航空法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第58号
公布年月日: 昭和50年7月10日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

近年の航空機の大型化・高速化、航空交通量の増大に伴い、全日本空輸と自衛隊機の衝突事故や日本航空の一連の事故が発生した。航空法は昭和35年以降本格改正がなく、現状に対応できていない。そこで、航空法制改正検討委員会での検討結果に基づき、航空機の運航方法に関する規制強化や装備すべき装置の範囲拡大など、航空交通ルールの整備を図る必要がある。また、ジェット機の騒音問題に対応するため、国際民間航空条約に従い、新たに騒音基準適合証明制度を設ける必要がある。これらの課題に対応するため、航空法の一部改正を提案するものである。

参照した発言:
第71回国会 衆議院 運輸委員会 第36号

審議経過

第71回国会

参議院
(昭和48年7月5日)
衆議院
(昭和48年7月20日)

第72回国会

衆議院
(昭和49年5月15日)

第75回国会

衆議院
(昭和50年2月28日)
(昭和50年3月14日)
(昭和50年3月18日)
(昭和50年3月25日)
(昭和50年3月27日)
参議院
(昭和50年5月8日)
(昭和50年5月29日)
(昭和50年6月5日)
(昭和50年6月17日)
(昭和50年6月19日)
(昭和50年6月25日)
航空法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和五十年七月十日
内閣総理大臣 三木武夫
法律第五十八号
航空法の一部を改正する法律
航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)の一部を次のように改正する。
目次中「第九十九条」を「第九十九条の二」に、「第百三十七条」を「第百三十七条の二」に改める。
第一条中「安全」の下に「及び航空機の航行に起因する障害の防止」を加え、「定め、及び」を「定め、並びに」に改める。
第二条第二項中「含み、航空機の操縦の練習を除く」を「含む」に、「第十九条本文」を「第十九条第一項本文」に改め、同条第六項中「計器飛行」を「計器着陸装置を利用して行なう着陸又は精密進入レーダーを用いてする着陸誘導に従つて行なう着陸」に改め、同条第十三項から第十五項までを次のように改める。
13 この法律において「計器気象状態」とは、視程及び雲の状況を考慮して運輸省令で定める視界上不良な気象状態をいう。
14 この法律において「計器飛行」とは、航空機の姿勢、高度、位置及び針路の測定を計器にのみ依存して行なう飛行をいう。
15 この法律において「計器飛行方式」とは、左に掲げる飛行の方式をいう。
一 第十二項の運輸大臣が指定する飛行場からの離陸及びこれに引き続く上昇飛行又は同項の運輸大臣が指定する飛行場への着陸及びそのための降下飛行を、運輸大臣が定める経路又は第九十六条第一項の規定により運輸大臣が与える指示による経路により、かつ、その他の飛行の方法について同項の規定により運輸大臣が与える指示に常時従つて行なう飛行の方式
二 前号に規定する飛行以外の航空交通管制区における飛行を第九十六条第一項の規定により運輸大臣が経路その他の飛行の方法について与える指示に常時従つて行なう飛行の方式
第二条中第十六項を削り、第十七項を第十六項とし、第十八項から第二十一項までを一項ずつ繰り上げる。
第十一条中「第十条第一項又は前条第一項の」を「有効な」に、「受けたもの」を「受けているもの」に改め、同条に次の二項を加える。
2 航空機は、その受けている耐空証明において指定された航空機の用途又は運用限界の範囲内でなければ、航空の用に供してはならない。
3 第一項ただし書の規定は、前項の場合に準用する。
第十六条第四項を同条第五項とし、同条第三項中「前項」を「第二項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。
3 第十一条第一項ただし書の規定は、第一項本文の場合に準用する。
第十九条に次の一項を加える。
2 第十一条第一項ただし書の規定は、前項本文の場合に準用する。
第二十条を次のように改める。
(騒音基準適合証明)
第二十条 運輸大臣は、申請により、航空機の種類、装備する発動機の種類及び最大離陸重量の範囲が運輸省令で定めるものである航空機で第十条第一項の耐空証明を受けているものについて騒音基準適合証明を行なう。
2 騒音基準適合証明は、運輸省令で定める航空機の運用限界を指定して行なう。
3 運輸大臣は、第一項の申請があつたときは、当該航空機の騒音が、運輸省令で定める基準に適合するかどうかを検査し、これに適合すると認めるときは、騒音基準適合証明をしなければならない。
4 騒音基準適合証明は、申請者に騒音基準適合証明書を交付することによつて行なう。
第二十条の次に次の四条を加える。
第二十条の二 前条第一項に規定する航空機は、有効な騒音基準適合証明を受けているものでなければ、航空の用に供してはならない。
2 航空機は、その受けている騒音基準適合証明において指定された航空機の運用限界の範囲内でなければ、航空の用に供してはならない。
3 第十一条第一項ただし書の規定は、前二項の場合に準用する。
第二十条の三 左に掲げる航空機は、前条第一項の規定にかかわらず、騒音基準適合証明を受けないでも、航空の用に供してもよい。
一 第二十条第一項の運輸省令の制定又は改正があつた場合において、その施行の際現に耐空証明を受けており、新たに同項に規定する航空機に該当することとなる航空機で、その騒音が同条第三項の基準に適合するように改造することが困難であると運輸大臣が認定した型式の航空機であるもの
二 第二十条第一項の運輸省令の制定又は改正があつた場合において、その施行後に耐空証明を受けた前号の型式の航空機で、その型式について、当該型式の航空機と同等又はこれに準ずる輸送能力及び性能を有し、かつ、その騒音が同条第三項の基準に適合する他の型式の航空機が実用化されていないと運輸大臣が認定した航空機であるもの
2 第二十条第三項の運輸省令の改正により同項の基準が強化された場合において、その施行前に受けた騒音基準適合証明は、なおその効力を有する。ただし、その騒音が同項の強化された基準に適合するように改造することが困難でないと運輸大臣が認定した型式の航空機について受けた騒音基準適合証明については、この限りでない。
3 第二十条第三項の運輸省令の改正により同項の基準が強化された場合において、前項の規定によりその受けた騒音基準適合証明がなお効力を有することとされた航空機及びこれと同一の型式の航空機についてその後行なう騒音基準適合証明に係る同条第三項の基準は、なお従前の例による。
(騒音基準適合証明の効力の停止等)
第二十条の四 運輸大臣は、第二十条第三項、次条第一項又は第百三十四条第二項の検査の結果、当該航空機又は当該型式の航空機の騒音が第二十条第三項の基準に適合せず、又は当該航空機若しくは当該型式の航空機に係る耐空証明の有効期間の満了前に同項の基準に適合しなくなるおそれがあると認めるときは、当該航空機又は当該型式の航空機の騒音基準適合証明の効力を停止し、若しくは有効期間を定め、又は同条第二項の規定により指定した運用限界を変更することができる。
2 騒音基準適合証明は、当該騒音基準適合証明に係る航空機の耐空証明の有効期間が満了し、又は当該耐空証明が失効したときは、その効力を失う。
(騒音関係修理改造検査)
第二十条の五 騒音基準適合証明のある航空機の使用者は、当該航空機について運輸省令で定める騒音に影響を及ぼすおそれのある修理又は改造をした場合には、運輸大臣の検査を受け、これに合格しなければ、これを航空の用に供してはならない。
2 第十一条第一項ただし書の規定は、前項の場合に準用する。
3 運輸大臣は、第一項の検査の結果、当該航空機の騒音が第二十条第三項の基準に適合すると認めるときは、これを合格としなければならない。
4 第二十条の三第三項の規定は、第一項の検査を行なう場合の第二十条第三項の基準について準用する。
第二十一条中「及び型式証明書」を「、型式証明書及び騒音基準適合証明書」に、「及び予備品証明」を「、予備品証明、騒音基準適合証明及び前条第一項の検査」に改める。
第二十八条第三項中「以下同じ。」を削る。
第三十四条第一項及び第二項を次のように改める。
事業用操縦士又は自家用操縦士の資格についての技能証明を有する者は、その使用する航空機の種類に係る左に掲げる飛行の技能について運輪大臣の行なう計器飛行証明を受けていなければ、左に掲げる飛行を行なつてはならない。
一 計器飛行
二 計器飛行以外の航空機の位置及び針路の測定を計器にのみ依存して行なう飛行(以下「計器航法による飛行」という。)で運輸省省令で定める距離又は時間をこえて行なうもの
三 計器飛行方式による飛行
2 左に掲げる操縦の練習を行なう者に対しては、その使用する航空機を操縦することができる技能証明及び航空身体検査証明を有し、かつ、当該航空機の種類に係る操縦の教育の技能について運輸大臣の行なう操縦教育証明を受けている者(以下「操縦教員」という。)でなければ、操縦の教育を行なつてはならない。
一 定期運送用操縦士、上級事業用操縦士、事業用操縦士又は自家用操縦士の資格についての技能証明(以下「操縦技能証明」という。)を受けていない者が航空機(第二十八条第三項の運輸省令で定める航空機を除く。次号において同じ。)に乗り組んで行なう操縦の練習
