朕專賣鹽特別定價賣渡及交付金下付規則ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十八年五月八日
大藏大臣 男爵 曾禰荒助
勅令第百五十七號
專賣鹽特別定價賣渡及交付金下付規則
第一條 鹽專賣法第十九條第一項第二號ニ依リ特別定價ヲ以テ賣渡スコトヲ得ル鹽ハ左ノ用途ニ使用スルモノニ限ル
一 醬油釀造用但シ普通醬油ノ番醬油及自家用醬油釀造ニ使用スルモノヲ除ク
二 曹達、硫酸曹達、晒粉、石鹼製造用
三 肥料用
四 獸皮保存用
五 鑛業用
六 鮭、鱒、鱈、鯨、膃肭獸鹽藏用
第二條 外國ニ輸出スル爲又ハ第一條第一號若ハ第六號ノ用途ニ使用スル爲特別定價ヲ以テ鹽ノ賣渡ヲ請求スルコトヲ得ル者ハ輸出者、醬油釀造者又ハ第一條第六號ノ用途ニ使用スル者ニ限ル
第三條 外國ニ輸出スル爲特別定價ヲ以テ鹽ノ賣渡ヲ受ケムトスル者ハ鹽ノ數量、等級、輸出港及輸出先ヲ記載シタル賣渡請求書ヲ鹽務局ニ提出スヘシ
第四條 第一條第一號乃至第六號ノ用途ニ使用スル爲特別定價ヲ以テ鹽ノ賣渡ヲ受ケムトスル者ハ鹽ノ數量、等級、用途及使用場所ヲ記載シタル賣渡請求書ヲ鹽務局ニ提出スヘシ但シ醬油釀造ニ使用セムトスル場合ニ在リテハ普通醬油又ハ溜醬油釀造用ノ區別、第一條第六號ノ用途ニ使用セムトスル鹽ヲ以テ帝國外ニ於テ鹽藏セムトスル場合ニ在リテハ出漁船名及出港地名ヲモ記載スヘシ
第五條 溜醬油釀造又ハ第一條第六號ノ用途ニ使用スル鹽ニ付テハ賣渡請求者ハ百斤ニ付金一圓三十錢ノ割合ニ依リ擔保ヲ提供スヘシ
前項ニ依リ提供スヘキ擔保物ハ金錢又ハ鹽務局長ノ確實ト認メタル有價證券ニ限ル
擔保ヲ提供セムトスル者ハ前項ノ擔保物ヲ供託シ其ノ供託受領證ヲ鹽務局ニ提出スヘシ
第六條 特別定價ヲ以テ賣渡シタル鹽ニシテ第一條第二號乃至第五號ノ用途ニ使用セラルルモノニ付テハ鹽務局ハ其ノ用途ニ從ヒ買受人ノ費用ヲ以テ鹽ノ重量百ニ對シ左ノ割合以上左記物品ノ一ヲ混和シ鹽ノ變性ヲ施スヘシ
一 曹達又ハ硫酸曹達製造用
酸性硫酸曹達 三
石油 〇、三
發煙鹽酸 二、五
苛性曹達 二、五
純硫酸 二
二 晒粉製造用
純硫酸 二
滿俺磺 一、五
三 石鹼製造用
石油 〇、三
的列並油 〇、三
石鹼粉末 一、五
椰子油 五
無水炭酸曹達 五
四 肥料用
煤 二
木炭粉末 二、五
五 獸皮保存用
石油 〇、三
石鹼粉末 一、五
硫酸鐵 四
木炭粉末 二、五
酸化鐵 〇、三
煤 二
六 鑛業用
木炭粉末 二、五
石油 〇、三
石炭粉末 二、五
褐炭粉末 二、五
煤 二
第七條 第一條第二號乃至第五號ノ用途ニ使用スル爲變性ヲ施シタル鹽ヲ除クノ外特別定價ヲ以テ賣渡ヲ受ケタル鹽ヲ運搬シ又ハ貯藏スルトキハ其ノ他ノ鹽ト之ヲ區別スヘシ
前項ノ場合ニ於テ必要ト認メタルトキハ當該官吏ハ其ノ鹽ニ封印ヲ施シ又ハ之ヲ護送スルコトアルヘシ
第八條 特別定價ヲ以テ鹽ノ賣渡ヲ受ケタル者賣渡請求書ニ記載シタル用途ヲ變更セムトスルトキハ其ノ事由ヲ具シ賣渡鹽務局ニ變更ノ許可ヲ出願スヘシ
外國ニ輸出スル爲又ハ第一條第一號若ハ第六號ノ用途ニ使用スル爲特別定價ヲ以テ賣渡ヲ受ケタル鹽ヲ第一條第二號乃至第五號ノ用途ニ使用スルノ出願ヲ爲シタル場合ニ於テハ第六條ノ規定ヲ準用ス
第九條 特別定價ヲ以テ賣渡シタル鹽ヲ外國輸出及第一條ノ用途以外ニ使用スルコトヲ許可スルトキハ鹽務局ハ賣渡當時ノ數量ニ依リ特別定價ト一般定價トノ差額ヲ追徵ス
外國ニ輸出スル爲特別定價ヲ以テ賣渡シタル鹽ヲ第一條ノ用途ニ使用スルコトヲ許可スルトキハ鹽務局ハ賣渡當時ノ數量ニ依リ其ノ各特別定價ノ差額ヲ追徵ス
第十條 特別定價ヲ以テ鹽ノ賣渡ヲ受ケタル者賣渡請求書ニ記載シタル輸出港、輸出先、使用場所、出漁船名又ハ出港地名ヲ變更セムトスルトキハ賣渡鹽務局ニ其ノ旨ヲ申吿スヘシ
第十一條 外國ニ輸出スル爲特別定價ヲ以テ賣渡ヲ受ケタル鹽ヲ外國ニ輸出セムトスルトキハ其ノ輸出申吿書ニ少クトモ鹽ノ數量、輸出先、積載スヘキ船舶名及其ノ內國寄港地ヲ記載スヘシ
前項ノ申吿アリタルトキハ稅關ハ鹽ノ數量ヲ檢定スヘシ
第十二條 第一條第一號ノ用途ニ使用スル爲特別定價ヲ以テ賣渡ヲ受ケタル鹽ヲ其ノ用途ニ使用セムトスルトキハ其ノ數量、使用ノ場所及日時ヲ定メ使用地所轄稅務署ニ使用ノ承認ヲ申請シ使用濟證明書ノ交付ヲ受クヘシ
前項ノ承認ヲ受ケタル者溜醬油ヲ釀造シタル場合ニ於テ所轄稅務署カ醬油ノ査定ヲ爲スニ當リ殘存スル味噌アルトキハ其ノ數量ヲ査定スヘシ
前項ノ場合ニ於テ賣渡鹽務局ハ殘存味噌百斤ニ付金十一錢五厘ノ割合ノ金額ヲ溜醬油釀造者ヨリ追徵ス
第十三條 第一條第六號ノ用途ニ使用スル爲特別定價ヲ以テ鹽ノ賣渡ヲ受ケタル者漁獲物ヲ鹽藏シタルトキハ漁獲物ノ數量、漁獲及鹽藏ノ場所竝漁獲物ノ移出先ヲ記載シタル申請書ヲ鹽藏地所轄鹽務局ニ提出シ鹽藏物ノ檢査ヲ經テ鹽使用濟證明書ノ交付ヲ受クヘシ但シ帝國外ニ於テ鹽藏シタルトキハ歸港ノ際其ノ申請書ヲ出港地所轄鹽務局ニ提出スヘシ
前項ニ依ル鹽藏物ノ檢査ハ鹽務局所在地又ハ鹽務局ノ指定シタル地ニ於テ之ヲ行フ
鹽務局ノ證明スル鹽使用濟數量ハ鹽藏物ノ重量百ニ對シ左ノ割合ヲ以テ之ヲ計算ス
鮭 六十五
鱒 七十五
鱈 四十
鯨 四十
膃肭獸 五十
第十四條 外國ニ輸出スル爲特別定價ヲ以テ鹽ノ賣渡ヲ受ケタル者ハ賣渡ノ日ヨリ六箇月以內ニ左ノ書類ヲ賣渡鹽務局ニ提出スヘシ
一 輸出免狀又ハ外國ニ輸出シタルコトヲ證明スヘキ書類
二 外國ニ陸揚シタルコトヲ證明スヘキ書類
第十五條 第一條第一號ノ用途ニ使用スル爲特別定價ヲ以テ鹽ノ賣渡ヲ受ケタル者ハ賣渡ノ日ヨリ一箇年以內ニ稅務署ノ交付シタル鹽使用濟證明書ヲ賣渡鹽務局ニ提出スヘシ
前項ノ場合ニ於テ賣渡ノ日ヨリ一箇年以內ニ鹽全部ノ使用濟證明書ヲ提出スルコト能ハサルトキハ其ノ事由ヲ具シ未使用鹽ニ付稅務署ノ承認ヲ申請シ其ノ證明書ノ交付ヲ受ケ之ヲ賣渡鹽務局ニ提出スヘシ此ノ場合ニ於テハ承認ヲ受ケタル未使用鹽ニ關シ其ノ承認ヲ受ケタル日ヨリ一箇年以內ニ鹽使用濟證明書ヲ提出スヘシ
第一條第六號ノ用途ニ使用スル爲特別定價ヲ以テ鹽ノ賣渡ヲ受ケタル者ハ賣渡ノ日ヨリ一箇年以內ニ鹽務局ノ交付シタル鹽使用濟證明書ヲ賣渡鹽務局ニ提出スヘシ
