朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル臘虎膃肭獸獵獲禁止ニ關スル法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十五年四月二十日
內閣總理大臣 侯爵 西園寺公望
農商務大臣 男爵 牧野伸顯
法律第二十一號
第一條 白令海、勘察加海、「オコツク」海及日本海ヲ包含スル北緯三十度以北ノ北太平洋ニ於テハ膃肭獸ノ獵獲ヲ爲スコトヲ得ス
帝國ノ海岸ヨリ三海里ヲ超ユル前項ノ海面ニ於テハ臘虎ノ獵獲ヲ爲スコトヲ得ス
第二條 膃肭獸ノ陸上獵獲及帝國ノ海岸ヨリ三海里ヲ超エサル範圍內ニ於ケル臘虎ノ獵獲ハ政府ニ專屬ス
第三條 臘虎膃肭獸又ハ其ノ獸皮ハ之ヲ帝國內ニ輸入又ハ移致スルコトヲ得ス但シ命令ヲ以テ定ムルモノハ此ノ限ニ在ラス
第四條 海軍艦艇乘組將校、警察官吏、港務官吏、稅關官吏其ノ他特ニ命令ヲ受ケタル官吏ハ必要アリト認ムルトキハ船舶店舖其ノ他ノ場所ニ臨檢シ、帳簿物件ヲ檢査シ又ハ本法ニ違反スル行爲アリト認ムルトキハ船舶船具獵具船籍證書若ハ獵獲物ヲ差押ヘ、船員ヲ抑留シ若ハ之ヲ相當官吏ニ引致スルコトヲ得
第五條 第一條ノ規定ニ違反シ又ハ私ニ第二條ノ獵獲ヲ爲シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ犯罪若ハ其ノ準備ノ爲土地家屋船舶其ノ他ノ物件ヲ使用シ若ハ使用セシメタル者又ハ第三條ノ規定ニ違反シタル者ハ罰前項ニ同シ
第六條 前條第一項ノ犯罪行爲ニ供シタル船舶船具獵具及本法ニ違反シテ獵獲輸入又ハ移致シタル臘虎膃肭獸又ハ其ノ獸皮ニシテ犯人ノ所有スルモノハ之ヲ沒收ス若其ノ全部又ハ一部ヲ沒收スルコト能ハサルトキハ其ノ價額ヲ追徵ス
第七條 第四條ノ規定ニ依ル職務ノ執行ヲ拒ミ、之ヲ妨ケ若ハ忌避シ又ハ當該官吏ノ尋問ニ對シ答辯ヲ爲サス若ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シタル者ハ三百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第八條 本法ハ命令ノ定ムル所ニ依リ「アイノ」人ニ之ヲ適用セサルコトヲ得
附 則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
臘虎膃肭獸獵法ハ之ヲ廢止ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル臘虎膃肭獣猟獲禁止ニ関スル法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十五年四月二十日
内閣総理大臣 侯爵 西園寺公望
農商務大臣 男爵 牧野伸顕
法律第二十一号
第一条 白令海、勘察加海、「オコツク」海及日本海ヲ包含スル北緯三十度以北ノ北太平洋ニ於テハ膃肭獣ノ猟獲ヲ為スコトヲ得ス
帝国ノ海岸ヨリ三海里ヲ超ユル前項ノ海面ニ於テハ臘虎ノ猟獲ヲ為スコトヲ得ス
第二条 膃肭獣ノ陸上猟獲及帝国ノ海岸ヨリ三海里ヲ超エサル範囲内ニ於ケル臘虎ノ猟獲ハ政府ニ専属ス
第三条 臘虎膃肭獣又ハ其ノ獣皮ハ之ヲ帝国内ニ輸入又ハ移致スルコトヲ得ス但シ命令ヲ以テ定ムルモノハ此ノ限ニ在ラス
第四条 海軍艦艇乗組将校、警察官吏、港務官吏、税関官吏其ノ他特ニ命令ヲ受ケタル官吏ハ必要アリト認ムルトキハ船舶店舗其ノ他ノ場所ニ臨検シ、帳簿物件ヲ検査シ又ハ本法ニ違反スル行為アリト認ムルトキハ船舶船具猟具船籍証書若ハ猟獲物ヲ差押ヘ、船員ヲ抑留シ若ハ之ヲ相当官吏ニ引致スルコトヲ得
第五条 第一条ノ規定ニ違反シ又ハ私ニ第二条ノ猟獲ヲ為シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ五千円以下ノ罰金ニ処ス
前項ノ犯罪若ハ其ノ準備ノ為土地家屋船舶其ノ他ノ物件ヲ使用シ若ハ使用セシメタル者又ハ第三条ノ規定ニ違反シタル者ハ罰前項ニ同シ
第六条 前条第一項ノ犯罪行為ニ供シタル船舶船具猟具及本法ニ違反シテ猟獲輸入又ハ移致シタル臘虎膃肭獣又ハ其ノ獣皮ニシテ犯人ノ所有スルモノハ之ヲ没収ス若其ノ全部又ハ一部ヲ没収スルコト能ハサルトキハ其ノ価額ヲ追徴ス
第七条 第四条ノ規定ニ依ル職務ノ執行ヲ拒ミ、之ヲ妨ケ若ハ忌避シ又ハ当該官吏ノ尋問ニ対シ答弁ヲ為サス若ハ虚偽ノ陳述ヲ為シタル者ハ三百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
第八条 本法ハ命令ノ定ムル所ニ依リ「アイノ」人ニ之ヲ適用セサルコトヲ得
附 則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
臘虎膃肭獣猟法ハ之ヲ廃止ス