裁判員の参加する刑事裁判に関する法律等の一部を改正する法律
法令番号: 法律第六十号
公布年月日: 平成19年5月30日
法令の形式: 法律
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律等の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
国事行為臨時代行名
平成十九年五月三十日
内閣総理大臣 安倍晋三
法律第六十号
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律等の一部を改正する法律
(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部改正)
第一条 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成十六年法律第六十三号)の一部を次のように改正する。
目次中「特例」を「特例等」に、
第五章
裁判員等の保護のための措置(第七十一条―第七十三条)
第六章
雑則(第七十四条―第七十六条)
第七章
罰則(第七十七条―第八十四条)
第五章
区分審理決定がされた場合の審理及び裁判の特例等
第一節
審理及び裁判の特例
第一款
区分審理決定(第七十一条―第七十六条)
第二款
区分事件審判(第七十七条―第八十五条)
第三款
併合事件審判(第八十六条―第八十九条)
第二節
選任予定裁判員
第一款
選任予定裁判員の選定(第九十条―第九十二条)
第二款
選任予定裁判員の選定の取消し(第九十三条―第九十六条)
第三款
選任予定裁判員の裁判員等への選任(第九十七条)
第四款
雑則(第九十八条・第九十九条)
第六章
裁判員等の保護のための措置(第百条―第百二条)
第七章
雑則(第百三条―第百五条)
第八章
罰則(第百六条―第百十三条)
に改める。
第十二条第一項中「第二十八条第二項」の下に「(第三十八条第二項(第四十六条第二項において準用する場合を含む。)、第四十七条第二項及び第九十二条第二項において準用する場合を含む。)」を加え、「及び第四十七条第二項」を「、第四十七条第二項及び第九十二条第二項」に改める。
第十六条第七号を同条第八号とし、同条第六号を同条第七号とし、同条第五号中「第三十四条第七項」の下に「(第三十八条第二項(第四十六条第二項において準用する場合を含む。)、第四十七条第二項及び第九十二条第二項において準用する場合を含む。第二十六条第三項において同じ。)」を加え、同号を同条第六号とし、同条第四号の次に次の一号を加える。
五 過去三年以内に選任予定裁判員であった者
第四十四条第一項中「第十六条第七号」を「第十六条第八号」に改める。
第五十五条中「三百十六条の三十」を「第三百十六条の三十」に改める。
第三章第二節の節名を次のように改める。
第二節 刑事訴訟法等の適用に関する特例等
第六十四条の見出し中「刑事訴訟法」を「刑事訴訟法等」に改め、同条の表第八十一条の項、第八十九条第五号の項及び第九十六条第一項第四号の項中「若しくは補充裁判員」を「、補充裁判員若しくは選任予定裁判員」に改め、同条に次の一項を加える。
2 第二条第一項の合議体で事件が取り扱われる場合における組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)第二十二条第四項の規定の適用については、同項中「合議体の構成員」とあるのは、「合議体の構成員である裁判官」とする。
第六十五条を次のように改める。
(訴訟関係人の尋問及び供述等の記録媒体への記録)
第六十五条 裁判所は、対象事件(第五条本文の規定により第二条第一項の合議体で取り扱うものとされた事件を含む。)及び第四条第一項の決定に係る事件の審理における裁判官、裁判員又は訴訟関係人の尋問及び証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人の供述、刑事訴訟法第二百九十二条の二第一項の規定による意見の陳述並びに裁判官、裁判員又は訴訟関係人による被告人の供述を求める行為及び被告人の供述並びにこれらの状況(以下「訴訟関係人の尋問及び供述等」という。)について、審理又は評議における裁判員の職務の的確な遂行を確保するため必要があると認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、これを記録媒体(映像及び音声を同時に記録することができる物をいう。以下同じ。)に記録することができる。ただし、事案の内容、審理の状況、供述又は陳述をする者に与える心理的な負担その他の事情を考慮し、記録媒体に記録することが相当でないと認めるときは、この限りでない。
2 前項の規定による訴訟関係人の尋問及び供述等の記録は、刑事訴訟法第百五十七条の四第一項に規定する方法により証人を尋問する場合においては、その証人の同意がなければ、これをすることができない。
3 前項の場合において、その訴訟関係人の尋問及び供述等を記録した記録媒体は、訴訟記録に添付して調書の一部とするものとする。ただし、その証人が後の刑事手続において同一の事実につき再び証人として供述を求められることがないと明らかに認められるときは、この限りでない。
4 刑事訴訟法第四十条第二項、第百八十条第二項及び第二百七十条第二項の規定は前項の規定により訴訟記録に添付して調書の一部とした記録媒体の謄写について、同法第三百五条第四項及び第五項の規定は当該記録媒体がその一部とされた調書の取調べについて、それぞれ準用する。
第八十四条を第百十三条とする。
第八十三条第一号中「及び第四十七条第二項」を「、第四十七条第二項及び第九十二条第二項」に改め、同条第四号中「第六十三条第一項」の下に「(第七十八条第五項において準用する場合を含む。)」を加え、同号を同条第五号とし、同条中第三号を第四号とし、第二号を第三号とし、第一号の次に次の一号を加える。
二 呼出しを受けた選任予定裁判員が、第九十七条第五項の規定により読み替えて適用する第二十九条第一項の規定に違反して、正当な理由がなく出頭しないとき。
第八十三条を第百十二条とする。
第八十二条中「及び第四十七条第二項」を「、第四十七条第二項及び第九十二条第二項」に改め、同条を第百十一条とする。
第八十一条を第百十条とする。
第八十条中「第三十条」の下に「(第三十八条第二項(第四十六条第二項において準用する場合を含む。)、第四十七条第二項及び第九十二条第二項において準用する場合を含む。次条において同じ。)」を加え、同条を第百九条とする。
第七十九条第五項中「あった者が、」の下に「その職務に係る被告事件の審判における判決(少年法第五十五条の決定を含む。以下この項において同じ。)に関与した」を加え、「その被告事件の」を削り、「被告事件の裁判所による」を「判決において示された」に改め、同項を同条第六項とし、同条第四項中「その被告事件の」を「現にその被告事件の審判に係る職務を行う」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項の次に次の一項を加える。
4 前三項の規定の適用については、区分事件審判に係る職務を行う裁判員又は補充裁判員の職にあった者で第八十四条の規定によりその任務が終了したものは、併合事件裁判がされるまでの間は、なお裁判員又は補充裁判員であるものとみなす。
第七十九条に次の一項を加える。
7 区分事件審判に係る職務を行う裁判員又は補充裁判員の職にあった者で第八十四条の規定によりその任務が終了したものが、併合事件裁判がされるまでの間に、当該区分事件審判における部分判決に関与した構成裁判官であった者又は他の裁判員若しくは補充裁判員の職にあった者以外の者に対し、併合事件審判において認定すべきであると考える事実(当該区分事件以外の被告事件に係るものを除く。)若しくは量定すべきであると考える刑を述べたとき、又は併合事件審判において裁判所により認定されると考える事実(当該区分事件以外の被告事件に係るものを除く。)若しくは量定されると考える刑を述べたときも、第一項と同様とする。
第七十九条を第百八条とする。
第七十八条第一項中「当該被告事件の」の下に「審判に係る職務を行う」を加え、同条第二項中「裁判員候補者」を「審判に係る職務を行う裁判員若しくは補充裁判員の選任のために選定された裁判員候補者若しくは当該裁判員若しくは補充裁判員の職務を行うべき選任予定裁判員」に改め、同条を第百七条とする。
第七十七条に次の二項を加える。
3 選任予定裁判員に対し、裁判員又は補充裁判員として行うべき職務に関し、請託をした者も、第一項と同様とする。
4 被告事件の審判に影響を及ぼす目的で、選任予定裁判員に対し、事実の認定その他の裁判員として行うべき判断について意見を述べ又はこれについての情報を提供した者も、第一項と同様とする。
第七十七条を第百六条とし、第七章を第八章とする。
第六章中第七十六条を第百五条とし、第七十五条を第百四条とし、第七十四条を第百三条とし、同章を第七章とする。
第七十三条第一項中「当該被告事件の」を「当該被告事件を取り扱う裁判所に選任され、又は選定された」に、「又は補充裁判員」を「若しくは補充裁判員又は選任予定裁判員」に改め、同条に次の一項を加える。
3 前二項の規定の適用については、区分事件審判に係る職務を行う裁判員又は補充裁判員の職にあった者で第八十四条の規定によりその任務が終了したものは、併合事件裁判がされるまでの間は、なお裁判員又は補充裁判員であるものとみなす。
第五章中第七十三条を第百二条とする。
第七十二条中「補充裁判員」の下に「、選任予定裁判員」を加え、同条に次の一項を加える。
2 前項の規定の適用については、区分事件審判に係る職務を行う裁判員又は補充裁判員の職にあった者で第八十四条の規定によりその任務が終了したものは、すべての区分事件審判の後に行われる併合事件の全体についての裁判(以下「併合事件裁判」という。)がされるまでの間は、なお裁判員又は補充裁判員であるものとみなす。
第七十二条を第百一条とする。
第七十一条中「補充裁判員」の下に「、選任予定裁判員」を加え、同条を第百条とする。
第五章を第六章とする。
第七十条の次に次の一章を加える。
第五章 区分審理決定がされた場合の審理及び裁判の特例等
第一節 審理及び裁判の特例
第一款 区分審理決定
(区分審理決定)
第七十一条 裁判所は、被告人を同じくする数個の対象事件の弁論を併合した場合又は第四条第一項の決定に係る事件と対象事件の弁論を併合した場合において、併合した事件(以下「併合事件」という。)を一括して審判することにより要すると見込まれる審判の期間その他の裁判員の負担に関する事情を考慮し、その円滑な選任又は職務の遂行を確保するため特に必要があると認められるときは、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、併合事件の一部を一又は二以上の被告事件ごとに区分し、この区分した一又は二以上の被告事件ごとに、順次、審理する旨の決定(以下「区分審理決定」という。)をすることができる。ただし、犯罪の証明に支障を生ずるおそれがあるとき、被告人の防御に不利益を生ずるおそれがあるときその他相当でないと認められるときは、この限りでない。
2 区分審理決定又は前項の請求を却下する決定をするには、最高裁判所規則で定めるところにより、あらかじめ、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。
3 区分審理決定又は第一項の請求を却下する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
(区分審理決定の取消し及び変更)
第七十二条 裁判所は、被告人の主張、審理の状況その他の事情を考慮して、区分事件(区分審理決定により区分して審理することとされた一又は二以上の被告事件をいう。以下同じ。)ごとに審理することが適当でないと認めるときは、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、区分審理決定を取り消す決定をすることができる。ただし、区分事件につき部分判決がされた後は、この限りでない。