前項ノ場合ニ於テ使用シタル鹽ノ數量カ賣渡シタル鹽ノ數量ニ對シ不足シタルコトヲ認メタルトキハ賣渡鹽務局ハ其ノ不足額ニ對シ百斤ニ付金一圓三十錢ノ割合ノ金額ヲ賣渡請求者ヨリ追徵ス
第十六條 特別定價ヲ以テ鹽ノ賣渡ヲ受ケタル者左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ特別定價ト一般定價トノ差額及其ノ十分ノ一ニ相當スル金額ヲ追徵ス
一 外國ニ輸出スル爲又ハ第一條第一號若ハ第六號ノ用途ニ使用スル爲賣渡ヲ受ケタル鹽ヲ許可ヲ受ケスシテ他ニ讓渡シタルトキ
二 許可ヲ受ケスシテ賣渡請求書ニ記載シタル用途ヲ變更シタルトキ
三 第十一條ノ輸出申吿書ニ記載シタル寄港地以外ノ內國沿岸ニ寄港シタルトキ但シ海難其ノ他已ムヲ得サル事故アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス
四 第十四條又ハ第十五條ニ依リ提出スヘキ書類ヲ提出セサルトキ
外國ニ輸出スル爲又ハ第一條第一號若ハ第六號ノ用途ニ使用スル爲特別定價ヲ以テ賣渡ヲ受ケタル者ノ其ノ目的ニ供シタル鹽ノ數量カ賣渡シタル鹽ノ數量ニ對シ不足シタル場合ニ於テ正當ノ事由ナシト認メタルトキハ鹽務局ハ其ノ不足額ニ對シ前項ノ金額ヲ追徵スルコトヲ得但シ第十五條第二項ニ依リ承認ヲ受ケタル未使用鹽ハ其ノ不足額ニ算入セス
第十七條 第九條、第十二條、第十五條及前條ノ追徵金ニ關シテハ國稅徵收法及國稅徵收法施行規則ノ規定ヲ準用ス
第十八條 第五條ニ依リ提供シタル擔保ハ左ノ場合ニ於テ之ヲ解除ス
一 其ノ鹽ヲ以テ釀造シタル醬油全部ニ付査定ヲ受ケ殘存味噌ナキトキ又ハ殘存味噌ニ對スル追徵金ヲ納付シタルトキ
二 其ノ鹽ノ全部ヲ漁獲物鹽藏用ニ供シタルコトヲ證明セラレタルトキ又ハ其ノ不足額ニ對スル追徵金ヲ納付シタルトキ
第十九條 一般定價ヲ以テ賣渡ヲ受ケタル鹽ヲ左ノ目的ニ供シタル者ハ左ノ割合ヲ以テ交付金ノ下付ヲ政府ニ請求スルコトヲ得
一 外國ニ輸出シタルトキ
鹽 百斤ニ付金一圓四十八錢
二 其ノ鹽ヲ以テ鹽藏シタル鰊又ハ鯖ヲ輸出シタルトキ
鹽水漬鰊 百斤ニ付金七十四錢
鹽漬鰊 百斤ニ付金五十一錢
鹽水漬鯖 百斤ニ付金七十四錢
三 第一條第一號乃至第五號ノ用途ニ使用シタルトキ
生引溜醬油釀造用以外ノ用途
鹽 百斤ニ付金一圓三十錢
生引溜醬油釀造用
生引溜 一石ニ付金七十三錢
四 第一條第六號ノ用途ニ使用シタルトキ
鹽鮭 百斤ニ付金八十四錢
鹽鱒 百斤ニ付金九十七錢
鹽鱈 百斤ニ付金五十二錢
鹽鯨 百斤ニ付金五十二錢
鹽漬膃肭獸 百斤ニ付金六十五錢
第二十條 前條第一號又ハ第二號ニ依リ交付金ノ下付ヲ請求セムトスル者ハ申請書ニ左ノ書類ヲ添附シ之ヲ輸出港稅關ニ提出スヘシ
一 輸出免狀又ハ外國ニ輸出シタルコトヲ證明スヘキ書類
二 外國ニ陸揚シタルコトヲ證明スヘキ書類
第二十一條 第十九條第一號又ハ第二號ニ依リ交付金ノ下付ヲ請求セムトスル者ハ其ノ輸出申吿書ニ少クトモ鹽又ハ鹽藏魚類ノ數量、輸出先、積載スヘキ船舶名及其ノ內國寄港地ヲ記載スヘシ
前項ノ申吿アリタルトキハ稅關ハ鹽又ハ鹽藏魚類ノ數量ヲ檢定スヘシ
第二十二條 第十九條第三號ニ依リ交付金ノ下付ヲ請求セムトスル者ハ申請書ニ溜醬油釀造用以外ノ用途ニ使用スル場合ニ於テハ鹽使用證明書ヲ、溜醬油釀造ニ使用スル場合ニ於テハ鹽使用證明書及醬油査定證明書ヲ添附シ之ヲ使用地所轄鹽務局ニ提出スヘシ
第一條第二號乃至第五號ノ用途ニ使用スル鹽ニ付テハ鹽變性證明書ヲ以テ前項ノ鹽使用證明書ニ代フルコトヲ得
第二十三條 前條ノ鹽使用證明書又ハ醬油査定證明書ノ交付ヲ請求セムトスル者ハ鹽使用又ハ醬油査定ノ際申請書ヲ使用地所轄鹽務局又ハ稅務署ニ提出スヘシ
前條ノ鹽變性證明書ノ交付ヲ請求セムトスル者ハ鹽使用前申請書ヲ所轄鹽務局ニ提出スヘシ
前項ノ場合ニ於テハ鹽務局ハ第六條ニ準シ鹽ノ變性ヲ施スヘシ
第二十四條 帝國內又ハ帝國沿海ニ於テ漁獲ヲ爲ス者第十九條第四號ニ依リ交付金ノ下付ヲ請求セムトスルトキハ漁獲物ノ數量、漁獲及鹽藏ノ場所竝漁獲物ノ移出先ヲ記載シタル申請書ヲ鹽藏地所轄鹽務局ニ提出シ鹽藏物ノ檢査ヲ受クヘシ
前項ニ依ル鹽藏物ノ檢査ハ鹽務局所在地又ハ鹽務局ノ指定シタル地ニ於テ之ヲ行フ
第二十五條 遠洋又ハ外國若ハ外國ノ沿海ニ於テ漁獲ヲ爲ス者第十九條第四號ニ依リ交付金ノ下付ヲ請求セムトスルトキハ出漁前其ノ船舶名、寄港地、出漁先及積載鹽ノ數量ヲ記載シタル申吿書ヲ出港地所轄鹽務局ニ提出シ積載鹽ノ檢査ヲ受クヘシ
前項ニ依リ申吿ヲ爲シタル者歸港シタルトキハ申吿書ヲ提出シタル鹽務局所在地又ハ其ノ鹽務局ノ指定シタル地ニ到リ前條第一項ニ準シタル申請書ヲ提出シ漁獲物及殘存鹽ノ檢査ヲ受クヘシ
第二十六條 帝國內ヨリ出港シ帝國內他ノ場所又ハ其ノ沿海ニ於テ漁獲ヲ爲ス者出港地所轄ノ鹽務局ニ申出其ノ許可ヲ受ケタルトキハ交付金下付ノ出願ニ付前條ノ規定ニ依ルコトヲ得
第二十七條 左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ交付金ノ下付ヲ請求スルコトヲ得ス
一 外國ニ輸出シタル鹽又ハ鹽藏魚類ニ付テハ輸出後、溜醬油釀造用ヲ除クノ外第一條各號ノ用途ニ使用シタル鹽ニ付テハ使用後、溜醬油釀造ニ使用シタル鹽ニ付テハ醬油査定後六箇月ヲ經過シテ出願シタルトキ
二 外國ニ輸出スル鹽又ハ鹽藏魚類ニ付テハ一囘ノ輸出量千斤未滿、第一條第一號乃至第五號ノ用途ニ使用スル鹽ニ付テハ一囘ノ使用量五百斤未滿、鹽鮭、鹽鱒、鹽鱈、鹽鯨、鹽漬膃肭獸ニ付テハ一囘ノ檢査數量千斤未滿ナルモノニ關シテ出願シタルトキ
三 第二十一條ノ輸出申吿書又ハ第二十五條ノ申吿書ニ記載シタル寄港地以外ノ內國沿岸ニ寄港シタルトキ但シ海難其ノ他已ムヲ得サル事故アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス
附 則
本令ハ鹽專賣法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
朕専売塩特別定価売渡及交付金下付規則ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十八年五月八日
大蔵大臣 男爵 曽祢荒助
勅令第百五十七号
専売塩特別定価売渡及交付金下付規則
第一条 塩専売法第十九条第一項第二号ニ依リ特別定価ヲ以テ売渡スコトヲ得ル塩ハ左ノ用途ニ使用スルモノニ限ル
一 醬油醸造用但シ普通醬油ノ番醬油及自家用醬油醸造ニ使用スルモノヲ除ク
二 曹達、硫酸曹達、晒粉、石鹼製造用
三 肥料用
四 獣皮保存用
五 鉱業用
六 鮭、鱒、鱈、鯨、膃肭獣塩蔵用
第二条 外国ニ輸出スル為又ハ第一条第一号若ハ第六号ノ用途ニ使用スル為特別定価ヲ以テ塩ノ売渡ヲ請求スルコトヲ得ル者ハ輸出者、醬油醸造者又ハ第一条第六号ノ用途ニ使用スル者ニ限ル
第三条 外国ニ輸出スル為特別定価ヲ以テ塩ノ売渡ヲ受ケムトスル者ハ塩ノ数量、等級、輸出港及輸出先ヲ記載シタル売渡請求書ヲ塩務局ニ提出スヘシ
第四条 第一条第一号乃至第六号ノ用途ニ使用スル為特別定価ヲ以テ塩ノ売渡ヲ受ケムトスル者ハ塩ノ数量、等級、用途及使用場所ヲ記載シタル売渡請求書ヲ塩務局ニ提出スヘシ但シ醬油醸造ニ使用セムトスル場合ニ在リテハ普通醬油又ハ溜醬油醸造用ノ区別、第一条第六号ノ用途ニ使用セムトスル塩ヲ以テ帝国外ニ於テ塩蔵セムトスル場合ニ在リテハ出漁船名及出港地名ヲモ記載スヘシ
第五条 溜醬油醸造又ハ第一条第六号ノ用途ニ使用スル塩ニ付テハ売渡請求者ハ百斤ニ付金一円三十銭ノ割合ニ依リ担保ヲ提供スヘシ
前項ニ依リ提供スヘキ担保物ハ金銭又ハ塩務局長ノ確実ト認メタル有価証券ニ限ル
担保ヲ提供セムトスル者ハ前項ノ担保物ヲ供託シ其ノ供託受領証ヲ塩務局ニ提出スヘシ
第六条 特別定価ヲ以テ売渡シタル塩ニシテ第一条第二号乃至第五号ノ用途ニ使用セラルルモノニ付テハ塩務局ハ其ノ用途ニ従ヒ買受人ノ費用ヲ以テ塩ノ重量百ニ対シ左ノ割合以上左記物品ノ一ヲ混和シ塩ノ変性ヲ施スヘシ
一 曹達又ハ硫酸曹達製造用
酸性硫酸曹達 三
石油 〇、三
発煙塩酸 二、五
苛性曹達 二、五
純硫酸 二
二 晒粉製造用
純硫酸 二
満俺磺 一、五
三 石鹼製造用
石油 〇、三
的列並油 〇、三
石鹼粉末 一、五
椰子油 五
無水炭酸曹達 五
四 肥料用
煤 二
木炭粉末 二、五
五 獣皮保存用
石油 〇、三
石鹼粉末 一、五
硫酸鉄 四
木炭粉末 二、五
酸化鉄 〇、三
煤 二
六 鉱業用
木炭粉末 二、五
石油 〇、三
石炭粉末 二、五
褐炭粉末 二、五
煤 二
第七条 第一条第二号乃至第五号ノ用途ニ使用スル為変性ヲ施シタル塩ヲ除クノ外特別定価ヲ以テ売渡ヲ受ケタル塩ヲ運搬シ又ハ貯蔵スルトキハ其ノ他ノ塩ト之ヲ区別スヘシ
前項ノ場合ニ於テ必要ト認メタルトキハ当該官吏ハ其ノ塩ニ封印ヲ施シ又ハ之ヲ護送スルコトアルヘシ
第八条 特別定価ヲ以テ塩ノ売渡ヲ受ケタル者売渡請求書ニ記載シタル用途ヲ変更セムトスルトキハ其ノ事由ヲ具シ売渡塩務局ニ変更ノ許可ヲ出願スヘシ
外国ニ輸出スル為又ハ第一条第一号若ハ第六号ノ用途ニ使用スル為特別定価ヲ以テ売渡ヲ受ケタル塩ヲ第一条第二号乃至第五号ノ用途ニ使用スルノ出願ヲ為シタル場合ニ於テハ第六条ノ規定ヲ準用ス
第九条 特別定価ヲ以テ売渡シタル塩ヲ外国輸出及第一条ノ用途以外ニ使用スルコトヲ許可スルトキハ塩務局ハ売渡当時ノ数量ニ依リ特別定価ト一般定価トノ差額ヲ追徴ス
外国ニ輸出スル為特別定価ヲ以テ売渡シタル塩ヲ第一条ノ用途ニ使用スルコトヲ許可スルトキハ塩務局ハ売渡当時ノ数量ニ依リ其ノ各特別定価ノ差額ヲ追徴ス
第十条 特別定価ヲ以テ塩ノ売渡ヲ受ケタル者売渡請求書ニ記載シタル輸出港、輸出先、使用場所、出漁船名又ハ出港地名ヲ変更セムトスルトキハ売渡塩務局ニ其ノ旨ヲ申告スヘシ
第十一条 外国ニ輸出スル為特別定価ヲ以テ売渡ヲ受ケタル塩ヲ外国ニ輸出セムトスルトキハ其ノ輸出申告書ニ少クトモ塩ノ数量、輸出先、積載スヘキ船舶名及其ノ内国寄港地ヲ記載スヘシ
前項ノ申告アリタルトキハ税関ハ塩ノ数量ヲ検定スヘシ
第十二条 第一条第一号ノ用途ニ使用スル為特別定価ヲ以テ売渡ヲ受ケタル塩ヲ其ノ用途ニ使用セムトスルトキハ其ノ数量、使用ノ場所及日時ヲ定メ使用地所轄税務署ニ使用ノ承認ヲ申請シ使用済証明書ノ交付ヲ受クヘシ
前項ノ承認ヲ受ケタル者溜醬油ヲ醸造シタル場合ニ於テ所轄税務署カ醬油ノ査定ヲ為スニ当リ残存スル味噌アルトキハ其ノ数量ヲ査定スヘシ
前項ノ場合ニ於テ売渡塩務局ハ残存味噌百斤ニ付金十一銭五厘ノ割合ノ金額ヲ溜醬油醸造者ヨリ追徴ス
第十三条 第一条第六号ノ用途ニ使用スル為特別定価ヲ以テ塩ノ売渡ヲ受ケタル者漁獲物ヲ塩蔵シタルトキハ漁獲物ノ数量、漁獲及塩蔵ノ場所並漁獲物ノ移出先ヲ記載シタル申請書ヲ塩蔵地所轄塩務局ニ提出シ塩蔵物ノ検査ヲ経テ塩使用済証明書ノ交付ヲ受クヘシ但シ帝国外ニ於テ塩蔵シタルトキハ帰港ノ際其ノ申請書ヲ出港地所轄塩務局ニ提出スヘシ
前項ニ依ル塩蔵物ノ検査ハ塩務局所在地又ハ塩務局ノ指定シタル地ニ於テ之ヲ行フ
塩務局ノ証明スル塩使用済数量ハ塩蔵物ノ重量百ニ対シ左ノ割合ヲ以テ之ヲ計算ス
鮭 六十五
鱒 七十五
鱈 四十
鯨 四十
膃肭獣 五十
第十四条 外国ニ輸出スル為特別定価ヲ以テ塩ノ売渡ヲ受ケタル者ハ売渡ノ日ヨリ六箇月以内ニ左ノ書類ヲ売渡塩務局ニ提出スヘシ
一 輸出免状又ハ外国ニ輸出シタルコトヲ証明スヘキ書類
二 外国ニ陸揚シタルコトヲ証明スヘキ書類
第十五条 第一条第一号ノ用途ニ使用スル為特別定価ヲ以テ塩ノ売渡ヲ受ケタル者ハ売渡ノ日ヨリ一箇年以内ニ税務署ノ交付シタル塩使用済証明書ヲ売渡塩務局ニ提出スヘシ
前項ノ場合ニ於テ売渡ノ日ヨリ一箇年以内ニ塩全部ノ使用済証明書ヲ提出スルコト能ハサルトキハ其ノ事由ヲ具シ未使用塩ニ付税務署ノ承認ヲ申請シ其ノ証明書ノ交付ヲ受ケ之ヲ売渡塩務局ニ提出スヘシ此ノ場合ニ於テハ承認ヲ受ケタル未使用塩ニ関シ其ノ承認ヲ受ケタル日ヨリ一箇年以内ニ塩使用済証明書ヲ提出スヘシ
第一条第六号ノ用途ニ使用スル為特別定価ヲ以テ塩ノ売渡ヲ受ケタル者ハ売渡ノ日ヨリ一箇年以内ニ塩務局ノ交付シタル塩使用済証明書ヲ売渡塩務局ニ提出スヘシ
前項ノ場合ニ於テ使用シタル塩ノ数量カ売渡シタル塩ノ数量ニ対シ不足シタルコトヲ認メタルトキハ売渡塩務局ハ其ノ不足額ニ対シ百斤ニ付金一円三十銭ノ割合ノ金額ヲ売渡請求者ヨリ追徴ス
第十六条 特別定価ヲ以テ塩ノ売渡ヲ受ケタル者左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ特別定価ト一般定価トノ差額及其ノ十分ノ一ニ相当スル金額ヲ追徴ス
一 外国ニ輸出スル為又ハ第一条第一号若ハ第六号ノ用途ニ使用スル為売渡ヲ受ケタル塩ヲ許可ヲ受ケスシテ他ニ譲渡シタルトキ
二 許可ヲ受ケスシテ売渡請求書ニ記載シタル用途ヲ変更シタルトキ
三 第十一条ノ輸出申告書ニ記載シタル寄港地以外ノ内国沿岸ニ寄港シタルトキ但シ海難其ノ他已ムヲ得サル事故アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス
四 第十四条又ハ第十五条ニ依リ提出スヘキ書類ヲ提出セサルトキ
外国ニ輸出スル為又ハ第一条第一号若ハ第六号ノ用途ニ使用スル為特別定価ヲ以テ売渡ヲ受ケタル者ノ其ノ目的ニ供シタル塩ノ数量カ売渡シタル塩ノ数量ニ対シ不足シタル場合ニ於テ正当ノ事由ナシト認メタルトキハ塩務局ハ其ノ不足額ニ対シ前項ノ金額ヲ追徴スルコトヲ得但シ第十五条第二項ニ依リ承認ヲ受ケタル未使用塩ハ其ノ不足額ニ算入セス
第十七条 第九条、第十二条、第十五条及前条ノ追徴金ニ関シテハ国税徴収法及国税徴収法施行規則ノ規定ヲ準用ス
第十八条 第五条ニ依リ提供シタル担保ハ左ノ場合ニ於テ之ヲ解除ス
一 其ノ塩ヲ以テ醸造シタル醬油全部ニ付査定ヲ受ケ残存味噌ナキトキ又ハ残存味噌ニ対スル追徴金ヲ納付シタルトキ
二 其ノ塩ノ全部ヲ漁獲物塩蔵用ニ供シタルコトヲ証明セラレタルトキ又ハ其ノ不足額ニ対スル追徴金ヲ納付シタルトキ
第十九条 一般定価ヲ以テ売渡ヲ受ケタル塩ヲ左ノ目的ニ供シタル者ハ左ノ割合ヲ以テ交付金ノ下付ヲ政府ニ請求スルコトヲ得
一 外国ニ輸出シタルトキ
塩 百斤ニ付金一円四十八銭
二 其ノ塩ヲ以テ塩蔵シタル鰊又ハ鯖ヲ輸出シタルトキ
塩水漬鰊 百斤ニ付金七十四銭
塩漬鰊 百斤ニ付金五十一銭
塩水漬鯖 百斤ニ付金七十四銭
三 第一条第一号乃至第五号ノ用途ニ使用シタルトキ
生引溜醬油醸造用以外ノ用途
塩 百斤ニ付金一円三十銭
生引溜醬油醸造用
生引溜 一石ニ付金七十三銭
四 第一条第六号ノ用途ニ使用シタルトキ
塩鮭 百斤ニ付金八十四銭
塩鱒 百斤ニ付金九十七銭
塩鱈 百斤ニ付金五十二銭
塩鯨 百斤ニ付金五十二銭
塩漬膃肭獣 百斤ニ付金六十五銭
第二十条 前条第一号又ハ第二号ニ依リ交付金ノ下付ヲ請求セムトスル者ハ申請書ニ左ノ書類ヲ添附シ之ヲ輸出港税関ニ提出スヘシ
一 輸出免状又ハ外国ニ輸出シタルコトヲ証明スヘキ書類
二 外国ニ陸揚シタルコトヲ証明スヘキ書類
第二十一条 第十九条第一号又ハ第二号ニ依リ交付金ノ下付ヲ請求セムトスル者ハ其ノ輸出申告書ニ少クトモ塩又ハ塩蔵魚類ノ数量、輸出先、積載スヘキ船舶名及其ノ内国寄港地ヲ記載スヘシ
前項ノ申告アリタルトキハ税関ハ塩又ハ塩蔵魚類ノ数量ヲ検定スヘシ
第二十二条 第十九条第三号ニ依リ交付金ノ下付ヲ請求セムトスル者ハ申請書ニ溜醬油醸造用以外ノ用途ニ使用スル場合ニ於テハ塩使用証明書ヲ、溜醬油醸造ニ使用スル場合ニ於テハ塩使用証明書及醬油査定証明書ヲ添附シ之ヲ使用地所轄塩務局ニ提出スヘシ
第一条第二号乃至第五号ノ用途ニ使用スル塩ニ付テハ塩変性証明書ヲ以テ前項ノ塩使用証明書ニ代フルコトヲ得
第二十三条 前条ノ塩使用証明書又ハ醬油査定証明書ノ交付ヲ請求セムトスル者ハ塩使用又ハ醬油査定ノ際申請書ヲ使用地所轄塩務局又ハ税務署ニ提出スヘシ
前条ノ塩変性証明書ノ交付ヲ請求セムトスル者ハ塩使用前申請書ヲ所轄塩務局ニ提出スヘシ
前項ノ場合ニ於テハ塩務局ハ第六条ニ準シ塩ノ変性ヲ施スヘシ
第二十四条 帝国内又ハ帝国沿海ニ於テ漁獲ヲ為ス者第十九条第四号ニ依リ交付金ノ下付ヲ請求セムトスルトキハ漁獲物ノ数量、漁獲及塩蔵ノ場所並漁獲物ノ移出先ヲ記載シタル申請書ヲ塩蔵地所轄塩務局ニ提出シ塩蔵物ノ検査ヲ受クヘシ
前項ニ依ル塩蔵物ノ検査ハ塩務局所在地又ハ塩務局ノ指定シタル地ニ於テ之ヲ行フ
第二十五条 遠洋又ハ外国若ハ外国ノ沿海ニ於テ漁獲ヲ為ス者第十九条第四号ニ依リ交付金ノ下付ヲ請求セムトスルトキハ出漁前其ノ船舶名、寄港地、出漁先及積載塩ノ数量ヲ記載シタル申告書ヲ出港地所轄塩務局ニ提出シ積載塩ノ検査ヲ受クヘシ
前項ニ依リ申告ヲ為シタル者帰港シタルトキハ申告書ヲ提出シタル塩務局所在地又ハ其ノ塩務局ノ指定シタル地ニ到リ前条第一項ニ準シタル申請書ヲ提出シ漁獲物及残存塩ノ検査ヲ受クヘシ
第二十六条 帝国内ヨリ出港シ帝国内他ノ場所又ハ其ノ沿海ニ於テ漁獲ヲ為ス者出港地所轄ノ塩務局ニ申出其ノ許可ヲ受ケタルトキハ交付金下付ノ出願ニ付前条ノ規定ニ依ルコトヲ得
第二十七条 左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ交付金ノ下付ヲ請求スルコトヲ得ス
一 外国ニ輸出シタル塩又ハ塩蔵魚類ニ付テハ輸出後、溜醬油醸造用ヲ除クノ外第一条各号ノ用途ニ使用シタル塩ニ付テハ使用後、溜醬油醸造ニ使用シタル塩ニ付テハ醬油査定後六箇月ヲ経過シテ出願シタルトキ
二 外国ニ輸出スル塩又ハ塩蔵魚類ニ付テハ一回ノ輸出量千斤未満、第一条第一号乃至第五号ノ用途ニ使用スル塩ニ付テハ一回ノ使用量五百斤未満、塩鮭、塩鱒、塩鱈、塩鯨、塩漬膃肭獣ニ付テハ一回ノ検査数量千斤未満ナルモノニ関シテ出願シタルトキ
三 第二十一条ノ輸出申告書又ハ第二十五条ノ申告書ニ記載シタル寄港地以外ノ内国沿岸ニ寄港シタルトキ但シ海難其ノ他已ムヲ得サル事故アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス
附 則
本令ハ塩専売法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス