朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル工場法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十四年三月二十八日
內閣總理大臣 侯爵 桂太郞
內務大臣 法學博士 男爵 平田東助
農商務大臣 男爵 大浦兼武
法律第四十六號
工場法
第一條 本法ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル工場ニ之ヲ適用ス
一 常時十五人以上ノ職工ヲ使用スルモノ
二 事業ノ性質危險ナルモノ又ハ衞生上有害ノ虞アルモノ
本法ノ適用ヲ必要トセサル工場ハ勅令ヲ以テ之ヲ除外スルコトヲ得
第二條 工業主ハ十二歲未滿ノ者ヲシテ工場ニ於テ就業セシムルコトヲ得ス但シ本法施行ノ際十歲以上ノ者ヲ引續キ就業セシムル場合ハ此ノ限ニ在ラス
行政官廳ハ輕易ナル業務ニ付就業ニ關スル條件ヲ附シテ十歲以上ノ者ノ就業ヲ許可スルコトヲ得
第三條 工業主ハ十五歲未滿ノ者及女子ヲシテ一日ニ付十二時間ヲ超エテ就業セシムルコトヲ得ス
主務大臣ハ業務ノ種類ニ依リ本法施行後十五年間ヲ限リ前項ノ就業時間ヲ二時間以內延長スルコトヲ得
就業時間ハ工場ヲ異ニスル場合ト雖前二項ノ規定ノ適用ニ付テハ之ヲ通算ス
第四條 工業主ハ十五歲未滿ノ者及女子ヲシテ午後十時ヨリ午前四時ニ至ル間ニ於テ就業セシムルコトヲ得ス
第五條 左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ前條ノ規定ヲ適用セス但シ本法施行十五年後ハ十四歲未滿ノ者及二十歲未滿ノ女子ヲシテ午後十時ヨリ午前四時ニ至ル間ニ於テ就業セシムルコトヲ得ス
一 一時ニ作業ヲ爲スコトヲ必要トスル特種ノ事由アル業務ニ就カシムルトキ
二 夜間ノ作業ヲ必要トスル特種ノ事由アル業務ニ就カシムルトキ
三 晝夜連續作業ヲ必要トスル特種ノ事由アル業務ニ職工ヲ二組以上ニ分チ交替ニ就業セシムルトキ
前項ニ揭ケタル業務ノ種類ハ主務大臣之ヲ指定ス
第六條 職工ヲ二組以上ニ分チ交替ニ就業セシムル場合ニ於テハ本法施行後十五年間第四條ノ規定ヲ適用セス
第七條 工業主ハ十五歲未滿ノ者及女子ニ對シ每月少クトモ二囘ノ休日ヲ設ケ、職工ヲ二組ニ分チ交替ニ午後十時ヨリ午前四時ニ至ル間ニ於テ就業セシムル場合及第五條第一項第二號ニ該當スル場合ニ於テハ少クトモ四囘ノ休日ヲ設ケ又一日ノ就業時間カ六時間ヲ超ユルトキハ少クトモ三十分、十時間ヲ超ユルトキハ少クトモ一時間ノ休憩時間ヲ就業時間中ニ於テ設クヘシ
職工ヲ二組以上ニ分チ交替ニ午後十時ヨリ午前四時ニ至ル間ニ於テ就業セシムルトキハ十日ヲ超エサル期間每ニ其ノ就業時ヲ轉換スヘシ
第八條 天災事變ノ爲又ハ事變ノ虞アル爲必要アル場合ニ於テハ主務大臣ハ事業ノ種類及地域ヲ限リ第三條乃至第五條及前條ノ規定ノ適用ヲ停止スルコトヲ得
避クヘカラサル事由ニ因リ臨時必要アル場合ニ於テハ工業主ハ行政官廳ノ許可ヲ得テ期間ヲ限リ第三條ノ規定ニ拘ラス就業時間ヲ延長シ、第四條及第五條ノ規定ニ拘ラス職工ヲ就業セシメ又ハ前條ノ休日ヲ廢スルコトヲ得
臨時必要アル場合ニ於テハ工業主ハ其ノ都度豫メ行政官廳ニ屆出テ一月ニ付七日ヲ超エサル期間就業時間ヲ二時間以內延長スルコトヲ得
季節ニ依リ繁忙ナル事業ニ付テハ工業主ハ一定ノ期間ニ付豫メ行政官廳ノ認可ヲ受ケ其ノ期間中一年ニ付百二十日ノ割合ヲ超エサル限リ就業時間ヲ一時間以內延長スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ認可ヲ受ケタル期間內ハ前項ノ規定ヲ適用セス
第九條 工業主ハ十五歲未滿ノ者及女子ヲシテ運轉中ノ機械若ハ動力傳導裝置ノ危險ナル部分ノ掃除、注油、檢査若ハ修繕ヲ爲サシメ又ハ運轉中ノ機械若ハ動力傳導裝置ニ調帶、調索ノ取附ケ若ハ取外シヲ爲サシメ其ノ他危險ナル業務ニ就カシムルコトヲ得ス
第十條 工業主ハ十五歲未滿ノ者ヲシテ毒藥、劇藥其ノ他有害料品又ハ爆發性發火性若ハ引火性ノ料品ヲ取扱フ業務及著シク塵埃、粉末ヲ飛散シ又ハ有害瓦斯ヲ發散スル場所ニ於ケル業務其ノ他危險又ハ衞生上有害ナル場所ニ於ケル業務ニ就カシムルコトヲ得ス
第十一條 前二條ニ揭ケタル業務ノ範圍ハ主務大臣之ヲ定ム
前條ノ規定ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ十五歲以上ノ女子ニ付之ヲ適用スルコトヲ得
第十二條 主務大臣ハ病者又ハ產婦ノ就業ニ付制限又ハ禁止ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第十三條 行政官廳ハ命令ノ定ムル所ニ依リ工場及附屬建設物竝設備カ危害ヲ生シ又ハ衞生、風紀其ノ他公益ヲ害スル虞アリト認ムルトキハ豫防又ハ除害ノ爲必要ナル事項ヲ工業主ニ命シ必要ト認ムルトキハ其ノ全部又ハ一部ノ使用ヲ停止スルコトヲ得
第十四條 當該官吏ハ工場又ハ其ノ附屬建設物ニ臨檢スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ證票ヲ携帶スヘシ
第十五條 職工自己ノ重大ナル過失ニ依ラスシテ業務上負傷シ、疾病ニ罹リ又ハ死亡シタルトキハ工業主ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ本人又ハ其ノ遺族ヲ扶助スヘシ
第十六條 職工徒弟、職工徒弟タラムトスル者若ハ工業主又ハ其ノ法定代理人若ハ工場管理人ハ職工徒弟又ハ職工徒弟タラムトスル者ノ戶籍ニ關シ戶籍吏ニ對シ無償ニテ證明ヲ求ムルコトヲ得
第十七條 職工ノ雇入、解雇、周旋ノ取締及徒弟ニ關スル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八條 工業主ハ工場ニ付一切ノ權限ヲ有スル工場管理人ヲ選任スルコトヲ得
工業主本法施行區域內ニ居住セサルトキハ工場管理人ヲ選任スルコトヲ要ス
工場管理人ノ選任ハ行政官廳ノ認可ヲ受クヘシ但シ法人ノ理事、會社ノ業務ヲ執行スル社員、會社ヲ代表スル社員、取締役、業務擔當社員其ノ他法令ノ規定ニ依リ法人ヲ代表スル者及支配人ノ中ヨリ選任スル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第十九條 前條ノ工場管理人ハ本法及本法ニ基キテ發スル命令ノ適用ニ付テハ工業主ニ代ルモノトス但シ第十五條ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
工業主營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有セサル未成年者若ハ禁治產者ナル場合又ハ法人ナル場合ニ於テ工場管理人ナキトキハ其ノ法定代理人又ハ理事、業務ヲ執行スル社員、會社ヲ代表スル社員、取締役、業務擔當社員其ノ他法令ノ規定ニ依リ法人ヲ代表スル者ニ付亦前項ニ同シ
第二十條 第二條乃至第五條、第七條、第九條又ハ第十條ノ規定ニ違反シタル者及第十三條ノ規定ニ依ル處分ニ從ハサル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十一條 正當ノ理由ナクシテ當該官吏ノ臨檢ヲ拒ミ若ハ之ヲ妨ケ若ハ其ノ訊問ニ對シ答辯ヲ爲ササル者ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十二條 工業主又ハ第十九條ニ依リ工業主ニ代ル者ハ其ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ニシテ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反スル所爲ヲ爲シタルトキハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ス但シ工場ノ管理ニ付相當ノ注意ヲ爲シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
工業主又ハ第十九條ニ依リ工業主ニ代ル者ハ職工ノ年齡ヲ知ラサルノ故ヲ以テ本法ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ス但シ工業主又ハ第十九條ニ依リ工業主ニ代ル者及取扱者ニ過失ナカリシ場合ハ此ノ限ニ在ラス
第二十三條 本法ニ依ル行政官廳ノ處分ニ不服アル者ハ訴願ヲ提起シ違法ニ權利ヲ傷害セラレタリトスルトキハ行政訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第二十四條 主務大臣ハ第一條ニ該當セサル工場ニシテ原動力ヲ用フルモノニ付テハ第九條、第十一條、第十三條、第十四條、第十六條及第十八條乃至第二十三條ノ規定ヲ適用スルコトヲ得
第二十五條 本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ハ工場管理人ニ關スル規定及罰則ヲ除クノ外官立又ハ公立ノ工場ニ之ヲ適用ス
官立工場ニ關シテハ所轄官廳ハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依リ行政官廳ニ屬スル職務ヲ行フ
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル工場法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十四年三月二十八日
内閣総理大臣 侯爵 桂太郎
内務大臣 法学博士 男爵 平田東助
農商務大臣 男爵 大浦兼武
法律第四十六号
工場法
第一条 本法ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル工場ニ之ヲ適用ス
一 常時十五人以上ノ職工ヲ使用スルモノ
二 事業ノ性質危険ナルモノ又ハ衛生上有害ノ虞アルモノ
本法ノ適用ヲ必要トセサル工場ハ勅令ヲ以テ之ヲ除外スルコトヲ得
第二条 工業主ハ十二歳未満ノ者ヲシテ工場ニ於テ就業セシムルコトヲ得ス但シ本法施行ノ際十歳以上ノ者ヲ引続キ就業セシムル場合ハ此ノ限ニ在ラス
行政官庁ハ軽易ナル業務ニ付就業ニ関スル条件ヲ附シテ十歳以上ノ者ノ就業ヲ許可スルコトヲ得
第三条 工業主ハ十五歳未満ノ者及女子ヲシテ一日ニ付十二時間ヲ超エテ就業セシムルコトヲ得ス
主務大臣ハ業務ノ種類ニ依リ本法施行後十五年間ヲ限リ前項ノ就業時間ヲ二時間以内延長スルコトヲ得
就業時間ハ工場ヲ異ニスル場合ト雖前二項ノ規定ノ適用ニ付テハ之ヲ通算ス
第四条 工業主ハ十五歳未満ノ者及女子ヲシテ午後十時ヨリ午前四時ニ至ル間ニ於テ就業セシムルコトヲ得ス
第五条 左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ前条ノ規定ヲ適用セス但シ本法施行十五年後ハ十四歳未満ノ者及二十歳未満ノ女子ヲシテ午後十時ヨリ午前四時ニ至ル間ニ於テ就業セシムルコトヲ得ス
一 一時ニ作業ヲ為スコトヲ必要トスル特種ノ事由アル業務ニ就カシムルトキ
