所得税法人税内外地関渉法
法令番号: 法律第五十五號
公布年月日: 昭和15年3月29日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル所得稅法人稅內外地關涉法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年三月二十九日
內閣總理大臣 米內光政
大藏大臣 櫻內幸雄
法律第五十五號
所得稅法人稅內外地關涉法
第一條 朝鮮、臺灣、關東州、樺太又ハ南洋群島ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ所得稅法第十條ニ規定スル不動產所得、乙種ノ配當利子所得、事業所得、勤勞所得、山林ノ所得及乙種ノ退職所得ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ所得稅法ニ依ル分類所得稅ヲ課セズ
第二條 朝鮮、臺灣、樺太若ハ南洋群島ニ住所ヲ有スル個人、此等ノ地域ニ一年以上居所ヲ有スル個人(關東州ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル者ヲ除ク)又ハ此等ノ地域ニ本店若ハ主タル事務所ヲ有スル法人ノ所得稅法第十條ニ規定スル甲種ノ配當利子所得ニ付テハ同法第二十二條第一項ノ規定ニ拘ラズ同法第二十一條第一項又ハ第二項ニ規定スル稅率ニ依リ分類所得稅ヲ賦課ス關東州ニ住所ヲ有シ若ハ一年以上居所ヲ有スル個人又ハ關東州ニ本店若ハ主タル事務所ヲ有スル法人ガ所得稅法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ヨリ受クル利益若ハ利息ノ配當又ハ剩餘金ノ分配ニ付亦同ジ
第三條 所得稅法施行地ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ所得ニシテ左ノ各號ニ該當スルモノニ付テハ所得稅法ニ依ル分類所得稅ヲ課セズ
一 朝鮮、臺灣、關東州、樺太又ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ第二種ノ所得トシテ所得稅ヲ課スル公債、社債、朝鮮金融債券又ハ預金ノ利子及合同運用信託ノ利益
二 法人ヨリ受クル利益若ハ利息ノ配當又ハ剩餘金ノ分配ニシテ臺灣ニ於ケル法令ニ依リ配當稅ヲ課シ又ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ普通配當稅ヲ課スルモノ
三 朝鮮、臺灣、關東州、樺太又ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ第二種ノ所得トシテ所得稅ヲ課スル一時恩給及退職給與竝ニ此等ノ性質ヲ有スル給與
第四條 所得稅法施行地ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ所得稅法第十條ニ規定スル不動產所得中ニ朝鮮、臺灣又ハ關東州ニ於ケル資產ヨリ生ズルモノアルトキハ其ノ部分ノ所得ニ付テハ同法第二十一條第一項ノ規定ニ拘ラズ百分ノ八ノ稅率ニ依リ分類所得稅ヲ賦課ス
前項ニ規定スル個人ノ所得稅法第十條ニ規定スル甲種ノ事業所得中ニ朝鮮、臺灣又ハ樺太ニ於ケル營業ヨリ生ズルモノアルトキハ其ノ部分ノ所得ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ同法第二十一條第一項又ハ第三項ノ規定ニ拘ラズ左ノ稅率ニ依リ分類所得稅ヲ賦課ス
一 所得稅法第十七條又ハ第十八條ノ規定ニ依ル控除前ノ事業所得ノ金額ガ千圓ヲ超ユルトキ 百分ノ七
二 前號ノ金額ガ千圓以下ナルトキ 百分ノ四・五
所得稅法第二十一條第四項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第一項ニ規定スル個人ノ法人ヨリ受クル利益若ハ利息ノ配當又ハ剩餘金ノ分配中ニ朝鮮又ハ樺太ニ於ケル法令ニ依リ資本利子稅ヲ課スルモノアルトキハ其ノ部分ノ所得ニ付テハ所得稅法第二十一條第一項ノ規定ニ拘ラズ百分ノ六ノ稅率ニ依リ分類所得稅ヲ賦課ス
第五條 信託會社ガ其ノ引受ケタル合同運用信託ノ信託財產ニ付朝鮮、臺灣、關東州、樺太又ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ納付シタル第二種ノ所得ニ對スル所得稅及資本利子稅ハ各之ヲ所得稅法ニ依リ納付シタル甲種ノ配當利子所得ニ對スル分類所得稅ト看做シ同法第二十三條ノ規定ヲ適用ス
