警察法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第233号
公布年月日: 昭和26年6月12日
法令の形式: 法律

改正対象法令

審議経過

第10回国会

衆議院
(昭和26年2月16日)
(昭和26年2月20日)
(昭和26年5月12日)
(昭和26年5月14日)
参議院
(昭和26年5月14日)
衆議院
(昭和26年5月15日)
参議院
(昭和26年5月15日)
衆議院
(昭和26年5月16日)
参議院
衆議院
(昭和26年5月17日)
参議院
(昭和26年5月17日)
衆議院
参議院
(昭和26年5月18日)
衆議院
(昭和26年5月19日)
(昭和26年5月21日)
(昭和26年5月21日)
参議院
(昭和26年5月22日)
衆議院
(昭和26年5月23日)
参議院
(昭和26年5月23日)
衆議院
(昭和26年5月24日)
参議院
(昭和26年5月24日)
(昭和26年5月25日)
(昭和26年5月26日)
(昭和26年5月28日)
(昭和26年5月29日)
(昭和26年6月1日)
(昭和26年6月2日)
衆議院
(昭和26年6月4日)
参議院
(昭和26年6月4日)
衆議院
(昭和26年6月5日)
警察法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年六月十二日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百三十三号
警察法の一部を改正する法律
警察法(昭和二十二年法律第百九十六号)の一部を次のように改正する。
「都道府県警察長」を「隊長」に改める。
第十五條の次に次の一條を加える。
第十五條の二 国家地方警察の警察官の階級は、長官、次長、警視長、警視正、警視、警部、警部補、巡査部長及び巡査とする。
警察官は、上官の指揮監督を受け、警察の事務を掌る。
基礎的な警察訓練の過程を経ない者は、これを国家地方警察の警察官として勤務につけることはできない。
警察官の宣誓、教育訓練、礼式及び服制について必要な事項は、国家公安委員会がこれを定める。
第十九條に次の一項を加える。
管区警察学校及び警察大学校に在校する警察官は、五千人を限り、これを第四條第一項の定員の外に置くことができる。
第二十條第一項を次のように改める。
都府県知事の所轄の下に、一の都府県公安委員会を置く。北海道には、道知事の所轄の下に、下部行政区画により、道知事の意見を聽いて国家公安委員会の定めるところに従い、十四以内の道公安委員会を置く。
第二十條の次に次の一條を加える。
第二十條の二 都道府県知事は、治安維持上重大な事案につきやむを得ない事由があると認めるときは、当該都道府県の区域内の市町村警察の管轄区域内における当該事案を国家地方警察に処理させることを当該都道府県公安委員会に要求することができる。
都道府県公安委員会は、前項に規定する要求があつたときは、当該都道府県国家地方警察に当該事案を処理させなければならない。この場合においては、国家地方警察は、第二十七條の規定にかかわらず、その管轄区域外において職権を行うことができる。
前項の場合において、市町村警察が国家地方警察から事案の処理の通知を受けたときは、当該市町村警察は、当該事案の処理については、当該都道府県公安委員会の運営管理に服するものとする。
都道府県公安委員会は、都道府県知事に対して第一項に規定する措置をとることを勧告することができる。
都道府県知事は、第一項に規定する要求をしたときは、当該事案の処理が終了した後すみやかにその旨を都道府県の議会に報告しなければならない。
第二十一條第二項中「警察職員又は」を「警察職員、検察職員若しくは旧職業陸海軍軍人の前歴のない者又は任命前十年間に」に改める。
第二十四條第一項各号列記以外の部分に次の但書を加える。
但し、委員は、第二号の場合においては、住所を移したために被選挙権を失つても、その住所が同一都道府県の区域内にあるときは、そのためにその職を失うことはない。
第三十條を次のように改める。
第三十條 都道府県国家地方警察に隊長を置く。
隊長は、国家公務員法の規定に基き、警察管区本部長が国家地方警察本部長官の同意を経てこれを任命し、一定の事由により罷免する。
隊長は、都道府県国家地方警察本部の事務を処理する。
第三十五條第一項中「警察長の外、警視、警部、警部補、巡査部長及び巡査たる」を「隊長の外、」に改め、同條第二項及び第三項を削る。
