第一條 本法ニ於テ司法保護事業トハ左ニ揭グル者ノ保護ヲ爲ス事業及右事業ニ關シ指導、聯絡又ハ助成ヲ爲ス事業ヲ謂フ
一 訴追ヲ必要トセザル爲公訴ヲ提起セズトセラレタル者
第二條 前條ノ保護ニ於テハ本人ガ更ニ罪ヲ犯スノ危險ヲ防止シ之ヲシテ進ンデ臣民ノ本分ヲ恪守セシムル爲性格ノ陶冶、生業ノ助成其ノ他適當ノ處置ヲ以テ本人ヲ輔導スルモノトス
第三條 司法保護事業ヲ經營セントスル者ハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ之ヲ廢止セントスルトキ亦同ジ
第四條 主務大臣ハ司法保護事業ヲ經營スル者ニ對シ監督上必要アル場合ニ於テハ其ノ事業ニ關スル報吿ヲ徵シ、實況ヲ調査シ又ハ事業ノ經營ニ關シ指示ヲ爲スコトヲ得
第五條 主務大臣ハ司法保護事業ヲ經營スル者ニ對シ司法保護事業ニ關スル事項ノ調査ヲ委囑スルコトヲ得
第六條 司法保護事業ヲ經營スル者其ノ事業ノ經營ニ必要ナル資金ヲ得ル爲寄附金ヲ募集セントスルトキハ主務大臣又ハ地方長官ノ許可ヲ受クベシ
前項ノ規定ニ依リ寄附金ヲ募集シタル者(其ノ承繼者ヲ含ム)ハ其ノ收支ヲ寄附金募集ノ許可ヲ受ケタル官廳ニ報吿スベシ
前項ニ揭グル者其ノ寄附金又ハ之ニ依リテ得タル財產ヲ處分セントスルトキハ寄附金募集ノ許可ヲ受ケタル官廳ノ許可ヲ受クベシ
第七條 司法保護事業ヲ經營スル者本法ニ違反シ、公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリ又ハ著シク不當ノ行爲アリタルトキハ主務大臣ハ司法保護事業委員會ノ意見ヲ聽キ其ノ者ニ對シ第三條ノ認可ヲ取消シ又ハ事業ノ經營ヲ制限スルコトヲ得司法保護事業ヲ經營スル者ガ法人ナル場合ニ於テ理事其ノ他ノ業務ヲ執行スル役員ニ著シク不當ノ行爲アリタルトキ亦同ジ
司法保護事業委員會ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八條 政府ハ司法保護事業ヲ經營スル者ニ對シ豫算ノ範圍內ニ於テ奬勵金ヲ交付スルコトヲ得
第九條 道府縣、市町村其ノ他ノ公共團體ハ司法保護事業ノ用ニ供スル土地建物ニ對シテ租稅其ノ他ノ公課ヲ課スルコトヲ得ズ但シ有料ニテ之ヲ使用セシムル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第十條 第一條ニ揭グル者ノ保護ヲ爲サシムル爲別ニ司法保護委員ヲ置ク
第十一條 司法保護事業ヲ經營スル者左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第六條第一項ノ規定ニ依ル許可ヲ受ケズシテ寄附金ヲ募集シタルトキ
二 第六條第二項ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シタルトキ
三 第六條第三項ノ規定ニ依ル許可ヲ受ケズ又ハ其ノ許可ニ反シテ寄附金又ハ之ニ依リ得タル財產ヲ處分シタルトキ
四 第七條ノ規定ニ依ル取消又ハ制限ニ違反シテ司法保護事業ヲ經營シタルトキ
第十二條 司法保護事業ヲ經營スル者ハ其ノ代理人、戶主、家族、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ本法ニ違反シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第十三條 司法保護事業ヲ經營スル者ニ適用スベキ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス