朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル裝蹄師法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年四月一日
內閣總理大臣 米內光政
農林大臣 島田俊雄
法律第八十九號
裝蹄師法
第一條 裝蹄師タラントスル者ハ主務大臣ノ免許ヲ受ケ裝蹄師名簿ニ登錄ヲ受クベシ裝蹄師ノ免許ヲ受クルニハ左ノ各號ノ一ニ該當スル資格ヲ有スルコトヲ要ス
一 裝蹄師試驗ニ合格シタル者
二 獸醫師タル者又ハ獸醫師ノ免許ヲ受クル資格ヲ有スル者
三 陸軍部隊ニ於テ削蹄及裝蹄ニ關スル學理及技術ヲ修メ其ノ卒業證書ヲ有スル者
四 實業學校又ハ實業專門學校ニ於テ命令ノ定ムル所ニ依リ削蹄及裝蹄ニ關スル學理及技術ヲ修メ之ヲ卒業シタル者
五 外國ニ於テ削蹄及裝蹄ニ關スル學理及技術ヲ修メタル者ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
第一項ノ登錄及前項第一號ノ裝蹄師試驗ニ關スル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二條 主務大臣ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ニ對シテハ裝蹄師ノ免許ヲ爲スコトヲ得ズ
一 六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者
二 禁治產者又ハ準禁治產者
三 精神病者、啞者又ハ盲者
第三條 主務大臣ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ニ對シテハ裝蹄師ノ免許ヲ爲サザルコトヲ得
一 六年未滿ノ懲役又ハ禁錮ノ刑ニ處セラレタル者
二 削蹄又ハ裝蹄ニ關シ罰金ノ刑ニ處セラレ又ハ不正ノ行爲アリタル者
第四條 裝蹄師ニ非ザレバ馬ノ削蹄若ハ裝蹄又ハ牛ノ裝蹄ヲ業務ト爲スコトヲ得ズ
第五條 開業ノ裝蹄師ハ馬ノ削蹄若ハ裝蹄又ハ牛ノ裝蹄ノ需アル場合ニ於テ正當ノ事由ナクシテ之ヲ拒ムコトヲ得ズ
第六條 裝蹄師ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ道府縣裝蹄師會ヲ設立スベシ
道府縣裝蹄師會ハ日本裝蹄師會ヲ設立スルコトヲ得
道府縣裝蹄師會ハ日本裝蹄師會ノ會員トス
道府縣裝蹄師會及日本裝蹄師會ハ法人トシ勅令ノ定ムル所ニ依リ削蹄及裝蹄ニ關スル技術ノ改良發達ヲ圖ルヲ以テ目的トス
道府縣裝蹄師會ハ道府縣ヲ、日本裝蹄師會ハ內地ヲ區域トス
特別ノ事情アルトキハ道府縣裝蹄師會ハ二以上ノ道府縣ヲ區域トスルコトヲ得
第七條 道府縣裝蹄師會及日本裝蹄師會ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ會員ヨリ徵收スベキ收入ニ關シ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第八條 本法ニ規定スルモノノ外道府縣裝蹄師會及日本裝蹄師會ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九條 裝蹄師第二條各號ノ一ニ該當スルトキハ主務大臣ハ其ノ免許ヲ取消スベシ
裝蹄師第三條各號ノ一ニ該當スルトキハ主務大臣ハ其ノ免許ヲ取消シ又ハ期間ヲ定メテ其ノ業務ヲ停止スルコトヲ得
前二項ノ取消處分ヲ受ケタル者ト雖モ第二條第二號若ハ第三號ノ原因止ミタルトキ又ハ改悛ノ情顯著ナルトキハ再免許ヲ爲スコトヲ得
第十條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ三百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一 第四條ノ規定ニ違反シタル者
二 業務停止中ノ裝蹄師ニシテ其ノ業務ヲ爲シタルモノ
第十一條 第五條ノ規定ニ違反シタル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
蹄鐵工免許規則ハ之ヲ廢止ス
蹄鐵工免許規則ニ依リ蹄鐵工免狀ヲ受ケタル者ハ本法ニ依リ裝蹄師ノ免許ヲ受ケ裝蹄師名簿ニ登錄ヲ受ケタル者ト看做ス
本法施行前ニ蹄鐵工免許規則ノ罰則ヲ適用スベキ行爲アリタルトキハ本法施行ノ後ト雖モ仍其ノ罰則ヲ適用ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル装蹄師法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年四月一日
内閣総理大臣 米内光政
農林大臣 島田俊雄
法律第八十九号
装蹄師法
第一条 装蹄師タラントスル者ハ主務大臣ノ免許ヲ受ケ装蹄師名簿ニ登録ヲ受クベシ装蹄師ノ免許ヲ受クルニハ左ノ各号ノ一ニ該当スル資格ヲ有スルコトヲ要ス
一 装蹄師試験ニ合格シタル者
二 獣医師タル者又ハ獣医師ノ免許ヲ受クル資格ヲ有スル者
三 陸軍部隊ニ於テ削蹄及装蹄ニ関スル学理及技術ヲ修メ其ノ卒業証書ヲ有スル者
四 実業学校又ハ実業専門学校ニ於テ命令ノ定ムル所ニ依リ削蹄及装蹄ニ関スル学理及技術ヲ修メ之ヲ卒業シタル者
五 外国ニ於テ削蹄及装蹄ニ関スル学理及技術ヲ修メタル者ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
第一項ノ登録及前項第一号ノ装蹄師試験ニ関スル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二条 主務大臣ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ニ対シテハ装蹄師ノ免許ヲ為スコトヲ得ズ
一 六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者
二 禁治産者又ハ準禁治産者
三 精神病者、唖者又ハ盲者
第三条 主務大臣ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ニ対シテハ装蹄師ノ免許ヲ為サザルコトヲ得
一 六年未満ノ懲役又ハ禁錮ノ刑ニ処セラレタル者
二 削蹄又ハ装蹄ニ関シ罰金ノ刑ニ処セラレ又ハ不正ノ行為アリタル者
第四条 装蹄師ニ非ザレバ馬ノ削蹄若ハ装蹄又ハ牛ノ装蹄ヲ業務ト為スコトヲ得ズ
第五条 開業ノ装蹄師ハ馬ノ削蹄若ハ装蹄又ハ牛ノ装蹄ノ需アル場合ニ於テ正当ノ事由ナクシテ之ヲ拒ムコトヲ得ズ
第六条 装蹄師ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ道府県装蹄師会ヲ設立スベシ
道府県装蹄師会ハ日本装蹄師会ヲ設立スルコトヲ得
道府県装蹄師会ハ日本装蹄師会ノ会員トス
道府県装蹄師会及日本装蹄師会ハ法人トシ勅令ノ定ムル所ニ依リ削蹄及装蹄ニ関スル技術ノ改良発達ヲ図ルヲ以テ目的トス
道府県装蹄師会ハ道府県ヲ、日本装蹄師会ハ内地ヲ区域トス
特別ノ事情アルトキハ道府県装蹄師会ハ二以上ノ道府県ヲ区域トスルコトヲ得
第七条 道府県装蹄師会及日本装蹄師会ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ会員ヨリ徴収スベキ収入ニ関シ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第八条 本法ニ規定スルモノノ外道府県装蹄師会及日本装蹄師会ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九条 装蹄師第二条各号ノ一ニ該当スルトキハ主務大臣ハ其ノ免許ヲ取消スベシ
装蹄師第三条各号ノ一ニ該当スルトキハ主務大臣ハ其ノ免許ヲ取消シ又ハ期間ヲ定メテ其ノ業務ヲ停止スルコトヲ得
前二項ノ取消処分ヲ受ケタル者ト雖モ第二条第二号若ハ第三号ノ原因止ミタルトキ又ハ改悛ノ情顕著ナルトキハ再免許ヲ為スコトヲ得
第十条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ三百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
一 第四条ノ規定ニ違反シタル者
二 業務停止中ノ装蹄師ニシテ其ノ業務ヲ為シタルモノ
第十一条 第五条ノ規定ニ違反シタル者ハ百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
蹄鉄工免許規則ハ之ヲ廃止ス
蹄鉄工免許規則ニ依リ蹄鉄工免状ヲ受ケタル者ハ本法ニ依リ装蹄師ノ免許ヲ受ケ装蹄師名簿ニ登録ヲ受ケタル者ト看做ス
本法施行前ニ蹄鉄工免許規則ノ罰則ヲ適用スベキ行為アリタルトキハ本法施行ノ後ト雖モ仍其ノ罰則ヲ適用ス