第三十六條第一項中「前條第一項」を「前條」に改め、同項但書及び同條第二項を削る。
第四十條第一項中「(以下市町村という。)」を削り、同條に次の一項を加える。
前項の規定により告示された町村は、第一項の規定にかかわらず、住民投票によつて警察を維持しないことができ、又、警察を維持しないこととした後再び警察を維持することができる。
第四十條の次に次の二條を加える。
第四十條の二 前條第二項の規定により告示された町村以外の町村で市に隣接し、公共の秩序の維持の上において当該市と緊密な関係を有するものは、住民投票によつて、当該市と地方自治法の規定による組合を組織して共同で警察を維持することができる。
前項の規定により共同で警察を維持することができる町村は、政令を以てこれを告示する。
第一項の住民投票については、第四十條の三(第八項及び第十二項を除く。)の規定を準用する。
第一項の規定により共同で警察を維持することとした町村は、住民投票によつて警察を維持しないこととすることができる。この場合には、第四十條の三の規定を準用する。
第四十條の三 第四十條第三項に規定する住民投票は、町村議会において警察を維持しないこと若しくは再び警察を維持することを住民投票に付することを議決したとき、又は町村の住民で町村議会の議員の選挙権を有する者が、その総数の三分の一以上の連署をもつて、その代表者によつて当該町村の選挙管理委員会に対してこれを請求したときにおいて行われるものとする。
町村議会の議長は、前項の規定による議決があつたときは、その日から三日以内に、その旨を町村の選挙管理委員会に通知しなければならない。
選挙管理委員会は、前項に規定する議決の通知を受けた日又は第一項に規定する住民投票の請求を受理した日から六十日以内に、これをその町村の選挙人の投票に付さなければならない。
選挙管理委員会は、前項の投票の結果が判明したときは、直ちにこれを当該町村議会の議長又は当該代表者及び町村長に通知し、且つ、これを公表しなければならない。
第三項の規定による投票において有効投票の過半数の同意があつたときは、当該町村は、警察を維持しないこと又は再び警察を維持することを決定したものとする。
前項の規定による決定があつたときは、当該町村長は、国家公安委員会を経てこれを内閣総理大臣に報告しなければならない。
内閣総理大臣は、前項の報告を受けたときは、その旨を官報で告示しなければならない。
十月三十一日までに第六項の規定による報告のあつた町村については、翌年四月一日にその警察維持に関する責任の転移が行われる。
第一項の規定による議会の議決又は代表者による請求は、第三項の規定による投票のあつた日から二年間は行うことができない。
政令で特別の定をするものを除く外、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第七十四條の二から第七十四條の四までの規定は第一項の規定による請求者の署名に、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)中普通地方公共団体の選挙に関する規定は第三項の規定による投票に、地方自治法第二百五十五條の二の規定は第一項の規定による請求者の署名及び第三項の規定による投票に関する争訟に、これを準用する。
第三項の規定による投票は、政令の定めるところにより、普通地方公共団体の選挙又は地方自治法第七十六條第三項の規定による解散の投票若しくは同法第八十條第三項及び第八十一條第二項の規定による解職の投票と同時にこれを行うことができる。
警察事務を共同で処理する市町村の組合を組織する町村のいずれかが、第三項の規定による投票によつて警察を維持しないことを決定したときは、その町村は、地方自治法第二百八十六條又は第二百八十八條の規定にかかわらず、警察を維持しないものとなる。この場合の措置について必要な事項は、政令で定める。
第四十三條中「市町村長」を「市及び警察を維持する町村(以下「市町村」という。)は、市町村長」に改める。
第四十六條第二項中「第三十五條第二項及び第三項」を「第十五條の二第一項及び第二項」に改め、同條第三項を次のように改める。
市町村警察職員の定員は、地方的要求に応じてその市町村が條例でこれを決定する。
第五十條第二項中「第三十六條第二項」を「第十五條の二第四項」に改める。
第五十四條の次に次の一條を加える。
第五十四條の二 国家地方警察と市町村警察及び市町村警察は、相互に、犯罪に関する情報を交換するものとする。
第五十五條に後段として次のように加える。
