関東州臨時利得税令
法令番号: 勅令第二百九十七號
公布年月日: 昭和16年3月29日
法令の形式: 勅令
朕關東州臨時利得稅令改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年三月二十八日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
勅令第二百九十七號
關東州臨時利得稅令
第一條 關東州ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル者ハ本令ニ依リ臨時利得稅ヲ納ムル義務アルモノトス
第二條 前條ノ規定ニ該當セザル者關東州ニ資產又ハ營業ヲ有スルトキハ其ノ利得ニ付テノミ臨時利得稅ヲ納ムル義務アルモノトス
第三條 臨時利得稅ハ左ノ利得ニ付之ヲ賦課ス
一 法人ノ利得
二 滿洲國駐箚特命全權大使ノ定ムル營業ニ因ル個人ノ利得(營業利得ト稱ス以下同ジ)
三 船舶(製造中ノ船舶ヲ含ム)又ハ鑛業若ハ砂鑛業ニ關スル權利若ハ設備ノ讓渡ニ因ル個人ノ利得(讓渡利得ト稱ス以下同ジ)
第四條 法人ノ現事業年度ノ利益ガ現事業年度ノ資本金額ニ對シ年百分ノ十ノ割合ヲ乘ジテ算出シタル金額ヲ超過スル場合ニ於テ其ノ超過額ヲ以テ法人ノ利得トス
第五條 法人ノ現事業年度ノ利益ハ現事業年度ノ總益金ヨリ總損金ヲ控除シタル金額ニ依ル但シ相互保險會社及會員組織ノ取引所ニ在リテハ現事業年度ノ剩餘金ニ依ル
法人ガ現事業年度ニ於テ納付シタル又ハ納付スベキ第一種所得稅及臨時利得稅竝ニ當該事業年度ニ於テ納付シタル第二種所得稅ニシテ關東州所得稅令第二十五條ノ規定ニ依リ其ノ額ヲ第一種ノ所得ニ對スル所得稅額ヨリ控除スベキモノハ前項ノ利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入セズ
法人ノ現事業年度開始ノ日前三年以內ニ開始シタル事業年度ニ於テ生ジタル損金ニシテ大使ノ定ムルモノハ現事業年度ノ利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入ス
前二項ノ規定ハ相互保險會社又ハ會員組織ノ取引所ノ剩餘金ノ計算ニ付之ヲ準用ス
關東州ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有セザル法人ノ利益ハ關東州ニ於ケル資產又ハ營業ニ付前四項ノ規定ニ準ジ之ヲ計算ス
第六條 法人ガ事業年度中ニ解散シ又ハ合併ニ因リテ消滅シタル場合ニ於テハ其ノ事業年度ノ始ヨリ解散又ハ合併ニ至ル迄ノ期間ヲ以テ一事業年度ト看做ス
第七條 法人ノ現事業年度ノ資本金額ハ各月末ニ於ケル拂込株式金額、出資金額、基金又ハ醵金及積立金額ノ月割平均ヲ以テ之ヲ計算ス
關東州ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有セザル法人ノ資本金額ハ大使ノ定ムル所ニ依リ之ヲ計算ス
第八條 本令ニ於テ積立金額トハ積立金其ノ他名義ノ何タルヲ問ハズ法人ノ各事業年度ノ利益中其ノ留保シタル金額ヲ謂フ
第一種所得稅及臨時利得稅トシテ納付スベキ金額ハ前項ノ留保シタル金額ニハ之ヲ算入セズ
第九條 合併後存續スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ハ合併ニ因リテ消滅シタル法人ノ利得ニ付臨時利得稅ヲ納ムル義務アルモノトス
第十條 個人ノ利益ガ昭和十三年以前二年ノ平均利益ヲ超過スル場合ニ於テ其ノ超過額ヲ營業利得トス
第十一條 前條ノ規定ニ依リ營業利得ヲ計算スル場合ニ於テ昭和十三年以前二年ノ平均利益ガ七千圓又ハ現年ノ利益ノ三分ノ一ニ相當スル金額ノ何レカ多額ナル一方ノ金額ニ達セザルトキハ其ノ多額ナル一方ノ金額ヲ以テ平均利益トス
第十二條 個人ノ利益ハ前年中ノ總收入金額ヨリ必要ノ經費(收入ヲ得ルニ必要ナル負債ノ利子ヲ含ム以下同ジ)ヲ控除シタル金額ニ依ル
所得稅及臨時利得稅ハ前項ノ必要ノ經費ニ之ヲ算入セズ
相續シタル營業ニ付テハ相續人ガ引續キ之ヲ爲シタルモノト看做シテ其ノ利益ヲ計算ス
