石油配給公団法
法令番号: 法律第五十五号
公布年月日: 昭和22年4月15日
法令の形式: 法律
朕は、帝國議会の協賛を経た石油配給公團法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年四月十四日
内閣総理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郎
内務大臣 植原悦二郎
大藏大臣 石橋湛山
商工大臣 石井光次郎
法律第五十五号
石油配給公團法
第一章 総則
第一條 石油配給公團は、経済安定本部総務長官の定める割当計画及び配給手続に從い、品質、種類又は產地の如何にかかわらず、別表に掲げる石油類(以下單に石油類という。)の適正な配給に関する業務を行うことを目的とする。
石油配給公團は、法人とする。
第二條 石油配給公團は、主たる事務所を東京都に置く。
石油配給公團は、主務大臣の認可を受けて、配給に関する業務を行うため必要の地に從たる事務所を設けることができる。
第三條 石油配給公團の基本金は、六千万円とする。
前項の基本金は、政府が全額これを出資しなければならない。
石油配給公團の運営資金は、必要があるときには、復興金融金庫から借り入れるものとする。
第四條 石油配給公團は、定款を以て、左の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 基本金額に関する事項
五 役員に関する事項
六 業務及びその執行に関する事項
七 会計に関する事項
八 公告の方法
定款は、主務大臣及び経済安定本部総務長官の認可を受けて、これを変更することができる。
第五條 石油配給公團は、勅令の定めるところにより、登記しなければならない。
前項の規定によつて登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これを以て第三者に対抗することができない。
第六條 石油配給公團には、所得税及び法人税を課さない。
都道府縣、市町村その他これに準ずるものは、石油配給公團の事業に対しては、地方税を課することができない。但し、特別の事情に基いて、内務大臣及び大藏大臣の認可を受けた場合にはこの限りでない。
第七條 石油配給公團は、臨時物資需給調整法の失効又は経済安定本部総務長官の命令によつて解散する。
前項に定めるものの外、石油配給公團の解散に関して必要な事項は、勅令でこれを定める。
第八條 石油配給公團でない者は、石油配給公團又はこれに類似する名称を用いることができない。
第九條 民法第四十四條、第五十條、第五十四條及び第五十七條並びに非訟事件手続法第三十五條第一項の規定は、石油配給公團にこれを準用する。
第二章 役員及び職員
第十條 石油配給公團に、役員として、総裁副総裁各一人、理事二人以上及び監事一人以上を置く。
総裁は、石油配給公團を代表し、第十五條の規定に基き、その業務を総理する。
副総裁は、定款の定めるところにより、石油配給公團を代表し、総裁を輔佐して石油配給公團の業務を掌理し、総裁に事故のあるときにはその職務を代理し、総裁が欠員のときにはその職務を行う。
理事は、定款の定めるところにより、石油配給公團を代表し、総裁及び副総裁を輔佐して石油配給公團の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故のあるときにはその職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときにはその職務を行う。
監事は、石油配給公團の業務を監査する。
第十一條 総裁、副総裁、理事及び監事は、主務大臣がこれを任命する。
第十二條 総裁、副総裁及び理事は、定款の定めるところにより、石油配給公團の職員のうちから、主たる事務所又は從たる事務所の業務に関して、一切の裁判上又は裁判外の行爲をする権限を有する代理人を選任することができる。
第十三條 石油配給公團の役員及び職員は、石油類の生產、精製、保管、加工、賣買若しくは輸送を業とする会社の株式を所有し、又はこれらの会社その他の企業の業務に從事し、若しくはその営業につき一切の利害関係を有してはならない。
第十四條 石油配給公團の役員及び職員は、これを官吏その他の政府職員とする。
総裁たる者は、商工次官と同級又はこれと同格とし、その他の役員たる者は、一級又はこれと同格とし、職員たる者は、一級、二級若しくは三級又はこれらと同格とし、それらの定員は、主務大臣がこれを定める。
石油配給公團の役員及び職員は、官吏に関する一般法令に從うものとする。但し、主務大臣が経済安定本部総務長官の承認を受けて、給與、服務その他必要な事項に関して特例を定めたときには、これによるものとする。
第三章 業務
第十五條 石油配給公團は、経済安定本部総務長官の定める割当計画及び配給手続並びにこれらに関する指示に基き、主務大臣の監督に從い、左の業務を行う。
一 物價廳の定める價格による石油類の一手買取及び一手賣渡
二 石油類の保管及び加工
三 石油類の配給及びこれに附帶する業務
四 輸送施設の配置及び使用に関する法令に基き石油類の適切な輸送を行うために必要な措置
五 石油類の販賣業者の指定
前項第五号の指定は、経済安定本部総務長官の定める條件に基く主務大臣の認可を受けなければならない。
第十六條 石油配給公團は、業務開始の際、業務の方法を定めて、経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同樣である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第十七條 石油配給公團は、毎事業年度の前期及び後期の初において六箇月毎の事業計画及び資金計画を作製し、これを経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同樣である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第四章 会計
第十八條 石油配給公團の事業年度は、毎年四月から翌年三月までとし、これを前期及び後期に分ける。
第十九條 石油配給公團は、前條の各期毎に財產目録、貸借対照表及び損益計算書を作成し、毎事業年度経過後二箇月以内に、これを経済安定本部総務長官に提出し、その承認を受けなければならない。
経済安定本部総務長官は、前項の承認を行うときには、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において承認の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
石油配給公團は、第一項の規定による経済安定本部総務長官の承認を受けたときには、その財產目録、貸借対照表及び損益計算書を公告し、且つこれを定款とともに、各事務所に備えて置かなければならない。
前項の財產目録、貸借対照表及び損益計算書は、会計檢査院の檢査を受け、その承認を受けなければならない。
石油配給公團は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、命令の定めるところにより、剩余金を國庫に納付しなければならない。
石油配給公團は、帳簿、書類その他一切の記録を整然且つ明確に記載し、会計檢査院、経済安定本部及び主務官廳の檢査を受けることができるように整備しなければならない。
会計檢査院は、常に適確に前項の檢査を行わなければならない。
第五章 監督及び助成
第二十條 経済安定本部総務長官は、割当計画及び配給手続に関して、石油配給公團を指導監督する。
経済安定本部総務長官は、石油類の適正な配給を確保するため必要があると認めるときには、石油配給公團に対して、監督上必要な命令をなすことができる。
主務大臣は、石油類の適正な配給を確保するため必要があると認めるときには、石油配給公團に対して、経済安定本部総務長官の定める割当計画及び配給手続に基いて、監督上必要な命令をなすことができる。
主務大臣又は経済安定本部総務長官は、必要があると認めるときには、石油配給公團に対して報告をさせ、又は当該官吏に、必要な場所に臨檢し、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を檢査させることができる。
前項の規定により、当該官吏に臨檢檢査させる場合には、命令の定めるところにより、その身分を示す証票を携帶させなければならない。
第二十一條 石油配給公團は、その役員及び職員に対して、特別の報酬を與える必要があるときには、その報酬規程を定め、経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同樣である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第二十二條 主務大臣は、石油配給公團の役員が法令若しくは定款又はこの法律に基いてなす命令に違反したときには、これを解任することができる。
経済安定本部総務長官は、石油配給公團の役員が石油配給公團の目的及び業務に関して、その任に適せず、又はその職務を適切に遂行していないと認めるときには、これを解任することができる。
第二十三條 主務大臣は、石油配給公團の業務を行うため必要があると認めるときには、石油配給株式会社の清算人に対し、当該会社の所有に属する施設の全部又は一部を、石油配給公團に貸與することを命ずることができる。
主務大臣は、石油配給公團の業務を行うため必要があると認めるときには、石油配給公團に必要な施設の所有者若しくは占有者又は大藏大臣を含む管理者に対して、当該施設を石油配給公團に貸與することを命じ、又は求めることができる。
前二項の規定による施設の使用料は、経済安定本部総務長官がそのあらかじめ定める方針に基いて、適正に定めるものとする。
前項の規定によつて使用料が定められたときには、石油配給公團は、第七條第一項に定められた存続期間を超えない範囲において、経済安定本部総務長官の承認を受けて第一項又は第二項の施設を賃借するものとする。
主務大臣は、石油配給公團の業務を行うため必要があると認めるときには、石油配給株式会社の清算人に対して、当該会社が所有し、又は占有している資材の全部又は一部を石油配給公團に讓り渡し、又は引き渡すことを命ずることができる。
前項の命令があつたときには、石油配給公團は、前項の資材の讓受又は引渡を受けた日から一箇月以内に関係者に対して、正当な補償を支拂わなければならない。
主務大臣は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、前項の補償に関し必要な規程を定めた後でなければ、第五項の命令をなすことができない。
主務大臣は、石油配給公團の業務を行うため必要があると認めるときには、経済安定本部総務長官の定める方針に基き、運輸大臣の同意を得て、必要な輸送施設の所有者若しくは占有者又は運輸大臣を含む管理者に対して、当該輸送施設を石油配給公團の使用に供することを命じ、又は求めることができる。
前項の場合において、石油配給公團は、関係者に対し正当な補償を支拂わなければならない。
主務大臣は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、前項の補償に関し必要な規程を定めた後でなければ、第八項の命令又は要求をなすことができない。
主務大臣は、石油配給公團が賃借した施設を管理し、又は必要があると認めるときには、保險を附する等の措置を石油配給公團にとらしめることに関し、責任あるものとする。
主務大臣は、前各項の実施について石油配給公團又は関係各大臣を含む関係者に対して、迅速な措置を命じ、又は求めることができる。
第六章 罰則
第二十四條 前條第一項、第二項、第五項又は第八項の規定による命令に違反した者は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第二十五條 左の場合においては、その違反行爲をなした石油配給公團の役員又は職員は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 第十五條第一項に規定しない業務を行つた場合
二 第二十條第二項又は第三項に規定する経済安定本部総務長官又は主務大臣の監督上の命令に違反した場合
第二十六條 この法律の規定による報告を怠り、若しくは虚僞の報告をなし、又は檢査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十七條 前三條の罪を犯した者には、情状に因り、懲役及び罰金を併科することができる。
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者がその法人又は人の業務に関して第二十四條の違反行爲をなしたときには、行爲者を罰する外、その法人又は人に対して同條の罰金刑を科する。
第二十八條 第八條の規定に違反して、石油配給公團又はこれに類似する名称を用いた者は、これを一万円以下の過料に処する。
附 則
第二十九條 この法律施行の期日は、各規定について、勅令でこれを定める。
第三十條 この法律は、昭和二十三年四月一日又は経済安定本部廃止の時の何れか早い時に、その効力を失う。
石油配給公團は、前項の時に解散する。但し、その時までになした行爲に対する罰則の適用及び石油配給公團の清算に関しては、この法律は、その時以後もなおその効力を有する。
第三十一條 石油配給公團が成立したときには、石油配給株式会社は、解散する。
前項の規定による石油配給株式会社の清算は、昭和二十三年四月一日までに結了せしめるものとする。
第三十二條 政府は、設立委員を命じて、石油配給公團の設立に関する事務を処理させる。
第三十三條 設立委員は、定款を作成して、主務大臣及び経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。
前項の認可があつたときには、設立委員は、遅滯なく基本金の拂込を請求しなければならない。
第三十四條 基本金の拂込があつたときには、設立委員は、遅滯なくその事務を石油配給公團の総裁に引き継がなければならない。
総裁が前項の事務の引継を受けたときには、総裁、副総裁、理事及び監事の全員は、遅滯なく設立の登記をしなければならない。
石油配給公團は、設立の登記をすることによつて成立する。
第三十五條 石油配給公團でない者で、この法律施行の際現に石油配給公團又はこれに類似する名称を用いているものについては、この法律施行後六箇月を限り、第八條の規定を適用しない。
第三十六條 登録税法の一部を、次のように改正する。
第十九條第七号中「蠶絲共同組合」の上に「法令ニ依ル公團、」を、「蠶絲業法」の上に「公團ニ關スル法令、」を加える。
第三十七條 印紙税法の一部を、次のように改正する。
第五條第六号ノ六を次のように改める。
六ノ六 法令ニ依ル公團ノ業務ニ關スル證書帳簿
別表
一 揮発油
二 燈油
三 軽油
四 重油
五 機械油及び半固体機械油
六 石油副生品
(一) アスフアルト
(二) 石油ピツチ
(三) パラフイン
朕は、帝国議会の協賛を経た石油配給公団法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年四月十四日
内閣総理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郎
内務大臣 植原悦二郎
大蔵大臣 石橋湛山
商工大臣 石井光次郎
法律第五十五号
石油配給公団法
第一章 総則
第一条 石油配給公団は、経済安定本部総務長官の定める割当計画及び配給手続に従い、品質、種類又は産地の如何にかかわらず、別表に掲げる石油類(以下単に石油類という。)の適正な配給に関する業務を行うことを目的とする。
石油配給公団は、法人とする。
第二条 石油配給公団は、主たる事務所を東京都に置く。
石油配給公団は、主務大臣の認可を受けて、配給に関する業務を行うため必要の地に従たる事務所を設けることができる。
第三条 石油配給公団の基本金は、六千万円とする。
前項の基本金は、政府が全額これを出資しなければならない。
石油配給公団の運営資金は、必要があるときには、復興金融金庫から借り入れるものとする。
第四条 石油配給公団は、定款を以て、左の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 基本金額に関する事項
五 役員に関する事項
六 業務及びその執行に関する事項
七 会計に関する事項
八 公告の方法
定款は、主務大臣及び経済安定本部総務長官の認可を受けて、これを変更することができる。
第五条 石油配給公団は、勅令の定めるところにより、登記しなければならない。
前項の規定によつて登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これを以て第三者に対抗することができない。
第六条 石油配給公団には、所得税及び法人税を課さない。
都道府県、市町村その他これに準ずるものは、石油配給公団の事業に対しては、地方税を課することができない。但し、特別の事情に基いて、内務大臣及び大蔵大臣の認可を受けた場合にはこの限りでない。
第七条 石油配給公団は、臨時物資需給調整法の失効又は経済安定本部総務長官の命令によつて解散する。
前項に定めるものの外、石油配給公団の解散に関して必要な事項は、勅令でこれを定める。
第八条 石油配給公団でない者は、石油配給公団又はこれに類似する名称を用いることができない。
第九条 民法第四十四条、第五十条、第五十四条及び第五十七条並びに非訟事件手続法第三十五条第一項の規定は、石油配給公団にこれを準用する。
第二章 役員及び職員
第十条 石油配給公団に、役員として、総裁副総裁各一人、理事二人以上及び監事一人以上を置く。
総裁は、石油配給公団を代表し、第十五条の規定に基き、その業務を総理する。
副総裁は、定款の定めるところにより、石油配給公団を代表し、総裁を輔佐して石油配給公団の業務を掌理し、総裁に事故のあるときにはその職務を代理し、総裁が欠員のときにはその職務を行う。
理事は、定款の定めるところにより、石油配給公団を代表し、総裁及び副総裁を輔佐して石油配給公団の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故のあるときにはその職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときにはその職務を行う。
監事は、石油配給公団の業務を監査する。
第十一条 総裁、副総裁、理事及び監事は、主務大臣がこれを任命する。
第十二条 総裁、副総裁及び理事は、定款の定めるところにより、石油配給公団の職員のうちから、主たる事務所又は従たる事務所の業務に関して、一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
第十三条 石油配給公団の役員及び職員は、石油類の生産、精製、保管、加工、売買若しくは輸送を業とする会社の株式を所有し、又はこれらの会社その他の企業の業務に従事し、若しくはその営業につき一切の利害関係を有してはならない。
第十四条 石油配給公団の役員及び職員は、これを官吏その他の政府職員とする。
総裁たる者は、商工次官と同級又はこれと同格とし、その他の役員たる者は、一級又はこれと同格とし、職員たる者は、一級、二級若しくは三級又はこれらと同格とし、それらの定員は、主務大臣がこれを定める。
石油配給公団の役員及び職員は、官吏に関する一般法令に従うものとする。但し、主務大臣が経済安定本部総務長官の承認を受けて、給与、服務その他必要な事項に関して特例を定めたときには、これによるものとする。
第三章 業務
第十五条 石油配給公団は、経済安定本部総務長官の定める割当計画及び配給手続並びにこれらに関する指示に基き、主務大臣の監督に従い、左の業務を行う。
一 物価庁の定める価格による石油類の一手買取及び一手売渡