第六條 朝鮮、臺灣、關東州、樺太又ハ南洋群島ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ所得稅法第二十八條ニ規定スル所得ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ所得稅法ニ依ル綜合所得稅ヲ課セズ
第七條 所得稅法施行地ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ朝鮮、臺灣、關東州、樺太又ハ南洋群島ニ於テ支拂ヲ受クル公債、社債、朝鮮金融債券若ハ預金ノ利子又ハ命令ヲ以テ定ムル合同運用信託ノ利益ニシテ各當該地ノ法令ニ依リ第二種ノ所得トシテ所得稅ヲ課スルモノハ所得稅法第三十條第一項第三號ノ規定ニ拘ラズ前年中ノ收入金額(無記名ノ公債及社債ノ利子ニ付テハ支拂ヲ受ケタル金額)ヨリ其ノ十分ノ四ヲ控除シタル金額ニ依リ個人ノ總所得ヲ算出ス
第八條 日本ノ國籍ヲ有セザル者ノ朝鮮、臺灣、關東州、樺太又ハ南洋群島ニ於ケル資產、營業又ハ職業ヨリ生ズル所得ニ付テハ所得稅法第十一條第一項第七號及第二十九條第一號ノ規定ヲ適用セズ
第九條 配當利子特別稅法第十三條ノ規定ハ朝鮮、臺灣、關東州若ハ樺太ニ於ケル法令ニ依リ利益配當稅若ハ公債及社債利子稅ヲ課セラレ又ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ超過配當稅ヲ課セラルル利益ノ配當又ハ公債若ハ社債ノ利子ニ付所得稅ヲ課スル場合ニ之ヲ準用ス
外貨債特別稅法第十八條ノ規定ハ朝鮮、臺灣、關東州又ハ樺太ニ於ケル法令ニ依リ外貨債特別稅ヲ課セラルル外貨債ノ利子ニ付所得稅ヲ課スル場合ニ之ヲ準用ス
第十條 朝鮮、臺灣、關東州、樺太又ハ南洋群島ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ノ法人稅法第三條第一號ノ所得ニ付テハ同法第十六條第一項第一號ノ規定ニ拘ラズ百分ノ三ノ稅率ニ依リ法人稅ヲ賦課ス
朝鮮、臺灣、關東州又ハ樺太ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ノ法人稅法第三條第二號ノ所得及同條第三號ノ資本ニ付テハ法人稅法ニ依ル法人稅ヲ課セズ南洋群島ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ノ法人稅法第三條第二號ノ所得ニ付亦同ジ
第十一條 朝鮮、臺灣、關東州、樺太又ハ南洋群島ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ガ朝鮮、臺灣、關東州、樺太、南洋群島又ハ法人稅法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ト合併ヲ爲シタル場合ニ於テ合併後存續スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ガ法人稅法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スルトキハ合併後存續スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ハ合併ニ因リテ消滅シタル法人ノ最後ノ事業年度分ノ所得及資本竝ニ淸算所得ニ付法人稅ヲ納ムル義務アルモノトス
前項ノ場合ニ於テ合併ニ因リテ消滅シタル法人中朝鮮、臺灣、關東州、樺太又ハ南洋群島ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有シタル法人ノ所得及資本ニ付テハ法人稅法第十六條ノ規定ニ拘ラズ各當該地ニ於ケル法令ニ依リ算出シタル第一種ノ所得ニ對スル所得稅額及法人資本稅額ノ合計額(南洋群島ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有シタル法人ニ在リテハ第一種ノ所得ニ對スル所得稅額ノミニ依ル)ニ相當スル金額ヲ以テ法人稅ノ稅額トス
第十二條 法人稅法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ガ臺灣、樺太又ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ納付シタル又ハ納付スベキ各當該地ノ第一種所得稅附加稅ニ相當スル租稅ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノハ之ヲ法人稅ト看做シ法人稅法第四條第二項ノ規定ヲ適用ス
第十三條 法人ノ所有スル國債ノ利子ガ朝鮮、臺灣、關東州又ハ樺太ニ於ケル法令ニ依リ公債及社債利子稅ヲ課セラルルモノナルトキハ當該公債及社債利子稅ヲ配當利子特別稅ト看做シ法人稅法第十三條ノ規定ヲ適用ス
第十四條 法人稅法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ノ各事業年度ノ所得中ニ朝鮮、臺灣、關東州、樺太又ハ南洋群島ニ於ケル營業ヨリ生ズル所得アルトキハ其ノ部分ノ所得ニ付テハ法人稅法第十六條第一項第一號ノ規定ニ拘ラズ百分ノ十五ノ稅率ニ依リ法人稅ヲ賦課ス
第十五條 法人ガ朝鮮、臺灣、關東州、樺太又ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ納付シタル第二種ノ所得ニ對スル所得稅及資本利子稅、臺灣ニ於ケル法令ニ依リ納付シタル配當稅竝ニ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ納付シタル普通配當稅ハ之ヲ所得稅法第十條ニ規定スル配當利子所得ニ對スル分類所得稅ト看做シ法人稅法第十六條第二項乃至第四項ノ規定ヲ適用ス
第十六條 朝鮮、臺灣、關東州、樺太又ハ南洋群島ニ於テ所得稅ヲ免除スル各當該地ノ製造、採掘又ハ採取ノ事業ヨリ生ズル所得ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ所得稅法ニ依ル所得稅及法人稅法ニ依ル法人稅ヲ免除ス
第十七條 前條ノ規定ニ該當スル事業ガ製鐵事業法ニ依リ所得稅又ハ所得ニ對スル法人稅ノ免除ヲ受クルコトヲ得ベキ製鐵事業ニ相當スルモノナルトキハ之ヲ所得稅法施行地ニ在ル製鐵事業又ハ法人稅法施行地ニ在ル製鐵事業ト看做シ製鐵事業法第七條第三項(第十條、第十一條第二項及第四十三條ノ二第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ金額又ハ製鐵事業法第四十二條ノ規定ニ依リ適用セラルル製鐵業漿勵法第二條第三項ノ金額ヲ計算ス
前項ノ規定ハ輕金屬製造事業法、航空機製造事業法、人造石油製造事業法其ノ他ノ法律ニ依リ所得ニ對スル法人稅ヲ免除スル事業ノ一部ガ朝鮮、臺灣、關東州、樺太又ハ南洋群島ニ在ル場合ニ於テ各其ノ法律ノ規定スル所ニ依リ當該事業ヨリ生ズル所得中一定金額ヲ超過スル部分ニ對シ法人稅ヲ免除セザルトキニ於ケル其ノ超過額ノ計算ニ付之ヲ準用ス
附 則
第十八條 本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第十九條 大正九年法律第十二號ハ之ヲ廢止ス
第二十條 不動產所得、乙種ノ配當利子所得、事業所得、乙種ノ勤勞所得、山林ノ所得及乙種ノ退職所得ニ對スル分類所得稅竝ニ個人ノ總所得ニ對スル綜合所得稅ニ付テハ昭和十五年分ヨリ本法ヲ適用ス
法人ノ各事業年度ノ所得及資本ニ對スル法人稅ニ付テハ昭和十五年四月一日以後ニ終了スル事業年度分ヨリ、淸算所得ニ對スル法人稅ニ付テハ昭和十五年四月一日以後ニ於ケル解散又ハ合併ニ因ル分ヨリ本法ヲ適用ス
第二十一條 法人ノ本法施行前ニ終了シタル各事業年度分ノ所得及本法施行前ニ於ケル解散又ハ合併ニ因ル淸算所得ニ對スル所得稅竝ニ本法施行前ニ賦課シ若ハ賦課スベカリシ又ハ徵收シ若ハ徵收スベカリシ第二種又ハ第三種ノ所得ニ對スル所得稅ニ關シテハ仍從前ノ例ニ依ル
第二十二條 朝鮮、臺灣、樺太又ハ南洋群島ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ所得稅法施行地ニ於テ支拂ヲ受クル公債、社債、銀行預金及所得稅法第二十一條第二項ニ規定スル預金ノ利子竝ニ命令ヲ以テ定ムル合同運用信託ノ利益ニ付テハ第六條ノ規定ニ拘ラズ當分ノ內利子又ハ利益ノ支拂ヲ受クル者ノ申請ニ依リ利子又ハ利益支拂ノ際其ノ利子金額又ハ利益金額ヲ課稅標準トシ百分ノ十五ノ稅率ニ依リ綜合所得稅ヲ賦課スルコトヲ得
所得稅法第百六條第二項乃至第四項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第二十三條 所得稅法施行地ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ朝鮮、臺灣、樺太又ハ南洋群島ニ於テ支拂ヲ受クル公債、社債、朝鮮金融債券若ハ預金ノ利子又ハ合同運用信託ノ利益ニシテ各當該地ノ法令ニ依リ利子又ハ利益ノ支拂ノ際第三種ノ所得トシテ所得稅ヲ課シタルモノニ付テハ當分ノ內所得稅法ニ依ル綜合所得稅ヲ課セズ
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル所得税法人税内外地関渉法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年三月二十九日
内閣総理大臣 米内光政
大蔵大臣 桜内幸雄
法律第五十五号
所得税法人税内外地関渉法
第一条 朝鮮、台湾、関東州、樺太又ハ南洋群島ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ所得税法第十条ニ規定スル不動産所得、乙種ノ配当利子所得、事業所得、勤労所得、山林ノ所得及乙種ノ退職所得ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ所得税法ニ依ル分類所得税ヲ課セズ
第二条 朝鮮、台湾、樺太若ハ南洋群島ニ住所ヲ有スル個人、此等ノ地域ニ一年以上居所ヲ有スル個人(関東州ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル者ヲ除ク)又ハ此等ノ地域ニ本店若ハ主タル事務所ヲ有スル法人ノ所得税法第十条ニ規定スル甲種ノ配当利子所得ニ付テハ同法第二十二条第一項ノ規定ニ拘ラズ同法第二十一条第一項又ハ第二項ニ規定スル税率ニ依リ分類所得税ヲ賦課ス関東州ニ住所ヲ有シ若ハ一年以上居所ヲ有スル個人又ハ関東州ニ本店若ハ主タル事務所ヲ有スル法人ガ所得税法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ヨリ受クル利益若ハ利息ノ配当又ハ剰余金ノ分配ニ付亦同ジ
第三条 所得税法施行地ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ所得ニシテ左ノ各号ニ該当スルモノニ付テハ所得税法ニ依ル分類所得税ヲ課セズ
一 朝鮮、台湾、関東州、樺太又ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ第二種ノ所得トシテ所得税ヲ課スル公債、社債、朝鮮金融債券又ハ預金ノ利子及合同運用信託ノ利益
二 法人ヨリ受クル利益若ハ利息ノ配当又ハ剰余金ノ分配ニシテ台湾ニ於ケル法令ニ依リ配当税ヲ課シ又ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ普通配当税ヲ課スルモノ
三 朝鮮、台湾、関東州、樺太又ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ第二種ノ所得トシテ所得税ヲ課スル一時恩給及退職給与並ニ此等ノ性質ヲ有スル給与
第四条 所得税法施行地ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ所得税法第十条ニ規定スル不動産所得中ニ朝鮮、台湾又ハ関東州ニ於ケル資産ヨリ生ズルモノアルトキハ其ノ部分ノ所得ニ付テハ同法第二十一条第一項ノ規定ニ拘ラズ百分ノ八ノ税率ニ依リ分類所得税ヲ賦課ス
前項ニ規定スル個人ノ所得税法第十条ニ規定スル甲種ノ事業所得中ニ朝鮮、台湾又ハ樺太ニ於ケル営業ヨリ生ズルモノアルトキハ其ノ部分ノ所得ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ同法第二十一条第一項又ハ第三項ノ規定ニ拘ラズ左ノ税率ニ依リ分類所得税ヲ賦課ス
一 所得税法第十七条又ハ第十八条ノ規定ニ依ル控除前ノ事業所得ノ金額ガ千円ヲ超ユルトキ 百分ノ七
二 前号ノ金額ガ千円以下ナルトキ 百分ノ四・五
所得税法第二十一条第四項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第一項ニ規定スル個人ノ法人ヨリ受クル利益若ハ利息ノ配当又ハ剰余金ノ分配中ニ朝鮮又ハ樺太ニ於ケル法令ニ依リ資本利子税ヲ課スルモノアルトキハ其ノ部分ノ所得ニ付テハ所得税法第二十一条第一項ノ規定ニ拘ラズ百分ノ六ノ税率ニ依リ分類所得税ヲ賦課ス
第五条 信託会社ガ其ノ引受ケタル合同運用信託ノ信託財産ニ付朝鮮、台湾、関東州、樺太又ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ納付シタル第二種ノ所得ニ対スル所得税及資本利子税ハ各之ヲ所得税法ニ依リ納付シタル甲種ノ配当利子所得ニ対スル分類所得税ト看做シ同法第二十三条ノ規定ヲ適用ス
