於テ之ヲ保存スベシ
第三十九条 当選者定リタルトキハ町村長ハ直ニ当選者ニ当選ノ旨ヲ告知シ同時ニ当選者ノ住所氏名ヲ告示シ且選挙録ノ写(投票録アルトキハ併セテ投票録ノ写)ヲ添ヘ之ヲ北海道庁支庁長ニ報告スベシ当選者ナキトキハ直ニ其ノ旨ヲ告示シ且選挙録ノ写(投票録アルトキハ併セテ投票録ノ写)ヲ添ヘ之ヲ北海道庁支庁長ニ報告スベシ
当選者当選ヲ辞セントスルトキハ当選ノ告知ヲ受ケタル日ヨリ五日以内ニ之ヲ町村長ニ申立ツベシ
官吏ニシテ当選シタル者ハ所属長官ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ之ニ応ズルコトヲ得ズ
前項ノ官吏ハ当選ノ告知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以内ニ之ニ応ズベキ旨ヲ町村長ニ申立テザルトキハ其ノ当選ヲ辞シタルモノト看做ス
町村ニ対シ請負ヲ為シ又ハ町村ニ於テ費用ヲ負担スル事業ニ付町村長若ハ其ノ委任ヲ受ケタル者ニ対シ請負ヲ為ス者若ハ其ノ支配人又ハ主トシテ同一ノ行為ヲ為ス法人ノ無限責任社員、役員若ハ支配人ニシテ当選シタル者ハ其ノ請負ヲ罷メ又ハ請負ヲ為ス者ノ支配人若ハ主トシテ同一ノ行為ヲ為ス法人ノ無限責任社員、役員若ハ支配人タルコトナキニ至ルニ非ザレバ当選ニ応ズルコトヲ得ズ第二項ノ期限前ニ其ノ旨ヲ町村長ニ申立テザルトキハ其ノ当選ヲ辞シタルモノト看做ス
前項ノ役員トハ取締役、監査役及之ニ準ズベキ者並ニ清算人ヲ謂フ
第四十条 当選者左ニ掲グル事由ノ一ニ該当スルトキハ三月以内ニ更ニ選挙ヲ行フベシ但シ第二項ノ規定ニ依リ更ニ選挙ヲ行フコトナクシテ当選者ヲ定メ得ル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
一 当選ヲ辞シタルトキ
二 第三十七条ノ規定ニ依リ当選ヲ失ヒタルトキ
三 死亡者ナルトキ
四 選挙ニ関スル犯罪ニ依リ刑ニ処セラレ其ノ当選無効ト為リタルトキ但シ同一人ニ関シ前各号ノ事由ニ依ル選挙又ハ補闕選挙ノ告示ヲ為シタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ事由前条第二項若ハ第四項ノ規定ニ依ル期限前ニ生ジタル場合ニ於テ第三十六条第一項但書ノ得票者ニシテ当選者ト為ラザリシ者アルトキ又ハ其ノ期限経過後ニ生ジタル場合ニ於テ第三十六条第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケタル得票者ニシテ当選者ト為ラザリシ者アルトキハ直ニ選挙会ヲ開キ其ノ者ノ中ニ就キ当選者ヲ定ムベシ
前項ノ場合ニ於テ第三十六条第一項但書ノ得票者ニシテ当選者ト為ラザリシ者選挙ノ期日後ニ於テ被選挙権ヲ有セザルニ至リタルトキハ之ヲ当選者ト定ムルコトヲ得ズ
第二項ノ場合ニ於テハ町村長ハ予メ選挙会ノ場所及日時ヲ告示スベシ
第一項ノ期間ハ第四十三条第八項ノ規定ノ適用アル場合ニ於テハ選挙ヲ行フコトヲ得ザル事由已ミタル日ノ翌日ヨリ之ヲ起算ス
第一項ノ事由議員ノ任期満了前六月以内ニ生ジタルトキハ第一項ノ選挙ハ之ヲ行ハズ但シ議員ノ数其ノ定数ノ三分ノ二ニ満チザルニ至リタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第四十一条 第三十九条第二項ノ期間ヲ経過シタルトキ又ハ同条第四項ノ申立アリタルトキハ町村長ハ直ニ当選者ノ住所氏名ヲ告示シ併セテ之ヲ北海道庁支庁長ニ報告スベシ
当選者ナキニ至リタルトキ又ハ当選者其ノ選挙ニ於ケル議員ノ定数ニ達セザルニ至リタルトキハ町村長ハ直ニ其ノ旨ヲ告示シ併セテ之ヲ北海道庁支庁長ニ報告スベシ
第四十二条 選挙ノ規定ニ違反スルコトアルトキハ選挙ノ結果ニ異動ヲ生ズルノ虞アル場合ニ限リ其ノ選挙ノ全部又ハ一部ヲ無効トス但シ当選ニ異動ヲ生ズルノ虞ナキ者ヲ区分シ得ルトキハ其ノ者ニ限リ当選ヲ失フコトナシ
第四十三条 選挙人選挙又ハ当選ノ効力ニ関シ異議アルトキハ選挙ニ関シテハ選挙ノ日ヨリ、当選ニ関シテハ第三十九条第一項又ハ第四十一条第二項ノ告示ノ日ヨリ七日以内ニ之ヲ町村長ニ申立ツルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ町村長ハ申立ヲ受ケタル日ヨリ十四日以内ニ之ヲ決定スベシ
前項ノ決定ニ不服アル者ハ北海道参事会ニ訴願スルコトヲ得
北海道庁支庁長ハ選挙又ハ当選ノ効力ニ関シ異議アルトキハ選挙ニ関シテハ第三十九条第一項ノ報告ヲ受ケタル日ヨリ、当選ニ関シテハ第三十九条第一項又ハ第四十一条第二項ノ報告ヲ受ケタル日ヨリ二十日以内ニ之ヲ処分スルコトヲ得
前項ノ処分アリタルトキハ同一事件ニ付為シタル異議ノ申立及町村長ノ決定ハ無効トス
第三項ノ処分ニ不服アル者ハ北海道参事会ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第二項若ハ第六項ノ裁決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第三項ノ処分ニ付テハ町村長ヨリモ訴願ヲ提起スルコトヲ得
第二項、第五項又ハ前項ノ裁決ニ付テハ北海道庁長官又ハ町村長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第十六条、第四十条、第四十四条第一項若ハ第三項ノ選挙ハ之ニ関係アル選挙又ハ当選ニ関スル異議申立期間、異議ノ決定若ハ訴願ノ裁決確定セザル間又ハ訴訟ノ繋属スル間之ヲ行フコトヲ得ズ
町村会議員ハ選挙又ハ当選ニ関スル処分、決定若ハ裁決確定シ又ハ判決アル迄ハ会議ニ列席シ議事ニ参与スルノ権ヲ失ハズ
第四十四条 選挙無効ト確定シタルトキハ三月以内ニ更ニ選挙ヲ行フベシ
当選無効ト確定シタルトキハ直ニ選挙会ヲ開キ更ニ当選者ヲ定ムベシ此ノ場合ニ於テハ第四十条第三項及第四項ノ規定ヲ準用ス
当選者ナキトキ、当選者ナキニ至リタルトキ又ハ当選者其ノ選挙ニ於ケル議員ノ定数ニ達セザルトキ若ハ定数ニ達セザルニ至リタルトキハ三月以内ニ更ニ選挙ヲ行フベシ
第四十条第五項及第六項ノ規定ハ第一項及前項ノ選挙ニ之ヲ準用ス
第四十五条 町村会議員被選挙権ヲ有セザル者ナルトキ又ハ第三十九条第五項ニ掲グル者ナルトキハ其ノ職ヲ失フ其ノ被選挙権ノ有無又ハ第三十九条第五項ニ掲グル者ニ該当スルヤ否ハ町村会議員ガ左ノ各号ノ一ニ該当スルニ因リ被選挙権ヲ有セザル場合ヲ除クノ外町村会之ヲ決定ス
一 禁治産者又ハ準禁治産者ト為リタルトキ
二 破産者ト為リタルトキ
三 禁錮以上ノ刑ニ処セラレタルトキ
四 選挙ニ関スル犯罪ニ依リ罰金ノ刑ニ処セラレタルトキ
町村長ハ町村会議員中被選挙権ヲ有セザル者又ハ第三十九条第五項ニ掲グル者アリト認ムルトキハ之ヲ町村会ノ決定ニ付スベシ町村会ハ其ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ十四日以内ニ之ヲ決定スベシ
第一項ノ決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ北海道参事会ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第四項ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項ノ決定ニ付テハ町村長ヨリモ訴願ヲ提起スルコトヲ得
前二項ノ裁決ニ付テハ北海道庁長官又ハ町村長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第四十三条第九項ノ規定ハ第一項及前三項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第一項ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ為シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ本人ニ交付スベシ
第四十六条 第十九条、第二十条及第四十三条ノ場合ニ於テ北海道庁長官ノ指定又ハ北海道参事会ノ裁決ハ北海道庁長官、北海道庁支庁長ノ処分ハ北海道庁支庁長、町村長ノ決定ハ町村長直ニ之ヲ告示スベシ
第四十七条 町村会議員ノ選挙ニ付テハ衆議院議員選挙法第九十一条、第九十二条、第九十八条、第九十九条第二項、第百条及第百四十二条ノ規定ヲ準用ス
第二款 職務権限
第四十八条 町村会ノ議決スベキ事件左ノ如シ
一 町村条例及町村規則ヲ設ケ又ハ改廃スルコト
二 町村費ヲ以テ支弁スベキ事業ニ関スルコト但シ第八十一条ノ事務及法律勅令ニ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
三 歳入出予算ヲ定ムルコト
四 決算報告ヲ認定スルコト
五 法令ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料、手数料、町村税又ハ夫役現品ノ賦課徴収ニ関スルコト
六 不動産ノ管理、処分及取得ニ関スルコト
七 基本財産及積立金穀等ノ設置、管理及処分ニ関スルコト
八 歳入出予算ヲ以テ定ムルモノヲ除クノ外新ニ義務ノ負担ヲ為シ及権利ノ抛棄ヲ為スコト
九 財産及営造物ノ管理方法ヲ定ムルコト但シ法律勅令ニ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
十 町村吏員ノ身元保証ニ関スルコト
十一 町村ニ係ル訴願、訴訟及和解ニ関スルコト
十二 其ノ他法令ニ依リ町村会ノ権限ニ属スル事件
第四十九条 町村会ハ法律勅令ニ依リ其ノ権限ニ属スル選挙ヲ行フベシ
第五十条 町村会ハ町村ノ事務ニ関スル書類及計算書ヲ検閲シ町村長ノ報告ヲ請求シテ事務ノ管理、議決ノ執行及出納ヲ検査スルコトヲ得
町村会ハ議員中ヨリ委員ヲ選挙シ町村長又ハ其ノ指名シタル吏員立会ノ上実地ニ就キ前項町村会ノ権限ニ属スル事件ヲ行ハシムルコトヲ得
第五十一条 町村会ハ町村ノ公益ニ関スル事件ニ付意見書ヲ町村長又ハ監督官庁ニ提出スルコトヲ得
第五十二条 町村会ハ行政庁ノ諮問アルトキハ意見ヲ答申スベシ
町村会ノ意見ヲ徴シテ処分ヲ為スベキ場合ニ於テ町村会成立セズ、招集ニ応ゼズ若ハ意見ヲ提出セズ又ハ町村会ヲ招集スルコト能ハザルトキハ当該行政庁ハ其ノ意見ヲ俟タズシテ直ニ処分ヲ為スコトヲ得
第五十三条 町村会ハ町村長ヲ以テ議長トス町村長故障アルトキハ其ノ代理者議長ノ職務ヲ代理ス町村長及其ノ代理者共ニ故障アルトキハ臨時ニ議員中ヨリ仮議長ヲ選挙スベシ
前項仮議長ノ選挙ニ付テハ年長ノ議員議長ノ職務ヲ代理ス年齢同ジキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
第五十四条 町村長及其ノ委任又ハ嘱託ヲ受ケタル者ハ会議ニ列席シ議事ニ参与スルコトヲ得但シ議決ニ加ハルコトヲ得ズ
前項ノ列席者発言ヲ求ムルトキハ議長ハ直ニ之ヲ許スベシ但シ之ガ為議員ノ演説ヲ中止セシムルコトヲ得ズ
第五十五条 町村会ハ町村長之ヲ招集ス議員定数三分ノ一以上ノ請求アルトキハ町村長ハ之ヲ招集スベシ
町村長ハ必要アル場合ニ於テハ会期ヲ定メテ町村会ヲ招集スルコトヲ得
招集及会議ノ事件ハ開会ノ日前三日目迄ニ之ヲ告知スベシ但シ急施ヲ要スル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
町村会開会中急施ヲ要スル事件アルトキハ町村長ハ直ニ之ヲ其ノ会議ニ付スルコトヲ得会議ニ付スル日前三日目迄ニ告知ヲ為シタル事件ニ付亦同ジ
町村会ハ町村長之ヲ開閉ス
第五十六条 町村会ハ議員定数ノ半数以上出席スルニ非ザレバ会議ヲ開クコトヲ得ズ但シ第五十九条ノ除斥ノ為半数ニ満チザルトキ、同一ノ事件ニ付招集再回ニ至ルモ仍半数ニ満チザルトキ又ハ招集ニ応ズルモ出席議員定数ヲ闕キ議長ニ於テ出席ヲ催告シ仍半数ニ満チザルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第五十七条 町村会ノ議事ハ過半数ヲ以テ決ス可否同数ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
議長ハ其ノ職務ヲ行フ場合ニ於テモ之ガ為議員トシテ議決ニ加ハルノ権ヲ失ハズ
第五十八条 町村長ハ町村会ノ権限ニ属スル事件ニシテ其ノ軽易ナルモノニ付テハ町村会ヲ招集セズ期限ヲ指定シ書面決議ノ方法ニ依ルコトヲ得但シ現任議員ノ数議員定数ノ半数以上アル場合ニ非ザレバ此ノ方法ニ依ルコトヲ得ズ
前項ノ場合ニ於テハ前条第一項ノ規定ニ拘ラズ議員三分ノ二以上ノ同意ヲ得ルニ非ザレバ否決セラレタルモノト看做ス
第五十九条 議長及議員ハ自己又ハ父母、祖父母、妻、子孫、兄弟姉妹ノ一身上ニ関スル事件ニ付テハ其ノ議事ニ参与スルコトヲ得ズ但シ町村会ノ同意ヲ得タルトキハ会議ニ出席シ発言スルコトヲ得
第六十条 法律勅令ニ依リ町村会ニ於テ選挙ヲ行フトキハ一人毎ニ無記名投票ヲ為シ有効投票ノ過半数ヲ得タル者ヲ以テ当選者トス過半数ヲ得タル者ナキトキハ最多数ヲ得タル者二人ヲ取リ之ニ就キ決選投票ヲ為サシム其ノ二人ヲ取ルニ当リ同数者アルトキハ年長者ヲ取リ年齢モ亦同ジキトキハ議長抽籤シテ之ヲ定ム此ノ決選投票ニ於テハ多数ヲ得タル者ヲ以テ当選者トス同数ナルトキハ年長者ヲ取リ年齢モ亦同ジキトキハ議長抽籤シテ之ヲ定ム
前項ノ場合ニ於テハ第二十五条、第二十七条及第三十四条ノ規定ヲ準用シ投票ノ効力ニ関シ異議アルトキハ町村会之ヲ決定ス
第一項ノ選挙ニ付テハ町村会ハ其ノ議決ヲ以テ指名推選又ハ連名投票ノ法ヲ用フルコトヲ得其ノ連名投票ノ法ヲ用フル場合ニ於テハ前二項ノ例ニ依ル
連名投票ノ法ヲ用フル場合ニ於テ其ノ投票ニシテ第三十四条第一号、第六号及第七号ニ該当スルモノ並ニ其ノ記載ノ人員選挙スベキ定数ヲ超ユルモノハ之ヲ無効トシ同条第二号、第四号及第五号ニ該当スルモノハ其ノ部分ノミヲ無効トス
連名投票ノ法ヲ用フル場合ニ於テ過半数ノ投票ヲ得タル者選挙スベキ定数ヲ超ユルトキハ最多数ヲ得タル者ヨリ順次選挙スベキ定数ニ至ル迄ノ者ヲ以テ当選者トシ同数者アルトキハ年長者ヲ取リ年齢モ亦同ジキトキハ議長抽籤シテ之ヲ定ム
第六十一条 町村会ノ会議ハ公開ス但シ左ノ場合ハ此ノ限ニ在ラズ
一 議長ノ意見ヲ以テ傍聴ヲ禁止シタルトキ
二 議員二人以上ノ発議ニ依リ傍聴禁止ヲ可決シタルトキ
前項議員ノ発議ハ討論ヲ用ヒズ其ノ可否ヲ決スベシ
第六十二条 議長ハ会議ヲ総理シ会議ノ順序ヲ定メ其ノ日ノ会議ヲ開閉シ議場ノ秩序ヲ保持ス
議員定数ノ半数以上ヨリ請求アルトキハ議長ハ其ノ日ノ会議ヲ開クコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ議長仍会議ヲ開カザルトキハ第五十三条ノ例ニ依ル
前項議員ノ請求ニ依リ会議ヲ開キタルトキ又ハ議員中異議アルトキハ議長ハ会議ノ議決ニ依ルニ非ザレバ其ノ日ノ会議ヲ閉ヂ又ハ中止スルコトヲ得ズ
第六十三条 議員ハ選挙人ノ指示又ハ委嘱ヲ受クベカラズ
議員ハ会議中無礼ノ語ヲ用ヒ又ハ他人ノ身上ニ渉リ言論スルコトヲ得ズ
第六十四条 会議中本令又ハ会議規則ニ違ヒ其ノ他議場ノ秩序ヲ紊ル議員アルトキハ議長ハ之ヲ制止シ又ハ発言ヲ取消サシメ命ニ従ハザルトキハ当日ノ会議ヲ終ル迄発言ヲ禁止シ又ハ議場外ニ退去セシメ必要アル場合ニ於テハ警察官吏ノ処分ヲ求ムルコトヲ得
議場騒擾ニシテ整理シ難キトキハ議長ハ当日ノ会議ヲ中止シ又ハ之ヲ閉ヅルコトヲ得
第六十五条 傍聴人公然可否ヲ表シ又ハ喧騒ニ渉リ其ノ他会議ノ妨害ヲ為ストキハ議長ハ之ヲ制止シ命ニ従ハザルトキハ之ヲ退場セシメ必要アル場合ニ於テハ警察官吏ノ処分ヲ求ムルコトヲ得
傍聴席騒擾ナルトキハ議長ハ総テノ傍聴人ヲ退場セシメ必要アル場合ニ於テハ警察官吏ノ処分ヲ求ムルコトヲ得
第六十六条 町村会ニ書記ヲ置キ議長ニ隷属シテ庶務ヲ処理セシム
書記ハ議長之ヲ任免ス
第六十七条 議長ハ書記ヲシテ会議録ヲ調製シ会議ノ顛末及出席議員ノ氏名ヲ記載セシムベシ
会議録ハ議長及議員二人以上之ニ署名スルコトヲ要ス其ノ議員ハ町村会ニ於テ之ヲ定ムベシ
第六十八条 町村会ハ会議規則及傍聴人取締規則ヲ設クベシ
会議規則ニハ本令又ハ会議規則ニ違反シタル議員ニ対シ町村会ノ議決ニ依リ五日以内出席ヲ停止スル規定ヲ設クルコトヲ得
第三章 町村吏員
第一款 組織及選任
第六十九条 町村ニ町村長ヲ置ク
町村長ハ有給吏員トス
町村長ハ北海道庁長官之ヲ任免ス
町村長ハ第七条第一項ノ規定ニ拘ラズ在職ノ間其ノ町村ノ公民トス
第七十条 町村ニ収入役一人ヲ置ク
収入役ハ有給吏員トシ其ノ任期ハ四年トス
収入役ハ町村会ノ推薦ニ依リ北海道庁支庁長之ヲ任命ス
前条第四項ノ規定ハ収入役ニ之ヲ準用ス
特別ノ事情アル町村ニ於テハ北海道庁支庁長ハ町村長又ハ書記ヲシテ収入役ノ事務ヲ兼掌セシムルコトヲ得
前項ノ場合ヲ除クノ外町村長及書記ハ収入役ト相兼ヌルコトヲ得ズ
第七十一条 町村ハ町村会ノ議決ヲ経テ処務便宜ノ為区ヲ画シ区長及其ノ代理者一人ヲ置クコトヲ得
区長及其ノ代理者ハ名誉職トス町村公民中選挙権ヲ有スル者ヨリ町村長ノ推薦ニ依リ町村会之ヲ定ム
第七十二条 町村ハ町村会ノ議決ヲ経テ臨時又ハ常設ノ委員ヲ置クコトヲ得
委員ハ名誉職トス町村会議員又ハ町村公民中選挙権ヲ有スル者ヨリ町村長ノ推薦ニ依リ町村会之ヲ定ム但シ委員長ハ町村長又ハ其ノ委任ヲ受ケタル書記ヲ以テ之ニ充ツ
委員ノ組織ニ関シテハ町村条例ヲ以テ別段ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第七十三条 町村公民ニ限リテ担任スベキ職務ニ在ル吏員又ハ職ニ就キタルガ為町村公民タル者選挙権ヲ有セザルニ至リタルトキハ其ノ職ヲ失フ
前項ノ職務ニ在ル者ニシテ禁錮以上ノ刑ニ当ルベキ罪ノ為予審又ハ公判ニ付セラレタルトキハ監督官庁ハ其ノ職務ノ執行ヲ停止スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ停止期間給料又ハ報酬ヲ支給スルコトヲ得ズ
第七十四条 町村ニ書記ヲ置キ北海道庁支庁長之ヲ任免ス
書記ハ有給吏員トシ其ノ定数ハ北海道庁長官之ヲ定ム
第七十五条 前数条ニ定ムル者ノ外町村ニ必要ノ有給吏員ヲ置キ町村長之ヲ任免ス
前項吏員ノ定数ハ町村会ノ議決ヲ経テ之ヲ定ム
第二款 職務権限
第七十六条 町村長ハ町村ヲ統轄シ町村ヲ代表ス
町村長ノ担任スル事務ノ概目左ノ如シ
一 町村会ノ議決ヲ経ベキ事件ニ付其ノ議案ヲ発シ及其ノ議決ヲ執行スルコト
二 財産及営造物ヲ管理スルコト但シ特ニ之ガ管理者ヲ置キタルトキハ其ノ事務ヲ監督スルコト
三 収入支出ヲ命令シ及会計ヲ監督スルコト
四 証書及公文書類ヲ保管スルコト
五 法令又ハ町村会ノ議決ニ依リ使用料、手数料、町村税又ハ夫役現品ヲ賦課徴収スルコト
六 其ノ他法令ニ依リ町村長ノ職権ニ属スル事項
第七十七条 町村長ハ町村吏員ヲ指揮監督シ之ニ対シ懲戒ヲ行フコトヲ得其ノ懲戒処分ハ譴責及五円以下ノ過怠金トス
第七十八条 町村会ノ議決又ハ選挙其ノ権限ヲ超エ又ハ法令若ハ会議規則ニ背クト認ムルトキハ町村長ハ其ノ意見ニ依リ又ハ監督官庁ノ指揮ニ依リ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付シ又ハ再選挙ヲ行ハシムベシ其ノ執行ヲ要スルモノニ在リテハ之ヲ停止スベシ
前項ノ場合ニ於テ町村会其ノ議決ヲ改メザルトキハ町村長ハ北海道参事会ノ裁決ヲ請フベシ但シ特別ノ事由アルトキハ再議ニ付セズシテ直ニ裁決ヲ請フコトヲ得
監督官庁ハ第一項ノ議決又ハ選挙ヲ取消スコトヲ得但シ裁決ノ申請アリタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依ル北海道庁支庁長ノ処分ニ不服アル町村長又ハ町村会ハ北海道参事会ニ訴願スルコトヲ得其ノ裁決若ハ第二項ノ裁決又ハ前項ノ規定ニ依ル北海道庁長官ノ処分ニ不服アル町村長又ハ町村会ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第二項又ハ前項ノ裁決ニ付テハ北海道庁長官ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
町村会ノ議決公益ヲ害シ又ハ町村ノ収支ニ関シ不適当ナリト認ムルトキハ町村長ハ其ノ意見ニ依リ又ハ監督官庁ノ指揮ニ依リ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付スベシ其ノ執行ヲ要スルモノニ在リテハ之ヲ停止スベシ
前項ノ場合ニ於テ町村会其ノ議決ヲ改メザルトキハ町村長ハ北海道庁支庁長ノ処分ヲ請フベシ
前項ノ処分ニ不服アル町村長又ハ町村会ハ北海道参事会ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ内務大臣ニ訴願スルコトヲ得
前項北海道参事会ノ裁決ニ付テハ北海道庁長官ヨリモ訴願ヲ提起スルコトヲ得
第七十九条 町村会成立セザルトキ又ハ第五十六条但書ノ場合ニ於テ仍会議ヲ開クコト能ハザルトキハ町村長ハ北海道庁支庁長ニ具状シテ指揮ヲ請ヒ町村会ノ議決スベキ事件ヲ処置スルコトヲ得
町村会ニ於テ其ノ議決スベキ事件ヲ議決セザルトキハ前項ノ例ニ依ル
町村会ノ決定スベキ事件ニ関シテハ前二項ノ例ニ依ル此ノ場合ニ於ケル町村長ノ処置ニ関シテハ各本条ノ規定ニ準ジ訴願又ハ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
前三項ノ規定ニ依ル処置ニ付テハ次回ノ会議ニ於テ之ヲ町村会ニ報告スベシ
第八十条 町村会ニ於テ議決又ハ決定スベキ事件ニ関シ臨時急施ヲ要スル場合ニ於テ町村会成立セザルトキ又ハ町村長ニ於テ之ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキハ町村長ハ之ヲ専決シ次回ノ会議ニ於テ之ヲ町村会ニ報告スベシ
前項ノ規定ニ依リ町村長ノ為シタル処分ニ関シテハ各本条ノ規定ニ準ジ訴願又ハ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第八十一条 町村長其ノ他町村吏員ハ法令ノ定ムル所ニ依リ国北海道地方費其ノ他公共団体ノ事務ヲ掌ル
前項ノ事務ヲ執行スル為要スル費用ハ町村ノ負担トス但シ法令中別段ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
第八十二条 町村長ハ其ノ事務ノ一部ヲ区長ニ分掌セシムルコトヲ得但シ町村ノ事務ニ付テハ予メ町村会ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
町村長ハ町村吏員ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
町村長故障アルトキハ上席ノ書記之ヲ代理ス
第八十三条 収入役ハ町村ノ出納其ノ他ノ会計事務及第八十一条ノ事務ニ関スル国北海道地方費其ノ他公共団体ノ出納其ノ他ノ会計事務ヲ掌ル但シ法令中別段ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラズ
北海道庁支庁長ハ収入役故障アルトキ之ヲ代理スベキ吏員ヲ定ムベシ
第八十四条 区長ハ町村長ノ命ヲ承ケ町村長ノ事務ニシテ区内ニ関スルモノヲ補助ス
区長代理者ハ区長ノ事務ヲ補助シ区長故障アルトキハ之ヲ代理ス
第八十五条 委員ハ町村長ノ指揮監督ヲ承ケ財産又ハ営造物ヲ管理シ其ノ他委託ヲ受ケタル町村ノ事務ヲ調査シ又ハ之ヲ処弁ス
第八十六条 書記及第七十五条ノ吏員ハ町村長ノ命ヲ承ケ事務ニ従事ス
第四章 給料及給与
第八十七条 町村会議員其ノ他ノ名誉職員ハ職務ノ為要スル費用ノ弁償ヲ受クルコトヲ得
区長、区長代理者及委員ニハ費用弁償ノ外勤務ニ相当スル報酬ヲ給スルコトヲ得
費用弁償額、報酬額及其ノ支給方法ハ町村会ノ議決ヲ経テ之ヲ定ム
第八十八条 町村長及書記ノ給料額、旅費額及其ノ支給方法ハ北海道庁長官之ヲ定メ其ノ他ノ有給吏員ノ給料額、旅費額及其ノ支給方法ハ町村会ノ議決ヲ経テ之ヲ定ム
第八十九条 有給吏員ニハ町村条例ノ定ムル所ニ依リ退隠料、退職給与金、死亡給与金又ハ遺族扶助料ヲ給スルコトヲ得
第九十条 費用弁償、報酬、給料、旅費、退隠料、退職給与金、死亡給与金又ハ遺族扶助料ノ給与ニ付関係者ニ於テ異議アルトキハ北海道地方費支弁ノ給料又ハ旅費ニ在リテハ北海道庁長官ニ、其ノ他ノ給与ニ在リテハ町村長ニ之ヲ申立ツルコトヲ得
前項ノ異議ノ申立アリタルトキハ北海道庁長官又ハ町村長ハ三月以内ニ之ヲ決定スベシ
関係者前項町村長ノ決定ニ不服アルトキハ北海道参事会ニ訴願シ其ノ裁決又ハ前項北海道庁長官ノ決定ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ裁決ニ付テハ町村長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第九十一条 費用弁償、報酬、給料、旅費、退隠料、退職給与金、死亡給与金、遺族扶助料其ノ他ノ給与ハ町村ノ負担トス但シ町村長及書記ノ給料及旅費ハ北海道地方費ヨリ之ヲ支給ス
第五章 町村ノ財務
第一款 財産営造物及町村税
第九十二条 収益ノ為ニスル町村ノ財産ハ基本財産トシ之ヲ維持スベシ
町村ハ特定ノ目的ノ為特別ノ基本財産ヲ設ケ又ハ金穀等ヲ積立ツルコトヲ得
第九十三条 町村ハ営造物ノ使用ニ付使用料ヲ徴収スルコトヲ得
町村ハ特ニ一個人ノ為ニスル事務ニ付手数料ヲ徴収スルコトヲ得
第九十四条 財産ノ売却貸与、工事ノ請負及物件労力其ノ他ノ供給ハ競争入札ニ付スベシ但シ臨時急施ヲ要スルトキ、入札ノ価額其ノ費用ニ比シテ得失相償ハザルトキ又ハ町村会ノ同意ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第九十五条 町村ハ其ノ公益上必要アル場合ニ於テハ町村会ノ議決ヲ経テ寄附又ハ補助ヲ為スコトヲ得
第九十六条 町村ハ其ノ必要ナル費用及従来法令ニ依リ又ハ将来法律勅令ニ依リ町村ノ負担ニ属スル費用ヲ支弁スル義務ヲ負フ
