人造石油製造事業法施行令
法令番号: 勅令第四十一號
公布年月日: 昭和13年1月24日
法令の形式: 勅令
朕人造石油製造事業法施行令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年一月二十二日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
海軍大臣 米內光政
陸軍大臣 杉山元
大藏大臣 賀屋興宣
商工大臣 吉野信次
勅令第四十一號
人造石油製造事業法施行令
第一條 人造石油製造事業法第二條ノ人造石油製造事業ハ左ニ揭グル事業トス
一 石炭、亞炭又ハタールヲ原料トスル水素添加事業ニシテ人造石油ノ製造能力一ノ工場ニ付一年一萬キロリットル以上ノモノ
二 ガスヲ原料トスル石油合成事業ニシテ人造石油ノ製造能力一ノ工場ニ付一年天然ガスノミヲ原料トスルモノニ在リテハ千キロリットル以上、其ノ他ノモノニ在リテハ一萬キロリットル以上ノモノ
三 石炭又ハ亞炭ノ低溫乾溜事業ニシテ原料炭處理能力一ノ工場ニ付一年十萬瓲以上ノモノ
前項各號ノ一ニ該當スル事業ヲ營ム會社ガ其ノ事業ニ關聯シ同一工場ニ於テ他ノ前項各號ニ揭グル種類ノ事業ニシテ其ノ能力ガ前項各號ニ規定スル能力ニ達セザルモノヲ營ムトキハ之ヲ當該事業ノ一部ト看做ス
第二條 人造石油製造事業法第二條ノ許可ハ人造石油製造工場每ニ且前條第一項各號ノ事業別ニ之ヲ爲スモノトス
第三條 商工大臣ハ石油ノ需要供給ヲ參酌シ人造石油製造事業ノ健全ナル發達ニ支障アリト認ムルトキハ人造石油製造事業法第二條ノ許可ヲ爲サザルコトヲ得
第四條 人造石油製造事業法第六條ノ規定ニ依リ所得稅又ハ營業收益稅ノ免除ヲ受ケントスル會社ハ所得稅法第二十四條又ハ營業收益稅法第十一條ノ規定ニ依リ所得又ハ純益金額ヲ申吿スルトキ其ノ旨所轄稅務署ニ申請スベシ
前項ノ場合ニ於テ所得稅及營業收益稅ノ免除ヲ受クベキ事業ヨリ生ズル所得又ハ純益ト其ノ他ノ所得又ハ純益トヲ有スルトキハ之ヲ區別シタル計算書ヲ添附スベシ
第五條 人造石油製造事業法第八條ノ規定ニ依リ輸入稅ノ免除ヲ受クルコトヲ得ベキ器具、機械又ハ材料ハ商工大臣ノ定ムル物品ニシテ豫メ商工大臣ノ認可ヲ受ケ輸入スルモノニ限ル
第六條 人造石油製造事業法第八條ノ規定ニ依リ輸入稅ノ免除ヲ受ケントスル會社ハ輸入申吿書ニ前條ノ認可ヲ受ケタルコトヲ證スル書類ヲ添附スベシ
輸入申吿ハ人造石油製造會社ノ名ヲ以テスルコトヲ要ス
第七條 輸入稅ノ免除ヲ受ケタル物品ヲ人造石油製造事業法第八條ノ規定ニ依リ輸入稅ノ免除ヲ受クルコトヲ得ベキ他ノ用途ニ供セントスル場合ニ於テハ商工大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ旨稅關ニ申吿スルコトヲ要ス
第八條 輸入稅ノ免除ヲ受ケタル物品ヲ輸入ノ日ヨリ三年以內ニ目的タル用途又ハ前條ノ規定ニ依ル他ノ用途ニ供セザルトキハ其ノ輸入稅ヲ追徵ス但シ已ムヲ得ザル事由ニ依リ其ノ期間ノ延長ニ付商工大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ旨稅關ニ申吿シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第九條 人造石油製造事業法第九條ノ奬勵金ハ人造石油製造會社ニ對シ命令ヲ以テ定ムル人造石油ニ付之ヲ交付ス
奬勵金ノ額ハ人造石油ノ市價及生產費ヲ標準トシ相當利益ヲ參酌シテ商工大臣每年之ヲ定ム
第十條 商工大臣人造石油製造事業法第十六條ノ命令ヲ爲サントスル場合ニ於テ其ノ命令ガ軍事上ニ影響ヲ及ボスベキモノナルトキハ陸軍大臣又ハ海軍大臣ニ協議スベシ
第十一條 陸軍大臣又ハ海軍大臣人造石油製造事業法第十七條ノ命令ヲ爲サントスルトキハ商工大臣ニ協議スベシ
第十二條 政府ハ軍事上其ノ他公益上緊急ノ必要アルトキハ人造石油製造事業法第十八條ノ規定ニ依リ人造石油製造會社ノ所有スル人造石油ヲ購入スルコトヲ得
第十三條 本令中商工大臣トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮總督、臺灣ニ在リテハ臺灣總督、樺太ニ在リテハ樺太廳長官トス
附 則
本令ハ人造石油製造事業法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
朕人造石油製造事業法施行令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年一月二十二日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
海軍大臣 米内光政
陸軍大臣 杉山元
大蔵大臣 賀屋興宣
商工大臣 吉野信次
勅令第四十一号
人造石油製造事業法施行令
第一条 人造石油製造事業法第二条ノ人造石油製造事業ハ左ニ掲グル事業トス
一 石炭、亜炭又ハタールヲ原料トスル水素添加事業ニシテ人造石油ノ製造能力一ノ工場ニ付一年一万キロリットル以上ノモノ
二 ガスヲ原料トスル石油合成事業ニシテ人造石油ノ製造能力一ノ工場ニ付一年天然ガスノミヲ原料トスルモノニ在リテハ千キロリットル以上、其ノ他ノモノニ在リテハ一万キロリットル以上ノモノ
三 石炭又ハ亜炭ノ低温乾溜事業ニシテ原料炭処理能力一ノ工場ニ付一年十万瓲以上ノモノ
前項各号ノ一ニ該当スル事業ヲ営ム会社ガ其ノ事業ニ関連シ同一工場ニ於テ他ノ前項各号ニ掲グル種類ノ事業ニシテ其ノ能力ガ前項各号ニ規定スル能力ニ達セザルモノヲ営ムトキハ之ヲ当該事業ノ一部ト看做ス
第二条 人造石油製造事業法第二条ノ許可ハ人造石油製造工場毎ニ且前条第一項各号ノ事業別ニ之ヲ為スモノトス
第三条 商工大臣ハ石油ノ需要供給ヲ参酌シ人造石油製造事業ノ健全ナル発達ニ支障アリト認ムルトキハ人造石油製造事業法第二条ノ許可ヲ為サザルコトヲ得
第四条 人造石油製造事業法第六条ノ規定ニ依リ所得税又ハ営業収益税ノ免除ヲ受ケントスル会社ハ所得税法第二十四条又ハ営業収益税法第十一条ノ規定ニ依リ所得又ハ純益金額ヲ申告スルトキ其ノ旨所轄税務署ニ申請スベシ
前項ノ場合ニ於テ所得税及営業収益税ノ免除ヲ受クベキ事業ヨリ生ズル所得又ハ純益ト其ノ他ノ所得又ハ純益トヲ有スルトキハ之ヲ区別シタル計算書ヲ添附スベシ
第五条 人造石油製造事業法第八条ノ規定ニ依リ輸入税ノ免除ヲ受クルコトヲ得ベキ器具、機械又ハ材料ハ商工大臣ノ定ムル物品ニシテ予メ商工大臣ノ認可ヲ受ケ輸入スルモノニ限ル
第六条 人造石油製造事業法第八条ノ規定ニ依リ輸入税ノ免除ヲ受ケントスル会社ハ輸入申告書ニ前条ノ認可ヲ受ケタルコトヲ証スル書類ヲ添附スベシ
輸入申告ハ人造石油製造会社ノ名ヲ以テスルコトヲ要ス
第七条 輸入税ノ免除ヲ受ケタル物品ヲ人造石油製造事業法第八条ノ規定ニ依リ輸入税ノ免除ヲ受クルコトヲ得ベキ他ノ用途ニ供セントスル場合ニ於テハ商工大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ旨税関ニ申告スルコトヲ要ス
第八条 輸入税ノ免除ヲ受ケタル物品ヲ輸入ノ日ヨリ三年以内ニ目的タル用途又ハ前条ノ規定ニ依ル他ノ用途ニ供セザルトキハ其ノ輸入税ヲ追徴ス但シ已ムヲ得ザル事由ニ依リ其ノ期間ノ延長ニ付商工大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ旨税関ニ申告シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第九条 人造石油製造事業法第九条ノ奨励金ハ人造石油製造会社ニ対シ命令ヲ以テ定ムル人造石油ニ付之ヲ交付ス
奨励金ノ額ハ人造石油ノ市価及生産費ヲ標準トシ相当利益ヲ参酌シテ商工大臣毎年之ヲ定ム
第十条 商工大臣人造石油製造事業法第十六条ノ命令ヲ為サントスル場合ニ於テ其ノ命令ガ軍事上ニ影響ヲ及ボスベキモノナルトキハ陸軍大臣又ハ海軍大臣ニ協議スベシ
第十一条 陸軍大臣又ハ海軍大臣人造石油製造事業法第十七条ノ命令ヲ為サントスルトキハ商工大臣ニ協議スベシ
第十二条 政府ハ軍事上其ノ他公益上緊急ノ必要アルトキハ人造石油製造事業法第十八条ノ規定ニ依リ人造石油製造会社ノ所有スル人造石油ヲ購入スルコトヲ得
第十三条 本令中商工大臣トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮総督、台湾ニ在リテハ台湾総督、樺太ニ在リテハ樺太庁長官トス
附 則
本令ハ人造石油製造事業法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス