朕會計規則ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十二年四月三十日
內閣總理大臣　伯爵　黑田淸隆
大藏大臣　伯爵　松方正義
勅令第六十號
會計規則
第一章　會計年度所屬區分、歲入歲出金出納
第一條　歲入ノ年度所屬ハ左ノ區分ニ據ル
第一　納期ノ一定シタル收入ハ其納期末日ノ屬スル年度
第二　隨時ノ收入ニシテ納額吿知書ヲ發スルモノハ納額吿知書ヲ發シタル日ノ屬スル年度
第三　隨時ノ收入ニシテ納額吿知書ヲ發セサルモノハ領收ヲ爲シタル日ノ屬スル年度
第二條　歲出ノ所屬年度ハ左ノ區分ニ據ル
第一　公債ノ元利賞勳年金恩給諸祿ノ類ハ仕拂期日ノ屬スル年度
第二　諸拂戾缺損補塡ハ其拂戾又ハ補塡ノ決定ヲ達シタル日ノ屬スル年度
第三　俸給手數料旅費ノ類ハ其支給スヘキ事實ノ生シタル時ノ屬スル年度
第四　廳中雜費土木建築費其他物件ノ購入代價ノ類ハ契約ヲ爲シタル日ノ屬スル年度但土木建築費ノ如キ契約ノ數年ニ涉ルコトヲ得ヘキモノハ契約ニ據リ定メタル仕拂期日ヲ以テ區分スヘシ
第五　前各項ニ揭クル類別ニ入ラサル費用ハ總テ仕拂命令ヲ發シタル日ヲ以テ年度ノ所屬ヲ定ムヘシ
第三條　每年度所屬歲入歲出金ヲ金庫ニ於テ出納スルハ翌年度八月三十一日限リトス
第二章　豫算
第一款　總豫算
第四條　大藏大臣ハ歲入ノ景況ヲ調査シ各省ノ豫定經費要求書ニ基キ歲入歲出總豫算ヲ調製スヘシ
總豫算ノ首ニハ歲計全體ニ關スル說明ヲ付スヘシ
第五條　歲入豫算ハ經常臨時共ニ款項ニ區分シテ調製シ成ルヘク歲入ノ性質ヲ明示スヘシ
第六條　歲出豫算ハ經常臨時共ニ款項ニ區分シテ調製シ成ルヘク經費ノ目的ヲ明ニスヘシ
第七條　歲入歲出總豫算款項ノ區分ハ大藏大臣之ヲ定ムヘシ
第二款　豫定經費要求書
第八條　各省大臣ハ每年度其所管經費ノ需用高ヲ算定シ前年度ノ定額ト比較ヲ立テ豫定經費要求書ヲ調製シ前年度六月三十日マテニ之ヲ大藏大臣ニ送付スヘシ
第九條　各省ノ豫定經費要求書ハ經常臨時共ニ款項ニ區分シ更ニ各項中所要ノ金額ヲ各目ニ區分シ尙ホ必要ノ場合ニ於テハ番號ヲ以テ之ヲ細分シ又經費所要ノ理由計算ノ基ク所ヲ示スヘシ
目ノ區分ハ各省大臣大藏大臣ト協議シテ之ヲ定ムヘシ
第十條　各省ノ豫定經費要求書ニハ各省所管經費全體ニ關スル說明及各款各項ノ說明ヲ付スヘシ
第三款　仕拂豫算
第十一條　各省大臣ハ每年度決定ノ豫算定額ニ基キ仕拂命令官每ニ所要ノ費額ヲ定メ仕拂豫算ヲ調製シ大藏大臣ノ檢視ヲ受クヘシ
仕拂豫算ハ各項ノ金額ヲ示スヘシ
第十二條　仕拂豫算ヲ更定セントスルトキハ其更定ヲ要スル金額理由ヲ詳具スル所ノ計算書ヲ作リ大藏大臣ノ檢視ヲ受クヘシ
第十三條　大藏大臣仕拂豫算若クハ其更定計算書ヲ檢視シタルトキハ之ヲ會計檢査院ニ通知スヘシ
第四款　歲入歲出現計書
第十四條　會計法第六條ニ揭クル歲入歲出現計書ハ大藏省ニ備ヘタル主計簿ニ據リ大藏大臣之ヲ調製スヘシ
第十五條　歲入歲出現計書ニハ總豫算ニ定メタル區分ニ從ヒ其年三月三十一日ヲ以テ終リタル年度ニ屬スル歲入歲出ノ八月三十一日ニ於ケル左ノ事項ノ現計ヲ示スヘシ
歲入ノ部
歲入豫算額
調定濟歲入額
收入濟歲入額
收入未濟歲入額
歲出ノ部
歲出豫算額
豫算決定後增加歲出額
仕拂命令濟歲出額
翌年度繰越額
第五款　豫備金支出
第十六條　豫備金ハ大藏大臣之ヲ管理ス
第十七條　豫備金ヲ以テ補充シ得ヘキ費途及豫備金ヲ以テ支辨スル費途ノ金額ハ他ノ費途ニ流用スルコトヲ得ス
第十八條　第一豫備金ヲ以テ補充シ得ヘキ費途ハ每年度豫メ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十九條　各省大臣第一豫備金ノ支出ヲ要スルトキハ金額理由ヲ示ス所ノ計算書ヲ作リ大藏大臣ノ承認ヲ經ヘシ
第二十條　大藏大臣第一豫備金ノ支出ヲ承認シタルトキハ之ヲ會計檢査院ニ通知スヘシ
第二十一條　各省大臣第二豫備金ノ支出ヲ要スルトキハ金額理由ヲ示ス所ノ計算書ヲ作リ之ヲ大藏大臣ニ送付スヘシ
第二十二條　大藏大臣ハ前條ノ計算書ヲ調査シ其意見ヲ付シテ勅裁ヲ請フヘシ
第二十三條　第二豫備金支出ノ勅裁アリタルトキハ大藏大臣其事故金額ヲ會計檢査院ニ通知シ及官報ニ揭載スヘシ
第二十四條　豫備金ヲ以テ補充支辨シタル金額ハ各省大臣其計算書ヲ作リ各費途每ニ說明ヲ付シ年度經過後五箇月以內ニ之ヲ大藏大臣ニ送付スヘシ
大藏大臣ハ豫備金支出ヲ第一豫備金支出ト第二豫備金支出トニ大別シ其總計算書ヲ作リ之ニ說明ヲ付シ各省大臣ヨリ送付シタル豫備金支出ノ計算書ト共ニ帝國議會ニ提出スルノ手續ヲ爲スヘシ
第三章　收入
第二十五條　收入官吏現金ヲ以テ租稅其他ノ收入ヲ領收スルトキハ其領收證ヲ納人ニ交付スヘシ
第二十六條　現金ヲ領收スル收入官吏ハ大藏大臣定ムル所ノ規則ニ從ヒ每月一囘若クハ數囘其領收シタル金額ヲ金庫ニ拂込ムヘシ但外國及金庫ノ設ナキ運輸通信ノ不便ナル內國ノ地方ニ在ル收入官吏ノ領收シタル金額ハ該官吏之ヲ保管シ大藏大臣ノ指定ニ從ヒ金庫ニ拂込ノ手續ヲ爲スヘシ
第二十七條　金庫ハ收入官吏又ハ納人ヨリ租稅其他ノ收入金ヲ領收スルトキハ收入ノ目的ヲ記入シタル別符付ノ領收證ヲ拂込人又ハ納人ニ交付スヘシ
第二十八條　第二十六條ノ拂込ニ對シ金庫ヨリ交付シタル領收證ハ收入官吏ヨリ歲入ノ徵收ヲ監督スル所ノ官吏ニ送付シ別符ヲ切離セシメ其檢印ヲ受クヘシ
第二十九條　納人ヨリ租稅其他ノ收入金ヲ直接ニ金庫ニ納付シタルトキハ收入官吏ハ金庫ヨリ納人ニ交付シタル領收證ニ檢印シ別符ヲ切離シ領收證ヲ納人ニ返付スヘシ
第三十條　收入官吏ハ其收入ヲ記入スル帳簿ノ結果ニ據リ每月收入報吿書ヲ調製シ參照書類ヲ添ヘ各省大臣ノ定メタル期限ニ之ヲ其事務管理廳ニ送付スヘシ
第三十一條　歲入ノ事務管理廳ハ收入官吏ヨリ送付シタル收入報吿書ニ據リ每月收入總報吿書ヲ作リ之ニ必要ナル參照書類ヲ添ヘ其翌月中ニ大藏大臣ニ送付スヘシ
第四章　支出
第一款　仕拂命令
第三十二條　仕拂命令官ハ總テ仕拂命令ヲ發スル前其經費ハ正當ニシテ必要ナルヤヲ調査シ該經費ノ金額ヲ算定シ又該經費ハ仕拂豫算額ニ超過スルコトナキヤ支出科目及所屬年度ヲ誤ルコトナキヤ該經費ハ豫算ヲ以テ定メラレタル目的ニ違フコトナキヤヲ調査スヘシ
第三十三條　仕拂命令ニハ債主若クハ其代理人ノ氏名、仕拂フヘキ金額、支出科目、年度、番號、支出ノ目的ヲ記載スヘシ但俸給諸給恩給賞勳年金諸祿及定額拂切經費ノ仕拂ヲ爲ストキ支出科目ノ同一ナルモノハ數人ノ債主ニ對シ集合仕拂命令ヲ發シ別ニ各債主ノ金額氏名表ヲ添ユルコトヲ得
現金前渡ノ仕拂命令ニハ前渡ヲ受クヘキ官吏ノ資格、氏名（銀行ナレハ其名稱）前渡ヲ爲スヘキ金額、支出科目、年度及番號ヲ記載スヘシ
第三十四條　仕拂命令ハ一項每ニ之ヲ發スヘシ
第三十五條　仕拂命令ニハ支出ノ證據ニ必要ナル書類ヲ添ヘ仕拂命令官ヨリ之ヲ會計主務官ニ交付スヘシ
第三十六條　會計主務官其仕拂命令ヲ正當ト認ムルトキハ之ニ「調定濟」ト記入シ署名捺印シテ之ヲ受取人ニ交付スヘシ但數人ノ債主ニ對スル集合仕拂命令及仕拂命令ヲ當テタル金庫所在地ノ外ニ於テ仕拂ヲ要スルモノハ直ニ仕拂命令ヲ金庫ニ送付シ受取人ニ仕拂ノ手續ヲ爲スヘシ
第三十七條　會計主務官前條ニ據リ仕拂命令ヲ不當ト認ムルトキハ其事由ヲ本屬大臣ニ申立ヘシ
本屬大臣會計主務官ノ申立ニ拘ハラス仕拂命令ヲ發スヘキコトヲ命スルトキハ會計主務官ハ仕拂命令ニ「特命調定」ト記入シ署名捺印シテ之ヲ受取人ニ交付スヘシ但仕拂命令ノ金額若シ仕拂豫算額ニ超過スルトキハ本屬大臣ノ特命ヲ受クト雖モ尙ホ大藏大臣ノ指揮ヲ請フヘシ
第三十八條　會計主務官仕拂命令ヲ受取人ニ交付シタルトキハ同時ニ金庫ニ案內仕拂命令ヲ送付スヘシ但第三十六條但書ニ據リ仕拂命令ヲ金庫ニ送付シタル場合ニ於テモ亦同シ
第三十九條　現金前渡ノ仕拂命令ハ左ノ區分ニ從ヒ之ヲ發スヘシ
第一　常時ノ費用ニ係ルモノハ每一箇月分ノ費額ヲ豫定シテ仕拂命令ヲ發スヘシ但在外各廳ノ經費外國ニ於テ仕拂ヲ爲ス經費運輸通信ノ不便ナル內國ノ地方ニ於テ仕拂ヲ爲ス經費其他仕拂場所ノ一定セサル經費ハ事務ノ必要ニ由リ二箇月以上六箇月分マテ合セテ仕拂命令ヲ發スルコトヲ得
第二　隨時ノ費用ニ係ルモノハ所要ノ費額ヲ豫定シテ事務上差支ナキ限リハ成ルヘク分割シテ仕拂命令ヲ發スヘシ
第三　各廳ニ於テ直接ニ從事スル工事ノ經費ハ工事ノ大小ニ由リ其所要ヲ量リ三千圓以內ニ於テ仕拂命令ヲ發スヘシ
第四十條　會計法第十五條第八ニ據リ現金前渡ヲ爲シタルトキハ左ノ場合ヲ除クノ外更ニ同一ノ主任官吏ニ現金前渡ヲ爲スタメ仕拂命令ヲ發スルコトヲ得ス
第一　前ニ發シタル仕拂命令ノ金額三分ノ二以上ノ仕拂濟證明アリタルトキ但此場合ニ於テハ更ニ發スル仕拂命令ノ金額ト前ニ發シタル仕拂命令ノ仕拂濟證明未濟ノ金額ト合シテ三千圓ヲ超ルコトヲ得ス
第二　前ニ發シタル仕拂命令ノ金額三千圓未滿ニシテ更ニ發スル仕拂命令ノ金額ト合シテ三千圓ヲ超サルトキ
第四十一條　現金前渡ヲ受ケタル官吏監督ノ規則ハ大藏大臣各省大臣ニ協議シテ之ヲ定ムヘシ
第四十二條　會計法第十五條ニ據リ政府ノ命シタル銀行ニ委任シテ現金仕拂ヲ爲サシムル爲メニ發スル現金前渡ノ仕拂命令ハ國債元利金仕拂ノ場合ニ限ル
第四十三條　仕拂命令ハ所屬年度經過後滿五箇年內ハ仕拂ノ請求アル每ニ金庫ニ於テ仕拂フモノトス
第四十四條　各年度ニ屬スル經費ヲ精算シテ仕拂命令ヲ發スルハ翌年度六月三十日限リトス
第二款　仕拂命令ノ執行
第四十五條　金庫ニ於テハ休日ヲ除クノ外每日其開庫時間內ハ何時ニテモ仕拂命令持參人ニ仕拂命令ト引替ニテ現金ヲ交付スヘシ
第四十六條　左ノ場合ニ於テハ事由ヲ仕拂命令持參人ニ吿ケ金庫ニ於テ仕拂命令ノ執行ヲ拒ムヘシ
第一　案內仕拂命令ノ到著セサルトキ
第二　仕拂命令ト案內仕拂命令ト符合セサルトキ
第三　仕拂命令汚損シ案內仕拂命令ト照合シ難キトキ
第四十七條　各年度ノ仕拂命令ニシテ翌年度八月三十一日マテニ仕拂ノ請求ナキ仕拂命令濟金額ニ相當スル資金ハ會計法第二十條ノ歲計剩餘ニ組入レス國庫ニ於テ繰越整理スヘシ
第四十八條　前條ノ資金中年度經過後滿五箇年內ニ仕拂ノ請求ナクシテ會計法第十八條ノ期滿免除ニ據リ政府カ負債ノ義務ヲ免レタルモノアルカ爲メ不用トナリタルモノハ其負債ノ期滿免除トナリタル年度ノ歲入ニ組入ルヘシ
第三款　計算報吿
第四十九條　會計主務官ハ其支出ヲ記入スル帳簿ノ結果ニ據リ每月支出報吿書ヲ調製シ參照書類ヲ添ヘ各省大臣ノ定メタル期限ニ之ヲ各省中央會計主務官ニ送付スヘシ
第五十條　各省中央會計主務官ハ各會計主務官ヨリ送付シタル支出報吿書ニ據リ每月支出總報吿書ヲ作リ之ニ必要ナル參照書類ヲ添ヘ其翌月中ニ大藏大臣ニ送付スヘシ
第五章　決算
第一款　總決算
第五十一條　歲入歲出總決算ハ總豫算ト同一ノ區分ニ據リ大藏大臣之ヲ調製スヘシ
第二款　各省決算報吿書
第五十二條　各省大臣ハ翌年度十二月三十一日マテニ各省豫定經費要求書ト同一ノ區分ニ據リ其省所管ニ屬スル經費ノ決算報吿書ヲ調製シ之ヲ大藏大臣ニ送付スヘシ
第三款　國債計算書
第五十三條　國債計算書ハ大藏大臣之ヲ調製スヘシ
第五十四條　國債計算書ニハ左ノ事項ヲ示スヘシ
第一　當該年度末日ニ於ケル國債ノ種類及現高ヲ示ス所ノ計算
第二　當該年度ニ於テ償還シ及仕拂ヒタル各種國債ノ元高及利子ノ計算
第三　最近五箇年度間ニ於ル各種國債增減ノ形況ヲ示ス所ノ計算
第四款　特別會計計算書
第五十五條　特別會計計算書ハ會計法第三十條ニ據リ特別ノ會計ヲ立ルコトヲ許サレタル事務ヲ管理スル所ノ各省大臣之ヲ調製シ每年度經過後五箇月以內ニ之ヲ大藏大臣ニ送付スヘシ
第五十六條　特別會計計算書ニハ左ノ事項ヲ示スヘシ
第一　收入計算
第二　支出計算
第三　最近五箇年度間資金ノ增減
第四　最近五箇年度間損益ノ比較
第六章　定額繰越、過年度支出、定額戾入
第一款　定額繰越
第五十七條　各省大臣會計法第二十一條及第二十二條ニ據リ定額ヲ翌年度ニ繰越サントスルトキハ年度經過後一箇月以內ニ繰越計算書ヲ作リ大藏大臣ノ承認ヲ經ヘシ
本條繰越計算書ハ歲出豫算ノ區分ニ從ヒ調製シ左ノ事項ヲ示スヘシ
第一　繰越ヲ要スル項ノ定額
第二　右定額ニ對シ年度內ニ仕拂命令濟トナリタル額
第三　右定額ニ對シ仕拂命令ヲ發スヘキ額卽チ翌年度ニ繰越ヲ要スル額
第四　右定額中全ク不用ニ歸シ決算ニ於テ取消スヘキ額
第五十八條　會計法第二十一條ニ據リ年度內ニ其經費ノ支出ヲ終ラサリシ金額ヲ翌年度ニ繰越サントスルトキハ其繰越サントスル金額ノ計算書ニ各事件每ニ竣功遲延ノ事由ヲ示シ又請負ニテ爲サシムル工事若クハ製造ナレハ竣功遲延ノ事由ノ外ニ請負人職業住所氏名ヲ示シ契約書ノ寫ヲ添ユヘシ
第五十九條　大藏大臣各省定額ノ繰越ヲ承認シタルトキハ之ヲ會計檢査院ニ通知スヘシ
第二款　過年度支出
第六十條　各省大臣過年度ニ屬スル經費ヲ支出セントスルトキハ其金額及其所屬年度ノ豫算ニ定メタル區分、年度、支出ノ事由ヲ示シ大藏大臣ノ承認ヲ經ヘシ