町村ハ其ノ財産ヨリ生ズル収入、使用料、手数料、過料、過怠金其ノ他法令ニ依リ町村ニ属スル収入ヲ以テ前項ノ支出ニ充テ仍不足アルトキハ町村税及夫役現品ヲ賦課徴収スルコトヲ得
第九十七条 町村税トシテ賦課スルコトヲ得ベキモノ左ノ如シ
一 国税北海道地方税ノ附加税
二 特別税
直接国税又ハ直接北海道地方税ノ附加税ハ均一ノ税率ヲ以テ之ヲ徴収スベシ但シ第百五十条ノ規定ニ依リ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
国税ノ附加税タル北海道地方税ニ対シテハ附加税ヲ賦課スルコトヲ得ズ
特別税ハ別ニ税目ヲ起シテ課税スルノ必要アルトキ賦課徴収スルモノトス
第九十八条 三月以上町村内ニ滞在スル者ハ其ノ滞在ノ初ニ遡リ町村税ヲ納ムル義務ヲ負フ
第九十九条 町村内ニ住所ヲ有セズ又ハ三月以上滞在スルコトナシト雖モ町村内ニ於テ土地家屋物件ヲ所有シ使用シ若ハ占有シ、町村内ニ営業所ヲ設ケテ営業ヲ為シ又ハ町村内ニ於テ特定ノ行為ヲ為ス者ハ其ノ土地家屋物件営業若ハ其ノ収入ニ対シ又ハ其ノ行為ニ対シテ賦課スル町村税ヲ納ムル義務ヲ負フ
第百条 納税者ノ町村外ニ於テ所有シ使用シ占有スル土地家屋物件若ハ其ノ収入又ハ町村外ニ於テ営業所ヲ設ケタル営業若ハ其ノ収入ニ対シテハ町村税ヲ賦課スルコトヲ得ズ
町村ノ内外ニ於テ営業所ヲ設ケ営業ヲ為ス者ニシテ其ノ営業又ハ収入ニ対スル本税ヲ分別シテ納メザルモノニ対シ附加税ヲ賦課スル場合、住所滞在ガ町村ノ内外ニ渉ル者ノ収入ニシテ土地家屋物件又ハ営業所ヲ設ケタル営業ヨリ生ズル収入ニ非ザルモノニ対シ町村税ヲ賦課スル場合、鉱区又ハ砂鉱区ガ町村ノ内外ニ渉ルトキ鉱区税又ハ砂鉱区税ノ附加税ヲ賦課セントスル場合及鉱区又ハ砂鉱区ガ営業所所在ノ町村ノ内外ニ渉ルトキ鉱産税ノ附加税ヲ賦課セントスル場合ニ付テハ市制町村制施行令第四十条乃至第四十二条及北海道一級町村制第十三条ノ規定ヲ準用ス
第百一条 所得税法第十八条ニ掲グル所得ニ対シテハ町村税ヲ賦課スルコトヲ得ズ
神社寺院祠宇仏堂ノ用ニ供スル建物及其ノ境内地並ニ教会所説教所ノ用ニ供スル建物及其ノ構内地ニ対シテハ町村税ヲ賦課スルコトヲ得ズ但シ有料ニテ之ヲ使用セシムル者及住宅ヲ以テ教会所説教所ノ用ニ充ツル者ニ対シテハ此ノ限ニ在ラズ
国北海道地方費市町村其ノ他公共団体ニ於テ公用ニ供スル家屋物件及営造物ニ対シテハ町村税ヲ賦課スルコトヲ得ズ但シ有料ニテ之ヲ使用セシムル者及使用収益者ニ対シテハ此ノ限ニ在ラズ
国ノ事業又ハ行為及国有ノ土地家屋物件ニ対シテハ国ニ町村税ヲ賦課スルコトヲ得ズ
前四項ノ外町村税ヲ賦課スルコトヲ得ザルモノハ別ニ法律勅令ノ定ムル所ニ依ル
第百二条 町村ハ公益上其ノ他ノ事由ニ因リ課税ヲ不適当トスル場合ニ於テハ内務大臣及大蔵大臣ノ定ムル所ニ依リ町村税ヲ課セザルコトヲ得
第百三条 数人ヲ利スル営造物ノ設置維持其ノ他ノ必要ナル費用ハ其ノ関係者ニ負担セシムルコトヲ得
町村ノ一部ヲ利スル営造物ノ設置維持其ノ他ノ必要ナル費用ハ其ノ部内ニ於テ町村税ヲ納ムル義務アル者ニ負担セシムルコトヲ得
前二項ノ場合ニ於テ営造物ヨリ生ズル収入アルトキハ先ヅ其ノ収入ヲ以テ其ノ費用ニ充ツベシ前項ノ場合ニ於テ其ノ一部ノ収入アルトキ亦同ジ
数人又ハ町村ノ一部ヲ利スル財産ニ付テハ前三項ノ例ニ依ル
第百四条 市制町村制施行令第四十三条乃至第五十八条ノ規定ハ町村税ノ賦課徴収ニ之ヲ準用ス
第百五条 数人又ハ町村ノ一部ニ対シ特ニ利益アル事件ニ関シテハ町村ハ不均一ノ賦課ヲ為シ又ハ数人若ハ町村ノ一部ニ対シ賦課ヲ為スコトヲ得
第百六条 夫役又ハ現品ハ直接町村税ヲ準率ト為シ直接町村税ヲ賦課セザル町村ニ於テハ直接国税ヲ準率ト為シ且之ヲ金額ニ算出シテ賦課スベシ但シ第百五十条ノ規定ニ依リ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
学芸美術及手工ニ関スル労務ニ付テハ夫役ヲ賦課スルコトヲ得ズ
夫役ヲ賦課セラレタル者ハ本人自ラ之ニ当リ又ハ適当ノ代人ヲ出スコトヲ得
夫役又ハ現品ハ金銭ヲ以テ之ニ代フルコトヲ得
第一項及前項ノ規定ハ急迫ノ場合ニ賦課スル夫役ニ付テハ之ヲ適用セズ
第百七条 非常災害ノ為必要アルトキハ町村ハ他人ノ土地ヲ一時使用シ又ハ其ノ土石竹木其ノ他ノ物品ヲ使用シ若ハ収用スルコトヲ得但シ其ノ損失ヲ補償スベシ
前項ノ場合ニ於テ危険防止ノ為必要アルトキハ町村長、警察官吏又ハ監督官庁ハ町村内ノ居住者ヲシテ防禦ニ従事セシムルコトヲ得
第一項但書ノ規定ニ依リ補償スベキ金額ハ協議ニ依リ之ヲ定ム協議調ハザルトキハ鑑定人ノ意見ヲ徴シ北海道庁長官之ヲ決定ス決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ内務大臣ニ訴願スルコトヲ得
前項ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ為シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ本人ニ交付スベシ
第一項ノ規定ニ依リ土地ノ一時使用ノ処分ヲ受ケタル者其ノ処分ニ不服アルトキハ北海道庁支庁長ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ北海道庁長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ内務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第百八条 町村税ノ賦課ニ関シ必要アル場合ニ於テハ当該吏員ハ日出ヨリ日没迄ノ間営業者ニ関シテハ仍其ノ営業時間内家宅若ハ営業所ニ臨検シ又ハ帳簿物件ノ検査ヲ為スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ当該吏員ハ其ノ身分ヲ証明スベキ証票ヲ携帯スベシ
第百九条 町村長ハ納税者中特別ノ事情アル者ニ対シ納税延期ヲ許スコトヲ得其ノ年度ヲ超ユル場合ハ町村会ノ議決ヲ経ベシ
町村ハ特別ノ事情アル者ニ限リ町村会ノ議決ヲ経テ町村税ヲ減免スルコトヲ得
第百十条 使用料、手数料及特別税ニ関スル事項ニ付テハ町村条例ヲ以テ之ヲ規定スベシ
詐偽其ノ他ノ不正ノ行為ニ依リ使用料ノ徴収ヲ免レ又ハ町村税ヲ逋脱シタル者ニ付テハ町村条例ヲ以テ其ノ徴収ヲ免レ又ハ逋脱シタル金額ノ三倍ニ相当スル金額(其ノ金額五円未満ナルトキハ五円)以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコトヲ得
