(歳入納付ニ使用スル証券ニ関スル件)
法令番号: 勅令第二百五十六號
公布年月日: 大正5年12月21日
法令の形式: 勅令
朕歲入納付ニ使用スル證券ニ關スル件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正五年十二月二十日
內閣總理大臣 伯爵 寺內正毅
大藏大臣 勝田主計
勅令第二百五十六號
第一條 大正五年法律第十號ニ依リ租稅其ノ他ノ歲入ノ納付ニ使用スルコトヲ得ル證券ハ左ニ揭クルモノニシテ其ノ金額ノ納付金額ヲ超過セサルモノニ限ル
一 小切手又ハ一覽拂ノ爲替手形ニシテ無記名式又ハ記名持參人拂ノモノ
二 無記名國債證券ノ利札ニシテ仕拂期ノ到達シタルモノ
三 政府又ハ宮內省ノ仕拂命令、仕拂請求書又ハ保管金引出切符ニシテ納人ノ爲發行シタルモノ
四 郵便通常爲替證書ニシテ歲入ヲ納付スヘキ官署、金庫、市町村ヲ受取人ト爲シタルモノ又ハ郵便小爲替證書ニシテ歲入ヲ納付スヘキ官署、金庫、市町村ヲ受取人ト指定シ若ハ受取人ヲ指定セサルモノ
前項ノ證券ニシテ呈示期間若ハ有效期間ノ滿了ニ近ツキタルモノ又ハ支拂不確實ナリト認ムルモノハ出納官吏、金庫又ハ市町村其ノ受領ヲ拒絕スルコトヲ得
證券ノ支拂場所カ受領者ノ所在地ニ在ラサルモノニ付亦前項ニ同シ但シ支拂場所カ受領者ノ拂込又ハ送付ヲ爲ス金庫ノ所在地ニ在ルモノハ此ノ限ニ在ラス
第二條 證券ヲ呈示期間內又ハ有效期間內ニ呈示シ支拂ヲ請求シタル場合ニ於テ支拂ノ拒絕アリタルトキハ歲入ハ初ヨリ納付ナカリシモノト看做ス
第三條 前條ノ場合ニ於テハ出納官吏、金庫又ハ市町村ハ納人ニ對シ遲滯ナク書面ヲ以テ證券ノ支拂ナカリシ旨及其ノ證券ノ還付ヲ請求スヘキ旨ヲ通知スヘシ
前項ノ通知書ヲ受クヘキ者其ノ受取ヲ拒ミタルトキ又ハ住所、居所不明ナルトキハ通知書記載ノ要旨ヲ公吿スヘシ
第一項ノ通知書ヲ發シタル日又ハ第二項ノ公吿ヲ爲シタル日ヨリ一年ヲ經過シタルトキハ納人ハ證券ノ還付ヲ請求スルコトヲ得ス
第四條 出納官吏、金庫又ハ市町村ノ受領シタル證券ノ取扱ニ關シテハ大藏大臣ノ定ムル所ニ依ル
第五條 證券ヲ以テ納付シ得ル歲入ノ種目ハ主管大臣之ヲ定ム
第六條 大藏大臣ハ證券ノ金額、種類又ハ納付場所ニ依リ其ノ納付ニ關シ制限ヲ加フルコトヲ得
主管大臣ハ前項ノ規定ニ依リ大藏大臣ノ定メタルモノノ外主管歲入ノ納付ニ付更ニ制限ヲ加フルノ必要アリト認ムルトキハ大藏大臣ト協議シテ之ヲ定ムルコトヲ得
第七條 市町村ニ於テ大正五年法律第十號第三條第二項ノ規定ニ依リ責任ノ免除ヲ請ハムトスルトキハ地方長官ヲ經由シテ主管大臣ニ申請書ヲ提出スヘシ
地方長官前項ノ申請書ヲ受ケタルトキハ事實ヲ調査シ意見ヲ具シテ主管大臣ニ送付スヘシ
第八條 本令中市町村ニ關スル規定ハ法令ニ依リ租稅其ノ他ノ歲入ヲ徵收シ其ノ徵收金ヲ國庫ニ送付スヘキ責任アル者ニ之ヲ準用ス
第九條 本令中主管大臣ノ職務ハ朝鮮總督府ニ在リテハ朝鮮總督臺灣總督府ニ在リテハ臺灣總督、關東都督府ニ在リテハ關東都督之ヲ行フ但シ第六條第二項ノ場合ニ於テハ主管大臣ヲ經由スルコトヲ要ス
本令中地方長官ノ職務ハ朝鮮ニ在リテハ道長官、臺灣ニ在リテハ廳長之ヲ行フ
附 則
本令ハ大正六年一月一日ヨリ之ヲ施行ス
明治三十八年勅令第三十四號ハ之ヲ廢止ス
朕歳入納付ニ使用スル証券ニ関スル件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正五年十二月二十日
内閣総理大臣 伯爵 寺内正毅
大蔵大臣 勝田主計
勅令第二百五十六号
第一条 大正五年法律第十号ニ依リ租税其ノ他ノ歳入ノ納付ニ使用スルコトヲ得ル証券ハ左ニ掲クルモノニシテ其ノ金額ノ納付金額ヲ超過セサルモノニ限ル
一 小切手又ハ一覧払ノ為替手形ニシテ無記名式又ハ記名持参人払ノモノ
二 無記名国債証券ノ利札ニシテ仕払期ノ到達シタルモノ
三 政府又ハ宮内省ノ仕払命令、仕払請求書又ハ保管金引出切符ニシテ納人ノ為発行シタルモノ
四 郵便通常為替証書ニシテ歳入ヲ納付スヘキ官署、金庫、市町村ヲ受取人ト為シタルモノ又ハ郵便小為替証書ニシテ歳入ヲ納付スヘキ官署、金庫、市町村ヲ受取人ト指定シ若ハ受取人ヲ指定セサルモノ
前項ノ証券ニシテ呈示期間若ハ有効期間ノ満了ニ近ツキタルモノ又ハ支払不確実ナリト認ムルモノハ出納官吏、金庫又ハ市町村其ノ受領ヲ拒絶スルコトヲ得
証券ノ支払場所カ受領者ノ所在地ニ在ラサルモノニ付亦前項ニ同シ但シ支払場所カ受領者ノ払込又ハ送付ヲ為ス金庫ノ所在地ニ在ルモノハ此ノ限ニ在ラス
第二条 証券ヲ呈示期間内又ハ有効期間内ニ呈示シ支払ヲ請求シタル場合ニ於テ支払ノ拒絶アリタルトキハ歳入ハ初ヨリ納付ナカリシモノト看做ス
第三条 前条ノ場合ニ於テハ出納官吏、金庫又ハ市町村ハ納人ニ対シ遅滞ナク書面ヲ以テ証券ノ支払ナカリシ旨及其ノ証券ノ還付ヲ請求スヘキ旨ヲ通知スヘシ
前項ノ通知書ヲ受クヘキ者其ノ受取ヲ拒ミタルトキ又ハ住所、居所不明ナルトキハ通知書記載ノ要旨ヲ公告スヘシ
第一項ノ通知書ヲ発シタル日又ハ第二項ノ公告ヲ為シタル日ヨリ一年ヲ経過シタルトキハ納人ハ証券ノ還付ヲ請求スルコトヲ得ス
第四条 出納官吏、金庫又ハ市町村ノ受領シタル証券ノ取扱ニ関シテハ大蔵大臣ノ定ムル所ニ依ル
第五条 証券ヲ以テ納付シ得ル歳入ノ種目ハ主管大臣之ヲ定ム
第六条 大蔵大臣ハ証券ノ金額、種類又ハ納付場所ニ依リ其ノ納付ニ関シ制限ヲ加フルコトヲ得
主管大臣ハ前項ノ規定ニ依リ大蔵大臣ノ定メタルモノノ外主管歳入ノ納付ニ付更ニ制限ヲ加フルノ必要アリト認ムルトキハ大蔵大臣ト協議シテ之ヲ定ムルコトヲ得
第七条 市町村ニ於テ大正五年法律第十号第三条第二項ノ規定ニ依リ責任ノ免除ヲ請ハムトスルトキハ地方長官ヲ経由シテ主管大臣ニ申請書ヲ提出スヘシ
地方長官前項ノ申請書ヲ受ケタルトキハ事実ヲ調査シ意見ヲ具シテ主管大臣ニ送付スヘシ
第八条 本令中市町村ニ関スル規定ハ法令ニ依リ租税其ノ他ノ歳入ヲ徴収シ其ノ徴収金ヲ国庫ニ送付スヘキ責任アル者ニ之ヲ準用ス
第九条 本令中主管大臣ノ職務ハ朝鮮総督府ニ在リテハ朝鮮総督台湾総督府ニ在リテハ台湾総督、関東都督府ニ在リテハ関東都督之ヲ行フ但シ第六条第二項ノ場合ニ於テハ主管大臣ヲ経由スルコトヲ要ス
本令中地方長官ノ職務ハ朝鮮ニ在リテハ道長官、台湾ニ在リテハ庁長之ヲ行フ
附 則
本令ハ大正六年一月一日ヨリ之ヲ施行ス
明治三十八年勅令第三十四号ハ之ヲ廃止ス