二 操縦技能証明及び航空身体検査証明を有する者が当該技能証明について限定をされた種類以外の種類の航空機に乗り組んで行なう操縦の練習
第三十五条第一項を次のように改める。
第二十八条第一項及び第二項の規定は、左に掲げる操縦の練習のために行なう操縦については、適用しない。
一 前条第二項第一号に掲げる操縦の練習で、当該練習について運輸大臣の許可を受け、かつ、操縦教員の監督の下に行なうもの
二 前条第二項第二号に掲げる操縦の練習で、操縦教員の監督の下に行なうもの
三 操縦技能証明及び航空身体検査証明を有する者が当該技能証明について限定をされた種類の航空機のうち当該技能証明について限定をされた等級又は型式以外の等級又は型式のものに乗り組んで行なう操縦の練習で、当該航空機を操縦することができる技能証明及び航空身体検査証明を有する者の監督(当該航空機を操縦することができる技能証明を有する者の監督を受けることが困難な場合にあつては、当該航空機を操縦することができる知識及び能力を有すると認めて運輸大臣が指定した者の監督)の下に行なうもの
第三十五条第四項中「第一項の許可」を「第一項第一号の許可」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項中「第一項」を「第一項第一号」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「第一項第一号」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 前項各号の操縦の練習の監督を行なう者は、当該練習の監督を運輸省令で定めるところにより行なわなければならない。
第三十五条の次に次の一条を加える。
(計器飛行等の練習)
第三十五条の二 第三十四条第一項の規定は、事業用操縦士又は自家用操縦士の資格についての技能証明及び航空身体検査証明を有する者でその使用する航空機の種類について計器飛行証明を受けていないものが同項各号に掲げる飛行(以下「計器飛行等」という。)の練習のために行なう飛行で、左に掲げる者の監督の下に行なうものについては、適用しない。
一 当該航空機を操縦することができる技能証明及び航空身体検査証明を有し、かつ、当該技能証明が事業用操縦士又は自家用操縦士の資格に係るものである場合は当該航空機の種類について計器飛行証明を有する者
二 地上物標を利用して航空機の位置及び針路を知ることができる場合において計器飛行又は計器航法による飛行の練習を行なうときは、当該航空機を操縦することができる技能証明及び航空身体検査証明を有する者
三 当該航空機を操縦することができる技能証明を有する者の監督を受けることが困難な場合は、当該航空機を使用して計器飛行等を行なうことができる知識及び能力を有すると認めて運輸大臣が指定した者
2 前条第二項の規定は、計器飛行等の練習の監督を行なう者について準用する。
第三十六条中「及び前条の許可」を「、第三十五条第一項第一号の許可並びに同項第三号及び前条第一項第三号の指定」に改める。
第五十七条ただし書、第五十八条第三項及び第五十九条ただし書中「第十一条但書」を「第十一条第一項ただし書」に改め、同条に次の一項を加える。
2 第二十条第一項に規定する航空機(第二十条の三第一項各号に掲げる航空機を除く。)には、前項各号に掲げる書類のほか、騒音基準適合証明書を備え付けなければ、これを航空の用に供してはならない。ただし、第二十条の二第三項において同条第一項の場合に準用する第十一条第一項ただし書の規定による許可を受けた場合は、この限りでない。
第六十条を次のように改める。
(航空機の姿勢等を測定するための装置)
第六十条 航空機は、運輸省令で定めるところにより航空機の姿勢、高度、位置又は針路を測定するための装置を装備しなければ、計器飛行等を行なつてはならない。ただし、運輸大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。
第六十二条を削り、第六十一条を第六十二条とし、第六十条の次に次の二条を加える。
(航空交通管制区等における航行を行なうための装置)
第六十一条 航空機は、運輸省令で定めるところにより無線電話、航空交通管制用自動応答装置その他の航空交通の安全を確保するための装置を装備しなければ、航空交通管制区又は航空交通管制圏において航行してはならない。ただし、運輸大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。
(航空運送事業の用に供する航空機の装置)