第六条 朝鮮、台湾、関東州、樺太又ハ南洋群島ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ所得税法第二十八条ニ規定スル所得ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ所得税法ニ依ル綜合所得税ヲ課セズ
第七条 所得税法施行地ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ朝鮮、台湾、関東州、樺太又ハ南洋群島ニ於テ支払ヲ受クル公債、社債、朝鮮金融債券若ハ預金ノ利子又ハ命令ヲ以テ定ムル合同運用信託ノ利益ニシテ各当該地ノ法令ニ依リ第二種ノ所得トシテ所得税ヲ課スルモノハ所得税法第三十条第一項第三号ノ規定ニ拘ラズ前年中ノ収入金額(無記名ノ公債及社債ノ利子ニ付テハ支払ヲ受ケタル金額)ヨリ其ノ十分ノ四ヲ控除シタル金額ニ依リ個人ノ総所得ヲ算出ス
第八条 日本ノ国籍ヲ有セザル者ノ朝鮮、台湾、関東州、樺太又ハ南洋群島ニ於ケル資産、営業又ハ職業ヨリ生ズル所得ニ付テハ所得税法第十一条第一項第七号及第二十九条第一号ノ規定ヲ適用セズ
第九条 配当利子特別税法第十三条ノ規定ハ朝鮮、台湾、関東州若ハ樺太ニ於ケル法令ニ依リ利益配当税若ハ公債及社債利子税ヲ課セラレ又ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ超過配当税ヲ課セラルル利益ノ配当又ハ公債若ハ社債ノ利子ニ付所得税ヲ課スル場合ニ之ヲ準用ス
外貨債特別税法第十八条ノ規定ハ朝鮮、台湾、関東州又ハ樺太ニ於ケル法令ニ依リ外貨債特別税ヲ課セラルル外貨債ノ利子ニ付所得税ヲ課スル場合ニ之ヲ準用ス
第十条 朝鮮、台湾、関東州、樺太又ハ南洋群島ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ノ法人税法第三条第一号ノ所得ニ付テハ同法第十六条第一項第一号ノ規定ニ拘ラズ百分ノ三ノ税率ニ依リ法人税ヲ賦課ス
朝鮮、台湾、関東州又ハ樺太ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ノ法人税法第三条第二号ノ所得及同条第三号ノ資本ニ付テハ法人税法ニ依ル法人税ヲ課セズ南洋群島ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ノ法人税法第三条第二号ノ所得ニ付亦同ジ
第十一条 朝鮮、台湾、関東州、樺太又ハ南洋群島ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ガ朝鮮、台湾、関東州、樺太、南洋群島又ハ法人税法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ト合併ヲ為シタル場合ニ於テ合併後存続スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ガ法人税法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スルトキハ合併後存続スル法人又ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ハ合併ニ因リテ消滅シタル法人ノ最後ノ事業年度分ノ所得及資本並ニ清算所得ニ付法人税ヲ納ムル義務アルモノトス
前項ノ場合ニ於テ合併ニ因リテ消滅シタル法人中朝鮮、台湾、関東州、樺太又ハ南洋群島ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有シタル法人ノ所得及資本ニ付テハ法人税法第十六条ノ規定ニ拘ラズ各当該地ニ於ケル法令ニ依リ算出シタル第一種ノ所得ニ対スル所得税額及法人資本税額ノ合計額(南洋群島ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有シタル法人ニ在リテハ第一種ノ所得ニ対スル所得税額ノミニ依ル)ニ相当スル金額ヲ以テ法人税ノ税額トス
第十二条 法人税法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ガ台湾、樺太又ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ納付シタル又ハ納付スベキ各当該地ノ第一種所得税附加税ニ相当スル租税ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノハ之ヲ法人税ト看做シ法人税法第四条第二項ノ規定ヲ適用ス
第十三条 法人ノ所有スル国債ノ利子ガ朝鮮、台湾、関東州又ハ樺太ニ於ケル法令ニ依リ公債及社債利子税ヲ課セラルルモノナルトキハ当該公債及社債利子税ヲ配当利子特別税ト看做シ法人税法第十三条ノ規定ヲ適用ス
第十四条 法人税法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ノ各事業年度ノ所得中ニ朝鮮、台湾、関東州、樺太又ハ南洋群島ニ於ケル営業ヨリ生ズル所得アルトキハ其ノ部分ノ所得ニ付テハ法人税法第十六条第一項第一号ノ規定ニ拘ラズ百分ノ十五ノ税率ニ依リ法人税ヲ賦課ス
第十五条 法人ガ朝鮮、台湾、関東州、樺太又ハ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ納付シタル第二種ノ所得ニ対スル所得税及資本利子税、台湾ニ於ケル法令ニ依リ納付シタル配当税並ニ南洋群島ニ於ケル法令ニ依リ納付シタル普通配当税ハ之ヲ所得税法第十条ニ規定スル配当利子所得ニ対スル分類所得税ト看做シ法人税法第十六条第二項乃至第四項ノ規定ヲ適用ス
第十六条 朝鮮、台湾、関東州、樺太又ハ南洋群島ニ於テ所得税ヲ免除スル各当該地ノ製造、採掘又ハ採取ノ事業ヨリ生ズル所得ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ所得税法ニ依ル所得税及法人税法ニ依ル法人税ヲ免除ス
第十七条 前条ノ規定ニ該当スル事業ガ製鉄事業法ニ依リ所得税又ハ所得ニ対スル法人税ノ免除ヲ受クルコトヲ得ベキ製鉄事業ニ相当スルモノナルトキハ之ヲ所得税法施行地ニ在ル製鉄事業又ハ法人税法施行地ニ在ル製鉄事業ト看做シ製鉄事業法第七条第三項(第十条、第十一条第二項及第四十三条ノ二第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ金額又ハ製鉄事業法第四十二条ノ規定ニ依リ適用セラルル製鉄業漿励法第二条第三項ノ金額ヲ計算ス
前項ノ規定ハ軽金属製造事業法、航空機製造事業法、人造石油製造事業法其ノ他ノ法律ニ依リ所得ニ対スル法人税ヲ免除スル事業ノ一部ガ朝鮮、台湾、関東州、樺太又ハ南洋群島ニ在ル場合ニ於テ各其ノ法律ノ規定スル所ニ依リ当該事業ヨリ生ズル所得中一定金額ヲ超過スル部分ニ対シ法人税ヲ免除セザルトキニ於ケル其ノ超過額ノ計算ニ付之ヲ準用ス
附 則
第十八条 本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第十九条 大正九年法律第十二号ハ之ヲ廃止ス
第二十条 不動産所得、乙種ノ配当利子所得、事業所得、乙種ノ勤労所得、山林ノ所得及乙種ノ退職所得ニ対スル分類所得税並ニ個人ノ総所得ニ対スル綜合所得税ニ付テハ昭和十五年分ヨリ本法ヲ適用ス
法人ノ各事業年度ノ所得及資本ニ対スル法人税ニ付テハ昭和十五年四月一日以後ニ終了スル事業年度分ヨリ、清算所得ニ対スル法人税ニ付テハ昭和十五年四月一日以後ニ於ケル解散又ハ合併ニ因ル分ヨリ本法ヲ適用ス
第二十一条 法人ノ本法施行前ニ終了シタル各事業年度分ノ所得及本法施行前ニ於ケル解散又ハ合併ニ因ル清算所得ニ対スル所得税並ニ本法施行前ニ賦課シ若ハ賦課スベカリシ又ハ徴収シ若ハ徴収スベカリシ第二種又ハ第三種ノ所得ニ対スル所得税ニ関シテハ仍従前ノ例ニ依ル
第二十二条 朝鮮、台湾、樺太又ハ南洋群島ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ所得税法施行地ニ於テ支払ヲ受クル公債、社債、銀行預金及所得税法第二十一条第二項ニ規定スル預金ノ利子並ニ命令ヲ以テ定ムル合同運用信託ノ利益ニ付テハ第六条ノ規定ニ拘ラズ当分ノ内利子又ハ利益ノ支払ヲ受クル者ノ申請ニ依リ利子又ハ利益支払ノ際其ノ利子金額又ハ利益金額ヲ課税標準トシ百分ノ十五ノ税率ニ依リ綜合所得税ヲ賦課スルコトヲ得
所得税法第百六条第二項乃至第四項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第二十三条 所得税法施行地ニ住所ヲ有シ又ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ朝鮮、台湾、樺太又ハ南洋群島ニ於テ支払ヲ受クル公債、社債、朝鮮金融債券若ハ預金ノ利子又ハ合同運用信託ノ利益ニシテ各当該地ノ法令ニ依リ利子又ハ利益ノ支払ノ際第三種ノ所得トシテ所得税ヲ課シタルモノニ付テハ当分ノ内所得税法ニ依ル綜合所得税ヲ課セズ