(専売塩特別定価売渡及交付金下付規則中改正ノ件)
法令番号: 勅令第二百二十五號
公布年月日: 明治42年10月1日
法令の形式: 勅令
朕專賣鹽特別定價賣渡及交付金下付規則中改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十二年九月三十日
內閣總理大臣兼大藏大臣 侯爵 桂太郞
勅令第二百二十五號
專賣鹽特別定價賣渡及交付金下付規則中左ノ通改正ス
第一條中第一號及第二號ヲ左ノ如ク改ム
一 鹽酸、曹達、硫酸曹達、晒粉製造用
二 石鹼製造用
第二條中「使用スル者」ヲ「使用スル漁獲者」ニ改ム
第四條中「第二號乃至第六號」ヲ削リ但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ第一條第六號ノ用途ニ使用セムトスル場合ニ在リテハ漁獲物ノ種類、出漁船名、鹽積載船名、寄港地名及鹽ノ運搬方法ヲモ記載スヘシ
第五條第一項ヲ左ノ如ク改ム
外國ニ輸出シ又ハ第一條第六號ノ用途ニ使用スル鹽ニ付テハ鹽專賣官署ハ賣渡請求者ヲシテ其ノ請求數量ニ依リ鹽專賣法第十八條ニ依リ賣渡ス定價ト外國ニ輸出スル爲又ハ第一條第六號ノ用途ニ使用スル爲賣渡ス定價トノ差額ニ相當スル擔保ヲ提供セシムルコトヲ得
第六條、第七條及第八條第三項中「第二號」ヲ「第一號」ニ改ム
第六條第三號中「無水炭酸曹達」ヲ「曹達灰」ニ改ム
第九條 外國ニ輸出スル爲又ハ第一條ノ用途ニ使用スル爲賣渡シタル鹽ヲ外國輸出及第一條ノ用途以外ニ供シ又ハ供スル者ニ讓渡スルコトヲ許可スルトキハ鹽專賣官署ハ賣渡當時ノ數量ニ依リ其ノ定價ト鹽專賣法第十八條ニ依リ賣渡ス定價トノ差額及其ノ五分ノ一ニ相當スル金額ヲ追徵ス
第一條第一號ノ用途ニ使用スル爲賣渡シタル鹽ヲ外國輸出又ハ第一條第二號乃至第六號ノ用途ニ供スルコトヲ許可スルトキハ鹽專賣官署ハ賣渡當時ノ數量ニ依リ各特別定價ノ差額ニ相當スル金額ヲ追徵ス
第十條 鹽ノ賣渡ヲ受ケタル者賣渡請求書ニ記載シタル輸出港、輸出先、使用場所、漁獲物ノ種類、出漁船名、鹽積載船名又ハ鹽ノ運搬方法ヲ變更セムトスルトキハ賣渡鹽專賣官署ニ其ノ旨ヲ申吿スヘシ
第十三條 第一條第六號ノ用途ニ使用スル爲鹽ノ賣渡ヲ受ケタル者漁獲物ヲ鹽藏シタルトキハ漁獲物ノ種類、數量、漁獲及鹽藏ノ場所及時期、漁獲物ノ仕向先ヲ記載シタル鹽使用濟證明申請書ヲ鹽藏地所轄鹽專賣官署ニ提出シ鹽藏物ノ檢査ヲ經テ鹽使用濟證明書ノ交付ヲ受クヘシ但シ鹽專賣法施行地外ニ於テ鹽藏シタルトキハ其ノ申請書ヲ賣渡鹽專賣官署又ハ豫メ其ノ官署ノ指定シタル鹽專賣官署ニ提出スヘシ
前項ニ依ル鹽藏物ノ檢査ハ鹽專賣官署所在地又ハ鹽專賣官署ノ指定シタル地ニ於テ之ヲ行フ
鹽專賣官署ノ證明スル鹽使用濟數量ハ鹽藏物ノ重量百ニ對シ左ノ割合ヲ以テ之ヲ計算ス但シ其ノ鹽ノ數量カ賣渡シタル鹽ノ數量ニ超過スルトキハ其ノ賣渡數量ニ依ル
鹽鮭 四十五
鹽鱒 五十五
鹽鱈 二十五
開鱈 三十二
無骨開鱈 八十
鹽鯨赤肉 二十七
鹽鯨尾羽 四十
鹽漬膃肭獸 百
