特別調達庁法
法令番号: 法律第七十八号
公布年月日: 昭和22年4月28日
法令の形式: 法律
朕は、帝國議会の協賛を経た特別調達廳法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年四月二十六日
内閣総理大臣兼外務大臣 吉田茂
厚生大臣 河合良成
内務大臣 植原悦二郎
大藏大臣 石橋湛山
商工大臣 石井光次郎
法律第七十八号
特別調達廳法
第一章 総則
第一條 特別調達廳は、内閣総理大臣の監督の下に、経済安定本部総務長官の定める基本的方策に基き主務大臣の定める計画に從い、連合國又は政府の需要する建造物及び設備の営繕並びに物資及び役務の調達に関する業務であつて主務大臣の指定するものを行うことを目的とする。
特別調達廳は、法人とする。
第二條 特別調達廳は、主たる事務所を東京都に置く。
特別調達廳は、主務大臣の認可を受けて、必要な地に從たる事務所を設けることができる。
第三條 特別調達廳は、基本金又は運営資金を有しない。その一切の建造物、設備及び物資(以下物という。)又は役務に対する支拂は、その物若しくは役務を需要し、又はこれが支拂の責に任ずる各廳関係の議会の議決を経た予算のうちからこれをする。
特別調達廳が、調達を要求する権限のある各廳のために物又は役務の調達(営繕を含む。以下同じ。)を行うときは、工事又は物若しくは役務の数量及び價格並びに支拂を受けるべき供給者を示す証明書を同時に支拂の責に任ずる各廳に提出しなければならない。当該証明書中連合國の需要に應ずるものに係るものについては、連合國の調達要求と差異のないことを明かにし、及び調達要求書の番号を示すことを必要とする。
第四條 特別調達廳は、定款を以て、左の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 役員に関する事項
五 業務及びその執行に関する事項
六 会計に関する事項
七 公告の方法
定款は、主務大臣及び経済安定本部総務長官の承認を受けて、これを変更することができる。
第五條 特別調達廳は、勅令の定めるところにより、登記しなければならない。
前項の規定によつて登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これを以て第三者に対抗することができない。
第六條 特別調達廳には、所得税及び法人税を課さない。
都道府縣、市町村その他これに準ずるものは、特別調達廳の事業に対しては、地方税を課することができない。但し、特別の事情に基いて内務大臣及び大藏大臣の認可を受けた場合は、この限りでない。
第七條 特別調達廳は、経済安定本部総務長官の命令によつて解散する。
前項に定めるものの外、特別調達廳の解散に関して必要な事項は、勅令でこれを定める。
第八條 特別調達廳でない者は、特別調達廳又はこれに類似する名称を用いることはできない。
第九條 民法第四十四條、第五十條、第五十四條及び第五十七條並びに非訟事件手続法第三十五條第一項の規定は、特別調達廳にこれを準用する。
第二章 役員及び職員
第十條 特別調達廳に、役員として、総裁副総裁各一人、理事二人以上及び監事一人以上を置く。
総裁は、特別調達廳を代表し、第十五條の規定に基きその業務を総理する。
副総裁は、定款の定めるところにより、特別調達廳を代表し、総裁を補佐して、特別調達廳の業務を掌理し、総裁に事故のあるときにはその職務を代理し、総裁が欠員のときにはその職務を行う。
理事は、定款の定めるところにより、特別調達廳を代表し、総裁及び副総裁を補佐して特別調達廳の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故のあるときにはその職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときにはその職務を行う。
監事は、特別調達廳の業務を監査する。
第十一條 総裁、副総裁、理事及び監事は、内閣総理大臣がこれを任命する。
第十二條 総裁、副総裁及び理事は、定款の定めるところにより、特別調達廳の職員のうちから、主たる事務所又は從たる事務所の業務に関して一切の裁判上及び裁判外の行爲をする代理人を選任することができる。
第十三條 特別調達廳の役員及び職員は、特別調達廳と物又は役務の調達に関する契約をなし、又はその調達に係る工事又は物の生產、加工、保管、賣買若しくは輸送を業とする会社の株式を所有し、又はこれらの会社その他の企業の業務に從事し、若しくはその営業につき一切の利害関係を有してはならない。
第十四條 特別調達廳の役員及び職員は、これを官吏その他の政府職員とする。
総裁たる者は、各省次官と同級又はこれと同格とし、その他の役員たる者は、一級又はこれと同格とし、職員たる者は、一級、二級若しくは三級又はこれらと同格とし、それらの定員は、内閣総理大臣がこれを定める。
特別調達廳の役員及び職員は、官吏に関する一般法令に從うものとする。但し、主務大臣が経済安定本部総務長官の承認を受けて、給與、服務その他必要な事項に関して特例を定めたときには、これによるものとする。
第三章 業務
第十五條 特別調達廳は、経済安定本部総務長官の定める基本的方策に基き主務大臣の定める計画及び指示に從い、左の業務を行う。
一 主務大臣の指定する連合國又は政府の需要する建造物又は設備の建設又は修理
二 主務大臣の指定する連合國又は政府の需要する物資又は役務の調達
三 経済安定本部総務長官の指定する場合前二号に定めるものの外第一條第一項の目的を達するために必要な業務
特別調達廳は、経済安定本部総務長官の定める方策に從い、特定の調達命令を充足し、又は主務大臣の特に承認する物資の集積を行う場合の外、資材を購入することができない。
第十六條 特別調達廳は、業務開始の際、業務の方法を定めて、経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同樣である。
経済安定本部総務長官が前項の認可を行うときは、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において、認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第十七條 特別調達廳は、第十八條に規定する毎事業年度の前期及び後期の初において六箇月ごとの事業計画及び資金計画を作成し、これを経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同樣である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときは、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第四章 会計
第十八條 特別調達廳の事業年度は、毎年四月から翌年三月までとし、これを前期及び後期に分ける。
第十九條 特別調達廳は、前條の各期ごとに財產目録、業務報告及び財產増減書を作成し、毎事業年度経過後二箇月以内に、これを経済安定本部総務長官に提出し、その承認を受けなければならない。
経済安定本部総務長官は、前項の承認を行うときは、同項に掲げる書面を受理してから十五日以内に、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならない。但し、この場合において承認の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
特別調達廳は、第一項の承認を受けたときは、財產目録、業務報告及び財產増減書を公告し、且つこれを定款とともに各事務所に備えて置かなければならない。
前項の財產目録、業務報告及び財產増減書は、会計檢査院の檢査を受け、その承認を受けなければならない。
特別調達廳は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、命令の定めるところにより、毎期末の現金を國庫に納付しなければならない。
特別調達廳は、帳簿、書類その他一切の記録を整然且つ明確に記載し、会計檢査院、経済安定本部及び主務官廳の檢査を受けることができるように整備しなければならない。
会計檢査院は、常に適確に前項の檢査を行わなければならない。
第五章 監督
第二十條 経済安定本部総務長官は、調達の基本的方策に関して、特別調達廳を指導監督する。
経済安定本部総務長官は、主務大臣の指定に係る連合國又は政府の需要する物又は役務の調達を確保するため必要と認めるときは、特別調達廳に対して、監督上必要な命令をなすことができる。
主務大臣は、連合國又は政府の需要する物又は役務の調達を確保するため必要と認めるときは、特別調達廳に対して、経済安定本部総務長官の定める物又は役務の調達に関する基本的方策に基いて、監督上必要な命令をなすことができる。
主務大臣及び経済安定本部総務長官は、必要があると認めるときは、特別調達廳に対して報告をさせ、又は当該官吏に、必要な場所に臨檢し、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を檢査させることができる。
前項の規定により当該官吏に臨檢檢査させる場合には、命令の定めるところにより、その身分を示す証票を携帶させなければならない。
第二十一條 特別調達廳は、その役員及び職員に対して、特別の報酬を與える必要があるときは、その報酬規程を定めて、経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない、これを変更しようとするときも同様である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときは、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において、認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第二十二條 主務大臣は、特別調達廳の役員が法令若しくは定款又はこの法律に基いてなす命令に違反したときは、これを解任することができる。
