朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ小學校令改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年二月二十八日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
文部大臣 橋田邦彦
勅令第百四十八號
國民學校令
第一章 目的
第一條 國民學校ハ皇國ノ道ニ則リテ初等普通敎育ヲ施シ國民ノ基礎的鍊成ヲ爲スヲ以テ目的トス
第二章 課程及編制
第二條 國民學校ニ初等科及高等科ヲ置ク但シ土地ノ情況ニ依リ初等科又ハ高等科ノミヲ置クコトヲ得
第三條 初等科ノ修業年限ハ六年トシ高等科ノ修業年限ハ二年トス
第四條 國民學校ノ敎科ハ初等科及高等科ヲ通ジ國民科、理數科、體鍊科及藝能科トシ高等科ニ在リテハ實業科ヲ加フ
國民科ハ之ヲ分チテ修身、國語、國史及地理ノ科目トス
理數科ハ之ヲ分チテ算數及理科ノ科目トス
體鍊科ハ之ヲ分チテ體操及武道ノ科目トス但シ女兒ニ付テハ武道ヲ缺クコトヲ得
藝能科ハ之ヲ分チテ音樂、習字、圖畫及工作ノ科目トシ初等科ノ女兒ニ付テハ裁縫ノ科目ヲ、高等科ノ女兒ニ付テハ家事及裁縫ノ科目ヲ加フ
實業科ハ之ヲ分チテ農業、工業、商業又ハ水產ノ科目トス
前五項ニ揭グル科目ノ外高等科ニ於テハ外國語其ノ他必要ナル科目ヲ設クルコトヲ得
第五條 國民學校ニハ高等科ヲ修了シタル者ノ爲ニ特修科ヲ置クコトヲ得其ノ修業年限ハ一年トス
特修科ヲ設置シ又ハ廢止セントスルトキハ市町村、市町村學校組合又ハ町村學校組合ニ於テ地方長官ノ認可ヲ受クベシ
特修科ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第六條 國民學校ノ敎科用圖書ハ文部省ニ於テ著作權ヲ有スルモノタルベシ但シ鄕土ニ關スル圖書、歌詞、樂譜等ニ關シ文部大臣ニ於テ別段ノ規定ヲ設ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第七條 國民學校ノ敎則及編制ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第三章 就學
第八條 保護者(兒童ニ對シ親權ヲ行フ者、親權ヲ行フ者ナキトキハ後見人又ハ後見人ノ職務ヲ行フ者ヲ謂フ以下同ジ)ハ兒童ノ滿六歲ニ達シタル日ノ翌日以後ニ於ケル最初ノ學年ノ始ヨリ滿十四歲ニ達シタル日ノ屬スル學年ノ終迄之ヲ國民學校ニ就學セシムルノ義務ヲ負フ
第九條 前條ノ規定ニ依リ就學セシメラルベキ兒童(學齡兒童ト稱ス以下同ジ)ノ瘋癲白痴又ハ不具癈疾ノ爲之ヲ就學セシムルコト能ハズト認ムルトキハ市町村長ハ地方長官ノ認可ヲ受ケ前條ニ規定スル保護者ノ義務ヲ免除スルコトヲ得
學齡兒童ノ病弱又ハ發育不完全其ノ他已ムヲ得ザル事由ニ因リ就學時期ニ於テ之ヲ就學セシムルコト能ハズト認ムルトキハ市町村長ハ其ノ就學ヲ猶豫スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ直ニ其ノ旨地方長官ニ報吿スベシ
第十條 第二十八條ノ規定ニ依リ國民學校設置ノ義務ヲ免ゼラレタル區域內ノ學齡兒童ノ保護者ハ第八條ニ規定スル保護者ノ義務ヲ免除セラレタルモノトス
第十一條 學齡兒童國民學校以外ノ學校ニ於テ國民學校ノ課程ト同等以上ト認ムル課程ヲ修ムルトキハ第八條ニ規定スル保護者ノ義務ノ履行ニ關シテハ其ノ期間國民學校ニ就學スルモノト看做ス
前項ノ課程ノ認定ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第十二條 學齡兒童ヲ使用スル者ハ其ノ使用ニ依リテ兒童ノ就學ヲ妨グルコトヲ得ズ
第十三條 國民學校長ハ傳染病ニ罹リ若ハ其ノ虞アル兒童又ハ性行不良ニシテ他ノ兒童ノ敎育ニ妨アリト認ムル兒童ノ國民學校ニ出席スルヲ停止スルコトヲ得
第十四條 兒童ニシテ其ノ年齡就學ノ始期ニ達セザルモノハ之ヲ國民學校ニ入學セシムルコトヲ得ズ
第四章 職員
第十五條 國民學校ニハ學校長及訓導ヲ置クベシ
國民學校ニハ敎頭、養護訓導及准訓導ヲ置クコトヲ得
第十六條 學校長及敎頭ハ其ノ學校ノ訓導ノ中ヨリ之ヲ補ス
學校長ハ地方長官ノ命ヲ承ケ校務ヲ掌理シ所屬職員ヲ監督ス
敎頭ハ學校長ヲ輔佐シ校務ヲ掌ル
第十七條 訓導及養護訓導ハ判任官ノ待遇トス但シ學校長又ハ敎頭タル訓導ハ奏任官ノ待遇ト爲スコトヲ得
訓導ハ學校長ノ命ヲ承ケ兒童ノ敎育ヲ掌ル
養護訓導ハ學校長ノ命ヲ承ケ兒童ノ養護ヲ掌ル
准訓導ハ學校長ノ命ヲ承ケ訓導ノ職務ヲ助ク
第十八條 訓導及准訓導ハ國民學校敎員免許狀ヲ有スル者タルベシ
養護訓導ハ女子ニシテ國民學校養護訓導免許狀ヲ有スルモノタルベシ
敎員免許狀ハ師範學校ヲ卒業シ又ハ訓導若ハ准訓導ノ檢定ニ合格シタル者ニ地方長官之ヲ授與ス
養護訓導免許狀ハ養護訓導ノ檢定ニ合格シタル者ニ地方長官之ヲ授與ス
前二項ノ檢定ヲ施行スル爲道府縣ニ國民學校敎員檢定委員會ヲ置ク
國民學校敎員檢定委員會ニ關スル規程ハ別ニ之ヲ定ム
敎員免許狀及養護訓導免許狀其ノ他檢定ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第十九條 特別ノ事情アルトキハ地方長官ハ國民學校敎員免許狀ヲ有セザル者ヲシテ准訓導ノ職務ヲ行ハシムルコトヲ得
第二十條 國民學校職員ハ敎育上必要アリト認ムルトキハ兒童ニ懲戒ヲ加フルコトヲ得但シ體罰ヲ加フルコトヲ得ズ
第二十一條 國民學校敎員免許狀ヲ有スル者左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ敎員免許狀ハ其ノ效力ヲ失フ
一 禁錮以上ノ刑ニ處セラレタルトキ
二 破產ノ宣吿ヲ受ケタルトキ
敎員免許狀ヲ有スル者不正ノ行爲其ノ他敎員タルベキ體面ヲ汚辱スルノ行爲アリテ其ノ情狀重シト認ムルトキハ文部大臣又ハ地方長官ニ於テ其ノ敎員免許狀ヲ褫奪ス
前二項ノ規定ハ國民學校養護訓導免許狀ヲ有スル者ニ之ヲ準用ス
第二十二條 地方長官ニ於テ行ヒタル國民學校敎員免許狀又ハ國民學校養護訓導免許狀ノ褫奪ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ文部大臣ニ訴願スルコトヲ得
第二十三條 准訓導及第十九條ノ規定ニ依リ准訓導ノ職務ヲ行フ者ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第五章 設置
第二十四條 市町村ハ其ノ區域內ノ學齡兒童ヲ就學セシムルニ必要ナル國民學校ヲ設置スベシ
第二十五條 地方長官ハ町村ガ左ノ各號ノ一ニ該當スト認ムルトキハ國民學校設置ノ爲其ノ町村ト他ノ市町村トノ學校組合ヲ設クベシ
一 町村ノ資力ガ國民學校ノ經費ノ負擔ニ堪ヘザルトキ
二 町村ニ於テ學齡兒童ノ數一國民學校ヲ構成スルニ足ラズ又ハ適度ノ通學路程內ニ於テ一國民學校ヲ構成スルニ足ルベキ數ヲ得ルコト能ハザルトキ
地方長官ハ市町村ノ一部ニシテ前項第二號ノ事情アルモノガ其ノ市町村ノ國民學校ニ對シ適度ノ通學路程內ニ在ラズト認ムルトキ亦前項ノ例ニ依ルベシ
前二項ノ規定ニ依リ地方長官ニ於テ市町村學校組合又ハ町村學校組合ヲ設ケントスルトキハ組合規約ヲ定メ關係市町村ノ意見ヲ聞クベシ組合規約ヲ變更シ組合市町村ノ數ヲ增減シ又ハ組合ヲ解カントスルトキ亦同ジ
第二十六條 地方長官ハ一市町村ガ國民學校ヲ設置スルニ比シ著シク優等ナル國民學校ヲ設置シ得ベシト認ムルトキハ國民學校設置ノ爲市町村學校組合又ハ町村學校組合ヲ設クルコトヲ得
前條第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二十七條 地方長官ハ町村ニ付第二十五條第一項第二號ノ事情アリト認ムルトキハ國民學校ノ設置ニ代ヘ其ノ町村ヲシテ學齡兒童ノ全部又ハ一部ノ敎育事務ヲ他ノ市町村、市町村學校組合又ハ町村學校組合ニ委託セシムルコトヲ得
地方長官ハ市町村、市町村學校組合又ハ町村學校組合ノ一部ニシテ第二十五條第一項第二號ノ事情アルモノガ其ノ市町村、市町村學校組合又ハ町村學校組合ノ國民學校ニ對シ適度ノ通學路程內ニ在ラズト認ムルトキ亦前項ノ例ニ依ルコトヲ得
前二項ノ規定ニ依リ地方長官ニ於テ兒童敎育事務ヲ委託セシメ又ハ其ノ委託ヲ止メシメントスルトキハ關係市町村、市町村學校組合及町村學校組合ノ意見ヲ聞クベシ
第二十八條 地方長官ハ町村ニ付第二十五條第一項第一號ノ事情アルモ同項及第三十四條ノ規定ニ依ルコトヲ得ズト認ムルトキハ其ノ町村ヲシテ國民學校設置ノ義務ヲ免レシムルコトヲ得
地方長官ハ町村ニ付第二十五條第一項第二號ノ事情アルモ同項、第二十七條第一項及第三十四條ノ規定ニ依ルコトヲ得ズト認ムルトキハ其ノ町村ヲシテ其ノ全部又ハ一部ニ關シ國民學校設置ノ義務ヲ免レシムルコトヲ得
地方長官ハ市町村、市町村學校組合又ハ町村學校組合ノ一部ニ付第二十五條第二項又ハ第二十七條第二項ノ事情アルモ同項及第三十四條ノ規定ニ依ルコトヲ得ズト認ムルトキハ其ノ市町村、市町村學校組合又ハ町村學校組合ヲシテ其ノ一部ニ關シ國民學校設置ノ義務ヲ免レシムルコトヲ得
第二十九條 國民學校ノ校數及位置ハ地方長官ニ於テ市町村、市町村學校組合又ハ町村學校組合ノ意見ヲ聞キ之ヲ定ムベシ
第六章 設備
第三十條 國民學校ニ於テハ校舍、校地、校具及體操場ヲ備フベシ
第三十一條 校舍、校地、校具及體操場ハ國民學校ノ目的以外ニ之ヲ使用スルコトヲ得ズ但シ非常變災ノ場合又ハ敎育、兵事、產業、衞生、慈善等ノ目的ノ爲特別ノ必要アル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第三十二條 國民學校ノ設備ニ關スル規程ハ文部大臣ニ於テ定ムル準則ニ基キ地方長官之ヲ定ム
第七章 經費負擔及授業料
第三十三條 國民學校ノ經費ハ特別ノ規定アル場合ヲ除クノ外市町村、市町村學校組合又ハ町村學校組合ノ負擔トス兒童敎育事務委託ニ關スル經費ニ付亦同ジ
第三十四條 地方長官ニ於テ左ノ各號ノ一ニ該當スト認ムルトキハ北海道地方費又ハ府縣ハ町村又ハ町村學校組合ニ相當ノ補助ヲ與フベシ
一 町村ニ付第二十五條第一項第一號ノ事情アルモ同項ノ規定ニ依ルコトヲ得ザルトキ
二 町村學校組合ノ資力ガ國民學校ノ經費ノ負擔ニ堪ヘザルトキ又ハ市町村學校組合若ハ町村學校組合ノ一部タル町村ノ資力ガ其ノ學校組合費ノ分擔ニ堪ヘザルトキ
三 町村又ハ町村學校組合ノ資力ガ兒童敎育事務委託ニ關スル經費ノ負擔ニ堪ヘザルトキ
地方長官前項ノ規定ニ依ル認定ヲ爲サントスルトキハ北海道參事會又ハ府縣參事會ノ意見ヲ聞クベシ
第三十五條 訓導、養護訓導及准訓導ノ檢定竝ニ國民學校敎員免許狀及國民學校養護訓導免許狀ニ關スル經費ハ北海道地方費又ハ府縣ノ負擔トス
第三十六條 國民學校ニ於テハ授業料ヲ徵收スルコトヲ得ズ但シ特修科ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
特別ノ事情アルトキハ地方長官ノ認可ヲ受ケ國民學校ニ於テ授業料ヲ徵收スルコトヲ得
授業料ハ市町村、市町村學校組合又ハ町村學校組合ノ收入トス
授業料ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第八章 管理及監督
第三十七條 市町村長、市町村學校組合管理者又ハ町村學校組合管理者ハ市町村、市町村學校組合又ハ町村學校組合ニ屬スル國ノ國民學校ニ關スル敎育事務ヲ管掌シ國民學校ヲ管理ス
第三十八條 市町村、市町村學校組合及町村學校組合ハ國民學校ニ關スル敎育事務ノ爲市制第八十三條若ハ町村制第六十九條ノ規定又ハ其ノ準用規定ニ依リ學務委員ヲ置クベシ此ノ場合ニ於テハ市町村會、市町村學校組合會又ハ町村學校組合會ノ議決ニ依ルコトヲ要セズ
學務委員ニハ國民學校職員ヲ加フベシ
委員中國民學校職員ヨリ出ヅル者ハ市町村長、市町村學校組合管理者又ハ町村學校組合管理者之ヲ任免ス
第三十九條 學務委員ノ職務其ノ他ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第四十條 國民學校職員ノ執行スル國ノ國民學校ニ關スル敎育事務ハ地方長官之ヲ監督ス
第九章 雜則
第四十一條 町村組合ニシテ其ノ町村ノ事務ノ全部又ハ役場事務ヲ共同處理スルモノハ之ヲ一町村、其ノ組合吏員ハ之ヲ町村吏員、其ノ組合會ハ之ヲ町村會ト看做ス
第四十二條 町村制ヲ施行セザル地域ニ於テハ本令中町村、町村組合、町村吏員、町村組合吏員、町村會及町村組合會ニ關スル規定ハ其ノ地域ニ於ケル此等ニ準ズベキモノニ之ヲ適用ス
第三十八條第一項中町村制第六十九條トアルハ前項ノ地域ニ於テハ北海道一級町村制第一條又ハ北海道二級町村制第七十二條トス
第一項ノ地域ニ於テ本令ニ依リ難キ事項ニ關シテハ文部大臣ノ定ムル所ニ依ル
第四十三條 市町村ハ其ノ負擔ヲ以テ國民學校ニ類スル各種學校ヲ設置スルコトヲ得
市町村又ハ町村ハ其ノ協議ニ依リ市町村學校組合又ハ町村學校組合ヲ設ケ國民學校ニ類スル各種學校ヲ設置スルコトヲ得
