朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル道路法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正八年四月十日
內閣總理大臣 原敬
內務大臣 床次竹二郞
法律第五十八號
道路法
第一章 總則
第一條 本法ニ於テ道路ト稱スルハ一般交通ノ用ニ供スル道路ニシテ行政廳ニ於テ第二章ニ依ル認定ヲ爲シタルモノヲ謂フ
第二條 左ニ揭クルモノハ道路ノ附屬物トシ道路ニ關スル本法ノ規定ニ從フ但シ命令ヲ以テ特別ノ定ヲ爲スコトヲ得
一 道路ヲ接續スル橋梁及渡船場
二 道路ニ附屬スル溝、竝木、支壁、柵、道路元標、里程標及道路標識
三 道路ニ接スル道路修理用材料ノ常置場
四 前各號ノ外命令ヲ以テ道路ノ附屬物ト定メタルモノ
第三條 本法ニ於テ橋梁又ハ渡船場ト稱スルハ前條第一號ノ橋梁又ハ渡船場ヲ謂フ
本法ニ於テ渡船場ト稱スルハ渡船ヲ包含ス
第四條 本法ニ於テ他ノ工作物ト稱スルハ堤防、堰堤、護岸、鐵道用橋梁其ノ他命令ヲ以テ定ムル工作物ヲ謂フ
第五條 本法ニ於テ道路ニ關スル工事ト稱スルハ道路ノ新設、改築及修繕ニ關スル工事ヲ謂フ
第六條 道路ヲ構成スル敷地其ノ他ノ物件ニ付テハ私權ヲ行使スルコトヲ得ス但シ所有權ノ移轉又ハ抵當權ノ設定若ハ移轉ヲ爲スハ此ノ限ニ在ラス
第七條 道路、沿道又ハ道路ノ附屬物ニ關スル本法ノ規定ハ命令ノ定ムル所ニ依リ新ニ道路、沿道又ハ道路ノ附屬物ト爲ルヘキモノニ關シ之ヲ準用スルコトヲ得
第二章 道路ノ種類、等級及路線ノ認定
第八條 道路ヲ分チテ左ノ五種トス
一 國道
二 府縣道
三 郡道
四 市道
五 町村道
第九條 道路ノ等級ハ前條記載ノ順序ニ依ル
第十條 國道ノ路線ハ左ノ路線ニ就キ主務大臣之ヲ認定ス
一 東京市ヨリ神宮、府縣廳所在地、師團司令部所在地、鎭守府所在地又ハ樞要ノ開港ニ達スル路線
二 主トシテ軍事ノ目的ヲ有スル路線
第十一條 府縣道ノ路線ハ左ノ路線ニシテ府縣內ノモノニ就キ府縣知事之ヲ認定ス
一 府縣廳所在地ヨリ隣接府縣廳所在地ニ達スル路線
二 府縣廳所在地ヨリ府縣內郡市役所所在地ニ達スル路線
三 府縣廳所在地ヨリ府縣內樞要ノ地、港津又ハ鐵道停車場ニ達スル路線
四 府縣內樞要ノ地ヨリ之ト密接ノ關係ヲ有スル樞要ノ地、港津又ハ鐵道停車場ニ達スル路線
五 府縣內樞要ノ港津ヨリ之ト密接ノ關係ヲ有スル樞要ノ地又ハ鐵道停車場ニ達スル路線
六 府縣內樞要ノ鐵道停車場ヨリ之ト密接ノ關係ヲ有スル樞要ノ地又ハ港津ニ達スル路線
七 數郡市ヲ連結スル幹線ニシテ其ノ沿線地方ト密接ノ關係ヲ有スル樞要ノ地、港津又ハ鐵道停車場ニ達スル路線
八 地方開發ノ爲必要ニシテ將來前各號ノ一ニ該當スヘキ路線
第十二條 郡道ノ路線ハ左ノ路線ニシテ郡內ノモノニ就キ郡長之ヲ認定ス
一 郡役所所在地ヨリ隣接郡市役所所在地ニ達スル路線
二 郡役所所在地ヨリ郡內町村役場所在地ニ達スル路線
三 郡役所所在地ヨリ郡內樞要ノ地、港津又ハ鐵道停車場ニ達スル路線
四 郡內樞要ノ地ヨリ之ト密接ノ關係ヲ有スル樞要ノ地、港津又ハ鐵道停車場ニ達スル路線
五 郡內樞要ノ港津ヨリ之ト密接ノ關係ヲ有スル樞要ノ地又ハ鐵道停車場ニ達スル路線
六 郡內樞要ノ鐵道停車場ヨリ之ト密接ノ關係ヲ有スル樞要ノ地又ハ港津ニ達スル路線
七 數町村ヲ連結スル幹線ニシテ其ノ沿線地方ト密接ノ關係ヲ有スル樞要ノ地、港津又ハ鐵道停車場ニ達スル路線
八 地方開發ノ爲必要ニシテ將來前各號ノ一ニ該當スヘキ路線
第十三條 市道ノ路線ハ市內ノ路線ニ就キ市長之ヲ認定ス
第十四條 町村道ノ路線ハ町村內ノ路線ニ就キ町村長之ヲ認定ス
第十五條 市町村長ハ市町村ノ爲特ニ必要アル場合ニ限リ市町村外ノ路線ニ就キ地元市町村長ノ意見ヲ聞キ路線ノ認定ヲ爲スコトヲ得
前項ノ路線ニシテ市長ノ認定シタルモノハ市道ノ路線、町村長ノ認定シタルモノハ町村道ノ路線トス
第十六條 上級ノ道路ト下級ノ道路ト路線カ重複スル場合ニ於テハ其ノ重複スル部分ハ上級ノ道路トス
第三章 道路ノ管理
第十七條 國道ハ府縣知事、其ノ他ノ道路ハ其ノ路線ノ認定者ヲ以テ管理者トス但シ勅令ヲ以テ指定スル市ニ於テハ其ノ市內ノ國道及府縣道ハ市長ヲ以テ管理者トス
第十八條 道路ニシテ行政區劃ノ境界ニ係ルモノハ命令ノ定ムル所ニ依リ前條ノ規定ニ依ル管理者タル關係行政廳ノ一ヲ以テ管理者ト爲スコトヲ得
道路ト他ノ工作物ト效用ヲ兼ヌル場合ニ於テハ其ノ道路及工作物ノ管理ニ付前項ノ規定ヲ準用ス但シ私人ヲ管理者ト爲スコトヲ得ス
第十九條 道路ノ區域ハ管理者之ヲ定ム
第二十條 道路ノ新設、改築、修繕及維持ハ管理者之ヲ爲スヘシ
第二十一條 道路ト他ノ工作物ト效用ヲ兼ヌル場合ニ於テハ管理者ハ其ノ工作物ノ管理者ヲシテ道路ニ關スル工事ヲ執行セシメ又ハ道路ノ維持ヲ爲サシムルコトヲ得但シ河川法第十條第一項ノ規定ニ該當スル場合ニ於テハ其ノ規定ニ依ル
第二十二條 他ノ工事又ハ行爲ノ爲必要ヲ生シタル道路ニ關スル工事ハ管理者其ノ工事執行者又ハ行爲者ヲシテ之ヲ執行セシムルコトヲ得
