第一條 日本製鐵株式會社ハ本邦ニ於ケル製鐵事業ノ確立ヲ圖ル爲政府其ノ他ノ製鐵事業者ノ製鐵事業ヲ基礎トシテ之ヲ設立スルモノトス
第二條 日本製鐵株式會社ハ鐵鋼ノ製造及販賣ニ關スル事業ヲ營ムコトヲ目的トスル株式會社トス
日本製鐵株式會社ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ前項ノ事業ニ附帶スル業務ヲ營ムコトヲ得
第三條 日本製鐵株式會社ノ株式ハ記名式トシ政府、公共團體、帝國臣民又ハ帝國法令ニ依リテ設立シタル法人ニシテ其ノ議決權ノ過半數ガ外國人若ハ外國法人ニ屬セザルモノニ限リ之ヲ所有スルコトヲ得
第四條 政府ハ製鐵所特別會計ニ屬スル固定財產其ノ他ノ財產ヲ以テ出資ノ目的ト爲スコトヲ得
第五條 政府ハ日本製鐵株式會社ノ株式總數ノ二分ノ一ヲ超ユル數ノ株式ヲ所有スルコトヲ要ス
第七條 政府ハ日本製鐵株式會社監理官ヲ置キ日本製鐵株式會社ノ業務ヲ監視セシム
日本製鐵株式會社監理官ハ何時ニテモ日本製鐵株式會社ノ金庫、帳簿及諸般ノ文書物件ヲ檢查スルコトヲ得
日本製鐵株式會社監理官ハ必要ト認ムルトキハ何時ニテモ日本製鐵株式會社ニ命ジテ營業上諸般ノ計算及狀況ヲ報吿セシムルコトヲ得
日本製鐵株式會社監理官ハ日本製鐵株式會社ノ株主總會其ノ他諸般ノ會議ニ出席シテ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第八條 主務大臣ハ日本製鐵株式會社ノ業務ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第九條 主務大臣ハ日本製鐵株式會社ノ業務ニ關シ軍事上其ノ他公益上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第十條 取締役及監查役ノ選任及解任、定款ノ變更、利益金ノ處分、社債ノ募集、合併竝ニ解散ノ決議ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ商法第二百十二條ノ二ノ決議ニ付亦同ジ
第十一條 日本製鐵株式會社ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ製鐵事業ヲ讓受クルコトヲ得ズ
第十二條 主務大臣商法第二百十二條ノ二ノ決議ノ認可ヲ爲サントスルトキハ出資ノ目的タル金錢以外ノ財產ノ價格及之ニ對シテ與フル株式ノ數ニ付製鐵事業評價審查委員會ノ議ヲ經ルコトヲ要ス合併ノ決議又ハ製鐵事業ノ讓受ノ認可ヲ爲サントスル場合ニ於ケル合併比率又ハ讓受價格ニ付亦同ジ
第十三條 製鐵事業評價審查委員會ノ組織及權限ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十四條 日本製鐵株式會社ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ所有スル重要財產ヲ讓渡シ又ハ擔保ニ供スルコトヲ得ズ
第十五條 日本製鐵株式會社ハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ事業ノ全部又ハ一部ヲ廢止又ハ休止スルコトヲ得ズ
第十六條 政府ガ第四條ノ規定ニ依リ出資ヲ爲ス場合ニ於テハ主務大臣ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ日本製鐵株式會社ニ對シ政府ノ製鐵事業ニ從事スル者ノ引繼ニ關シ其ノ者ノ解職ノ場合ニ於ケル手當其ノ他ニ付必要ナル事項ヲ命ジ又ハ昭和四年法律第二十八號及昭和五年法律第三號ニ依ル政府ノ債務ノ辨濟ニ要スル經費ノ支辨ニ關シ必要ナル負擔ヲ命ズルコトヲ得
第十七條 日本製鐵株式會社ハ第九條ノ規定ニ依リ主務大臣ノ爲シタル命令又ハ前條ノ規定ニ依リ解職ノ場合ニ於ケル手當ニ付主務大臣ノ爲シタル命令ニ因リ生ジタル損失ニシテ勅令ニ定ムルモノニ相當スル金額ヲ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ所有スル株式ニ對スル配當ニ充ツベキ利益金ヨリ控除スルコトヲ得前條ノ規定ニ依リ同條ニ規定スル政府ノ債務ノ辨濟ニ要スル經費ノ支辨ニ關シ必要ナル負擔ヲ命ゼラレタル場合ニ於ケル其ノ負擔額ニ相當スル金額ニ付亦同ジ
第十八條 日本製鐵株式會社其ノ設立ノ日ヨリ五年以內ニ左ノ事項ニ付登記ヲ受クル場合ニ於テハ其ノ登錄稅ノ額ハ左ノ額トス但シ登錄稅法ノ規定ニ依リ算出シタル登錄稅ノ額ガ左ノ額ヨリ少キトキハ其ノ額ニ依ル
一 設立、資本ノ增加、合併又ハ第二囘以後ノ株金拂込 拂込株金額、增資拂込株金額又ハ每囘拂込株金額ノ千分ノ一
二 設立、資本ノ增加又ハ製鐵事業ノ讓受ノ場合ニ於ケル不動產又ハ船舶ニ關スル權利ノ取得 不動產又ハ船舶ノ價格ノ千分ノ三
北海道府縣及市町村其ノ他之ニ準ズベキモノハ日本製鐵株式會社ニ對シ前項ニ規定スル不動產又ハ船舶ニ關スル權利ノ取得ニ關シ地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ
第十九條 本法ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル事項ヲ變更セントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第二十條 主務大臣ハ日本製鐵株式會社ノ決議法令若ハ定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認メタルトキハ其ノ決議ヲ取消スコトヲ得
主務大臣ハ日本製鐵株式會社ノ取締役又ハ監查役ノ行爲法令若ハ定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認メタルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得取締役又ハ監查役主務大臣ノ爲シタル命令ニ違反シタルトキ亦同ジ
第二十一條 日本製鐵株式會社ニ非ザルモノハ日本製鐵株式會社又ハ之ニ類似ノ名稱ヲ以テ其ノ商號ト爲スコトヲ得ズ
第二十二條 左ノ場合ニ於テハ日本製鐵株式會社ノ取締役又ハ其ノ職務ヲ行フ監查役ヲ百圓以上千圓以下ノ過料ニ處ス
一 第八條、第九條又ハ第十六條ノ規定ニ依リテ主務大臣ノ爲シタル命令ニ違反シタルトキ
二 本法ニ依リ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
第二十三條 第二十一條ノ規定ニ違反シタル者ハ十圓以上百圓以下ノ過料ニ處ス
第二十四條 非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前二條ノ過料ニ之ヲ準用ス