海軍将校分限令
法令番号: 勅令第七十九號
公布年月日: 明治24年7月23日
法令の形式: 勅令
朕陸海軍將校分限令中海軍將校分限ニ關スル件ヲ廢シ海軍將校分限令制定ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十四年七月二十二日
內閣總理大臣 伯爵 松方正義
海軍大臣 子爵 樺山資紀
勅令第七十九號
海軍將校分限令
第一條 海軍將校トハ大將中將少將大佐少佐大尉少尉ヲ云フ
第二條 將校ハ終身其官ヲ保有シ其制服ヲ著シ其官ニ對スル禮遇ヲ享ク之ヲ將校ノ分限トス
第三條 將校ハ左ニ揭クル事項ノ一ニ依ルニ非レハ其分限ヲ失フコトナシ
第一 本人ノ請願ヲ許容シ其官ヲ免セラレタルトキ
第二 日本人タルノ分限ヲ失ヒタルトキ
第三 重罪ノ刑ニ處セラレタルトキ
第四 剝官ノ宣吿ヲ受ケタルトキ
第五 禁錮ニ處セラレ其官ヲ失ヒタルトキ
第六 武官タルノ本分ニ背キ勅裁ニ依リ免官トナリタルトキ
第四條 將校ノ位置ヲ分ツコト左ノ如シ
第一 現役
第二 豫備
第三 後備
第四 退役
第五條 現役トハ現ニ軍務ヲ奉スル者修學ヲ命セラレタル者將官海軍部內ノ文官ニ任セラレタル者及待命者ヲ云フ休職停職ニ在ル者ハ現役ニ準ス
待命トハ現職ナクシテ命ヲ待ツ者ヲ云フ
休職トハ左ニ揭クル事項ノ一ニ依リ職務ナキ者ヲ云フ
一 待命一箇年ヲ過タル者
二 傷痍若クハ疾病六箇月ニ至リ尙ホ快復ノ候ナキ者
三 本人ノ請願ニ依リ修學ヲ許容シタル者
四 前項ノ修學者ニシテ修學滿期ノ後就職ノ命ナキ者
五 上長官士官海軍部內ノ文官ニ專任シタルトキ
停職トハ其行爲懲戒スヘキコトアリ其情狀稍輕ク在職又ハ就職ヲ停メラルヽ者ヲ云フ但停職者ハ一箇年ノ後ニ非レハ就職スルコトヲ得ス
第六條 豫備トハ年齡滿限ニ至ラスシテ左ニ揭クル事項ノ一ニ依リ現役ヲ退キタル者ヲ云フ
第一 明治二十三年六月勅令第九十九號第三條ニ依リ現役ヲ退キタルトキ
第二 休職ニ入リ二箇年ニ至リ就職セサルトキ但第五條第三項ノ第三ニ該ル者ハ此限ニアラス
第三 停職ニ入リ一箇年半ニ至リ就職セサルトキ
第四 海軍部外ノ文官ニ專任シタルトキ
第五 貴族院令第四條第五條ニ依リ貴族院議員ト爲リタルトキ
第七條 後備トハ年齡滿限ニ至リ現役ヲ退キタル者及豫備滿期ニ至リタル者ヲ云フ
豫備後備ノ服役年期ハ別ニ之ヲ定ム
第八條 退役トハ後備滿期ニ至リタル者又ハ傷痍疾病ノ爲メ永久服役ニ堪ヘスシテ現役又ハ豫備又ハ後備ヲ退キタル者ヲ云フ
第九條 豫備後備者ハ召集ニ應スヘキモノトス
第十條 本令ハ將校相當官ニ適用ス
附 則
第十一條 本令公布以前休職ニ入リ二箇年ヲ過キタルモノハ本令公布ノ日ヨリ豫備トシ其他ハ休職ニ入リタル日ヨリ起算シ二箇年ニ至リ豫備ニ入ルモノトス
朕陸海軍将校分限令中海軍将校分限ニ関スル件ヲ廃シ海軍将校分限令制定ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十四年七月二十二日
内閣総理大臣 伯爵 松方正義
海軍大臣 子爵 樺山資紀
勅令第七十九号
海軍将校分限令
第一条 海軍将校トハ大将中将少将大佐少佐大尉少尉ヲ云フ
第二条 将校ハ終身其官ヲ保有シ其制服ヲ著シ其官ニ対スル礼遇ヲ享ク之ヲ将校ノ分限トス
第三条 将校ハ左ニ掲クル事項ノ一ニ依ルニ非レハ其分限ヲ失フコトナシ
第一 本人ノ請願ヲ許容シ其官ヲ免セラレタルトキ
第二 日本人タルノ分限ヲ失ヒタルトキ
第三 重罪ノ刑ニ処セラレタルトキ
第四 剥官ノ宣告ヲ受ケタルトキ
第五 禁錮ニ処セラレ其官ヲ失ヒタルトキ
第六 武官タルノ本分ニ背キ勅裁ニ依リ免官トナリタルトキ
第四条 将校ノ位置ヲ分ツコト左ノ如シ
第一 現役
第二 予備
第三 後備
第四 退役
第五条 現役トハ現ニ軍務ヲ奉スル者修学ヲ命セラレタル者将官海軍部内ノ文官ニ任セラレタル者及待命者ヲ云フ休職停職ニ在ル者ハ現役ニ準ス
待命トハ現職ナクシテ命ヲ待ツ者ヲ云フ
休職トハ左ニ掲クル事項ノ一ニ依リ職務ナキ者ヲ云フ
一 待命一箇年ヲ過タル者
二 傷痍若クハ疾病六箇月ニ至リ尚ホ快復ノ候ナキ者
三 本人ノ請願ニ依リ修学ヲ許容シタル者
四 前項ノ修学者ニシテ修学満期ノ後就職ノ命ナキ者
五 上長官士官海軍部内ノ文官ニ専任シタルトキ
停職トハ其行為懲戒スヘキコトアリ其情状稍軽ク在職又ハ就職ヲ停メラルヽ者ヲ云フ但停職者ハ一箇年ノ後ニ非レハ就職スルコトヲ得ス
第六条 予備トハ年齢満限ニ至ラスシテ左ニ掲クル事項ノ一ニ依リ現役ヲ退キタル者ヲ云フ
第一 明治二十三年六月勅令第九十九号第三条ニ依リ現役ヲ退キタルトキ
第二 休職ニ入リ二箇年ニ至リ就職セサルトキ但第五条第三項ノ第三ニ該ル者ハ此限ニアラス
第三 停職ニ入リ一箇年半ニ至リ就職セサルトキ
第四 海軍部外ノ文官ニ専任シタルトキ
第五 貴族院令第四条第五条ニ依リ貴族院議員ト為リタルトキ
第七条 後備トハ年齢満限ニ至リ現役ヲ退キタル者及予備満期ニ至リタル者ヲ云フ
予備後備ノ服役年期ハ別ニ之ヲ定ム
第八条 退役トハ後備満期ニ至リタル者又ハ傷痍疾病ノ為メ永久服役ニ堪ヘスシテ現役又ハ予備又ハ後備ヲ退キタル者ヲ云フ
第九条 予備後備者ハ召集ニ応スヘキモノトス
第十条 本令ハ将校相当官ニ適用ス
附 則
第十一条 本令公布以前休職ニ入リ二箇年ヲ過キタルモノハ本令公布ノ日ヨリ予備トシ其他ハ休職ニ入リタル日ヨリ起算シ二箇年ニ至リ予備ニ入ルモノトス