前項ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料、手数料及町村税ノ賦課徴収ニ関シテハ町村条例ヲ以テ五円以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコトヲ得財産又ハ営造物ノ使用ニ関シ亦同ジ
過料ノ処分ヲ受ケタル者其ノ処分ニ不服アルトキハ北海道参事会ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ裁決ニ付テハ北海道庁長官又ハ町村長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第百十一条 町村税ノ賦課ヲ受ケタル者其ノ賦課ニ付違法又ハ錯誤アリト認ムルトキハ徴税令書ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ三月以内ニ町村長ニ異議ノ申立ヲ為スコトヲ得
財産又ハ営造物ヲ使用スル権利ニ関シ異議アル者ハ之ヲ町村長ニ申立ツルコトヲ得
前二項ノ異議ノ申立アリタルトキハ町村長ハ三月以内ニ之ヲ決定スベシ決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ北海道参事会ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項及前項ノ規定ハ使用料及手数料ノ徴収並ニ夫役現品ノ賦課ニ之ヲ準用ス
前二項ノ規定ニ依ル裁決ニ付テハ北海道庁長官又ハ町村長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第百十二条 町村税、使用料、手数料、過料、過怠金其ノ他ノ町村ノ収入ヲ定期内ニ納メザル者アルトキハ町村長ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スベシ
夫役現品ノ賦課ヲ受ケタル者定期内ニ其ノ履行ヲ為サズ又ハ夫役現品ニ代フル金銭ヲ納メザルトキハ町村長ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スベシ急迫ノ場合ニ賦課シタル夫役ニ付テハ更ニ之ヲ金額ニ算出シ期限ヲ指定シテ其ノ納付ヲ命ズベシ
前二項ノ場合ニ於テハ町村条例ノ定ムル所ニ依リ手数料ヲ徴収スルコトヲ得
滞納者第一項又ハ第二項ノ督促又ハ命令ヲ受ケ其ノ指定ノ期限内ニ之ヲ完納セザルトキハ国税滞納処分ノ例ニ依リ之ヲ処分スベシ
第一項乃至第三項ノ徴収金ハ北海道地方費ノ徴収金ニ次デ先取特権ヲ有シ其ノ追徴還付及時効ニ付テハ国税ノ例ニ依ル
前三項ノ処分ニ不服アル者ハ北海道参事会ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ裁決ニ付テハ北海道庁長官又ハ町村長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第四項ノ処分中差押物件ノ公売ハ処分ノ確定ニ至ル迄執行ヲ停止ス
第百十三条 町村ハ其ノ負債ヲ償還スル為、町村ノ永久ノ利益ト為ルベキ支出ヲ為ス為又ハ天災事変等ノ為必要アル場合ニ限リ町村会ノ議決ヲ経テ町村債ヲ起スコトヲ得
町村債ヲ起スニ付町村会ノ議決ヲ経ルトキハ併セテ起債ノ方法、利息ノ定率及償還ノ方法ニ付議決ヲ経ベシ
町村ハ予算内ノ支出ヲ為ス為町村会ノ議決ヲ経テ一時ノ借入金ヲ為スコトヲ得
前項ノ借入金ハ其ノ会計年度内ノ収入ヲ以テ償還スベシ
第二款 歳入出予算及決算
第百十四条 町村長ハ毎会計年度歳入出予算ヲ調製シ遅クトモ年度開始ノ一月前ニ町村会ノ議決ヲ経ベシ
町村ノ会計年度ハ政府ノ会計年度ニ依ル
予算ヲ町村会ニ提出スルトキハ町村長ハ併セテ事務報告書及財産表ヲ提出スベシ
第百十五条 町村長ハ町村会ノ議決ヲ経テ既定予算ノ追加又ハ更正ヲ為スコトヲ得
第百十六条 町村費ヲ以テ支弁スル事件ニシテ数年ヲ期シテ其ノ費用ヲ支出スベキモノハ町村会ノ議決ヲ経テ其ノ年期間各年度ノ支出額ヲ定メ継続費ト為スコトヲ得
第百十七条 町村ハ予算外ノ支出又ハ予算超過ノ支出ニ充ツル為予備費ヲ設クベシ
特別会計ニハ予備費ヲ設ケザルコトヲ得
予備費ハ町村会ノ否決シタル費途ニ充ツルコトヲ得ズ
第百十八条 予算ハ議決ヲ経タル後直ニ之ヲ北海道庁支庁長ニ報告シ且其ノ要領ヲ告示スベシ
第百十九条 町村ハ特別会計ヲ設クルコトヲ得
第百二十条 町村会ニ於テ予算ヲ議決シタルトキハ町村長ヨリ其ノ謄本ヲ収入役ニ交付スベシ
収入役ハ町村長又ハ監督官庁ノ命令アルニ非ザレバ支払ヲ為スコトヲ得ズ命令ヲ受クルモ支出ノ予算ナク且予備費支出、費目流用其ノ他財務ニ関スル規定ニ依リ支出ヲ為スコトヲ得ザルトキ亦同ジ
前二項ノ規定ハ収入役ノ事務ヲ兼掌シタル町村長又ハ書記ニ之ヲ準用ス
第百二十一条 町村ノ支払金ニ関スル時効ニ付テハ政府ノ支払金ノ例ニ依ル
第百二十二条 町村ノ出納ハ毎月例日ヲ定メテ之ヲ検査シ且毎会計年度少クトモ二回臨時検査ヲ為スベシ
検査ハ町村長之ヲ為シ臨時検査ニハ町村会ニ於テ選挙シタル議員二人以上ノ立会ヲ要ス
第百二十三条 町村ノ出納ハ翌年度五月三十一日ヲ以テ閉鎖ス
決算ハ出納閉鎖後一月以内ニ証書類ヲ併セテ収入役ヨリ之ヲ町村長ニ提出スベシ町村長ハ之ヲ審査シ意見ヲ付シテ次ノ通常予算ヲ議スル会議迄ニ之ヲ町村会ノ認定ニ付スベシ
第七十条第五項ノ場合ニ於テハ前項ノ例ニ依ル但シ町村長ニ於テ兼掌シタルトキハ直ニ町村会ノ認定ニ付スベシ
決算ハ認定ヲ経タル後直ニ其ノ認定ニ関スル町村会ノ議決ト共ニ之ヲ北海道庁支庁長ニ報告シ且其ノ要領ヲ告示スベシ
決算ノ認定ニ関スル会議ニ於テハ町村長及書記共ニ議長ノ職務ヲ行フコトヲ得ズ
第百二十四条 予算調製ノ式、費目流用其ノ他財務ニ関シ必要ナル規定ハ内務大臣之ヲ定ム
第六章 町村ノ一部ノ事務
第百二十五条 町村ノ一部ニシテ財産ヲ有シ又ハ営造物ヲ設ケタルモノアルトキハ其ノ財産又ハ営造物ノ管理及処分ニ付テハ本令中町村ノ財産又ハ営造物ニ関スル規定ニ依ル但シ法律勅令中別段ノ規定アル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ財産又ハ営造物ニ関シ特ニ要スル費用ハ其ノ財産又ハ営造物ノ属スル町村ノ一部ノ負担トス
前二項ノ場合ニ於テハ町村ノ一部ハ其ノ会計ヲ分別スベシ
第百二十六条 前条ノ財産又ハ営造物ニ関シ必要アリト認ムルトキハ北海道庁支庁長ハ町村会ノ意見ヲ徴シテ町村条例ヲ設定シ区会又ハ区総会ヲ設ケテ町村会ノ議決スベキ事項ヲ議決セシムルコトヲ得
第百二十七条 区会議員ハ町村ノ名誉職トス其ノ定数、任期、選挙権及被選挙権ニ関スル事項ハ前条ノ町村条例中ニ之ヲ規定スベシ区総会ノ組織ニ関スル事項ニ付亦同ジ
区会議員ノ選挙ニ付テハ町村会議員ニ関スル規定ヲ準用ス但シ被選挙権ノ有無ノ決定ハ町村会ニ於テ之ヲ為スベシ
区会又ハ区総会ニ関シテハ町村会ニ関スル規定ヲ準用ス
第百二十八条 第百二十五条ノ場合ニ於テ町村ノ一部北海道庁支庁長ノ処分ニ不服アルトキハ北海道庁長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ内務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第百二十九条 第百二十五条ノ町村ノ一部ノ事務ニ関シテハ本令ニ規定スルモノノ外北海道庁長官之ヲ定ム
第七章 町村組合
第百三十条 町村ハ其ノ事務ノ一部ヲ共同処理スル為其ノ協議ニ依リ北海道庁長官ノ許可ヲ得テ町村組合ヲ設クルコトヲ得此ノ場合ニ於テ組合内各町村ノ町村会又ハ町村吏員ノ職務ニ属スル事項ナキニ至リタルトキハ其ノ町村会又ハ町村吏員ハ組合成立ト同時ニ消滅ス
町村ハ特別ノ必要アル場合ニ於テハ其ノ協議ニ依リ北海道庁長官ノ許可ヲ得テ其ノ事務ノ全部ヲ共同処理スル為町村組合ヲ設クルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ組合内各町村ノ町村会及町村吏員ハ組合成立ト同時ニ消滅ス
公益上必要アル場合ニ於テハ北海道庁長官ハ関係アル町村会ノ意見ヲ徴シ北海道参事会ノ議決ヲ経テ前二項ノ町村組合ヲ設クルコトヲ得
町村組合ハ法人トス
第百三十一条 前条第一項ノ町村組合ニシテ其ノ組合町村ノ数ヲ増減シ又ハ共同事務ノ変更ヲ為サントスルトキハ関係町村ノ協議ニ依リ北海道庁長官ノ許可ヲ受クベシ
前条第二項ノ町村組合ニシテ其ノ組合町村ノ数ヲ減少セントスルトキハ組合会ノ議決ニ依リ、其ノ組合町村ノ数ヲ増加セントスルトキハ其ノ町村組合ト新ニ加ハラントスル町村トノ協議ニ依リ北海道庁長官ノ許可ヲ受クベシ
公益上必要アル場合ニ於テハ北海道庁長官ハ関係アル町村会又ハ組合会ノ意見ヲ徴シ北海道参事会ノ議決ヲ経テ組合町村ノ数ヲ増減シ又ハ一部事務ノ為設クル組合ノ共同事務ノ変更ヲ為スコトヲ得
第百三十二条 町村組合ヲ設クルトキハ関係町村ノ協議ニ依リ組合規約ヲ定メ北海道庁長官ノ許可ヲ受クベシ
組合規約ヲ変更セントスルトキハ一部事務ノ為ニ設クル組合ニ在リテハ関係町村ノ協議ニ依リ、全部事務ノ為ニ設クル組合ニ在リテハ組合会ノ議決ヲ経テ北海道庁長官ノ許可ヲ受クベシ
公益上必要アル場合ニ於テハ北海道庁長官ハ関係アル町村会又ハ組合会ノ意見ヲ徴シ北海道参事会ノ議決ヲ経テ組合規約ヲ定メ又ハ変更スルコトヲ得
第百三十三条 組合規約ニハ組合ノ名称、組合ヲ組織スル町村、組合ノ共同事務及組合役場ノ位置ヲ定ムベシ
一部事務ノ為ニ設クル組合ノ組合規約ニハ前項ノ外組合会ノ組織及組合会議員ノ選挙、組合吏員ノ組織及選任並ニ組合費用ノ支弁方法ニ付規定ヲ設クベシ
第百三十四条 町村組合ヲ解カントスルトキハ一部事務ノ為ニ設クル組合ニ於テハ関係町村ノ協議ニ依リ、全部事務ノ為ニ設クル組合ニ於テハ組合会ノ議決ニ依リ北海道庁長官ノ許可ヲ受クベシ
公益上必要アル場合ニ於テハ北海道庁長官ハ関係アル町村会又ハ組合会ノ意見ヲ徴シ北海道参事会ノ議決ヲ経テ町村組合ヲ解クコトヲ得
第百三十五条 第百三十一条第一項第二項及前条第一項ノ場合ニ於テ財産ノ処分ニ関スル事項ハ関係町村ノ協議、関係町村ト組合トノ協議又ハ組合会ノ議決ニ依リ之ヲ定ム
第百三十一条第三項及前条第二項ノ場合ニ於テ財産ノ処分ニ関スル事項ハ関係アル町村会又ハ組合会ノ意見ヲ徴シ北海道参事会ノ議決ヲ経テ北海道庁長官之ヲ定ム
第百三十六条 第百三十条第一項第二項、第百三十一条第一項第二項、第百三十二条第一項第二項、第百三十四条第一項及前条第二項ノ規定ニ依ル北海道庁長官ノ処分ニ不服アル町村又ハ町村組合ハ内務大臣ニ訴願スルコトヲ得
組合費ノ分賦ニ関シ違法又ハ錯誤アリト認ムル町村ハ其ノ告知アリタル日ヨリ三月以内ニ組合ノ管理者ニ異議ノ申立ヲ為スコトヲ得
前項ノ異議ノ申立アリタルトキハ組合ノ管理者ハ三月以内ニ之ヲ決定スベシ其ノ決定ニ不服アル町村ハ北海道参事会ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ裁決ニ付テハ北海道庁長官又ハ組合ノ管理者ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第百三十七条 第百三十条第一項第二項、第百三十一条第一項第二項、第百三十二条第一項第二項、第百三十四条第一項、第百三十五条第一項及前条第二項ノ場合ニ於テハ町村会ノ議決ヲ経ルコトヲ要ス
第百三十八条 町村組合ニ関シテハ法律勅令中別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外町村ニ関スル規定ヲ準用ス
第八章 町村ノ監督
第百三十九条 町村ハ第一次ニ於テ北海道庁支庁長、第二次ニ於テ北海道庁長官、第三次ニ於テ内務大臣之ヲ監督ス
第百四十条 本令中別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外町村ノ監督ニ関スル北海道庁支庁長ノ処分ニ不服アル町村ハ北海道庁長官ニ訴願シ其ノ裁決又ハ北海道庁長官ノ処分ニ不服アル町村ハ内務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第百四十一条 本令中行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得ベキ場合ニ於テハ内務大臣ニ訴願スルコトヲ得ズ
第百四十二条 異議ノ申立又ハ訴願ノ提起ハ処分、決定又ハ裁決アリタル日ヨリ二十一日以内ニ之ヲ為スベシ但シ本令中別ニ期間ヲ定メタルモノハ此ノ限ニ在ラズ
行政訴訟ノ提起ハ処分、決定、裁定又ハ裁決アリタル日ヨリ三十日以内ニ之ヲ為スベシ
決定書又ハ裁決書ノ交付ヲ受ケザル者ニ関シテハ前二項ノ期間ハ告示ノ日ヨリ之ヲ起算ス
異議ノ申立ニ関スル期間ノ計算ニ付テハ訴願法ノ規定ニ依ル
異議ノ申立ハ期限経過後ニ於テモ宥恕スベキ事由アリト認ムルトキハ仍之ヲ受理スルコトヲ得
異議ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ為シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ申立人ニ交付スベシ