二 石油類の保管及び加工
三 石油類の配給及びこれに附帯する業務
四 輸送施設の配置及び使用に関する法令に基き石油類の適切な輸送を行うために必要な措置
五 石油類の販売業者の指定
前項第五号の指定は、経済安定本部総務長官の定める条件に基く主務大臣の認可を受けなければならない。
第十六条 石油配給公団は、業務開始の際、業務の方法を定めて、経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大蔵大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第十七条 石油配給公団は、毎事業年度の前期及び後期の初において六箇月毎の事業計画及び資金計画を作製し、これを経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大蔵大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第四章 会計
第十八条 石油配給公団の事業年度は、毎年四月から翌年三月までとし、これを前期及び後期に分ける。
第十九条 石油配給公団は、前条の各期毎に財産目録、貸借対照表及び損益計算書を作成し、毎事業年度経過後二箇月以内に、これを経済安定本部総務長官に提出し、その承認を受けなければならない。
経済安定本部総務長官は、前項の承認を行うときには、主務大臣及び大蔵大臣にはからなければならない。この場合において承認の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
石油配給公団は、第一項の規定による経済安定本部総務長官の承認を受けたときには、その財産目録、貸借対照表及び損益計算書を公告し、且つこれを定款とともに、各事務所に備えて置かなければならない。
前項の財産目録、貸借対照表及び損益計算書は、会計検査院の検査を受け、その承認を受けなければならない。
石油配給公団は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、命令の定めるところにより、剰余金を国庫に納付しなければならない。
石油配給公団は、帳簿、書類その他一切の記録を整然且つ明確に記載し、会計検査院、経済安定本部及び主務官庁の検査を受けることができるように整備しなければならない。
会計検査院は、常に適確に前項の検査を行わなければならない。
第五章 監督及び助成
第二十条 経済安定本部総務長官は、割当計画及び配給手続に関して、石油配給公団を指導監督する。
経済安定本部総務長官は、石油類の適正な配給を確保するため必要があると認めるときには、石油配給公団に対して、監督上必要な命令をなすことができる。
主務大臣は、石油類の適正な配給を確保するため必要があると認めるときには、石油配給公団に対して、経済安定本部総務長官の定める割当計画及び配給手続に基いて、監督上必要な命令をなすことができる。
主務大臣又は経済安定本部総務長官は、必要があると認めるときには、石油配給公団に対して報告をさせ、又は当該官吏に、必要な場所に臨検し、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。
前項の規定により、当該官吏に臨検検査させる場合には、命令の定めるところにより、その身分を示す証票を携帯させなければならない。
第二十一条 石油配給公団は、その役員及び職員に対して、特別の報酬を与える必要があるときには、その報酬規程を定め、経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大蔵大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第二十二条 主務大臣は、石油配給公団の役員が法令若しくは定款又はこの法律に基いてなす命令に違反したときには、これを解任することができる。
経済安定本部総務長官は、石油配給公団の役員が石油配給公団の目的及び業務に関して、その任に適せず、又はその職務を適切に遂行していないと認めるときには、これを解任することができる。
第二十三条 主務大臣は、石油配給公団の業務を行うため必要があると認めるときには、石油配給株式会社の清算人に対し、当該会社の所有に属する施設の全部又は一部を、石油配給公団に貸与することを命ずることができる。
主務大臣は、石油配給公団の業務を行うため必要があると認めるときには、石油配給公団に必要な施設の所有者若しくは占有者又は大蔵大臣を含む管理者に対して、当該施設を石油配給公団に貸与することを命じ、又は求めることができる。
前二項の規定による施設の使用料は、経済安定本部総務長官がそのあらかじめ定める方針に基いて、適正に定めるものとする。
前項の規定によつて使用料が定められたときには、石油配給公団は、第七条第一項に定められた存続期間を超えない範囲において、経済安定本部総務長官の承認を受けて第一項又は第二項の施設を賃借するものとする。
主務大臣は、石油配給公団の業務を行うため必要があると認めるときには、石油配給株式会社の清算人に対して、当該会社が所有し、又は占有している資材の全部又は一部を石油配給公団に譲り渡し、又は引き渡すことを命ずることができる。
前項の命令があつたときには、石油配給公団は、前項の資材の譲受又は引渡を受けた日から一箇月以内に関係者に対して、正当な補償を支払わなければならない。
主務大臣は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、前項の補償に関し必要な規程を定めた後でなければ、第五項の命令をなすことができない。
主務大臣は、石油配給公団の業務を行うため必要があると認めるときには、経済安定本部総務長官の定める方針に基き、運輸大臣の同意を得て、必要な輸送施設の所有者若しくは占有者又は運輸大臣を含む管理者に対して、当該輸送施設を石油配給公団の使用に供することを命じ、又は求めることができる。
前項の場合において、石油配給公団は、関係者に対し正当な補償を支払わなければならない。
主務大臣は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、前項の補償に関し必要な規程を定めた後でなければ、第八項の命令又は要求をなすことができない。
主務大臣は、石油配給公団が賃借した施設を管理し、又は必要があると認めるときには、保険を附する等の措置を石油配給公団にとらしめることに関し、責任あるものとする。
主務大臣は、前各項の実施について石油配給公団又は関係各大臣を含む関係者に対して、迅速な措置を命じ、又は求めることができる。
第六章 罰則
第二十四条 前条第一項、第二項、第五項又は第八項の規定による命令に違反した者は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第二十五条 左の場合においては、その違反行為をなした石油配給公団の役員又は職員は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 第十五条第一項に規定しない業務を行つた場合
二 第二十条第二項又は第三項に規定する経済安定本部総務長官又は主務大臣の監督上の命令に違反した場合
第二十六条 この法律の規定による報告を怠り、若しくは虚偽の報告をなし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十七条 前三条の罪を犯した者には、情状に因り、懲役及び罰金を併科することができる。
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して第二十四条の違反行為をなしたときには、行為者を罰する外、その法人又は人に対して同条の罰金刑を科する。
第二十八条 第八条の規定に違反して、石油配給公団又はこれに類似する名称を用いた者は、これを一万円以下の過料に処する。
附 則
第二十九条 この法律施行の期日は、各規定について、勅令でこれを定める。
第三十条 この法律は、昭和二十三年四月一日又は経済安定本部廃止の時の何れか早い時に、その効力を失う。
石油配給公団は、前項の時に解散する。但し、その時までになした行為に対する罰則の適用及び石油配給公団の清算に関しては、この法律は、その時以後もなおその効力を有する。
第三十一条 石油配給公団が成立したときには、石油配給株式会社は、解散する。
前項の規定による石油配給株式会社の清算は、昭和二十三年四月一日までに結了せしめるものとする。
第三十二条 政府は、設立委員を命じて、石油配給公団の設立に関する事務を処理させる。
第三十三条 設立委員は、定款を作成して、主務大臣及び経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。
前項の認可があつたときには、設立委員は、遅滞なく基本金の払込を請求しなければならない。
第三十四条 基本金の払込があつたときには、設立委員は、遅滞なくその事務を石油配給公団の総裁に引き継がなければならない。
総裁が前項の事務の引継を受けたときには、総裁、副総裁、理事及び監事の全員は、遅滞なく設立の登記をしなければならない。
石油配給公団は、設立の登記をすることによつて成立する。
第三十五条 石油配給公団でない者で、この法律施行の際現に石油配給公団又はこれに類似する名称を用いているものについては、この法律施行後六箇月を限り、第八条の規定を適用しない。
第三十六条 登録税法の一部を、次のように改正する。
第十九条第七号中「蚕糸共同組合」の上に「法令ニ依ル公団、」を、「蚕糸業法」の上に「公団ニ関スル法令、」を加える。
第三十七条 印紙税法の一部を、次のように改正する。
第五条第六号ノ六を次のように改める。
六ノ六 法令ニ依ル公団ノ業務ニ関スル証書帳簿
別表
一 揮発油
二 灯油
三 軽油
四 重油
五 機械油及び半固体機械油
六 石油副生品
(一) アスフアルト
(二) 石油ピツチ
(三) パラフイン