朕巡査看守療治料、給助料及弔祭料給與令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十四年七月二十五日
內閣總理大臣 子爵 桂太郞
海軍大臣 山本權兵衞
陸軍大臣 男爵 兒玉源太郞
內務大臣 男爵 內海忠勝
司法大臣 淸浦奎吾
外務大臣 曾禰荒助
勅令第百四十九號
巡査看守療治料、給助料及弔祭料給與令
第一條 巡査又ハ看守職務ノ爲傷痍ヲ受ケ又ハ職務ニ依リ健康ニ有害ナル感動ヲ受クルヲ顧ミルコト能ハスシテ勤務ニ從事シ爲ニ疾病ニ罹リ本屬長官ニ於テ治療ヲ要スルモノト認ムルトキハ其ノ治療中療治料ヲ給ス
療治料ハ一日二圓以內トス但シ治療費一日平均二圓ヲ超過シタルトキハ適當ト認ムヘキ實費ヲ精算シテ之ヲ追給スルコトアルヘシ
第二條 療治料ヲ受クル者左ノ各號ノ一ニ當ルトキハ給助料ヲ給ス
一 治療二十日以上ニ涉リ引續在職シ治療ヲ要セサルニ至リタルトキ
二 療治料給與ニ係ル傷痍疾病ニ因リ職ニ堪ヘス退職シ治療ヲ要セサルニ至リタルトキ
前項ノ給助料ハ第一號ニ當ル者ニ在リテハ治療ヲ要セサルニ至リタル當時ノ月俸一箇月分トシ第二號ニ當ル者ニ在リテハ退職當時ノ月俸三箇月分トス
療治料ヲ受クル者治療二十日以上ニ涉ラスト雖引續在職シ本屬長官必要ト認ムルトキハ治療ヲ要セサルニ至リタル當時ノ月俸一箇月分以內ノ範圍ニ於テ給助料ヲ給スルコトアルヘシ但シ治療七日ニ滿タサルトキハ此ノ限ニ在ラス
第三條 巡査又ハ看守在職中死亡シタルトキハ左ノ順位ニ從ヒ其ノ家ニ在ル親族ニ弔祭料ヲ給ス但シ同順位間ニ在リテハ其ノ親等ノ最モ近キ者ヲ先ニシ同親等間ニ在リテハ男ハ女ニ先チ同性間ニ在リテハ長ハ幼ニ先ツ
一 配偶者
二 直系卑屬
三 直系尊屬
四 兄弟姊妹
前項親族ニシテ公權剝奪若ハ停止中ニ係リ又ハ行方不明ナルトキハ弔祭料ヲ給スル限ニ在ラス但シ次位者アルトキハ之ヲ轉給ス
弔祭料ハ死亡當時ニ於ケル月俸一箇月分トシ勤續一年以上九年ニ至ル迄一年ヲ加フル每ニ死亡當時ニ於ケル月俸額三分二ヲ增加ス但シ職務ノ爲傷痍ヲ受ケ又ハ職務ニ依リ健康ニ有害ナル感動ヲ受クルヲ顧ミルコト能ハスシテ勤務ニ從事シ爲ニ疾病ニ罹リ因テ死亡シタル者ニハ更ニ死亡當時ニ於ケル月俸六箇月分ヲ增加ス
勤續年數ノ計算ニ關シテハ巡査看守退隱料及遺族扶助料法ノ例ニ依ル
第四條 前條ニ依リ弔祭料ヲ受クヘキ者ナキトキハ死亡者ノ爲葬祭ヲ行フヘキ者ニ前條ニ定ムル金額ノ三分一以內ヲ給スルコトアルヘシ
第五條 休職者ハ在職者ニ準シ休職ヲ命セラレタル當時ノ月俸額ニ依リ本令ニ依ル給與ヲ行フ
第六條 本令ニ依ル給與ハ之ヲ行フヘキ事由ノ生シタル當時ニ於テ俸給ヲ受ケタル經濟ノ負擔トス但シ休職者ニ在リテハ休職ヲ命セラレタル際俸給ヲ受ケタル經濟ノ負擔トス
第七條 本令ハ陸軍監獄看守、海軍監獄看守、海軍警査、貴族院守衞及衆議院守衞ニ之ヲ適用ス
附 則
本令ハ明治三十四年八月一日ヨリ之ヲ施行ス
朕巡査看守療治料、給助料及弔祭料給与令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十四年七月二十五日
内閣総理大臣 子爵 桂太郎
海軍大臣 山本権兵衛
陸軍大臣 男爵 児玉源太郎
内務大臣 男爵 内海忠勝
司法大臣 清浦奎吾
外務大臣 曽祢荒助
勅令第百四十九号
巡査看守療治料、給助料及弔祭料給与令
第一条 巡査又ハ看守職務ノ為傷痍ヲ受ケ又ハ職務ニ依リ健康ニ有害ナル感動ヲ受クルヲ顧ミルコト能ハスシテ勤務ニ従事シ為ニ疾病ニ罹リ本属長官ニ於テ治療ヲ要スルモノト認ムルトキハ其ノ治療中療治料ヲ給ス
療治料ハ一日二円以内トス但シ治療費一日平均二円ヲ超過シタルトキハ適当ト認ムヘキ実費ヲ精算シテ之ヲ追給スルコトアルヘシ
第二条 療治料ヲ受クル者左ノ各号ノ一ニ当ルトキハ給助料ヲ給ス
一 治療二十日以上ニ渉リ引続在職シ治療ヲ要セサルニ至リタルトキ
二 療治料給与ニ係ル傷痍疾病ニ因リ職ニ堪ヘス退職シ治療ヲ要セサルニ至リタルトキ
前項ノ給助料ハ第一号ニ当ル者ニ在リテハ治療ヲ要セサルニ至リタル当時ノ月俸一箇月分トシ第二号ニ当ル者ニ在リテハ退職当時ノ月俸三箇月分トス
療治料ヲ受クル者治療二十日以上ニ渉ラスト雖引続在職シ本属長官必要ト認ムルトキハ治療ヲ要セサルニ至リタル当時ノ月俸一箇月分以内ノ範囲ニ於テ給助料ヲ給スルコトアルヘシ但シ治療七日ニ満タサルトキハ此ノ限ニ在ラス
第三条 巡査又ハ看守在職中死亡シタルトキハ左ノ順位ニ従ヒ其ノ家ニ在ル親族ニ弔祭料ヲ給ス但シ同順位間ニ在リテハ其ノ親等ノ最モ近キ者ヲ先ニシ同親等間ニ在リテハ男ハ女ニ先チ同性間ニ在リテハ長ハ幼ニ先ツ
一 配偶者
二 直系卑属
三 直系尊属
四 兄弟姉妹
前項親族ニシテ公権剥奪若ハ停止中ニ係リ又ハ行方不明ナルトキハ弔祭料ヲ給スル限ニ在ラス但シ次位者アルトキハ之ヲ転給ス
弔祭料ハ死亡当時ニ於ケル月俸一箇月分トシ勤続一年以上九年ニ至ル迄一年ヲ加フル毎ニ死亡当時ニ於ケル月俸額三分二ヲ増加ス但シ職務ノ為傷痍ヲ受ケ又ハ職務ニ依リ健康ニ有害ナル感動ヲ受クルヲ顧ミルコト能ハスシテ勤務ニ従事シ為ニ疾病ニ罹リ因テ死亡シタル者ニハ更ニ死亡当時ニ於ケル月俸六箇月分ヲ増加ス
勤続年数ノ計算ニ関シテハ巡査看守退隠料及遺族扶助料法ノ例ニ依ル
第四条 前条ニ依リ弔祭料ヲ受クヘキ者ナキトキハ死亡者ノ為葬祭ヲ行フヘキ者ニ前条ニ定ムル金額ノ三分一以内ヲ給スルコトアルヘシ
第五条 休職者ハ在職者ニ準シ休職ヲ命セラレタル当時ノ月俸額ニ依リ本令ニ依ル給与ヲ行フ
第六条 本令ニ依ル給与ハ之ヲ行フヘキ事由ノ生シタル当時ニ於テ俸給ヲ受ケタル経済ノ負担トス但シ休職者ニ在リテハ休職ヲ命セラレタル際俸給ヲ受ケタル経済ノ負担トス
第七条 本令ハ陸軍監獄看守、海軍監獄看守、海軍警査、貴族院守衛及衆議院守衛ニ之ヲ適用ス
附 則
本令ハ明治三十四年八月一日ヨリ之ヲ施行ス