経済安定本部総務長官は、特別調達廳の役員が特別調達廳の目的及び業務に関して、その任に適せず、又はその職務を適切に遂行していないと認めるときは、これを解任することができる。
第六章 罰則
第二十三條 左の場合においては、その違反行爲をなした特別調達廳の役員又は職員は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 第十五條に規定しない業務を行つた場合
二 第二十條第二項又は第三項に規定する経済安定本部総務長官又は主務大臣の監督上の命令に違反した場合
三 第十三條の規定に違反した場合
第二十四條 この法律の規定による報告を怠り、若しくは虚僞の報告をなし、又は檢査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十五條 特別調達廳以外の法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者がその法人若しくは人の業務に関して第二十三條又は前條の違反行爲をなしたときには、行爲者を罰する外、その法人又は人に対して前二條の罰金刑を科する。
第二十六條 第八條の規定に違反して、特別調達廳又はこれに類似の名称を用いた者は、これを一万円以下の過料に処する。
附 則
第二十七條 この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。
第二十八條 政府は、設立委員を命じて、特別調達廳の設立に関する事務を処理させる。
第二十九條 設立委員は、定款を作成して、主務大臣及び経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。
第三十條 前條の認可があつたときは、設立委員は、遅滯なくその事務を特別調達廳の総裁に引き継がなければならない。
特別調達廳の総裁が前項の事務の引継ぎを受けたときは、総裁、副総裁、理事及び監事の全員は、遅滯なく設立の登記をしなければならない。
特別調達廳は、設立の登記をすることによつて成立する。
第三十一條 登録税法の一部を次のように改正する。
第十九條第七号中「法令ニ依ル公團、」の下に「特別調達廳、」を、「公團ニ関スル法令、」の下に「特別調達廳法、」を加える。
第三十二條 印紙税法の一部を次のように改正する。
第五條第六号ノ六の次に左の一号を加える。
六ノ六ノ二 特別調達廳ノ業務ニ關スル證書帳簿
朕は、帝国議会の協賛を経た特別調達庁法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年四月二十六日
内閣総理大臣兼外務大臣 吉田茂
厚生大臣 河合良成
内務大臣 植原悦二郎
大蔵大臣 石橋湛山
商工大臣 石井光次郎
法律第七十八号
特別調達庁法
第一章 総則
第一条 特別調達庁は、内閣総理大臣の監督の下に、経済安定本部総務長官の定める基本的方策に基き主務大臣の定める計画に従い、連合国又は政府の需要する建造物及び設備の営繕並びに物資及び役務の調達に関する業務であつて主務大臣の指定するものを行うことを目的とする。
特別調達庁は、法人とする。
第二条 特別調達庁は、主たる事務所を東京都に置く。
特別調達庁は、主務大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を設けることができる。
第三条 特別調達庁は、基本金又は運営資金を有しない。その一切の建造物、設備及び物資(以下物という。)又は役務に対する支払は、その物若しくは役務を需要し、又はこれが支払の責に任ずる各庁関係の議会の議決を経た予算のうちからこれをする。
特別調達庁が、調達を要求する権限のある各庁のために物又は役務の調達(営繕を含む。以下同じ。)を行うときは、工事又は物若しくは役務の数量及び価格並びに支払を受けるべき供給者を示す証明書を同時に支払の責に任ずる各庁に提出しなければならない。当該証明書中連合国の需要に応ずるものに係るものについては、連合国の調達要求と差異のないことを明かにし、及び調達要求書の番号を示すことを必要とする。
第四条 特別調達庁は、定款を以て、左の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 役員に関する事項
五 業務及びその執行に関する事項
六 会計に関する事項
七 公告の方法
定款は、主務大臣及び経済安定本部総務長官の承認を受けて、これを変更することができる。
第五条 特別調達庁は、勅令の定めるところにより、登記しなければならない。
前項の規定によつて登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これを以て第三者に対抗することができない。
第六条 特別調達庁には、所得税及び法人税を課さない。
都道府県、市町村その他これに準ずるものは、特別調達庁の事業に対しては、地方税を課することができない。但し、特別の事情に基いて内務大臣及び大蔵大臣の認可を受けた場合は、この限りでない。
第七条 特別調達庁は、経済安定本部総務長官の命令によつて解散する。
前項に定めるものの外、特別調達庁の解散に関して必要な事項は、勅令でこれを定める。
第八条 特別調達庁でない者は、特別調達庁又はこれに類似する名称を用いることはできない。
第九条 民法第四十四条、第五十条、第五十四条及び第五十七条並びに非訟事件手続法第三十五条第一項の規定は、特別調達庁にこれを準用する。
第二章 役員及び職員
第十条 特別調達庁に、役員として、総裁副総裁各一人、理事二人以上及び監事一人以上を置く。
総裁は、特別調達庁を代表し、第十五条の規定に基きその業務を総理する。
副総裁は、定款の定めるところにより、特別調達庁を代表し、総裁を補佐して、特別調達庁の業務を掌理し、総裁に事故のあるときにはその職務を代理し、総裁が欠員のときにはその職務を行う。
理事は、定款の定めるところにより、特別調達庁を代表し、総裁及び副総裁を補佐して特別調達庁の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故のあるときにはその職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときにはその職務を行う。
監事は、特別調達庁の業務を監査する。
第十一条 総裁、副総裁、理事及び監事は、内閣総理大臣がこれを任命する。
第十二条 総裁、副総裁及び理事は、定款の定めるところにより、特別調達庁の職員のうちから、主たる事務所又は従たる事務所の業務に関して一切の裁判上及び裁判外の行為をする代理人を選任することができる。
第十三条 特別調達庁の役員及び職員は、特別調達庁と物又は役務の調達に関する契約をなし、又はその調達に係る工事又は物の生産、加工、保管、売買若しくは輸送を業とする会社の株式を所有し、又はこれらの会社その他の企業の業務に従事し、若しくはその営業につき一切の利害関係を有してはならない。
第十四条 特別調達庁の役員及び職員は、これを官吏その他の政府職員とする。
総裁たる者は、各省次官と同級又はこれと同格とし、その他の役員たる者は、一級又はこれと同格とし、職員たる者は、一級、二級若しくは三級又はこれらと同格とし、それらの定員は、内閣総理大臣がこれを定める。
特別調達庁の役員及び職員は、官吏に関する一般法令に従うものとする。但し、主務大臣が経済安定本部総務長官の承認を受けて、給与、服務その他必要な事項に関して特例を定めたときには、これによるものとする。
第三章 業務
第十五条 特別調達庁は、経済安定本部総務長官の定める基本的方策に基き主務大臣の定める計画及び指示に従い、左の業務を行う。
一 主務大臣の指定する連合国又は政府の需要する建造物又は設備の建設又は修理
二 主務大臣の指定する連合国又は政府の需要する物資又は役務の調達
三 経済安定本部総務長官の指定する場合前二号に定めるものの外第一条第一項の目的を達するために必要な業務
特別調達庁は、経済安定本部総務長官の定める方策に従い、特定の調達命令を充足し、又は主務大臣の特に承認する物資の集積を行う場合の外、資材を購入することができない。
第十六条 特別調達庁は、業務開始の際、業務の方法を定めて、経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。
経済安定本部総務長官が前項の認可を行うときは、主務大臣及び大蔵大臣にはからなければならない。この場合において、認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第十七条 特別調達庁は、第十八条に規定する毎事業年度の前期及び後期の初において六箇月ごとの事業計画及び資金計画を作成し、これを経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときは、主務大臣及び大蔵大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第四章 会計
第十八条 特別調達庁の事業年度は、毎年四月から翌年三月までとし、これを前期及び後期に分ける。
第十九条 特別調達庁は、前条の各期ごとに財産目録、業務報告及び財産増減書を作成し、毎事業年度経過後二箇月以内に、これを経済安定本部総務長官に提出し、その承認を受けなければならない。
経済安定本部総務長官は、前項の承認を行うときは、同項に掲げる書面を受理してから十五日以内に、主務大臣及び大蔵大臣にはからなければならない。但し、この場合において承認の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
