第一條 白令海、勘察加海、「オコツク」海及日本海ヲ包含スル北緯三十度以北ノ北太平洋ニ於テハ膃肭獸ノ獵獲ヲ爲スコトヲ得ス
帝國ノ海岸ヨリ三海里ヲ超ユル前項ノ海面ニ於テハ臘虎ノ獵獲ヲ爲スコトヲ得ス
第二條 膃肭獸ノ陸上獵獲及帝國ノ海岸ヨリ三海里ヲ超エサル範圍內ニ於ケル臘虎ノ獵獲ハ政府ニ專屬ス
第三條 臘虎膃肭獸又ハ其ノ獸皮ハ之ヲ帝國內ニ輸入又ハ移致スルコトヲ得ス但シ命令ヲ以テ定ムルモノハ此ノ限ニ在ラス
第四條 海軍艦艇乘組將校、警察官吏、港務官吏、稅關官吏其ノ他特ニ命令ヲ受ケタル官吏ハ必要アリト認ムルトキハ船舶店舖其ノ他ノ場所ニ臨檢シ、帳簿物件ヲ檢査シ又ハ本法ニ違反スル行爲アリト認ムルトキハ船舶船具獵具船籍證書若ハ獵獲物ヲ差押ヘ、船員ヲ抑留シ若ハ之ヲ相當官吏ニ引致スルコトヲ得
第五條 第一條ノ規定ニ違反シ又ハ私ニ第二條ノ獵獲ヲ爲シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ犯罪若ハ其ノ準備ノ爲土地家屋船舶其ノ他ノ物件ヲ使用シ若ハ使用セシメタル者又ハ第三條ノ規定ニ違反シタル者ハ罰前項ニ同シ
第六條 前條第一項ノ犯罪行爲ニ供シタル船舶船具獵具及本法ニ違反シテ獵獲輸入又ハ移致シタル臘虎膃肭獸又ハ其ノ獸皮ニシテ犯人ノ所有スルモノハ之ヲ沒收ス若其ノ全部又ハ一部ヲ沒收スルコト能ハサルトキハ其ノ價額ヲ追徵ス
第七條 第四條ノ規定ニ依ル職務ノ執行ヲ拒ミ、之ヲ妨ケ若ハ忌避シ又ハ當該官吏ノ尋問ニ對シ答辯ヲ爲サス若ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シタル者ハ三百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第八條 本法ハ命令ノ定ムル所ニ依リ「アイノ」人ニ之ヲ適用セサルコトヲ得