朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル不正競爭防止法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和九年三月二十六日
內閣總理大臣 子爵 齋藤實
司法大臣 小山松吉
商工大臣 松本烝治
法律第十四號
不正競爭防止法
第一條 不正ノ競爭ノ目的ヲ以テ左ノ各號ノ一ニ該當スル行爲ヲ爲シタル者ハ被害者ニ對シ損害賠償ノ責ニ任ズ
一 本法施行ノ地域內ニ於テ取引上廣ク認識セラルル他人ノ氏名、商號、商標、商品ノ容器包裝其ノ他他人ノ商品タルコトヲ示ス表示ト同一若ハ類似ノモノヲ使用シ又ハ之ヲ使用シタル商品ヲ販賣若ハ擴布シテ他人ノ商品ト混同ヲ生ゼシムル行爲
二 假設若ハ僭用ノ商號ニ附加シテ商品ニ虛僞ノ原產地ノ表示ヲ爲シ又ハ之ヲ表示シタル商品ヲ販賣若ハ擴布シテ原產地ノ誤認ヲ生ゼシムル行爲
三 他人ノ商品ノ信用ヲ害スル虛僞ノ事實ヲ陳述シ又ハ之ヲ流布スル行爲
前項ノ行爲ヲ爲シタル者ニ對シテハ裁判所ハ被害者ノ請求ニ因リ損害賠償ニ代ヘ又ハ損害賠償ト共ニ其ノ行爲ノ差止ヲ命ズルコトヲ得
第一項第三號ノ行爲ヲ爲シタル者ニ對シテハ裁判所ハ被害者ノ請求ニ因リ商品ノ信用ヲ囘復スルニ必要ナル處置ヲモ命ズルコトヲ得
第二條 商品ノ普通名稱若ハ取引上普通ニ同種ノ商品ニ慣用セラルル地名其ノ他ノ表示ヲ使用スル行爲又ハ之ヲ使用シタル商品ヲ販賣若ハ擴布スル行爲ニ付テハ前條ノ規定ヲ適用セズ
第三條 外國人ニシテ本法施行ノ地域內ニ住所又ハ營業所ヲ有セザルモノハ條約又ハ之ニ準ズベキモノニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外第一條ノ請求ヲ爲スコトヲ得ズ
第四條 外國ノ國ノ紋章、旗章其ノ他ノ徽章ニシテ主務大臣ノ指定スルモノト同一又ハ類似ノモノハ其ノ國ノ當該官廳ノ許可ナクシテ之ヲ商標トシテ使用シ又ハ之ヲ商標トシテ使用シタル商品ヲ販賣若ハ擴布スルコトヲ得ズ
前項ノ紋章ハ其ノ國ノ當該官廳ノ許可ナクシテ商品ノ原產地ノ誤認ヲ生ゼシムル方法ニ依リ取引上之ヲ使用シ又ハ之ヲ使用シタル商品ヲ販賣若ハ擴布スルコトヲ得ズ
外國ノ官ノ監督用又ハ證明用ノ印章又ハ記號ニシテ主務大臣ノ指定スルモノト同一又ハ類似ノモノハ其ノ國ノ當該官廳ノ許可ナクシテ之ヲ同一若ハ類似ノ商品ノ商標トシテ使用シ又ハ之ヲ使用シタル商品ヲ販賣若ハ擴布スルコトヲ得ズ
帝國ノ紋章、旗章其ノ他ノ徽章又ハ官ノ監督用若ハ證明用ノ印章若ハ記號ノ使用ノ許可ヲ當該官廳ヨリ受ケタルトキハ外國ノ國ノ紋章、旗章其ノ他ノ徽章又ハ官ノ監督用若ハ證明用ノ印章若ハ記號ト同一又ハ類似ノモノナル場合ト雖モ前三項ノ規定ヲ適用セズ
第五條 前條ノ規定ニ違反シタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第六條 第一條第一項第一號第二號及第四條第一項乃至第三項ノ規定ハ特許法、實用新案法、意匠法又ハ商標法ニ依リ權利ノ行使ト認メラルル行爲ニハ之ヲ適用セズ
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル不正競争防止法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和九年三月二十六日
内閣総理大臣 子爵 斎藤実
司法大臣 小山松吉
商工大臣 松本烝治
法律第十四号
不正競争防止法
第一条 不正ノ競争ノ目的ヲ以テ左ノ各号ノ一ニ該当スル行為ヲ為シタル者ハ被害者ニ対シ損害賠償ノ責ニ任ズ
一 本法施行ノ地域内ニ於テ取引上広ク認識セラルル他人ノ氏名、商号、商標、商品ノ容器包装其ノ他他人ノ商品タルコトヲ示ス表示ト同一若ハ類似ノモノヲ使用シ又ハ之ヲ使用シタル商品ヲ販売若ハ拡布シテ他人ノ商品ト混同ヲ生ゼシムル行為
二 仮設若ハ僣用ノ商号ニ附加シテ商品ニ虚偽ノ原産地ノ表示ヲ為シ又ハ之ヲ表示シタル商品ヲ販売若ハ拡布シテ原産地ノ誤認ヲ生ゼシムル行為
三 他人ノ商品ノ信用ヲ害スル虚偽ノ事実ヲ陳述シ又ハ之ヲ流布スル行為
前項ノ行為ヲ為シタル者ニ対シテハ裁判所ハ被害者ノ請求ニ因リ損害賠償ニ代ヘ又ハ損害賠償ト共ニ其ノ行為ノ差止ヲ命ズルコトヲ得
第一項第三号ノ行為ヲ為シタル者ニ対シテハ裁判所ハ被害者ノ請求ニ因リ商品ノ信用ヲ回復スルニ必要ナル処置ヲモ命ズルコトヲ得
第二条 商品ノ普通名称若ハ取引上普通ニ同種ノ商品ニ慣用セラルル地名其ノ他ノ表示ヲ使用スル行為又ハ之ヲ使用シタル商品ヲ販売若ハ拡布スル行為ニ付テハ前条ノ規定ヲ適用セズ
第三条 外国人ニシテ本法施行ノ地域内ニ住所又ハ営業所ヲ有セザルモノハ条約又ハ之ニ準ズベキモノニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外第一条ノ請求ヲ為スコトヲ得ズ
第四条 外国ノ国ノ紋章、旗章其ノ他ノ徽章ニシテ主務大臣ノ指定スルモノト同一又ハ類似ノモノハ其ノ国ノ当該官庁ノ許可ナクシテ之ヲ商標トシテ使用シ又ハ之ヲ商標トシテ使用シタル商品ヲ販売若ハ拡布スルコトヲ得ズ
前項ノ紋章ハ其ノ国ノ当該官庁ノ許可ナクシテ商品ノ原産地ノ誤認ヲ生ゼシムル方法ニ依リ取引上之ヲ使用シ又ハ之ヲ使用シタル商品ヲ販売若ハ拡布スルコトヲ得ズ
外国ノ官ノ監督用又ハ証明用ノ印章又ハ記号ニシテ主務大臣ノ指定スルモノト同一又ハ類似ノモノハ其ノ国ノ当該官庁ノ許可ナクシテ之ヲ同一若ハ類似ノ商品ノ商標トシテ使用シ又ハ之ヲ使用シタル商品ヲ販売若ハ拡布スルコトヲ得ズ
帝国ノ紋章、旗章其ノ他ノ徽章又ハ官ノ監督用若ハ証明用ノ印章若ハ記号ノ使用ノ許可ヲ当該官庁ヨリ受ケタルトキハ外国ノ国ノ紋章、旗章其ノ他ノ徽章又ハ官ノ監督用若ハ証明用ノ印章若ハ記号ト同一又ハ類似ノモノナル場合ト雖モ前三項ノ規定ヲ適用セズ
第五条 前条ノ規定ニ違反シタル者ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
第六条 第一条第一項第一号第二号及第四条第一項乃至第三項ノ規定ハ特許法、実用新案法、意匠法又ハ商標法ニ依リ権利ノ行使ト認メラルル行為ニハ之ヲ適用セズ
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム