朕海軍軍人俸給令ノ改正ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十六年十二月十六日
內閣總理大臣 伯爵 伊藤博文
海軍大臣 伯爵 西鄕從道
勅令第二百五十二號
海軍軍人俸給令
第一條 高等武官ノ俸給ハ第一表、准士官ノ俸給ハ第二表、下士卒ノ俸給ハ第三表ニ依ル
准士官以上及下士ニシテ其ノ俸給ニ等級アルモノハ各等級ニ付海軍大臣其ノ定員ヲ定ム
第二條 候補生ノ俸給ハ日給八十錢トス
第三條 准士官以上ニ待命ヲ命シタルトキハ俸給十分ノ八ヲ給シ休職ヲ命シタルトキハ俸給十分ノ六ヲ給シ停職ヲ命シタルトキハ俸給十分ノ三ヲ給ス
第四條 下士卒ノ俸給ハ定員ニ在ル者ニ甲額ヲ給シ定員外ニ在ル者ニ乙額ヲ給ス
海兵團ニ於テ定員外ニ在ル者ニ須要ニ依リ特ニ執務ヲ命シタルトキハ執務中甲額ヲ給ス
第五條 士官以上ニ上官ノ職務心得ヲ命シタルトキハ上官ノ最下級俸十分ノ二ヲ加給ス
下士ニ准士官ノ職務心得ヲ命シタルトキハ准士官最下級俸十分ノ一ヲ加給ス
第六條 航行ノ役務ニ服スル軍艦ノ定員及乘組候補生ニハ第四表ニ依リ航海加俸ヲ給シ航行ノ役務ニ服スル水雷艇ノ乘員ニハ第五表ニ依リ航海加俸ヲ給ス
第七條 士官以上ニ上官ノ職務心得ヲ命シ若クハ下士ニ准士官ノ職務心得ヲ命シタルトキハ其ノ職務相當ノ航海加俸ヲ給ス
第八條 官有船舶若クハ官ニテ借入傭入タル船舶ノ運轉及其ノ他ノ職務ニ服スル爲メ乘組ヲ命シタル者ニハ第六條ニ準シ航海加俸ヲ給ス但炊具臥具ノ設備ナキ船艇ニ乘組ヲ命シ旅費ヲ給スルトキハ航海加俸ヲ給セス
第九條 下士卒ニシテ善行章ヲ有スル者ニハ一線每ニ一日一錢ノ加俸ヲ給ス
第十條 下士卒ニシテ敎員ノ職ヲ奉スル者ニハ一日三錢ノ加俸ヲ給ス
第十一條 下士卒ニシテ砲術敎員適任證書ヲ有スル者ニハ一日四錢、一等掌砲證狀ヲ有スル者ニハ一日三錢、二等掌砲證狀ヲ有スル者ニハ一日二錢ノ加俸ヲ給ス
砲術敎員適任證書及掌砲證狀ヲ併有スル者ニハ多額ニ就キ加俸ヲ給ス
第十二條 下士卒ニシテ水雷術敎員適任證書ヲ有スル者ニハ一日四錢、一等掌水雷證狀ヲ有スル者ニハ一日三錢、二等掌水雷證狀ヲ有スル者ニハ一日二錢ノ加俸ヲ給ス
水雷術敎員適任證書及掌水雷證狀ヲ併有スル者ニハ多額ニ就キ加俸ヲ給ス
第十三條 准士官以上ニシテ他職ヲ兼務シタルトキ其ノ航海加俸ハ多額ニ就キ之ヲ給ス
第十四條 准士官以上ニシテ豫備、後備、退役トナリタルトキハ服役終期ノ日マテ其ノ俸給及加俸ヲ給ス
第十五條 准士官以上ニシテ免官廢官トナリ若クハ候補生ニシテ候補生ヲ免セラレ又ハ下士卒ニシテ現役ヲ離レ若クハ歸休兵トナリタルトキハ其ノ當日マテ俸給及加俸ヲ給ス
第十六條 准士官以上ノ待命、休職、停職、豫備、後備、退役者若クハ免官廢官トナリタル者事務引繼殘務調理ノ爲メ特ニ命ヲ承ケ公務ニ從事スルトキハ其ノ間俸給及加俸ハ在職ノ例ニ依ル但海軍高等武官進級條例第十三條ニ依リ進級シタル者本條ノ場合ニ於テハ前官職ニ依リ其ノ俸給及加俸ヲ給ス
第十七條 豫備、後備ノ准士官以上及豫備兵、後備兵、歸休兵召集中准士官以上ハ在職ニ準シ下士卒ハ現役ニ準シ俸給及加俸ヲ給ス
第十八條 准士官以上及候補生ニシテ禁錮ノ刑ニ處セラレタルトキハ其ノ間俸給十分ノ五ヲ給ス但停職ニ在ル者ニハ停職中ノ俸給額ヲ給ス
第十九條 下士卒ニシテ傷痍ヲ受ケ疾病ニ罹リ入院若クハ陸地療養ノ者若クハ陸上勤務外宿中又ハ公務出張中傷痍ヲ受ケ疾病ニ罹リ一週日以上缺勤スル者ハ其ノ間俸給十分ノ四ヲ給ス但公務ニ原因シ傷痍ヲ受ケ疾病ニ罹リタルトキ若クハ外國出張中ニ在ルトキハ其ノ全額ヲ給ス
第二十條 下士卒ニシテ依願歸鄕、收禁、拘留、處刑、處罰中若クハ被吿事件ノ爲メ護送中ハ其ノ間俸給十分ノ二ヲ給ス但無罪若クハ免訴ニ歸スルトキハ其ノ不給額ヲ追給ス未決中死亡スルトキ亦同シ
下士卒ニシテ戴罪服務中ノ者ハ俸給全額ヲ給ス
第二十一條 下士卒ニシテ擅ニ職役ヲ離レ若クハ他方ニ赴キ歸著ノ期ニ後レタル者ハ其ノ間俸給ヲ停止ス但自首又ハ捕縛ニ因リ護送中ノ者ハ前條ノ例ニ依ル
第二十二條 准士官以上候補生及下士卒ニシテ請願休暇、陸地療養公務ニ原因シ傷痍ヲ受ケ疾病ニ罹リタルトキ若クハ外國出張中ニ在ルトキヲ除ク入院、收禁、拘留、處刑、處罰中若クハ被吿事件ノ爲メ護送中若クハ擅ニ職役ヲ離レ若クハ他方ニ赴キ歸著ノ期ニ後レタルトキハ其ノ間加俸ヲ停止ス但准士官以上及候補生ニシテ處罰中勤務ニ服スルトキ若クハ下士卒ニシテ戴罪服務中ハ加俸ヲ給ス
第二十三條 艦船ノ乘員航海中ハ俸給三分ノ二以內ヲ其ノ家族ニ下渡スコトヲ得
第二十四條 准士官以上ノ俸給ハ三百六十五分シ其ノ月ノ日數ニ應シ給ス但太平洋ヲ渡航シ日數ニ一日ノ增減アルトキハ曆ノ日數ニ依ル又二月ハ閏年ト雖二十八日分ヲ給ス
第二十五條 俸給及加俸ハ每月下旬ニ於テ之ヲ給ス
第二十六條 本令施行ノ細則ハ海軍大臣之ヲ定ム
附 則
第二十七條 本令ハ明治二十七年四月一日ヨリ施行ス
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
朕海軍軍人俸給令ノ改正ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十六年十二月十六日
内閣総理大臣 伯爵 伊藤博文
海軍大臣 伯爵 西郷従道
勅令第二百五十二号
海軍軍人俸給令
第一条 高等武官ノ俸給ハ第一表、准士官ノ俸給ハ第二表、下士卒ノ俸給ハ第三表ニ依ル
准士官以上及下士ニシテ其ノ俸給ニ等級アルモノハ各等級ニ付海軍大臣其ノ定員ヲ定ム
第二条 候補生ノ俸給ハ日給八十銭トス
第三条 准士官以上ニ待命ヲ命シタルトキハ俸給十分ノ八ヲ給シ休職ヲ命シタルトキハ俸給十分ノ六ヲ給シ停職ヲ命シタルトキハ俸給十分ノ三ヲ給ス
第四条 下士卒ノ俸給ハ定員ニ在ル者ニ甲額ヲ給シ定員外ニ在ル者ニ乙額ヲ給ス
海兵団ニ於テ定員外ニ在ル者ニ須要ニ依リ特ニ執務ヲ命シタルトキハ執務中甲額ヲ給ス
第五条 士官以上ニ上官ノ職務心得ヲ命シタルトキハ上官ノ最下級俸十分ノ二ヲ加給ス
下士ニ准士官ノ職務心得ヲ命シタルトキハ准士官最下級俸十分ノ一ヲ加給ス
第六条 航行ノ役務ニ服スル軍艦ノ定員及乗組候補生ニハ第四表ニ依リ航海加俸ヲ給シ航行ノ役務ニ服スル水雷艇ノ乗員ニハ第五表ニ依リ航海加俸ヲ給ス
第七条 士官以上ニ上官ノ職務心得ヲ命シ若クハ下士ニ准士官ノ職務心得ヲ命シタルトキハ其ノ職務相当ノ航海加俸ヲ給ス
第八条 官有船舶若クハ官ニテ借入傭入タル船舶ノ運転及其ノ他ノ職務ニ服スル為メ乗組ヲ命シタル者ニハ第六条ニ準シ航海加俸ヲ給ス但炊具臥具ノ設備ナキ船艇ニ乗組ヲ命シ旅費ヲ給スルトキハ航海加俸ヲ給セス
第九条 下士卒ニシテ善行章ヲ有スル者ニハ一線毎ニ一日一銭ノ加俸ヲ給ス