第四十四條 前條ノ國民學校ニ類スル各種學校ノ設置及廢止ハ地方長官ノ認可ヲ受クベシ
國民學校ニ類スル各種學校ニ關スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第四十五條 國民學校ニ非ザル學校ハ國民學校ト稱スルコトヲ得ズ但シ官立又ハ道府縣立ノ學校ニ於テ國民學校ノ課程ニ相當スル課程ヲ履修セシムル部分ニ關シテハ此ノ限ニ在ラズ
附 則
第四十六條 本令ハ昭和十六年四月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ昭和六年四月一日以前ニ出生シタル兒童ヲ就學セシムベキ期間ニ付テハ第八條ノ規定ニ拘ラズ仍從前ノ例ニ依ル
第四十七條 市町村立小學校長及敎員名稱及待遇、市制町村制ヲ施行セサル地方ノ小學敎育規程及明治二十七年勅令第十一號ハ之ヲ廢止ス
第四十八條 本令施行ノ際現ニ存スル市町村立ノ尋常小學校、高等小學校及尋常高等小學校ハ夫々本令ニ依ル初等科ノミヲ置ク國民學校、高等科ノミヲ置ク國民學校竝ニ初等科及高等科ヲ置ク國民學校トス
第四十九條 本令施行ノ際現ニ存スル市町村立ノ高等小學校及尋常高等小學校高等科ノ第三學年ハ本令ニ依ル特修科トス
第五十條 尋常小學校ヲ卒業シタル者、高等小學校第一學年ヲ修了シタル者及修業年限二箇年ノ高等小學校ヲ卒業シ又ハ修業年限三箇年ノ高等小學校第二學年ヲ修了シタル者ハ夫々之ヲ國民學校初等科ヲ修了シタル者、國民學校高等科第一學年ヲ修了シタル者及國民學校高等科ヲ修了シタル者ト看做ス
第五十一條 本令施行ノ際現ニ存スル小學校令第十四條第二項ノ規定又ハ其ノ準用規定ニ依リ設ケタル市町村學校組合及町村學校組合ハ之ヲ本令ニ依リ設ケタルモノト看做ス
第五十二條 本令施行ノ際現ニ存スル私立小學校ハ之ヲ私立學校令ニ依リ設立セラレタルモノト看做ス
本令施行ノ際現ニ學齡兒童ガ前項ノ學校ニシテ其ノ課程ニ付第十一條ノ規定ニ依ル認定ナキモノニ就學スルトキハ第八條ニ規定スル保護者ノ義務ノ履行ニ關シテハ其ノ期間國民學校ニ就學スルモノト看做ス
第五十三條 本令施行ノ際現ニ存スル小學校ニ類スル各種學校ニシテ私人ノ費用ヲ以テ設置セルモノハ之ヲ私立學校令ニ依リ設置セラレタルモノト看做ス
第五十四條 本令施行前ニ授與シタル小學校敎員免許狀ハ之ヲ第十八條第三項ノ規定ニ依リ授與シタル國民學校敎員免許狀ト看做ス
第五十五條 本令施行ノ際現ニ奏任官ノ待遇ヲ受クル市町村立小學校長ヲ兼ネシメラレタル市町村立小學校訓導ノ職ニ在ル者別ニ辭令ヲ發セラレザルトキハ國民學校訓導ニ同待遇俸給ヲ以テ任ゼラレタルモノトス
本令施行ノ際現ニ市町村立小學校訓導ノ職ニ在ル者(前項ノ規定ニ該當スル者ヲ除ク)別ニ辭令ヲ發セラレザルトキハ國民學校訓導ニ同俸給ヲ以テ任ゼラレタルモノトス
本令施行ノ際現ニ奏任官ノ待遇ヲ受クル市町村立小學校長ヲ兼ネシメラレタル市町村立小學校訓導ニシテ休職中ノモノ別ニ辭令ヲ發セラレザルトキハ休職ノ儘國民學校訓導ニ同待遇俸給ヲ以テ任ゼラレタルモノトシ當該休職ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
本令施行ノ際現ニ市町村立小學校訓導ニシテ休職中ノモノ(前項ノ規定ニ該當スル者ヲ除ク)別ニ辭令ヲ發セラレザルトキハ休職ノ儘國民學校訓導ニ同俸給ヲ以テ任ゼラレタルモノトシ當該休職ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
第五十六條 本令施行ノ際現ニ小學校令第四十八條第一項ノ規定ニ依リ減俸中ノ者又ハ同條第二項ノ規定ニ依リ業務停止中ノ者ノ當該減俸又ハ業務停止ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
本令施行前小學校令第四十八條ノ規定ニ依リ懲戒又ハ業務停止ノ處分ヲ爲スベカリシ行爲ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
第五十七條 小學校令第五十條ノ規定ニ依ル免職若ハ業務停止又ハ免許狀褫奪ノ處分ニ對スル訴願ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
第五十八條 町村制ヲ施行セザル地域ニ於テ本令施行ノ際現ニ學務委員ノ職ニ在ル者ハ之ヲ本令ニ依ル學務委員ト看做ス