2 裁判所は、被告人の主張、審理の状況その他の事情を考慮して、適当と認めるときは、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、区分審理決定を変更する決定をすることができる。この場合においては、前条第一項ただし書の規定を準用する。
3 前二項の決定又はこれらの項の請求を却下する決定をするには、最高裁判所規則で定めるところにより、あらかじめ、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。
4 前条第三項の規定は、前項に規定する決定について準用する。
(審理の順序に関する決定)
第七十三条 裁判所は、二以上の区分事件があるときは、決定で、区分事件を審理する順序を定めなければならない。
2 裁判所は、被告人の主張、審理の状況その他の事情を考慮して、適当と認めるときは、決定で、前項の決定を変更することができる。
3 前二項の決定をするには、最高裁判所規則で定めるところにより、あらかじめ、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。
(構成裁判官のみで構成する合議体による区分事件の審理及び裁判)
第七十四条 裁判所は、区分事件に含まれる被告事件の全部が、対象事件に該当しないとき又は刑事訴訟法第三百十二条の規定により罰条が撤回若しくは変更されたため対象事件に該当しなくなったときは、構成裁判官のみで構成する合議体でその区分事件の審理及び裁判を行う旨の決定をすることができる。
(公判前整理手続等における決定)
第七十五条 区分審理決定並びに第七十二条第一項及び第二項、第七十三条第一項及び第二項並びに前条の決定は、公判前整理手続及び期日間整理手続において行うことができる。第七十一条第一項並びに第七十二条第一項及び第二項の請求を却下する決定についても、同様とする。
(区分審理決定をした場合の補充裁判員に関する決定)
第七十六条 裁判所は、区分審理決定をした場合において、第二十六条第一項に規定する必要な員数の補充裁判員を置く決定又は補充裁判員を置かない決定をするときは、各区分事件の審理及び裁判(以下「区分事件審判」という。)並びに第八十六条第一項に規定する併合事件審判について、それぞれ、これをしなければならない。
第二款 区分事件審判
(区分事件の審理における検察官等による意見の陳述)
第七十七条 区分事件の審理において、証拠調べが終わった後、検察官は、次条第二項第一号及び第三号から第五号まで並びに第三項各号に掲げる事項に係る事実及び法律の適用について意見を陳述しなければならない。
2 区分事件の審理において、証拠調べが終わった後、被告人及び弁護人は、当該区分事件について意見を陳述することができる。
3 区分事件の審理において、裁判所は、区分事件に含まれる被告事件に係る被害者参加人(刑事訴訟法第三百十六条の三十三第三項に規定する被害者参加人をいう。第八十九条第一項において同じ。)又はその委託を受けた弁護士から、第一項に規定する事項に係る事実又は法律の適用について意見を陳述することの申出がある場合において、審理の状況、申出をした者の数その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、公判期日において、同項の規定による検察官の意見の陳述の後に、訴因として特定された事実の範囲内で、申出をした者がその意見を陳述することを許すものとする。
4 刑事訴訟法第三百十六条の三十八第二項から第四項までの規定は、前項の規定による意見の陳述について準用する。
5 刑事訴訟法第三百十六条の三十七の規定は、第三項の規定による意見の陳述をするための被告人に対する質問について準用する。
(部分判決)
第七十八条 区分事件に含まれる被告事件について、犯罪の証明があったときは、刑事訴訟法第三百三十三条及び第三百三十四条の規定にかかわらず、部分判決で有罪の言渡しをしなければならない。
2 部分判決で有罪の言渡しをするには、刑事訴訟法第三百三十五条第一項の規定にかかわらず、次に掲げる事項を示さなければならない。
一 罪となるべき事実
二 証拠の標目
三 罰条の適用並びに刑法(明治四十年法律第四十五号)第五十四条第一項の規定の適用及びその適用に係る判断
四 法律上犯罪の成立を妨げる理由となる事実に係る判断
五 法律上刑を減免し又は減免することができる理由となる事実に係る判断
3 部分判決で有罪の言渡しをする場合は、次に掲げる事項を示すことができる。
一 犯行の動機、態様及び結果その他の罪となるべき事実に関連する情状に関する事実
二 没収、追徴及び被害者還付の根拠となる事実並びにこれらに関する規定の適用に係る判断
4 区分事件の審理において第二項第四号又は第五号に規定する事実が主張されたときは、刑事訴訟法第三百三十五条第二項の規定にかかわらず、部分判決において、これに対する判断を示さなければならない。
5 第六十三条の規定は、第一項の規定による部分判決の宣告をする場合について準用する。
第七十九条 区分事件に含まれる被告事件について、刑事訴訟法第三百二十九条の規定による管轄違いの判決、同法第三百三十六条の規定による無罪の判決、同法第三百三十七条の規定による免訴の判決又は同法第三百三十八条の規定による公訴棄却の判決の言渡しをしなければならない事由があるときは、部分判決でその旨の言渡しをしなければならない。
(部分判決に対する控訴の申立て)
第八十条 部分判決に対しては、刑事訴訟法第三百七十二条の規定にかかわらず、控訴をすることができない。
(管轄違い等の部分判決後の弁論の分離)
第八十一条 第七十九条の部分判決は、当該部分判決をした事件に係る弁論を刑事訴訟法第三百十三条第一項の決定により分離した場合には、その決定を告知した時に、終局の判決となるものとする。
(区分事件審判に関する公判調書)
第八十二条 区分事件審判に関する公判調書は、刑事訴訟法第四十八条第三項の規定にかかわらず、各公判期日後速やかに、遅くとも当該区分事件についての部分判決を宣告するまでにこれを整理しなければならない。ただし、部分判決を宣告する公判期日の調書及び公判期日から部分判決を宣告する日までの期間が十日に満たない場合における当該公判期日の調書は、それぞれその公判期日後十日以内に、整理すれば足りる。
2 前項の公判調書に係る刑事訴訟法第五十一条第一項の規定による異議の申立ては、同条第二項の規定にかかわらず、遅くとも当該区分事件審判における最終の公判期日後十四日以内(前項ただし書の規定により部分判決を宣告する公判期日後に整理された調書については、整理ができた日から十四日以内)にこれをしなければならない。
(公訴の取消し等の制限)
第八十三条 区分事件に含まれる被告事件についての公訴は、刑事訴訟法第二百五十七条の規定にかかわらず、当該区分事件について部分判決の宣告があった後は、これを取り消すことができない。
2 刑事訴訟法第四百六十五条第一項の規定による正式裁判の請求があった被告事件について、区分審理決定があったときは、同法第四百六十六条の規定にかかわらず、当該被告事件を含む区分事件について部分判決の宣告があった後は、当該請求を取り下げることができない。
3 前項の区分審理決定があった場合には、同項の請求に係る略式命令は、刑事訴訟法第四百六十九条の規定にかかわらず、当該被告事件について終局の判決があったときに、その効力を失う。
(区分事件審判における裁判員等の任務の終了)
第八十四条 区分事件審判に係る職務を行う裁判員及び補充裁判員の任務は、第四十八条の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当するときに終了する。
一 当該区分事件について部分判決の宣告をしたとき。
二 当該区分事件に含まれる被告事件の全部について刑事訴訟法第三百三十九条第一項の規定による公訴を棄却する決定がされたとき。
三 当該区分事件について第七十四条の決定がされたとき。
(区分事件の審理における公判手続の更新)
第八十五条 前条の規定により区分事件審判に係る職務を行う裁判員の任務が終了し、新たに第二条第一項の合議体に他の区分事件審判に係る職務を行う裁判員が加わった場合には、第六十一条第一項の規定にかかわらず、公判手続の更新は行わないものとする。
第三款 併合事件審判
(併合事件審判)
第八十六条 裁判所は、すべての区分事件審判が終わった後、区分事件以外の被告事件の審理及び区分事件の審理(当該区分事件に含まれる被告事件に係る部分判決で示された事項に係るもの(第三項の決定があった場合を除く。)を除く。)並びに併合事件の全体についての裁判(以下「併合事件審判」という。)をしなければならない。
2 裁判所は、前項の規定により併合事件の全体についての裁判をする場合においては、部分判決がされた被告事件に係る当該部分判決で示された事項については、次項の決定があった場合を除き、これによるものとする。
3 裁判所は、構成裁判官の合議により、区分事件の審理又は部分判決について刑事訴訟法第三百七十七条各号、第三百七十八条各号又は第三百八十三条各号に掲げる事由があると認めるときは、職権で、その旨の決定をしなければならない。
(併合事件審判のための公判手続の更新)
第八十七条 第八十四条の規定により区分事件審判に係る職務を行う裁判員の任務が終了し、新たに第二条第一項の合議体に併合事件審判に係る職務を行う裁判員が加わった場合には、第六十一条第一項の規定にかかわらず、併合事件審判をするのに必要な範囲で、区分事件の公判手続を更新しなければならない。
(刑事訴訟法第二百九十二条の二の意見の陳述)
第八十八条 区分事件に含まれる被告事件についての刑事訴訟法第二百九十二条の二第一項の規定による意見の陳述又は同条第七項の規定による意見を記載した書面の提出は、併合事件審判における審理において行うものとする。ただし、併合事件審判における審理において行うことが困難である場合その他当該被告事件を含む区分事件の審理において行うことが相当と認めるときは、当該区分事件の審理において行うことができる。
(併合事件審理における検察官等による意見の陳述)
第八十九条 併合事件審判における審理において行う刑事訴訟法第二百九十三条第一項の規定による検察官の意見の陳述、同条第二項の規定による被告人及び弁護人の意見の陳述並びに同法第三百十六条の三十八第一項の規定による区分事件に含まれる被告事件に係る被害者参加人又はその委託を受けた弁護士の意見の陳述は、部分判決で示された事項については、することができない。
2 裁判長は、前項に規定する意見の陳述が部分判決で示された事項にわたるときは、これを制限することができる。
第二節 選任予定裁判員
第一款 選任予定裁判員の選定
(選任予定裁判員)
第九十条 裁判所は、区分審理決定をした場合において、必要があると認めるときは、裁判員等選任手続において、第八十四条の規定により区分事件審判に係る職務を行う裁判員又は補充裁判員の任務が終了した後に他の区分事件審判又は併合事件審判に係る職務を行う裁判員又は補充裁判員に選任されるべき必要な員数の選任予定裁判員を、各区分事件審判又は併合事件審判ごとに、あらかじめ選定することができる。この場合において、選任予定裁判員の員数は、裁判所が定めるものとする。
2 前項の規定により選任予定裁判員を選定する場合における第二十六条第二項、第二十七条第一項ただし書、第三十五条第二項及び第三十六条第二項の規定の適用については、第二十六条第二項中「前項の決定をした」とあるのは「選任予定裁判員を選定することとした」と、第二十七条第一項ただし書中「期日から」とあるのは「期日及び第九十七条第一項の規定により選任予定裁判員を裁判員に選任する決定がされると見込まれる日から」と、第三十五条第二項中「第三十七条第一項又は第二項の規定により裁判員又は補充裁判員に選任する」とあるのは「第九十一条第一項の規定により選任予定裁判員に選定する」と、第三十六条第二項中「補充裁判員を置く」とあるのは「裁判員の員数を超える員数の選任予定裁判員を選定する」と、「選任すべき補充裁判員の」とあるのは「選定すべき選任予定裁判員の員数のうち裁判員の員数を超える」と、「三人又は四人のときは二人、五人又は六人のときは三人」とあるのは「三人以上の奇数及びそれに続く偶数の員数のときは当該偶数の員数の二分の一の員数」とする。
(選任予定裁判員の選定)
第九十一条 裁判所は、くじその他の作為が加わらない方法として最高裁判所規則で定める方法に従い、裁判員等選任手続の期日に出頭した裁判員候補者で不選任の決定がされなかったものから、前条第一項の規定により裁判所が定めた員数(当該裁判員候補者の員数がこれに満たないときは、その員数)の選任予定裁判員を裁判員(補充裁判員を置くときは、補充裁判員を含む。)に選任されるべき順序を定めて選定する決定をしなければならない。
2 裁判所は、前項の規定により選任予定裁判員に選定された者以外の不選任の決定がされなかった裁判員候補者については、不選任の決定をするものとする。
(選任予定裁判員が不足する場合の措置)
第九十二条 裁判所は、前条第一項の規定により選定された選任予定裁判員の員数が選定すべき選任予定裁判員の員数に満たないときは、不足する員数の選任予定裁判員を選定することができる。
2 第二十六条(第一項を除く。)から第三十六条(第二項を除く。)まで及び前条の規定は、前項の規定による選任予定裁判員の選定について準用する。この場合において、第二十六条第二項中「前項の決定をした」とあるのは「不足する員数の選任予定裁判員を選定することとした」と、第二十七条第一項ただし書中「期日から」とあるのは「期日及び第九十七条第一項の規定により選任予定裁判員を裁判員に選任する決定がされると見込まれる日から」と、第三十五条第二項中「第三十七条第一項又は第二項の規定により裁判員又は補充裁判員に選任する」とあるのは「第九十二条第二項において読み替えて準用する第九十一条第一項の規定により選任予定裁判員に選定する」と、第三十六条第一項中「四人(第二条第三項の決定があった場合は、三人)」とあるのは「選定すべき選任予定裁判員の員数が一人又は二人のときは一人、三人以上の奇数及びそれに続く偶数の員数のときは当該偶数の員数の二分の一の員数」と、前条第一項中「前条第一項の規定により裁判所が定めた」とあるのは「不足する」と読み替えるものとする。
第二款 選任予定裁判員の選定の取消し
(請求による選任予定裁判員の選定の取消し)
第九十三条 検察官、被告人又は弁護人は、裁判所に対し、次の各号のいずれかに該当することを理由として選任予定裁判員の選定の取消しを請求することができる。ただし、第二号に該当することを理由とする請求は、当該選任予定裁判員についてその選定の決定がされた後に知り、又は生じた原因を理由とするものに限る。
一 選任予定裁判員が、第十三条に規定する者に該当しないとき、第十四条の規定により裁判員となることができない者であるとき、又は第十五条第一項各号若しくは第二項各号若しくは第十七条各号に掲げる者に該当するとき。
二 選任予定裁判員が、不公平な裁判をするおそれがあるとき。
三 選任予定裁判員が、裁判員候補者であったときに、質問票に虚偽の記載をし、又は裁判員等選任手続における質問に対して正当な理由なく陳述を拒み、若しくは虚偽の陳述をしていたことが明らかとなり、裁判員又は補充裁判員の職務を行わせることが適当でないとき。
2 前項の請求を受けた裁判所は、同項各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該選任予定裁判員の選定を取り消す決定をする。
3 前項の決定又は第一項の請求を却下する決定をするには、最高裁判所規則で定めるところにより、あらかじめ、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。
4 第二項の規定により選任予定裁判員の選定を取り消す決定をするには、当該選任予定裁判員に陳述の機会を与えなければならない。
5 第一項の請求を却下する決定には、理由を付さなければならない。
(異議の申立て)
第九十四条 前条第一項の請求を却下する決定に対しては、当該決定に関与した裁判官の所属する地方裁判所に異議の申立てをすることができる。
2 前項の異議の申立てを受けた地方裁判所は、合議体で決定をしなければならない。
3 第一項の異議の申立てに関しては、即時抗告に関する刑事訴訟法の規定を準用する。
(職権による選任予定裁判員の選定の取消し)
第九十五条 裁判所は、第九十三条第一項各号のいずれかに該当すると認めるときは、職権で、選任予定裁判員の選定を取り消す決定をする。
2 第九十三条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による決定について準用する。
3 裁判所は、次の各号に掲げるいずれかの事由が生じたことにより、選任予定裁判員をその選定に係る区分事件審判又は併合事件審判に係る職務を行う裁判員又は補充裁判員に選任する必要がなくなった場合には、職権で、当該選任予定裁判員の選定を取り消す決定をする。
一 第七十二条第一項の規定により区分審理決定が取り消されたとき。
二 第七十二条第二項の規定により区分審理決定が変更され、区分事件に含まれる被告事件の全部についての審判が他の区分事件審判又は併合事件審判として行われることとなったとき。
三 第一号に掲げる場合のほか、その職務を行うべき区分事件に含まれる被告事件の全部又は区分事件以外の被告事件の全部について刑事訴訟法第三百三十九条第一項の規定による公訴を棄却する決定がされたとき。
四 区分事件について第七十四条の決定がされたとき。
4 裁判所は、前項に規定する場合のほか、選任予定裁判員をその選定に係る区分事件審判又は併合事件審判に係る職務を行う裁判員又は補充裁判員に選任する必要がなくなったと認めるときは、当該選任予定裁判員の選定を取り消す決定をすることができる。
(選任予定裁判員の申立てによる選定の取消し)
第九十六条 選任予定裁判員は、裁判所に対し、第十六条第八号に規定する事由(その選定がされた後に知り、又は生じた原因を理由とするものに限る。)により裁判員又は補充裁判員の職務を行うことが困難であることを理由として選定の取消しの申立てをすることができる。
2 裁判所は、前項の申立てを受けた場合において、その理由があると認めるときは、当該選任予定裁判員の選定を取り消す決定をしなければならない。
第三款 選任予定裁判員の裁判員等への選任
第九十七条 裁判所は、第八十四条の規定により区分事件審判に係る職務を行う裁判員及び補充裁判員の任務が終了したときは、第三十七条の規定にかかわらず、当該区分事件審判の次の区分事件審判又は併合事件審判に係る職務を行う裁判員又は補充裁判員に選任されるために選定されている選任予定裁判員で、指定する裁判員等選任手続の期日に出頭したものから、その選定において定められた順序に従い、当該職務を行う裁判員(補充裁判員を置くときは、補充裁判員を含む。第五項において同じ。)を選任する決定をするものとする。
2 裁判所は、前項に規定する選任予定裁判員を同項に規定する期日に呼び出さなければならない。
3 前項の呼出しは、選任予定裁判員に通知して行う。
4 裁判所は、第一項に規定する区分事件審判又は併合事件審判に係る職務を行う裁判員又は補充裁判員に選任されるために選定されている選任予定裁判員のうち、同項の規定により裁判員又は補充裁判員に選任された者以外の者については、選定を取り消す決定をしなければならない。
5 第一項の規定により選任予定裁判員を裁判員に選任する場合における第二十九条第一項及び第二項並びに第三十八条第一項の規定の適用については、第二十九条第一項及び第二項中「裁判員候補者」とあるのは「選任予定裁判員」と、第三十八条第一項中「前条第一項」とあるのは「第九十七条第一項」とする。
第四款 雑則
(公務所等に対する照会に関する規定の準用)
第九十八条 第十二条第一項の規定は、選任予定裁判員についてその選定の取消しの判断のため必要がある場合について準用する。
(最高裁判所規則への委任)
第九十九条 前三款に定めるもののほか、選任予定裁判員の選定及び裁判員又は補充裁判員への選任に関する手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
附則第一条第二号中「第七十一条、第七十二条、第七十五条、第七十六条及び附則第五条」を「第百条、第百一条、第百四条、第百五条及び附則第六条」に改め、同条に次の一号を加える。
四 第七十七条第三項から第五項までの規定 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成十九年法律第九十五号)の施行の日又はこの法律の施行の日のいずれか遅い日
附則第八条を附則第九条とする。
附則第七条のうち、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)第七条第一項に二号を加える改正規定中第四号に係る部分中「当該被告事件の」の下に「審判に係る職務を行う」を加え、当該改正規定中第五号に係る部分中「裁判員候補者」を「審判に係る職務を行う裁判員若しくは補充裁判員の選任のために選定された裁判員候補者若しくは当該裁判員若しくは補充裁判員の職務を行うべき選任予定裁判員」に改める。
附則第七条を附則第八条とする。
附則第六条のうち刑事確定訴訟記録法(昭和六十二年法律第六十四号)第四条第二項に一号を加える改正規定中「補充裁判員」の下に「、選任予定裁判員」を加える。
附則第六条を附則第七条とし、附則第五条を附則第六条とし、附則第四条の次に次の一条を加える。
(調整規定)
第五条 この法律の施行の日が犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律の施行の日前となる場合には、同法の施行の日の前日までの間における第八十九条第一項の規定の適用については、同項中「、同条第二項の規定による被告人及び弁護人の意見の陳述並びに同法第三百十六条の三十八第一項の規定による区分事件に含まれる被告事件に係る被害者参加人又はその委託を受けた弁護士」とあるのは、「並びに同条第二項の規定による被告人及び弁護人」とする。
2 この法律の施行の日が犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日前となる場合には、同号に掲げる規定の施行の日の前日までの間における第六十五条第四項の規定の適用については、同項中「第三百五条第四項及び第五項」とあるのは、「第三百五条第三項及び第四項」とする。
(刑事訴訟法の一部改正)
第二条 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。
第四十八条第三項ただし書中「但し」を「ただし」に、「、この限りでない」を「当該公判期日後七日以内に、公判期日から判決を宣告する日までの期間が十日に満たない場合における当該公判期日の調書は当該公判期日後十日以内(判決を宣告する日までの期間が三日に満たないときは、当該判決を宣告する公判期日後七日以内)に、整理すれば足りる」に改める。
第五十一条第二項中「申立」を「申立て」に改め、同項ただし書中「但し」を「ただし」に、「判決を宣告する公判期日の」を「第四十八条第三項ただし書の規定により判決を宣告する公判期日後に整理された」に改める。
(検察審査会法の一部改正)
第三条 検察審査会法(昭和二十三年法律第百四十七号)の一部を次のように改正する。
第五条第一号中「小学校を卒業しない」を「学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に定める義務教育を終了しない」に改め、同号ただし書中「小学校卒業」を「義務教育を終了した者」に改め、同条第二号を削り、同条第三号を同条第二号とする。
第六条第六号及び第七号を次のように改める。
六 裁判所の職員(非常勤の者を除く。)
七 法務省の職員(非常勤の者を除く。)
第六条第八号から第十号までを削り、同条第十一号中「、都道府県公安委員会委員及び警察職員」を「及び都道府県公安委員会委員並びに警察職員(非常勤の者を除く。)」に改め、同号を同条第八号とし、同条第十二号を同条第九号とし、同条第十三号を同条第十号とし、同条第十四号から第十七号までを削り、同条第十八号中「市町村長」の下に「(特別区長を含む。)」を加え、同号を同条第十一号とし、同条第十九号中「弁護士」の下に「(外国法事務弁護士を含む。)」を加え、同号を同条第十二号とし、同条第二十号を同条第十三号とする。
第七条第四号中「雇人」を「被用者」に改める。
第八条第八号を同条第九号とし、同条第七号中「第三十四条第七項」の下に「(同法第三十八条第二項(同法第四十六条第二項において準用する場合を含む。)、第四十七条第二項及び第九十二条第二項において準用する場合を含む。)」を加え、同号を同条第八号とし、同条第六号の次に次の一号を加える。
七 過去三年以内に裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の規定による選任予定裁判員であつた者
第九条第一項中「十二月二十日」を「九月一日」に改め、同条第二項中「第一乃至第四の四群に分ち」を「第一群から第四群までの四群に分け」に改める。
第十条を次のように改める。
第十条 市町村の選挙管理委員会は、前条第一項の通知を受けたときは、当該市町村の選挙人名簿に登録されている者の中からそれぞれ第一群から第四群までに属すべき検察審査員候補者の予定者として当該通知に係る員数の者(公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第二十七条第一項の規定により選挙人名簿に同法第十一条第一項若しくは第二百五十二条又は政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第二十八条の規定により選挙権を有しなくなつた旨の表示がなされている者を除く。)をくじで選定しなければならない。
市町村の選挙管理委員会は、前項の規定により選定した者について、選挙人名簿に記載(公職選挙法第十九条第三項の規定により磁気ディスクをもつて調製する選挙人名簿にあつては、記録)をされている氏名、住所及び生年月日の記載(次項の規定により磁気ディスクをもつて調製する検察審査員候補者予定者名簿にあつては、記録)をした検察審査員候補者予定者名簿を調製しなければならない。
検察審査員候補者予定者名簿は、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。以下同じ。)をもつて調製することができる。
第十一条第一項中「一月十五日」を「第九条第一項の通知を受けた年の十月十五日」に、「検察審査員候補者名簿」を「検察審査員候補者予定者名簿」に改め、同条第二項を削る。
第十二条を次のように改める。
第十二条 市町村の選挙管理委員会は、第十条第一項の規定により選定した検察審査員候補者の予定者について、死亡したこと又は衆議院議員の選挙権を有しなくなつたことを知つたときは、前条の規定により検察審査員候補者予定者名簿を送付した検察審査会事務局にその旨を通知しなければならない。ただし、当該検察審査員候補者の予定者が属する群の検察審査員の任期が終了したときは、この限りでない。
第十二条の次に次の六条を加える。
第十二条の二 検察審査会事務局長は、第十一条の規定による検察審査員候補者予定者名簿の送付があつたときは、これに基づき、政令で定めるところにより、検察審査員候補者の氏名、住所及び生年月日の記載(次項の規定により磁気ディスクをもつて調製する検察審査員候補者名簿にあつては、記録。第三項において同じ。)をした検察審査員候補者名簿を調製しなければならない。
検察審査員候補者名簿は、磁気ディスクをもつて調製することができる。
検察審査会事務局長は、検察審査員候補者名簿に記載をされた者にその旨を通知しなければならない。
第十二条の三 検察審査会事務局長は、検察審査員候補者について、次に掲げる事由に該当するかどうかについての検察審査会の判断に資する事情を調査しなければならない。
一 第五条各号に掲げる者であること。
二 第六条各号に掲げる者であること。
三 第八条各号に掲げる者であること。
第十二条の四 検察審査会事務局長は、前条各号に掲げる事由に該当するかどうかについての検察審査会の判断に資する事情を調査するため、検察審査員候補者に対し、質問票を用いて必要な質問をすることができる。
第十二条の五 第十二条の二第三項の規定による通知を受けた検察審査員候補者のうち、第八条第一号から第八号までに掲げる者又は同条第九号に規定する事由に該当する者は、検察審査会に対し、検察審査員又は補充員となることについて辞退の申出をすることができる。
第十二条の六 検察審査会事務局長は、検察審査員候補者又は検察審査員若しくは補充員について、第十二条の三各号に掲げる事由に該当するかどうかについての検察審査会の判断に資する事情を調査するため、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
第十二条の七 検察審査会事務局長は、検察審査員候補者について、次に掲げる事由に該当するときは、政令で定めるところにより、当該検察審査員候補者を検察審査員候補者名簿から消除しなければならない。
一 死亡したこと又は衆議院議員の選挙権を有しなくなつたことを検察審査会が知つたとき。
二 検察審査会が第十二条の三各号に掲げる事由に該当する旨の判断をしたとき。
三 検察審査員又は補充員に選定されたとき。
第十三条第一項中「一月三十一日」を「十二月二十八日まで」に、「四月三十日」を「三月三十一日まで」に、「七月三十一日」を「六月三十日まで」に、「十月三十一日」を「九月三十日まで」に改め、同条第三項中「第一項」を「前項」に、「、地方検察庁の検事及び関係市町村の長の補助機関である職員」を「及び地方検察庁の検事」に、「立会」を「立会い」に、「以て」を「もつて」に改め、同条第二項を削る。
第十四条中「各々六箇月」を「第一群については二月一日から七月三十一日まで、第二群については五月一日から十月三十一日まで、第三群については八月一日から翌年一月三十一日まで、第四群については十一月一日から翌年四月三十日まで」に改める。
第十五条第一項中「第十三条第一項の規定による」を「前条に規定する各群の」に、「選定が了つた」を「いずれかの任期が開始した」に、「この場合において」を「この場合において、」に改め、同条第三項中「第十三条第一項の規定による次期の選定の行われる時」を「その互選後最初の前条に規定する各群の検察審査員及び補充員の任期が終了する日」に改める。
第十六条第一項中「検察審査員の心得を諭告し、これをして」を「、検察審査員及び補充員の権限、義務その他必要な事項を説明し、」に改める。
第十七条に次の一項を加える。
第十二条の六の規定は、前項各号に掲げる者に該当するかどうかについての検察審査会の判断に資する事情の調査について準用する。
第二章中第十八条の次に次の一条を加える。
第十八条の二 検察審査会長は、検察審査員又は補充員が欠けた場合において、必要と認める員数の補充員(以下この条において「追加補充員」という。)を選定することができる。ただし、追加補充員を含め、検察審査員及び補充員の員数の合計が二十二人を超えてはならない。
前項の規定による選定は、政令で定めるところにより、欠けた検察審査員又は補充員が属する群の検察審査員候補者の中から検察審査会事務局長がくじで行う。
追加補充員の任期は、その者が属する群の検察審査員の任期と同一とする。ただし、第一項の選定がその群の検察審査員の任期が開始した後に行われたときは、その任期は、当該選定が行われた日の翌日から開始するものとする。
第十三条第二項の規定は追加補充員の選定に係る第二項のくじについて、第十六条の規定は追加補充員に対する説明及びその宣誓について、それぞれ準用する。この場合において、同条第一項中「前条第一項の」とあるのは、「第十八条の二第一項の規定による選定後最初の」と読み替えるものとする。
第二十条第一項中「各検察審査会に」の下に「最高裁判所が定める員数の」を加える。
第二十一条第一項中「の各十五日に」を「にそれぞれ」に改め、同条第三項を削る。
第七章の次に次の一章を加える。
第七章の二 検察審査員及び補充員の保護のための措置
第四十二条の二 労働者が検察審査員の職務を行うために休暇を取得したことその他検察審査員、補充員若しくは検察審査員候補者であること又はこれらの者であつたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第三条(検察審査会法第五条、第六条及び第九条から第十二条までの改正規定、同法第十二条の次に六条を加える改正規定、同法第十三条から第十五条までの改正規定並びに同法第七章の次に一章を加える改正規定に限る。)及び次条から附則第四条までの規定 公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日
二 第三条(検察審査会法第七条第四号及び第十六条第一項の改正規定、同法第十七条に一項を加える改正規定、同法第十八条の次に一条を加える改正規定並びに同法第二十条第一項及び第二十一条の改正規定に限る。)及び附則第五条の規定 刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第六十二号)附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日
三 第二条及び第三条(検察審査会法第八条の改正規定に限る。)の規定 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の施行の日
(経過措置)
第二条 前条第一号に掲げる規定の施行の際現に選定されている検察審査員候補者に係る検察審査員としての資格、当該資格に関する市町村の選挙管理委員会による通知、当該検察審査員候補者からの検察審査員及び補充員の選定並びにその任期については、第三条(同号に規定する改正規定に限る。)の規定による改正後の検察審査会法(次項及び次条において「新法」という。)第五条、第六条、第十二条、第十三条及び第十四条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
2 新法第十二条の二から第十二条の七までの規定は、前条第一号に掲げる規定の施行後に選定された検察審査員候補者並びに当該検察審査員候補者から選定された検察審査員及び補充員について、適用する。
3 第三条(前条第二号に規定する改正規定に限る。)の規定による改正後の検察審査会法第十八条の二の規定は、前条第一号に掲げる規定の施行後に選定された検察審査員候補者から選定された検察審査員及び補充員(他の群の検察審査員が当該規定の施行前に選定された検察審査員候補者から選定された検察審査員である場合を除く。)について、適用する。
第三条 刑事訴訟法等の一部を改正する法律附則第一条第三号に掲げる規定の施行の日が附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日後となる場合には、同法附則第一条第三号に掲げる規定の施行の日の前日までの間における新法第十二条の五の規定の適用については、同条中「第八号」とあるのは「第四号」と、「同条第九号」とあるのは「同条第五号」とする。
(刑事訴訟法等の一部を改正する法律の一部改正)
第四条 刑事訴訟法等の一部を改正する法律の一部を次のように改正する。
第三条のうち、検察審査会法の題名の次に目次を付する改正規定中「第十八条」を「第十八条の二」に、「第八章 建議及び勧告(第四十二条)」を
第八章
建議及び勧告(第四十二条)
第九章
検察審査員及び補充員の保護のための措置(第四十二条の二)
に、「第九章」を「第十章」に、「第十章」を「第十一章」に改め、同法第六条の改正規定を削り、同法第九章を同法第十章とする改正規定中「第十章」を「第十一章」に改め、同法第八章を同法第九章とする改正規定中「第九章」を「第十章」に改め、同法第七章を同法第八章とし、同法第六章の次に一章を加える改正規定中「第七章を第八章とし」を「第七章の二を第九章とし、第七章を第八章とし」に改める。
(裁判所職員定員法の一部改正)
第五条 裁判所職員定員法(昭和二十六年法律第五十三号)の一部を次のように改正する。
第二条中「(うち千七人は、検察審査会に勤務する職員とする。)」を削る。
総務大臣 菅義偉
法務大臣 長勢甚遠
内閣総理大臣 安倍晋三