異議ノ申立アルモ処分ノ執行ハ之ヲ停止セズ但シ行政庁ハ其ノ職権ニ依リ又ハ関係者ノ請求ニ依リ必要ト認ムルトキハ之ヲ停止スルコトヲ得
第百四十三条 北海道参事会訴願ヲ受理シタルトキハ其ノ日ヨリ三月以内ニ之ヲ裁決スベシ
第百四十四条 監督官庁ハ町村ノ監督上必要アル場合ニ於テハ事務ノ報告ヲ為サシメ、書類帳簿ヲ徴シ及実地ニ就キ事務ヲ視察シ又ハ出納ヲ検閲スルコトヲ得
監督官庁ハ町村ノ監督上必要ナル命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得
上級監督官庁ハ下級監督官庁ノ町村ノ監督ニ関シテ為シタル命令又ハ処分ヲ停止シ又ハ取消スコトヲ得
第百四十五条 内務大臣ハ町村会ノ解散ヲ命ズルコトヲ得
町村会解散ノ場合ニ於テハ三月以内ニ議員ヲ選挙スベシ
第百四十六条 町村ニ於テ法令ニ依リ負担シ又ハ当該官庁ノ職権ニ依リ命ズル費用ヲ予算ニ載セザルトキハ北海道庁支庁長ハ理由ヲ示シテ其ノ費用ヲ予算ニ加フルコトヲ得
町村長其ノ他ノ吏員其ノ執行スベキ事件ヲ執行セザルトキハ北海道庁支庁長又ハ其ノ委任ヲ受ケタル官吏吏員之ヲ執行スルコトヲ得但シ其ノ費用ハ町村ノ負担トス
前二項ノ処分ニ不服アル町村又ハ町村長其ノ他ノ吏員ハ北海道庁長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百四十七条 町村長又ハ収入役ニ故障アルトキハ監督官庁ハ臨時代理者ヲ選任シ又ハ官吏ヲ派遣シ其ノ職務ヲ管掌セシムルコトヲ得但シ官吏ヲ派遣シタル場合ニ於テハ其ノ旅費ハ町村費ヲ以テ弁償セシムベシ
臨時代理者ハ有給ノ町村吏員トシ其ノ給料額旅費額等ハ監督官庁之ヲ定ム
第百四十八条 町村条例ヲ設ケ又ハ改正セントスルトキハ内務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第百四十九条 左ニ掲グル事件ハ内務大臣及大蔵大臣ノ許可ヲ受クベシ
一 町村債ヲ起シ並ニ起債ノ方法、利息ノ定率及償還ノ方法ヲ定メ又ハ之ヲ変更スルコト但シ第百十三条第三項ノ借入金ハ此ノ限ニ在ラズ
二 特別税ヲ新設シ増額シ又ハ変更スルコト
三 間接国税ノ附加税ヲ賦課スルコト
四 使用料ヲ新設シ増額シ又ハ変更スルコト
第百五十条 左ニ掲グル事件ハ北海道庁支庁長ノ許可ヲ受クベシ
一 町村条例ヲ廃止スルコト
二 基本財産及特別基本財産並ニ林野ノ処分ニ関スルコト
三 寄附又ハ補助ヲ為スコト
四 手数料ヲ新設シ増額シ又ハ変更スルコト
五 均一ノ税率ニ依ラズシテ国税又ハ北海道地方税ノ附加税ヲ賦課スルコト
六 第百三条第一項第二項及第四項ノ規定ニ依リ数人又ハ町村ノ一部ニ費用ヲ負担セシムルコト
七 第百五条ノ規定ニ依リ不均一ノ賦課ヲ為シ又ハ数人若ハ町村ノ一部ニ対シ賦課ヲ為スコト
八 第百六条ノ準率ニ依ラズシテ夫役現品ヲ賦課スルコト但シ急迫ノ場合ニ賦課スル夫役ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
九 継続費ヲ定メ又ハ変更スルコト
第百五十一条 監督官庁ノ許可ヲ要スル事件ニ付テハ監督官庁ハ許可申請ノ趣旨ニ反セズト認ムル範囲内ニ於テ更正シテ許可ヲ与フルコトヲ得
第百五十二条 監督官庁ノ許可ヲ要スル事件ニ付テハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ其ノ許可ノ職権ヲ下級監督官庁ニ委任シ又ハ軽易ナル事件ニ限リ許可ヲ受ケシメザルコトヲ得
第百五十三条 北海道庁長官又ハ北海道庁支庁長ハ町村長、収入役、区長、区長代理者、委員其ノ他ノ町村吏員ニ対シ懲戒ヲ行フコトヲ得其ノ懲戒処分ハ譴責、二十五円以下ノ過怠金及解職トス但シ町村長及収入役ニ対スル解職ハ懲戒審査会ノ議決ヲ経テ北海道庁長官之ヲ行フ
懲戒審査会ハ内務大臣ノ命ジタル北海道庁高等官三人及北海道名誉職参事会員ニ於テ互選シタル者三人ヲ以テ其ノ会員トシ北海道庁長官ヲ以テ会長トス北海道庁長官故障アルトキハ其ノ代理者会長ノ職務ヲ行フ
北海道名誉職参事会員ノ互選スベキ会員ノ選挙、補闕及任期並ニ懲戒審査会ノ招集及会議ニ付テハ北海道会法中名誉職参事会員及北海道参事会ニ関スル規定ヲ準用ス但シ補充員ハ之ヲ設クルノ限ニ在ラズ
解職ノ処分ヲ受ケタル者其ノ処分ニ不服アルトキハ北海道庁支庁長ノ処分ニ付テハ北海道庁長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキ又ハ北海道庁長官ノ処分ニ付テハ内務大臣ニ訴願スルコトヲ得
北海道庁長官ハ町村長及収入役ノ解職ヲ行ハントスル前其ノ停職ヲ命ズルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ停職期間給料ヲ支給スルコトヲ得ズ
懲戒ニ依リ解職セラレタル者ハ二年間市町村ノ公職ニ就クコトヲ得ズ
第百五十四条 町村吏員ノ賠償責任及身元保証ニ関シテハ市制町村制施行令第三十三条乃至第三十八条ノ規定ヲ準用ス但シ第三十三条乃至第三十五条及第三十八条ノ場合ニ於テハ町村会ノ議決ヲ経ルコトヲ要ス
町村吏員ノ服務紀律及事務引継ニ関スル規定ハ内務大臣之ヲ定ム
第九章 雑則
第百五十五条 北海道庁支庁長ノ職権ニ属スル事件ニシテ数支庁ニ渉ルモノアルトキハ北海道庁長官ハ関係北海道庁支庁長ノ具状ニ依リ其ノ事件ヲ管理スベキ北海道庁支庁長ヲ指定スベシ
第百五十六条 初メテ二級町村ト為ス地ハ内務大臣之ヲ指定ス
第百五十七条 第十一条ノ人口ハ内務大臣ノ定ムル所ニ依ル
第百五十八条 本令ニ於ケル直接税及間接税ノ種類ハ内務大臣及大蔵大臣之ヲ定ム
第百五十九条 町村又ハ町村組合ノ廃置分合又ハ境界変更アリタル場合ニ於ケル町村ノ事務ニ付テハ本令ニ規定スルモノノ外市制町村制施行令第一条乃至第四条及第七十三条ノ規定ヲ準用ス
第百六十条 本令中官吏ニ関スル規定ハ待遇官吏ニモ之ヲ適用ス
附 則
本令中公民権及議員選挙ニ関スル規定ハ次ノ総選挙ヨリ之ヲ施行シ其ノ他ノ規定ハ昭和二年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令ノ適用ニ付テハ明治十三年第三十六号布告刑法ノ重罪ノ刑ニ処セラレタル者ハ之ヲ六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者、同法ノ禁錮ノ刑ニ処セラレタル者ハ之ヲ六年未満ノ懲役又ハ禁錮ノ刑ニ処セラレタルモノト看做ス
本令施行ノ際必要ナル規定ハ内務大臣之ヲ定ム