軍需金融等特別措置法施行令
法令番号: 勅令第百二十六號
公布年月日: 昭和20年3月22日
法令の形式: 勅令
朕軍需金融等特別措置法施行令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十年三月二十日
內閣總理大臣 小磯國昭
海軍大臣 米內光政
大東亞大臣 重光葵
陸軍大臣 杉山元
運輸通信大臣 前田米藏
司法大臣 松阪廣政
農商大臣 島田俊雄
軍需大臣 吉田茂
厚生大臣 相川勝六
大藏大臣 津島壽一
勅令第百二十六號
軍需金融等特別措置法施行令
第一條 軍需金融等特別措置法第二條第二項ノ規定ニ依リ定ムル金融機關ハ銀行、信託會社、保險會社、無盡會社、農林中央金庫、商工組合中央金庫、恩給金庫、庶民金庫、國民更生金庫、戰時金融金庫、南方開發金庫、都道府縣農業會、市町村農業會及市街地信用組合トス
第二條 軍需金融機關(戰時金融金庫ヲ除ク)ハ每事業年度ニ擔當事業者ニ對スル資金ノ融通(國家總動員法第十一條ノ規定ニ基ク命令ニ依ル資金ノ融通及戰時金融金庫ノ保證ニ係ル資金融通ヲ除ク)ニ因ル利息收入金及割引料ノ百分ノ十ヲ積立ツベシ但シ直前ノ事業年度ノ利益配當ノ率ト同率(直前ノ事業年度ノ利益配當ノ率ガ年百分ノ六ニ達セザルトキ又ハ直前ノ事業年度ニ付利益配當ヲ爲サズ若ハ設立後最初ノ事業年度ノ利益配當ナルトキハ年百分ノ六)ノ利益配當ヲ爲スコトヲ得ザルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ積立ノ割合ヲ減ジ又ハ積立ヲ爲サザルコトヲ得
第三條 軍需金融機關ガ軍需金融等特別措置法第十二條第三項ノ規定ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受ケ前條ノ積立金ヲ使用スルコトヲ得ル目的ハ左ノ如シ
一 擔當事業者ニ對スル資金ノ融通ニ因リ生ジタル損失ノ塡補
二 其ノ他主務大臣ノ指定スル目的
第四條 第二條ノ積立金ハ法人稅法ニ依ル所得、營業稅法ニ依ル純益及臨時利得稅法ニ依ル利益ノ計算上之ヲ益金ニ算入セズ軍需金融機關ガ第二條ノ積立金ヲ前條第一號ノ目的以外ノ目的ニ使用シタルトキ又ハ軍需金融機關ノ解散ノ際第二條ノ積立金アルトキハ其ノ使用シタル金額又ハ積立金ニ相當スル金額ヲ使用ノ日又ハ解散ノ日ノ屬スル事業年度ノ益金ニ算入ス
第五條 工場財團其ノ他ノ財團ヲ組成スベキ左ニ揭グル物件ハ軍需金融等特別措置法第十五條第一項ノ規定ニ依リ之ヲ財團目錄ニ一括シテ表示スルヲ以テ足ル
一 鐵道抵當法第三條第一項第一號乃至第四號ノ器具機械竝ニ同項第六號及第七號ノ物件
二 工場抵當法第十一條第二號ノ物件
三 鑛業抵當法第二條第五號ノ物件
四 明治四十二年法律第二十八號第二條第一項第一號乃至第四號ノ器具機械竝ニ同項第六號及第七號ノ物件
五 運河法第十四條第一號乃至第三號及第五號ノ器具機械竝ニ同條第六號ノ物件
六 漁業財團抵當法第二條第一項第二號ノ屬具及附屬設備竝ニ同項第五號及第六號ノ物件
七 自動車交通事業法第三十九條第一號乃至第四號ノ器具機械竝ニ同條第六號及第七號ノ物件
前項ノ規定ハ地方鐵道株式會社ガ鐵道ニ要スル電氣ノ餘力ヲ以テ電氣供給ノ業ヲ營ム場合ニ於テ其ノ供給ノ爲要スル鐵道抵當法第三條第一項第二號乃至第四號ノ器具機械及同項第六號及第七號ノ物件竝ニ軌道營業者タル株式會社ガ軌道ニ要スル電氣ノ餘力ヲ以テ電氣供給ノ業ヲ營ム場合ニ於テ其ノ供給ノ爲要スル明治四十二年法律第二十八號第二條第一項第二號乃至第四號ノ器具機械及同項第七號ノ物件ニ之ヲ準用ス