第六十一条の二 航空運送事業の用に供する航空機は、運輸省令で定めるところにより無線電話(前条の規定により装備する場合を除く。)、計器着陸装置を利用するための装置及び雲の状況を探知するためのレーダーを装備しなければ、航行してはならない。ただし、運輸大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。
2 航空運送事業の用に供する航空機は、運輸省令で定めるところにより、飛行記録装置その他の航空機の運航の状況を記録するための装置を装備し、及び作動させなければ、これを航空の用に供してはならない。ただし、運輸大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。
3 航空運送事業を経営する者は、運輸省令で定めるところにより前項の装置による記録を保存しなければならない。
第六十六条第一項の表中「第六十条の規定により無線設備(運輸省令で定めるものを除く。)を設置しなければならない」を「第六十条、第六十一条又は第六十一条の二第一項の規定により無線設備(受信のみを目的とするものを除く。)を装備して飛行し、又は航行する」に改め、「認められるもの」の下に「並びに慣性航法装置その他の運輸省令で定める航空機の位置及び針路の測定並びに航法上の資料の算出のための装置を装備するもの」を加える。
第六十七条第二項中「航空機乗組員(航空機に乗り組んでその運航に従事する航空従事者をいう。以下同じ。)は、」を「航空従事者は、航空機に乗り組んで」に改める。
第六十八条中「その使用する航空機の航空機乗組員を航空機の運航」を「航空従事者をその使用する航空機に乗り組ませて航空業務」に改める。
第六十九条中「航空機乗組員」の下に「(航空機に乗り組んで航空業務を行なう者をいう。以下同じ。)」を加える。
第七十一条の次に次の一条を加える。
(操縦者の見張り義務)
第七十一条の二 航空機の操縦を行なつている者(航空機の操縦の練習をし又は計器飛行等の練習をするためその操縦を行なつている場合で、その練習を監督する者が同乗しているときは、その者)は、航空機の航行中は、第九十六条第一項の規定による運輪大臣の指示に従つている航行であるとないとにかかわらず、当該航空機外の物件を視認できない気象状態の下にある場合を除き、他の航空機その他の物件と衡突しないように見張りをしなければならない。
第七十五条を次のように改める。
第七十五条 機長は、航空機の航行中、その航空機に急迫した危難が生じた場合には、旅客の救助及び地上又は水上の人又は物件に対する危難の防止に必要な手段を尽くさなければならない。
第七十六条第一項第四号を同項第五号とし、同項第三号の次に次の一号を加える。
四 他の航空機との接触
第七十六条の次に次の一条を加える。
第七十六条の二 機長は、飛行中他の航空機との衝突又は接触のおそれがあつたと認めたときは、運輸省省令で定めるところにより運輸大臣にその旨を報告しなければならない。
第八十二条に次の二項を加える。
2 航空機は、航空交通管制区内にある航空路の空域(第九十四条の二第一項に規定する特別管制空域を除く。)のうち運輸大臣が告示で指定する航空交通がふくそうする空域を計器飛行方式によらないで飛行する場合は、高度を変更してはならない。ただし、左に掲げる場合は、この限りでない。
一 離陸した後引き続き上昇飛行を行なう場合
二 着陸するため降下飛行を行なう場合
三 悪天候を避けるため必要がある場合であつて、当該空域外に出るいとまがないとき、又は航行の安全上当該空域内での飛行を維持する必要があるとき。
四 その他やむを得ない事由がある場合
3 運輸大臣は、前項の空域(以下「高度変更禁止空域」という。)ごとに、同項の規定による規制が適用される時間を告示で指定することができる。
第八十二条の次に次の一条を加える。
(航空交通管制圏等における速度の制限)
第八十二条の二 航空機は、左に掲げる空域においては、運輸省令で定める速度をこえる速度で飛行してはならない。ただし、運輸大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。
一 航空交通管制圏
二 第九十六条第三項第四号に規定する進入管制区のうち航空交通管制圏に接続する部分の運輸大臣が告示で指定する空域
第八十七条第一項中「航空機乗組員」を「航空従事者」に改める。
第九十一条の見出しを「(曲技飛行等)」に改め、同条中「五千メートル(七千三百メートル以上の高さの空域にあつては、八千メートル)」を「運輸省令で定める距離」に、「その他の曲技飛行」を「その他の運輸省令で定める曲技飛行、航空機の試験をする飛行又は運輸省令で定める著しい高速の飛行(以下「曲技飛行等」という。)」に、「航空路」を「航空交通管制区」に改め、同条に次の一項を加える。
2 航空機が曲技飛行等を行なおうとするときは、当該航空機の操縦を行なつている者(航空機の操縦の練習をするためその操縦を行なつている場合で、その練習を監督する者が同乗しているときは、その者)は、あらかじめ当該飛行により附近にある他の航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがないことを確認しなければならない。
第九十二条から第九十五条までを次のように改める。
(操縦練習飛行等)
第九十二条 航空機は、航空交通管制区又は航空交通管制圏においては、左に掲げる飛行(曲技飛行等を除く。)を行なつてはならない。ただし、運輸大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。
一 操縦技能証明(自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第百七条第五項の規定に基づき定められた自衛隊の使用する航空機に乗り組んで操縦に従事する者の技能に関する基準による操縦技能証明に相当するものを含む。次号において同じ。)を受けていない者が航空機に乗り組んで操縦の練習をする飛行
二 操縦技能証明を有する者が当該操縦技能証明について限定をされた範囲の航空機以外の航空機に乗り組んで操縦の練習をする飛行
三 航空機の姿勢をひんぱんに変更する飛行その他の航空交通の安全を阻害するおそれのある飛行で運輸省令で定めるもの
2 前条第二項の規定は、航空機が前項第三号に掲げる飛行(これに該当する同項第一号又は第二号に揚げる飛行を含む。)を行なおうとする場合に準用する。
(計器飛行及び計器航法による飛行)
第九十三条 航空機は、地上物標を利用してその位置及び針路を知ることができるときは、計器飛行又は計器航法による飛行を行なつてはならない。
(計器気象状態における飛行)
第九十四条 航空機は、計器気象状態においては、航空交通管制区又は航空交通管制圏にあつては計器飛行方式により飛行しなければならず、その他の空域にあつては飛行してはならない。ただし、予測することができない急激な天候の悪化その他のやむを得ない事由がある場合又は運輸大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。
(計器飛行方式による飛行)
第九十四条の二 航空機は、航空交通管制区又は航空交通管制圏のうち運輸大臣が告示で指定する空域(以下「特別管制空域」という。)においては、計器飛行方式によらなければ飛行してはならない。ただし、運輸大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。
2 第八十二条第三項の規定は、前項の規定による規制について準用する。
(航空交通管制圏における飛行)
第九十五条 航空機は、航空交通管制圏においては、左に掲げる飛行以外の飛行を行なつてはならない。ただし、運輸大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。
一 当該航空交通管制圏に係る飛行場からの離陸及びこれに引き続く飛行(当該航空交通管制圏外に出た後再び当該航空交通管制圏において行なう飛行を除く。)
二 当該航空交通管制圏に係る飛行場への着陸及びその着陸のための飛行
第九十六条に次の一項を加える。
3 航空機は、左に掲げる航行を行なう場合は、第一項の規定による運輸大臣の指示を受けるため、運輸省令で定めるところにより運輸大臣に連絡したうえ、これらの航行を行なわなければならない。
一 航空交通管制圏に係る飛行場からの離陸及び当該航空交通管制圏におけるこれに引き続く上昇飛行
二 航空交通管制圏に係る飛行場への着陸及び当該航空交通管制圏におけるその着陸のための降下飛行
三 前二号に掲げる航行以外の航空交通管制圏における航行
四 第一号に掲げる飛行に引き続く上昇飛行又は第二号に掲げる飛行に先行する降下飛行が行なわれる航空交通管制区のうち運輸大臣が告示で指定する空域(以下「進入管制区」という。)における計器飛行方式による飛行
五 前号に掲げる飛行以外の航空交通管制区における計器飛行方式による飛行
六 航空交通管制区内の特別管制空域における第九十四条の二第一項ただし書の許可を受けてする計器飛行方式によらない飛行
第六章中第九十九条の次に次の一条を加える。
(飛行に影響を及ぼすおそれのある行為)
第九十九条の二 何人も、航空交通管制圏、高度変更禁止空域又は航空交通管制区内の特別管制空域における航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのあるロケットの打上げその他の行為(物件の設置及び植栽を除く。)で運輸省令で定めるものをしてはならない。ただし、運輸大臣が、当該行為について、航空機の飛行に影響を及ぼすおそれがないものであると認め、又は公益上必要やむを得ず、かつ、一時的なものであると認めて許可をした場合は、この限りでない。
2 前項の空域以外の空域における航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為(物件の設置及び植栽を除く。)で運輸省令で定めるものをしようとする者は、運輸省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を運輸大臣に通報しなければならない。
第百三十一条中「及びその航空機の」を「、騒音及び」に、「第十一条」を「第十一条第一項若しくは第二項、第二十条の二第一項若しくは第二項、第二十条の三第一項」に、「又は第九十五条」を「、第九十二条第一項、第百三十四条第一項、第百四十三条又は第百五十条」に改め、「耐空証明書」の下に「、第二十条第一項の規定による騒音基準適合証明、同条第四項の騒音基準適合証明書」を加える。
第百三十四条の二を削る。
第百三十五条の表五の項の次に次のように加える。
五の二 第二十条第一項の騒音基準適合証明を申請する者
三十八万千三百円。ただし、本邦外において検査を行なう場合は、三十八万千三百円の範囲内で政令で定める金額に政令で定める金額を加算した額
五の三 第二十条の五第一項の騒音関係修理改造検査を受けようとする者
二十七万四千九百円。ただし、本邦外において検査を行なう場合は、二十七万四千九百円の範囲内で政令で定める金額に政令で定める金額を加算した額
第百三十五条の表九の項中「第三十五条」を「第三十五条第一項第一号」に改め、同表十の項中「耐空証明書」の下に「、騒音基準適合証明書」を加える。
第百三十七条第三項第一号を次のように改める。
一 第九十四条ただし書、第九十四条の二第一項ただし書、第九十五条ただし書、第九十六条第一項及び第三項並びに第九十七条第一項に規定する事項であつて、政令で定める飛行場の航空交通管制圏及びこれに接続する政令で定める進入管制区に係るもの
第九章中第百三十七条の次に次の一条を加える。
(経過措置)
第百三十七条の二 この法律の規定に基づき運輸省令を制定し、又は改廃する場合においては、運輸省令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第百四十三条第一号中「第十一条」を「第十一条第一項又は第二項」に改め、「受けないで」の下に「、又は耐空証明において指定された用途若しくは運用限界の範囲をこえて」を加え、同条に次の二号を加える。
四 第二十条の二第一項又は第二項の規定に違反して、騒音基準適合証明を受けないで、又は騒音基準適合証明において指定された運用限界の範囲をこえて、当該航空機を航空の用に供したとき。
五 第二十条の五第一項の規定に違反して、同項の規定による検査に合格しないで、当該航空機を航空の用に供したとき。
第百四十五条第四号中「第五十九条」を「第五十九条第一項又は第二項」に、同条第五号中「無線設備を設置しないで、航空機を航空の用に供した」を「航空機の姿勢、高度、位置又は針路を測定するための装置を装備しないで、航空機を飛行させた」に改め、同条第七号を削り、同条第六号中「第六十一条」を「第六十二条」に改め、同号を同条第七号とし、同条第五号の次に次の四号を加える。
六 第六十一条の規定に違反して、航空交通の安全を確保するための装置を装備しないで、航空機を航行させたとき。
六の二 第六十一条の二第一項の規定に違反して、無線電話、計器着陸装置を利用するための装置又は雲の状況を探知するためのレーダーを装備しないで、航空機を航行させたとき。
六の三 第六十一条の二第二項の規定に違反して、航空機の運航の状況を記録するための装置を装備しないで、又はこれを作動させないで、航空機を航空の用に供したとき。
六の四 第六十一条の二第三項の規定に違反して、航空機の運航の状況を記録するための装置による記録を保存しなかつたとき。
第百四十五条第十一号中「航空機乗組員を航空機の運航」を「航空従事者を航空業務」に改める。
第百五十条第一号の三中「計器飛行」を「計器飛行等」に改め、同号の次に次の一号を加える。
一の四 第三十五条第二項(第三十五条の二第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、操縦の練習又は計器飛行等の練習の監督を行なつた者
第百五十条第四号中「第三十五条第四項」を「第三十五条第五項」に改め、同条第九号及び第十号を削り、同条第十一号を同条第九号とし、同条に次の一号を加える。
