海軍軍人俸給令
法令番号: 勅令第百三十一號
公布年月日: 明治24年7月27日
法令の形式: 勅令
朕玆ニ海軍軍人俸給令ノ改正ヲ裁可ス
御名御璽
明治二十四年七月二十四日
內閣總理大臣 伯爵 松方正義
海軍大臣 子爵 樺山資紀
勅令第百三十一號
海軍軍人俸給令
第一條 海軍高等武官ノ俸給ハ第一表准士官ノ俸給ハ第二表下士卒ノ俸給ハ第三表ニ依ル
第二條 准士官以上ニ修學ヲ命シタルトキ及待命者ニハ俸給十分ノ八ヲ給シ休職者ニハ俸給十分ノ六ヲ給ス
第三條 大佐及同等官ノ一級俸ヲ給スル人員ハ現役員休職者停職者ヲ除ク以下同シノ半數ヲ過クルコトヲ得ス
大尉及同等官ノ一級俸二級俸及三級俸ヲ給スル人員ハ現役員ノ四分ノ一ヲ過クルコトヲ得ス
少尉及同等官ノ一級俸ヲ給スル人員ハ現役員ノ半數ヲ過クルコトヲ得ス
第四條 候補生ニハ日給八十錢ヲ給ス又修學練習トシテ乘艦スルモノヲ除クヲ命シタルトキハ日給六十錢ヲ給ス
第五條 下士卒ノ定員俸ハ定員及定員ニ準スヘキ服役者ニ給シ員外俸ハ定員外ニ在ル者ニ給ス
第六條 士官以上ニ上官ノ職務心得ヲ命シタルトキハ上官ノ最下級俸ヲ給ス
第七條 下士ニ准士官ノ職務心得ヲ命シタルトキハ准士官ノ最下級俸ヲ給ス
第八條 善行章ヲ有スル者ニハ一線每ニ一日一錢ノ加俸ヲ給ス
第九條 砲術敎授適任證書及水雷術敎授適任證書ヲ有スル者ニハ一日四錢一等掌砲證狀及一等掌水雷證狀ヲ有スル者ニハ一日三錢二等掌砲證狀及二等掌水雷證狀ヲ有スル者ニハ一日二錢ノ加俸ヲ給ス但同種類ノ證書證狀ヲ併有スル者ニハ其證書ニ就キ之ヲ給ス
第十條 准士官以上及候補生左ニ揭クル事項ノ一ニ當ルトキハ俸給十分ノ三ヲ給ス
一 停職ヲ命シタルトキ
二 處罰中
三 被吿人ト爲リ遞傳護送留置收禁拘留中但審問ノ後無罪ト爲リタルトキハ地限ニアラス
四 禁錮ニ處セラレ其官ヲ失ハサルトキ
第十一條 下士卒左ニ揭クル事項ノ一ニ當ルトキハ其間俸給及加俸ヲ給セス
一 海軍部外ノ各廳ヘ貸與シタルトキ但奏樂ノ爲メ一時貸與スル軍樂員ハ此限ニアラス
二 願ニ依リ歸鄕シタルトキ
三 被吿人ト爲リ遞傳護送留置收禁拘留處刑中但審問ノ後無罪ト爲リタルトキハ此限ニアラス
四 擅ニ艦船團隊若クハ職役ヲ離レタルトキ
第十二條 下士卒處罰中ハ俸給十分ノ二ヲ給シ加俸ヲ給セス
第十三條 下士卒左ニ揭クル事項ノ一ニ當ルトキハ俸給十分ノ四ヲ給ス但公務ニ原因シタルトキ又ハ外國出張中若クハ航海中ニ在ルトキハ其全額ヲ給ス
一 傷痍疾病ニ依リ入院若クハ陸地療養ノトキ
二 陸上勤務外宿中傷痍疾病ニ依リ缺勤一週日以上ニ及フトキ
三 公務出張中傷痍疾病ニ依リ缺勤一週日以上ニ及フトキ
第十四條 死亡者若クハ逃亡者ニ給スヘキ金額アルトキハ其家族ノ請求ニ依リ之ヲ下付ス
第十五條 艦船ノ乘員航海中ハ俸給ノ半額ヲ其家族ニ下渡スコトヲ得
第十六條 准士官以上ノ俸給ハ三百六十五分シ其月ノ日數ニ應シ給スルモノトス但太平洋渡航ニ當リ日數ニ一日ノ增減アルトキハ曆ノ日數ニ依ル又二月ハ閏年ト雖モ二十八日分ヲ給ス
第十七條 俸給及加俸ハ每月下旬ニ於テ之ヲ給ス
第十八條 豫備後備ノ准士官以上ヲ召集シタルトキハ現役者ニ準シ相當ノ俸給ヲ給ス
第十九條 豫備兵後備兵及歸休兵ヲ召集シタルトキハ現役者ニ準シ相當ノ俸給ヲ給ス
第二十條 豫備後備ノ准士官以上豫備兵後備兵及歸休兵ノ召集服役中給與ノ制ハ總テ本令ニ依ルモノトス
第二十一條 第十條第二第三第四第十一條第三第四及第十二條ハ海軍軍屬ニ適用ス
第二十二條 本令ニ關スル細則ハ海軍大臣大藏大臣ト商議シ之ヲ定ム
附 則
第二十三條 本令ハ明治二十四年八月十六日ヨリ施行ス
【表】
【表】
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朕茲ニ海軍軍人俸給令ノ改正ヲ裁可ス
御名御璽
明治二十四年七月二十四日
内閣総理大臣 伯爵 松方正義
海軍大臣 子爵 樺山資紀
勅令第百三十一号
海軍軍人俸給令
第一条 海軍高等武官ノ俸給ハ第一表准士官ノ俸給ハ第二表下士卒ノ俸給ハ第三表ニ依ル
第二条 准士官以上ニ修学ヲ命シタルトキ及待命者ニハ俸給十分ノ八ヲ給シ休職者ニハ俸給十分ノ六ヲ給ス
第三条 大佐及同等官ノ一級俸ヲ給スル人員ハ現役員休職者停職者ヲ除ク以下同シノ半数ヲ過クルコトヲ得ス
大尉及同等官ノ一級俸二級俸及三級俸ヲ給スル人員ハ現役員ノ四分ノ一ヲ過クルコトヲ得ス
少尉及同等官ノ一級俸ヲ給スル人員ハ現役員ノ半数ヲ過クルコトヲ得ス
第四条 候補生ニハ日給八十銭ヲ給ス又修学練習トシテ乗艦スルモノヲ除クヲ命シタルトキハ日給六十銭ヲ給ス
第五条 下士卒ノ定員俸ハ定員及定員ニ準スヘキ服役者ニ給シ員外俸ハ定員外ニ在ル者ニ給ス
第六条 士官以上ニ上官ノ職務心得ヲ命シタルトキハ上官ノ最下級俸ヲ給ス
第七条 下士ニ准士官ノ職務心得ヲ命シタルトキハ准士官ノ最下級俸ヲ給ス
第八条 善行章ヲ有スル者ニハ一線毎ニ一日一銭ノ加俸ヲ給ス
第九条 砲術教授適任証書及水雷術教授適任証書ヲ有スル者ニハ一日四銭一等掌砲証状及一等掌水雷証状ヲ有スル者ニハ一日三銭二等掌砲証状及二等掌水雷証状ヲ有スル者ニハ一日二銭ノ加俸ヲ給ス但同種類ノ証書証状ヲ併有スル者ニハ其証書ニ就キ之ヲ給ス
第十条 准士官以上及候補生左ニ掲クル事項ノ一ニ当ルトキハ俸給十分ノ三ヲ給ス
一 停職ヲ命シタルトキ
二 処罰中
三 被告人ト為リ逓伝護送留置収禁拘留中但審問ノ後無罪ト為リタルトキハ地限ニアラス
四 禁錮ニ処セラレ其官ヲ失ハサルトキ
第十一条 下士卒左ニ掲クル事項ノ一ニ当ルトキハ其間俸給及加俸ヲ給セス
一 海軍部外ノ各庁ヘ貸与シタルトキ但奏楽ノ為メ一時貸与スル軍楽員ハ此限ニアラス
二 願ニ依リ帰郷シタルトキ
三 被告人ト為リ逓伝護送留置収禁拘留処刑中但審問ノ後無罪ト為リタルトキハ此限ニアラス
四 擅ニ艦船団隊若クハ職役ヲ離レタルトキ
第十二条 下士卒処罰中ハ俸給十分ノ二ヲ給シ加俸ヲ給セス
第十三条 下士卒左ニ掲クル事項ノ一ニ当ルトキハ俸給十分ノ四ヲ給ス但公務ニ原因シタルトキ又ハ外国出張中若クハ航海中ニ在ルトキハ其全額ヲ給ス
一 傷痍疾病ニ依リ入院若クハ陸地療養ノトキ
二 陸上勤務外宿中傷痍疾病ニ依リ欠勤一週日以上ニ及フトキ
三 公務出張中傷痍疾病ニ依リ欠勤一週日以上ニ及フトキ
第十四条 死亡者若クハ逃亡者ニ給スヘキ金額アルトキハ其家族ノ請求ニ依リ之ヲ下付ス
第十五条 艦船ノ乗員航海中ハ俸給ノ半額ヲ其家族ニ下渡スコトヲ得
第十六条 准士官以上ノ俸給ハ三百六十五分シ其月ノ日数ニ応シ給スルモノトス但太平洋渡航ニ当リ日数ニ一日ノ増減アルトキハ暦ノ日数ニ依ル又二月ハ閏年ト雖モ二十八日分ヲ給ス
第十七条 俸給及加俸ハ毎月下旬ニ於テ之ヲ給ス
第十八条 予備後備ノ准士官以上ヲ召集シタルトキハ現役者ニ準シ相当ノ俸給ヲ給ス
第十九条 予備兵後備兵及帰休兵ヲ召集シタルトキハ現役者ニ準シ相当ノ俸給ヲ給ス
第二十条 予備後備ノ准士官以上予備兵後備兵及帰休兵ノ召集服役中給与ノ制ハ総テ本令ニ依ルモノトス
第二十一条 第十条第二第三第四第十一条第三第四及第十二条ハ海軍軍属ニ適用ス
第二十二条 本令ニ関スル細則ハ海軍大臣大蔵大臣ト商議シ之ヲ定ム
附 則
第二十三条 本令ハ明治二十四年八月十六日ヨリ施行ス
【表】
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