第一條 日本無線電信株式會社ハ外國無線電報ノ取扱ノ爲ニスル無線電信ノ設備及其ノ附屬設備ヲ爲シ之ヲ政府ノ用ニ供スルコトヲ目的トスル株式會社トス
第二條 日本無線電信株式會社ハ前條ニ定ムルモノノ外主務大臣ノ命令ニ依リ又ハ其ノ認可ヲ受ケ左ノ事業ヲ營ムコトヲ得
二 外國ニ於ケル無線電信又ハ無線電話ノ設備ノ貸付及工事ノ請負
第三條 日本無線電信株式會社ノ資本金ハ二千萬圓トス但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ增加スルコトヲ得
第四條 日本無線電信株式會社ノ存立期間ハ設立登記ノ日ヨリ五十年トス但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ延長スルコトヲ得
第五條 日本無線電信株式會社ノ株式ハ記名式トシ政府、公共團體、帝國臣民又ハ帝國法令ニ依リテ設立シタル法人ニシテ其ノ議決權ノ過半數カ外國人又ハ外國法人ニ屬セサルモノニ限リ之ヲ所有スルコトヲ得
第六條 政府ハ外國無線電報ノ取扱ノ爲ニスル國有ノ無線電信局設備及其ノ附屬設備竝無線電信局設置ノ爲購入シタル土地ヲ以テ出資ノ目的ト爲スコトヲ得
第七條 第一條ニ揭クル設備ニ依リテ取扱ハルヘキ電報ノ受付、配達及機械上ノ送受信ノ事務ハ政府之ヲ行フ
第八條 政府ハ日本無線電信株式會社ノ設備ヲ使用シ之ニ依リテ取扱ヒタル電報ノ料金中本邦收得分ニ當ルモノノ一部ヲ勅令ノ定ムル所ニ依リ該設備使用ニ對シ日本無線電信株式會社ニ交付ス
第九條 每營業期ニ於テ配當シ得ヘキ利益金額カ拂込資本金額ニ對シ一年百分ノ十二ノ割合ヲ超過スルトキハ日本無線電信株式會社ハ該超過額ノ二分ノ一ヲ政府ニ納付スヘシ
第十條 日本無線電信株式會社ハ其ノ創立初期ヨリ十年間政府持株ニ對シ利益配當ヲ爲スコトヲ要セス
每營業期ニ於テ配當シ得ヘキ利益金額カ政府持株以外ノ株式ノ拂込資本金額ニ對シ一年百分ノ八ノ割合ヲ超過スルトキハ該超過額ニ付テハ前項ノ規定ニ拘ラス政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ持株ニ對シ利益配當ヲ爲サシムルコトヲ得但シ創立初期ヨリノ配當シ得ヘキ利益金額ヲ通算シ政府持株以外ノ株式ノ拂込資本金額ニ對シ一年百分ノ八ノ割合ニ達セサルトキハ此ノ限ニ在ラス
前項但書ニ規定スル利益金額中政府持株ニ對シ配當シタル金額アルトキハ之ヲ控除シテ計算ス
第十一條 政府ハ日本無線電信株式會社ノ業務ヲ監督ス
第十二條 主務大臣ハ日本無線電信株式會社ノ業務ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ爲シ又ハ外國無線電報ノ取扱上必要ナル無線電信ノ設備若ハ其ノ附屬設備ヲ爲スヘキコトヲ命スルコトヲ得
日本無線電信株式會社カ前項ノ規定ニ依リテ主務大臣ノ命シタル設備ヲ爲スコトヲ怠リタルトキハ第八條ノ規定ニ依ル交付金ノ一部ヲ交付セサルコトヲ得
第十三條 取締役及監査役ノ選任及解任、定款ノ變更、利益金ノ處分、社債ノ募集、合併竝解散ノ決議ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非サレハ其ノ效力ヲ生セス
主務大臣ハ取締役カ法令、定款又ハ主務大臣ノ命令ニ違反シタルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
第十四條 日本無線電信株式會社ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非サレハ其ノ所有スル無線電信ノ設備又ハ其ノ附屬設備ニ屬スル物件ヲ讓渡シ又ハ擔保ニ供スルコトヲ得ス
第十五條 政府カ勅令ノ定ムル所ニ依リ相當ノ價格ヲ以テ日本無線電信株式會社ノ所有スル無線電信ノ設備及其ノ附屬設備ノ全部又ハ一部ヲ買收セムトスルトキハ會社ハ之ヲ拒ムコトヲ得ス
第十六條 日本無線電信株式會社左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ取締役又ハ其ノ職務ヲ行フ監査役ヲ百圓以上千圓以下ノ過料ニ處ス
一 主務大臣ノ命令ニ依リ又ハ其ノ認可ヲ受ケタルニ非スシテ第二條ニ揭クル事業ヲ營ミタルトキ
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ之ヲ準用ス