第一條 日本銀行ハ現ニ預金ノ拂戾停止中ニ非ザル銀行ヨリ其ノ預金(定期積金ヲ含ム)ノ支拂準備ニ充ツル爲資金融通ノ請求アリタル場合ニ於テ財界ノ安定ヲ圖ル爲必要アリト認ムルトキハ之ニ對シ手形割引ノ方法ニ依リ大藏大臣ノ定ムル特別融通ヲ爲スコトヲ得
現ニ預金ノ拂戾停止中ノ銀行ニシテ將來營業繼續ノ見込アルモノニ付テハ前項ノ規定ヲ適用ス
日本銀行ガ前二項ノ特別融通ヲ爲スニ付テハ特別融通審查會ノ議ヲ經ルコトヲ要ス
第二條 日本銀行ガ前條ノ特別融通ノ爲ニスル手形割引ヲ爲スコトヲ得ル期間ハ本法施行ノ日ヨリ一年トス
第三條 第一條ノ特別融通ノ爲ニスル手形ノ書換ノ爲ニ振出シタル手形ノ割引ニ依ル特別融通ノ期限ハ本法施行ノ日ヨリ十年ヲ超ユルコトヲ得ズ
第四條 政府ハ本法ニ依ル特別融通ニ因リテ日本銀行ガ損失ヲ受ケタルトキハ同行ニ對シ五億圓ヲ限リ其ノ損失ヲ補償スルノ契約ヲ爲スコトヲ得
第五條 本法ニ依ル特別融通ニ因リテ日本銀行ノ受ケタル損失及其ノ額ハ特別融通損失審查會之ヲ決定ス
特別融通損失審查會ノ組織及權限ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六條 第四條第一項ノ契約ニ基キ政府ガ日本銀行ニ對シテ支拂フベキ損失補償金ハ五分利附國債證券ヲ以テ之ヲ交付スルコトヲ得
第七條 政府ハ前條ノ規定ニ依リ交付スル爲必要ナル額ヲ限度トシ公債ヲ發行スルコトヲ得
第八條 本法ニ依リ交付スル國債證券ノ交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大臣之ヲ定ム