前二項ノ規定ニ依リ財團目錄ニ一括シテ表示スルヲ以テ足ル物件ニシテ其ノ財團ニ屬セシメザルモノアルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ財團目錄ニ其ノ旨ヲ記載スルコトヲ要ス
前三項ノ規定ハ工場抵當法第三十九條第一項(鑛業抵當法第三條、漁業財團抵當法第六條及自動車交通事業法第四十七條ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ目錄ニ之ヲ準用ス
第六條 軍需金融等特別措置法第十六條第一項ノ規定ニ依リ定ムル金融機關ハ銀行及營業ノ一部ノ讓渡又ハ讓受ノ決議ヲ爲シタル無盡會社トシ同項但書ノ規定ニ依リ定ムル債權者ハ積金者及掛金者トス
第七條 軍需金融等特別措置法第十七條ノ規定ニ依リ定ムル金融機關ハ銀行、信託會社無盡會社、商工組合中央金庫、都道府縣農業會、市町村農業會及市街地信用組合トス
第八條 社債其ノ他ノ債券ノ發行ヲ爲シタル金融機關ハ軍需金融等特別措置法第十八條第一項ノ規定ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ社債其ノ他ノ債券ノ償還ニ付主務大臣ノ定ムル所ニ依リ償還ヲ爲スベキ金額ニ相當スル金額ノ社債其ノ他ノ債券ノ買入消却ヲ爲スコトヲ得
軍需金融等特別措置法第十八條第二項ノ規定ニ依リ定ムル金融機關ハ銀行及信託會社トス
前二項ノ金融機關ハ軍需金融等特別措置法第十八條ノ規定ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ遲滯ナク之ヲ公吿スベシ
第九條 軍需金融機關又ハ軍需金融等特別措置法第十四條ノ規定ニ依リ協力ヲ命ゼラレタル金融機關(以下協力金融機關ト稱ス)ハ軍需金融等特別措置法第十一條又ハ第十四條ノ規定ニ基ク主務大臣ノ命令事項ヲ執行スル場合ニ於テハ株主總會ノ決議ヲ要スベキ事項ニ付其ノ手續ヲ經ルコトヲ要セズ此ノ場合ニ於テハ軍需金融機關又ハ協力金融機關ノ業務ヲ執行スル取締役其ノ他ノ役員ハ次囘ノ株主總會ニ於テ其ノ旨ヲ報吿スベシ
前項ノ規定ハ商法第三百四十三條ニ定ムル決議ヲ要スル事項ニハ之ヲ適用セズ但シ同法第二百四十五條第一項第二號ニ揭グル事項竝ニ營業所ノ設置、廢止及移轉ニ關スル事項ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第十條 銀行、信託會社、保險會社及無盡會社ニ在リテハ商法第三百四十三條ニ定ムル決議ヲ要スル事項ニ付同法第二百三十九條第一項ニ定ムル決議ニ依ルコトヲ得
前項ノ規定ハ會社ノ目的ノ變更ニ關スル事項ニハ之ヲ適用セズ
第十一條 銀行、信託會社、保險會社及無盡會社ハ直前ノ事業年度ト同率ノ利益配當ヲ爲サントスル場合ニ於テ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ定時總會ヲ招集スルコトヲ要セズ
前項ノ場合ニ於テハ主務大臣ノ認可アリタル日ニ商法第二百八十三條第一項ノ承認アリタルモノト看做シ認可ニ關スル書類ハ之ヲ株主總會ノ議事錄ト看做ス
第十二條 銀行、信託會社、保險會社及無盡會社ニ在リテハ株主總會ノ招集ハ株主ニ對スル通知ニ代ヘ會日ヨリ三週間前ニ總會ヲ開クベキ旨及會議ノ目的タル事項ヲ公吿シテ之ヲ爲スコトヲ得
第十三條 日本勸業銀行、北海道拓殖銀行及日本興業銀行ハ擔保ヲ徵セズシテ貸付ヲ爲シ、債務ノ保證若ハ手形ノ引受ヲ爲シ又ハ擔當事業者ノ爲軍需金融等特別措置法第九條第一項ノ事務ヲ取扱フコトヲ得
日本勸業銀行及貯蓄銀行ハ爲替業務ヲ營ムコトヲ得