市町村警察吏員も、都道府県公安委員会又は他の市町村公安委員会から援助の要求があつた場合は、その援助を要求した公安委員会の管轄区域内で、当該公安委員会の運営管理の下に、その職権を行うことができる。この場合において、市町村公安委員会が他の市町村警察に援助の要求をしようとするときは、あらかじめ必要な事項を国家地方警察に連絡しなければならない。
第五十五條の次に次の一條を加える。
第五十五條の二 市町村警察の要求によつて国家地方警察の警察職員が援助した場合においては、その援助に要した費用は、国庫の負担とする。
国家地方警察の要求によつて市町村警察職員が、その市町村の区域外において、国家地方警察又は市町村警察を援助した場合においては、その援助に直接要した費用は、国庫の負担とする。
前項の場合において、市町村警察職員がその職務のため傷いを受け、若しくは疾病にかかり、又はその傷病に因り退職し、若しくは在職中死亡したときは、これを国家地方警察の警察職員としてその職務を行つたものとみなし、国庫は、その者に国家公務員に対する業務災害補償に適用される法律の規定による補償を行う。但し、その災害について、業務災害補償に関する当該市町村の給付が、国家公務員に対する業務災害補償に適用される法律の規定による額を超えるときは、その者又はその遺族がその差額の支給を当該市町村から受けることを妨げない。
第五十八條中「犯罪行為又はその管轄区域内に始まり、若しくはその管轄区域内に及んだ犯罪行為の個々の場合」を「犯罪又はその管轄区域内に始まり、若しくはその管轄区域内に及んだ犯罪並びにこれらに関連する犯罪」に改め、同條に次の一項を加える。
前項の場合においては、国家地方警察及び市町村警察は、原則として事前にこれを同項の規定によつて職権を及ぼす区域を管轄する警察に通知し、且つ、その職権の行使について当該警察と緊密な連絡を保持しなければならない。
第六十四條に次の二項を加える。
前條後段の場合又は前項の場合において、市町村警察職員がその市町村の区域外において職務を行つたときは、その職務の執行のために直接要した費用は、国庫の負担とする。
第五十五條の二第三項の規定は、前項の場合において、市町村警察職員がその職務のため傷いを受け、若しくは疾病にかかり、又はその疾病に因り退職し、若しくは在職中死亡したときに、これを準用する。
第六十七條の次に次の二條を加える。
第六十七條の二 国家地方警察の管轄に属する区域が市町村警察の管轄区域となつた場合には、当該区域内で、その日においてもつぱら警察の用に供されていた国有の財産(国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第二條第一項各号に掲げる財産をいう。以下本條中同じ。)及び物品で、国家地方警察に不必要で当該市町村が警察を維持するために必要なものは、国が無償で当該市町村に讓渡するものとする。但し、土地は讓渡しないものとし、当該市町村警察は、無償でこれを使用することができるものとする。
市町村が警察を維持しないこととなつた場合には、その日においてもつぱら警察の用に供されていた当該市町村所有の財産及び物品で、当該市町村に不必要で国家地方警察に必要なものは、当該市町村が無償で国に讓渡するものとする。但し、土地は讓渡しないものとし、国家地方警察は、無償でこれを使用することができるものとする。
国家地方警察又は市町村警察の責任の転移があつた日において、当該区域内で、国家地方警察又は当該市町村警察が他の機関と共用している国又は地方公共団体の建物は、前二項の例により、それぞれ当該市町村警察又は国家地方警察が無償でこれを使用することができるものとする。
第一項又は第二項の規定により市町村又は国が取得する財産に伴う負債があるときは、その処分については、相互の協議により、これを定める。
前各項の規定の適用について争があるときは、国家地方警察本部長官又は市町村長の申立に基き、内閣総理大臣がこれを決定する。
第六十七條の三 警察を維持する町村が警察を維持しないこととなつた場合においては、警察を維持しないこととなつた日における当該町村警察吏員の数を、第四條第一項の定員外の国家地方警察の警察官として置くことができる。
本則中第六十八條の次に次の一條を加える。
第六十九條 第五十五條の二第二項及び第六十四條第三項の規定により国庫が負担する費用の範囲は、次の通りとする。
一 旅費(国家地方警察の警察職員に対する旅費支給の例によつて計算した額)
二 交通機関の借料
三 交通機関の燃料費
四 借用した建物、器材及び物件の借料(旅費を支給したときは、宿泊に要した施設及び寢具の借料を除いた額)
五 職務遂行のために消費した各種の消耗品の費用
六 出動に直接起因した交通機関、建物、器材及び物件の破損部分の修繕費
附則第七條第二項第四号中「第四十六條第三項但書第三段の」を削り、同條第六項中「第十九條第一項」を「第十九條」に改める。
附則第九條を次のように改める。
第九條 削除
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律施行の際現に存する北海道公安委員会は、警察法第二十條第一項後段の規定により公安委員会を置く措置が完了するまでの間、なお引き続き存続して、同項に規定する道公安委員会として、その事務を行うものとする。
3 昭和二十六年九月三十日までに警察法第四十條の三第六項に規定する報告があつた場合においては、同條第八項の規定にかかわらず、警察維持に関する責任の転移は、同年十月一日に行われるものとする。
4 市町村警察の職員である者が、当該市町村において警察を維持しないこととなつたことに伴い、引き続き恩給法(大正十二年法律第四十八号)第十九條に規定する公務員である国家地方警察の職員となつた場合において、その者が市町村の退職年金に関する條例の規定による退職給付を受けないときは、同法の規定の適用については、その者が市町村警察の職員として引き続き在職した期間同條に規定する公務員として在職していたものとみなす。この場合においては、警察法附則第七條第二項の規定は当該市町村警察の職員の範囲について、同條第三項の規定は恩給法第十九條に規定する公務員とみなされる場合の区分について、それぞれ準用する。
5 経済調査庁法(昭和二十三年法律第二百六号)の一部を次のように改正する。
第三十條中「都道府県警察長」を「都道府県国家地方警察隊長」に改める。
6 古物営業法(昭和二十四年法律第百八号)の一部を次のように改正する。
第二十條中「警察長」を「都道府県国家地方警察隊長、市町村警察長」に改める。
7 質屋営業法(昭和二十五年法律第百五十八号)の一部を次のように改正する。
第二十一條中「警察長」を「都道府県国家地方警察隊長、市町村警察長」に改める。
8 行政機関職員定員法(昭和二十四年法律第百二十六号)の一部を次のように改正する。
第二條に次の二項を加える。
5 国家地方警察の警察官で、管区警察学校及び警察大学校に在校する者は、五千人を限り、第一項に定める職員の定員の外に置くことができる。
6 警察を維持する町村が警察を維持しないこととなつた場合においては、第一項の規定にかかわらず、当該町村の警察職員を、予算の定める範囲内において、国家地方警察の職員として置くことができるものとし、この場合における職員の定員は、政令で定める。
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣 池田勇人
警察法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十六年六月十二日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百三十三号
警察法の一部を改正する法律
警察法(昭和二十二年法律第百九十六号)の一部を次のように改正する。
「都道府県警察長」を「隊長」に改める。
第十五条の次に次の一条を加える。
第十五条の二 国家地方警察の警察官の階級は、長官、次長、警視長、警視正、警視、警部、警部補、巡査部長及び巡査とする。
警察官は、上官の指揮監督を受け、警察の事務を掌る。
基礎的な警察訓練の過程を経ない者は、これを国家地方警察の警察官として勤務につけることはできない。
警察官の宣誓、教育訓練、礼式及び服制について必要な事項は、国家公安委員会がこれを定める。
第十九条に次の一項を加える。
管区警察学校及び警察大学校に在校する警察官は、五千人を限り、これを第四条第一項の定員の外に置くことができる。
第二十条第一項を次のように改める。
都府県知事の所轄の下に、一の都府県公安委員会を置く。北海道には、道知事の所轄の下に、下部行政区画により、道知事の意見を聴いて国家公安委員会の定めるところに従い、十四以内の道公安委員会を置く。
第二十条の次に次の一条を加える。
第二十条の二 都道府県知事は、治安維持上重大な事案につきやむを得ない事由があると認めるときは、当該都道府県の区域内の市町村警察の管轄区域内における当該事案を国家地方警察に処理させることを当該都道府県公安委員会に要求することができる。