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ小学校令改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年二月二十八日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
文部大臣 橋田邦彦
勅令第百四十八号
国民学校令
第一章 目的
第一条 国民学校ハ皇国ノ道ニ則リテ初等普通教育ヲ施シ国民ノ基礎的錬成ヲ為スヲ以テ目的トス
第二章 課程及編制
第二条 国民学校ニ初等科及高等科ヲ置ク但シ土地ノ情況ニ依リ初等科又ハ高等科ノミヲ置クコトヲ得
第三条 初等科ノ修業年限ハ六年トシ高等科ノ修業年限ハ二年トス
第四条 国民学校ノ教科ハ初等科及高等科ヲ通ジ国民科、理数科、体錬科及芸能科トシ高等科ニ在リテハ実業科ヲ加フ
国民科ハ之ヲ分チテ修身、国語、国史及地理ノ科目トス
理数科ハ之ヲ分チテ算数及理科ノ科目トス
体錬科ハ之ヲ分チテ体操及武道ノ科目トス但シ女児ニ付テハ武道ヲ欠クコトヲ得
芸能科ハ之ヲ分チテ音楽、習字、図画及工作ノ科目トシ初等科ノ女児ニ付テハ裁縫ノ科目ヲ、高等科ノ女児ニ付テハ家事及裁縫ノ科目ヲ加フ
実業科ハ之ヲ分チテ農業、工業、商業又ハ水産ノ科目トス
前五項ニ掲グル科目ノ外高等科ニ於テハ外国語其ノ他必要ナル科目ヲ設クルコトヲ得
第五条 国民学校ニハ高等科ヲ修了シタル者ノ為ニ特修科ヲ置クコトヲ得其ノ修業年限ハ一年トス
特修科ヲ設置シ又ハ廃止セントスルトキハ市町村、市町村学校組合又ハ町村学校組合ニ於テ地方長官ノ認可ヲ受クベシ
特修科ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第六条 国民学校ノ教科用図書ハ文部省ニ於テ著作権ヲ有スルモノタルベシ但シ郷土ニ関スル図書、歌詞、楽譜等ニ関シ文部大臣ニ於テ別段ノ規定ヲ設ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第七条 国民学校ノ教則及編制ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第三章 就学
第八条 保護者(児童ニ対シ親権ヲ行フ者、親権ヲ行フ者ナキトキハ後見人又ハ後見人ノ職務ヲ行フ者ヲ謂フ以下同ジ)ハ児童ノ満六歳ニ達シタル日ノ翌日以後ニ於ケル最初ノ学年ノ始ヨリ満十四歳ニ達シタル日ノ属スル学年ノ終迄之ヲ国民学校ニ就学セシムルノ義務ヲ負フ
第九条 前条ノ規定ニ依リ就学セシメラルベキ児童(学齢児童ト称ス以下同ジ)ノ瘋癲白痴又ハ不具廃疾ノ為之ヲ就学セシムルコト能ハズト認ムルトキハ市町村長ハ地方長官ノ認可ヲ受ケ前条ニ規定スル保護者ノ義務ヲ免除スルコトヲ得
学齢児童ノ病弱又ハ発育不完全其ノ他已ムヲ得ザル事由ニ因リ就学時期ニ於テ之ヲ就学セシムルコト能ハズト認ムルトキハ市町村長ハ其ノ就学ヲ猶予スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ直ニ其ノ旨地方長官ニ報告スベシ
第十条 第二十八条ノ規定ニ依リ国民学校設置ノ義務ヲ免ゼラレタル区域内ノ学齢児童ノ保護者ハ第八条ニ規定スル保護者ノ義務ヲ免除セラレタルモノトス
第十一条 学齢児童国民学校以外ノ学校ニ於テ国民学校ノ課程ト同等以上ト認ムル課程ヲ修ムルトキハ第八条ニ規定スル保護者ノ義務ノ履行ニ関シテハ其ノ期間国民学校ニ就学スルモノト看做ス
前項ノ課程ノ認定ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第十二条 学齢児童ヲ使用スル者ハ其ノ使用ニ依リテ児童ノ就学ヲ妨グルコトヲ得ズ
第十三条 国民学校長ハ伝染病ニ罹リ若ハ其ノ虞アル児童又ハ性行不良ニシテ他ノ児童ノ教育ニ妨アリト認ムル児童ノ国民学校ニ出席スルヲ停止スルコトヲ得
第十四条 児童ニシテ其ノ年齢就学ノ始期ニ達セザルモノハ之ヲ国民学校ニ入学セシムルコトヲ得ズ
第四章 職員
第十五条 国民学校ニハ学校長及訓導ヲ置クベシ
国民学校ニハ教頭、養護訓導及准訓導ヲ置クコトヲ得
第十六条 学校長及教頭ハ其ノ学校ノ訓導ノ中ヨリ之ヲ補ス
学校長ハ地方長官ノ命ヲ承ケ校務ヲ掌理シ所属職員ヲ監督ス
教頭ハ学校長ヲ輔佐シ校務ヲ掌ル
第十七条 訓導及養護訓導ハ判任官ノ待遇トス但シ学校長又ハ教頭タル訓導ハ奏任官ノ待遇ト為スコトヲ得
訓導ハ学校長ノ命ヲ承ケ児童ノ教育ヲ掌ル
養護訓導ハ学校長ノ命ヲ承ケ児童ノ養護ヲ掌ル
准訓導ハ学校長ノ命ヲ承ケ訓導ノ職務ヲ助ク
第十八条 訓導及准訓導ハ国民学校教員免許状ヲ有スル者タルベシ
養護訓導ハ女子ニシテ国民学校養護訓導免許状ヲ有スルモノタルベシ
教員免許状ハ師範学校ヲ卒業シ又ハ訓導若ハ准訓導ノ検定ニ合格シタル者ニ地方長官之ヲ授与ス
養護訓導免許状ハ養護訓導ノ検定ニ合格シタル者ニ地方長官之ヲ授与ス
前二項ノ検定ヲ施行スル為道府県ニ国民学校教員検定委員会ヲ置ク
国民学校教員検定委員会ニ関スル規程ハ別ニ之ヲ定ム
教員免許状及養護訓導免許状其ノ他検定ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第十九条 特別ノ事情アルトキハ地方長官ハ国民学校教員免許状ヲ有セザル者ヲシテ准訓導ノ職務ヲ行ハシムルコトヲ得
第二十条 国民学校職員ハ教育上必要アリト認ムルトキハ児童ニ懲戒ヲ加フルコトヲ得但シ体罰ヲ加フルコトヲ得ズ
第二十一条 国民学校教員免許状ヲ有スル者左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ教員免許状ハ其ノ効力ヲ失フ
一 禁錮以上ノ刑ニ処セラレタルトキ
二 破産ノ宣告ヲ受ケタルトキ
教員免許状ヲ有スル者不正ノ行為其ノ他教員タルベキ体面ヲ汚辱スルノ行為アリテ其ノ情状重シト認ムルトキハ文部大臣又ハ地方長官ニ於テ其ノ教員免許状ヲ褫奪ス
前二項ノ規定ハ国民学校養護訓導免許状ヲ有スル者ニ之ヲ準用ス
第二十二条 地方長官ニ於テ行ヒタル国民学校教員免許状又ハ国民学校養護訓導免許状ノ褫奪ノ処分ヲ受ケタル者其ノ処分ニ不服アルトキハ文部大臣ニ訴願スルコトヲ得
第二十三条 准訓導及第十九条ノ規定ニ依リ准訓導ノ職務ヲ行フ者ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第五章 設置
第二十四条 市町村ハ其ノ区域内ノ学齢児童ヲ就学セシムルニ必要ナル国民学校ヲ設置スベシ
第二十五条 地方長官ハ町村ガ左ノ各号ノ一ニ該当スト認ムルトキハ国民学校設置ノ為其ノ町村ト他ノ市町村トノ学校組合ヲ設クベシ
一 町村ノ資力ガ国民学校ノ経費ノ負担ニ堪ヘザルトキ
二 町村ニ於テ学齢児童ノ数一国民学校ヲ構成スルニ足ラズ又ハ適度ノ通学路程内ニ於テ一国民学校ヲ構成スルニ足ルベキ数ヲ得ルコト能ハザルトキ
地方長官ハ市町村ノ一部ニシテ前項第二号ノ事情アルモノガ其ノ市町村ノ国民学校ニ対シ適度ノ通学路程内ニ在ラズト認ムルトキ亦前項ノ例ニ依ルベシ
前二項ノ規定ニ依リ地方長官ニ於テ市町村学校組合又ハ町村学校組合ヲ設ケントスルトキハ組合規約ヲ定メ関係市町村ノ意見ヲ聞クベシ組合規約ヲ変更シ組合市町村ノ数ヲ増減シ又ハ組合ヲ解カントスルトキ亦同ジ
第二十六条 地方長官ハ一市町村ガ国民学校ヲ設置スルニ比シ著シク優等ナル国民学校ヲ設置シ得ベシト認ムルトキハ国民学校設置ノ為市町村学校組合又ハ町村学校組合ヲ設クルコトヲ得
前条第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二十七条 地方長官ハ町村ニ付第二十五条第一項第二号ノ事情アリト認ムルトキハ国民学校ノ設置ニ代ヘ其ノ町村ヲシテ学齢児童ノ全部又ハ一部ノ教育事務ヲ他ノ市町村、市町村学校組合又ハ町村学校組合ニ委託セシムルコトヲ得
地方長官ハ市町村、市町村学校組合又ハ町村学校組合ノ一部ニシテ第二十五条第一項第二号ノ事情アルモノガ其ノ市町村、市町村学校組合又ハ町村学校組合ノ国民学校ニ対シ適度ノ通学路程内ニ在ラズト認ムルトキ亦前項ノ例ニ依ルコトヲ得
前二項ノ規定ニ依リ地方長官ニ於テ児童教育事務ヲ委託セシメ又ハ其ノ委託ヲ止メシメントスルトキハ関係市町村、市町村学校組合及町村学校組合ノ意見ヲ聞クベシ
第二十八条 地方長官ハ町村ニ付第二十五条第一項第一号ノ事情アルモ同項及第三十四条ノ規定ニ依ルコトヲ得ズト認ムルトキハ其ノ町村ヲシテ国民学校設置ノ義務ヲ免レシムルコトヲ得
地方長官ハ町村ニ付第二十五条第一項第二号ノ事情アルモ同項、第二十七条第一項及第三十四条ノ規定ニ依ルコトヲ得ズト認ムルトキハ其ノ町村ヲシテ其ノ全部又ハ一部ニ関シ国民学校設置ノ義務ヲ免レシムルコトヲ得
地方長官ハ市町村、市町村学校組合又ハ町村学校組合ノ一部ニ付第二十五条第二項又ハ第二十七条第二項ノ事情アルモ同項及第三十四条ノ規定ニ依ルコトヲ得ズト認ムルトキハ其ノ市町村、市町村学校組合又ハ町村学校組合ヲシテ其ノ一部ニ関シ国民学校設置ノ義務ヲ免レシムルコトヲ得
第二十九条 国民学校ノ校数及位置ハ地方長官ニ於テ市町村、市町村学校組合又ハ町村学校組合ノ意見ヲ聞キ之ヲ定ムベシ
第六章 設備
第三十条 国民学校ニ於テハ校舎、校地、校具及体操場ヲ備フベシ
第三十一条 校舎、校地、校具及体操場ハ国民学校ノ目的以外ニ之ヲ使用スルコトヲ得ズ但シ非常変災ノ場合又ハ教育、兵事、産業、衛生、慈善等ノ目的ノ為特別ノ必要アル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第三十二条 国民学校ノ設備ニ関スル規程ハ文部大臣ニ於テ定ムル準則ニ基キ地方長官之ヲ定ム
第七章 経費負担及授業料
第三十三条 国民学校ノ経費ハ特別ノ規定アル場合ヲ除クノ外市町村、市町村学校組合又ハ町村学校組合ノ負担トス児童教育事務委託ニ関スル経費ニ付亦同ジ
第三十四条 地方長官ニ於テ左ノ各号ノ一ニ該当スト認ムルトキハ北海道地方費又ハ府県ハ町村又ハ町村学校組合ニ相当ノ補助ヲ与フベシ
一 町村ニ付第二十五条第一項第一号ノ事情アルモ同項ノ規定ニ依ルコトヲ得ザルトキ
二 町村学校組合ノ資力ガ国民学校ノ経費ノ負担ニ堪ヘザルトキ又ハ市町村学校組合若ハ町村学校組合ノ一部タル町村ノ資力ガ其ノ学校組合費ノ分担ニ堪ヘザルトキ
三 町村又ハ町村学校組合ノ資力ガ児童教育事務委託ニ関スル経費ノ負担ニ堪ヘザルトキ
地方長官前項ノ規定ニ依ル認定ヲ為サントスルトキハ北海道参事会又ハ府県参事会ノ意見ヲ聞クベシ
第三十五条 訓導、養護訓導及准訓導ノ検定並ニ国民学校教員免許状及国民学校養護訓導免許状ニ関スル経費ハ北海道地方費又ハ府県ノ負担トス
第三十六条 国民学校ニ於テハ授業料ヲ徴収スルコトヲ得ズ但シ特修科ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
特別ノ事情アルトキハ地方長官ノ認可ヲ受ケ国民学校ニ於テ授業料ヲ徴収スルコトヲ得
授業料ハ市町村、市町村学校組合又ハ町村学校組合ノ収入トス
授業料ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第八章 管理及監督
第三十七条 市町村長、市町村学校組合管理者又ハ町村学校組合管理者ハ市町村、市町村学校組合又ハ町村学校組合ニ属スル国ノ国民学校ニ関スル教育事務ヲ管掌シ国民学校ヲ管理ス
第三十八条 市町村、市町村学校組合及町村学校組合ハ国民学校ニ関スル教育事務ノ為市制第八十三条若ハ町村制第六十九条ノ規定又ハ其ノ準用規定ニ依リ学務委員ヲ置クベシ此ノ場合ニ於テハ市町村会、市町村学校組合会又ハ町村学校組合会ノ議決ニ依ルコトヲ要セズ
学務委員ニハ国民学校職員ヲ加フベシ
委員中国民学校職員ヨリ出ヅル者ハ市町村長、市町村学校組合管理者又ハ町村学校組合管理者之ヲ任免ス
第三十九条 学務委員ノ職務其ノ他ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第四十条 国民学校職員ノ執行スル国ノ国民学校ニ関スル教育事務ハ地方長官之ヲ監督ス
第九章 雑則
第四十一条 町村組合ニシテ其ノ町村ノ事務ノ全部又ハ役場事務ヲ共同処理スルモノハ之ヲ一町村、其ノ組合吏員ハ之ヲ町村吏員、其ノ組合会ハ之ヲ町村会ト看做ス
第四十二条 町村制ヲ施行セザル地域ニ於テハ本令中町村、町村組合、町村吏員、町村組合吏員、町村会及町村組合会ニ関スル規定ハ其ノ地域ニ於ケル此等ニ準ズベキモノニ之ヲ適用ス
第三十八条第一項中町村制第六十九条トアルハ前項ノ地域ニ於テハ北海道一級町村制第一条又ハ北海道二級町村制第七十二条トス
第一項ノ地域ニ於テ本令ニ依リ難キ事項ニ関シテハ文部大臣ノ定ムル所ニ依ル
第四十三条 市町村ハ其ノ負担ヲ以テ国民学校ニ類スル各種学校ヲ設置スルコトヲ得
市町村又ハ町村ハ其ノ協議ニ依リ市町村学校組合又ハ町村学校組合ヲ設ケ国民学校ニ類スル各種学校ヲ設置スルコトヲ得
第四十四条 前条ノ国民学校ニ類スル各種学校ノ設置及廃止ハ地方長官ノ認可ヲ受クベシ
国民学校ニ類スル各種学校ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第四十五条 国民学校ニ非ザル学校ハ国民学校ト称スルコトヲ得ズ但シ官立又ハ道府県立ノ学校ニ於テ国民学校ノ課程ニ相当スル課程ヲ履修セシムル部分ニ関シテハ此ノ限ニ在ラズ
附 則
第四十六条 本令ハ昭和十六年四月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ昭和六年四月一日以前ニ出生シタル児童ヲ就学セシムベキ期間ニ付テハ第八条ノ規定ニ拘ラズ仍従前ノ例ニ依ル
第四十七条 市町村立小学校長及教員名称及待遇、市制町村制ヲ施行セサル地方ノ小学教育規程及明治二十七年勅令第十一号ハ之ヲ廃止ス
第四十八条 本令施行ノ際現ニ存スル市町村立ノ尋常小学校、高等小学校及尋常高等小学校ハ夫々本令ニ依ル初等科ノミヲ置ク国民学校、高等科ノミヲ置ク国民学校並ニ初等科及高等科ヲ置ク国民学校トス
第四十九条 本令施行ノ際現ニ存スル市町村立ノ高等小学校及尋常高等小学校高等科ノ第三学年ハ本令ニ依ル特修科トス
第五十条 尋常小学校ヲ卒業シタル者、高等小学校第一学年ヲ修了シタル者及修業年限二箇年ノ高等小学校ヲ卒業シ又ハ修業年限三箇年ノ高等小学校第二学年ヲ修了シタル者ハ夫々之ヲ国民学校初等科ヲ修了シタル者、国民学校高等科第一学年ヲ修了シタル者及国民学校高等科ヲ修了シタル者ト看做ス
第五十一条 本令施行ノ際現ニ存スル小学校令第十四条第二項ノ規定又ハ其ノ準用規定ニ依リ設ケタル市町村学校組合及町村学校組合ハ之ヲ本令ニ依リ設ケタルモノト看做ス
第五十二条 本令施行ノ際現ニ存スル私立小学校ハ之ヲ私立学校令ニ依リ設立セラレタルモノト看做ス
本令施行ノ際現ニ学齢児童ガ前項ノ学校ニシテ其ノ課程ニ付第十一条ノ規定ニ依ル認定ナキモノニ就学スルトキハ第八条ニ規定スル保護者ノ義務ノ履行ニ関シテハ其ノ期間国民学校ニ就学スルモノト看做ス
第五十三条 本令施行ノ際現ニ存スル小学校ニ類スル各種学校ニシテ私人ノ費用ヲ以テ設置セルモノハ之ヲ私立学校令ニ依リ設置セラレタルモノト看做ス
第五十四条 本令施行前ニ授与シタル小学校教員免許状ハ之ヲ第十八条第三項ノ規定ニ依リ授与シタル国民学校教員免許状ト看做ス
第五十五条 本令施行ノ際現ニ奏任官ノ待遇ヲ受クル市町村立小学校長ヲ兼ネシメラレタル市町村立小学校訓導ノ職ニ在ル者別ニ辞令ヲ発セラレザルトキハ国民学校訓導ニ同待遇俸給ヲ以テ任ゼラレタルモノトス
本令施行ノ際現ニ市町村立小学校訓導ノ職ニ在ル者(前項ノ規定ニ該当スル者ヲ除ク)別ニ辞令ヲ発セラレザルトキハ国民学校訓導ニ同俸給ヲ以テ任ゼラレタルモノトス
本令施行ノ際現ニ奏任官ノ待遇ヲ受クル市町村立小学校長ヲ兼ネシメラレタル市町村立小学校訓導ニシテ休職中ノモノ別ニ辞令ヲ発セラレザルトキハ休職ノ儘国民学校訓導ニ同待遇俸給ヲ以テ任ゼラレタルモノトシ当該休職ニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル
本令施行ノ際現ニ市町村立小学校訓導ニシテ休職中ノモノ(前項ノ規定ニ該当スル者ヲ除ク)別ニ辞令ヲ発セラレザルトキハ休職ノ儘国民学校訓導ニ同俸給ヲ以テ任ゼラレタルモノトシ当該休職ニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル
第五十六条 本令施行ノ際現ニ小学校令第四十八条第一項ノ規定ニ依リ減俸中ノ者又ハ同条第二項ノ規定ニ依リ業務停止中ノ者ノ当該減俸又ハ業務停止ニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル
本令施行前小学校令第四十八条ノ規定ニ依リ懲戒又ハ業務停止ノ処分ヲ為スベカリシ行為ニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル
第五十七条 小学校令第五十条ノ規定ニ依ル免職若ハ業務停止又ハ免許状褫奪ノ処分ニ対スル訴願ニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル
第五十八条 町村制ヲ施行セザル地域ニ於テ本令施行ノ際現ニ学務委員ノ職ニ在ル者ハ之ヲ本令ニ依ル学務委員ト看做ス