樺太国民学校令
法令番号: 勅令第二百五十六號
公布年月日: 昭和16年3月26日
法令の形式: 勅令
朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ明治四十一年勅令第四十五號樺太ニ於ケル小學校ニ關スル件改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年三月二十五日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
拓務大臣 秋田淸
勅令第二百五十六號
樺太國民學校令
第一條 樺太ニ於ケル國民學校ニ關シテハ市町村學校組合及町村學校組合ニ關スル規定ヲ除クノ外國民學校令第一條乃至第四條、第六條乃至第九條、第十一條乃至第十七條、第十九條乃至第二十四條、第二十九條乃至第三十二條、第三十六條、第三十七條、第三十九條、第四十條、第四十三條乃至第四十五條、第四十八條、第五十條及第五十五條乃至第五十七條ノ規定ニ依ル但シ同令中文部大臣ノ職務ハ拓務大臣、地方長官ノ職務ハ樺太廳長官之ヲ行ヒ國民學校敎員免許狀トアルハ第十九條ニ在リテハ樺太國民學校敎員免許狀及國民學校令ニ依リ授與シタル國民學校敎員免許狀、其ノ他ニ在リテハ樺太國民學校敎員免許狀、國民學校養護訓導免許狀トアルハ樺太國民學校養護訓導免許狀、市町村立トアルハ樺太公立トス
第二條 前條ノ場合ニ於テ樺太特殊ノ事情ニ依リ特例ヲ設クル必要アルモノニ付テハ樺太廳長官拓務大臣ノ許可ヲ受ケ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
第三條 樺太廳長官ハ市町村ノ一部ニシテ其ノ學齡兒童ノ數一國民學校ヲ構成スルニ足ラズ又ハ適度ノ通學路程內ニ於テ一國民學校ヲ構成スルニ足ルベキ數ヲ得ルコト能ハザルモノガ其ノ市町村ノ國民學校ニ對シ適度ノ通學路程內ニ在ラズト認ムルトキハ國民學校ノ設置ニ代ヘ其ノ市町村ヲシテ學齡兒童ノ一部ノ敎育事務ヲ他ノ市町村ニ委託セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ樺太廳長官ニ於テ兒童敎育事務ヲ委託セシメ又ハ其ノ委託ヲ止メシメントスルトキハ關係市町村ノ意見ヲ聞クベシ
市町村ハ第一項ノ規定ニ依ル兒童敎育事務ノ委託ニ應ズベシ
兒童敎育事務ノ委託ニ對スル報償其ノ他必要ナル事項ニ付關係市町村ノ協議整ハザルトキハ樺太廳長官之ヲ定ム
第四條 樺太廳長官ハ市町村ノ一部ニ付前條第一項ノ事情アルモ同項ノ規定ニ依ルコトヲ得ズト認ムルトキハ其ノ市町村ヲシテ其ノ一部ニ關シ國民學校設置ノ義務ヲ免レシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ國民學校設置ノ義務ヲ免ゼラレタル區域內ノ學齡兒童ノ保護者ハ本令ニ於テ依ルコトヲ定メタル國民學校令第八條ニ規定スル保護者ノ義務ヲ免除セラレタルモノトス
第五條 國民學校ノ訓導及准訓導ハ樺太國民學校敎員免許狀ヲ、養護訓導ハ女子ニシテ樺太國民學校養護訓導免許狀ヲ有スルモノタルベシ但シ國民學校令ニ依リ授與シタル國民學校敎員免許狀又ハ國民學校養護訓導免許狀ヲ有スルトキハ此ノ限ニ在ラズ
敎員免許狀ハ樺太廳師範學校ヲ卒業シ又ハ訓導若ハ准訓導ノ檢定ニ合格シタル者ニ樺太廳長官之ヲ授與ス
養護訓導免許狀ハ養護訓導ノ檢定ニ合格シタル者ニ樺太廳長官之ヲ授與ス
前二項ノ檢定ヲ施行スル爲樺太廳ニ樺太國民學校敎員檢定委員會ヲ置ク
樺太國民學校敎員檢定委員會ニ關スル規程ハ別ニ之ヲ定ム
敎員免許狀及養護訓導免許狀其ノ他檢定ニ關スル規程ハ拓務大臣之ヲ定ム
第六條 市町村ハ國民學校ニ關スル敎育事務ノ爲樺太市制施行令第八十八條又ハ樺太町村制施行令第八十條ノ規定ニ依リ學務委員ヲ置クベシ此ノ場合ニ於テハ市町村會ノ議決ニ依ルコトヲ要セズ
學務委員ニハ國民學校職員ヲ加フベシ
委員中國民學校職員ヨリ出ヅル者ハ市町村長之ヲ任免ス
第七條 國民學校ノ經費ハ特別ノ規定アル場合ヲ除クノ外市町村ノ負擔トス兒童敎育事務委託ニ關スル經費ニ付亦同ジ
第八條 國民學校職員ノ俸給ハ國庫ノ負擔トス
國民學校職員ノ旅費ハ樺太廳長官ノ定ムル所ニ依リ其ノ全部又ハ一部ヲ國庫ノ負擔ト爲スコトヲ得
附 則
本令ハ昭和十六年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
但シ昭和六年四月一日以前ニ出生シタル兒童ヲ就學セシムベキ期間ニ付テハ本令ニ於テ依ルコトヲ定メタル國民學校令第八條ノ規定ニ拘ラズ仍從前ノ例ニ依ル
本令施行前ニ樺太廳長官ノ授與シタル小學校敎員免許狀ハ之ヲ第五條第二項ノ規定ニ依リ授與シタル樺太國民學校敎員免許狀ト看做ス
本令施行ノ際現ニ樺太ニ存スル小學校ニシテ本令ニ於テ依ルコトヲ定メタル國民學校令第四十八條ノ規定ニ依リ國民學校ト爲リタルモノノ校數及位置ハ同令第二十九條ノ規定ニ依リ之ヲ定メタルモノト看做ス
本令施行ノ際現ニ樺太ニ於テ學務委員ノ職ニ在ル者ハ之ヲ本令ニ依ル學務委員ト看做ス
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ明治四十一年勅令第四十五号樺太ニ於ケル小学校ニ関スル件改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年三月二十五日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
拓務大臣 秋田清
勅令第二百五十六号
樺太国民学校令
第一条 樺太ニ於ケル国民学校ニ関シテハ市町村学校組合及町村学校組合ニ関スル規定ヲ除クノ外国民学校令第一条乃至第四条、第六条乃至第九条、第十一条乃至第十七条、第十九条乃至第二十四条、第二十九条乃至第三十二条、第三十六条、第三十七条、第三十九条、第四十条、第四十三条乃至第四十五条、第四十八条、第五十条及第五十五条乃至第五十七条ノ規定ニ依ル但シ同令中文部大臣ノ職務ハ拓務大臣、地方長官ノ職務ハ樺太庁長官之ヲ行ヒ国民学校教員免許状トアルハ第十九条ニ在リテハ樺太国民学校教員免許状及国民学校令ニ依リ授与シタル国民学校教員免許状、其ノ他ニ在リテハ樺太国民学校教員免許状、国民学校養護訓導免許状トアルハ樺太国民学校養護訓導免許状、市町村立トアルハ樺太公立トス
第二条 前条ノ場合ニ於テ樺太特殊ノ事情ニ依リ特例ヲ設クル必要アルモノニ付テハ樺太庁長官拓務大臣ノ許可ヲ受ケ別段ノ定ヲ為スコトヲ得
第三条 樺太庁長官ハ市町村ノ一部ニシテ其ノ学齢児童ノ数一国民学校ヲ構成スルニ足ラズ又ハ適度ノ通学路程内ニ於テ一国民学校ヲ構成スルニ足ルベキ数ヲ得ルコト能ハザルモノガ其ノ市町村ノ国民学校ニ対シ適度ノ通学路程内ニ在ラズト認ムルトキハ国民学校ノ設置ニ代ヘ其ノ市町村ヲシテ学齢児童ノ一部ノ教育事務ヲ他ノ市町村ニ委託セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ樺太庁長官ニ於テ児童教育事務ヲ委託セシメ又ハ其ノ委託ヲ止メシメントスルトキハ関係市町村ノ意見ヲ聞クベシ
市町村ハ第一項ノ規定ニ依ル児童教育事務ノ委託ニ応ズベシ
児童教育事務ノ委託ニ対スル報償其ノ他必要ナル事項ニ付関係市町村ノ協議整ハザルトキハ樺太庁長官之ヲ定ム
第四条 樺太庁長官ハ市町村ノ一部ニ付前条第一項ノ事情アルモ同項ノ規定ニ依ルコトヲ得ズト認ムルトキハ其ノ市町村ヲシテ其ノ一部ニ関シ国民学校設置ノ義務ヲ免レシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ国民学校設置ノ義務ヲ免ゼラレタル区域内ノ学齢児童ノ保護者ハ本令ニ於テ依ルコトヲ定メタル国民学校令第八条ニ規定スル保護者ノ義務ヲ免除セラレタルモノトス
第五条 国民学校ノ訓導及准訓導ハ樺太国民学校教員免許状ヲ、養護訓導ハ女子ニシテ樺太国民学校養護訓導免許状ヲ有スルモノタルベシ但シ国民学校令ニ依リ授与シタル国民学校教員免許状又ハ国民学校養護訓導免許状ヲ有スルトキハ此ノ限ニ在ラズ
教員免許状ハ樺太庁師範学校ヲ卒業シ又ハ訓導若ハ准訓導ノ検定ニ合格シタル者ニ樺太庁長官之ヲ授与ス
養護訓導免許状ハ養護訓導ノ検定ニ合格シタル者ニ樺太庁長官之ヲ授与ス
前二項ノ検定ヲ施行スル為樺太庁ニ樺太国民学校教員検定委員会ヲ置ク
樺太国民学校教員検定委員会ニ関スル規程ハ別ニ之ヲ定ム
教員免許状及養護訓導免許状其ノ他検定ニ関スル規程ハ拓務大臣之ヲ定ム
第六条 市町村ハ国民学校ニ関スル教育事務ノ為樺太市制施行令第八十八条又ハ樺太町村制施行令第八十条ノ規定ニ依リ学務委員ヲ置クベシ此ノ場合ニ於テハ市町村会ノ議決ニ依ルコトヲ要セズ
学務委員ニハ国民学校職員ヲ加フベシ
委員中国民学校職員ヨリ出ヅル者ハ市町村長之ヲ任免ス
第七条 国民学校ノ経費ハ特別ノ規定アル場合ヲ除クノ外市町村ノ負担トス児童教育事務委託ニ関スル経費ニ付亦同ジ
第八条 国民学校職員ノ俸給ハ国庫ノ負担トス
国民学校職員ノ旅費ハ樺太庁長官ノ定ムル所ニ依リ其ノ全部又ハ一部ヲ国庫ノ負担ト為スコトヲ得
附 則
本令ハ昭和十六年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
但シ昭和六年四月一日以前ニ出生シタル児童ヲ就学セシムベキ期間ニ付テハ本令ニ於テ依ルコトヲ定メタル国民学校令第八条ノ規定ニ拘ラズ仍従前ノ例ニ依ル
本令施行前ニ樺太庁長官ノ授与シタル小学校教員免許状ハ之ヲ第五条第二項ノ規定ニ依リ授与シタル樺太国民学校教員免許状ト看做ス
本令施行ノ際現ニ樺太ニ存スル小学校ニシテ本令ニ於テ依ルコトヲ定メタル国民学校令第四十八条ノ規定ニ依リ国民学校ト為リタルモノノ校数及位置ハ同令第二十九条ノ規定ニ依リ之ヲ定メタルモノト看做ス
本令施行ノ際現ニ樺太ニ於テ学務委員ノ職ニ在ル者ハ之ヲ本令ニ依ル学務委員ト看做ス