朕陸海軍將校分限令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十一年十二月二十四日
內閣總理大臣 伯爵 黑田淸隆
陸軍大臣 伯爵 大山巖
海軍大臣 伯爵 西鄕從道
勅令第九十一號
陸海軍將校分限令
第一條 將校ハ終身其官ヲ保有シ其制服ヲ着シ其官ニ對スル禮遇ヲ享ク之ヲ將校ノ分限トス
第二條 將校ハ左ニ揭クル事項ノ一ニ因ルニ非レハ其分限ヲ失フコトナシ
第一 本人ノ請願ヲ許容シ其官ヲ免セラレタルトキ
第二 日本人タルノ分限ヲ失ヒタルトキ
第三 重罪ノ刑ニ處セラレタルトキ
第四 剝官ノ宣吿ヲ受ケタルトキ
第五 禁錮ニ處セラレ其官ヲ失ヒタルトキ
第六 武官タルノ本分ニ背キ勅裁ニ依リ免官トナリタルトキ
第三條 將校ノ位置ヲ分ツコト左ノ如シ
第一 現役
第二 豫備
第三 後備
第四 退役
第四條 現役トハ現ニ軍務ヲ奉スル者修學ヲ命セラレタル者及陸海軍將官各其部內ノ文官ニ任セラレタル者ヲ云フ休職及停職ニ在ル者ハ現役ニ準ス
休職トハ左ニ揭クル事項ノ一ニ因リ職務ナキ者ヲ云フ
一 解隊
二 廢職
三 定員改正
四 滿期解任
五 俘虜トナリタル者歸朝シ他員已ニ代リテ其職ニ在ルトキ
六 特別ノ職務ヲ終ヘ又ハ修學滿期ニシテ就職ノ命ナキトキ
七 傷痍若クハ疾病六箇月ニ至リ尙快復ノ候ナキトキ但本人ノ請願或ハ職務ニ因リ代員ヲ必要トスルトキハ六箇月ヲ待ツノ限ニアラス
八 本人ノ請願ニ依リ修學ヲ許容シタルトキ
九 陸海軍上長官士官各其部內ノ文官ニ專任シタルトキ
停職トハ其行爲懲戒スヘキコトアリ其情狀稍輕ク在職又ハ就職ヲ停メラルヽ者ヲ云フ但停職者ハ一箇年ノ後ニ非レハ就職スルコトヲ得ス
第五條 豫備トハ年齡滿限ニ至ラスシテ左ニ揭クル事項ノ一ニ因リ現役ヲ退キタル者及一年志願兵ヨリ士官ニ任シタル者ヲ云フ
第一 恩給令ニ依リ旨ヲ諭サレ現役ヲ退キタルトキ
第二 休職ニ入リ五年ニ至リ就職セサルトキ
但第四條第二項ノ第八第九ニ該ル者ハ此限ニアラス
第三 停職ニ入リ二年ニ至リ就職セサルトキ
第四 陸海軍各部外ノ文官ニ專任シタルトキ
第六條 後備トハ年齡滿限ニ至リ現役ヲ退キタル者及豫備滿期ニ至リタル者ヲ云フ
豫備後備ノ服役年期ハ別ニ之ヲ定ム
第七條 退役トハ後備滿期ニ至リタル者又ハ傷痍疾病ノ爲メ永久服役ニ堪ヘスシテ現役又ハ豫備又ハ後備ヲ退キタル者ヲ云フ
第八條 豫備後備者ハ召集ニ應スヘキモノトス
第九條 本令ハ將校相當官ニ適用ス
附 則
第十條 陸軍將校免黜條例將官退職令及海軍將校准將校免黜條例ハ廢止ス
第十一條 陸軍將校免黜條例及海軍將校准將校免黜條例ニ依リ待命若クハ非職タリシ者ノ位置ハ左ノ通之ヲ定ムヘシ
一 待命ノ者ハ休職トス但陸軍將官ニシテ現ニ陸軍部外ノ文官ニ專任ノ者ハ豫備トス
二 非職ノ者ハ休職トシ其停職解職ニ因テ非職タリシ者ハ停職トシ其年數ハ各非職タリシ當日ヨリ起算ス但定期ノ年數ヲ越エタル者ハ豫備トス
三 海軍將校ニシテ現ニ海軍部外ノ文官ニ專任ノ者ハ豫備トス
第十二條 海軍將校ニシテ年齡滿限ニ依リテ退職罷役ノ者ハ後備トス
朕陸海軍将校分限令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十一年十二月二十四日
内閣総理大臣 伯爵 黒田清隆
陸軍大臣 伯爵 大山巌
海軍大臣 伯爵 西郷従道
勅令第九十一号
陸海軍将校分限令
第一条 将校ハ終身其官ヲ保有シ其制服ヲ着シ其官ニ対スル礼遇ヲ享ク之ヲ将校ノ分限トス
第二条 将校ハ左ニ掲クル事項ノ一ニ因ルニ非レハ其分限ヲ失フコトナシ
第一 本人ノ請願ヲ許容シ其官ヲ免セラレタルトキ
第二 日本人タルノ分限ヲ失ヒタルトキ
第三 重罪ノ刑ニ処セラレタルトキ
第四 剥官ノ宣告ヲ受ケタルトキ
第五 禁錮ニ処セラレ其官ヲ失ヒタルトキ
第六 武官タルノ本分ニ背キ勅裁ニ依リ免官トナリタルトキ
第三条 将校ノ位置ヲ分ツコト左ノ如シ
第一 現役
第二 予備
第三 後備
第四 退役
第四条 現役トハ現ニ軍務ヲ奉スル者修学ヲ命セラレタル者及陸海軍将官各其部内ノ文官ニ任セラレタル者ヲ云フ休職及停職ニ在ル者ハ現役ニ準ス
休職トハ左ニ掲クル事項ノ一ニ因リ職務ナキ者ヲ云フ
一 解隊
二 廃職
三 定員改正
四 満期解任
五 俘虜トナリタル者帰朝シ他員已ニ代リテ其職ニ在ルトキ
六 特別ノ職務ヲ終ヘ又ハ修学満期ニシテ就職ノ命ナキトキ
七 傷痍若クハ疾病六箇月ニ至リ尚快復ノ候ナキトキ但本人ノ請願或ハ職務ニ因リ代員ヲ必要トスルトキハ六箇月ヲ待ツノ限ニアラス
八 本人ノ請願ニ依リ修学ヲ許容シタルトキ
九 陸海軍上長官士官各其部内ノ文官ニ専任シタルトキ
停職トハ其行為懲戒スヘキコトアリ其情状稍軽ク在職又ハ就職ヲ停メラルヽ者ヲ云フ但停職者ハ一箇年ノ後ニ非レハ就職スルコトヲ得ス
第五条 予備トハ年齢満限ニ至ラスシテ左ニ掲クル事項ノ一ニ因リ現役ヲ退キタル者及一年志願兵ヨリ士官ニ任シタル者ヲ云フ
第一 恩給令ニ依リ旨ヲ諭サレ現役ヲ退キタルトキ
第二 休職ニ入リ五年ニ至リ就職セサルトキ
但第四条第二項ノ第八第九ニ該ル者ハ此限ニアラス
第三 停職ニ入リ二年ニ至リ就職セサルトキ
第四 陸海軍各部外ノ文官ニ専任シタルトキ
第六条 後備トハ年齢満限ニ至リ現役ヲ退キタル者及予備満期ニ至リタル者ヲ云フ
予備後備ノ服役年期ハ別ニ之ヲ定ム
第七条 退役トハ後備満期ニ至リタル者又ハ傷痍疾病ノ為メ永久服役ニ堪ヘスシテ現役又ハ予備又ハ後備ヲ退キタル者ヲ云フ
第八条 予備後備者ハ召集ニ応スヘキモノトス
第九条 本令ハ将校相当官ニ適用ス
附 則
第十条 陸軍将校免黜条例将官退職令及海軍将校准将校免黜条例ハ廃止ス
第十一条 陸軍将校免黜条例及海軍将校准将校免黜条例ニ依リ待命若クハ非職タリシ者ノ位置ハ左ノ通之ヲ定ムヘシ
一 待命ノ者ハ休職トス但陸軍将官ニシテ現ニ陸軍部外ノ文官ニ専任ノ者ハ予備トス
二 非職ノ者ハ休職トシ其停職解職ニ因テ非職タリシ者ハ停職トシ其年数ハ各非職タリシ当日ヨリ起算ス但定期ノ年数ヲ越エタル者ハ予備トス
三 海軍将校ニシテ現ニ海軍部外ノ文官ニ専任ノ者ハ予備トス
第十二条 海軍将校ニシテ年齢満限ニ依リテ退職罷役ノ者ハ後備トス