都道府県公安委員会は、前項に規定する要求があつたときは、当該都道府県国家地方警察に当該事案を処理させなければならない。この場合においては、国家地方警察は、第二十七条の規定にかかわらず、その管轄区域外において職権を行うことができる。
前項の場合において、市町村警察が国家地方警察から事案の処理の通知を受けたときは、当該市町村警察は、当該事案の処理については、当該都道府県公安委員会の運営管理に服するものとする。
都道府県公安委員会は、都道府県知事に対して第一項に規定する措置をとることを勧告することができる。
都道府県知事は、第一項に規定する要求をしたときは、当該事案の処理が終了した後すみやかにその旨を都道府県の議会に報告しなければならない。
第二十一条第二項中「警察職員又は」を「警察職員、検察職員若しくは旧職業陸海軍軍人の前歴のない者又は任命前十年間に」に改める。
第二十四条第一項各号列記以外の部分に次の但書を加える。
但し、委員は、第二号の場合においては、住所を移したために被選挙権を失つても、その住所が同一都道府県の区域内にあるときは、そのためにその職を失うことはない。
第三十条を次のように改める。
第三十条 都道府県国家地方警察に隊長を置く。
隊長は、国家公務員法の規定に基き、警察管区本部長が国家地方警察本部長官の同意を経てこれを任命し、一定の事由により罷免する。
隊長は、都道府県国家地方警察本部の事務を処理する。
第三十五条第一項中「警察長の外、警視、警部、警部補、巡査部長及び巡査たる」を「隊長の外、」に改め、同条第二項及び第三項を削る。
第三十六条第一項中「前条第一項」を「前条」に改め、同項但書及び同条第二項を削る。
第四十条第一項中「(以下市町村という。)」を削り、同条に次の一項を加える。
前項の規定により告示された町村は、第一項の規定にかかわらず、住民投票によつて警察を維持しないことができ、又、警察を維持しないこととした後再び警察を維持することができる。
第四十条の次に次の二条を加える。
第四十条の二 前条第二項の規定により告示された町村以外の町村で市に隣接し、公共の秩序の維持の上において当該市と緊密な関係を有するものは、住民投票によつて、当該市と地方自治法の規定による組合を組織して共同で警察を維持することができる。
前項の規定により共同で警察を維持することができる町村は、政令を以てこれを告示する。
第一項の住民投票については、第四十条の三(第八項及び第十二項を除く。)の規定を準用する。
第一項の規定により共同で警察を維持することとした町村は、住民投票によつて警察を維持しないこととすることができる。この場合には、第四十条の三の規定を準用する。
第四十条の三 第四十条第三項に規定する住民投票は、町村議会において警察を維持しないこと若しくは再び警察を維持することを住民投票に付することを議決したとき、又は町村の住民で町村議会の議員の選挙権を有する者が、その総数の三分の一以上の連署をもつて、その代表者によつて当該町村の選挙管理委員会に対してこれを請求したときにおいて行われるものとする。
町村議会の議長は、前項の規定による議決があつたときは、その日から三日以内に、その旨を町村の選挙管理委員会に通知しなければならない。
選挙管理委員会は、前項に規定する議決の通知を受けた日又は第一項に規定する住民投票の請求を受理した日から六十日以内に、これをその町村の選挙人の投票に付さなければならない。
選挙管理委員会は、前項の投票の結果が判明したときは、直ちにこれを当該町村議会の議長又は当該代表者及び町村長に通知し、且つ、これを公表しなければならない。
第三項の規定による投票において有効投票の過半数の同意があつたときは、当該町村は、警察を維持しないこと又は再び警察を維持することを決定したものとする。
前項の規定による決定があつたときは、当該町村長は、国家公安委員会を経てこれを内閣総理大臣に報告しなければならない。
内閣総理大臣は、前項の報告を受けたときは、その旨を官報で告示しなければならない。
十月三十一日までに第六項の規定による報告のあつた町村については、翌年四月一日にその警察維持に関する責任の転移が行われる。
第一項の規定による議会の議決又は代表者による請求は、第三項の規定による投票のあつた日から二年間は行うことができない。
政令で特別の定をするものを除く外、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第七十四条の二から第七十四条の四までの規定は第一項の規定による請求者の署名に、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)中普通地方公共団体の選挙に関する規定は第三項の規定による投票に、地方自治法第二百五十五条の二の規定は第一項の規定による請求者の署名及び第三項の規定による投票に関する争訟に、これを準用する。
第三項の規定による投票は、政令の定めるところにより、普通地方公共団体の選挙又は地方自治法第七十六条第三項の規定による解散の投票若しくは同法第八十条第三項及び第八十一条第二項の規定による解職の投票と同時にこれを行うことができる。
警察事務を共同で処理する市町村の組合を組織する町村のいずれかが、第三項の規定による投票によつて警察を維持しないことを決定したときは、その町村は、地方自治法第二百八十六条又は第二百八十八条の規定にかかわらず、警察を維持しないものとなる。この場合の措置について必要な事項は、政令で定める。
第四十三条中「市町村長」を「市及び警察を維持する町村(以下「市町村」という。)は、市町村長」に改める。
第四十六条第二項中「第三十五条第二項及び第三項」を「第十五条の二第一項及び第二項」に改め、同条第三項を次のように改める。
市町村警察職員の定員は、地方的要求に応じてその市町村が条例でこれを決定する。
第五十条第二項中「第三十六条第二項」を「第十五条の二第四項」に改める。
第五十四条の次に次の一条を加える。
第五十四条の二 国家地方警察と市町村警察及び市町村警察は、相互に、犯罪に関する情報を交換するものとする。
第五十五条に後段として次のように加える。
市町村警察吏員も、都道府県公安委員会又は他の市町村公安委員会から援助の要求があつた場合は、その援助を要求した公安委員会の管轄区域内で、当該公安委員会の運営管理の下に、その職権を行うことができる。この場合において、市町村公安委員会が他の市町村警察に援助の要求をしようとするときは、あらかじめ必要な事項を国家地方警察に連絡しなければならない。
第五十五条の次に次の一条を加える。
第五十五条の二 市町村警察の要求によつて国家地方警察の警察職員が援助した場合においては、その援助に要した費用は、国庫の負担とする。
国家地方警察の要求によつて市町村警察職員が、その市町村の区域外において、国家地方警察又は市町村警察を援助した場合においては、その援助に直接要した費用は、国庫の負担とする。
前項の場合において、市町村警察職員がその職務のため傷いを受け、若しくは疾病にかかり、又はその傷病に因り退職し、若しくは在職中死亡したときは、これを国家地方警察の警察職員としてその職務を行つたものとみなし、国庫は、その者に国家公務員に対する業務災害補償に適用される法律の規定による補償を行う。但し、その災害について、業務災害補償に関する当該市町村の給付が、国家公務員に対する業務災害補償に適用される法律の規定による額を超えるときは、その者又はその遺族がその差額の支給を当該市町村から受けることを妨げない。
第五十八条中「犯罪行為又はその管轄区域内に始まり、若しくはその管轄区域内に及んだ犯罪行為の個々の場合」を「犯罪又はその管轄区域内に始まり、若しくはその管轄区域内に及んだ犯罪並びにこれらに関連する犯罪」に改め、同条に次の一項を加える。
前項の場合においては、国家地方警察及び市町村警察は、原則として事前にこれを同項の規定によつて職権を及ぼす区域を管轄する警察に通知し、且つ、その職権の行使について当該警察と緊密な連絡を保持しなければならない。
第六十四条に次の二項を加える。
前条後段の場合又は前項の場合において、市町村警察職員がその市町村の区域外において職務を行つたときは、その職務の執行のために直接要した費用は、国庫の負担とする。
第五十五条の二第三項の規定は、前項の場合において、市町村警察職員がその職務のため傷いを受け、若しくは疾病にかかり、又はその疾病に因り退職し、若しくは在職中死亡したときに、これを準用する。
第六十七条の次に次の二条を加える。
第六十七条の二 国家地方警察の管轄に属する区域が市町村警察の管轄区域となつた場合には、当該区域内で、その日においてもつぱら警察の用に供されていた国有の財産(国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第二条第一項各号に掲げる財産をいう。以下本条中同じ。)及び物品で、国家地方警察に不必要で当該市町村が警察を維持するために必要なものは、国が無償で当該市町村に譲渡するものとする。但し、土地は譲渡しないものとし、当該市町村警察は、無償でこれを使用することができるものとする。
市町村が警察を維持しないこととなつた場合には、その日においてもつぱら警察の用に供されていた当該市町村所有の財産及び物品で、当該市町村に不必要で国家地方警察に必要なものは、当該市町村が無償で国に譲渡するものとする。但し、土地は譲渡しないものとし、国家地方警察は、無償でこれを使用することができるものとする。
国家地方警察又は市町村警察の責任の転移があつた日において、当該区域内で、国家地方警察又は当該市町村警察が他の機関と共用している国又は地方公共団体の建物は、前二項の例により、それぞれ当該市町村警察又は国家地方警察が無償でこれを使用することができるものとする。
第一項又は第二項の規定により市町村又は国が取得する財産に伴う負債があるときは、その処分については、相互の協議により、これを定める。
前各項の規定の適用について争があるときは、国家地方警察本部長官又は市町村長の申立に基き、内閣総理大臣がこれを決定する。
第六十七条の三 警察を維持する町村が警察を維持しないこととなつた場合においては、警察を維持しないこととなつた日における当該町村警察吏員の数を、第四条第一項の定員外の国家地方警察の警察官として置くことができる。
本則中第六十八条の次に次の一条を加える。
第六十九条 第五十五条の二第二項及び第六十四条第三項の規定により国庫が負担する費用の範囲は、次の通りとする。
一 旅費(国家地方警察の警察職員に対する旅費支給の例によつて計算した額)
二 交通機関の借料
三 交通機関の燃料費
四 借用した建物、器材及び物件の借料(旅費を支給したときは、宿泊に要した施設及び寝具の借料を除いた額)
五 職務遂行のために消費した各種の消耗品の費用
六 出動に直接起因した交通機関、建物、器材及び物件の破損部分の修繕費
附則第七条第二項第四号中「第四十六条第三項但書第三段の」を削り、同条第六項中「第十九条第一項」を「第十九条」に改める。
附則第九条を次のように改める。
第九条 削除
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律施行の際現に存する北海道公安委員会は、警察法第二十条第一項後段の規定により公安委員会を置く措置が完了するまでの間、なお引き続き存続して、同項に規定する道公安委員会として、その事務を行うものとする。
3 昭和二十六年九月三十日までに警察法第四十条の三第六項に規定する報告があつた場合においては、同条第八項の規定にかかわらず、警察維持に関する責任の転移は、同年十月一日に行われるものとする。
4 市町村警察の職員である者が、当該市町村において警察を維持しないこととなつたことに伴い、引き続き恩給法(大正十二年法律第四十八号)第十九条に規定する公務員である国家地方警察の職員となつた場合において、その者が市町村の退職年金に関する条例の規定による退職給付を受けないときは、同法の規定の適用については、その者が市町村警察の職員として引き続き在職した期間同条に規定する公務員として在職していたものとみなす。この場合においては、警察法附則第七条第二項の規定は当該市町村警察の職員の範囲について、同条第三項の規定は恩給法第十九条に規定する公務員とみなされる場合の区分について、それぞれ準用する。
5 経済調査庁法(昭和二十三年法律第二百六号)の一部を次のように改正する。
第三十条中「都道府県警察長」を「都道府県国家地方警察隊長」に改める。
6 古物営業法(昭和二十四年法律第百八号)の一部を次のように改正する。
第二十条中「警察長」を「都道府県国家地方警察隊長、市町村警察長」に改める。
7 質屋営業法(昭和二十五年法律第百五十八号)の一部を次のように改正する。
第二十一条中「警察長」を「都道府県国家地方警察隊長、市町村警察長」に改める。
8 行政機関職員定員法(昭和二十四年法律第百二十六号)の一部を次のように改正する。
第二条に次の二項を加える。
5 国家地方警察の警察官で、管区警察学校及び警察大学校に在校する者は、五千人を限り、第一項に定める職員の定員の外に置くことができる。
6 警察を維持する町村が警察を維持しないこととなつた場合においては、第一項の規定にかかわらず、当該町村の警察職員を、予算の定める範囲内において、国家地方警察の職員として置くことができるものとし、この場合における職員の定員は、政令で定める。
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣 池田勇人