第十四條 日本勸業銀行、北海道拓殖銀行及日本興業銀行ハ勸業債券、北海道拓殖債券又ハ興業債券ノ償還ニ付抽籤ノ方法ニ依ラザルコトヲ得
第十五條 貯蓄銀行、信託會社、農林中央金庫、商工組合中央金庫及庶民金庫ハ軍需金融等特別措置法第十四條ノ規定ニ基ク主務大臣ノ命令事項ヲ執行スル爲必要アルトキハ貯蓄銀行法第十一條乃至第十四條、信託業法第十一條、農林中央金庫法第十五條、商工組合中央金庫法第二十九條又ハ庶民金庫法第十八條ノ規定ニ拘ラズ其ノ資金ヲ運用スルコトヲ得
第十六條 軍需金融機關及協力金融機關ハ軍需金融等特別措置法第十一條若ハ第十四條ノ規定ニ依リ命令ヲ受ケタル場合又ハ第十一條、第十三條若ハ前條ノ場合ニ於テハ銀行法第六條第三號乃至第五號(貯蓄銀行法第二十一條第一項ニ於テ依ル場合ヲ含ム)、貯蓄銀行法第十六條第一項第一號、橫濱正金銀行條例第十八條及第二十六條、日本勸業銀行法第四十五條乃至第四十七條、北海道拓殖銀行法第十八條及第十九條、日本興業銀行法第十九條及第二十一條、信託業法第十五條第一號及第三號、保險業法第十條第一項、農林中央金庫法第二條第一項及第二十六條、商工組合中央金庫法第二條第二項及第四十二條、庶民金庫法第二條第二項及第六條第二項又ハ戰時金融金庫法第九條第二項ノ規定ニ依ル認可ヲ受クルコトヲ要セズ但シ貯蓄銀行法等戰時特例ニ定アル場合ハ同令ニ依ル
前項ノ場合ニ於テハ當該事項ヲ實行シタル後遲滯ナク其ノ旨ヲ主務大臣ニ屆出ヅベシ
第十七條 貯蓄銀行法第九條及第十條(銀行法第十七條第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)、昭和十八年法律第四十三號第二條(第九條ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)竝ニ國民貯蓄組合法第十條ノ規定ハ之ヲ適用セズ
第十八條 主務大臣ハ軍需金融等特別措置法第二十二條第一項ノ規定ニ依リ日本銀行、軍需金融機關又ハ金融統制團體令ニ依ル全國金融統制會ノ職員ヲシテ同項ノ檢査ニ關スル事務ニ從事セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ同項ノ職員ヲシテ檢査ニ關スル事務ニ從事セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第十九條 本令ニ於テ主務大臣トアルハ大藏大臣トス但シ農林中央金庫、商工組合中央金庫、國民更生金庫、都道府縣農業會及市町村農業會ニ付テハ大藏大臣及農商大臣、恩給金庫ニ付テハ內閣總理大臣及大藏大臣、南方開發金庫ニ付テハ大東亞大臣トス
第二十條 軍需金融等特別措置法ニ於テ政府トアルハ同法第十二條第一項及第四項ニ規定スル場合ヲ除クノ外大藏大臣トス但シ同法第九條第二項中政府トアルハ當該事業者ノ營ム事業ノ所管大臣、同法第二十二條第一項中政府トアルハ同條ニ揭グル法律ニ依ル檢査ニ關スル事務ノ主務大臣、農林中央金庫、商工組合中央金庫、國民更生金庫、都道府縣農業會及市町村農業會ニ付テハ大藏大臣及農商大臣、恩給金庫ニ付テハ內閣總理大臣及大藏大臣、南方開發金庫ニ付テハ大東亞大臣トス
大藏大臣軍需金融等特別措置法第二十一條ノ規定ニ依リ事業者ニ對シ命令ヲ爲サントスルトキハ當該事業者ノ營ム事業ノ所管大臣ニ協議スベシ
大東亞大臣軍需金融等特別措置法第二條第一項ノ指定又ハ同法第二十三條ノ取消ヲ爲サントスルトキハ大藏大臣ニ協議スベシ
附 則
本令ハ軍需金融等特別措置法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス但シ第五條ノ規定ハ昭和二十年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
朕軍需金融等特別措置法施行令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十年三月二十日
内閣総理大臣 小磯国昭
海軍大臣 米内光政
大東亜大臣 重光葵
陸軍大臣 杉山元
運輸通信大臣 前田米蔵
司法大臣 松阪広政
農商大臣 島田俊雄
軍需大臣 吉田茂
厚生大臣 相川勝六
大蔵大臣 津島寿一
勅令第百二十六号
軍需金融等特別措置法施行令
第一条 軍需金融等特別措置法第二条第二項ノ規定ニ依リ定ムル金融機関ハ銀行、信託会社、保険会社、無尽会社、農林中央金庫、商工組合中央金庫、恩給金庫、庶民金庫、国民更生金庫、戦時金融金庫、南方開発金庫、都道府県農業会、市町村農業会及市街地信用組合トス
第二条 軍需金融機関(戦時金融金庫ヲ除ク)ハ毎事業年度ニ担当事業者ニ対スル資金ノ融通(国家総動員法第十一条ノ規定ニ基ク命令ニ依ル資金ノ融通及戦時金融金庫ノ保証ニ係ル資金融通ヲ除ク)ニ因ル利息収入金及割引料ノ百分ノ十ヲ積立ツベシ但シ直前ノ事業年度ノ利益配当ノ率ト同率(直前ノ事業年度ノ利益配当ノ率ガ年百分ノ六ニ達セザルトキ又ハ直前ノ事業年度ニ付利益配当ヲ為サズ若ハ設立後最初ノ事業年度ノ利益配当ナルトキハ年百分ノ六)ノ利益配当ヲ為スコトヲ得ザルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ積立ノ割合ヲ減ジ又ハ積立ヲ為サザルコトヲ得
第三条 軍需金融機関ガ軍需金融等特別措置法第十二条第三項ノ規定ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受ケ前条ノ積立金ヲ使用スルコトヲ得ル目的ハ左ノ如シ
一 担当事業者ニ対スル資金ノ融通ニ因リ生ジタル損失ノ填補
二 其ノ他主務大臣ノ指定スル目的
第四条 第二条ノ積立金ハ法人税法ニ依ル所得、営業税法ニ依ル純益及臨時利得税法ニ依ル利益ノ計算上之ヲ益金ニ算入セズ軍需金融機関ガ第二条ノ積立金ヲ前条第一号ノ目的以外ノ目的ニ使用シタルトキ又ハ軍需金融機関ノ解散ノ際第二条ノ積立金アルトキハ其ノ使用シタル金額又ハ積立金ニ相当スル金額ヲ使用ノ日又ハ解散ノ日ノ属スル事業年度ノ益金ニ算入ス
第五条 工場財団其ノ他ノ財団ヲ組成スベキ左ニ掲グル物件ハ軍需金融等特別措置法第十五条第一項ノ規定ニ依リ之ヲ財団目録ニ一括シテ表示スルヲ以テ足ル
一 鉄道抵当法第三条第一項第一号乃至第四号ノ器具機械並ニ同項第六号及第七号ノ物件
二 工場抵当法第十一条第二号ノ物件
三 鉱業抵当法第二条第五号ノ物件
四 明治四十二年法律第二十八号第二条第一項第一号乃至第四号ノ器具機械並ニ同項第六号及第七号ノ物件
五 運河法第十四条第一号乃至第三号及第五号ノ器具機械並ニ同条第六号ノ物件
六 漁業財団抵当法第二条第一項第二号ノ属具及附属設備並ニ同項第五号及第六号ノ物件
七 自動車交通事業法第三十九条第一号乃至第四号ノ器具機械並ニ同条第六号及第七号ノ物件
前項ノ規定ハ地方鉄道株式会社ガ鉄道ニ要スル電気ノ余力ヲ以テ電気供給ノ業ヲ営ム場合ニ於テ其ノ供給ノ為要スル鉄道抵当法第三条第一項第二号乃至第四号ノ器具機械及同項第六号及第七号ノ物件並ニ軌道営業者タル株式会社ガ軌道ニ要スル電気ノ余力ヲ以テ電気供給ノ業ヲ営ム場合ニ於テ其ノ供給ノ為要スル明治四十二年法律第二十八号第二条第一項第二号乃至第四号ノ器具機械及同項第七号ノ物件ニ之ヲ準用ス