大藏大臣前項ノ承認ヲ爲シタルトキハ翌月十日以內ニ之ヲ會計檢査院ニ通知スヘシ
第六十一條　前條ニ據リ大藏大臣ノ承認ヲ經タル經費ヲ仕拂フ爲メ各省大臣ハ其承認ヲ經タル年度ノ各省定額ニ對シ仕拂命令ヲ發スヘシ
第六十二條　第六十條ニ據リ支出セントスル經費ノ金額ハ豫備金ヲ以テ補充シ得ヘキモノヽ外其經費所屬年度ノ豫算ニ於テ該經費ノ屬スル每項定額中不用トナリタル金額ヲ超過スヘカラス
第三款　定額戾入
第六十三條　各省大臣會計法第二十三條但書ニ據リ定額ノ戾入ヲ爲サントスルトキハ定額戾入要求書ヲ作リ大藏大臣ノ檢視ヲ受クヘシ
第六十四條　定額戾入要求書ニハ左ノ事項ヲ示スヘシ
第一　戾入ルヘキ金額
第二　金庫ニ於テ返納金ヲ領收シタル日付
第三　前金渡槪算渡繰替拂ヲ爲シタル仕拂命令ノ金額、年度、科目、番號、日付
第四　戾入ノ事由
第六十五條　各年度ニ屬スル定額戾入ノ要求ヲ爲スハ翌年度六月三十日ヲ過クルコトヲ得ス
第六十六條　大藏大臣各省大臣ノ要求ニヨリ定額ノ戾入ヲ檢視シタルトキハ之ヲ會計檢査院ニ通知スヘシ
第七章　政府ノ工事及物件ノ賣買貸借
第一款　總則
第六十七條　契約ニ據リ工事ノ既濟部分又ハ物品ノ既納部分ニ對シ完濟前ニ代價ノ一部分ヲ仕拂ハントスルトキハ各省大臣ハ特ニ檢査ノ官吏ヲ命シテ事實ヲ調定シ其調書ヲ作ラシムヘシ
仕拂命令官ハ前項ノ調書ニ據ルニアラサレハ仕拂命令ヲ發スルコトヲ得ス
第六十八條　前條ノ仕拂ヲ爲サントスルトキハ工事ノ既濟又ハ物品ノ既納トナリタル部分ニ對スル代價ノ五分ノ四ヲ超ユヘカラス
第六十九條　工事又ハ物品供給ノ競爭ニ加ハラントシ若クハ其契約ヲ結ハントスル者ハ其工事又ハ物品ノ供給ニ二年以來從事スルコトヲ證明スヘシ
工事又ハ物品供給ノ競爭ニ加ハラントシ若クハ其契約ヲ結ハントスル者ハ現金又ハ公債證書ヲ以テ保證金ヲ納ムヘシ
第七十條　前條ノ保證金ハ左ノ制限ニ據リ各省大臣之ヲ定ムヘシ
第一　競爭ニ加ハラントスル者ハ其事項ノ見積代金ノ百分ノ五以上
第二　契約ヲ結ハントスル者ハ其事項ノ代金ノ百分ノ十以上
第七十一條　競爭ノ落札者請負ノ契約ヲ結ハサルトキハ其保證金ハ政府ノ所得トス
第二款　競爭契約
第七十二條　競爭ハ總テ入札ノ方法ヲ以テ之ヲ行フヘシ
第七十三條　入札ノ方法ヲ以テ工事又ハ物件ノ賣買貸借ヲ契約セントスルトキハ其入札期日ヨリ少ナクモ十五日以前ヨリ揭示又ハ官報新聞紙其他ノ方法ヲ以テ成ルヘク廣ク公吿スヘシ
第七十四條　前條ノ公吿ニハ左ノ事項ヲ示スヘシ
第一　競爭入札ニ付スル事項
第二　契約書案ヲ示ス場所及其契約ノ取結ヲ擔任スル官吏ノ官氏名
第三　競爭執行ノ場所日限及時刻
第四　入札ノ保證金額
第七十五條　各省大臣若クハ其委任ヲ受ケタル官吏ハ其競爭入札ニ付シタル工事又ハ物件ノ價格ヲ豫定シ其豫定價格ヲ封書トシ開札ノトキ之ヲ開札場所ニ置クヘシ
第七十六條　開札ハ公吿ニ示シタル場所日限時刻ニ入札人ノ面前ニ於テ之ヲ行フヘシ
入札人又ハ其代理人若シ開札ノ場所ニ出席セサルトキハ其入札ハ無効トス
第七十七條　開札ノ上ニテ各人ノ入札中一モ第七十五條ニ據リ豫定シタル價格ノ制限ニ達セサルトキハ直ニ入札人ヲシテ再度ノ入札ヲ爲サシムルコトヲ得
第七十八條　落札トナルヘキ同價ノ入札ヲ爲シタル者數名アルトキハ同價ノ入札者ヲシテ直ニ再度ノ入札ヲ爲サシムヘシ
再度ノ入札ヲ爲スモ尙ホ同價ノ入札アルトキハ直ニ抽籤ヲ以テ落札人ヲ定ムヘシ
第七十九條　競爭ノ落札者請負ノ契約ヲ結ハサルトキハ更ニ競爭ヲ行フヘシ
第八十條　工事及物件ノ賣買貸借契約書ニハ其契約セントスル事項ノ細密ナル設計、仕譯、落成期限、受渡期限、保證金額、契約違背ノトキ保證金ニ對スル處分、其他一切必要ナル條件ヲ揭クヘシ
第八十一條　契約ハ各省大臣若クハ特ニ其委任ヲ受ケタル官吏其契約書ニ署名捺印スルニアラサレハ確定セサルモノトス
第三款　隨意契約
第八十二條　隨意契約書ハ第八十條及第八十一條ニ準據シ之ヲ作ルヘシ但一口五百圓未滿ノ隨意契約ノ場合ニ於テハ左ノ書類ノ一ヲ以テ契約書ニ代用スルコトヲ得
第一　設計仕譯書ノ末ニ請負人ノ署名捺印シタルモノ
第二　請負人ノ署名捺印セル承諾書
第三　商業上ノ習慣ニ從ヘル往復書
第八十三條　隨意契約ノ場合ニ於テハ各省大臣ノ見込ニヨリ請負人ノ保證金ヲ免除スルコトヲ得
第八章　出納官吏
第一款　會計主務官、收入官吏、現金前渡ヲ受ケタル官吏
第八十四條　出納官吏ハ其責任ニ屬スル會計ニ付自身ニ事務ヲ執ラサルヲ理由トシテ其責任ヲ免ルコトヲ得ス但各省大臣ノ命令ヲ以テ特ニ其代理官ヲ定メタルトキ其代理官ノ所爲ニ付テハ本條ノ限ニアラス
第八十五條　各省大臣ノ命シタル出納官吏代理官ハ其代理シタル所爲ニ付會計法第二十六條ノ責任ヲ免ルコトヲ得ス
第八十六條　出納官吏ハ各省大臣ニ隸屬シ大藏大臣ノ指揮監督ヲ受クヘシ
第八十七條　會計主務官トナルヘキ官吏ノ任命罷免ハ豫メ大藏大臣ノ同意ヲ要ス但陸海軍武官ニ係ル場合ハ本條ノ限ニアラス
第八十八條　各省大臣ハ所屬出納官吏ノ所爲ニ由リ政府ノ損失ヲ生シタリト認ムル場合ニ於テハ會計檢査院ノ判決以前ト雖モ其出納官吏ニ向テ辨償ヲ命スルコトヲ得
第八十九條　前條ノ場合ニ於テ其辨償ヲ命セラレタル出納官吏負擔ノ責ヲ免ルヘキ理由アリト信スルトキハ計算書ヲ作リ證憑書類ヲ添ヘ本屬大臣ヲ經由シテ之ヲ會計檢査院ニ送付シ其判決ヲ求ムルコトヲ得
各省大臣ハ前項ノ場合ト雖モ其命シタル損失金ノ辨償ヲ猶豫セス
會計檢査院ニ於テ其出納官吏ニ向テ辨償ノ責ナシト判決シタルトキハ其既納ニ係ル辨償金ハ直ニ之ヲ還付ス
第九十條　現金ヲ領收スル收入官吏及現金前渡ヲ受ケタル官吏交替ノトキハ本屬大臣ヨリ特ニ命シタル檢査員ノ立會ヲ以テ會計事務ノ引繼ヲ爲スヘシ
第九十一條　現金ヲ領收スル收入官吏及現金前渡ヲ受ケタル官吏ノ帳簿金櫃ハ每年三月三十一日若クハ該官吏轉免死亡停職ノトキ本屬大臣檢査員ヲ命シテ之ヲ檢査セシムヘシ但臨時ニ現金前渡ヲ受ケタル官吏ノ帳簿金櫃ハ定時ノ檢査ヲ要セス
大藏大臣又ハ各省大臣ハ必要ト認ムルトキハ臨時ニ檢査員ヲ命シテ現金ヲ領收スル收入官吏及現金前渡ヲ受ケタル官吏ノ帳簿金櫃ヲ檢査セシムルコトアルヘシ
第九十二條　前條ノ檢査ヲ執行スルニ當リ主務ノ出納官吏事故ニ由リ自身檢査ヲ受クル能ハサルトキハ其代理者若クハ特ニ本屬大臣ノ命シタル官吏ニ於テ立會ヲ爲スヘシ
第九十三條　現金ヲ領收スル收入官吏及現金前渡ヲ受ケタル官吏ノ帳簿金櫃ヲ檢査シタルトキハ其檢定書二通ヲ製シ檢査員及主務ノ出納官吏若クハ立會人之ニ署名シ一通ハ該官吏若クハ立會人ニ交付シ一通ハ本屬大臣ニ提出スヘシ
第九十四條　現金ヲ領收スル收入官吏及現金前渡ヲ受ケタル官吏他ノ公金ノ出納ヲ兼掌スルトキハ別ニ檢査ノ方法アルニ拘ハラス金櫃ノ檢査ヲ執行スル場合ニ於テハ他ノ公金ヲ併セテ檢査ヲ行フヘシ
第九十五條　會計主務官ハ每年度經過後五箇月以內又收入官吏ハ每年度經過後七箇月以內ニ會計檢査院ノ檢査判決ヲ受クル爲メ每年度會計事務ノ計算書ヲ調製シ證憑書類ヲ添ヘ之ヲ其所屬省又ハ歲入ノ事務管理廳ニ送付スヘシ
第九十六條　各省又ハ歲入ノ事務管理廳ノ部局長若クハ特ニ監督ノ任アル官吏ハ前條計算書ノ下檢査ヲ執行シ其下檢査書ヲ添ヘ之ヲ會計檢査院ニ送付スヘシ
第九十七條　現金ヲ領收スル收入官吏ハ會計檢査院ノ檢査判決ヲ受クル爲メ一年度內ニ執行シタル出納ノ計算書ヲ調製シ證憑書類ヲ添ヘ每年度經過後二箇月以內ニ歲入ノ事務管理廳ヲ經由シテ之ヲ會計檢査院ニ送付スヘシ
在外各廳ニ勤務スル現金ヲ領收スル收入官吏ノ前條計算書及證憑書類ハ每年度經過後一箇月以內ニ其廳ヲ發シ之ヲ歲入ノ事務管理廳ニ送付シ其管理廳ハ之ヲ會計檢査院ニ送付スヘシ
第九十八條　現金前渡ヲ受タル官吏ハ會計檢査院ノ檢査判決ヲ受クル爲メ各省大臣ノ定ムル所ニ據リ每月一囘若クハ數囘經費仕拂ノ計算書ヲ調製シ證憑書類ヲ添ヘ仕拂命令官ニ送付シ仕拂命令官ハ其下檢査ヲ執行シ下檢査書ヲ添ヘ之ヲ會計檢査院ニ送付スヘシ但行軍費航海費ノ如キハ行軍若クハ航海ノ終リタルトキ本條ノ手續ヲ爲スコトヲ得
第九十九條　出納官吏交替ヲ爲シタルトキハ其在職期限經過後六十日以內ニ其在職期限間ニ執行シタル會計ノ計算書ヲ調製シ第九十五條第九十七條第九十八條ノ手續ヲ爲スヘシ
第百條　出納官吏死亡其他ノ事故ニ由リ自身ニ計算書ヲ調製スル能ハサルトキハ各省大臣特ニ命シタル官吏ヲシテ之ヲ調製セシムヘシ
出納官吏定期內ニ計算書ヲ送付セサルトキハ各省大臣ハ他ノ官吏ニ命シテ之ヲ調製セシムヘシ
本條ニ據リ調製シタル計算書ハ出納官吏ノ自身ニ調製シタルモノト見做シ會計檢査院ニ於テ檢査判決ヲ爲スヘシ
第百一條　出納官吏ノ計算書ハ提出ノ後修正變更スルコトヲ得ス
第百二條　會計法第二十八條ニ據リ出納官吏ノ納ムヘキ身元保證金額ハ各省大臣大藏大臣ト協議シテ之ヲ定メ會計檢査院ニ通知スヘシ
出納官吏相當ノ資產アル者二人以上ヲ以テ保證人ト爲ストキハ各省大臣前項ノ身元保證金ノ全部若クハ一部ヲ免除スルコトヲ得此場合ニ於テハ各省大臣ヨリ其保證人ノ住所氏名職業ヲ大藏大臣及會計檢査院ニ通知スヘシ
第百三條　身元保證金ハ現金ヲ以テ納ムヘシ但公債證書若クハ土地ヲ以テ現金ニ代用スルコトヲ得
第百四條　身元保證ノ現金ハ大藏省預金局通常預金ノ利子ヲ付スヘシ
身元保證ニ供スル公債證書若クハ土地ハ出納官吏ヨリ大藏大臣ニ書入トシ其土地ハ出納官吏ノ私費ヲ以テ登記ヲ受クヘシ
第百五條　會計檢査院ノ判決ニ依リ各省大臣出納官吏ノ損失金辨償ヲ命シタル場合ニ於テ其指定シタル期限內ニ出納官吏ヨリ損失金ノ辨償ヲ爲サヽルトキハ其身元保證金ヲ以テ辨償ニ充ツヘシ
前項ノ場合ニ於テ身元保證金ニ代用シタル公債證書若クハ土地ハ各省大臣ノ通知ニ依リ大藏大臣之ヲ公賣ニ付シ其代價ヨリ損失金額ヲ差引シ剩餘アルトキハ出納官吏ニ返付スヘシ
保證人ヲ以テ身元保證金ノ免除ヲ得タル官吏損失金ノ辨償ヲ命セラレタル場合ニ於テ辨償スルコト能ハサルトキハ其保證人ヲシテ損失金ヲ辨償セシムヘシ
第百六條　前條ノ場合ニ於テ出納官吏ノ身元保證金ヲ以テ損失金ノ辨償ニ充ルニ足ラサルトキハ其不足ハ出納官吏及其保證人ヨリ徵收スヘシ
第百七條　出納官吏數職ヲ兼務シタルカ爲メ各職每ニ身元保證ヲ爲シタルトキト雖モ身元保證金ハ出納官吏ノ責任其何職ヲ行ヒタルヨリ生シタルヲ問ハス流用シテ辨償ニ充ツヘシ
第百八條　出納官吏ハ其身元保證金ヲ以テ損失金ノ辨償ニ充テラレタルカ爲メ其身元保證金額定規ノ高ヨリ減シタルトキハ各省大臣ノ指定シタル期限內ニ其減少高ヲ追納スヘシ期限ヲ過キ追納ヲ爲サヽルトキハ其職務ヲ執ルコトヲ得ス
第百九條　出納官吏轉職其他ノ事故ニ由リ身元保證金ノ增納ヲ要スルトキハ其轉職若クハ事故ノ生シタル日ヨリ起算シ六箇月以內ニ增納スヘシ期限ヲ過キ增納ヲ爲サヽルトキハ其職務ヲ執ルコトヲ得ス
身元保證金トシテ納メタル公債證書若クハ土地ノ價格改定ノ爲メ身元保證金額定規ノ高ヨリ減少シ之カ補塡ヲ要スル場合ニ於テハ前項ノ例ニ據ル
第百十條　出納官吏ノ身元保證金ハ其解職後會計檢査院ニ於テ其官吏ノ執行シタル會計事務ニ付責任解除ヲ與ヘタル後ニ非サレハ之ヲ還付セス
第二款　金庫出納役
第百十一條　會計法第三十一條ニ據リ國庫金ノ取扱ヲ日本銀行ニ命シタル場合ニ於テハ日本銀行總裁ハ金庫出納役トシテ金庫ノ出納ヲ掌ルヘシ
金庫出納役ハ會計檢査院ノ檢査判決ヲ受クル爲メ每年度經過後四箇月以內ニ一年度內ニ執行シタル出納ノ計算書ヲ調製シ證憑書類ヲ添ヘ大藏大臣ヲ經由シテ之ヲ會計檢査院ニ送付スヘシ
第九章　帳簿
第百十二條　大藏省ハ日記簿原簿補助簿ヲ備ヘ國庫ノ計算ニ入ルヘキ一切現金ノ出納ヲ登記スヘシ
第百十三條　大藏省ハ歲入歲出ノ主計簿ヲ備ヘ總テ歲入ノ豫算額、調定濟額、收入濟額、收入未濟額、歲出ノ豫算額、仕拂命令濟額ヲ登記スヘシ
第百十四條　收入官吏ハ收入簿ヲ備ヘ歲入ノ種類ヲ區分シ調定濟額、收入濟額、收入未濟額ヲ登記スヘシ
第百十五條　歲入ノ事務管理廳ハ歲入簿ヲ備ヘ歲入ノ種類ヲ區分シ歲入ノ豫算額、調定濟額、收入濟額、收入未濟額ヲ登記スヘシ
第百十六條　會計主務官ハ支出簿ヲ備ヘ歲出ノ科目ヲ區分シ仕拂豫算額、仕拂命令調定濟額ヲ登記スヘシ
第百十七條　各省中央會計主務官ハ歲出簿ヲ備ヘ歲出ノ科目ヲ區分シ歲出豫算額仕拂命令調定濟額ヲ登記スヘシ
第百十八條　現金ヲ領收スル收入官吏、現金前渡ヲ受ケタル官吏及金庫出納役ハ現金出納簿ヲ備ヘ現金ノ出納ヲ登記スヘシ
第百十九條　各年度經過後八箇月ノ末日ニ於テ大藏大臣ハ會計檢査官立會ノ上ニテ大藏省ニ備ヘタル主計簿ヲ締切ルヘシ
第十章　雜則
第百二十條　本規則ニ據リ會計主務官、收入官吏、現金前渡ヲ受ケタル官吏及金庫出納役ヨリ會計檢査院ニ提出スル所ノ證明書ニ關スル規程樣式ハ會計檢査院ニ於テ之ヲ定ムヘシ
第百二十一條　前條ノ外本規則ニ揭クル諸計算書仕拂命令領收證ノ樣式ハ大藏大臣之ヲ定ムヘシ
第百二十二條　帳簿ノ樣式及記入ノ方法ハ大藏大臣ヲ定ムヘシ
第百二十三條　本規則ハ明治二十三年四月一日ヨリ施行ス
本規則ト牴觸スル命令ハ本規則施行ノ日ヨリ總テ廢止ス
朕会計規則ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治二十二年四月三十日
内閣総理大臣　伯爵　黒田清隆
大蔵大臣　伯爵　松方正義
勅令第六十号
会計規則
第一章　会計年度所属区分、歳入歳出金出納
第一条　歳入ノ年度所属ハ左ノ区分ニ拠ル
第一　納期ノ一定シタル収入ハ其納期末日ノ属スル年度
第二　随時ノ収入ニシテ納額告知書ヲ発スルモノハ納額告知書ヲ発シタル日ノ属スル年度
第三　随時ノ収入ニシテ納額告知書ヲ発セサルモノハ領収ヲ為シタル日ノ属スル年度
第二条　歳出ノ所属年度ハ左ノ区分ニ拠ル
第一　公債ノ元利賞勲年金恩給諸禄ノ類ハ仕払期日ノ属スル年度
第二　諸払戻欠損補填ハ其払戻又ハ補填ノ決定ヲ達シタル日ノ属スル年度
第三　俸給手数料旅費ノ類ハ其支給スヘキ事実ノ生シタル時ノ属スル年度
第四　庁中雑費土木建築費其他物件ノ購入代価ノ類ハ契約ヲ為シタル日ノ属スル年度但土木建築費ノ如キ契約ノ数年ニ渉ルコトヲ得ヘキモノハ契約ニ拠リ定メタル仕払期日ヲ以テ区分スヘシ
第五　前各項ニ掲クル類別ニ入ラサル費用ハ総テ仕払命令ヲ発シタル日ヲ以テ年度ノ所属ヲ定ムヘシ
第三条　毎年度所属歳入歳出金ヲ金庫ニ於テ出納スルハ翌年度八月三十一日限リトス
第二章　予算
第一款　総予算
第四条　大蔵大臣ハ歳入ノ景況ヲ調査シ各省ノ予定経費要求書ニ基キ歳入歳出総予算ヲ調製スヘシ
総予算ノ首ニハ歳計全体ニ関スル説明ヲ付スヘシ
第五条　歳入予算ハ経常臨時共ニ款項ニ区分シテ調製シ成ルヘク歳入ノ性質ヲ明示スヘシ
第六条　歳出予算ハ経常臨時共ニ款項ニ区分シテ調製シ成ルヘク経費ノ目的ヲ明ニスヘシ
第七条　歳入歳出総予算款項ノ区分ハ大蔵大臣之ヲ定ムヘシ
第二款　予定経費要求書
第八条　各省大臣ハ毎年度其所管経費ノ需用高ヲ算定シ前年度ノ定額ト比較ヲ立テ予定経費要求書ヲ調製シ前年度六月三十日マテニ之ヲ大蔵大臣ニ送付スヘシ
第九条　各省ノ予定経費要求書ハ経常臨時共ニ款項ニ区分シ更ニ各項中所要ノ金額ヲ各目ニ区分シ尚ホ必要ノ場合ニ於テハ番号ヲ以テ之ヲ細分シ又経費所要ノ理由計算ノ基ク所ヲ示スヘシ
目ノ区分ハ各省大臣大蔵大臣ト協議シテ之ヲ定ムヘシ
第十条　各省ノ予定経費要求書ニハ各省所管経費全体ニ関スル説明及各款各項ノ説明ヲ付スヘシ
第三款　仕払予算
第十一条　各省大臣ハ毎年度決定ノ予算定額ニ基キ仕払命令官毎ニ所要ノ費額ヲ定メ仕払予算ヲ調製シ大蔵大臣ノ検視ヲ受クヘシ
仕払予算ハ各項ノ金額ヲ示スヘシ
第十二条　仕払予算ヲ更定セントスルトキハ其更定ヲ要スル金額理由ヲ詳具スル所ノ計算書ヲ作リ大蔵大臣ノ検視ヲ受クヘシ
第十三条　大蔵大臣仕払予算若クハ其更定計算書ヲ検視シタルトキハ之ヲ会計検査院ニ通知スヘシ
第四款　歳入歳出現計書
第十四条　会計法第六条ニ掲クル歳入歳出現計書ハ大蔵省ニ備ヘタル主計簿ニ拠リ大蔵大臣之ヲ調製スヘシ
第十五条　歳入歳出現計書ニハ総予算ニ定メタル区分ニ従ヒ其年三月三十一日ヲ以テ終リタル年度ニ属スル歳入歳出ノ八月三十一日ニ於ケル左ノ事項ノ現計ヲ示スヘシ
歳入ノ部
歳入予算額
調定済歳入額
収入済歳入額
収入未済歳入額
歳出ノ部
歳出予算額
予算決定後増加歳出額
仕払命令済歳出額
翌年度繰越額
第五款　予備金支出
第十六条　予備金ハ大蔵大臣之ヲ管理ス
第十七条　予備金ヲ以テ補充シ得ヘキ費途及予備金ヲ以テ支弁スル費途ノ金額ハ他ノ費途ニ流用スルコトヲ得ス
第十八条　第一予備金ヲ以テ補充シ得ヘキ費途ハ毎年度予メ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十九条　各省大臣第一予備金ノ支出ヲ要スルトキハ金額理由ヲ示ス所ノ計算書ヲ作リ大蔵大臣ノ承認ヲ経ヘシ
第二十条　大蔵大臣第一予備金ノ支出ヲ承認シタルトキハ之ヲ会計検査院ニ通知スヘシ
第二十一条　各省大臣第二予備金ノ支出ヲ要スルトキハ金額理由ヲ示ス所ノ計算書ヲ作リ之ヲ大蔵大臣ニ送付スヘシ
第二十二条　大蔵大臣ハ前条ノ計算書ヲ調査シ其意見ヲ付シテ勅裁ヲ請フヘシ
第二十三条　第二予備金支出ノ勅裁アリタルトキハ大蔵大臣其事故金額ヲ会計検査院ニ通知シ及官報ニ掲載スヘシ
第二十四条　予備金ヲ以テ補充支弁シタル金額ハ各省大臣其計算書ヲ作リ各費途毎ニ説明ヲ付シ年度経過後五箇月以内ニ之ヲ大蔵大臣ニ送付スヘシ
大蔵大臣ハ予備金支出ヲ第一予備金支出ト第二予備金支出トニ大別シ其総計算書ヲ作リ之ニ説明ヲ付シ各省大臣ヨリ送付シタル予備金支出ノ計算書ト共ニ帝国議会ニ提出スルノ手続ヲ為スヘシ
第三章　収入
第二十五条　収入官吏現金ヲ以テ租税其他ノ収入ヲ領収スルトキハ其領収証ヲ納人ニ交付スヘシ
第二十六条　現金ヲ領収スル収入官吏ハ大蔵大臣定ムル所ノ規則ニ従ヒ毎月一回若クハ数回其領収シタル金額ヲ金庫ニ払込ムヘシ但外国及金庫ノ設ナキ運輸通信ノ不便ナル内国ノ地方ニ在ル収入官吏ノ領収シタル金額ハ該官吏之ヲ保管シ大蔵大臣ノ指定ニ従ヒ金庫ニ払込ノ手続ヲ為スヘシ
第二十七条　金庫ハ収入官吏又ハ納人ヨリ租税其他ノ収入金ヲ領収スルトキハ収入ノ目的ヲ記入シタル別符付ノ領収証ヲ払込人又ハ納人ニ交付スヘシ
第二十八条　第二十六条ノ払込ニ対シ金庫ヨリ交付シタル領収証ハ収入官吏ヨリ歳入ノ徴収ヲ監督スル所ノ官吏ニ送付シ別符ヲ切離セシメ其検印ヲ受クヘシ
第二十九条　納人ヨリ租税其他ノ収入金ヲ直接ニ金庫ニ納付シタルトキハ収入官吏ハ金庫ヨリ納人ニ交付シタル領収証ニ検印シ別符ヲ切離シ領収証ヲ納人ニ返付スヘシ
第三十条　収入官吏ハ其収入ヲ記入スル帳簿ノ結果ニ拠リ毎月収入報告書ヲ調製シ参照書類ヲ添ヘ各省大臣ノ定メタル期限ニ之ヲ其事務管理庁ニ送付スヘシ
第三十一条　歳入ノ事務管理庁ハ収入官吏ヨリ送付シタル収入報告書ニ拠リ毎月収入総報告書ヲ作リ之ニ必要ナル参照書類ヲ添ヘ其翌月中ニ大蔵大臣ニ送付スヘシ
第四章　支出
第一款　仕払命令
第三十二条　仕払命令官ハ総テ仕払命令ヲ発スル前其経費ハ正当ニシテ必要ナルヤヲ調査シ該経費ノ金額ヲ算定シ又該経費ハ仕払予算額ニ超過スルコトナキヤ支出科目及所属年度ヲ誤ルコトナキヤ該経費ハ予算ヲ以テ定メラレタル目的ニ違フコトナキヤヲ調査スヘシ
第三十三条　仕払命令ニハ債主若クハ其代理人ノ氏名、仕払フヘキ金額、支出科目、年度、番号、支出ノ目的ヲ記載スヘシ但俸給諸給恩給賞勲年金諸禄及定額払切経費ノ仕払ヲ為ストキ支出科目ノ同一ナルモノハ数人ノ債主ニ対シ集合仕払命令ヲ発シ別ニ各債主ノ金額氏名表ヲ添ユルコトヲ得
現金前渡ノ仕払命令ニハ前渡ヲ受クヘキ官吏ノ資格、氏名（銀行ナレハ其名称）前渡ヲ為スヘキ金額、支出科目、年度及番号ヲ記載スヘシ
第三十四条　仕払命令ハ一項毎ニ之ヲ発スヘシ
第三十五条　仕払命令ニハ支出ノ証拠ニ必要ナル書類ヲ添ヘ仕払命令官ヨリ之ヲ会計主務官ニ交付スヘシ
第三十六条　会計主務官其仕払命令ヲ正当ト認ムルトキハ之ニ「調定済」ト記入シ署名捺印シテ之ヲ受取人ニ交付スヘシ但数人ノ債主ニ対スル集合仕払命令及仕払命令ヲ当テタル金庫所在地ノ外ニ於テ仕払ヲ要スルモノハ直ニ仕払命令ヲ金庫ニ送付シ受取人ニ仕払ノ手続ヲ為スヘシ
第三十七条　会計主務官前条ニ拠リ仕払命令ヲ不当ト認ムルトキハ其事由ヲ本属大臣ニ申立ヘシ
本属大臣会計主務官ノ申立ニ拘ハラス仕払命令ヲ発スヘキコトヲ命スルトキハ会計主務官ハ仕払命令ニ「特命調定」ト記入シ署名捺印シテ之ヲ受取人ニ交付スヘシ但仕払命令ノ金額若シ仕払予算額ニ超過スルトキハ本属大臣ノ特命ヲ受クト雖モ尚ホ大蔵大臣ノ指揮ヲ請フヘシ
第三十八条　会計主務官仕払命令ヲ受取人ニ交付シタルトキハ同時ニ金庫ニ案内仕払命令ヲ送付スヘシ但第三十六条但書ニ拠リ仕払命令ヲ金庫ニ送付シタル場合ニ於テモ亦同シ
第三十九条　現金前渡ノ仕払命令ハ左ノ区分ニ従ヒ之ヲ発スヘシ
第一　常時ノ費用ニ係ルモノハ毎一箇月分ノ費額ヲ予定シテ仕払命令ヲ発スヘシ但在外各庁ノ経費外国ニ於テ仕払ヲ為ス経費運輸通信ノ不便ナル内国ノ地方ニ於テ仕払ヲ為ス経費其他仕払場所ノ一定セサル経費ハ事務ノ必要ニ由リ二箇月以上六箇月分マテ合セテ仕払命令ヲ発スルコトヲ得
第二　随時ノ費用ニ係ルモノハ所要ノ費額ヲ予定シテ事務上差支ナキ限リハ成ルヘク分割シテ仕払命令ヲ発スヘシ
第三　各庁ニ於テ直接ニ従事スル工事ノ経費ハ工事ノ大小ニ由リ其所要ヲ量リ三千円以内ニ於テ仕払命令ヲ発スヘシ
第四十条　会計法第十五条第八ニ拠リ現金前渡ヲ為シタルトキハ左ノ場合ヲ除クノ外更ニ同一ノ主任官吏ニ現金前渡ヲ為スタメ仕払命令ヲ発スルコトヲ得ス
第一　前ニ発シタル仕払命令ノ金額三分ノ二以上ノ仕払済証明アリタルトキ但此場合ニ於テハ更ニ発スル仕払命令ノ金額ト前ニ発シタル仕払命令ノ仕払済証明未済ノ金額ト合シテ三千円ヲ超ルコトヲ得ス
第二　前ニ発シタル仕払命令ノ金額三千円未満ニシテ更ニ発スル仕払命令ノ金額ト合シテ三千円ヲ超サルトキ
第四十一条　現金前渡ヲ受ケタル官吏監督ノ規則ハ大蔵大臣各省大臣ニ協議シテ之ヲ定ムヘシ
第四十二条　会計法第十五条ニ拠リ政府ノ命シタル銀行ニ委任シテ現金仕払ヲ為サシムル為メニ発スル現金前渡ノ仕払命令ハ国債元利金仕払ノ場合ニ限ル
第四十三条　仕払命令ハ所属年度経過後満五箇年内ハ仕払ノ請求アル毎ニ金庫ニ於テ仕払フモノトス
第四十四条　各年度ニ属スル経費ヲ精算シテ仕払命令ヲ発スルハ翌年度六月三十日限リトス
第二款　仕払命令ノ執行
第四十五条　金庫ニ於テハ休日ヲ除クノ外毎日其開庫時間内ハ何時ニテモ仕払命令持参人ニ仕払命令ト引替ニテ現金ヲ交付スヘシ
第四十六条　左ノ場合ニ於テハ事由ヲ仕払命令持参人ニ告ケ金庫ニ於テ仕払命令ノ執行ヲ拒ムヘシ
第一　案内仕払命令ノ到著セサルトキ
第二　仕払命令ト案内仕払命令ト符合セサルトキ
第三　仕払命令汚損シ案内仕払命令ト照合シ難キトキ
第四十七条　各年度ノ仕払命令ニシテ翌年度八月三十一日マテニ仕払ノ請求ナキ仕払命令済金額ニ相当スル資金ハ会計法第二十条ノ歳計剰余ニ組入レス国庫ニ於テ繰越整理スヘシ
第四十八条　前条ノ資金中年度経過後満五箇年内ニ仕払ノ請求ナクシテ会計法第十八条ノ期満免除ニ拠リ政府カ負債ノ義務ヲ免レタルモノアルカ為メ不用トナリタルモノハ其負債ノ期満免除トナリタル年度ノ歳入ニ組入ルヘシ
第三款　計算報告
第四十九条　会計主務官ハ其支出ヲ記入スル帳簿ノ結果ニ拠リ毎月支出報告書ヲ調製シ参照書類ヲ添ヘ各省大臣ノ定メタル期限ニ之ヲ各省中央会計主務官ニ送付スヘシ
第五十条　各省中央会計主務官ハ各会計主務官ヨリ送付シタル支出報告書ニ拠リ毎月支出総報告書ヲ作リ之ニ必要ナル参照書類ヲ添ヘ其翌月中ニ大蔵大臣ニ送付スヘシ
第五章　決算
第一款　総決算
第五十一条　歳入歳出総決算ハ総予算ト同一ノ区分ニ拠リ大蔵大臣之ヲ調製スヘシ
第二款　各省決算報告書
第五十二条　各省大臣ハ翌年度十二月三十一日マテニ各省予定経費要求書ト同一ノ区分ニ拠リ其省所管ニ属スル経費ノ決算報告書ヲ調製シ之ヲ大蔵大臣ニ送付スヘシ
第三款　国債計算書
第五十三条　国債計算書ハ大蔵大臣之ヲ調製スヘシ
第五十四条　国債計算書ニハ左ノ事項ヲ示スヘシ
第一　当該年度末日ニ於ケル国債ノ種類及現高ヲ示ス所ノ計算
第二　当該年度ニ於テ償還シ及仕払ヒタル各種国債ノ元高及利子ノ計算
第三　最近五箇年度間ニ於ル各種国債増減ノ形況ヲ示ス所ノ計算
第四款　特別会計計算書
第五十五条　特別会計計算書ハ会計法第三十条ニ拠リ特別ノ会計ヲ立ルコトヲ許サレタル事務ヲ管理スル所ノ各省大臣之ヲ調製シ毎年度経過後五箇月以内ニ之ヲ大蔵大臣ニ送付スヘシ
第五十六条　特別会計計算書ニハ左ノ事項ヲ示スヘシ
第一　収入計算
第二　支出計算
第三　最近五箇年度間資金ノ増減
第四　最近五箇年度間損益ノ比較
第六章　定額繰越、過年度支出、定額戻入
第一款　定額繰越
第五十七条　各省大臣会計法第二十一条及第二十二条ニ拠リ定額ヲ翌年度ニ繰越サントスルトキハ年度経過後一箇月以内ニ繰越計算書ヲ作リ大蔵大臣ノ承認ヲ経ヘシ
本条繰越計算書ハ歳出予算ノ区分ニ従ヒ調製シ左ノ事項ヲ示スヘシ
第一　繰越ヲ要スル項ノ定額
第二　右定額ニ対シ年度内ニ仕払命令済トナリタル額
第三　右定額ニ対シ仕払命令ヲ発スヘキ額即チ翌年度ニ繰越ヲ要スル額
第四　右定額中全ク不用ニ帰シ決算ニ於テ取消スヘキ額
第五十八条　会計法第二十一条ニ拠リ年度内ニ其経費ノ支出ヲ終ラサリシ金額ヲ翌年度ニ繰越サントスルトキハ其繰越サントスル金額ノ計算書ニ各事件毎ニ竣功遅延ノ事由ヲ示シ又請負ニテ為サシムル工事若クハ製造ナレハ竣功遅延ノ事由ノ外ニ請負人職業住所氏名ヲ示シ契約書ノ写ヲ添ユヘシ
第五十九条　大蔵大臣各省定額ノ繰越ヲ承認シタルトキハ之ヲ会計検査院ニ通知スヘシ
第二款　過年度支出
第六十条　各省大臣過年度ニ属スル経費ヲ支出セントスルトキハ其金額及其所属年度ノ予算ニ定メタル区分、年度、支出ノ事由ヲ示シ大蔵大臣ノ承認ヲ経ヘシ
大蔵大臣前項ノ承認ヲ為シタルトキハ翌月十日以内ニ之ヲ会計検査院ニ通知スヘシ
第六十一条　前条ニ拠リ大蔵大臣ノ承認ヲ経タル経費ヲ仕払フ為メ各省大臣ハ其承認ヲ経タル年度ノ各省定額ニ対シ仕払命令ヲ発スヘシ
第六十二条　第六十条ニ拠リ支出セントスル経費ノ金額ハ予備金ヲ以テ補充シ得ヘキモノヽ外其経費所属年度ノ予算ニ於テ該経費ノ属スル毎項定額中不用トナリタル金額ヲ超過スヘカラス
第三款　定額戻入
第六十三条　各省大臣会計法第二十三条但書ニ拠リ定額ノ戻入ヲ為サントスルトキハ定額戻入要求書ヲ作リ大蔵大臣ノ検視ヲ受クヘシ
第六十四条　定額戻入要求書ニハ左ノ事項ヲ示スヘシ
第一　戻入ルヘキ金額
第二　金庫ニ於テ返納金ヲ領収シタル日付
第三　前金渡概算渡繰替払ヲ為シタル仕払命令ノ金額、年度、科目、番号、日付
第四　戻入ノ事由
第六十五条　各年度ニ属スル定額戻入ノ要求ヲ為スハ翌年度六月三十日ヲ過クルコトヲ得ス
第六十六条　大蔵大臣各省大臣ノ要求ニヨリ定額ノ戻入ヲ検視シタルトキハ之ヲ会計検査院ニ通知スヘシ
第七章　政府ノ工事及物件ノ売買貸借
第一款　総則
第六十七条　契約ニ拠リ工事ノ既済部分又ハ物品ノ既納部分ニ対シ完済前ニ代価ノ一部分ヲ仕払ハントスルトキハ各省大臣ハ特ニ検査ノ官吏ヲ命シテ事実ヲ調定シ其調書ヲ作ラシムヘシ
仕払命令官ハ前項ノ調書ニ拠ルニアラサレハ仕払命令ヲ発スルコトヲ得ス
第六十八条　前条ノ仕払ヲ為サントスルトキハ工事ノ既済又ハ物品ノ既納トナリタル部分ニ対スル代価ノ五分ノ四ヲ超ユヘカラス
第六十九条　工事又ハ物品供給ノ競争ニ加ハラントシ若クハ其契約ヲ結ハントスル者ハ其工事又ハ物品ノ供給ニ二年以来従事スルコトヲ証明スヘシ
工事又ハ物品供給ノ競争ニ加ハラントシ若クハ其契約ヲ結ハントスル者ハ現金又ハ公債証書ヲ以テ保証金ヲ納ムヘシ
第七十条　前条ノ保証金ハ左ノ制限ニ拠リ各省大臣之ヲ定ムヘシ
第一　競争ニ加ハラントスル者ハ其事項ノ見積代金ノ百分ノ五以上
第二　契約ヲ結ハントスル者ハ其事項ノ代金ノ百分ノ十以上
第七十一条　競争ノ落札者請負ノ契約ヲ結ハサルトキハ其保証金ハ政府ノ所得トス
第二款　競争契約
第七十二条　競争ハ総テ入札ノ方法ヲ以テ之ヲ行フヘシ
第七十三条　入札ノ方法ヲ以テ工事又ハ物件ノ売買貸借ヲ契約セントスルトキハ其入札期日ヨリ少ナクモ十五日以前ヨリ掲示又ハ官報新聞紙其他ノ方法ヲ以テ成ルヘク広ク公告スヘシ
第七十四条　前条ノ公告ニハ左ノ事項ヲ示スヘシ
第一　競争入札ニ付スル事項
第二　契約書案ヲ示ス場所及其契約ノ取結ヲ担任スル官吏ノ官氏名
第三　競争執行ノ場所日限及時刻
第四　入札ノ保証金額
第七十五条　各省大臣若クハ其委任ヲ受ケタル官吏ハ其競争入札ニ付シタル工事又ハ物件ノ価格ヲ予定シ其予定価格ヲ封書トシ開札ノトキ之ヲ開札場所ニ置クヘシ
第七十六条　開札ハ公告ニ示シタル場所日限時刻ニ入札人ノ面前ニ於テ之ヲ行フヘシ
入札人又ハ其代理人若シ開札ノ場所ニ出席セサルトキハ其入札ハ無効トス
第七十七条　開札ノ上ニテ各人ノ入札中一モ第七十五条ニ拠リ予定シタル価格ノ制限ニ達セサルトキハ直ニ入札人ヲシテ再度ノ入札ヲ為サシムルコトヲ得
第七十八条　落札トナルヘキ同価ノ入札ヲ為シタル者数名アルトキハ同価ノ入札者ヲシテ直ニ再度ノ入札ヲ為サシムヘシ
再度ノ入札ヲ為スモ尚ホ同価ノ入札アルトキハ直ニ抽籤ヲ以テ落札人ヲ定ムヘシ
第七十九条　競争ノ落札者請負ノ契約ヲ結ハサルトキハ更ニ競争ヲ行フヘシ
第八十条　工事及物件ノ売買貸借契約書ニハ其契約セントスル事項ノ細密ナル設計、仕訳、落成期限、受渡期限、保証金額、契約違背ノトキ保証金ニ対スル処分、其他一切必要ナル条件ヲ掲クヘシ
第八十一条　契約ハ各省大臣若クハ特ニ其委任ヲ受ケタル官吏其契約書ニ署名捺印スルニアラサレハ確定セサルモノトス
第三款　随意契約
第八十二条　随意契約書ハ第八十条及第八十一条ニ準拠シ之ヲ作ルヘシ但一口五百円未満ノ随意契約ノ場合ニ於テハ左ノ書類ノ一ヲ以テ契約書ニ代用スルコトヲ得
第一　設計仕訳書ノ末ニ請負人ノ署名捺印シタルモノ
第二　請負人ノ署名捺印セル承諾書
第三　商業上ノ習慣ニ従ヘル往復書
第八十三条　随意契約ノ場合ニ於テハ各省大臣ノ見込ニヨリ請負人ノ保証金ヲ免除スルコトヲ得
第八章　出納官吏
第一款　会計主務官、収入官吏、現金前渡ヲ受ケタル官吏
第八十四条　出納官吏ハ其責任ニ属スル会計ニ付自身ニ事務ヲ執ラサルヲ理由トシテ其責任ヲ免ルコトヲ得ス但各省大臣ノ命令ヲ以テ特ニ其代理官ヲ定メタルトキ其代理官ノ所為ニ付テハ本条ノ限ニアラス
第八十五条　各省大臣ノ命シタル出納官吏代理官ハ其代理シタル所為ニ付会計法第二十六条ノ責任ヲ免ルコトヲ得ス
第八十六条　出納官吏ハ各省大臣ニ隷属シ大蔵大臣ノ指揮監督ヲ受クヘシ
第八十七条　会計主務官トナルヘキ官吏ノ任命罷免ハ予メ大蔵大臣ノ同意ヲ要ス但陸海軍武官ニ係ル場合ハ本条ノ限ニアラス
第八十八条　各省大臣ハ所属出納官吏ノ所為ニ由リ政府ノ損失ヲ生シタリト認ムル場合ニ於テハ会計検査院ノ判決以前ト雖モ其出納官吏ニ向テ弁償ヲ命スルコトヲ得
第八十九条　前条ノ場合ニ於テ其弁償ヲ命セラレタル出納官吏負担ノ責ヲ免ルヘキ理由アリト信スルトキハ計算書ヲ作リ証憑書類ヲ添ヘ本属大臣ヲ経由シテ之ヲ会計検査院ニ送付シ其判決ヲ求ムルコトヲ得
各省大臣ハ前項ノ場合ト雖モ其命シタル損失金ノ弁償ヲ猶予セス
会計検査院ニ於テ其出納官吏ニ向テ弁償ノ責ナシト判決シタルトキハ其既納ニ係ル弁償金ハ直ニ之ヲ還付ス
第九十条　現金ヲ領収スル収入官吏及現金前渡ヲ受ケタル官吏交替ノトキハ本属大臣ヨリ特ニ命シタル検査員ノ立会ヲ以テ会計事務ノ引継ヲ為スヘシ
第九十一条　現金ヲ領収スル収入官吏及現金前渡ヲ受ケタル官吏ノ帳簿金櫃ハ毎年三月三十一日若クハ該官吏転免死亡停職ノトキ本属大臣検査員ヲ命シテ之ヲ検査セシムヘシ但臨時ニ現金前渡ヲ受ケタル官吏ノ帳簿金櫃ハ定時ノ検査ヲ要セス
大蔵大臣又ハ各省大臣ハ必要ト認ムルトキハ臨時ニ検査員ヲ命シテ現金ヲ領収スル収入官吏及現金前渡ヲ受ケタル官吏ノ帳簿金櫃ヲ検査セシムルコトアルヘシ
第九十二条　前条ノ検査ヲ執行スルニ当リ主務ノ出納官吏事故ニ由リ自身検査ヲ受クル能ハサルトキハ其代理者若クハ特ニ本属大臣ノ命シタル官吏ニ於テ立会ヲ為スヘシ
第九十三条　現金ヲ領収スル収入官吏及現金前渡ヲ受ケタル官吏ノ帳簿金櫃ヲ検査シタルトキハ其検定書二通ヲ製シ検査員及主務ノ出納官吏若クハ立会人之ニ署名シ一通ハ該官吏若クハ立会人ニ交付シ一通ハ本属大臣ニ提出スヘシ
第九十四条　現金ヲ領収スル収入官吏及現金前渡ヲ受ケタル官吏他ノ公金ノ出納ヲ兼掌スルトキハ別ニ検査ノ方法アルニ拘ハラス金櫃ノ検査ヲ執行スル場合ニ於テハ他ノ公金ヲ併セテ検査ヲ行フヘシ
第九十五条　会計主務官ハ毎年度経過後五箇月以内又収入官吏ハ毎年度経過後七箇月以内ニ会計検査院ノ検査判決ヲ受クル為メ毎年度会計事務ノ計算書ヲ調製シ証憑書類ヲ添ヘ之ヲ其所属省又ハ歳入ノ事務管理庁ニ送付スヘシ
第九十六条　各省又ハ歳入ノ事務管理庁ノ部局長若クハ特ニ監督ノ任アル官吏ハ前条計算書ノ下検査ヲ執行シ其下検査書ヲ添ヘ之ヲ会計検査院ニ送付スヘシ
第九十七条　現金ヲ領収スル収入官吏ハ会計検査院ノ検査判決ヲ受クル為メ一年度内ニ執行シタル出納ノ計算書ヲ調製シ証憑書類ヲ添ヘ毎年度経過後二箇月以内ニ歳入ノ事務管理庁ヲ経由シテ之ヲ会計検査院ニ送付スヘシ
在外各庁ニ勤務スル現金ヲ領収スル収入官吏ノ前条計算書及証憑書類ハ毎年度経過後一箇月以内ニ其庁ヲ発シ之ヲ歳入ノ事務管理庁ニ送付シ其管理庁ハ之ヲ会計検査院ニ送付スヘシ
第九十八条　現金前渡ヲ受タル官吏ハ会計検査院ノ検査判決ヲ受クル為メ各省大臣ノ定ムル所ニ拠リ毎月一回若クハ数回経費仕払ノ計算書ヲ調製シ証憑書類ヲ添ヘ仕払命令官ニ送付シ仕払命令官ハ其下検査ヲ執行シ下検査書ヲ添ヘ之ヲ会計検査院ニ送付スヘシ但行軍費航海費ノ如キハ行軍若クハ航海ノ終リタルトキ本条ノ手続ヲ為スコトヲ得
第九十九条　出納官吏交替ヲ為シタルトキハ其在職期限経過後六十日以内ニ其在職期限間ニ執行シタル会計ノ計算書ヲ調製シ第九十五条第九十七条第九十八条ノ手続ヲ為スヘシ
第百条　出納官吏死亡其他ノ事故ニ由リ自身ニ計算書ヲ調製スル能ハサルトキハ各省大臣特ニ命シタル官吏ヲシテ之ヲ調製セシムヘシ
出納官吏定期内ニ計算書ヲ送付セサルトキハ各省大臣ハ他ノ官吏ニ命シテ之ヲ調製セシムヘシ
本条ニ拠リ調製シタル計算書ハ出納官吏ノ自身ニ調製シタルモノト見做シ会計検査院ニ於テ検査判決ヲ為スヘシ
第百一条　出納官吏ノ計算書ハ提出ノ後修正変更スルコトヲ得ス
第百二条　会計法第二十八条ニ拠リ出納官吏ノ納ムヘキ身元保証金額ハ各省大臣大蔵大臣ト協議シテ之ヲ定メ会計検査院ニ通知スヘシ
出納官吏相当ノ資産アル者二人以上ヲ以テ保証人ト為ストキハ各省大臣前項ノ身元保証金ノ全部若クハ一部ヲ免除スルコトヲ得此場合ニ於テハ各省大臣ヨリ其保証人ノ住所氏名職業ヲ大蔵大臣及会計検査院ニ通知スヘシ
第百三条　身元保証金ハ現金ヲ以テ納ムヘシ但公債証書若クハ土地ヲ以テ現金ニ代用スルコトヲ得
第百四条　身元保証ノ現金ハ大蔵省預金局通常預金ノ利子ヲ付スヘシ
身元保証ニ供スル公債証書若クハ土地ハ出納官吏ヨリ大蔵大臣ニ書入トシ其土地ハ出納官吏ノ私費ヲ以テ登記ヲ受クヘシ
第百五条　会計検査院ノ判決ニ依リ各省大臣出納官吏ノ損失金弁償ヲ命シタル場合ニ於テ其指定シタル期限内ニ出納官吏ヨリ損失金ノ弁償ヲ為サヽルトキハ其身元保証金ヲ以テ弁償ニ充ツヘシ
前項ノ場合ニ於テ身元保証金ニ代用シタル公債証書若クハ土地ハ各省大臣ノ通知ニ依リ大蔵大臣之ヲ公売ニ付シ其代価ヨリ損失金額ヲ差引シ剰余アルトキハ出納官吏ニ返付スヘシ
保証人ヲ以テ身元保証金ノ免除ヲ得タル官吏損失金ノ弁償ヲ命セラレタル場合ニ於テ弁償スルコト能ハサルトキハ其保証人ヲシテ損失金ヲ弁償セシムヘシ
第百六条　前条ノ場合ニ於テ出納官吏ノ身元保証金ヲ以テ損失金ノ弁償ニ充ルニ足ラサルトキハ其不足ハ出納官吏及其保証人ヨリ徴収スヘシ
第百七条　出納官吏数職ヲ兼務シタルカ為メ各職毎ニ身元保証ヲ為シタルトキト雖モ身元保証金ハ出納官吏ノ責任其何職ヲ行ヒタルヨリ生シタルヲ問ハス流用シテ弁償ニ充ツヘシ
第百八条　出納官吏ハ其身元保証金ヲ以テ損失金ノ弁償ニ充テラレタルカ為メ其身元保証金額定規ノ高ヨリ減シタルトキハ各省大臣ノ指定シタル期限内ニ其減少高ヲ追納スヘシ期限ヲ過キ追納ヲ為サヽルトキハ其職務ヲ執ルコトヲ得ス
第百九条　出納官吏転職其他ノ事故ニ由リ身元保証金ノ増納ヲ要スルトキハ其転職若クハ事故ノ生シタル日ヨリ起算シ六箇月以内ニ増納スヘシ期限ヲ過キ増納ヲ為サヽルトキハ其職務ヲ執ルコトヲ得ス
身元保証金トシテ納メタル公債証書若クハ土地ノ価格改定ノ為メ身元保証金額定規ノ高ヨリ減少シ之カ補填ヲ要スル場合ニ於テハ前項ノ例ニ拠ル
第百十条　出納官吏ノ身元保証金ハ其解職後会計検査院ニ於テ其官吏ノ執行シタル会計事務ニ付責任解除ヲ与ヘタル後ニ非サレハ之ヲ還付セス
第二款　金庫出納役
第百十一条　会計法第三十一条ニ拠リ国庫金ノ取扱ヲ日本銀行ニ命シタル場合ニ於テハ日本銀行総裁ハ金庫出納役トシテ金庫ノ出納ヲ掌ルヘシ
金庫出納役ハ会計検査院ノ検査判決ヲ受クル為メ毎年度経過後四箇月以内ニ一年度内ニ執行シタル出納ノ計算書ヲ調製シ証憑書類ヲ添ヘ大蔵大臣ヲ経由シテ之ヲ会計検査院ニ送付スヘシ
第九章　帳簿
第百十二条　大蔵省ハ日記簿原簿補助簿ヲ備ヘ国庫ノ計算ニ入ルヘキ一切現金ノ出納ヲ登記スヘシ
第百十三条　大蔵省ハ歳入歳出ノ主計簿ヲ備ヘ総テ歳入ノ予算額、調定済額、収入済額、収入未済額、歳出ノ予算額、仕払命令済額ヲ登記スヘシ
第百十四条　収入官吏ハ収入簿ヲ備ヘ歳入ノ種類ヲ区分シ調定済額、収入済額、収入未済額ヲ登記スヘシ
第百十五条　歳入ノ事務管理庁ハ歳入簿ヲ備ヘ歳入ノ種類ヲ区分シ歳入ノ予算額、調定済額、収入済額、収入未済額ヲ登記スヘシ
第百十六条　会計主務官ハ支出簿ヲ備ヘ歳出ノ科目ヲ区分シ仕払予算額、仕払命令調定済額ヲ登記スヘシ
第百十七条　各省中央会計主務官ハ歳出簿ヲ備ヘ歳出ノ科目ヲ区分シ歳出予算額仕払命令調定済額ヲ登記スヘシ
第百十八条　現金ヲ領収スル収入官吏、現金前渡ヲ受ケタル官吏及金庫出納役ハ現金出納簿ヲ備ヘ現金ノ出納ヲ登記スヘシ
第百十九条　各年度経過後八箇月ノ末日ニ於テ大蔵大臣ハ会計検査官立会ノ上ニテ大蔵省ニ備ヘタル主計簿ヲ締切ルヘシ
第十章　雑則
第百二十条　本規則ニ拠リ会計主務官、収入官吏、現金前渡ヲ受ケタル官吏及金庫出納役ヨリ会計検査院ニ提出スル所ノ証明書ニ関スル規程様式ハ会計検査院ニ於テ之ヲ定ムヘシ
第百二十一条　前条ノ外本規則ニ掲クル諸計算書仕払命令領収証ノ様式ハ大蔵大臣之ヲ定ムヘシ
第百二十二条　帳簿ノ様式及記入ノ方法ハ大蔵大臣ヲ定ムヘシ
第百二十三条　本規則ハ明治二十三年四月一日ヨリ施行ス
本規則ト牴触スル命令ハ本規則施行ノ日ヨリ総テ廃止ス