營業ヲ讓渡シ又ハ廢止シタル後相續ノ開始アリタル場合ニ於テハ被相續人ノ營業利得ハ相續人ノ營業利得ト看做ス
第十三條 營業ヲ繼續シ又ハ營業繼續ト認ムベキ事實アル個人ニ付テハ大使ノ定ムル所ニ依リ前營業者ノ平均利益ヲ其ノ平均利益ト看做ス
個人ノ營業ノ期間ガ一年未滿ナル場合ニ於ケル平均利益ノ計算ニ付テハ大使之ヲ定ム
第十四條 個人ノ利益ガ一萬圓未滿ナルトキハ營業利得ニ對スル臨時利得稅ヲ課セズ
第十五條 讓渡利得ハ船舶又ハ鑛業若ハ砂鑛業ニ關スル權利若ハ設備ノ讓渡ニ因ル收入金額ヨリ取得價額、設備費、改良費及讓渡ニ關スル必要ノ經費ヲ控除シタル金額ニ依ル
船舶又ハ鑛業若ハ砂鑛業ニ關スル權利若ハ設備ニシテ昭和十二年六月三十日以前ニ取得シタルモノニ付テハ同日ニ於ケル價額ヲ以テ前項ノ取得價額トシ同日後ニ爲シタル設備又ハ改良ニ要シタル費用ノミヲ以テ前項ノ設備費又ハ改良費トス
前二項ノ計算ニ關シテハ相續、贈與又ハ遺贈ニ因リ取得シタルモノハ相續人、受贈者又ハ受遺者ガ引續キ之ヲ有シタルモノト看做シ讓渡後相續ノ開始アリタル場合ニ於テハ被相續人ノ爲シタル讓渡ハ之ヲ相續人ノ爲シタル讓渡ト看做ス
前三項ニ定ムルモノノ外讓渡利得ノ計算ニ關シ必要ナル事項ハ大使之ヲ定ム
第十六條 讓渡利得ニ付テハ其ノ利得ノ金額ヨリ二千圓ヲ控除ス
第十七條 營利ヲ目的トセザル法人ニシテ關東州所得稅令其ノ他ノ命令ニ依リ所得稅ヲ課セラレザルモノニハ臨時利得稅ヲ課セズ
第十八條 個人ノ自己ノ收獲シタル農產物、林產物、畜產物若ハ水產物ノ販賣又ハ之ヲ原料トスル製造ノ利益ニ付テハ本令ヲ適用セズ但シ特ニ營業場ヲ設ケテ爲ス販賣又ハ製造ノ利益ハ此ノ限ニ在ラズ
第十九條 船舶ノ讓渡ニ因ル利益ニシテ第十條ノ個人ノ利益ニ屬スルモノ及昭和十六年一月一日以後ニ於テ設定セラレタル鑛業又ハ砂鑛業ニ關スル權利ニシテ大使ノ定ムルモノノ讓渡ニ付テハ本令中讓渡利得ニ關スル規定ヲ適用セズ
第二十條 法人ノ臨時利得稅ハ法人ノ利得ヲ左ノ部分ニ區分シ各部分ニ付左ノ稅率ヲ適用シテ之ヲ賦課ス
一 利益金額中現事業年度ノ資本金額ニ年百分ノ十ノ割合ヲ乘ジテ算出シタル金額ヲ超エ現事業年度ノ資本金額ニ旣往事業年度ノ平均利益率ヲ乘ジテ算出シタル金額以下ノ金額ヨリ成ル部分ノ利得 利得金額ノ百分ノ十六
二 利益金額中現事業年度ノ資本金額ニ旣往事業年度ノ平均利益率ヲ乘ジテ算出シタル金額ヲ超エ現事業年度ノ資本金額ニ年百分ノ三十ノ割合ヲ乘ジテ算出シタル金額以下ノ金額ヨリ成ル部分ノ利得 利得金額ノ百分ノ三十
三 利益金額中現事業年度ノ資本金額ニ對シ年百分ノ三十ノ割合ヲ乘ジテ算出シタル金額ヲ超ユル金額ヨリ成ル部分ノ利得 利得金額ノ百分ノ四十五
現事業年度ノ資本金額十萬圓以下ナル法人ニ限リ前項ニ規定スル稅率百分ノ十六ハ之ヲ百分ノ六トシ同百分ノ三十ハ之ヲ百分ノ二十トシ同百分ノ四十五ハ之ヲ百分ノ三十五トス
第二十一條 前條ノ規定ニ依リ現事業年度ノ資本金額ニ乘ズベキ旣往事業年度ノ平均利益率ハ昭和十一年十二月三十一日以前三年以內ニ終了シタル事業年度ノ全部ノ平均利益ノ平均資本金額ニ對スル割合トス但シ其ノ割合ガ年百分ノ十未滿ナルトキ又ハ法人ノ第一次事業年度ガ昭和十二年一月一日以後ニ終了シタルトキハ其ノ割合ヲ年百分ノ十トシ其ノ割合ガ年百分ノ二十ヲ超ユルトキハ之ヲ年百分ノ二十トス
第五條(第三項ヲ除ク)乃至第七條及第八條第一項ノ規定ハ前項ノ平均利益及平均資本金額算出ノ基礎タル昭和十一年十二月三十一日以前三年以內ニ終了シタル各事業年度ノ利益及資本金額ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第二十二條 前條第一項ノ規定ニ依ル旣往事業年度ノ平均利益率ガ年百分ノ十ノ割合ヲ超ユル場合ニ於テ現事業年度ノ資本金額中ニ增加資本金額アルトキハ同項ノ規定ニ拘ラズ現事業年度ノ資本金額中增加資本金額ニ年百分ノ十ノ割合ヲ乘ジテ算出シタル金額ト增加資本金額以外ノ部分ニ同項ノ規定ニ依ル旣往事業年度ノ平均利益率ニ相當スル割合ヲ乘ジテ算出シタル金額トノ合計額ノ現事業年度ノ資本金額ニ對スル割合ヲ以テ旣往事業年度ノ平均利益率トス
前項ノ增加資本金額トハ現事業年度ノ資本金額ガ昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額又ハ同日以前三年以內ニ終了シタル事業年度ノ全部ノ平均資本金額ノ何レカ多額ナル一方ノ金額ヲ超過スル場合ニ於ケル其ノ超過額ヲ謂フ
昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額ハ同日ニ於ケル拂込株式金額、出資金額、基金又ハ醵金及積立金額ニ依リ之ヲ計算ス
第七條第二項ノ規定ハ前項ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第二十三條 法人合併ヲ爲シタル場合ニ於テ合併後存續スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ノ昭和十一年十二月三十一日以前三年以內ニ終了シタル事業年度ノ全部ノ平均利益及平均資本金額竝ニ昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額ハ大使ノ定ムル所ニ依リ之ヲ計算ス
第二十四條 個人ノ臨時利得稅ハ左ノ稅率ニ依リ之ヲ賦課ス
營業利得 利得金額ノ百分ノ二十
讓渡利得 利得金額ノ百分ノ十六
第二十五條 納稅義務アル法人ハ大使ノ定ムル所ニ依リ利得金額ヲ政府ニ申吿スベシ
第二十六條 營業利得ニ付納稅義務アル個人ハ大使ノ定ムル所ニ依リ每年三月十五日迄ニ利得金額ヲ政府ニ申吿スベシ
讓渡利得ニ付納稅義務アル個人ハ大使ノ定ムル所ニ依リ利得金額ヲ政府ニ申吿スベシ
第二十七條 法人ノ利得金額ハ第二十五條ノ申吿ニ依リ、申吿ナキトキ又ハ申吿ヲ不相當ト認ムルトキハ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定シ營業利得ノ金額ハ關東州所得稅令ノ所得調査委員會ニ諮問シ政府ニ於テ之ヲ決定ス
所得調査委員會閉會後營業利得ノ金額ノ決定ニ付脫漏アルコトヲ發見シタルトキハ其ノ決定ヲ爲スベカリシ年ノ翌年以後ニ於ケル所得調査委員會ニ諮問シ政府ニ於テ其ノ利得金額ヲ決定スルコトヲ得
所得調査委員會閉會後營業利得ニ付納稅義務アルコトヲ申出デ又ハ利得金額ノ增加アルコトヲ申出デタルトキハ前二項ノ規定ニ拘ラズ政府ニ於テ其ノ利得金額ヲ決定ス
讓渡利得金額ハ前條第二項ノ申吿ニ依リ、申吿ナキトキ又ハ申吿ヲ不相當ト認ムルトキハ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
第二十八條 關東州所得稅令第三十八條ノ規定ハ營業利得金額ノ決定ニ付之ヲ準用ス
第二十九條 第二十七條又ハ前條ノ規定ニ依リ利得金額ヲ決定シタルトキハ政府ハ之ヲ納稅義務者ニ通知スベシ
第三十條 納稅義務者前條ノ規定ニ依リ政府ノ通知シタル利得金額ニ對シテ異議アルトキハ通知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ不服ノ事由ヲ具シ政府ニ審査ノ請求ヲ爲スコトヲ得
前項ノ請求アリタル場合ト雖モ政府ハ稅金ノ徵收ヲ猶豫セズ
第三十一條 前條第一項ノ請求アリタルトキハ關東州所得稅令ノ所得審査委員會ニ諮問シ政府ニ於テ之ヲ決定ス
關東州所得稅令第四十五條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三十二條 法人ノ利得ニ付テハ事業年度每ニ臨時利得稅ヲ徵收ス
營業利得ニ付テハ臨時利得稅ノ年額ヲ三分シ左ノ三期ニ於テ之ヲ徵收ス但シ納稅義務者納稅管理人ノ申吿ヲ爲サズシテ關東州外ニ住所又ハ居所ヲ移ストキハ直ニ其ノ臨時利得稅ヲ徵收スルコトヲ得
第一期 其ノ年九月一日ヨリ三十日限
第二期 其ノ年十一月一日ヨリ三十日限
第三期 翌年二月一日ヨリ末日限
讓渡利得ニ付テハ船舶又ハ鑛業若ハ砂鑛業ニ關スル權利若ハ設備ノ讓渡ノ際臨時利得稅ヲ徵收ス
第三十三條 稅務署長若ハ民政署長又ハ其ノ代理官ハ調査上必要アルトキハ納稅義務者又ハ納稅義務アリト認ムル者ニ質問ヲ爲シ又ハ其ノ營業ニ關スル帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査スルコトヲ得
第三十四條 詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ臨時利得稅ヲ逋脫シタル者ハ其ノ逋脫シタル稅金ノ三倍ニ相當スル罰金又ハ科料ニ處ス但シ自首シタル者又ハ稅務署長若ハ民政署長ニ申出デタル者ハ其ノ罪ヲ問ハズ
前項ノ場合ニ於テ營業利得ニ付臨時利得稅ヲ逋脫シタル者ノ利得金額ハ第二十七條第二項ノ規定ニ拘ラズ政府ニ於テ之ヲ決定シ直ニ其ノ稅金ヲ徵收ス
第三十五條 第三十三條ノ規定ニ依ル帳簿書類其ノ他ノ物件ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ虛僞ノ記載ヲ爲シタル帳簿書類ヲ呈示シタル者ハ五百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第三十六條 臨時利得稅ノ調査又ハ審査ノ事務ニ從事シ又ハ從事シタル者其ノ調査又ハ審査ニ關シ知得タル祕密ヲ正當ノ事由ナクシテ漏洩シタルトキハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十七條 大正十一年勅令第二百號第一條ノ規定ハ第三十五條又ハ前條ノ罪ヲ犯シタル者ニ付テハ之ヲ適用セズ
第三十八條 關東州所得稅令第三十一條第四項、第四十二條、第四十三條第二項、第四十八條、第五十三條及第五十五條乃至第五十七條ノ規定ハ臨時利得稅ニ付之ヲ準用ス
第三十九條 臨時利得稅法施行地、朝鮮、臺灣又ハ樺太ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ノ利得ニ付テハ臨時利得稅ヲ課セズ
第九條ノ規定ハ臨時利得稅法施行地、朝鮮、臺灣又ハ樺太ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ガ臨時利得稅法施行地、朝鮮、臺灣、樺太又ハ關東州ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ト合併ヲ爲シタル場合ニ於テ合併後存續スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ガ關東州ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル場合ニ付之ヲ準用ス
臨時利得稅法施行地、朝鮮、臺灣又ハ樺太ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ利得ニ付テハ大使ノ定ムル所ニ依リ臨時利得稅ヲ課セズ
第四十條 關東州所得稅令第二十三條ノ規定ニ依リ所得稅ヲ免除セラルル所得ニ付テハ本令ヲ適用セズ
第四十一條 本令ニ於テハ法人ニ非ザル社團モ亦之ヲ法人ト看做ス
前項ノ社團其ノ財產ヲ以テ臨時利得稅ヲ完納スルコト能ハザルトキハ其ノ稅金ニ付社員連帶シテ納稅ノ義務アルモノトス
第四十二條 市、會其ノ他ノ公共團體ハ臨時利得稅ノ附加稅ヲ課スルコトヲ得ズ
附 則
本令ハ昭和十六年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
法人ニ非ザル社團ノ利得ニ對スル臨時利得稅ニ付テハ昭和十六年四月一日以後ニ終了スル事業年度分ヨリ本令ヲ適用ス
營業利得ニ對スル臨時利得稅ニ付テハ昭和十六年分ヨリ本令ヲ適用ス
讓渡利得ニ對スル臨時利得稅ニ付テハ昭和十六年一月一日以後ノ讓渡ニ因ル利得ニ對シ本令ヲ適用ス
本令ニ依ル臨時利得稅ノ賦課ハ法人ニ付テハ支那事變終了ノ年ノ翌年十二月三十一日迄ニ終了スル事業年度分限リ、營業利得ニ付テハ支那事變終了ノ年ノ翌年分限リ、讓渡利得ニ付テハ支那事變終了ノ年ノ翌年十二月三十一日迄ノ讓渡ニ因ル利得ニ對スル分限リトス
第二十六條ノ改正規定中三月十五日トアルハ昭和十六年分ニ限リ四月二十五日トス
昭和十五年一月一日ヨリ昭和十六年一月一日ニ至ル期間引續キ爲シタルニ非ザル營業ニ因ル個人ノ利得ニ付テハ政府ハ大使ノ定ムル所ニ依リ昭和十六年分ニ限リ臨時利得稅ヲ免除スルコトヲ得
朕関東州臨時利得税令改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年三月二十八日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
勅令第二百九十七号
関東州臨時利得税令
第一条 関東州ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル者ハ本令ニ依リ臨時利得税ヲ納ムル義務アルモノトス
第二条 前条ノ規定ニ該当セザル者関東州ニ資産又ハ営業ヲ有スルトキハ其ノ利得ニ付テノミ臨時利得税ヲ納ムル義務アルモノトス
第三条 臨時利得税ハ左ノ利得ニ付之ヲ賦課ス
一 法人ノ利得
二 満洲国駐箚特命全権大使ノ定ムル営業ニ因ル個人ノ利得(営業利得ト称ス以下同ジ)
三 船舶(製造中ノ船舶ヲ含ム)又ハ鉱業若ハ砂鉱業ニ関スル権利若ハ設備ノ譲渡ニ因ル個人ノ利得(譲渡利得ト称ス以下同ジ)
第四条 法人ノ現事業年度ノ利益ガ現事業年度ノ資本金額ニ対シ年百分ノ十ノ割合ヲ乗ジテ算出シタル金額ヲ超過スル場合ニ於テ其ノ超過額ヲ以テ法人ノ利得トス
第五条 法人ノ現事業年度ノ利益ハ現事業年度ノ総益金ヨリ総損金ヲ控除シタル金額ニ依ル但シ相互保険会社及会員組織ノ取引所ニ在リテハ現事業年度ノ剰余金ニ依ル
法人ガ現事業年度ニ於テ納付シタル又ハ納付スベキ第一種所得税及臨時利得税並ニ当該事業年度ニ於テ納付シタル第二種所得税ニシテ関東州所得税令第二十五条ノ規定ニ依リ其ノ額ヲ第一種ノ所得ニ対スル所得税額ヨリ控除スベキモノハ前項ノ利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入セズ
法人ノ現事業年度開始ノ日前三年以内ニ開始シタル事業年度ニ於テ生ジタル損金ニシテ大使ノ定ムルモノハ現事業年度ノ利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入ス
前二項ノ規定ハ相互保険会社又ハ会員組織ノ取引所ノ剰余金ノ計算ニ付之ヲ準用ス
関東州ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有セザル法人ノ利益ハ関東州ニ於ケル資産又ハ営業ニ付前四項ノ規定ニ準ジ之ヲ計算ス
第六条 法人ガ事業年度中ニ解散シ又ハ合併ニ因リテ消滅シタル場合ニ於テハ其ノ事業年度ノ始ヨリ解散又ハ合併ニ至ル迄ノ期間ヲ以テ一事業年度ト看做ス
第七条 法人ノ現事業年度ノ資本金額ハ各月末ニ於ケル払込株式金額、出資金額、基金又ハ醵金及積立金額ノ月割平均ヲ以テ之ヲ計算ス
関東州ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有セザル法人ノ資本金額ハ大使ノ定ムル所ニ依リ之ヲ計算ス
第八条 本令ニ於テ積立金額トハ積立金其ノ他名義ノ何タルヲ問ハズ法人ノ各事業年度ノ利益中其ノ留保シタル金額ヲ謂フ
第一種所得税及臨時利得税トシテ納付スベキ金額ハ前項ノ留保シタル金額ニハ之ヲ算入セズ
第九条 合併後存続スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ハ合併ニ因リテ消滅シタル法人ノ利得ニ付臨時利得税ヲ納ムル義務アルモノトス
第十条 個人ノ利益ガ昭和十三年以前二年ノ平均利益ヲ超過スル場合ニ於テ其ノ超過額ヲ営業利得トス
第十一条 前条ノ規定ニ依リ営業利得ヲ計算スル場合ニ於テ昭和十三年以前二年ノ平均利益ガ七千円又ハ現年ノ利益ノ三分ノ一ニ相当スル金額ノ何レカ多額ナル一方ノ金額ニ達セザルトキハ其ノ多額ナル一方ノ金額ヲ以テ平均利益トス
第十二条 個人ノ利益ハ前年中ノ総収入金額ヨリ必要ノ経費(収入ヲ得ルニ必要ナル負債ノ利子ヲ含ム以下同ジ)ヲ控除シタル金額ニ依ル
