運輸省設置法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第141号
公布年月日: 昭和31年6月11日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

運輸省の付属機関である中央気象台を外局とし、気象庁に改組することを提案する。中央気象台の気象業務は、交通安全の確保、農水産業等への寄与、災害防止、学術研究等、国民生活に不可欠なものとなっている。また、関係各省との緊密な連携が必要であり、気象業務法に基づく行政事務の迅速な運営のため、運輸大臣の権限を中央気象台に移管する必要がある。現在、中央気象台は全国に160余の地方機関と1500余の観測所を持ち、5150名の職員を配置する大規模な事業体であり、試験研究機関としてよりも、外局として位置づけることが適当と判断したものである。

参照した発言:
第24回国会 参議院 内閣委員会 第17号

審議経過

第24回国会

参議院
(昭和31年3月22日)
衆議院
(昭和31年4月3日)
(昭和31年5月8日)
(昭和31年5月8日)
参議院
(昭和31年5月22日)
(昭和31年5月23日)
衆議院
(昭和31年6月3日)
参議院
(昭和31年6月3日)
運輸省設置法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十一年六月十一日
内閣総理大臣 鳩山一郎
法律第百四十一号
運輸省設置法の一部を改正する法律
運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
目次中「第三章 外局(第五十六条―第五十九条)」を「第三章 外局(第五十六条―第八十一条)」に、
第三節
海難審判庁(第五十九条)
第四章
職員(第六十条・第六十一条)
第三節
海難審判庁(第五十九条)
第四節
気象庁(第六十条―第八十一条)
第一款
総則(第六十条・第六十一条)
第二款
内部部局(第六十二条―第六十七条)
第三款
附属機関(第六十八条―第七十六条)
第四款
地方機関(第七十七条―第八十一条)
第四章
職員(第八十二条・第八十三条)
に改める。
第四条第一項第四十五号及び第四十六号中「及び地面のふく射」を「、地面及び水面の輻射」に改め、同項第四十八号の三を次のように改める。
四十八の三 気象電報を集め、並びに気象無線報を送信し、及び受信すること。
第二十二条第九号を次のように改める。
九 削除
第二十九条中「中央気象台」を削る。
第三十条を次のように改める。
第三十条 削除
第五十六条中「海難審判庁」を
海難審判庁
気象庁
に改める。
第六十一条を第八十三条とし、第六十条を第八十二条とし、第五十九条の次に次の一節を加える。
第四節 気象庁
第一款 総則
(気象庁の任務及び長)
第六十条 気象庁は、気象業務を行うことを主たる任務とする。
2 気象庁の長は、気象庁長官とする。
(気象庁の権限等)
第六十一条 気象庁は、その所掌事務を遂行するため、第四条第一項第一号から第十二号まで、第十四号、第十四号の十一、第四十五号から第四十八号の五まで及び第五十三号に掲げる権限を行使する。
2 気象庁は、その事務に支障がない場合においては、委託により、気象、地象、地動、地球磁気、地球電気及び水象並びにこれらに密接な関連のある事項に関する調査を行い、並びに気象測器、羅針盤、経線儀その他の測器の設計、製作、検定、修理及び調整を行うことができる。
第二款 内部部局
(内部部局)
第六十二条 気象庁に、次の四部を置く。
総務部
予報部
観測部
海洋気象部
(特別な職)
第六十三条 気象庁に、次長一人を置く。
2 次長は、長官を助け、庁務を整理する。
(総務部の事務)
第六十四条 総務部においては、気象庁の所掌事務に関し、次の事務をつかさどる。
一 機密に関すること。
二 長官の官印及び庁印を保管すること。
三 公文書類を接受し、発送し、編集し、及び保存すること。
四 広報に関すること。
五 職員の職階、任免、分限、懲戒、服務その他の人事並びに職員の厚生、教養及び訓練に関すること。
六 経費及び収入の予算、決算及び会計並びにこれらの監査に関すること。
七 国有財産及び物品を管理すること。
八 総合調整及び基本計画の設定に関すること。
九 気象業務に関する国際協力事務に関すること。
十 図書及び資料の刊行に関すること。
十一 気象、地象(地震及び火山現象を除く。)、津波、高潮、波浪及び洪水の予報業務並びに気象の観測の成果を無線通信により発表する業務に関する許可に関すること。
