(準拠法例)
第五條 刑の執行については、この法律に特別の規定があるもののほか、監獄法(明治四十一年法律第二十八号)中の受刑者に関する規定を準用する。但し、千九百五十一年七月六日に国際刑法及び刑務委員会によつて承認された被拘禁者の処遇に関する最低基準その他の国際慣行を尊重するものとする。
(刑務所)
第六條 刑の執行は、別に法律で定める巣鴨刑務所において行う。
(収容の手続)
第七條 刑務所の長は、連合国最高司令官又は関係国から、その管理の下にある刑を科せられた者を残刑の執行のため引き渡されたときは、その者を刑務所に収容し、直ちに、その刑の執行に着手しなければならない。
2 前項の場合において、その引き渡された者の人違でないことを確め、且つ、その執行すべき刑期を確認するについては、連合国最高司令官又は関係国から引き継いだ刑の執行に関する文書によらなければならない。
3 刑務所の長は、前項の文書を調べた結果、その人違でないこと又は執行すべき刑期を確認し難い相当の理由があるときは、関係国に照会する手続をとり、且つ、その回答に従わなければならない。
(刑の執行の終了及び釈放)
第八條 刑の執行は、この法律の定めるところにより特に出所を許される場合を除くほか、刑期が満了する日まで行うものとする。
2 刑期の満了による釈放は、刑期が満了する日の午後六時までに行う。
(未決日数の算入)
第九條 戦争犯罪の嫌疑により抑留され、又は拘禁された未決日数は、全部刑期に算入する。
2 前項の未決日数について、確実な資料がないときは、刑務所の長は、関係国に照会する手続をとり、これを明らかにしなければならない。
(病院移送)
第十條 刑務所の長は、在所者が精神病、伝染病その他の疾病にかかり、それが重病であつて刑務所において適当な治療を行うことができないと認めるときは、期間及び條件を定めて、その者を病院に移送することができる。
2 前項の規定により病院に移送した者は、在所者とみなす。
(善行特典)
第十一條 有期の刑について、在所者及び仮出所中の者が善行を保持していると認められる場合には、善行特典を与えるものとする。
2 善行特典は、左の各号の定めるところにより、刑期満了の日を繰り上げる。
一 刑期六月以上一年未満の者については、一月を経過するごとに五日
二 刑期一年以上三年未満の者については、一月を経過するごとに六日
三 刑期三年以上五年未満の者については、一月を経過するごとに七日
四 刑期五年以上十年未満の者については、一月を経過するごとに八日
五 刑期十年以上の者については、一月を経過するごとに十日
3 前項の規定により刑期満了の日が繰り上がるべき期間を計算する場合において、さらに一月を経過するも同項の規定により繰り上がるべき日数を余さないこととなつたときは、一月を三十日とみなして同項各号に定める割合で、刑期満了の日を繰り上げる。この場合において、繰り上げるべき期間に一日に満たない端数を生じたときは、これを一日に切り上げるものとする。
4 前二項の規定により刑期満了の日を繰り上げるべき期間が三十日以上となつたときは、三十日ごとにこれを一月とする。
5 第二項及び第三項の規定の適用については、継続して執行すべき二以上の刑があるときは、合算した刑期により、同時に執行すべき二以上の刑があるときは、最も長い刑期による。
6 善行特典は、戦争犯罪の嫌疑により抑留され、又は拘禁された未決の期間並びに連合国最高司令官又は関係国によつてなされた刑の執行の期間及び仮出所の期間についても与えるものとする。刑の軽減により有期の刑に変更された場合においては、変更前の拘禁又は刑の執行の期間についても、同様とする。
7 刑期が変更された場合においては、刑期満了の日が繰り上がるべき期間の計算については、さかのぼつて変更後の刑期によるものとする。
(善行特典のはく奪及び回復)
第十二條 刑務所の長は、在所者が刑務所の規則に違反したときは、その在所者につき前條の規定により刑期満了の日が繰り上がつた期間の全部又は一部をはく奪することができる。
2 刑務所の長は、前項の規定によりはく奪した期間について、その後の情状により、その全部又は一部を回復することができる。第二十二條第四項及び第二十七條第一項の規定により失つた期間についても、同様とする。
(執行に関する疑義)
第十三條 在所者は、刑の執行に関し疑義があるときは、法務総裁にこれをただすことができる。
(在所者の逃亡)
第十四條 在所者が逃亡したときは、刑務所の長は、収容状を発するものとする。
(収容状)
2 収容状の執行については、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)中収監状の執行に関する規定を準用する。但し、その執行は、刑務所の長が指揮し、法務府事務官が行うものとする。
3 警察官又は警察吏員は、刑務所の長の依頼により、収容状の執行をすることができる。