第十条 下士卒ニシテ教員ノ職ヲ奉スル者ニハ一日三銭ノ加俸ヲ給ス
第十一条 下士卒ニシテ砲術教員適任証書ヲ有スル者ニハ一日四銭、一等掌砲証状ヲ有スル者ニハ一日三銭、二等掌砲証状ヲ有スル者ニハ一日二銭ノ加俸ヲ給ス
砲術教員適任証書及掌砲証状ヲ併有スル者ニハ多額ニ就キ加俸ヲ給ス
第十二条 下士卒ニシテ水雷術教員適任証書ヲ有スル者ニハ一日四銭、一等掌水雷証状ヲ有スル者ニハ一日三銭、二等掌水雷証状ヲ有スル者ニハ一日二銭ノ加俸ヲ給ス
水雷術教員適任証書及掌水雷証状ヲ併有スル者ニハ多額ニ就キ加俸ヲ給ス
第十三条 准士官以上ニシテ他職ヲ兼務シタルトキ其ノ航海加俸ハ多額ニ就キ之ヲ給ス
第十四条 准士官以上ニシテ予備、後備、退役トナリタルトキハ服役終期ノ日マテ其ノ俸給及加俸ヲ給ス
第十五条 准士官以上ニシテ免官廃官トナリ若クハ候補生ニシテ候補生ヲ免セラレ又ハ下士卒ニシテ現役ヲ離レ若クハ帰休兵トナリタルトキハ其ノ当日マテ俸給及加俸ヲ給ス
第十六条 准士官以上ノ待命、休職、停職、予備、後備、退役者若クハ免官廃官トナリタル者事務引継残務調理ノ為メ特ニ命ヲ承ケ公務ニ従事スルトキハ其ノ間俸給及加俸ハ在職ノ例ニ依ル但海軍高等武官進級条例第十三条ニ依リ進級シタル者本条ノ場合ニ於テハ前官職ニ依リ其ノ俸給及加俸ヲ給ス
第十七条 予備、後備ノ准士官以上及予備兵、後備兵、帰休兵召集中准士官以上ハ在職ニ準シ下士卒ハ現役ニ準シ俸給及加俸ヲ給ス
第十八条 准士官以上及候補生ニシテ禁錮ノ刑ニ処セラレタルトキハ其ノ間俸給十分ノ五ヲ給ス但停職ニ在ル者ニハ停職中ノ俸給額ヲ給ス
第十九条 下士卒ニシテ傷痍ヲ受ケ疾病ニ罹リ入院若クハ陸地療養ノ者若クハ陸上勤務外宿中又ハ公務出張中傷痍ヲ受ケ疾病ニ罹リ一週日以上欠勤スル者ハ其ノ間俸給十分ノ四ヲ給ス但公務ニ原因シ傷痍ヲ受ケ疾病ニ罹リタルトキ若クハ外国出張中ニ在ルトキハ其ノ全額ヲ給ス
第二十条 下士卒ニシテ依願帰郷、収禁、拘留、処刑、処罰中若クハ被告事件ノ為メ護送中ハ其ノ間俸給十分ノ二ヲ給ス但無罪若クハ免訴ニ帰スルトキハ其ノ不給額ヲ追給ス未決中死亡スルトキ亦同シ
下士卒ニシテ戴罪服務中ノ者ハ俸給全額ヲ給ス
第二十一条 下士卒ニシテ擅ニ職役ヲ離レ若クハ他方ニ赴キ帰著ノ期ニ後レタル者ハ其ノ間俸給ヲ停止ス但自首又ハ捕縛ニ因リ護送中ノ者ハ前条ノ例ニ依ル
第二十二条 准士官以上候補生及下士卒ニシテ請願休暇、陸地療養公務ニ原因シ傷痍ヲ受ケ疾病ニ罹リタルトキ若クハ外国出張中ニ在ルトキヲ除ク入院、収禁、拘留、処刑、処罰中若クハ被告事件ノ為メ護送中若クハ擅ニ職役ヲ離レ若クハ他方ニ赴キ帰著ノ期ニ後レタルトキハ其ノ間加俸ヲ停止ス但准士官以上及候補生ニシテ処罰中勤務ニ服スルトキ若クハ下士卒ニシテ戴罪服務中ハ加俸ヲ給ス
第二十三条 艦船ノ乗員航海中ハ俸給三分ノ二以内ヲ其ノ家族ニ下渡スコトヲ得
第二十四条 准士官以上ノ俸給ハ三百六十五分シ其ノ月ノ日数ニ応シ給ス但太平洋ヲ渡航シ日数ニ一日ノ増減アルトキハ暦ノ日数ニ依ル又二月ハ閏年ト雖二十八日分ヲ給ス
第二十五条 俸給及加俸ハ毎月下旬ニ於テ之ヲ給ス
第二十六条 本令施行ノ細則ハ海軍大臣之ヲ定ム
附 則
第二十七条 本令ハ明治二十七年四月一日ヨリ施行ス
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