所得税及臨時利得税ハ前項ノ必要ノ経費ニ之ヲ算入セズ
相続シタル営業ニ付テハ相続人ガ引続キ之ヲ為シタルモノト看做シテ其ノ利益ヲ計算ス
営業ヲ譲渡シ又ハ廃止シタル後相続ノ開始アリタル場合ニ於テハ被相続人ノ営業利得ハ相続人ノ営業利得ト看做ス
第十三条 営業ヲ継続シ又ハ営業継続ト認ムベキ事実アル個人ニ付テハ大使ノ定ムル所ニ依リ前営業者ノ平均利益ヲ其ノ平均利益ト看做ス
個人ノ営業ノ期間ガ一年未満ナル場合ニ於ケル平均利益ノ計算ニ付テハ大使之ヲ定ム
第十四条 個人ノ利益ガ一万円未満ナルトキハ営業利得ニ対スル臨時利得税ヲ課セズ
第十五条 譲渡利得ハ船舶又ハ鉱業若ハ砂鉱業ニ関スル権利若ハ設備ノ譲渡ニ因ル収入金額ヨリ取得価額、設備費、改良費及譲渡ニ関スル必要ノ経費ヲ控除シタル金額ニ依ル
船舶又ハ鉱業若ハ砂鉱業ニ関スル権利若ハ設備ニシテ昭和十二年六月三十日以前ニ取得シタルモノニ付テハ同日ニ於ケル価額ヲ以テ前項ノ取得価額トシ同日後ニ為シタル設備又ハ改良ニ要シタル費用ノミヲ以テ前項ノ設備費又ハ改良費トス
前二項ノ計算ニ関シテハ相続、贈与又ハ遺贈ニ因リ取得シタルモノハ相続人、受贈者又ハ受遺者ガ引続キ之ヲ有シタルモノト看做シ譲渡後相続ノ開始アリタル場合ニ於テハ被相続人ノ為シタル譲渡ハ之ヲ相続人ノ為シタル譲渡ト看做ス
前三項ニ定ムルモノノ外譲渡利得ノ計算ニ関シ必要ナル事項ハ大使之ヲ定ム
第十六条 譲渡利得ニ付テハ其ノ利得ノ金額ヨリ二千円ヲ控除ス
第十七条 営利ヲ目的トセザル法人ニシテ関東州所得税令其ノ他ノ命令ニ依リ所得税ヲ課セラレザルモノニハ臨時利得税ヲ課セズ
第十八条 個人ノ自己ノ収獲シタル農産物、林産物、畜産物若ハ水産物ノ販売又ハ之ヲ原料トスル製造ノ利益ニ付テハ本令ヲ適用セズ但シ特ニ営業場ヲ設ケテ為ス販売又ハ製造ノ利益ハ此ノ限ニ在ラズ
第十九条 船舶ノ譲渡ニ因ル利益ニシテ第十条ノ個人ノ利益ニ属スルモノ及昭和十六年一月一日以後ニ於テ設定セラレタル鉱業又ハ砂鉱業ニ関スル権利ニシテ大使ノ定ムルモノノ譲渡ニ付テハ本令中譲渡利得ニ関スル規定ヲ適用セズ
第二十条 法人ノ臨時利得税ハ法人ノ利得ヲ左ノ部分ニ区分シ各部分ニ付左ノ税率ヲ適用シテ之ヲ賦課ス
一 利益金額中現事業年度ノ資本金額ニ年百分ノ十ノ割合ヲ乗ジテ算出シタル金額ヲ超エ現事業年度ノ資本金額ニ既往事業年度ノ平均利益率ヲ乗ジテ算出シタル金額以下ノ金額ヨリ成ル部分ノ利得 利得金額ノ百分ノ十六
二 利益金額中現事業年度ノ資本金額ニ既往事業年度ノ平均利益率ヲ乗ジテ算出シタル金額ヲ超エ現事業年度ノ資本金額ニ年百分ノ三十ノ割合ヲ乗ジテ算出シタル金額以下ノ金額ヨリ成ル部分ノ利得 利得金額ノ百分ノ三十
三 利益金額中現事業年度ノ資本金額ニ対シ年百分ノ三十ノ割合ヲ乗ジテ算出シタル金額ヲ超ユル金額ヨリ成ル部分ノ利得 利得金額ノ百分ノ四十五
現事業年度ノ資本金額十万円以下ナル法人ニ限リ前項ニ規定スル税率百分ノ十六ハ之ヲ百分ノ六トシ同百分ノ三十ハ之ヲ百分ノ二十トシ同百分ノ四十五ハ之ヲ百分ノ三十五トス
第二十一条 前条ノ規定ニ依リ現事業年度ノ資本金額ニ乗ズベキ既往事業年度ノ平均利益率ハ昭和十一年十二月三十一日以前三年以内ニ終了シタル事業年度ノ全部ノ平均利益ノ平均資本金額ニ対スル割合トス但シ其ノ割合ガ年百分ノ十未満ナルトキ又ハ法人ノ第一次事業年度ガ昭和十二年一月一日以後ニ終了シタルトキハ其ノ割合ヲ年百分ノ十トシ其ノ割合ガ年百分ノ二十ヲ超ユルトキハ之ヲ年百分ノ二十トス
第五条(第三項ヲ除ク)乃至第七条及第八条第一項ノ規定ハ前項ノ平均利益及平均資本金額算出ノ基礎タル昭和十一年十二月三十一日以前三年以内ニ終了シタル各事業年度ノ利益及資本金額ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第二十二条 前条第一項ノ規定ニ依ル既往事業年度ノ平均利益率ガ年百分ノ十ノ割合ヲ超ユル場合ニ於テ現事業年度ノ資本金額中ニ増加資本金額アルトキハ同項ノ規定ニ拘ラズ現事業年度ノ資本金額中増加資本金額ニ年百分ノ十ノ割合ヲ乗ジテ算出シタル金額ト増加資本金額以外ノ部分ニ同項ノ規定ニ依ル既往事業年度ノ平均利益率ニ相当スル割合ヲ乗ジテ算出シタル金額トノ合計額ノ現事業年度ノ資本金額ニ対スル割合ヲ以テ既往事業年度ノ平均利益率トス
前項ノ増加資本金額トハ現事業年度ノ資本金額ガ昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額又ハ同日以前三年以内ニ終了シタル事業年度ノ全部ノ平均資本金額ノ何レカ多額ナル一方ノ金額ヲ超過スル場合ニ於ケル其ノ超過額ヲ謂フ
昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額ハ同日ニ於ケル払込株式金額、出資金額、基金又ハ醵金及積立金額ニ依リ之ヲ計算ス
第七条第二項ノ規定ハ前項ノ計算ニ付之ヲ準用ス
第二十三条 法人合併ヲ為シタル場合ニ於テ合併後存続スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ノ昭和十一年十二月三十一日以前三年以内ニ終了シタル事業年度ノ全部ノ平均利益及平均資本金額並ニ昭和十一年十二月三十一日ニ於ケル資本金額ハ大使ノ定ムル所ニ依リ之ヲ計算ス
第二十四条 個人ノ臨時利得税ハ左ノ税率ニ依リ之ヲ賦課ス
営業利得 利得金額ノ百分ノ二十
譲渡利得 利得金額ノ百分ノ十六
第二十五条 納税義務アル法人ハ大使ノ定ムル所ニ依リ利得金額ヲ政府ニ申告スベシ
第二十六条 営業利得ニ付納税義務アル個人ハ大使ノ定ムル所ニ依リ毎年三月十五日迄ニ利得金額ヲ政府ニ申告スベシ
譲渡利得ニ付納税義務アル個人ハ大使ノ定ムル所ニ依リ利得金額ヲ政府ニ申告スベシ
第二十七条 法人ノ利得金額ハ第二十五条ノ申告ニ依リ、申告ナキトキ又ハ申告ヲ不相当ト認ムルトキハ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定シ営業利得ノ金額ハ関東州所得税令ノ所得調査委員会ニ諮問シ政府ニ於テ之ヲ決定ス
所得調査委員会閉会後営業利得ノ金額ノ決定ニ付脱漏アルコトヲ発見シタルトキハ其ノ決定ヲ為スベカリシ年ノ翌年以後ニ於ケル所得調査委員会ニ諮問シ政府ニ於テ其ノ利得金額ヲ決定スルコトヲ得
所得調査委員会閉会後営業利得ニ付納税義務アルコトヲ申出デ又ハ利得金額ノ増加アルコトヲ申出デタルトキハ前二項ノ規定ニ拘ラズ政府ニ於テ其ノ利得金額ヲ決定ス
譲渡利得金額ハ前条第二項ノ申告ニ依リ、申告ナキトキ又ハ申告ヲ不相当ト認ムルトキハ政府ノ調査ニ依リ政府ニ於テ之ヲ決定ス
第二十八条 関東州所得税令第三十八条ノ規定ハ営業利得金額ノ決定ニ付之ヲ準用ス
第二十九条 第二十七条又ハ前条ノ規定ニ依リ利得金額ヲ決定シタルトキハ政府ハ之ヲ納税義務者ニ通知スベシ
第三十条 納税義務者前条ノ規定ニ依リ政府ノ通知シタル利得金額ニ対シテ異議アルトキハ通知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以内ニ不服ノ事由ヲ具シ政府ニ審査ノ請求ヲ為スコトヲ得
前項ノ請求アリタル場合ト雖モ政府ハ税金ノ徴収ヲ猶予セズ
第三十一条 前条第一項ノ請求アリタルトキハ関東州所得税令ノ所得審査委員会ニ諮問シ政府ニ於テ之ヲ決定ス
関東州所得税令第四十五条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三十二条 法人ノ利得ニ付テハ事業年度毎ニ臨時利得税ヲ徴収ス
営業利得ニ付テハ臨時利得税ノ年額ヲ三分シ左ノ三期ニ於テ之ヲ徴収ス但シ納税義務者納税管理人ノ申告ヲ為サズシテ関東州外ニ住所又ハ居所ヲ移ストキハ直ニ其ノ臨時利得税ヲ徴収スルコトヲ得
第一期 其ノ年九月一日ヨリ三十日限
第二期 其ノ年十一月一日ヨリ三十日限
第三期 翌年二月一日ヨリ末日限
譲渡利得ニ付テハ船舶又ハ鉱業若ハ砂鉱業ニ関スル権利若ハ設備ノ譲渡ノ際臨時利得税ヲ徴収ス
第三十三条 税務署長若ハ民政署長又ハ其ノ代理官ハ調査上必要アルトキハ納税義務者又ハ納税義務アリト認ムル者ニ質問ヲ為シ又ハ其ノ営業ニ関スル帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ検査スルコトヲ得