二 夜間ノ作業ヲ必要トスル特種ノ事由アル業務ニ就カシムルトキ
三 昼夜連続作業ヲ必要トスル特種ノ事由アル業務ニ職工ヲ二組以上ニ分チ交替ニ就業セシムルトキ
前項ニ掲ケタル業務ノ種類ハ主務大臣之ヲ指定ス
第六条 職工ヲ二組以上ニ分チ交替ニ就業セシムル場合ニ於テハ本法施行後十五年間第四条ノ規定ヲ適用セス
第七条 工業主ハ十五歳未満ノ者及女子ニ対シ毎月少クトモ二回ノ休日ヲ設ケ、職工ヲ二組ニ分チ交替ニ午後十時ヨリ午前四時ニ至ル間ニ於テ就業セシムル場合及第五条第一項第二号ニ該当スル場合ニ於テハ少クトモ四回ノ休日ヲ設ケ又一日ノ就業時間カ六時間ヲ超ユルトキハ少クトモ三十分、十時間ヲ超ユルトキハ少クトモ一時間ノ休憩時間ヲ就業時間中ニ於テ設クヘシ
職工ヲ二組以上ニ分チ交替ニ午後十時ヨリ午前四時ニ至ル間ニ於テ就業セシムルトキハ十日ヲ超エサル期間毎ニ其ノ就業時ヲ転換スヘシ
第八条 天災事変ノ為又ハ事変ノ虞アル為必要アル場合ニ於テハ主務大臣ハ事業ノ種類及地域ヲ限リ第三条乃至第五条及前条ノ規定ノ適用ヲ停止スルコトヲ得
避クヘカラサル事由ニ因リ臨時必要アル場合ニ於テハ工業主ハ行政官庁ノ許可ヲ得テ期間ヲ限リ第三条ノ規定ニ拘ラス就業時間ヲ延長シ、第四条及第五条ノ規定ニ拘ラス職工ヲ就業セシメ又ハ前条ノ休日ヲ廃スルコトヲ得
臨時必要アル場合ニ於テハ工業主ハ其ノ都度予メ行政官庁ニ届出テ一月ニ付七日ヲ超エサル期間就業時間ヲ二時間以内延長スルコトヲ得
季節ニ依リ繁忙ナル事業ニ付テハ工業主ハ一定ノ期間ニ付予メ行政官庁ノ認可ヲ受ケ其ノ期間中一年ニ付百二十日ノ割合ヲ超エサル限リ就業時間ヲ一時間以内延長スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ認可ヲ受ケタル期間内ハ前項ノ規定ヲ適用セス
第九条 工業主ハ十五歳未満ノ者及女子ヲシテ運転中ノ機械若ハ動力伝導装置ノ危険ナル部分ノ掃除、注油、検査若ハ修繕ヲ為サシメ又ハ運転中ノ機械若ハ動力伝導装置ニ調帯、調索ノ取附ケ若ハ取外シヲ為サシメ其ノ他危険ナル業務ニ就カシムルコトヲ得ス
第十条 工業主ハ十五歳未満ノ者ヲシテ毒薬、劇薬其ノ他有害料品又ハ爆発性発火性若ハ引火性ノ料品ヲ取扱フ業務及著シク塵埃、粉末ヲ飛散シ又ハ有害瓦斯ヲ発散スル場所ニ於ケル業務其ノ他危険又ハ衛生上有害ナル場所ニ於ケル業務ニ就カシムルコトヲ得ス
第十一条 前二条ニ掲ケタル業務ノ範囲ハ主務大臣之ヲ定ム
前条ノ規定ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ十五歳以上ノ女子ニ付之ヲ適用スルコトヲ得
第十二条 主務大臣ハ病者又ハ産婦ノ就業ニ付制限又ハ禁止ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第十三条 行政官庁ハ命令ノ定ムル所ニ依リ工場及附属建設物並設備カ危害ヲ生シ又ハ衛生、風紀其ノ他公益ヲ害スル虞アリト認ムルトキハ予防又ハ除害ノ為必要ナル事項ヲ工業主ニ命シ必要ト認ムルトキハ其ノ全部又ハ一部ノ使用ヲ停止スルコトヲ得
第十四条 当該官吏ハ工場又ハ其ノ附属建設物ニ臨検スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ証票ヲ携帯スヘシ
第十五条 職工自己ノ重大ナル過失ニ依ラスシテ業務上負傷シ、疾病ニ罹リ又ハ死亡シタルトキハ工業主ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ本人又ハ其ノ遺族ヲ扶助スヘシ
第十六条 職工徒弟、職工徒弟タラムトスル者若ハ工業主又ハ其ノ法定代理人若ハ工場管理人ハ職工徒弟又ハ職工徒弟タラムトスル者ノ戸籍ニ関シ戸籍吏ニ対シ無償ニテ証明ヲ求ムルコトヲ得
第十七条 職工ノ雇入、解雇、周旋ノ取締及徒弟ニ関スル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八条 工業主ハ工場ニ付一切ノ権限ヲ有スル工場管理人ヲ選任スルコトヲ得
工業主本法施行区域内ニ居住セサルトキハ工場管理人ヲ選任スルコトヲ要ス
工場管理人ノ選任ハ行政官庁ノ認可ヲ受クヘシ但シ法人ノ理事、会社ノ業務ヲ執行スル社員、会社ヲ代表スル社員、取締役、業務担当社員其ノ他法令ノ規定ニ依リ法人ヲ代表スル者及支配人ノ中ヨリ選任スル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第十九条 前条ノ工場管理人ハ本法及本法ニ基キテ発スル命令ノ適用ニ付テハ工業主ニ代ルモノトス但シ第十五条ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
工業主営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有セサル未成年者若ハ禁治産者ナル場合又ハ法人ナル場合ニ於テ工場管理人ナキトキハ其ノ法定代理人又ハ理事、業務ヲ執行スル社員、会社ヲ代表スル社員、取締役、業務担当社員其ノ他法令ノ規定ニ依リ法人ヲ代表スル者ニ付亦前項ニ同シ
第二十条 第二条乃至第五条、第七条、第九条又ハ第十条ノ規定ニ違反シタル者及第十三条ノ規定ニ依ル処分ニ従ハサル者ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
第二十一条 正当ノ理由ナクシテ当該官吏ノ臨検ヲ拒ミ若ハ之ヲ妨ケ若ハ其ノ訊問ニ対シ答弁ヲ為ササル者ハ三百円以下ノ罰金ニ処ス
第二十二条 工業主又ハ第十九条ニ依リ工業主ニ代ル者ハ其ノ代理人、戸主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ従業者ニシテ本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ違反スル所為ヲ為シタルトキハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免ルルコトヲ得ス但シ工場ノ管理ニ付相当ノ注意ヲ為シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
工業主又ハ第十九条ニ依リ工業主ニ代ル者ハ職工ノ年齢ヲ知ラサルノ故ヲ以テ本法ノ処罰ヲ免ルルコトヲ得ス但シ工業主又ハ第十九条ニ依リ工業主ニ代ル者及取扱者ニ過失ナカリシ場合ハ此ノ限ニ在ラス
第二十三条 本法ニ依ル行政官庁ノ処分ニ不服アル者ハ訴願ヲ提起シ違法ニ権利ヲ傷害セラレタリトスルトキハ行政訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第二十四条 主務大臣ハ第一条ニ該当セサル工場ニシテ原動力ヲ用フルモノニ付テハ第九条、第十一条、第十三条、第十四条、第十六条及第十八条乃至第二十三条ノ規定ヲ適用スルコトヲ得
第二十五条 本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ハ工場管理人ニ関スル規定及罰則ヲ除クノ外官立又ハ公立ノ工場ニ之ヲ適用ス
官立工場ニ関シテハ所轄官庁ハ本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ依リ行政官庁ニ属スル職務ヲ行フ
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム