日本銀行特別融通及損失補償法
法令番号: 法律第五十五號
公布年月日: 昭和2年5月9日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル日本銀行特別融通及損失補償法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二年五月九日
內閣總理大臣 男爵 田中義一
大藏大臣 高橋是淸
法律第五十五號
日本銀行特別融通及損失補償法
第一條 日本銀行ハ現ニ預金ノ拂戾停止中ニ非ザル銀行ヨリ其ノ預金(定期積金ヲ含ム)ノ支拂準備ニ充ツル爲資金融通ノ請求アリタル場合ニ於テ財界ノ安定ヲ圖ル爲必要アリト認ムルトキハ之ニ對シ手形割引ノ方法ニ依リ大藏大臣ノ定ムル特別融通ヲ爲スコトヲ得
現ニ預金ノ拂戾停止中ノ銀行ニシテ將來營業繼續ノ見込アルモノニ付テハ前項ノ規定ヲ適用ス
日本銀行ガ前二項ノ特別融通ヲ爲スニ付テハ特別融通審查會ノ議ヲ經ルコトヲ要ス
特別融通審查會ノ組織及權限ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二條 日本銀行ガ前條ノ特別融通ノ爲ニスル手形割引ヲ爲スコトヲ得ル期間ハ本法施行ノ日ヨリ一年トス
第三條 第一條ノ特別融通ノ爲ニスル手形ノ書換ノ爲ニ振出シタル手形ノ割引ニ依ル特別融通ノ期限ハ本法施行ノ日ヨリ十年ヲ超ユルコトヲ得ズ
第四條 政府ハ本法ニ依ル特別融通ニ因リテ日本銀行ガ損失ヲ受ケタルトキハ同行ニ對シ五億圓ヲ限リ其ノ損失ヲ補償スルノ契約ヲ爲スコトヲ得
前項ノ損失ヲ決定スル基準ハ大藏大臣之ヲ定ム
第五條 本法ニ依ル特別融通ニ因リテ日本銀行ノ受ケタル損失及其ノ額ハ特別融通損失審查會之ヲ決定ス
特別融通損失審查會ノ組織及權限ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六條 第四條第一項ノ契約ニ基キ政府ガ日本銀行ニ對シテ支拂フベキ損失補償金ハ五分利附國債證券ヲ以テ之ヲ交付スルコトヲ得
第七條 政府ハ前條ノ規定ニ依リ交付スル爲必要ナル額ヲ限度トシ公債ヲ發行スルコトヲ得
第八條 本法ニ依リ交付スル國債證券ノ交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大臣之ヲ定ム
附 則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
昭和二年四月二十二日ヨリ本法施行ノ日ノ前日迄ニ日本銀行ノ爲シタル手形割引ニ依ル融通ニシテ第一條ノ特別融通ニ相當スルモノハ之ヲ第一條ノ特別融通ト看做ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル日本銀行特別融通及損失補償法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二年五月九日
内閣総理大臣 男爵 田中義一
大蔵大臣 高橋是清
法律第五十五号
日本銀行特別融通及損失補償法
第一条 日本銀行ハ現ニ預金ノ払戻停止中ニ非ザル銀行ヨリ其ノ預金(定期積金ヲ含ム)ノ支払準備ニ充ツル為資金融通ノ請求アリタル場合ニ於テ財界ノ安定ヲ図ル為必要アリト認ムルトキハ之ニ対シ手形割引ノ方法ニ依リ大蔵大臣ノ定ムル特別融通ヲ為スコトヲ得
現ニ預金ノ払戻停止中ノ銀行ニシテ将来営業継続ノ見込アルモノニ付テハ前項ノ規定ヲ適用ス
日本銀行ガ前二項ノ特別融通ヲ為スニ付テハ特別融通審査会ノ議ヲ経ルコトヲ要ス
特別融通審査会ノ組織及権限ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二条 日本銀行ガ前条ノ特別融通ノ為ニスル手形割引ヲ為スコトヲ得ル期間ハ本法施行ノ日ヨリ一年トス
第三条 第一条ノ特別融通ノ為ニスル手形ノ書換ノ為ニ振出シタル手形ノ割引ニ依ル特別融通ノ期限ハ本法施行ノ日ヨリ十年ヲ超ユルコトヲ得ズ
第四条 政府ハ本法ニ依ル特別融通ニ因リテ日本銀行ガ損失ヲ受ケタルトキハ同行ニ対シ五億円ヲ限リ其ノ損失ヲ補償スルノ契約ヲ為スコトヲ得
前項ノ損失ヲ決定スル基準ハ大蔵大臣之ヲ定ム
第五条 本法ニ依ル特別融通ニ因リテ日本銀行ノ受ケタル損失及其ノ額ハ特別融通損失審査会之ヲ決定ス
特別融通損失審査会ノ組織及権限ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六条 第四条第一項ノ契約ニ基キ政府ガ日本銀行ニ対シテ支払フベキ損失補償金ハ五分利附国債証券ヲ以テ之ヲ交付スルコトヲ得
第七条 政府ハ前条ノ規定ニ依リ交付スル為必要ナル額ヲ限度トシ公債ヲ発行スルコトヲ得
第八条 本法ニ依リ交付スル国債証券ノ交付価格ハ時価ヲ参酌シテ大蔵大臣之ヲ定ム
附 則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
昭和二年四月二十二日ヨリ本法施行ノ日ノ前日迄ニ日本銀行ノ為シタル手形割引ニ依ル融通ニシテ第一条ノ特別融通ニ相当スルモノハ之ヲ第一条ノ特別融通ト看做ス