十二 前各号に掲げるもののほか、気象庁の所掌事務で他部及び他の機関の所掌に属さない事務に関すること。
(予報部の事務)
第六十五条 予報部においては、次の事務をつかさどる。
一 気象、地象(地震及び火山現象を除く。)及び水象の予報及び警報に関すること(観測部及び海洋気象部の所掌に属するものを除く。)。
二 気象、地象及び水象の観測の成果及び情報の速報に関すること。
三 気象通信に関すること。
(観測部の事務)
第六十六条 観測部においては、次の事務をつかさどる。
一 気象(海上気象を除く。)、地象、地動、地球磁気、地球電気及び水象(陸水に関するものに限る。以下「陸水象」という。)並びにこれらに関連する太陽、天空、地面及び水面の輻射に関する観測並びにその成果の収集及び発表に関すること。
二 気象(海上気象を除く。)、地象及び陸水象に関する情報の収集及び発表に関すること。
三 前二号に掲げる事項に関する統計の作成及び調査並びに統計及び調査の成果の発表に関すること。
四 津波の予報及び警報に関すること。
五 気象測器その他の測器に関すること(海洋気象部の所掌に属するものを除く。)。
(海洋気象部の事務)
第六十七条 海洋気象部においては、次の事務をつかさどる。
一 海上気象及び水象(海洋に関するものに限る。以下「海水象」という。)並びにこれらに関連する太陽、天空及び海面の輻射に関する観測並びにその成果の収集及び発表に関すること。
二 海上気象及び海水象に関する情報の収集及び発表に関すること。
三 前二号に掲げる事項に関する統計の作成及び調査並びに統計及び調査の成果の発表に関すること。
四 海面水温及び海氷の状況の予報に関すること。
五 気象庁に所属する観測船に関すること。
六 離島における気象業務に関すること(予報部及び観測部の所掌に属するものを除く。)。
七 海水象に関する気象測器に関すること。
第三款 附属機関
(附属機関)
第六十八条 第七十六条に規定するもののほか、気象庁に、次の附属機関を置く。
気象研究所
高層気象台
地震観測所
地磁気観測所
気象庁研修所
気象通信所
気象測器製作所
(気象研究所)
第六十九条 気象研究所は、気象業務に関する技術に関する研究を行う機関とする。
2 気象研究所は、東京都に置く。
3 運輸大臣は、気象研究所の所掌事務の一部を分掌させるため、所要の地に、その出張所を置くことができる。
4 気象研究所の内部組織並びに出張所の名称、位置、所掌事務の範囲及び内部組織は、運輸省令で定める。
(高層気象台)
第七十条 高層気象台は、高層気象に関する精密な観測及び調査並びに高層気象に関する気象測器の試験及び改良を行う機関とする。
2 高層気象台は、茨城県に置く。
3 運輸大臣は、高層気象台の所掌事務の一部を分掌させるため、所要の地に、その出張所を置くことができる。
4 高層気象台の内部組織並びに出張所の名称、位置、所掌事務の範囲及び内部組織は、運輸省令で定める。
(地震観測所)
第七十一条 地震観測所は、地震に関する精密な観測及び調査並びに地震に関する気象測器の試験及び改良を行う機関とする。
2 地震観測所は、長野県に置く。
3 地震観測所の内部組織は、運輸省令で定める。
(地磁気観測所)
第七十二条 地磁気観測所は、地球磁気及び地球電気に関する観測及び調査を行う機関とする。
2 地磁気観測所は、茨城県に置く。
3 運輸大臣は、地磁気観測所の所掌事務の一部を分掌させるため、所要の地に、その出張所を置くことができる。
4 地磁気観測所の内部組織並びに出張所の名称、位置、所掌事務の範囲及び内部組織は、運輸省令で定める。
(気象庁研修所)
第七十三条 気象庁研修所は、気象庁の職員に対して、気象業務に従事するため必要な訓練を行う機関とする。
2 気象庁研修所は、千葉県に置く。
3 気象庁研修所の内部組織は、運輸省令で定める。
(気象通信所)
第七十四条 気象通信所は、気象無線報の受信を行う機関とする。
2 気象通信所は、東京都に置く。
3 気象通信所の内部組織は、運輸省令で定める。
(気象測器製作所)
第七十五条 気象測器製作所は、気象測器その他の測器の設計、製作、検定、修理及び調整を行う機関とする。
2 気象測器製作所は、茨城県に置く。
3 気象測器製作所の内部組織は、運輸省令で定める。
(気象審議会)
第七十六条 気象庁の附属機関として、気象審議会を置く。
2 気象審議会の組織、所掌事務及び委員その他の職員については、気象業務法(昭和二十七年法律第百六十五号)の定めるところによる。
第四款 地方機関
(地方機関)
第七十七条 気象庁に、次の地方機関を置く。
管区気象台
海洋気象台
(管区気象台)
第七十八条 管区気象台は、気象庁の所掌事務のうち、次の事務を分掌する。
一 気象(海上気象を除く。)、地象(地震及び火山現象を除く。)、陸水象及び津波の予報及び警報に関すること。
二 気象(海上気象を除く。)、地象及び陸水象の観測の成果及び情報の速報に関すること。
三 気象(海上気象を除く。)、地象、地動及び陸水象並びにこれらに関連する太陽、天空、地面及び水面の輻射に関する観測並びにその成果の収集及び発表に関すること。
四 気象(海上気象を除く。)、地象及び陸水象に関する情報の収集及び発表に関すること。
五 前二号に掲げる事項に関する統計の作成及び調査並びに統計及び調査の成果の発表に関すること。
六 前各号に掲げる事項に関する気象通信に関すること。
七 気象測器その他の測器に関すること(海洋気象台の所掌に属するものを除く。)。
第七十九条 管区気象台の名称及び位置は、次のとおりとする。
名称
位置
札幌管区気象台
札幌市
仙台管区気象台
仙台市
東京管区気象台
東京都
大阪管区気象台
大阪市
福岡管区気象台
福岡市
2 管区気象台に次の二部を置く。
総務部
技術部
3 管区気象台の管轄区域及び内部組織の細目は、運輸省令で定める。
4 運輸大臣は、管区気象台の所掌事務の一部を分掌させるため、所要の地に、地方気象台、測候所若しくは出張所又は地方気象台若しくは測候所の出張所を置くことができる。その名称、位置、管轄区域、所掌事務の範囲及び内部組織は、運輸省令で定める。
5 運輸大臣は、特に必要がある場合は、管区気象台の所掌事務の一部を海洋気象台に分掌させることができる。
(海洋気象台)
第八十条 海洋気象台は、気象庁の所掌事務のうち、次の事務を分掌する。
一 海上気象及び海水象(津波を除く。)の予報及び警報に関すること。
二 海上気象及び海水象の観測の成果及び情報の速報に関すること。
三 海上気象及び海水象並びにこれらに関連する太陽、天空及び海面の輻射に関する観測並びにその成果の収集及び発表に関すること。
四 海上気象及び海水象に関する情報の収集及び発表に関すること。
五 前二号に掲げる事項に関する統計の作成及び調査並びに統計及び調査の成果の発表に関すること。
六 前各号に掲げる事項に関する気象通信に関すること。
七 海洋気象台に所属する観測船に関すること。
八 海上気象及び海水象に関する気象測器に関すること。
第八十一条 海洋気象台の名称及び位置は、次のとおりとする。
名称
位置
函館海洋気象台
北海道亀田郡亀田村
神戸海洋気象台
神戸市
長崎海洋気象台
長崎市
舞鶴海洋気象台
舞鶴市
2 海洋気象台の管轄区域及び内部組織は、運輸省令で定める。
3 運輸大臣は、特に必要がある場合は、海洋気象台の所掌事務の一部を管区気象台に分掌させることができる。
附 則
1 この法律は、昭和三十一年七月一日から施行する。
2 従前の中央気象台の機関及びその職員は、気象庁の相当の機関及びその職員となり、同一性をもつて存続するものとする。
3 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)の一部を次のように改正する。
別表第一中
運輸省
船員労働委員会
捕獲審検再審査委員会
海上保安庁
海難審判庁
運輸省
船員労働委員会
捕獲審検再審査委員会
海上保安庁
海難審判庁
気象庁
に改める。
4 行政機関職員定員法(昭和二十四年法律第百二十六号)の一部を次のように改正する。
第二条第一項の表中
運輸省
本省
一四、三五〇人
船員労働委員会
五四人
捕獲審検再審査委員会
五人
海上保安庁
一〇、七七五人
海難審判庁
一八四人
  計
二五、三六八人
運輸省
本省
九、二〇〇人
船員労働委員会
五四人
捕獲審検再審査委員会
五人
海上保安庁
一〇、七七五人
海難審判庁
一八四人
気象庁
五、一五〇人
  計
二五、三六八人
に改める。
5 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)の一部を次のように改正する。
第二十二条第一項中「中央気象台長、管区気象台長」を「気象庁長官、管区気象台長、地方気象台長」に改める。
6 水防法(昭和二十四年法律第百九十三号)の一部を次のように改正する。
第十条第一項及び第二項中「中央気象台」を「気象庁長官」に改める。
内閣総理大臣 鳩山一郎
運輸大臣 吉野信次