第九条ノ二 借地権者ガ賃借権ノ目的タル土地ノ上ニ存スル建物ヲ第三者ニ譲渡セントスル場合ニ於テ其ノ第三者ガ賃借権ヲ取得シ又ハ転借スルモ賃貸人ニ不利トナル虞ナキニ拘ラズ賃貸人ガ其ノ賃借権ノ譲渡又ハ転貸ヲ承諾セザルトキハ裁判所ハ借地権者ノ申立ニ因リ賃貸人ノ承諾ニ代ハル許可ヲ与フルコトヲ得此ノ場合ニ於テ当事者間ノ利益ノ衡平ヲ図ル為必要アルトキハ賃借権ノ譲渡若ハ転貸ヲ条件トスル借地条件ノ変更ヲ命ジ又ハ其ノ許可ヲ財産上ノ給付ニ係ラシムルコトヲ得
裁判所ハ前項ノ裁判ヲ為スニハ賃借権ノ残存期間、借地ニ関スル従前ノ経過、賃借権ノ譲渡又ハ転貸ヲ必要トスル事情其ノ他一切ノ事情ヲ考慮スルコトヲ要ス
第一項ノ申立アリタル場合ニ於テ裁判所ガ定ムル期間内ニ賃貸人ガ自ラ建物ノ譲渡及賃借権ノ譲渡又ハ転貸ヲ受クべキ旨ノ申立ヲ為シタルトキハ裁判所ハ同項ノ規定ニ拘ラズ相当ノ対価及転貸ノ条件ヲ定メテ之ヲ命ズルコトヲ得此ノ裁判ニ於テハ当事者双方ニ対シ其ノ義務ヲ同時ニ履行スべキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ申立ハ第一項ノ申立ノ取下アリタルトキ又ハ不適法トシテ同項ノ申立ノ却下アリタルトキハ其ノ効力ヲ失フ
第三項ノ裁判アリタル後ハ第一項又ハ第三項ノ申立ハ当事者ノ合意アルニ非ザレバ之ヲ取下グルコトヲ得ズ
裁判所ハ特ニ必要ナシト認ムル場合ヲ除クノ外第一項又ハ第三項ノ裁判ヲ為ス前鑑定委員会ノ意見ヲ聴クコトヲ要ス
第九条ノ三 第三者ガ賃借権ノ目的タル土地ノ上ニ存スル建物ヲ競売又ハ公売ニ因リ取得シタル場合ニ於テ其ノ第三者ガ賃借権ヲ取得スルモ賃貸人ニ不利トナル虞ナキニ拘ラズ賃貸人ガ其ノ賃借権ノ譲渡ヲ承諾セザルトキハ裁判所ハ其ノ第三者ノ申立ニ因り賃貸人ノ承諾ニ代ハル許可ヲ与フルコトヲ得此ノ場合ニ於テ当事者間ノ利益ノ衡平ヲ図ル為必要アルトキハ借地条件ヲ変更シ又ハ財産上ノ給付ヲ命ズルコトヲ得
前条第二項乃至第六項ノ規定ハ前項ノ申立アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第一項ノ申立ハ建物ノ代金ヲ支払ヒタル後二月内ニ限リ之ヲ為スコトヲ得民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)第十九条ノ規定ハ同条ニ規定スル期間内ニ第一項ノ申立ヲ為シタル場合ニ之ヲ準用ス
第九条ノ四 第九条ノ二ノ規定ハ土地ノ転借人ト賃貸人トノ間ニ、前条ノ規定ハ土地ノ転借人ヨリ競売又ハ公売ニ因リ建物ヲ取得シタル第三者ト賃貸人トノ間ニ之ヲ準用ス但シ賃貸人ガ第九条ノ二第三項(前条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ申立ヲ為スニハ転貸人ノ承諾ヲ得ルコトヲ要ス