前二項ノ規定ニ依リ財団目録ニ一括シテ表示スルヲ以テ足ル物件ニシテ其ノ財団ニ属セシメザルモノアルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ財団目録ニ其ノ旨ヲ記載スルコトヲ要ス
前三項ノ規定ハ工場抵当法第三十九条第一項(鉱業抵当法第三条、漁業財団抵当法第六条及自動車交通事業法第四十七条ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ目録ニ之ヲ準用ス
第六条 軍需金融等特別措置法第十六条第一項ノ規定ニ依リ定ムル金融機関ハ銀行及営業ノ一部ノ譲渡又ハ譲受ノ決議ヲ為シタル無尽会社トシ同項但書ノ規定ニ依リ定ムル債権者ハ積金者及掛金者トス
第七条 軍需金融等特別措置法第十七条ノ規定ニ依リ定ムル金融機関ハ銀行、信託会社無尽会社、商工組合中央金庫、都道府県農業会、市町村農業会及市街地信用組合トス
第八条 社債其ノ他ノ債券ノ発行ヲ為シタル金融機関ハ軍需金融等特別措置法第十八条第一項ノ規定ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ社債其ノ他ノ債券ノ償還ニ付主務大臣ノ定ムル所ニ依リ償還ヲ為スベキ金額ニ相当スル金額ノ社債其ノ他ノ債券ノ買入消却ヲ為スコトヲ得
軍需金融等特別措置法第十八条第二項ノ規定ニ依リ定ムル金融機関ハ銀行及信託会社トス
前二項ノ金融機関ハ軍需金融等特別措置法第十八条ノ規定ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ遅滞ナク之ヲ公告スベシ
第九条 軍需金融機関又ハ軍需金融等特別措置法第十四条ノ規定ニ依リ協力ヲ命ゼラレタル金融機関(以下協力金融機関ト称ス)ハ軍需金融等特別措置法第十一条又ハ第十四条ノ規定ニ基ク主務大臣ノ命令事項ヲ執行スル場合ニ於テハ株主総会ノ決議ヲ要スベキ事項ニ付其ノ手続ヲ経ルコトヲ要セズ此ノ場合ニ於テハ軍需金融機関又ハ協力金融機関ノ業務ヲ執行スル取締役其ノ他ノ役員ハ次回ノ株主総会ニ於テ其ノ旨ヲ報告スベシ
前項ノ規定ハ商法第三百四十三条ニ定ムル決議ヲ要スル事項ニハ之ヲ適用セズ但シ同法第二百四十五条第一項第二号ニ掲グル事項並ニ営業所ノ設置、廃止及移転ニ関スル事項ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第十条 銀行、信託会社、保険会社及無尽会社ニ在リテハ商法第三百四十三条ニ定ムル決議ヲ要スル事項ニ付同法第二百三十九条第一項ニ定ムル決議ニ依ルコトヲ得
前項ノ規定ハ会社ノ目的ノ変更ニ関スル事項ニハ之ヲ適用セズ
第十一条 銀行、信託会社、保険会社及無尽会社ハ直前ノ事業年度ト同率ノ利益配当ヲ為サントスル場合ニ於テ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ定時総会ヲ招集スルコトヲ要セズ
前項ノ場合ニ於テハ主務大臣ノ認可アリタル日ニ商法第二百八十三条第一項ノ承認アリタルモノト看做シ認可ニ関スル書類ハ之ヲ株主総会ノ議事録ト看做ス
第十二条 銀行、信託会社、保険会社及無尽会社ニ在リテハ株主総会ノ招集ハ株主ニ対スル通知ニ代ヘ会日ヨリ三週間前ニ総会ヲ開クベキ旨及会議ノ目的タル事項ヲ公告シテ之ヲ為スコトヲ得
第十三条 日本勧業銀行、北海道拓殖銀行及日本興業銀行ハ担保ヲ徴セズシテ貸付ヲ為シ、債務ノ保証若ハ手形ノ引受ヲ為シ又ハ担当事業者ノ為軍需金融等特別措置法第九条第一項ノ事務ヲ取扱フコトヲ得
日本勧業銀行及貯蓄銀行ハ為替業務ヲ営ムコトヲ得
第十四条 日本勧業銀行、北海道拓殖銀行及日本興業銀行ハ勧業債券、北海道拓殖債券又ハ興業債券ノ償還ニ付抽籤ノ方法ニ依ラザルコトヲ得
第十五条 貯蓄銀行、信託会社、農林中央金庫、商工組合中央金庫及庶民金庫ハ軍需金融等特別措置法第十四条ノ規定ニ基ク主務大臣ノ命令事項ヲ執行スル為必要アルトキハ貯蓄銀行法第十一条乃至第十四条、信託業法第十一条、農林中央金庫法第十五条、商工組合中央金庫法第二十九条又ハ庶民金庫法第十八条ノ規定ニ拘ラズ其ノ資金ヲ運用スルコトヲ得
第十六条 軍需金融機関及協力金融機関ハ軍需金融等特別措置法第十一条若ハ第十四条ノ規定ニ依リ命令ヲ受ケタル場合又ハ第十一条、第十三条若ハ前条ノ場合ニ於テハ銀行法第六条第三号乃至第五号(貯蓄銀行法第二十一条第一項ニ於テ依ル場合ヲ含ム)、貯蓄銀行法第十六条第一項第一号、横浜正金銀行条例第十八条及第二十六条、日本勧業銀行法第四十五条乃至第四十七条、北海道拓殖銀行法第十八条及第十九条、日本興業銀行法第十九条及第二十一条、信託業法第十五条第一号及第三号、保険業法第十条第一項、農林中央金庫法第二条第一項及第二十六条、商工組合中央金庫法第二条第二項及第四十二条、庶民金庫法第二条第二項及第六条第二項又ハ戦時金融金庫法第九条第二項ノ規定ニ依ル認可ヲ受クルコトヲ要セズ但シ貯蓄銀行法等戦時特例ニ定アル場合ハ同令ニ依ル
前項ノ場合ニ於テハ当該事項ヲ実行シタル後遅滞ナク其ノ旨ヲ主務大臣ニ届出ヅベシ
第十七条 貯蓄銀行法第九条及第十条(銀行法第十七条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)、昭和十八年法律第四十三号第二条(第九条ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)並ニ国民貯蓄組合法第十条ノ規定ハ之ヲ適用セズ
第十八条 主務大臣ハ軍需金融等特別措置法第二十二条第一項ノ規定ニ依リ日本銀行、軍需金融機関又ハ金融統制団体令ニ依ル全国金融統制会ノ職員ヲシテ同項ノ検査ニ関スル事務ニ従事セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ同項ノ職員ヲシテ検査ニ関スル事務ニ従事セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ
第十九条 本令ニ於テ主務大臣トアルハ大蔵大臣トス但シ農林中央金庫、商工組合中央金庫、国民更生金庫、都道府県農業会及市町村農業会ニ付テハ大蔵大臣及農商大臣、恩給金庫ニ付テハ内閣総理大臣及大蔵大臣、南方開発金庫ニ付テハ大東亜大臣トス
第二十条 軍需金融等特別措置法ニ於テ政府トアルハ同法第十二条第一項及第四項ニ規定スル場合ヲ除クノ外大蔵大臣トス但シ同法第九条第二項中政府トアルハ当該事業者ノ営ム事業ノ所管大臣、同法第二十二条第一項中政府トアルハ同条ニ掲グル法律ニ依ル検査ニ関スル事務ノ主務大臣、農林中央金庫、商工組合中央金庫、国民更生金庫、都道府県農業会及市町村農業会ニ付テハ大蔵大臣及農商大臣、恩給金庫ニ付テハ内閣総理大臣及大蔵大臣、南方開発金庫ニ付テハ大東亜大臣トス
大蔵大臣軍需金融等特別措置法第二十一条ノ規定ニ依リ事業者ニ対シ命令ヲ為サントスルトキハ当該事業者ノ営ム事業ノ所管大臣ニ協議スベシ
大東亜大臣軍需金融等特別措置法第二条第一項ノ指定又ハ同法第二十三条ノ取消ヲ為サントスルトキハ大蔵大臣ニ協議スベシ
附 則
本令ハ軍需金融等特別措置法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス但シ第五条ノ規定ハ昭和二十年四月一日ヨリ之ヲ施行ス