中小企業安定法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第百四十五号
公布年月日: 昭和29年6月1日
法令の形式: 法律
中小企業安定法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十九年六月一日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百四十五号
中小企業安定法の一部を改正する法律
中小企業安定法(昭和二十七年法律第二百九十四号)の一部を次のように改正する。
第十四条に次の一項を加える。
3 第二十九条第二項の規定による命令があつた場合において、当該命令に係る調整組合の解散は、第二十八条において準用する中小企業等協同組合法第六十二条第一項の規定にかかわらず、通商産業大臣が解散の届出を受理した日から二週間を経過しなければ、その効力を生じない。
第十五条第四号中「購入価格の制限」の下に「(これらの制限を確保するための原材料の検査を含む。)」を加える。
第十六条第一項但書中「制限を緩和するものであるとき」の下に「(第二十九条第二項の規定による命令があつた場合において、当該命令に係る調整規程の定のうち当該命令に係る制限を緩和するものであるときを除く。)」を加える。
第十八条に次の一項を加える。
3 通商産業大臣は、第二十九条第二項の規定による命令をしようとするとき、又はした後において、特に必要があると認めるときは、当該命令に係る調整組合に対し、その調整規程を変更すべきことを命ずることができる。
第十八条の次に次の一条を加える。
(調整規程の廃止)
第十八条の二 第二十九条第二項の規定による命令があつた場合においては、当該命令に係る調整規程の廃止は、通商産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
第二十六条第四号中「購入価格の制限」の下に「(これらの制限を確保するための原材料の検査を含む。)」を加える。
第二十九条の見出しを「(生産数量等の制限に関する命令)」に改め、同条第一項中「当該業種に係る産業及びその関連産業の存立」を「当該業種に係る産業の存立及びその関連産業」に、「当該業種に係る事業を営む者のすべてに対し、当該総合調整計画又は調整規程に定める制限と実質的に同一内容を有する制限に従うべきことを勧告し、又は通商産業省令をもつて命ずることができる。」を「当該総合調整計画又は調整規程の内容を参しやくして、通商産業省令をもつて、当該業種に係る製品の生産数量、出荷数量、販売方法、生産設備若しくは販売価格又はその原材料の購入方法若しくは購入価格に関する制限を定め、当該業種に属する事業を営む者のすべてに対し、これに従うべきことを命ずることができる。」に改め、同条第二項を次のように改める。
2 通商産業大臣は、前項の規定に該当し、且つ、左の各号に該当する場合において、当該業種に関し同項に規定する事態を除去するための措置として特に必要と認めるときは、同項の命令に代えて、当該業種に属する事業を営む者のすべてに対し、当該連合会に属する調整組合又は当該業種に属する事業を営む者の大部分が加入している一の調整組合の調整規程の定の全部若しくは一部を指定し、その定に従うべきことを通商産業省令をもつて命ずることができる。この場合においては、通商産業大臣は、当該業種に属する事業を営む者がその調整規程に従うべき調整組合を指定してしなければならない。
一 当該連合会(会員たる調整組合を含む。)又は調整組合が本項の規定による命令に係る総合調整計画又は調整規程を公正且つ能率的に運用するに十分なものであること。
二 当該業種に属する事業者で当該総合調整計画又は調整規程の適用を受けないものの数が当該業種に属する事業者の総数に比して極めて少い場合であること。
同条第三項を第五項とし、同条第二項の次に次の二項を加える。
3 通商産業大臣は、前項の規定により命令をする場合においては、期間を定めてこれをしなければならない。但し、特に必要があると認めるときは、その期間を延長することができる。
4 通商産業大臣は、第二項の規定により命令をしようとするときは、通商産業省令で定めるところにより、あらかじめ、当該業種に属する事業を営む者に意見を述べる機会を与えなければならない。
第二十九条の二中「前条第一項」の下に「又は第二項」を加え、「命令をした場合」を「命令をするに際し、又は命令をした後」に、「通商産業大臣の許可を受けるべき旨を命じ」を「制限をし」に改め、同条の次に次の四条を加える。
(書類の備付及び閲覧)
第二十九条の三 第二十九条第二項の規定による命令があつた場合において、調整組合の理事は、当該命令に係る調整規程の定の運用に関する書類であつて通商産業省令で定めるものを作成し、且つ、これを主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 第二十九条第二項の規定による命令があつた場合において、当該命令に係る業種に属する事業を営む者は、何時でも、理事に対し、前項の書類の閲覧又は謄写を求めることができる。この場合において、理事は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。
(通商産業大臣の監督)
第二十九条の四 通商産業大臣は、第二十九条第二項の規定による命令をした場合において、当該命令の円滑な実施を確保し、当該命令に係る業種に属する事業を営む者の便益に資するために必要な限度において、当該命令に係る連合会又は調整組合に対して、当該命令に係る業務に関し、期間を定めて、必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。
(役員等の選任及び解任)
第二十九条の五 通商産業大臣は、第二十九条第二項の規定による命令をした場合において、当該命令に係る連合会若しくは調整組合の役員若しくは検査員が法令若しくは定款に違反し、若しくは総合調整計画若しくは調整規程を不当に運用したと認めるとき、又は役員若しくは検査員たるに適しない非行をしたと認めるときは、これを解任することができる。
2 通商産業大臣は、第二十九条第二項の規定による命令をした場合において、特に必要があると認めるときは、当該命令に係る連合会又は調整組合の役員又は検査員を選任することができる。
3 第二十九条第二項の規定による命令があつた場合においては、当該命令に係る連合会若しくは調整組合の検査員又は前項の規定により選任された役員の解任は、通商産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(不服の申立等)
第二十九条の六 第二十九条第二項の規定による命令があつた場合において、連合会又は調整組合のした処分であつて当該命令に係るものに不服のある者は、その旨を記載した書面をもつて通商産業大臣に不服を申し立てることができる。
2 通商産業大臣は、前項の申立があつたときは、不服の事由を審査した後文書をもつて決定し、その写を不服の申立をした者及び不服の申立に係る処分をした連合会又は調整組合に送付しなければならない。
3 通商産業大臣は、前項の決定に基き、第一項の申立に係る処分を取り消し、又は変更することができる。
第三十条第一項中「第十八条第一項」の下に「若しくは第三項」を加え、同条第二項中「勧告又は」を削り、同条第三項中「認可」の下に「又は第二十九条第二項の命令若しくは同条第三項但書の規定による期間の延長」を、同条第四項中「第十八条」の下に「第一項又は第二項」を加える。
第三十条の二第一項中「若しくは第十六条第一項の規定(第二十七条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)」を「、第十六条第一項若しくは第十八条の二(第二十七条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)若しくは第二十九条の五第三項の規定」に、「第十八条の規定(第二十七条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)」を「第十八条(第二十七条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)、第二十九条第三項但書、第二十九条の四、第二十九条の五第一項若しくは第二項若しくは第二十九条の六第二項若しくは第三項の規定」に、「第二十九条第一項の規定による勧告若しくは命令」を「第二十九条第一項若しくは第二項の規定による命令」に改め、「第二十九条の二」の下に「若しくは第二十九条の三第一項」を加え、「、勧告」を削る。
第三十一条第一項中「その団体」を「指定業種に属する産業の設備を設置している者若しくはこれらの者をもつて組織する団体」に改め、同条第二項中「前項」を「前二項」に、「職員」を「職員又は検査員」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 通商産業大臣は、第二十九条第一項又は第二項の規定による命令をした場合において、当該命令を実施するため必要な限度において、前項の検査を実施するにつき当該命令に係る連合会又は調整組合の検査員をして必要な補助をさせることができる。
第三十一条の次に次の一条を加える。
(組合の役員等の地位)
第三十一条の二 第二十九条第一項の規定による命令があつた場合においては前条第二項に規定する検査員及び第二十九条第二項の規定による命令があつた場合においては当該命令に係る連合会又は調整組合の役員又は職員であつて当該命令に係る業務に従事する者は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第三十二条中、「及び第二十九条第一項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に基いて行う行為」を削る。
第三十四条中「又は第二十九条の勧告若しくは命令」を「第二十九条第一項若しくは第二項の命令又は第二十九条の二の命令」に改め、同条に次の一項を加える。
2 通商産業大臣は、前項の諮問が第二十九条第二項の命令に係るものであるときは、同条第四項の規定による意見の要旨を審議会に報告しなければならない。
第三十五条の二に次の一項を加える。
2 通商産業大臣は、第二十九条第一項若しくは第二項又は第二十九条の二の規定による命令をした場合においては、当該命令に係る許可、承認、申請、申立、申出、届出及び報告について、通商産業省令の定めるところにより、都道府県知事を経由させることができる。
第三十五条の三を次のように改める。
(権限の委任)
第三十五条の三 通商産業大臣は、政令の定めるところにより、この法律に規定する権限の一部を通商産業局長又は都道府県知事に委任することができる。
第三十七条中「第二十九条第一項」の下に「若しくは第二項」を加え、「二年以下の懲役又は」を削る。
第三十八条中「一年以下の懲役又は」を削る。
第三十九条中「六月以下の懲役又は」を削る。
第四十一条中「前四条」を「前五条」に改め、同条を第四十二条とし、同条の次に次の一条を加える。
第四十三条 第二十九条の三の規定に違反して書類を備えて置かず、その書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をし、又は正当な理由がないのにその書類の閲覧若しくは謄写を拒んだ調整組合の理事は、三万円以下の過料に処する。
第四十条の次に次の一条を加える。
第四十一条 第十八条第三項(第二十七条において準用する場合を含む。)又は第二十九条の四の規定による命令に違反した調整組合又は連合会の理事は、三万円以下の罰金に処する。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律施行前に改正前の第二十九条第一項又は第二十九条の二の規定に基いてした命令は、それぞれ改正後の第二十九条第一項又は第二十九条の二の規定に基いてしたものとみなす。
内閣総理大臣 吉田茂
通商産業大臣 愛知揆一