第八條 退職積立金トシテ積立ツベキ金額ノ計算ハ豫メ事業主ノ定メタル一月以內ノ一定ノ期間中ノ賃金ニ依リ之ヲ爲スモノトス
事業主ハ退職積立金トシテ積立ツベキ金額ヲ前項ノ期間每ニ其ノ期間中ノ賃金ヨリ控除スベシ但シ其ノ期間中ノ賃金ヨリ控除スルコト能ハザルトキハ其ノ次ノ期間中ノ賃金ヨリ控除スルコトヲ得
第九條 退職積立金ノ積立ハ前條第二項ノ規定ニ依ル控除ノ都度遲滯ナク之ヲ爲スベシ但シ行政官廳ノ許可ヲ受ケタルトキハ一定ノ時期ニ取纏メ積立ヲ爲スコトヲ得
行政官廳必要アリト認ムルトキハ前項ノ許可ヲ取消スコトヲ得
第十條 退職積立金ノ積立ハ事業主行政官廳ノ許可ヲ受ケ勞働者ノ他ノ財產ト分別シテ郵便貯金、銀行ヘノ預金、金錢信託、登錄國債其ノ他確實ナル方法ニ依リ之ヲ爲スベシ
行政官廳必要アリト認ムルトキハ前項ノ許可ヲ取消シ又ハ積立ノ方法ヲ指定スルコトヲ得
郵便貯金、銀行ヘノ預金又ハ金錢信託ノ方法ニ依リ退職積立金ノ積立ヲ爲ス場合ニ於テハ其ノ支拂ニ付事業主ノ證明ヲ必要トスル方法ニ依リ之ヲ爲シ通帳又ハ證書ハ事業主之ヲ保管スベシ
登錄國債ノ方法ニ依リ退職積立金ノ積立ヲ爲ス場合ニ於テハ登錄ノ變更又ハ除却等其ノ登錄國債ニ關スル請求ハ事業主之ヲ爲シ其ノ登錄國債ノ元利金ノ支拂又ハ登錄除却ノ場合ニ於ケル證券ノ引渡ハ日本銀行之ヲ事業主ニ爲スベシ
第十一條 退職積立金ノ積立ハ郵便貯金、銀行ヘノ預金又ハ金錢信託ノ方法ニ依ル場合ニ在リテハ通帳又ハ證書ニ退職積立金タルコトノ表示ヲ爲スコトヲ以テ、登錄國債ノ方法ニ依ル場合ニ在リテハ甲種國債登錄簿ニ退職積立金タル旨ノ記載ヲ爲スコトヲ以テ之ヲ爲ス
郵便貯金、銀行ヘノ預金又ハ金錢信託ノ方法ニ依ル退職積立金ノ積立ニ付テハ郵便官署、銀行又ハ信託會社其ノ受入又ハ引受ヲ爲シタルトキハ事業主ノ請求ニ依リ通帳又ハ證書ニ退職積立金タルコトノ表示ヲ爲シ尙貯金原簿又ハ之ニ準ズベキ帳簿ニ退職積立金タル旨ノ記載ヲ爲スベシ
登錄國債ノ方法ニ依ル退職積立金ノ積立ニ付テハ日本銀行ハ事業主ノ請求ニ依リ甲種國債登錄簿ニ退職積立金タル旨ノ記載ヲ爲スベシ
第十二條 勞働者退職其ノ他ノ事由ニ因リ退職積立金及退職手當法ノ適用ヲ受ケザルニ至リタル場合ニ於テハ事業主ハ勞働者ガ退職積立金ノ支拂ヲ受クルニ必要ナル事業主ノ爲スベキ手續ヲ遲滯ナク完了スルコトヲ要ス
前項ノ場合ニ於テ事業主ハ退職積立金ニ關スル表示又ハ記載ノ抹消ヲ請求スベシ
第十三條 事業主ハ勞働者退職其ノ他ノ事由ニ因リ退職積立金及退職手當法ノ適用ヲ受ケザルニ至リタル場合ニ於テ其ノ勞働者ノ賃金ヨリ控除シタル金額ニシテ積立ヲ爲サザルモノアルトキハ之ヲ支拂フベシ