第十五條第二項ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ其ノ鹽カ帝國內ニ在ルトキハ其ノ地所轄專賣官署、所轄專賣官署ノ檢査ヲ受ケ難キ場合ニ於テハ所轄稅務署、所轄專賣官署又ハ稅務署ノ檢査ヲ受ケ難キ場合ニ於テハ所轄警察官署、帝國外ニ在ルトキハ專賣局長官ノ適當ト認ムル官公衙ノ檢査ヲ經テ未使用鹽證明書ノ交付ヲ受ケ之ヲ提出シテ鹽專賣官署ノ證明書ニ代フルコトヲ得
第十六條 外國ニ輸出スル爲又ハ第一條ノ用途ニ使用スル爲鹽ノ賣渡ヲ受ケタル者左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ鹽專賣官署ハ賣渡當時ノ數量ニ依リ其ノ定價ト鹽專賣法第十八條ニ依リ賣渡ス定價トノ差額及其ノ五分ノ二ニ相當スル金額ヲ追徵ス
一 許可ヲ受ケスシテ其ノ鹽ヲ外國輸出及第一條ノ用途以外ニ供シ又ハ供スル者ニ讓渡シタルトキ
二 第十四條又ハ第十五條ニ依リ提出スヘキ書類ヲ其ノ期間內ニ提出セサルトキ
外國ニ輸出スル爲又ハ第一條第六號ノ用途ニ使用スル爲賣渡ヲ受ケタル者ノ其ノ目的ニ供シタル鹽ノ數量カ賣渡シタル鹽ノ數量ニ對シ不足シタル場合ニ於テ正當ノ事由ナシト認メタルトキハ鹽專賣官署ハ其ノ不足額ニ對シ前項ノ金額ヲ追徵スルコトヲ得但シ第十五條第二項ニ依リ承認ヲ受ケタル未使用鹽ハ其ノ不足額ニ算入セス
第一條第一號ノ用途ニ使用スル爲賣渡ヲ受ケタル鹽ヲ許可ヲ受ケスシテ外國輸出又ハ第一條第二號乃至第六號ノ用途ニ供シタルトキハ各特別定價ノ差額及其ノ五分ノ一ニ相當スル金額ヲ追徵ス
第十六條ノ二 外國ニ輸出スル爲又ハ第一條ノ用途ニ使用スル爲鹽ノ賣渡ヲ受ケタル者左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ鹽專賣官署ハ賣渡當時ノ數量ニ依リ其ノ定價ト鹽專賣法第十八條ニ依リ賣渡ス定價トノ差額ニ相當スル金額ヲ追徵ス
一 外國ニ輸出スル爲賣渡ヲ受ケタル鹽ヲ許可ヲ受ケスシテ第一條ノ用途ニ供シタルトキ
二 第一條第二號乃至第五號ノ用途ニ使用スル爲賣渡ヲ受ケタル鹽ヲ外國輸出又ハ第一條第六號ノ用途ニ供シタルトキ
三 第一條第六號ノ用途ニ使用スル爲賣渡ヲ受ケタル鹽ヲ許可ヲ受ケスシテ外國輸出又ハ第一條第一號乃至第五號ノ用途ニ供シタルトキ
四 外國ニ輸出スル爲又ハ第一條第六號ノ用途ニ使用スル爲賣渡ヲ受ケタル鹽ヲ許可ヲ受ケスシテ外國輸出又ハ第一條ノ用途ニ供スル者ニ讓渡シタルトキ
五 申吿ヲ爲サスシテ第十條ニ揭ケタル事項ヲ變更シタルトキ
六 第四條ノ賣渡請求書及第十一條ノ輸出申吿書ニ記載シタル寄港地以外ノ內國沿岸ニ寄港シタルトキ但シ海難其ノ他已ムヲ得サル事故アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第十七條中「第十六條」ノ下ニ「第十六條ノ二」ヲ加フ
第十八條中「其ノ鹽ノ全部」ヲ「其ノ鹽」ニ改ム
第十九條 鹽專賣法第十八條又ハ本令第一條ノ二ニ依リ賣渡シタル鹽ヲ左ノ目的ニ供シタル者ハ左ノ割合ヲ以テ交付金ノ下付ヲ政府ニ請求スルコトヲ得
一 外國ニ輸出シタルトキ
輸出鹽 百斤ニ付金一圓三十五錢
二 第一條第一號、第二號、第四號乃至第六號ノ用途ニ使用シタルトキ
使用鹽 百斤ニ付金一圓三十五錢
三 其ノ鹽ヲ以テ鹽藏シタル鰊又ハ鯖ヲ輸出シタルトキ
使用鹽 百斤ニ付金一圓三十五錢
鹽藏魚類ニ對スル使用鹽ノ數量ハ鹽藏魚類ノ重量百ニ對シ左ノ割合ヲ以テ計算ス此ノ場合ニ於テハ第十三條第三項但書及第二十六條第三項但書ノ規定ヲ準用ス
鹽漬鰊 四十六
鹽水漬鰊及鯖 五十二
第二十條 前條第一號又ハ第三號ニ依リ交付金ノ下付ヲ請求セムトスル者ハ交付金下付申請書ニ左ノ書類ヲ添附シ之ヲ輸出港所轄鹽專賣官署ニ提出スヘシ但シ前條第三號ニ依リ交付金ノ下付ヲ請求セムトスル者ハ使用鹽檢定書ヲモ添附スヘシ
一 輸出免狀又ハ外國ニ輸出シタルコトヲ證明スヘキ書類
二 外國ニ陸揚シタルコトヲ證明スヘキ書類
前項但書ノ使用鹽檢定書ノ交付ヲ請求セムトスル者ハ第二十四條及第二十五條ノ規定ニ準シ鹽ノ檢定ヲ受クヘシ
第二十一條 第十九條第一號又ハ第三號ニ依リ交付金ノ下付ヲ請求セムトスル者ハ其ノ輸出申吿書ニ少クトモ鹽又ハ鹽藏魚類ノ種類、數量、輸出先、積載船名及其ノ內國寄港地名ヲ記載スヘシ
前項ノ申吿アリタルトキハ稅關ハ鹽又ハ鹽藏魚類ノ數量ヲ檢定スヘシ
第二十一條ノ二 第十九條第三號ニ依リ交付金ノ下付ヲ受ケタル鹽藏魚類ヲ輸入シタルトキハ輸入港所轄鹽專賣官署ニ於テ其ノ輸入者ヨリ交付金ニ相當スル金額ヲ追徵ス
前項ニ依リ追徵金ヲ納入シタル後ニ非サレハ輸入者ハ其ノ鹽藏魚類ヲ稅關ヨリ引取ルコトヲ得ス
第二十二條 第十九條第二號ニ依リ第一條第一號、第二號、第四號及第五號ノ用途ニ使用シタル鹽ニ對シ交付金ノ下付ヲ請求セムトスル者ハ交付金下付申請書ニ鹽使用證明書ヲ添附シ使用地所轄鹽專賣官署ニ之ヲ提出スヘシ但シ鹽變性證明書ヲ以テ鹽使用證明書ニ代フルコトヲ得
第二十三條ノ二 前條第三項ニ依リ變性ヲ施シタル鹽ヲ第一條第一號乃至第五號以外ノ目的ニ、第一條第一號ノ用途ニ使用スヘキ鹽ヲ第一條第二號乃至第五號ノ用途ニ供シ又ハ供スル者ニ讓渡セムトスルトキハ其ノ事由ヲ具シ其ノ地所轄鹽專賣官署ニ變更ノ許可ヲ出願スヘシ
第一條第二號乃至第五號ノ用途中相互ノ變更ヲ爲シタルトキハ其ノ旨ヲ申吿スヘシ
第一項ノ場合ニ於テ其ノ鹽ヲ外國輸出及第一條ノ用途以外ニ供スルコトヲ許可スルトキハ第九條ノ規定ヲ準用ス
第一項ノ場合ニ於テ許可ヲ受ケスシテ其ノ目的ヲ變更シタル者ニ付テハ第十六條及第十六條ノ二ノ規定ヲ準用ス
第二十四條 鹽專賣法施行地內ニ於テ漁獲ヲ爲ス者第十九條第二號ニ依リ交付金ノ下付ヲ請求セムトスルトキハ出漁前第二十五條ニ準シタル鹽檢定申請書ヲ鹽藏地及ハ出港地所轄鹽專賣官署ニ提出シ使用鹽ノ檢定ヲ受クヘシ
前項ニ依ル使用鹽ノ檢定ハ鹽檢定申請書ヲ受理シタル鹽專賣官署所在地又ハ其ノ官署ノ指定シタル地ニ於テ之ヲ行フ但シ鹽專賣官署所在地外ニ於テ檢定地ヲ指定シタルトキハ其ノ地所轄稅務署又ハ警察官署ニ於テ之ヲ行フコトヲ得
第二十五條 鹽專賣法施行地外ニ於テ漁獲ヲ爲ス者第十九條第二號ニ依リ交付金ノ下付ヲ請求セムトスルトキハ出漁前使用鹽ノ數量、漁獲物ノ種類、漁獲及鹽藏ノ場所、出漁船名、鹽積載船名、寄港地名及鹽ノ運搬方法ヲ記載シタル鹽檢定申請書ヲ出港地所轄鹽專賣官署ニ提出シ使用鹽ノ檢定ヲ受クヘシ
前項ニ依ル使用鹽ノ檢定ハ鹽檢定申請書ヲ受理シタル鹽專賣官署所在地又ハ其ノ官署ノ指定シタル鹽專賣官署所在地ニ於テ之ヲ行フ
第二十六條 前二條ニ依リ鹽ノ檢定ヲ受ケタル者漁獲物ヲ鹽藏シタルトキハ漁獲物ノ種類、數量、漁獲及鹽藏ノ場所及時期、漁獲物ノ仕向先ヲ記載シタル鹽使用證明申請書ヲ鹽ノ檢定地所轄鹽專賣官署ニ提出シ鹽藏物及殘存鹽ノ檢査ヲ經テ鹽藏用ニ供シタル鹽ノ使用證明書ノ交付ヲ受クヘシ
前項ニ依ル鹽藏物及殘存鹽ノ檢査ハ鹽使用證明申請書ヲ受理シタル鹽專賣官署所在地又ハ其ノ官署ノ指定シタル地ニ於テ之ヲ行フ但シ鹽藏物ト共ニ殘存鹽ノ檢査ヲ受クルコト能ハサルトキハ其ノ事由ヲ具シ許可ヲ受クヘシ此ノ場合ニ於テハ第十五條第二項但書ノ規定ヲ準用シ殘存鹽ノ檢査ニ代フルコトヲ得
鹽專賣官署ノ證明スル鹽使用數量ハ第十三條第三項ニ準シ之ヲ計算ス但シ其ノ鹽ノ數量カ檢定ヲ受ケタル鹽ノ數量ニ對シ不足シタル場合ニ於テ正當ノ事由ナシト認メタルトキハ其ノ鹽ノ數量ニ依ル
第二十六條ノ二 第十九條第二號ニ依リ第一條第六號ノ用途ニ使用シタル鹽ニ對シ交付金ノ下付ヲ請求セムトスル漁獲者ハ交付金下付申請書ニ鹽使用證明書ヲ添附シ鹽藏物檢査地所轄鹽專賣官署ニ之ヲ提出スヘシ
第二十六條ノ三 第二十四條及第二十五條ノ鹽檢定申請書ニ記載シタル漁獲物ノ種類、漁獲及鹽藏ノ場所、出漁船名、鹽積載船名又ハ鹽ノ運搬方法ヲ變更セムトスルトキハ鹽ノ檢定地所轄鹽專賣官署ニ其ノ旨ヲ申吿スヘシ
第二十七條 左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ交付金ノ下付ヲ請求スルコトヲ得ス
一 外國ニ輸出シタル鹽又ハ鹽藏魚類ニ付テハ輸出後六箇月、第一條第一號、第二號、第四號乃至第六號ノ用途ニ使用シタル鹽ニ付テハ使用後六箇月ヲ經過シタルトキ
二 外國ニ輸出シタル鹽又ハ鹽藏魚類ニ付テハ一囘ノ輸出量千斤未滿、第一條第一號ノ用途ニ使用シタル鹽ニ付テハ一囘ノ使用量千斤未滿、第一條第二號、第四號及第五號ノ用途ニ使用シタル鹽ニ付テハ一囘ノ使用量五百斤未滿、第一條第六號ノ用途ニ使用シタル鹽ニ付テハ第二十六條ニ依リ鹽專賣官署ノ證明スル一囘ノ鹽使用量五百斤未滿ナルトキ
三 第二十一條ノ輸出申吿書又ハ第二十四條及第二十五條ノ鹽檢定申請書ニ記載シタル寄港地以外ノ內國沿岸ニ寄港シタルトキ但シ海難其ノ他已ムヲ得サル事故アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス
四 申吿ヲ爲サスシテ前條ニ揭ケタル事項ヲ變更シタルトキ
外國ニ輸出シタル鹽又ハ鹽藏魚類ニ對スル陸揚證明書ノ數量カ輸出免狀ニ記載シタル鹽又ハ鹽藏魚類ノ數量ニ對シ不足シタル場合ニ於テ正當ノ事由ナシト認メタルトキハ其ノ不足額ニ對シ交付金ヲ下付セス
第二十八條中「第二十條」ヲ削ル
第二十九條 漁獲者ニ非サル者生鮮ナル鮭、鱒、鱈、鯨又ハ膃肭獸ヲ鹽藏セムトスルトキハ其ノ使用鹽ノ特別定價賣渡及交付金ノ下付ニ付本令中漁獲者ニ關スル規定ヲ準用ス但シ第十三條及第二十六條ノ鹽使用證明ニ關スル申請書ニハ漁獲物ノ買入先ヲモ記載スヘシ
附 則
本令ハ明治四十二年十一月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行前外國輸出又ハ第一條ノ用途ニ使用スル爲賣渡ヲ受ケタル鹽ニ關スル第九條第一項ノ追徵金及第十九條各號ノ目的ニ供シタル鹽ニ對スル交付金ニ付テハ本令施行後ト雖仍從前ノ例ニ依ル
朕専売塩特別定価売渡及交付金下付規則中改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十二年九月三十日
内閣総理大臣兼大蔵大臣 侯爵 桂太郎
勅令第二百二十五号
専売塩特別定価売渡及交付金下付規則中左ノ通改正ス
第一条中第一号及第二号ヲ左ノ如ク改ム
一 塩酸、曹達、硫酸曹達、晒粉製造用
二 石鹼製造用
第二条中「使用スル者」ヲ「使用スル漁獲者」ニ改ム
第四条中「第二号乃至第六号」ヲ削リ但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ第一条第六号ノ用途ニ使用セムトスル場合ニ在リテハ漁獲物ノ種類、出漁船名、塩積載船名、寄港地名及塩ノ運搬方法ヲモ記載スヘシ
第五条第一項ヲ左ノ如ク改ム
外国ニ輸出シ又ハ第一条第六号ノ用途ニ使用スル塩ニ付テハ塩専売官署ハ売渡請求者ヲシテ其ノ請求数量ニ依リ塩専売法第十八条ニ依リ売渡ス定価ト外国ニ輸出スル為又ハ第一条第六号ノ用途ニ使用スル為売渡ス定価トノ差額ニ相当スル担保ヲ提供セシムルコトヲ得
第六条、第七条及第八条第三項中「第二号」ヲ「第一号」ニ改ム
第六条第三号中「無水炭酸曹達」ヲ「曹達灰」ニ改ム
第九条 外国ニ輸出スル為又ハ第一条ノ用途ニ使用スル為売渡シタル塩ヲ外国輸出及第一条ノ用途以外ニ供シ又ハ供スル者ニ譲渡スルコトヲ許可スルトキハ塩専売官署ハ売渡当時ノ数量ニ依リ其ノ定価ト塩専売法第十八条ニ依リ売渡ス定価トノ差額及其ノ五分ノ一ニ相当スル金額ヲ追徴ス
第一条第一号ノ用途ニ使用スル為売渡シタル塩ヲ外国輸出又ハ第一条第二号乃至第六号ノ用途ニ供スルコトヲ許可スルトキハ塩専売官署ハ売渡当時ノ数量ニ依リ各特別定価ノ差額ニ相当スル金額ヲ追徴ス
第十条 塩ノ売渡ヲ受ケタル者売渡請求書ニ記載シタル輸出港、輸出先、使用場所、漁獲物ノ種類、出漁船名、塩積載船名又ハ塩ノ運搬方法ヲ変更セムトスルトキハ売渡塩専売官署ニ其ノ旨ヲ申告スヘシ
第十三条 第一条第六号ノ用途ニ使用スル為塩ノ売渡ヲ受ケタル者漁獲物ヲ塩蔵シタルトキハ漁獲物ノ種類、数量、漁獲及塩蔵ノ場所及時期、漁獲物ノ仕向先ヲ記載シタル塩使用済証明申請書ヲ塩蔵地所轄塩専売官署ニ提出シ塩蔵物ノ検査ヲ経テ塩使用済証明書ノ交付ヲ受クヘシ但シ塩専売法施行地外ニ於テ塩蔵シタルトキハ其ノ申請書ヲ売渡塩専売官署又ハ予メ其ノ官署ノ指定シタル塩専売官署ニ提出スヘシ
前項ニ依ル塩蔵物ノ検査ハ塩専売官署所在地又ハ塩専売官署ノ指定シタル地ニ於テ之ヲ行フ
塩専売官署ノ証明スル塩使用済数量ハ塩蔵物ノ重量百ニ対シ左ノ割合ヲ以テ之ヲ計算ス但シ其ノ塩ノ数量カ売渡シタル塩ノ数量ニ超過スルトキハ其ノ売渡数量ニ依ル
塩鮭 四十五
塩鱒 五十五
塩鱈 二十五
開鱈 三十二
無骨開鱈 八十
塩鯨赤肉 二十七
塩鯨尾羽 四十
塩漬膃肭獣 百
第十五条第二項ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ其ノ塩カ帝国内ニ在ルトキハ其ノ地所轄専売官署、所轄専売官署ノ検査ヲ受ケ難キ場合ニ於テハ所轄税務署、所轄専売官署又ハ税務署ノ検査ヲ受ケ難キ場合ニ於テハ所轄警察官署、帝国外ニ在ルトキハ専売局長官ノ適当ト認ムル官公衙ノ検査ヲ経テ未使用塩証明書ノ交付ヲ受ケ之ヲ提出シテ塩専売官署ノ証明書ニ代フルコトヲ得
第十六条 外国ニ輸出スル為又ハ第一条ノ用途ニ使用スル為塩ノ売渡ヲ受ケタル者左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ塩専売官署ハ売渡当時ノ数量ニ依リ其ノ定価ト塩専売法第十八条ニ依リ売渡ス定価トノ差額及其ノ五分ノ二ニ相当スル金額ヲ追徴ス
一 許可ヲ受ケスシテ其ノ塩ヲ外国輸出及第一条ノ用途以外ニ供シ又ハ供スル者ニ譲渡シタルトキ
二 第十四条又ハ第十五条ニ依リ提出スヘキ書類ヲ其ノ期間内ニ提出セサルトキ
外国ニ輸出スル為又ハ第一条第六号ノ用途ニ使用スル為売渡ヲ受ケタル者ノ其ノ目的ニ供シタル塩ノ数量カ売渡シタル塩ノ数量ニ対シ不足シタル場合ニ於テ正当ノ事由ナシト認メタルトキハ塩専売官署ハ其ノ不足額ニ対シ前項ノ金額ヲ追徴スルコトヲ得但シ第十五条第二項ニ依リ承認ヲ受ケタル未使用塩ハ其ノ不足額ニ算入セス
第一条第一号ノ用途ニ使用スル為売渡ヲ受ケタル塩ヲ許可ヲ受ケスシテ外国輸出又ハ第一条第二号乃至第六号ノ用途ニ供シタルトキハ各特別定価ノ差額及其ノ五分ノ一ニ相当スル金額ヲ追徴ス
第十六条ノ二 外国ニ輸出スル為又ハ第一条ノ用途ニ使用スル為塩ノ売渡ヲ受ケタル者左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ塩専売官署ハ売渡当時ノ数量ニ依リ其ノ定価ト塩専売法第十八条ニ依リ売渡ス定価トノ差額ニ相当スル金額ヲ追徴ス
一 外国ニ輸出スル為売渡ヲ受ケタル塩ヲ許可ヲ受ケスシテ第一条ノ用途ニ供シタルトキ
二 第一条第二号乃至第五号ノ用途ニ使用スル為売渡ヲ受ケタル塩ヲ外国輸出又ハ第一条第六号ノ用途ニ供シタルトキ
三 第一条第六号ノ用途ニ使用スル為売渡ヲ受ケタル塩ヲ許可ヲ受ケスシテ外国輸出又ハ第一条第一号乃至第五号ノ用途ニ供シタルトキ
四 外国ニ輸出スル為又ハ第一条第六号ノ用途ニ使用スル為売渡ヲ受ケタル塩ヲ許可ヲ受ケスシテ外国輸出又ハ第一条ノ用途ニ供スル者ニ譲渡シタルトキ
五 申告ヲ為サスシテ第十条ニ掲ケタル事項ヲ変更シタルトキ
六 第四条ノ売渡請求書及第十一条ノ輸出申告書ニ記載シタル寄港地以外ノ内国沿岸ニ寄港シタルトキ但シ海難其ノ他已ムヲ得サル事故アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第十七条中「第十六条」ノ下ニ「第十六条ノ二」ヲ加フ
第十八条中「其ノ塩ノ全部」ヲ「其ノ塩」ニ改ム
第十九条 塩専売法第十八条又ハ本令第一条ノ二ニ依リ売渡シタル塩ヲ左ノ目的ニ供シタル者ハ左ノ割合ヲ以テ交付金ノ下付ヲ政府ニ請求スルコトヲ得
一 外国ニ輸出シタルトキ
輸出塩 百斤ニ付金一円三十五銭
二 第一条第一号、第二号、第四号乃至第六号ノ用途ニ使用シタルトキ
使用塩 百斤ニ付金一円三十五銭
三 其ノ塩ヲ以テ塩蔵シタル鰊又ハ鯖ヲ輸出シタルトキ
使用塩 百斤ニ付金一円三十五銭
塩蔵魚類ニ対スル使用塩ノ数量ハ塩蔵魚類ノ重量百ニ対シ左ノ割合ヲ以テ計算ス此ノ場合ニ於テハ第十三条第三項但書及第二十六条第三項但書ノ規定ヲ準用ス
塩漬鰊 四十六
塩水漬鰊及鯖 五十二
第二十条 前条第一号又ハ第三号ニ依リ交付金ノ下付ヲ請求セムトスル者ハ交付金下付申請書ニ左ノ書類ヲ添附シ之ヲ輸出港所轄塩専売官署ニ提出スヘシ但シ前条第三号ニ依リ交付金ノ下付ヲ請求セムトスル者ハ使用塩検定書ヲモ添附スヘシ
一 輸出免状又ハ外国ニ輸出シタルコトヲ証明スヘキ書類
二 外国ニ陸揚シタルコトヲ証明スヘキ書類
前項但書ノ使用塩検定書ノ交付ヲ請求セムトスル者ハ第二十四条及第二十五条ノ規定ニ準シ塩ノ検定ヲ受クヘシ
第二十一条 第十九条第一号又ハ第三号ニ依リ交付金ノ下付ヲ請求セムトスル者ハ其ノ輸出申告書ニ少クトモ塩又ハ塩蔵魚類ノ種類、数量、輸出先、積載船名及其ノ内国寄港地名ヲ記載スヘシ
前項ノ申告アリタルトキハ税関ハ塩又ハ塩蔵魚類ノ数量ヲ検定スヘシ
第二十一条ノ二 第十九条第三号ニ依リ交付金ノ下付ヲ受ケタル塩蔵魚類ヲ輸入シタルトキハ輸入港所轄塩専売官署ニ於テ其ノ輸入者ヨリ交付金ニ相当スル金額ヲ追徴ス
前項ニ依リ追徴金ヲ納入シタル後ニ非サレハ輸入者ハ其ノ塩蔵魚類ヲ税関ヨリ引取ルコトヲ得ス
第二十二条 第十九条第二号ニ依リ第一条第一号、第二号、第四号及第五号ノ用途ニ使用シタル塩ニ対シ交付金ノ下付ヲ請求セムトスル者ハ交付金下付申請書ニ塩使用証明書ヲ添附シ使用地所轄塩専売官署ニ之ヲ提出スヘシ但シ塩変性証明書ヲ以テ塩使用証明書ニ代フルコトヲ得
第二十三条ノ二 前条第三項ニ依リ変性ヲ施シタル塩ヲ第一条第一号乃至第五号以外ノ目的ニ、第一条第一号ノ用途ニ使用スヘキ塩ヲ第一条第二号乃至第五号ノ用途ニ供シ又ハ供スル者ニ譲渡セムトスルトキハ其ノ事由ヲ具シ其ノ地所轄塩専売官署ニ変更ノ許可ヲ出願スヘシ
第一条第二号乃至第五号ノ用途中相互ノ変更ヲ為シタルトキハ其ノ旨ヲ申告スヘシ
第一項ノ場合ニ於テ其ノ塩ヲ外国輸出及第一条ノ用途以外ニ供スルコトヲ許可スルトキハ第九条ノ規定ヲ準用ス
第一項ノ場合ニ於テ許可ヲ受ケスシテ其ノ目的ヲ変更シタル者ニ付テハ第十六条及第十六条ノ二ノ規定ヲ準用ス
第二十四条 塩専売法施行地内ニ於テ漁獲ヲ為ス者第十九条第二号ニ依リ交付金ノ下付ヲ請求セムトスルトキハ出漁前第二十五条ニ準シタル塩検定申請書ヲ塩蔵地及ハ出港地所轄塩専売官署ニ提出シ使用塩ノ検定ヲ受クヘシ
前項ニ依ル使用塩ノ検定ハ塩検定申請書ヲ受理シタル塩専売官署所在地又ハ其ノ官署ノ指定シタル地ニ於テ之ヲ行フ但シ塩専売官署所在地外ニ於テ検定地ヲ指定シタルトキハ其ノ地所轄税務署又ハ警察官署ニ於テ之ヲ行フコトヲ得
第二十五条 塩専売法施行地外ニ於テ漁獲ヲ為ス者第十九条第二号ニ依リ交付金ノ下付ヲ請求セムトスルトキハ出漁前使用塩ノ数量、漁獲物ノ種類、漁獲及塩蔵ノ場所、出漁船名、塩積載船名、寄港地名及塩ノ運搬方法ヲ記載シタル塩検定申請書ヲ出港地所轄塩専売官署ニ提出シ使用塩ノ検定ヲ受クヘシ
前項ニ依ル使用塩ノ検定ハ塩検定申請書ヲ受理シタル塩専売官署所在地又ハ其ノ官署ノ指定シタル塩専売官署所在地ニ於テ之ヲ行フ
第二十六条 前二条ニ依リ塩ノ検定ヲ受ケタル者漁獲物ヲ塩蔵シタルトキハ漁獲物ノ種類、数量、漁獲及塩蔵ノ場所及時期、漁獲物ノ仕向先ヲ記載シタル塩使用証明申請書ヲ塩ノ検定地所轄塩専売官署ニ提出シ塩蔵物及残存塩ノ検査ヲ経テ塩蔵用ニ供シタル塩ノ使用証明書ノ交付ヲ受クヘシ
前項ニ依ル塩蔵物及残存塩ノ検査ハ塩使用証明申請書ヲ受理シタル塩専売官署所在地又ハ其ノ官署ノ指定シタル地ニ於テ之ヲ行フ但シ塩蔵物ト共ニ残存塩ノ検査ヲ受クルコト能ハサルトキハ其ノ事由ヲ具シ許可ヲ受クヘシ此ノ場合ニ於テハ第十五条第二項但書ノ規定ヲ準用シ残存塩ノ検査ニ代フルコトヲ得
塩専売官署ノ証明スル塩使用数量ハ第十三条第三項ニ準シ之ヲ計算ス但シ其ノ塩ノ数量カ検定ヲ受ケタル塩ノ数量ニ対シ不足シタル場合ニ於テ正当ノ事由ナシト認メタルトキハ其ノ塩ノ数量ニ依ル
第二十六条ノ二 第十九条第二号ニ依リ第一条第六号ノ用途ニ使用シタル塩ニ対シ交付金ノ下付ヲ請求セムトスル漁獲者ハ交付金下付申請書ニ塩使用証明書ヲ添附シ塩蔵物検査地所轄塩専売官署ニ之ヲ提出スヘシ
第二十六条ノ三 第二十四条及第二十五条ノ塩検定申請書ニ記載シタル漁獲物ノ種類、漁獲及塩蔵ノ場所、出漁船名、塩積載船名又ハ塩ノ運搬方法ヲ変更セムトスルトキハ塩ノ検定地所轄塩専売官署ニ其ノ旨ヲ申告スヘシ
第二十七条 左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ交付金ノ下付ヲ請求スルコトヲ得ス
一 外国ニ輸出シタル塩又ハ塩蔵魚類ニ付テハ輸出後六箇月、第一条第一号、第二号、第四号乃至第六号ノ用途ニ使用シタル塩ニ付テハ使用後六箇月ヲ経過シタルトキ
二 外国ニ輸出シタル塩又ハ塩蔵魚類ニ付テハ一回ノ輸出量千斤未満、第一条第一号ノ用途ニ使用シタル塩ニ付テハ一回ノ使用量千斤未満、第一条第二号、第四号及第五号ノ用途ニ使用シタル塩ニ付テハ一回ノ使用量五百斤未満、第一条第六号ノ用途ニ使用シタル塩ニ付テハ第二十六条ニ依リ塩専売官署ノ証明スル一回ノ塩使用量五百斤未満ナルトキ
三 第二十一条ノ輸出申告書又ハ第二十四条及第二十五条ノ塩検定申請書ニ記載シタル寄港地以外ノ内国沿岸ニ寄港シタルトキ但シ海難其ノ他已ムヲ得サル事故アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス
四 申告ヲ為サスシテ前条ニ掲ケタル事項ヲ変更シタルトキ
外国ニ輸出シタル塩又ハ塩蔵魚類ニ対スル陸揚証明書ノ数量カ輸出免状ニ記載シタル塩又ハ塩蔵魚類ノ数量ニ対シ不足シタル場合ニ於テ正当ノ事由ナシト認メタルトキハ其ノ不足額ニ対シ交付金ヲ下付セス
第二十八条中「第二十条」ヲ削ル
第二十九条 漁獲者ニ非サル者生鮮ナル鮭、鱒、鱈、鯨又ハ膃肭獣ヲ塩蔵セムトスルトキハ其ノ使用塩ノ特別定価売渡及交付金ノ下付ニ付本令中漁獲者ニ関スル規定ヲ準用ス但シ第十三条及第二十六条ノ塩使用証明ニ関スル申請書ニハ漁獲物ノ買入先ヲモ記載スヘシ
附 則
本令ハ明治四十二年十一月一日ヨリ之ヲ施行ス
本令施行前外国輸出又ハ第一条ノ用途ニ使用スル為売渡ヲ受ケタル塩ニ関スル第九条第一項ノ追徴金及第十九条各号ノ目的ニ供シタル塩ニ対スル交付金ニ付テハ本令施行後ト雖仍従前ノ例ニ依ル