十 第九十九条の二第一項の規定に違反して、航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為で同項の運輸省令で定めるものをした者
第百五十二条中「自己の指揮する航空機を去つた」を「旅客の救助又は人若しくは物件に対する危難の防止に必要な手段を尽くさなかつた」に改める。
第百五十四条第一項第二号中「第八十条から第八十三条まで」を「第八十条、第八十一条、第八十二条第一項若しくは第二項、第八十二条の二又は第八十三条」に改め、同項第五号中「第九十一条」を「第九十一条第一項」に、「曲技飛行」を「曲技飛行等」に改め、同号の次に次の二号を加える。
五の二 第九十一条第二項(第九十二条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、確認しなかつたとき。
五の三 第九十二条第一項の規定に違反して、航空機を運航したとき。
第百五十四条第一項第六号中「第九十四条」を「第九十三条」に改め、「計器飛行」の下に「又は計器航法による飛行」を加え、同項第六号の二中「第九十四条の二」を「第九十四条の二第一項」に改め、同号を同項第六号の三とし、同項第六号の次に次の一号を加える。
六の二 第九十四条の規定に違反して、計器気象状態において航空機を運航したとき。
第百五十四条第一項第七号中「計器飛行方式により」を「航空交通管制圏において」に改め、同項第八号の次に次の一号を加える。
八の二 第九十六条第三項の規定による連絡をせず、又は虚偽の連絡をしたとき。
第百五十九条中「関して」の下に「、第百四十三条」を加える。
第百六十一条第三号中「第百三十四条の二」を「第九十九条の二第二項」に改める。
別表中「第十九条本文」を「第十九条第一項本文」に改める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行する。
(経過措置)
2 この法律の施行前に受けた計器飛行証明は、航空機の種類を飛行機に限定した改正後の第三十四条第一項の規定による計器飛行証明とみなす。
3 改正前の第三十五条第一項の規定によりした許可は、改正後の第三十五条第一項第一号の規定によりした許可とみなす。
4 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(運輸省設置法の一部改正)
5 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
第二十八条の二第一項第四号の次に次の一号を加える。
四の二 航空機の騒音基準適合証明に関すること。
第五十五条の二第三号の次に次の一号を加える。
三の二 航空機の騒音基準適合証明に関すること。
(電波法の一部改正)
6 電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。
第六条第四項中「第六十条各号の一に該当する」を「第六十一条又は第六十一条の二第一項の規定により無線設備を設置しなければならない」に改める。
第十三条第二項中「第六十条に掲げる場合に該当する」を「第六十一条又は第六十一条の二第一項の規定により無線設備を設置しなければならない」に改める。
(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定及び日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律の一部改正)
7 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定及び日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律(昭和二十七年法律第二百三十二号)の一部を次のように改正する。
第二項中「第二十条第一項」を「第二十条の二」に改める。
(自衛隊法の一部改正)
8 自衛隊法の一部を次のように改正する。
第百七条第一項中「第二十条第一項」を「第二十条の二」に改め、「、第九十五条」を削り、同条第四項中「、第七十九条から第八十一条まで」を「、第七十六条の二、第七十九条から第八十一条まで、第八十二条第二項、第八十二条の二」に、「及び第九十一条」を「、第九十一条、第九十二条(第一項第三号に係る部分に限る。)及び第九十九条の二第一項」に改め、「従事する者」の下に「並びに自衛隊の行なう同法第九十九条の二第一項に規定する行為」を加える。
(交通安全対策基本法の一部改正)
9 交通安全対策基本法(昭和四十五年法律第百十号)の一部を次のように改正する。
第二条第九号中「第六十七条第二項」を「第六十九条」に改める。
内閣総理大臣 三木武夫
法務大臣 稲葉修
運輸大臣 木村睦男
郵政大臣 村上勇