特別調達庁は、第一項の承認を受けたときは、財産目録、業務報告及び財産増減書を公告し、且つこれを定款とともに各事務所に備えて置かなければならない。
前項の財産目録、業務報告及び財産増減書は、会計検査院の検査を受け、その承認を受けなければならない。
特別調達庁は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、命令の定めるところにより、毎期末の現金を国庫に納付しなければならない。
特別調達庁は、帳簿、書類その他一切の記録を整然且つ明確に記載し、会計検査院、経済安定本部及び主務官庁の検査を受けることができるように整備しなければならない。
会計検査院は、常に適確に前項の検査を行わなければならない。
第五章 監督
第二十条 経済安定本部総務長官は、調達の基本的方策に関して、特別調達庁を指導監督する。
経済安定本部総務長官は、主務大臣の指定に係る連合国又は政府の需要する物又は役務の調達を確保するため必要と認めるときは、特別調達庁に対して、監督上必要な命令をなすことができる。
主務大臣は、連合国又は政府の需要する物又は役務の調達を確保するため必要と認めるときは、特別調達庁に対して、経済安定本部総務長官の定める物又は役務の調達に関する基本的方策に基いて、監督上必要な命令をなすことができる。
主務大臣及び経済安定本部総務長官は、必要があると認めるときは、特別調達庁に対して報告をさせ、又は当該官吏に、必要な場所に臨検し、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。
前項の規定により当該官吏に臨検検査させる場合には、命令の定めるところにより、その身分を示す証票を携帯させなければならない。
第二十一条 特別調達庁は、その役員及び職員に対して、特別の報酬を与える必要があるときは、その報酬規程を定めて、経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない、これを変更しようとするときも同様である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときは、主務大臣及び大蔵大臣にはからなければならない。この場合において、認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第二十二条 主務大臣は、特別調達庁の役員が法令若しくは定款又はこの法律に基いてなす命令に違反したときは、これを解任することができる。
経済安定本部総務長官は、特別調達庁の役員が特別調達庁の目的及び業務に関して、その任に適せず、又はその職務を適切に遂行していないと認めるときは、これを解任することができる。
第六章 罰則
第二十三条 左の場合においては、その違反行為をなした特別調達庁の役員又は職員は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 第十五条に規定しない業務を行つた場合
二 第二十条第二項又は第三項に規定する経済安定本部総務長官又は主務大臣の監督上の命令に違反した場合
三 第十三条の規定に違反した場合
第二十四条 この法律の規定による報告を怠り、若しくは虚偽の報告をなし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十五条 特別調達庁以外の法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人若しくは人の業務に関して第二十三条又は前条の違反行為をなしたときには、行為者を罰する外、その法人又は人に対して前二条の罰金刑を科する。
第二十六条 第八条の規定に違反して、特別調達庁又はこれに類似の名称を用いた者は、これを一万円以下の過料に処する。
附 則
第二十七条 この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。
第二十八条 政府は、設立委員を命じて、特別調達庁の設立に関する事務を処理させる。
第二十九条 設立委員は、定款を作成して、主務大臣及び経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。
第三十条 前条の認可があつたときは、設立委員は、遅滞なくその事務を特別調達庁の総裁に引き継がなければならない。
特別調達庁の総裁が前項の事務の引継ぎを受けたときは、総裁、副総裁、理事及び監事の全員は、遅滞なく設立の登記をしなければならない。
特別調達庁は、設立の登記をすることによつて成立する。
第三十一条 登録税法の一部を次のように改正する。
第十九条第七号中「法令ニ依ル公団、」の下に「特別調達庁、」を、「公団ニ関スル法令、」の下に「特別調達庁法、」を加える。
第三十二条 印紙税法の一部を次のように改正する。
第五条第六号ノ六の次に左の一号を加える。
六ノ六ノ二 特別調達庁ノ業務ニ関スル証書帳簿