第三十四条 詐偽其ノ他不正ノ行為ニ依リ臨時利得税ヲ逋脱シタル者ハ其ノ逋脱シタル税金ノ三倍ニ相当スル罰金又ハ科料ニ処ス但シ自首シタル者又ハ税務署長若ハ民政署長ニ申出デタル者ハ其ノ罪ヲ問ハズ
前項ノ場合ニ於テ営業利得ニ付臨時利得税ヲ逋脱シタル者ノ利得金額ハ第二十七条第二項ノ規定ニ拘ラズ政府ニ於テ之ヲ決定シ直ニ其ノ税金ヲ徴収ス
第三十五条 第三十三条ノ規定ニ依ル帳簿書類其ノ他ノ物件ノ検査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ虚偽ノ記載ヲ為シタル帳簿書類ヲ呈示シタル者ハ五百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
第三十六条 臨時利得税ノ調査又ハ審査ノ事務ニ従事シ又ハ従事シタル者其ノ調査又ハ審査ニ関シ知得タル秘密ヲ正当ノ事由ナクシテ漏洩シタルトキハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
第三十七条 大正十一年勅令第二百号第一条ノ規定ハ第三十五条又ハ前条ノ罪ヲ犯シタル者ニ付テハ之ヲ適用セズ
第三十八条 関東州所得税令第三十一条第四項、第四十二条、第四十三条第二項、第四十八条、第五十三条及第五十五条乃至第五十七条ノ規定ハ臨時利得税ニ付之ヲ準用ス
第三十九条 臨時利得税法施行地、朝鮮、台湾又ハ樺太ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ノ利得ニ付テハ臨時利得税ヲ課セズ
第九条ノ規定ハ臨時利得税法施行地、朝鮮、台湾又ハ樺太ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ガ臨時利得税法施行地、朝鮮、台湾、樺太又ハ関東州ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ト合併ヲ為シタル場合ニ於テ合併後存続スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ガ関東州ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル場合ニ付之ヲ準用ス
臨時利得税法施行地、朝鮮、台湾又ハ樺太ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ利得ニ付テハ大使ノ定ムル所ニ依リ臨時利得税ヲ課セズ
第四十条 関東州所得税令第二十三条ノ規定ニ依リ所得税ヲ免除セラルル所得ニ付テハ本令ヲ適用セズ
第四十一条 本令ニ於テハ法人ニ非ザル社団モ亦之ヲ法人ト看做ス
前項ノ社団其ノ財産ヲ以テ臨時利得税ヲ完納スルコト能ハザルトキハ其ノ税金ニ付社員連帯シテ納税ノ義務アルモノトス
第四十二条 市、会其ノ他ノ公共団体ハ臨時利得税ノ附加税ヲ課スルコトヲ得ズ
附 則
本令ハ昭和十六年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
法人ニ非ザル社団ノ利得ニ対スル臨時利得税ニ付テハ昭和十六年四月一日以後ニ終了スル事業年度分ヨリ本令ヲ適用ス
営業利得ニ対スル臨時利得税ニ付テハ昭和十六年分ヨリ本令ヲ適用ス
譲渡利得ニ対スル臨時利得税ニ付テハ昭和十六年一月一日以後ノ譲渡ニ因ル利得ニ対シ本令ヲ適用ス
本令ニ依ル臨時利得税ノ賦課ハ法人ニ付テハ支那事変終了ノ年ノ翌年十二月三十一日迄ニ終了スル事業年度分限リ、営業利得ニ付テハ支那事変終了ノ年ノ翌年分限リ、譲渡利得ニ付テハ支那事変終了ノ年ノ翌年十二月三十一日迄ノ譲渡ニ因ル利得ニ対スル分限リトス
第二十六条ノ改正規定中三月十五日トアルハ昭和十六年分ニ限リ四月二十五日トス
昭和十五年一月一日ヨリ昭和十六年一月一日ニ至ル期間引続キ為シタルニ非ザル営業ニ因ル個人ノ利得ニ付テハ政府ハ大使ノ定ムル所ニ依リ昭和十六年分ニ限リ臨時利得税ヲ免除スルコトヲ得