第二十三條 前二條ノ規定ニ依ル場合ノ外特別ノ事由アル場合ニ於テハ管理者タル行政廳ハ下級行政廳又ハ私人ヲシテ道路ノ修繕ニ關スル工事ヲ執行セシメ又ハ道路ノ維持ヲ爲サシムルコトヲ得
第二十四條 管理者ニ非サル者ハ管理者ノ許可又ハ承認ヲ得テ道路ニ關スル工事ヲ執行シ又ハ道路ノ維持ヲ爲スコトヲ得
第二十五條 道路ニ關スル工事ノ爲必要ヲ生シタル他ノ工事ハ管理者道路ニ關スル工事ト共ニ之ヲ執行スルコトヲ得
第二十六條 管理者ニ非サル者ハ管理者ノ許可又ハ承認ヲ得テ一定ノ期間橋錢又ハ渡錢ヲ徵收スルコトヲ得ル橋梁又ハ渡船場ヲ設クルコトヲ得
前項ノ許可又ハ承認ヲ得タル者ハ徵收期間內橋梁又ハ渡船場ノ維持及修繕ヲ爲スヘシ
第二十七條 管理者ハ特別ノ事由アル場合ニ限リ橋錢又ハ渡錢ヲ徵收スル橋梁又ハ渡船場ヲ設クルコトヲ得
第二十八條 管理者ハ交通ヲ妨ケサル限度ニ於テ道路ノ占用ヲ許可又ハ承認スルコトヲ得
國ノ事業ニ付テハ當該官廳ハ主務大臣ト協議シテ前項道路ノ占用ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル主務大臣ノ職權ノ一部ハ之ヲ地方長官ニ委任スルコトヲ得
管理者ハ道路ノ占用ニ付占用料ヲ徵收スルコトヲ得但シ前二項ノ規定ニ依ル占用ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第二十九條 前條第一項ノ規定ニ依ル占用カ法令ニ依リ土地ヲ收用又ハ使用スルコトヲ得ル公共ノ利益トナルヘキ事業ニ係ルモノナル場合ニ於テ管理者正當ノ事由ナクシテ其ノ許可若ハ承認ヲ拒ミ又ハ不相當ナル占用料ヲ定メタルトキハ主務大臣ハ事業者ノ申請ニ依リ占用ヲ許可若ハ承認シ又ハ占用料ヲ定ムルコトヲ得
第三十條 管理者ハ其ノ管理ニ屬スル道路ノ臺帳ヲ調製スヘシ
臺帳ニ記載スヘキ事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十一條 道路ノ構造、維持、修繕及工事執行方法ニ關シテハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十二條 道路ノ管理ノ爲必要ナル吏員ノ設置及其ノ職務權限ニ關シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四章 道路ニ關スル費用及義務
第三十三條 主トシテ軍事ノ目的ヲ有スル國道其ノ他主務大臣ノ指定スル國道ノ新設又ハ改築ニ要スル費用ハ國庫ノ負擔トス
前項ニ規定スルモノヲ除クノ外道路ニ關スル費用ハ管理者タル行政廳ノ統轄スル公共團體ノ負擔トス但シ行政區劃ノ境界ニ係ル道路ニ關スル費用ノ負擔ニ付テハ關係行政廳ノ協議ニ依ル協議調ハサルトキハ主務大臣之ヲ決定ス
第三十四條 前條ノ場合ニ於テ道路ト他ノ工作物ト效用ヲ兼ヌルモノナルトキハ其ノ費用ノ負擔ニ付テハ前條第二項但書ノ規定ヲ準用ス但シ河川法第三十條ノ規定ニ該當スル場合ニ於テハ其ノ規定ニ依ル
第三十五條 第三十三條第二項ニ規定スル費用ニシテ國道ノ新設又ハ改築ニ要スルモノハ其ノ一部ヲ國庫ヨリ補助スルコトヲ得特別ノ事由アル場合ニ於テ府縣道以下ノ道路ノ新設又ハ改築ニ要スル費用ニ付亦同シ
第三十六條 第二十四條ノ規定ニ依ル道路ニ關スル工事若ハ道路ノ維持ニ要スル費用又ハ第二十六條ノ規定ニ依リ設クル橋梁若ハ渡船場ニ關スル費用ハ許可又ハ承認ヲ得タル者ノ負擔トス
第三十七條 他ノ工事又ハ行爲ノ爲必要ヲ生シタル道路ニ關スル工事ノ費用ハ管理者他ノ工事又ハ行爲ニ付費用ヲ負擔スル者ヲシテ其ノ全部又ハ一部ヲ負擔セシム
第三十八條 特別ノ事由アル場合ニ於テハ第二十三條ノ規定ニ依ル道路ノ修繕ニ關スル工事又ハ道路ノ維持ニ要スル費用ハ管理者同條ノ下級行政廳ノ統轄スル公共團體又ハ同條ノ私人ヲシテ其ノ全部又ハ一部ヲ負擔セシムルコトヲ得
第三十九條 道路ニ關スル工事ニ因リ著シク利益ヲ受クル者アルトキハ管理者ハ其ノ者ヲシテ利益ヲ受クル限度ニ於テ道路ニ關スル工事ノ費用ノ一部ヲ負擔セシムルコトヲ得
第四十條 特ニ道路ヲ損傷スル原因ト爲ルヘキ事業ヲ爲ス者アル場合ニ於テ管理者ハ之カ爲ニ要スル道路ノ維持又ハ修繕ノ費用ノ一部ヲ其ノ事業者ニ負擔セシムルコトヲ得
第四十一條 道路ニ關スル工事ノ爲必要ヲ生シタル他ノ工事ノ費用ハ管理者特別ノ事由アル場合ニ於テ他ノ工事ニ付費用ヲ負擔スル者ヲシテ其ノ全部又ハ一部ヲ負擔セシムル場合ヲ除クノ外道路ニ關スル工事ノ費用ヲ負擔スル者ヲシテ之ヲ負擔セシム
第四十二條 本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ依リテ爲ス處分ニ依ル義務ヲ履行スル爲必要ナル費用ハ法令ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外義務者ノ負擔トス
第四十三條 道路ニ關スル費用ノ負擔金ハ費用負擔者カ道路ニ關スル工事ノ執行又ハ道路ノ維持ヲ爲ス場合ヲ除クノ外第三十三條第一項ノ國道ノ新設又ハ改築ニ要スルモノニ在リテハ國庫、其ノ他ノモノニ在リテハ管理者タル行政廳ノ統轄スル公共團體ノ收入トス
前項ノ費用負擔者カ公共團體ナル場合ニ於テ之ヲ統轄スル行政廳又ハ行政廳タル管理者カ道路ニ關スル工事ノ執行又ハ道路ノ維持ヲ爲ストキハ前項ノ規定ノ適用ニ付テハ費用負擔者之ヲ爲スモノト看做ス
第四十一條ノ規定ニ依ル負擔金ハ前二項ノ例ニ依リ國庫又ハ公共團體ノ收入トス
第四十四條 道路ノ占用料其ノ他道路ヨリ生スル收益ハ管理者タル行政廳ノ統轄スル公共團體ノ收入トス但シ第二十六條ノ規定ニ依リ許可又ハ承認ヲ得テ徵收スル橋錢又ハ渡錢ハ其ノ許可又ハ承認ヲ得タル者ノ收入トス
第四十五條 道路ニ關スル工事ノ爲必要アルトキハ管理者ハ沿道ノ土地ニ立入リ又ハ其ノ土地ヲ一時材料置場トシテ使用スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル立入又ハ使用ヲ爲サムトスルトキハ已ムヲ得サル場合ヲ除クノ外豫メ土地ノ占有者ニ通知スルコトヲ要ス
第四十六條 非常災害ノ爲必要アルトキハ管理者ハ道路附近ニ居住スル者ヲ使役シ、道路附近ノ土地ヲ一時使用シ又ハ土石、竹木其ノ他物品ヲ使用若ハ收用スルコトヲ得
第四十七條 前二條ノ規定ニ依ル立入、使用、使役又ハ收用ニ因リ現ニ生シタル損害ハ立入、使用、使役又ハ收用ノ後三月內ニ管理者之ヲ補償スヘシ
第四十八條 沿道ノ土地、竹木又ハ工作物ノ管理者ハ其ノ土地、竹木又ハ工作物ノ道路ニ及ホスヘキ損害ヲ豫防スル爲必要ナル施設ヲ爲スヘシ
第四十九條 道路ノ使用又ハ道路若ハ其ノ交通ノ保全ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム沿道ノ土地ニ於ケル工作物ノ建設其ノ他ノ作爲又ハ不作爲ノ制限ニシテ道路又ハ其ノ交通ノ保全ノ目的ヲ以テスルモノニ付亦同シ
第五十條 沿道ノ區域ハ管理者之ヲ定ム
第五章 監督及罰則
第五十一條 左ニ揭クル場合ニ於テハ管理者ハ本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依リテ其ノ爲シタル許可承認ヲ取消シ其ノ效力ヲ停止シ若ハ其ノ條件ヲ變更シ、道路ニ存スル工作物其ノ他ノ物件ヲ改築除却セシメ若ハ之ニ因リテ生スヘキ損害ヲ豫防スル爲必要ナル施設ヲ爲サシメ又ハ原狀囘復ヲ爲サシムルコトヲ得
一 道路ニ關スル法令ノ規定ニ違反シタルトキ
二 道路ニ關スル法令ノ規定ニ依ル許可又ハ承認ノ條件ニ違反シタルトキ
三 詐欺ノ手段ヲ以テ道路ニ關スル法令ノ規定ニ依ル許可ヲ得タルトキ
四 道路ニ關スル工事ノ爲必要アルトキ
五 公益上必要ト認ムルトキ
前項第五號ノ場合ニ於テ損害ヲ受ケタル者アルトキハ管理者ハ道路ニ關スル工事ノ費用ヲ負擔スル者ヲシテ其ノ損害ノ全部又ハ一部ヲ補償セシムルコトヲ得
前二項ノ規定ハ主務大臣カ第二十九條ノ規定ニ依リテ其ノ爲シタル許可若ハ承認ヲ取消シ、其ノ效力ヲ停止シ又ハ其ノ條件ヲ變更スル場合ニ之ヲ準用ス
第五十二條 左ニ揭クル事項又ハ其ノ變更廢止若ハ取消ハ第一號ニ在リテハ行政廳ニ於テ、其ノ他ニ在リテハ管理者ニ於テ監督官廳ノ認可ヲ受クヘシ但シ主務大臣ハ輕易ナル事件ニ限リ命令ヲ以テ認可ヲ受ケシメサルノ定ヲ爲スコトヲ得
一 國道以外ノ道路ノ路線ヲ認定スルコト
二 道路又ハ沿道ノ區域ヲ定ムルコト
三 道路ノ新設又ハ改築ヲ爲スコト
四 第二十一條乃至第二十三條ノ規定ニ依リ道路ニ關スル工事ヲ執行セシメ又ハ道路ノ維持ヲ爲サシムルコト
五 第二十四條又ハ第二十六條ノ規定ニ依ル許可又ハ承認ヲ爲スコト
六 第二十五條ノ規定ニ依リ他ノ工事ヲ執行スルコト
七 第二十七條ノ規定ニ依リ橋錢又ハ渡錢ヲ徵收スル橋梁又ハ渡船場ヲ設クルコト
八 第二十八條ノ規定ニ依リ道路ノ占用ヲ許可若ハ承認シ又ハ道路ノ占用料ヲ徵收スルコト
九 第三十七條乃至第四十一條ノ規定ニ依リ費用ヲ負擔セシムルコト
十 前條第一項又ハ第二項ノ規定ニ依ル處分ヲ爲スコト
第五十三條 監督官廳ハ監督上必要ト認ムルトキハ前條ノ行政廳又ハ管理者ニ對シ前條各號ニ揭クル事項又ハ其ノ變更廢止若ハ取消ヲ命シ其ノ他命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第五十四條 行政執行法第五條及第六條ノ規定竝之ニ基キテ發スル命令ハ本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ依リテ爲ス處分ニ依リ行フヘキ作爲又ハ不作爲ヲ管理者カ强制スル場合ニ之ヲ準用ス
第五十五條 本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ依リテ爲ス處分ニ依リ義務ニ屬スル負擔金、占用料、橋錢、渡錢其ノ他ノ費用ハ管理者國稅滯納處分ノ例ニ依リ之ヲ徵收スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル徵收金ノ先取特權ノ順位竝其ノ追徵還付及時效ニ付テハ管理者タル行政廳ノ統轄スル公共團體ノ徵收金ノ例ニ依ル
第五十六條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ三百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一 許可ヲ得スシテ道路若ハ其ノ附屬物ニ關スル工事ヲ執行シ又ハ道路若ハ其ノ附屬物ヲ占用シタル者
二 許可ヲ得スシテ橋梁又ハ渡船場ノ使用ニ對シ橋錢、渡錢其ノ他ノ財物ノ交付ヲ請求シタル者
三 道路ノ使用ニ對シ路錢其ノ他ノ財物ノ交付ヲ請求シタル者
四 詐欺ノ手段ヲ以テ許可ヲ得タル者
五 正當ノ事由ナクシテ第四十六條ノ規定ニ依ル管理者ノ命ニ從ハサル者
六 第四十八條又ハ第二條及第四十八條ノ規定ニ違反シテ道路又ハ其ノ附屬物ニ及ホスヘキ損害ヲ豫防スル爲必要ナル施設ヲ爲ササル者
第六章 訴願及訴訟
第五十七條 本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ規定シタル事項ニ付主務大臣又ハ管理者ノ爲シタル處分ニ不服アル者ハ訴願スルコトヲ得
本法ニ依リ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得ル場合ニ於テハ主務大臣ニ訴願スルコトヲ得ス
第五十八條 本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ規定シタル事項ニ付主務大臣又ハ管理者ノ爲シタル違法處分ニ因リ權利ヲ毀損セラレタリトスル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第五十九條 第四十七條ノ規定ニ依リ補償ヲ受クヘキ者同條ノ規定スル期間內ニ其ノ決定ノ通知ヲ受ケタル場合ニ於テ補償ニ不服アルトキハ通知後六月內ニ、同條ノ規定スル期間內ニ其ノ決定ノ通知ヲ受ケサル場合ニ於テハ其ノ期間經過後六月內ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得ス
第七章 雜則
第六十條 本法中府縣、府縣知事、府縣廳又ハ府縣道ニ關スル規定ハ北海道ニ付テハ道、道廳長官、道廳又ハ地方費道ニ關シ市、市長、市役所又ハ市道ニ關スル規定ハ北海道及沖繩縣ニ付テハ區、區長、區役所又ハ區道ニ關シ郡役所ニ關スル規定ハ北海道ニ付テハ支廳、島ニ付テハ島廳ニ關シ之ヲ適用ス
第六十一條 北海道ニ付テハ道路ノ種類、等級及路線ノ認定竝第三十三條乃至第三十六條、第四十三條、第四十四條及第五十二條ノ規定ニ關シ沖繩縣ニ付テハ郡道ニ關シ勅令ヲ以テ特別ノ定ヲ爲スコトヲ得
第六十二條 道路ノ路線ノ認定ノ變更廢止其ノ他ノ場合ニ於テ不用ニ歸シタル道路及其ノ附屬物ヲ構成シタル物件竝材料器具機械等ノ管理及處分ニ付テハ勅令ヲ以テ特別ノ定ヲ爲スコトヲ得
前項ノ變更廢止ノ場合ニ於テ道路及其ノ附屬物ヲ構成シタル物件ハ勅令ヲ以テ定ムル期間ノ滿了スル迄第六條ノ規定ヲ之ニ準用シ土地收用法中第六十六條ノ規定及之ヲ準用スル規定ノ適用ニ付テハ不用ニ歸セサルモノト看做ス
第六十三條 左ニ揭クル法令ノ規定ハ本法ニ依ル道路ニ關シ之ヲ適用セス
一 明治四年十二月十四日布告治水修路架橋等運輸ノ便利ヲ興ス者ニ稅金取立方許可ニ關スル件
二 明治十一年七月二十二日達郡區町村編制府縣會規則地方稅規則施行順序ニ關スル件第十二項
三 明治十二年二月二十七日達河港道路堤防橋梁費ヲ舊慣ニ因リ支辨シ得ル件
四 陸地測量標條例第二條
五 水路測量標條例第二條
六 電信線電話線建設條例第一條、第四條及第五條
七 軍用電信法第四條第二項ノ規定ニ依リ準用スル電信線電話線建設條例第一條、第四條及第五條
八 河川法第十條第二項、第十一條及第三十二條
九 砂防法第八條及第十六條
十 私設鐵道法第四十二條
十一 輕便鐵道法第五條ノ規定ニ依リ準用スル私設鐵道法第四十二條
十二 電氣事業法第九條
十三 大正三年法律第三十七號
附 則
第六十四條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六十五條 左ニ揭クル法令ハ之ヲ廢止ス
一 明治五年第三百二十五號布告
二 明治六年第百四十六號布告
三 明治六年第四百十三號達
四 明治九年第六十號達
五 明治十八年第一號布達
六 明治二十年勅令第二十八號
第六十六條 本法施行前爲シタル處分及之ニ附シタル條件ハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ牴觸セサル限リ本法ニ依リ爲シタル處分及之ニ附シタル條件ト看做ス
第六十七條 本法ニ依リ管理者ノ許可又ハ承認ヲ受クヘキ事項ニシテ本法施行ノ際現ニ存スルモノハ本法ニ依リ管理者ノ許可又ハ承認ヲ受ケタルモノト看做ス但シ管理者ハ本法施行ノ日ヨリ三月內ニ六月ヲ下ラサル期間ヲ指定シ其ノ期間經過後ハ許可又ハ承認ノ效力ヲ失フヘキ旨ヲ告示スルコトヲ得
第六十八條 本法施行前爲シタル處分ニ關スル訴願又ハ行政訴訟ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル道路法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正八年四月十日
内閣総理大臣 原敬
内務大臣 床次竹二郎
法律第五十八号
道路法
第一章 総則
第一条 本法ニ於テ道路ト称スルハ一般交通ノ用ニ供スル道路ニシテ行政庁ニ於テ第二章ニ依ル認定ヲ為シタルモノヲ謂フ
第二条 左ニ掲クルモノハ道路ノ附属物トシ道路ニ関スル本法ノ規定ニ従フ但シ命令ヲ以テ特別ノ定ヲ為スコトヲ得
一 道路ヲ接続スル橋梁及渡船場
二 道路ニ附属スル溝、並木、支壁、柵、道路元標、里程標及道路標識
三 道路ニ接スル道路修理用材料ノ常置場
四 前各号ノ外命令ヲ以テ道路ノ附属物ト定メタルモノ
第三条 本法ニ於テ橋梁又ハ渡船場ト称スルハ前条第一号ノ橋梁又ハ渡船場ヲ謂フ
本法ニ於テ渡船場ト称スルハ渡船ヲ包含ス
第四条 本法ニ於テ他ノ工作物ト称スルハ堤防、堰堤、護岸、鉄道用橋梁其ノ他命令ヲ以テ定ムル工作物ヲ謂フ
第五条 本法ニ於テ道路ニ関スル工事ト称スルハ道路ノ新設、改築及修繕ニ関スル工事ヲ謂フ
第六条 道路ヲ構成スル敷地其ノ他ノ物件ニ付テハ私権ヲ行使スルコトヲ得ス但シ所有権ノ移転又ハ抵当権ノ設定若ハ移転ヲ為スハ此ノ限ニ在ラス
第七条 道路、沿道又ハ道路ノ附属物ニ関スル本法ノ規定ハ命令ノ定ムル所ニ依リ新ニ道路、沿道又ハ道路ノ附属物ト為ルヘキモノニ関シ之ヲ準用スルコトヲ得
第二章 道路ノ種類、等級及路線ノ認定
第八条 道路ヲ分チテ左ノ五種トス
一 国道
二 府県道
三 郡道
四 市道
五 町村道
第九条 道路ノ等級ハ前条記載ノ順序ニ依ル
第十条 国道ノ路線ハ左ノ路線ニ就キ主務大臣之ヲ認定ス
一 東京市ヨリ神宮、府県庁所在地、師団司令部所在地、鎮守府所在地又ハ枢要ノ開港ニ達スル路線
二 主トシテ軍事ノ目的ヲ有スル路線
第十一条 府県道ノ路線ハ左ノ路線ニシテ府県内ノモノニ就キ府県知事之ヲ認定ス
一 府県庁所在地ヨリ隣接府県庁所在地ニ達スル路線
二 府県庁所在地ヨリ府県内郡市役所所在地ニ達スル路線
三 府県庁所在地ヨリ府県内枢要ノ地、港津又ハ鉄道停車場ニ達スル路線
四 府県内枢要ノ地ヨリ之ト密接ノ関係ヲ有スル枢要ノ地、港津又ハ鉄道停車場ニ達スル路線
五 府県内枢要ノ港津ヨリ之ト密接ノ関係ヲ有スル枢要ノ地又ハ鉄道停車場ニ達スル路線
六 府県内枢要ノ鉄道停車場ヨリ之ト密接ノ関係ヲ有スル枢要ノ地又ハ港津ニ達スル路線
七 数郡市ヲ連結スル幹線ニシテ其ノ沿線地方ト密接ノ関係ヲ有スル枢要ノ地、港津又ハ鉄道停車場ニ達スル路線
八 地方開発ノ為必要ニシテ将来前各号ノ一ニ該当スヘキ路線
第十二条 郡道ノ路線ハ左ノ路線ニシテ郡内ノモノニ就キ郡長之ヲ認定ス
一 郡役所所在地ヨリ隣接郡市役所所在地ニ達スル路線
二 郡役所所在地ヨリ郡内町村役場所在地ニ達スル路線
三 郡役所所在地ヨリ郡内枢要ノ地、港津又ハ鉄道停車場ニ達スル路線
四 郡内枢要ノ地ヨリ之ト密接ノ関係ヲ有スル枢要ノ地、港津又ハ鉄道停車場ニ達スル路線
五 郡内枢要ノ港津ヨリ之ト密接ノ関係ヲ有スル枢要ノ地又ハ鉄道停車場ニ達スル路線
六 郡内枢要ノ鉄道停車場ヨリ之ト密接ノ関係ヲ有スル枢要ノ地又ハ港津ニ達スル路線
七 数町村ヲ連結スル幹線ニシテ其ノ沿線地方ト密接ノ関係ヲ有スル枢要ノ地、港津又ハ鉄道停車場ニ達スル路線
八 地方開発ノ為必要ニシテ将来前各号ノ一ニ該当スヘキ路線
第十三条 市道ノ路線ハ市内ノ路線ニ就キ市長之ヲ認定ス
第十四条 町村道ノ路線ハ町村内ノ路線ニ就キ町村長之ヲ認定ス
第十五条 市町村長ハ市町村ノ為特ニ必要アル場合ニ限リ市町村外ノ路線ニ就キ地元市町村長ノ意見ヲ聞キ路線ノ認定ヲ為スコトヲ得
前項ノ路線ニシテ市長ノ認定シタルモノハ市道ノ路線、町村長ノ認定シタルモノハ町村道ノ路線トス
第十六条 上級ノ道路ト下級ノ道路ト路線カ重複スル場合ニ於テハ其ノ重複スル部分ハ上級ノ道路トス
第三章 道路ノ管理
第十七条 国道ハ府県知事、其ノ他ノ道路ハ其ノ路線ノ認定者ヲ以テ管理者トス但シ勅令ヲ以テ指定スル市ニ於テハ其ノ市内ノ国道及府県道ハ市長ヲ以テ管理者トス
第十八条 道路ニシテ行政区画ノ境界ニ係ルモノハ命令ノ定ムル所ニ依リ前条ノ規定ニ依ル管理者タル関係行政庁ノ一ヲ以テ管理者ト為スコトヲ得
道路ト他ノ工作物ト効用ヲ兼ヌル場合ニ於テハ其ノ道路及工作物ノ管理ニ付前項ノ規定ヲ準用ス但シ私人ヲ管理者ト為スコトヲ得ス
第十九条 道路ノ区域ハ管理者之ヲ定ム
第二十条 道路ノ新設、改築、修繕及維持ハ管理者之ヲ為スヘシ
第二十一条 道路ト他ノ工作物ト効用ヲ兼ヌル場合ニ於テハ管理者ハ其ノ工作物ノ管理者ヲシテ道路ニ関スル工事ヲ執行セシメ又ハ道路ノ維持ヲ為サシムルコトヲ得但シ河川法第十条第一項ノ規定ニ該当スル場合ニ於テハ其ノ規定ニ依ル
第二十二条 他ノ工事又ハ行為ノ為必要ヲ生シタル道路ニ関スル工事ハ管理者其ノ工事執行者又ハ行為者ヲシテ之ヲ執行セシムルコトヲ得
第二十三条 前二条ノ規定ニ依ル場合ノ外特別ノ事由アル場合ニ於テハ管理者タル行政庁ハ下級行政庁又ハ私人ヲシテ道路ノ修繕ニ関スル工事ヲ執行セシメ又ハ道路ノ維持ヲ為サシムルコトヲ得
第二十四条 管理者ニ非サル者ハ管理者ノ許可又ハ承認ヲ得テ道路ニ関スル工事ヲ執行シ又ハ道路ノ維持ヲ為スコトヲ得
第二十五条 道路ニ関スル工事ノ為必要ヲ生シタル他ノ工事ハ管理者道路ニ関スル工事ト共ニ之ヲ執行スルコトヲ得
第二十六条 管理者ニ非サル者ハ管理者ノ許可又ハ承認ヲ得テ一定ノ期間橋銭又ハ渡銭ヲ徴収スルコトヲ得ル橋梁又ハ渡船場ヲ設クルコトヲ得
前項ノ許可又ハ承認ヲ得タル者ハ徴収期間内橋梁又ハ渡船場ノ維持及修繕ヲ為スヘシ
第二十七条 管理者ハ特別ノ事由アル場合ニ限リ橋銭又ハ渡銭ヲ徴収スル橋梁又ハ渡船場ヲ設クルコトヲ得
第二十八条 管理者ハ交通ヲ妨ケサル限度ニ於テ道路ノ占用ヲ許可又ハ承認スルコトヲ得
国ノ事業ニ付テハ当該官庁ハ主務大臣ト協議シテ前項道路ノ占用ヲ為スコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル主務大臣ノ職権ノ一部ハ之ヲ地方長官ニ委任スルコトヲ得
管理者ハ道路ノ占用ニ付占用料ヲ徴収スルコトヲ得但シ前二項ノ規定ニ依ル占用ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第二十九条 前条第一項ノ規定ニ依ル占用カ法令ニ依リ土地ヲ収用又ハ使用スルコトヲ得ル公共ノ利益トナルヘキ事業ニ係ルモノナル場合ニ於テ管理者正当ノ事由ナクシテ其ノ許可若ハ承認ヲ拒ミ又ハ不相当ナル占用料ヲ定メタルトキハ主務大臣ハ事業者ノ申請ニ依リ占用ヲ許可若ハ承認シ又ハ占用料ヲ定ムルコトヲ得
第三十条 管理者ハ其ノ管理ニ属スル道路ノ台帳ヲ調製スヘシ
台帳ニ記載スヘキ事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十一条 道路ノ構造、維持、修繕及工事執行方法ニ関シテハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十二条 道路ノ管理ノ為必要ナル吏員ノ設置及其ノ職務権限ニ関シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四章 道路ニ関スル費用及義務
第三十三条 主トシテ軍事ノ目的ヲ有スル国道其ノ他主務大臣ノ指定スル国道ノ新設又ハ改築ニ要スル費用ハ国庫ノ負担トス
前項ニ規定スルモノヲ除クノ外道路ニ関スル費用ハ管理者タル行政庁ノ統轄スル公共団体ノ負担トス但シ行政区画ノ境界ニ係ル道路ニ関スル費用ノ負担ニ付テハ関係行政庁ノ協議ニ依ル協議調ハサルトキハ主務大臣之ヲ決定ス
第三十四条 前条ノ場合ニ於テ道路ト他ノ工作物ト効用ヲ兼ヌルモノナルトキハ其ノ費用ノ負担ニ付テハ前条第二項但書ノ規定ヲ準用ス但シ河川法第三十条ノ規定ニ該当スル場合ニ於テハ其ノ規定ニ依ル
第三十五条 第三十三条第二項ニ規定スル費用ニシテ国道ノ新設又ハ改築ニ要スルモノハ其ノ一部ヲ国庫ヨリ補助スルコトヲ得特別ノ事由アル場合ニ於テ府県道以下ノ道路ノ新設又ハ改築ニ要スル費用ニ付亦同シ
第三十六条 第二十四条ノ規定ニ依ル道路ニ関スル工事若ハ道路ノ維持ニ要スル費用又ハ第二十六条ノ規定ニ依リ設クル橋梁若ハ渡船場ニ関スル費用ハ許可又ハ承認ヲ得タル者ノ負担トス
第三十七条 他ノ工事又ハ行為ノ為必要ヲ生シタル道路ニ関スル工事ノ費用ハ管理者他ノ工事又ハ行為ニ付費用ヲ負担スル者ヲシテ其ノ全部又ハ一部ヲ負担セシム
第三十八条 特別ノ事由アル場合ニ於テハ第二十三条ノ規定ニ依ル道路ノ修繕ニ関スル工事又ハ道路ノ維持ニ要スル費用ハ管理者同条ノ下級行政庁ノ統轄スル公共団体又ハ同条ノ私人ヲシテ其ノ全部又ハ一部ヲ負担セシムルコトヲ得
第三十九条 道路ニ関スル工事ニ因リ著シク利益ヲ受クル者アルトキハ管理者ハ其ノ者ヲシテ利益ヲ受クル限度ニ於テ道路ニ関スル工事ノ費用ノ一部ヲ負担セシムルコトヲ得
第四十条 特ニ道路ヲ損傷スル原因ト為ルヘキ事業ヲ為ス者アル場合ニ於テ管理者ハ之カ為ニ要スル道路ノ維持又ハ修繕ノ費用ノ一部ヲ其ノ事業者ニ負担セシムルコトヲ得
第四十一条 道路ニ関スル工事ノ為必要ヲ生シタル他ノ工事ノ費用ハ管理者特別ノ事由アル場合ニ於テ他ノ工事ニ付費用ヲ負担スル者ヲシテ其ノ全部又ハ一部ヲ負担セシムル場合ヲ除クノ外道路ニ関スル工事ノ費用ヲ負担スル者ヲシテ之ヲ負担セシム
第四十二条 本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ依リテ為ス処分ニ依ル義務ヲ履行スル為必要ナル費用ハ法令ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外義務者ノ負担トス
第四十三条 道路ニ関スル費用ノ負担金ハ費用負担者カ道路ニ関スル工事ノ執行又ハ道路ノ維持ヲ為ス場合ヲ除クノ外第三十三条第一項ノ国道ノ新設又ハ改築ニ要スルモノニ在リテハ国庫、其ノ他ノモノニ在リテハ管理者タル行政庁ノ統轄スル公共団体ノ収入トス
前項ノ費用負担者カ公共団体ナル場合ニ於テ之ヲ統轄スル行政庁又ハ行政庁タル管理者カ道路ニ関スル工事ノ執行又ハ道路ノ維持ヲ為ストキハ前項ノ規定ノ適用ニ付テハ費用負担者之ヲ為スモノト看做ス
第四十一条ノ規定ニ依ル負担金ハ前二項ノ例ニ依リ国庫又ハ公共団体ノ収入トス
第四十四条 道路ノ占用料其ノ他道路ヨリ生スル収益ハ管理者タル行政庁ノ統轄スル公共団体ノ収入トス但シ第二十六条ノ規定ニ依リ許可又ハ承認ヲ得テ徴収スル橋銭又ハ渡銭ハ其ノ許可又ハ承認ヲ得タル者ノ収入トス
第四十五条 道路ニ関スル工事ノ為必要アルトキハ管理者ハ沿道ノ土地ニ立入リ又ハ其ノ土地ヲ一時材料置場トシテ使用スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル立入又ハ使用ヲ為サムトスルトキハ已ムヲ得サル場合ヲ除クノ外予メ土地ノ占有者ニ通知スルコトヲ要ス
第四十六条 非常災害ノ為必要アルトキハ管理者ハ道路附近ニ居住スル者ヲ使役シ、道路附近ノ土地ヲ一時使用シ又ハ土石、竹木其ノ他物品ヲ使用若ハ収用スルコトヲ得
第四十七条 前二条ノ規定ニ依ル立入、使用、使役又ハ収用ニ因リ現ニ生シタル損害ハ立入、使用、使役又ハ収用ノ後三月内ニ管理者之ヲ補償スヘシ
第四十八条 沿道ノ土地、竹木又ハ工作物ノ管理者ハ其ノ土地、竹木又ハ工作物ノ道路ニ及ホスヘキ損害ヲ予防スル為必要ナル施設ヲ為スヘシ
第四十九条 道路ノ使用又ハ道路若ハ其ノ交通ノ保全ニ関スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム沿道ノ土地ニ於ケル工作物ノ建設其ノ他ノ作為又ハ不作為ノ制限ニシテ道路又ハ其ノ交通ノ保全ノ目的ヲ以テスルモノニ付亦同シ
第五十条 沿道ノ区域ハ管理者之ヲ定ム
第五章 監督及罰則
第五十一条 左ニ掲クル場合ニ於テハ管理者ハ本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ依リテ其ノ為シタル許可承認ヲ取消シ其ノ効力ヲ停止シ若ハ其ノ条件ヲ変更シ、道路ニ存スル工作物其ノ他ノ物件ヲ改築除却セシメ若ハ之ニ因リテ生スヘキ損害ヲ予防スル為必要ナル施設ヲ為サシメ又ハ原状回復ヲ為サシムルコトヲ得
一 道路ニ関スル法令ノ規定ニ違反シタルトキ
二 道路ニ関スル法令ノ規定ニ依ル許可又ハ承認ノ条件ニ違反シタルトキ
三 詐欺ノ手段ヲ以テ道路ニ関スル法令ノ規定ニ依ル許可ヲ得タルトキ
四 道路ニ関スル工事ノ為必要アルトキ
五 公益上必要ト認ムルトキ
前項第五号ノ場合ニ於テ損害ヲ受ケタル者アルトキハ管理者ハ道路ニ関スル工事ノ費用ヲ負担スル者ヲシテ其ノ損害ノ全部又ハ一部ヲ補償セシムルコトヲ得
前二項ノ規定ハ主務大臣カ第二十九条ノ規定ニ依リテ其ノ為シタル許可若ハ承認ヲ取消シ、其ノ効力ヲ停止シ又ハ其ノ条件ヲ変更スル場合ニ之ヲ準用ス
第五十二条 左ニ掲クル事項又ハ其ノ変更廃止若ハ取消ハ第一号ニ在リテハ行政庁ニ於テ、其ノ他ニ在リテハ管理者ニ於テ監督官庁ノ認可ヲ受クヘシ但シ主務大臣ハ軽易ナル事件ニ限リ命令ヲ以テ認可ヲ受ケシメサルノ定ヲ為スコトヲ得
一 国道以外ノ道路ノ路線ヲ認定スルコト
二 道路又ハ沿道ノ区域ヲ定ムルコト
三 道路ノ新設又ハ改築ヲ為スコト
四 第二十一条乃至第二十三条ノ規定ニ依リ道路ニ関スル工事ヲ執行セシメ又ハ道路ノ維持ヲ為サシムルコト
五 第二十四条又ハ第二十六条ノ規定ニ依ル許可又ハ承認ヲ為スコト
六 第二十五条ノ規定ニ依リ他ノ工事ヲ執行スルコト
七 第二十七条ノ規定ニ依リ橋銭又ハ渡銭ヲ徴収スル橋梁又ハ渡船場ヲ設クルコト
八 第二十八条ノ規定ニ依リ道路ノ占用ヲ許可若ハ承認シ又ハ道路ノ占用料ヲ徴収スルコト
九 第三十七条乃至第四十一条ノ規定ニ依リ費用ヲ負担セシムルコト
十 前条第一項又ハ第二項ノ規定ニ依ル処分ヲ為スコト
第五十三条 監督官庁ハ監督上必要ト認ムルトキハ前条ノ行政庁又ハ管理者ニ対シ前条各号ニ掲クル事項又ハ其ノ変更廃止若ハ取消ヲ命シ其ノ他命令ヲ発シ又ハ処分ヲ為スコトヲ得
第五十四条 行政執行法第五条及第六条ノ規定並之ニ基キテ発スル命令ハ本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ依リテ為ス処分ニ依リ行フヘキ作為又ハ不作為ヲ管理者カ強制スル場合ニ之ヲ準用ス
第五十五条 本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ依リテ為ス処分ニ依リ義務ニ属スル負担金、占用料、橋銭、渡銭其ノ他ノ費用ハ管理者国税滞納処分ノ例ニ依リ之ヲ徴収スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル徴収金ノ先取特権ノ順位並其ノ追徴還付及時効ニ付テハ管理者タル行政庁ノ統轄スル公共団体ノ徴収金ノ例ニ依ル
第五十六条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ三百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
一 許可ヲ得スシテ道路若ハ其ノ附属物ニ関スル工事ヲ執行シ又ハ道路若ハ其ノ附属物ヲ占用シタル者
二 許可ヲ得スシテ橋梁又ハ渡船場ノ使用ニ対シ橋銭、渡銭其ノ他ノ財物ノ交付ヲ請求シタル者
三 道路ノ使用ニ対シ路銭其ノ他ノ財物ノ交付ヲ請求シタル者
四 詐欺ノ手段ヲ以テ許可ヲ得タル者
五 正当ノ事由ナクシテ第四十六条ノ規定ニ依ル管理者ノ命ニ従ハサル者
六 第四十八条又ハ第二条及第四十八条ノ規定ニ違反シテ道路又ハ其ノ附属物ニ及ホスヘキ損害ヲ予防スル為必要ナル施設ヲ為ササル者
第六章 訴願及訴訟
第五十七条 本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ規定シタル事項ニ付主務大臣又ハ管理者ノ為シタル処分ニ不服アル者ハ訴願スルコトヲ得
本法ニ依リ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得ル場合ニ於テハ主務大臣ニ訴願スルコトヲ得ス
第五十八条 本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ規定シタル事項ニ付主務大臣又ハ管理者ノ為シタル違法処分ニ因リ権利ヲ毀損セラレタリトスル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第五十九条 第四十七条ノ規定ニ依リ補償ヲ受クヘキ者同条ノ規定スル期間内ニ其ノ決定ノ通知ヲ受ケタル場合ニ於テ補償ニ不服アルトキハ通知後六月内ニ、同条ノ規定スル期間内ニ其ノ決定ノ通知ヲ受ケサル場合ニ於テハ其ノ期間経過後六月内ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得ス
第七章 雑則
第六十条 本法中府県、府県知事、府県庁又ハ府県道ニ関スル規定ハ北海道ニ付テハ道、道庁長官、道庁又ハ地方費道ニ関シ市、市長、市役所又ハ市道ニ関スル規定ハ北海道及沖縄県ニ付テハ区、区長、区役所又ハ区道ニ関シ郡役所ニ関スル規定ハ北海道ニ付テハ支庁、島ニ付テハ島庁ニ関シ之ヲ適用ス
第六十一条 北海道ニ付テハ道路ノ種類、等級及路線ノ認定並第三十三条乃至第三十六条、第四十三条、第四十四条及第五十二条ノ規定ニ関シ沖縄県ニ付テハ郡道ニ関シ勅令ヲ以テ特別ノ定ヲ為スコトヲ得
第六十二条 道路ノ路線ノ認定ノ変更廃止其ノ他ノ場合ニ於テ不用ニ帰シタル道路及其ノ附属物ヲ構成シタル物件並材料器具機械等ノ管理及処分ニ付テハ勅令ヲ以テ特別ノ定ヲ為スコトヲ得
前項ノ変更廃止ノ場合ニ於テ道路及其ノ附属物ヲ構成シタル物件ハ勅令ヲ以テ定ムル期間ノ満了スル迄第六条ノ規定ヲ之ニ準用シ土地収用法中第六十六条ノ規定及之ヲ準用スル規定ノ適用ニ付テハ不用ニ帰セサルモノト看做ス
第六十三条 左ニ掲クル法令ノ規定ハ本法ニ依ル道路ニ関シ之ヲ適用セス
一 明治四年十二月十四日布告治水修路架橋等運輸ノ便利ヲ興ス者ニ税金取立方許可ニ関スル件
二 明治十一年七月二十二日達郡区町村編制府県会規則地方税規則施行順序ニ関スル件第十二項
三 明治十二年二月二十七日達河港道路堤防橋梁費ヲ旧慣ニ因リ支弁シ得ル件
四 陸地測量標条例第二条
五 水路測量標条例第二条
六 電信線電話線建設条例第一条、第四条及第五条
七 軍用電信法第四条第二項ノ規定ニ依リ準用スル電信線電話線建設条例第一条、第四条及第五条
八 河川法第十条第二項、第十一条及第三十二条
九 砂防法第八条及第十六条
十 私設鉄道法第四十二条
十一 軽便鉄道法第五条ノ規定ニ依リ準用スル私設鉄道法第四十二条
十二 電気事業法第九条
十三 大正三年法律第三十七号
附 則
第六十四条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六十五条 左ニ掲クル法令ハ之ヲ廃止ス
一 明治五年第三百二十五号布告
二 明治六年第百四十六号布告
三 明治六年第四百十三号達
四 明治九年第六十号達
五 明治十八年第一号布達
六 明治二十年勅令第二十八号
第六十六条 本法施行前為シタル処分及之ニ附シタル条件ハ本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ牴触セサル限リ本法ニ依リ為シタル処分及之ニ附シタル条件ト看做ス
第六十七条 本法ニ依リ管理者ノ許可又ハ承認ヲ受クヘキ事項ニシテ本法施行ノ際現ニ存スルモノハ本法ニ依リ管理者ノ許可又ハ承認ヲ受ケタルモノト看做ス但シ管理者ハ本法施行ノ日ヨリ三月内ニ六月ヲ下ラサル期間ヲ指定シ其ノ期間経過後ハ許可又ハ承認ノ効力ヲ失フヘキ旨ヲ告示スルコトヲ得
第六十八条 本法施行前為シタル処分ニ関スル訴願又ハ行政訴訟ニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル