(趣旨)
第四十二条 総人件費改革は、国家公務員及び地方公務員について、その総数の純減及び給与制度の見直しを行うとともに、独立行政法人、国立大学法人等(国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第五項に規定する国立大学法人等をいう。以下同じ。)、特殊法人及び認可法人(特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政官庁の認可を要する法人をいう。以下同じ。)の役員及び職員についても、これに準じた措置を講ずることにより、これらの者に係る人件費の総額の削減を図ることにより行われるものとする。
2 前項の総人件費改革を推進するに当たっては、平成二十七年度以降の各年度における国家公務員の人件費の総額の当該年度の国内総生産の額に占める割合が、平成十七年度における当該割合の二分の一にできる限り近づくことを長期的な目安として、これに留意するものとする。
(国家公務員の純減)
第四十三条 政府は、平成二十二年度の国家公務員の年度末総数を、平成十七年度の国家公務員の年度末総数と比較して、同年度の国家公務員の年度末総数の百分の五に相当する数以上の純減とすることを目標として、これを達成するため必要な施策を講ずるものとする。
2 前項に規定する「国家公務員の年度末総数」とは、次に掲げる数の合計数をいう。
一 行政機関の職員の定員に関する法律(昭和四十四年法律第三十三号)第二条及び第三条に規定する定員の当該年度末における数
二 特定独立行政法人(独立行政法人通則法第二条第二項に規定する特定独立行政法人をいう。以下同じ。)の常時勤務に服することを要する役員及び同法第六十条第一項に規定する常勤職員の当該年度の一月一日における数
三 前二号に掲げる国家公務員以外の常時勤務に服することを要する国家公務員(国際平和協力隊の隊員並びに郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第百六十六条第一項の規定による解散前の日本郵政公社の役員及び職員で常時勤務に服することを要するものを除く。)の法律に定められた数又は法律の規定に基づき定められた数の当該年度末における数
(行政機関等の職員の純減)
第四十四条 政府は、行政機関の職員の定員に関する法律第二条及び第三条に規定する定員並びに警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)第五十七条第一項に規定する地方警務官の定員について、平成十八年度以降の五年間で、平成十七年度末におけるこれらの総数から、その百分の五に相当する数以上の純減をさせるものとし、その結果を踏まえ、行政機関の職員の定員に関する法律第一条に規定する定員の総数の最高限度について法制上の措置を講ずるものとする。
2 平成十八年度の国の一般会計の歳出予算の基礎とされた平成十七年度末の自衛官の人員数については、自衛隊の隊員に対する教育及び食事の支給並びに防衛庁設置法(昭和二十九年法律第百六十四号)第五条第十三号に規定する装備品等の整備に係る業務その他の業務の民間への委託その他の方法により、前項の規定の例に準じて純減をさせるものとする。
(国の事務及び事業の見直し)
第四十五条 政府は、前条第一項の純減を実現するため、国の事務及び事業に関し、次条から第五十条までの規定による措置その他の合理化及び効率化のための措置を講ずるものとする。この場合において、事務及び事業の必要性の有無及び実施主体の在り方について事務及び事業の内容及び性質に応じた分類、整理等の仕分けを踏まえた検討を行うとともに、事務及び事業における国家公務員の身分を有しない者の活用を拡大する方策について検討を行うものとする。
2 前項の国の事務及び事業の合理化及び効率化に伴う定員の改廃に当たっては、その対象となる事務及び事業に従事する職員の異動を円滑に行うため、府省横断的な配置の転換及び職員の研修を行う仕組みの構築並びに職員の採用の抑制その他の人事管理上の措置を講ずるものとする。
第四十六条 農林水産省の地方支分部局が所掌する統計及び食糧の管理に関する事務並びに北海道開発局が所掌する事務その他国の行政に対する需要の変化が認められる事務及び事業については、その減量に向けた検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。
第四十七条 国の行政機関の地方支分部局(これ以外の国の行政機関で、一定の管轄区域に係る事務を分掌するものを含む。)については、これらの事務及び事業を見直し、次に掲げる措置その他の事務及び事業の減量を図るための措置を講ずるほか、地方支分部局の統合、廃止及び合理化を推進するものとする。
一 地方公共団体への補助金の交付又は地域の振興に関する事務その他これに類する事務について、減量を行い、又は地方公共団体に権限を委譲すること。
二 民間事業者の指導及び監督に関する事務について、必要に応じ、地方公共団体に権限を委譲すること。
三 公共事業を担当する部局の事務の全体について、公共事業に係る事業量又は費用の減少に応じた減量を行うこと。
四 調査及び統計に関する事務について、民間への委託その他の方法による減量を行うこと。
第四十八条 公共職業安定所の職業紹介及び職業指導並びにこれらに付随する業務、政府が行う厚生年金保険事業及び国民年金事業に係る保険料の収納及び相談並びにこれらに付随する業務、刑事施設の運営に関する業務(法律の規定に基づき刑事施設の長若しくはその指定する職員又は刑務官の行う公権力の行使に当たるものを除く。)並びに給与の計算その他これに類する定型的な業務は、その実施を民間にゆだねる方策を検討し、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。
2 登記に関する事務、特許権その他の工業所有権に関する事務、自動車の登録に関する事務、庁舎その他の国有の施設の管理に関する事務、雇用保険に関する事務その他一層の効率化が求められる事務は、その実施を民間にゆだねることの適否を検討し、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。
第四十九条 国の事務及び事業については、情報通信技術の活用及びそのために必要な制度の見直しを推進して、簡素化及び効率化を図るものとする。この場合において、人事管理、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)による短期給付及び物品の調達に関する事務その他の各行政機関に共通する事務については、当該事務に係る情報システムの統一を進めるとともに、民間への委託による減量を行うものとする。
第五十条 国有林野事業の実施主体及び国立高度専門医療センターについては、第二十八条及び第三十三条第二項に規定するもののほか、特定独立行政法人以外の独立行政法人への移行を検討し、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。
2 主として政策の実施に係る国の事務及び事業のうち、自律的及び効率的な運営が可能と認められるものの実施主体については、特定独立行政法人以外の独立行政法人その他その職員が国家公務員の身分を有しない法人に移行させることを検討し、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。
(国家公務員の給与制度の見直し)
第五十一条 政府は、国家公務員(一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)の適用を受ける職員に限る。以下この条において同じ。)の給与制度について、職務と責任に応じた給与の体系、国家公務員の給与と民間における賃金との比較方法の在り方その他の事項についての人事院における検討の状況を踏まえ、必要な措置を平成十八年度から順次講ずるものとする。特別職の職員及び同法が適用されない一般職の職員の給与制度についても、同様とする。
(特定独立行政法人の見直し)
第五十二条 平成十八年度以降に中期目標の期間が終了する特定独立行政法人については、その業務を国家公務員の身分を有しない者が行う場合における問題点の有無を検証し、その結果、役員及び職員に国家公務員の身分を与えることが必要と認められないときは、特定独立行政法人以外の独立行政法人に移行させるものとする。
(独立行政法人等における人件費の削減)
第五十三条 独立行政法人等(独立行政法人(政令で定める法人を除く。)及び国立大学法人等をいう。次項において同じ。)は、その役員及び職員に係る人件費の総額について、平成十八年度以降の五年間で、平成十七年度における額からその百分の五に相当する額以上を減少させることを基本として、人件費の削減に取り組まなければならない。
2 独立行政法人等を所管する大臣は、独立行政法人等による前項の規定による人件費の削減の取組の状況について、独立行政法人通則法(国立大学法人等にあっては、国立大学法人法)の定めるところにより、的確な把握を行うものとする。
第五十四条 特殊法人及び認可法人のうち政令で定めるもの(次項において「対象法人」という。)は、その役員及び職員の数又はこれらに係る人件費の総額について、平成十八年度以降の五年間で、平成十七年度におけるこれらの数又は額からその百分の五に相当する数又は額以上を減少させることを基本として、役員及び職員の数又は人件費の削減に取り組まなければならない。
2 対象法人を所管する大臣は、前項の規定による削減の取組について、必要な指導を行うものとする。
(地方公務員の職員数の純減)
第五十五条 政府は、平成二十二年四月一日におけるすべての地方公共団体を通じた地方公務員の総数が平成十七年四月一日における当該数からその千分の四十六に相当する数以上の純減をさせたものとなるよう、地方公共団体に対し、職員数の厳格な管理を要請するとともに、必要な助言その他の協力を行うものとする。
2 政府は、前項の規定の趣旨に照らして、地方公務員の配置に関し国が定める基準を見直すほか、地方公共団体の事務及び事業に係る施策については、地方公務員の増員をもたらすことのないよう努めるものとする。
3 政府及び地方公共団体は、公立学校の教職員(公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(昭和三十三年法律第百十六号)第二条第三項に規定する教職員及び公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律(昭和三十六年法律第百八十八号)第二条第一項に規定する教職員をいう。)その他の職員の総数について、児童及び生徒の減少に見合う数を上回る数の純減をさせるため必要な措置を講ずるものとする。
4 地方公共団体は、地方分権の進展に伴い、より自主的かつ主体的に行政改革を推進する必要があることに留意しつつ、その事務及び事業の必要性の有無及び実施主体の在り方について事務及び事業の内容及び性質に応じた分類、整理等の仕分けを踏まえた検討を行うとともに、職員数を厳格に管理するものとする。
5 地方公共団体は、公立の大学及び地方公営企業について、組織形態の在り方を見直し、公立大学法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第六十八条第一項に規定する公立大学法人をいう。以下この項において同じ。)又は一般地方独立行政法人(同法第五十五条に規定する一般地方独立行政法人をいい、公立大学法人を除く。)その他の法人への移行を推進するものとする。
(地方公務員の給与制度の見直し)
第五十六条 地方公共団体は、地方公務員の給与について、国家公務員の給与に係る措置に準じた措置、人事委員会の機能の強化その他の措置を通じ、民間給与の水準を的確に反映させるよう努めるものとする。
2 地方公共団体は、給与に関する情報の積極的な公表を行い、手当の是正その他の給与の一層の適正化に努めるものとする。
3 政府は、学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法(昭和四十九年法律第二号)の廃止を含めた見直しその他公立学校の教職員の給与の在り方に関する検討を行い、平成十八年度中に結論を得て、平成二十年四月を目途に必要な措置を講ずるものとする。
(地方独立行政法人等に対する要請)
第五十七条 地方公共団体は、地方独立行政法人、地方住宅供給公社、地方道路公社及び土地開発公社並びに地方公共団体が資本金、基本金その他これらに準ずるものの四分の一以上を出資している法人に対し、その職員数及び職員の給与に関する情報を公開するよう要請するものとする。