中央卸売市場法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第123号
公布年月日: 昭和33年5月1日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

生鮮食料品の流通改善は農畜水産業の経営改善と消費者利益の増進に重要である。現在、15都市に中央卸売市場が開設され、青果物・魚介類の全国販売量の約3分の1を扱うが、施設の整備拡充や卸売人の信用状態、取引方法の改善が必要である。特に卸売人間の過度な競争による弊害を防止し、取引方法を適正化するとともに、卸売人の財務健全性を確保する必要がある。そのため、中央卸売市場の名称使用制限、取引方法の制限、卸売人の純資産額に関する規定を整備する法改正を行うものである。

参照した発言:
第28回国会 参議院 農林水産委員会 第18号

審議経過

第28回国会

参議院
(昭和33年3月18日)
(昭和33年3月20日)
(昭和33年3月27日)
(昭和33年4月3日)
(昭和33年4月4日)
衆議院
(昭和33年4月8日)
参議院
(昭和33年4月8日)
(昭和33年4月9日)
衆議院
(昭和33年4月11日)
参議院
(昭和33年4月11日)
衆議院
(昭和33年4月12日)
(昭和33年4月15日)
(昭和33年4月25日)
中央卸売市場法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十三年五月一日
内閣総理大臣 岸信介
法律第百二十三号
中央卸売市場法の一部を改正する法律
中央卸売市場法(大正十二年法律第三十二号)の一部を次のように改正する。
第一条の次に次の一条を加える。
第一条ノ二 前条第一項ニ掲グル物品ノ全部又ハ一部ノ卸売ヲ為ス為開設セラルル市場ニシテ中央卸売市場ニ非ザルモノハ其ノ名称中ニ中央卸売市場ナル文字ヲ用フルコトヲ得ズ
第三条第二項中「最高限度」の下に「又ハ卸売ノ業務ニ係ル取引方法ニ関スル制限」を加える。
第十条ノ四第一号中「第一号又ハ第二号」を削り、同条第二号を次のように改める。
二 許可ヲ受ケムトスル者ノ純資産額当該中央卸売市場ノ業務ノ規模、卸売ノ業務ヲ為ス者ノ数ノ最高限度其ノ他ノ事情ヲ参酌シテ農林大臣ノ定ムル額ヲ下ル額ナルトキ
第十条ノ四に次の一項を加える。
前項第二号ノ純資産額ハ資産ノ合計金額ヨリ負債ノ合計金額ヲ控除シテ得タル額トシ命令ノ定ムル所ニ依リ計算スルモノトス
第十条ノ六第二項第三号を削る。
第十条ノ七中「前条第二項」を「第十条ノ六第二項又ハ前条第一項若ハ第三項」に改め、同条を第十条ノ八とし、同条の次に次の一条を加える。
第十条ノ九 第十条ノ許可ヲ受ケタル者ハ毎年二回命令ヲ以テ定ムル期日迄ニ農林大臣ニ対シ其ノ純資産額ヲ報告スベシ
第十条ノ六の次に次の一条を加える。
第十条ノ七 農林大臣ハ第十条ノ許可ヲ受ケタル者ノ純資産額(第十条ノ四第一項第二号ノ純資産額ヲ謂フ以下同ジ)同号ノ農林大臣ノ定ムル額ヲ下ル額トナルニ至リタルトキハ其ノ許可ヲ受ケタル者ノ卸売ノ業務ヲ停止スルコトヲ得
農林大臣ハ前項ノ規定ニ依ル処分ヲ為シタル場合ニ於テ其ノ処分ヲ為シタル日ヨリ起算シ六月内ニ其ノ処分ヲ受ケタル者ヨリ其ノ純資産額第十条ノ四第一項第二号ノ農林大臣ノ定ムル額以上ノ額トナルニ至リタル旨ノ申出アリ且農林大臣ニ於テ之ヲ相当ト認ムルトキハ遅滞ナク其ノ処分ヲ取消スベシ
農林大臣ハ第一項ノ規定ニ依ル処分ヲ為シタル場合ニ於テ其ノ処分ヲ受ケタル者ヨリ前項ノ期間内ニ同項ノ申出ナク又ハ当該期間内ニ当該申出アルモ農林大臣ニ於テ之ヲ相当ト認ムルコト能ハザルトキ(当該期間内ニ二以上ノ申出アリタルトキハ其ノ申出ノスベテニ付農林大臣ニ於テ相当ト認ムルコト能ハザルトキ)ハ当該期間経過後遅滞ナク其ノ者ニ係ル第十条ノ許可ヲ取消スベシ
第十八条第二項及び第二十三条第三項中「第十条ノ七」を「第十条ノ八」に改める。
第二十五条第二号中「第十七条第二項」を「第十条ノ九又ハ第十七条第二項」に改める。
第二十七条の次に次の一条を加える。
第二十八条 第一条ノ二ノ規定ニ違反シタル者ハ一万円以下ノ過料ニ処ス
附 則
1 この法律は、公布の日から起算して六十日を経過した日から施行する。
2 改正後の第一条ノ二の規定は、第一条第一項に掲げる物品の全部又は一部の卸売をするため開設された市場で中央卸売市場でないもののうちこの法律の施行の際現にその名称中に中央卸売市場という文字を用いているものについては、この法律の施行後六月間は、適用しない。
3 この法律の施行の際現に第十条の許可を受けている者(以下「従前の卸売業者」という。)は、この法律の施行の日現在により、その純資産額(改正後の第十条ノ四第一項第二号の純資産額をいう。以下同じ。)を同条第二項の例により計算し、この法律の施行の日から起算して三十日以内に、これを農林大臣に報告しなければならない。
4 前項の規定により純資産額を計算した結果その額が改正後の第十条ノ四第一項第二号の農林大臣の定める額を下る従前の卸売業者は、農林省令で定めるところにより、その純資産額をこの法律の施行の日から起算して二年を経過する日までに同号の農林大臣の定める額以上の額に増加することを計画目標とする純資産額増加計画を作成し、これを農林大臣に提出することができる。ただし、前項に規定する期間を経過した日から起算して六十日を経過したときは、この限りでない。
5 前項の純資産額増加計画は、同項の計画目標を変更しない範囲内で変更することができる。この場合には、その変更に係る部分を農林大臣に届け出なければならない。
6 改正後の第十条ノ七第一項の規定は、附則第四項に規定する従前の卸売業者で同項の規定により純資産額増加計画を提出したものについてはこの法律の施行の日から起算して二年を経過する日まで、同項に規定する従前の卸売業者で同項の純資産額増加計画を提出しないものについてはこの法律の施行の日から起算して九十日を経過する日まで、その他の従前の卸売業者についてはこの法律の施行の日から起算して三十日を経過する日までは、適用しない。
7 農林大臣は、附則第四項の規定により純資産額増加計画を提出した従前の卸売業者が当該純資産額増加計画に係る同項の計画目標を達成することができないと認めるときは、当該従前の卸売業者に対し卸売の業務の停止を命ずることができる。この場合には、改正後の第十条ノ八の規定を準用する。
8 前項の規定による処分があつた場合には、その処分があつた時に改正後の第十条ノ七第一項の規定による処分があつたものとみなし、同条第二項及び第三項の規定を適用する。
9 附則第三項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、五万円以下の罰金に処する。
10 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の刑を科する。
農林大臣 赤城宗徳
内閣総理大臣 岸信介